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  • 特開-冷蔵庫制御システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169826
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】冷蔵庫制御システム
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075456
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】中田 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】川浪 徹
(72)【発明者】
【氏名】今出 雅士
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA05
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045LA01
3L045LA04
3L045MA00
3L045NA01
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
(57)【要約】
【課題】圧縮機の駆動音を聞こえにくくすることができる冷蔵庫制御システム、及び冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫制御システムは、冷蔵庫に設けられた圧縮機を駆動する駆動回路を制御する。前記冷蔵庫制御システムは、前記冷蔵庫の周囲の音に関する音情報を取得する音情報取得部と、前記音情報取得部が取得した前記音情報に基づいて、前記駆動回路が有するインバータ回路のキャリア周波数を決定する周波数決定部と、前記周波数決定部が決定した前記キャリア周波数に基づいて前記インバータ回路を制御するインバータ制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫に設けられた圧縮機を駆動する駆動回路を制御する冷蔵庫制御システムであって、
前記冷蔵庫の周囲の音に関する音情報を取得する音情報取得部と、
前記音情報取得部が取得した前記音情報に基づいて、前記駆動回路が有するインバータ回路のキャリア周波数を決定する周波数決定部と、
前記周波数決定部が決定した前記キャリア周波数に基づいて前記インバータ回路を制御するインバータ制御部と、を備える、
冷蔵庫制御システム。
【請求項2】
前記冷蔵庫の周囲の音を取得するマイクロホンの出力信号に基づいて、前記冷蔵庫の周囲の騒音レベルを推定する騒音推定部を更に備え、
前記音情報は、前記騒音推定部の推定結果に基づいた騒音情報を含む、
請求項1に記載の冷蔵庫制御システム。
【請求項3】
前記騒音推定部は、前記圧縮機が停止している場合における前記マイクロホンの出力信号に基づいて、前記騒音レベルを推定する、
請求項2に記載の冷蔵庫制御システム。
【請求項4】
前記騒音推定部は、前記キャリア周波数に応じた前記騒音レベルを推定する、
請求項2又は3に記載の冷蔵庫制御システム。
【請求項5】
前記音情報は、前記キャリア周波数に応じた前記圧縮機の駆動音に関する駆動音情報を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の冷蔵庫制御システム。
【請求項6】
前記音情報は、ユーザが設定した除外音に関する除外情報を含み、
前記周波数決定部は、前記除外音に対応する除外周波数を避けて前記キャリア周波数を決定する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の冷蔵庫制御システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の冷蔵庫制御システムと、
圧縮機と、
前記冷蔵庫制御システムによって制御され、前記圧縮機を駆動する駆動回路と、を備える、
冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インバータ制御によって駆動される圧縮機を備えた冷蔵庫が開示されている(例えば、特許文献1参照)。圧縮機は、モータを備えており、冷媒を圧縮して高温、高圧の気体冷媒とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-32211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インバータ制御は、キャリア周波数で高速にモータの駆動電圧を変調することで、高精度にモータの回転数を制御するものである。一般的に、キャリア周波数は人間の可聴周波数帯に設定されることが多い。このキャリア周波数の音が圧縮機や冷蔵庫内の部品と共振するなどによって、ユーザに聞こえてしまうことがあり、ユーザに不快感を与えるおそれがあった。
【0005】
本開示の主な目的は、圧縮機の駆動音、特にインバータ制御のキャリア周波数の音を、ユーザが聞き取りにくくすることができる冷蔵庫制御システム、及び冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る冷蔵庫制御システムは、冷蔵庫に設けられた圧縮機を駆動する駆動回路を制御する。前記冷蔵庫制御システムは、前記冷蔵庫の周囲の音に関する音情報を取得する音情報取得部と、前記音情報取得部が取得した前記音情報に基づいて、前記駆動回路が有するインバータ回路のキャリア周波数を決定する周波数決定部と、前記周波数決定部が決定した前記キャリア周波数に基づいて前記インバータ回路を制御するインバータ制御部と、を備える。
【0007】
一態様に係る冷蔵庫は、前記冷蔵庫制御システムと、圧縮機と、前記冷蔵庫制御システムによって制御され、前記圧縮機を駆動する駆動回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る冷蔵庫制御システムを備える冷蔵庫のブロック図である。
図2図2は、許容雑音レベルを示す周波数特性カーブのグラフの一例である。
図3図3は、同上の冷蔵庫制御システムの動作例を示すフローチャートである。
図4図4は、同上の冷蔵庫制御システムにおけるキャリア周波数の決定処理の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0010】
(実施形態1)
本実施形態の冷蔵庫制御システム1について、図1図4を参照して説明する。
【0011】
本実施形態の冷蔵庫制御システム1は、冷蔵庫100に設けられた圧縮機2を駆動する駆動回路3を制御する。
【0012】
冷蔵庫100は、冷凍サイクル機構を有している。冷凍サイクル機構は、圧縮機2、凝縮器、膨張弁、蒸発器(エバポレータ)等を有しており、冷媒を相変化させながら循環させることで、空気を冷却するように構成されている。
【0013】
圧縮機2は、モータ21を有しており、モータ21が回転駆動することによって、気体の冷媒を圧縮するように構成されている。圧縮機2は、駆動回路3によって駆動される。
【0014】
冷蔵庫100は、電源回路としてAC/DCコンバータ回路4を備えている。AC/DCコンバータ回路4は、商用電源から供給された交流電力を直流電力に変換するように構成されている。AC/DCコンバータ回路4は、例えば、交流電圧を整流する整流回路、整流回路によって生成された脈流電圧を平滑する平滑回路等を備えている。また、AC/DCコンバータ回路4は、力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路、降圧回路等を備えていてもよい。
【0015】
駆動回路3は、AC/DCコンバータ回路4から供給される直流電力を用いて、圧縮機2を駆動するように構成されている。具体的には、駆動回路3は、圧縮機2のモータ21を回転駆動するように構成されている。本実施形態では、モータ21は、三相モータであって、駆動回路3は、モータ21に三相の交流電力を供給するインバータ回路31を有している。インバータ回路31は、三相フルブリッジ型インバータ回路であって、フルブリッジ接続された6つのスイッチング素子(例えば、MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor、IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistorなど)を有しており、3つの出力端子がモータ21に接続されている。インバータ回路31は、6つのスイッチング素子がオン/オフ駆動されることにより、直流電圧を三相の交流電圧に変換する。インバータ回路31は、三相の交流電圧をモータ21に印加することにより、モータ21を回転駆動させる。
【0016】
駆動回路3は、冷蔵庫制御システム1によって制御される。具体的には、駆動回路3のインバータ回路31は、冷蔵庫制御システム1によってPWM制御(PWM:Pulse Width Modulation)される。
【0017】
冷蔵庫制御システム1は、インバータ制御部11と、キャリア信号生成部12と、周波数決定部13と、音情報取得部14と、騒音推定部15と、を備えている。
【0018】
冷蔵庫制御システム1は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、冷蔵庫制御システム1は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、インバータ制御部11、キャリア信号生成部12、周波数決定部13、音情報取得部14、騒音推定部15として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0019】
インバータ制御部11は、インバータ回路31を制御する。具体的には、インバータ制御部11は、インバータ回路31にPWM信号を出力することにより、インバータ回路31をPWM制御する。インバータ回路31は、PWM信号に応じて複数のスイッチング素子がオン/オフすることにより、三相の交流電力をモータ21に出力する。
【0020】
インバータ制御部11は、キャリア信号生成部12から出力されるキャリア信号に基づいて、PWM信号を生成する。具体的には、インバータ制御部11は、変調信号と、キャリア信号との比較結果に基づいて、PWM信号を生成する。変調信号は、変調信号生成部16によって生成される。変調信号は、インバータ回路31が出力する交流電圧の位相、周波数に応じた交流信号である。キャリア信号は、例えば三角波であって、キャリア信号生成部12によって生成される。変調信号の振幅値と、キャリア信号の振幅値との比較結果に応じて、PWM信号のパルス幅が決定される。また、キャリア信号の周波数(以下、キャリア周波数ともいう)は、PWM信号のパルス幅変調周期を決定する。本実施形態では、キャリア周波数が可変である。キャリア周波数は、複数の値、例えば4kHz、8kHz、12.5kHzから選択される。キャリア周波数が高くなるほど、インバータ回路31が出力する交流電圧の波形が変調信号に近づく。
【0021】
キャリア信号生成部12は、周波数決定部13が決定したキャリア周波数のキャリア信号を生成して、インバータ制御部11に出力する。
【0022】
周波数決定部13は、音情報取得部14が取得した音情報に基づいて、キャリア周波数を決定する。周波数決定部13は、音情報に基づいて、例えば4kHz、8kHz、12.5kHzのうち、いずれかの値をキャリア周波数に決定する。周波数決定部13によるキャリア周波数の決定処理については、後述する。なお、キャリア周波数の値は、上記値に限らず、他の値であってもよい。
【0023】
音情報取得部14は、冷蔵庫100の周囲の音に関する情報である音情報を取得する。本実施形態では、音情報には、冷蔵庫100の周囲の騒音レベルの推定結果に基づいた騒音情報が含まれている。音情報取得部14は、冷蔵庫100の周囲の騒音レベルを推定する騒音推定部15から、騒音情報を音情報として取得する。
【0024】
騒音推定部15は、冷蔵庫100の周囲の音の騒音レベルを推定する。騒音推定部15は、冷蔵庫100の周囲の音を取得するマイクロホン5の出力信号に基づいて、騒音レベルを推定する。
【0025】
マイクロホン5は、例えば冷蔵庫100のドアパネルに設けられており、冷蔵庫100の周囲の音に応じた出力信号を騒音推定部15に出力する。なお、マイクロホン5は、冷蔵庫100とは別に設けられていてもよい。例えば、マイクロホン5は、スマートフォン等の通信端末が備えるマイクロホンであってもよい。この場合、マイクロホン5の出力信号は、通信によりスマートフォンから冷蔵庫100の騒音推定部15に出力される。なお、スマートフォンには、マイクロホン5と共に音情報取得部14、騒音推定部15などが設けられていてもよい。つまり、冷蔵庫制御システム1の一部が、スマートフォン等の端末に分散して設けられていてもよい。この場合、通信により、冷蔵庫100とスマートフォンとの間で、情報の授受が行われる。
【0026】
騒音推定部15は、マイクロホン5の出力信号の信号処理を行うことにより、騒音レベルを推定する。具体的には、騒音推定部15は、バンドパスフィルタを備えており、マイクロホン5の出力信号から所定の周波数帯を抽出する。バンドパスフィルタの周波数帯は、例えば、下限周波数が353.6Hzであり、上限周波数が5656.8Hzである。この周波数帯は、人が雑音として認識しやすい帯域である。なお、上記の周波数帯の値は一例であって、上記の値に限らず、他の値であってもよい。
【0027】
そして、騒音推定部15は、バンドパスフィルタによって抽出した周波数帯の信号成分を積分する。騒音推定部15は、積分結果に基づいて、RMS値(RMS:Root Mean Square)を騒音レベルとして算出する。RMS値とは、周波数帯で均一な音圧とした場合の騒音レベルである。つまり、騒音推定部15は、マイクロホン5が取得した音における所定周波数帯のRMS値を、冷蔵庫100の周囲の騒音レベルとして推定する。騒音推定部15は、推定した騒音レベル(RMS値)を騒音情報として音情報取得部14に出力する。
【0028】
ここで、本実施形態の騒音推定部15は、圧縮機2が停止している場合におけるマイクロホン5の出力信号に基づいて、周囲環境音の騒音レベルを推定する。圧縮機2は、冷蔵庫100の庫内温度に応じて駆動と停止とが繰り返すように間欠制御される。本実施形態では、マイクロホン5は、圧縮機2の停止時における、冷蔵庫100の周囲の音を取得して騒音推定部15に出力信号を出力する。騒音推定部15は、圧縮機2の停止時におけるマイクロホン5の出力信号に基づいて、騒音レベルを推定する。これにより、騒音推定部15が推定した騒音レベルには、圧縮機2の駆動音が含まれない。したがって、冷蔵庫100の周囲で発生した周囲環境音の騒音レベルの推定精度が向上する。なお、騒音推定部15は、冷蔵庫100に電源投入された起動時において、圧縮機2の動作開始前のタイミングに騒音レベルを推定してもよい。
【0029】
また、音情報取得部14は、キャリア周波数に応じた圧縮機2の駆動音に関する駆動音情報を音情報としてメモリから取得する。メモリには、キャリア周波数として設定可能な複数の値と、この複数の値それぞれに対応する駆動音レベルとが、駆動音情報として記憶されている。つまり、メモリには、設定可能な複数の値それぞれをキャリア周波数に設定した場合における、圧縮機2の駆動音のフラット特性での代表値が、駆動音レベルとして記憶されている。本実施形態では、キャリア周波数として4kHz、8kHz、12.5kHzが設定可能である。キャリア周波数が4kHzである場合における駆動音レベルが27dBである。キャリア周波数が8kHzである場合における駆動音レベルが19dBである。キャリア周波数が12.5kHzである場合における駆動音レベルが30dBである。
【0030】
このように、音情報取得部14は、冷蔵庫100の周囲の騒音レベルの推定結果である騒音情報と、キャリア周波数に応じた圧縮機2の駆動音レベルである駆動音情報と、を取得する。そして、音情報取得部14は、騒音情報と駆動音情報とを含む音情報を周波数決定部13に出力する。
【0031】
周波数決定部13は、騒音情報と駆動音情報とに基づいて、インバータ回路31のキャリア周波数を決定する。
【0032】
具体的には、まず、周波数決定部13は、騒音情報に基づいて許容雑音レベルを算出する。許容雑音レベルとは、冷蔵庫100の周囲の音に紛れてユーザが不快を感じにくいと推定される雑音レベルの周波数特性カーブである。人の聴覚感度は、周波数に依存する特性があり、周波数が倍になると聴覚感度も略倍になる。
【0033】
周波数決定部13は、騒音推定部15のバンドパスフィルタの中心周波数cfと、騒音推定部15が推定した騒音レベルとに基づいて、許容雑音レベルを算出する。中心周波数cfとは、騒音推定部15のバンドパスフィルタの周波数帯の中心である。本実施形態では、バンドパスフィルタの周波数帯は、下限周波数が353.6Hzであり、上限周波数が5656.8Hzである。したがって、中心周波数cfは、1414.3Hzである。
【0034】
周波数決定部13は、許容雑音レベルにおける中心周波数cfの音圧を、騒音推定部15が推定した騒音レベルに設定する。そして、周波数決定部13は、周波数が中心周波数cfから1オクターブ増加するごとに音圧が3dB減少し、周波数が中心周波数cfから1オクターブ低下するごとに音圧が3dB増加する周波数特性カーブを、許容雑音レベルとして算出する。なお、許容雑音レベルの上限周波数は、10kHz程度であってもよい。
【0035】
図2に、周波数特性カーブの一例を示す。図2において、横軸が周波数[Hz]、縦軸が音レベル[dB]であり、棒グラフが選択可能なキャリア周波数(4kHz、8kHz、12.5kHz)ごとの駆動音レベル、線グラフ(a)~(c)が許容雑音レベルを示す周波数特性カーブである。図2の例では、キャリア周波数4kHzに対応する駆動音レベルが27dBであり、キャリア周波数8kHzに対応する駆動音レベルが19bBであり、キャリア周波数12.5kHzに対応する駆動音レベルが30dBである。また、線グラフ(a)は中心周波数cfの騒音レベルが約40dBである場合における周波数特性カーブであり、線グラフ(b)は中心周波数cfの騒音レベルが約30dBである場合における周波数特性カーブであり、線グラフ(c)は中心周波数cfの騒音レベルが約20dBである場合における周波数特性カーブである。
【0036】
なお、上述した許容雑音レベルの算出方法は一例であり、他の算出方法によって許容雑音レベルを算出してもよい。例えば、聴覚モデルとして「ISO226.2003」に示される等ラウンドネスレベル曲線に基づいて、許容雑音レベルを算出してもよい。
【0037】
周波数決定部13は、許容雑音レベルと駆動音レベルとを比較し、比較結果に基づいて、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を決定する。具体的には、周波数決定部13は、設定可能な3つのキャリア周波数(4kHz、8kHz、12.5kHz)のうち、最も高い12.5kHzを除いた4kHz、及び8kHzそれぞれに対応する許容雑音レベルと駆動音レベルとを比較する。
【0038】
例えば、算出された周波数特性カーブが図2の線グラフ(c)であるとする。この場合、4kHz、及び8kHzの両方において、駆動音レベルが許容雑音レベルを上回っているので、周波数決定部13は、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を12.5kHzに決定する。
【0039】
また、算出された周波数特性カーブが図2の線グラフ(b)であるとする。この場合、4kHzに対応する駆動音レベルが許容雑音レベルを上回り、かつ、8kHzに対応する駆動音レベルが許容雑音レベルを下回っているので、周波数決定部13は、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を8kHzに決定する。
【0040】
また、8kHzに対応する駆動音レベルが許容雑音レベルを上回り、かつ、4kHzに対応する駆動音レベルが許容雑音レベルを下回っている場合、周波数決定部13は、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を4kHzに決定する。
【0041】
また、算出された周波数特性カーブが図2の線グラフ(a)であるとする。この場合、4kHz、及び8kHzの両方において、駆動音レベルが許容雑音レベルを下回っているので、周波数決定部13は、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を4kHz又は8kHzに決定する。例えば、周波数決定部13は、4kHzと8kHzとのうち、駆動音レベルと許容雑音レベルとの差が大きい方の周波数を、インバータ回路31に設定するキャリア周波数に決定する。図2の例では、この場合にはキャリア周波数を8kHzに決定する。なお、周波数決定部13は、4kHzと8kHzとのうち、エネルギー効率がよい低い方の周波数である4kHzを、インバータ回路31に設定するキャリア周波数に決定してもよい。また、周波数決定部13は、4kHzと8kHzとのうち、人が聞こえにくい高い方の周波数である8kHzを、インバータ回路31に設定するキャリア周波数に決定してもよい。
【0042】
周波数決定部13は、決定したキャリア周波数の値をキャリア信号生成部12に出力する。キャリア信号生成部12は、周波数決定部13が決定したキャリア周波数のキャリア信号を生成して、インバータ制御部11に出力する。インバータ制御部11は、キャリア信号生成部12から出力されるキャリア信号に基づいてPWM信号を生成して、インバータ回路31に出力することにより、インバータ回路31をPWM制御する。
【0043】
次に、本実施形態の冷蔵庫制御システム1の動作例を、図3及び図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0044】
本動作例では、初期状態として、圧縮機2が停止状態であるとする。
【0045】
まず、ステップS1において、冷蔵庫制御システム1は、冷却開始条件が成立しているか否かを判定する。冷却開始条件とは、例えば、冷凍室の温度が第1温度以上である、という条件である。つまり、冷凍室が冷えていない場合、冷却開始条件が成立する。冷却開始条件や後述する冷却停止条件は、冷凍室の温度に依るだけでなく、例えば冷蔵室などの温度に依ってもよい。
【0046】
ステップS1において、冷却開始条件が成立していない場合、冷蔵庫制御システム1は、冷却開始条件が成立しているか否かの判定処理を継続する。また、ステップS1において、冷却開始条件が成立している場合、ステップS2において圧縮機2の回転数が所定値に決定する。
【0047】
そして、ステップS3において、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を決定する。ステップS3のキャリア周波数の決定処理について、図4を用いて詳細に説明する。
【0048】
ステップS301において、騒音推定部15は、マイクロホン5の出力信号に基づいて、騒音レベル(RMS値)を推定する。そして、騒音推定部15は、推定した騒音レベルを騒音情報として音情報取得部14に出力する。また、音情報取得部14は、キャリア周波数に応じた圧縮機2の駆動音に関する駆動音情報を音情報としてメモリから取得する。音情報取得部14は、騒音情報と駆動音情報とを含む音情報を周波数決定部13に出力する。
【0049】
ステップS302において、周波数決定部13は、騒音情報に基づいて許容雑音レベルを算出する。ここでは、設定可能なキャリア周波数が4kHz、8kHz、12.5kHzであり、駆動音レベルがそれぞれ27dB、19dB、30dBであるとする。
【0050】
ステップS303において、周波数決定部13は、許容雑音レベルと駆動音レベルとを比較する。具体的には、周波数決定部13は、設定可能な3つのキャリア周波数(4kHz、8kHz、12.5kHz)のうち、4kHz、及び8kHzそれぞれに対応する許容雑音レベルと駆動音レベルとを比較する。
【0051】
ステップS303において、4kHz、及び8kHzの両方の駆動音レベルが許容雑音レベルを上回っている場合、ステップS304において、周波数決定部13は、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を最も高い12.5kHzに決定する。
【0052】
【表1】

例えば、表1に示すように、4kHz、8kHz対応する許容雑音レベルがそれぞれ15dB、12dBである場合、対応する差分値が負の値である。この場合、周波数決定部13は、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を12.5kHzに決定する。
【0053】
また、ステップS303において、4kHzと8kHzとの少なくとも一方において、駆動音レベルが許容雑音レベルを下回っている場合、ステップS305において、駆動音レベルと許容雑音レベルとの差を算出する。そして、ステップS306において、周波数決定部13は、許容雑音レベルから駆動音レベルを引いた差分値が、最も大きい値に対応する周波数を、インバータ回路31に設定するキャリア周波数に決定する。
【0054】
【表2】

例えば、表2に示すように、4kHz、8kHzに対応する許容雑音レベルがそれぞれ35dB、32dBであるとする。この場合、4kHz、8kHzに対応する差分値がそれぞれ8dB、13dBとなるので、周波数決定部13は、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を8kHzに決定する。
【0055】
【表3】

また、例えば、表3に示すように、4kHz、8kHzに対応する許容雑音レベルがそれぞれ25dB、22dBであるとする。この場合、4kHz、8kHzに対応する差分値がそれぞれ-2dB、3dBとなるので、周波数決定部13は、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を8kHzに決定する。
【0056】
ステップS4(図3参照)において、圧縮機2の運転を開始させる。具体的には、周波数決定部13は、決定したキャリア周波数の値をキャリア信号生成部12に出力する。キャリア信号生成部12は、周波数決定部13が決定したキャリア周波数のキャリア信号を生成して、インバータ制御部11に出力する。インバータ制御部11は、キャリア信号生成部12から出力されるキャリア信号に基づいてPWM信号を生成して、インバータ回路31に出力することにより、圧縮機2が駆動する。
【0057】
ステップS5において、冷蔵庫制御システム1は、冷却停止条件が成立したか否かを判定する。冷却停止条件とは、例えば、冷凍室の温度が第2温度以下である、という条件である。つまり、貯蔵室が十分に冷えている場合、冷却停止条件が成立する。
【0058】
ステップS5において、冷却停止条件が成立した場合、冷蔵庫制御システム1は、ステップS6において圧縮機2を停止させる。そして、ステップS1に戻り、冷蔵庫制御システム1は、冷却開始条件が成立しているか否かを判定する。
【0059】
一方、ステップS5において、冷却停止条件が成立していない場合、ステップS7において、冷蔵庫制御システム1は、圧縮機2の回転数変更条件が成立したか否かを判定する。圧縮機2の回転数変更条件とは、例えば、冷凍室の冷却速度が所定速度範囲外である、という条件である。例えば、冷凍室の冷却速度が所定速度範囲の下限よりも遅い場合は、圧縮機2の回転数変更条件が成立する。この場合、冷蔵庫制御システム1は、冷却能力不足と判断して、圧縮機2の回転数を一段階上昇させる。また、冷凍室の冷却速度が所定速度範囲の上限よりも速い場合は、圧縮機2の回転数変更条件が成立する。この場合、冷蔵庫制御システム1は、冷却能力過剰と判断して、圧縮機2の回転数を一段階低下させる。ステップS7において、圧縮機2の回転数変更条件が成立した場合、冷蔵庫制御システム1は、ステップS8において、圧縮機2の回転数を変更させる。そして、ステップS5に戻り、冷蔵庫制御システム1は、冷却停止条件が成立したか否かを判定する。一方、ステップS7において、圧縮機2の回転数変更条件が成立していない場合、ステップS5に戻り、冷蔵庫制御システム1は、冷却停止条件が成立したか否かを判定する。
【0060】
なお、ステップS8の圧縮機2の回転数の変更処理の後に、キャリア周波数の決定処理を行ってもよい。つまり、圧縮機2の駆動中にキャリア周波数を変更してもよい。例えば、メモリには、圧縮機2の回転数に応じた駆動音レベルが、キャリア周波数に対応付けられて記憶されている。そして、キャリア周波数の決定処理のステップS303において、現在の圧縮機2の回転数に応じた駆動音レベルと、許容雑音レベルとを比較し、比較結果に基づいてキャリア周波数を決定する。
【0061】
このように、本実施形態の冷蔵庫制御システム1では、冷蔵庫100の周囲の音に基づいて、キャリア周波数を選択して、圧縮機2を駆動させる。これにより、圧縮機2から発生する音が周囲の音に紛れさせることができるので、ユーザが圧縮機2の音を不快に感じにくくなる。
【0062】
(変形例)
次に、本実施形態の冷蔵庫制御システム1の変形例について説明する。以下に説明する変形例は、上述した実施形態の構成を適宜組み合わせて適用可能である。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0063】
本変形の冷蔵庫制御システム1では、周波数決定部13は、圧縮機2の駆動中にキャリア周波数を変更する際に、設定中のキャリア周波数に基づいて、許容雑音レベルを自己騒音補正する。周波数決定部13は、補正後の許容雑音レベルと駆動のレベルとの差分値に基づいて、最も大きい差分値に対応する周波数をキャリア周波数に決定する。
【0064】
具体的には、周波数決定部13は、設定中のキャリア周波数に対応する許容雑音レベルLBから設定中のキャリア周波数の駆動音レベルLC分を減じた値を、補正後許容雑音レベルLZとして算出する。つまり、許容雑音レベルLB、駆動音レベルLC、及び補正後許容雑音レベルLZとは、以下の関係式(1)が成り立つ。
【0065】
10(LB/10)-10(LC/10)=10(LZ/10) ・・・(1)
【0066】
【表4】

例えば、表4に示すように、4kHz、8kHz、12.5kHzに対応する駆動音レベルがそれぞれ24dB、20dB、23dBであり、4kHz、8kHz、12.5kHzに対応する許容雑音レベルがそれぞれ28dB、27dB、26dBであるとする。このとき、設定中のキャリア周波数が12.5kHzであるとする。この場合、設定中のキャリア周波数である12.5kHzに対応する許容雑音レベル26dBには、キャリア周波数の駆動音レベル23dBが重畳されている。したがって、周波数決定部13は、12.5kHzに対応する許容雑音レベルである26dBからキャリア周波数の駆動音レベルを減じる自己騒音補正を行い、23dBを補正後許容雑音レベルとする。したがって、4kHz、8kHz、12.5kHzに対応する補正後許容雑音レベルと駆動音レベルとの差分値が、それぞれ4dB、7dB、0dBとなる。したがって、周波数決定部13は、最も大きい差分値“7”に対応する8kHzをキャリア周波数に決定する。
【0067】
このように、圧縮機2の駆動中にキャリア周波数を変更する際に、設定中のキャリア周波数に基づいて許容雑音レベルを自己騒音補正する。これにより、圧縮機2の駆動中に取得した騒音情報に基づいて許容雑音レベルを算出しても、キャリア周波数の駆動音レベル分を補正することができるため、騒音情報の取得中に圧縮機2を停止させなくてもよくなる。
【0068】
(実施形態2)
実施形態2の冷蔵庫制御システム1について説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0069】
本実施形態の冷蔵庫制御システム1は、騒音推定部15による騒音レベルの推定方法が、実施形態1の推定方法と異なる。
【0070】
本実施形態の騒音推定部15は、設定可能な複数のキャリア周波数に対応した複数のバンドパスフィルタを備えている。本実施形態では、騒音推定部15は、4kHzに対応したバンドパスフィルタと、8kHzに対応したバンドパスフィルタを備えている。バンドパスフィルタの周波数帯は、対応するキャリア周波数の値を中心とした1/3オクターブ程度である。例えば、4kHzに対応するバンドパスフィルタの周波数帯は、下限周波数が3560Hzであり、上限周波数が4490Hzである。また、8kHzに対応するバンドパスフィルタの周波数帯は、下限周波数が7130Hzであり、上限周波数が8980Hzである。なお、バンドパスフィルタの周波数帯は1/3オクターブに限るものではなく、例えば、設定可能なキャリア周波数の段階に応じてそれぞれの周波数帯域が重ならないように設定してもよい。また、騒音推定部15は、バンドパスフィルタの代わりに、FFT(Fast Fourier Transform)などの周波数分析ツールを用いて、キャリア周波数近傍の周波数成分から騒音レベルを推定してもよい。
【0071】
騒音推定部15は、2つのバンドパスフィルタそれぞれにおいて、抽出した周波数帯の信号成分を積分し、積分結果に基づいてRMS値を騒音レベルとして算出する。
【0072】
周波数決定部13は、騒音推定部15が算出した4kHz、8kHzに対応する騒音レベルを、4kHz、8kHzに対応する許容雑音レベルとする。そして、周波数決定部13は、許容雑音レベルと駆動音レベルとを比較し、比較結果に基づいて、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を決定する。
【0073】
【表5】

例えば、表5に示すように、4kHz、8kHz、12.5kHzに対応する駆動音レベルがそれぞれ24dB、20dB、23dBであり、4kHz、8kHzに対応する許容雑音レベルがそれぞれ38dB、23dBであるとする。この場合、4kHz、8kHzに対応する差分値がそれぞれ14dB、3dBとなるので、周波数決定部13は、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を、差分値が最も大きい4kHzに決定する。なお、4kHz、8kHzに対応する差分値が両方とも負の値である場合、つまり駆動音レベルが許容雑音レベルを上回っている場合、周波数決定部13は、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を12.5kHzに決定する。
【0074】
なお、本実施形態では、騒音推定部15は、4kHz、8kHzに対応した2つのバンドパスフィルタを備えているが、12.5kHzに対応したバンドパスフィルタを更に備えていてもよい。この場合、周波数決定部13は、4kHz、8kHz、12.5kHzそれぞれに対応する差分値を算出して、差分値が最も大きい周波数をキャリア周波数に決定する。また、周波数決定部13は、すべての差分値が負の値である場合、12.5kHzをキャリア周波数に決定する。
【0075】
(実施形態3)
実施形態3の冷蔵庫制御システム1について説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態1,2と同様の構成については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0076】
本実施形態の冷蔵庫制御システム1は、周波数決定部13による、インバータ回路31に設定するキャリア周波数の決定処理において、実施形態1,2での処理に加えて、ユーザが聞こえやすい周波数を避けてキャリア周波数を決定する処理をさらに行う。
【0077】
人の聴覚は、年齢、性別、人種等によって異なる場合がある。したがって、人によって、聞こえやすい、あるいは聞こえにくい周波数が異なる場合がある。
【0078】
本実施形態の音情報取得部14は、除外情報を更に取得する。除外情報とは、ユーザが設定した除外音に関する情報である。音情報取得部14は、冷蔵庫100に設けられた操作パネル等のユーザーインターフェイス、あるいはスマートフォン、タブレット端末等の通信端末から、除外情報を取得する。
【0079】
具体的には、冷蔵庫制御システム1は、設定可能なキャリア周波数(4kHz、8kHz、12.5kHz)それぞれで圧縮機2を駆動させ、ユーザに、各キャリア周波数に対応した圧縮機2の駆動音を聞かせる。そして、ユーザは、聞いた駆動音のなかで、耳障りで不快と感じる音が含まれている場合、その駆動音を除外音として、例えば操作パネルを用いて回答する。音情報取得部14は、ユーザからの回答を除外情報として取得する。なお、音情報取得部14は、冷蔵庫100と通信接続されたスマートフォン等の通信端末から、ユーザの回答を除外情報として取得してもよい。また、ユーザに聞かせる圧縮機2の駆動音は、予め録音された音であって、スマートフォン等で再生させてもよい。
【0080】
音情報取得部14は、騒音情報、駆動音情報、及び除外情報を含む音情報を周波数決定部13に出力する。
【0081】
周波数決定部13は、騒音情報、駆動音情報、及び除外情報に基づいて、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を決定する。具体的には、周波数決定部13は、除外情報に基づいて、除外音に対応する除外周波数を、キャリア周波数の選択候補から除外する。そして、周波数決定部13は、残った選択候補からキャリア周波数を決定する。
【0082】
例えば、除外周波数が8kHzであるとする。また、上記の表2に示すように、4kHz、8kHz、12.5kHzの駆動音レベルがそれぞれ27dB、19dB、30dBであり、4kHz、8kHzの許容雑音レベルがそれぞれ35dB、32dBであるとする。この場合、4kHzに対応する差分値が8dBであり、8kHzに対応する差分値である13dBよりも小さい。しかしながら、8kHzが除外周波数であるため、周波数決定部13は、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を4kHzに設定する。
【0083】
なお、除外情報には、複数の周波数の音を除外音とする情報が含まれていてもよい。また、除外周波数を除く選択可能な周波数が1つのみである場合、周波数決定部は、この1つの周波数をキャリア周波数に決定する。この場合、周波数決定部は、許容雑音レベルの算出、許容雑音レベルと駆動音レベルとの比較などの処理を省略できる。
【0084】
また、除外情報は、許容雑音レベルと駆動音レベルとの差分値に対する補正係数であってもよい。補正係数は、例えば、ユーザが許容できる、あるいは聞こえにくい周波数を示す値である。本実施形態では、補正係数は、例えば0~100%で示され、値が大きいほどユーザが許容できる周波数であることを示す。音情報取得部14は、例えば、冷蔵庫100と通信接続されたスマートフォン等の通信端末に入力された、ユーザの使用言語、性別、年齢、アンケート回答などを取得する。音情報取得部14は、これらの情報に基づいて、各周波数に対する補正係数を決定する。
【0085】
周波数決定部13は、許容雑音レベルと駆動音レベルとの差分値と、補正係数と、を乗算することによって、スコアを算出する。周波数決定部13は、最も大きいスコアに対応する周波数をキャリア周波数に決定する。
【0086】
【表6】

例えば、表6に示すように、4kHz、8kHz、12.5kHzに対応する駆動音レベルがそれぞれ24dB、20dB、23dBであるとする。また、4kHz、8kHzに対応する許容雑音レベルが38dB、35dBであるとする。また、4kHz、8kHzに対応する補正係数がそれぞれ80%、20%であるとする。この場合、4kHzに対応する差分値が14dBであり、8kHzに対応する差分値である15dBよりも小さい。しかしながら、4kHz、8kHzに対応するスコアは、それぞれ“11.2”、“3”である。したがって、周波数決定部13は、インバータ回路31に設定するキャリア周波数を4kHzに設定する。
【0087】
なお、本実施形態においても、実施形態2と同様に、騒音推定部15は、4kHz、8kHz、12.5kHzに対応した3つのバンドパスフィルタを備え、4kHz、8kHz、12.5kHzそれぞれに対応する許容雑音レベルを算出してもよい。この場合、周波数決定部13は、4kHz、8kHz、12.5kHzそれぞれに対して、差分値と補正係数とを乗算してスコアを算出する。そして、周波数決定部13は、最も大きいスコアに対応する周波数をキャリア周波数に決定する。
【0088】
【表7】

例えば、表7に示すように、4kHz、8kHz、12.5kHzに対応する許容雑音レベルがそれぞれ38dB、23dB、20dBであり、差分値がそれぞれ14dB、3dB、-3dBであり、補正係数がそれぞれ50%、20%、30%であるとする。この場合、4kHz、8kHz、12.5kHzに対応するスコアがそれぞれ“7”、“0.6”、“-0,9”となる。したがって、周波数決定部13は、最も大きいスコア“7”に対応する4kHzをキャリア周波数に決定する。
【符号の説明】
【0089】
100 冷蔵庫
1 冷蔵庫制御システム
11 インバータ制御部
13 周波数決定部
14 音情報取得部
15 騒音推定部
2 圧縮機
3 駆動回路
31 インバータ回路
5 マイクロホン
図1
図2
図3
図4