IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東鋼の特許一覧

<>
  • 特開-ドリル 図1
  • 特開-ドリル 図2
  • 特開-ドリル 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169832
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】ドリル
(51)【国際特許分類】
   B23B 49/00 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
B23B49/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075466
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】500262614
【氏名又は名称】株式会社東鋼
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺島 誠人
【テーマコード(参考)】
3C036
【Fターム(参考)】
3C036BB12
3C036FF03
(57)【要約】
【課題】ドリルを挿入する加工対象物手前の治具等の貫通孔との干渉を回避することができるドリルを提供する。
【解決手段】本実施形態のドリルは、ドリル1とカラー2とから構成され、ドリル1は、先端部に形成された錐部にはカラー2が外挿される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に形成された錐部と、
前記錐部に外挿される円筒形状のカラーと
を備えることを特徴とするドリル。
【請求項2】
請求項1記載のドリルにおいて、
前記錐部が平錐であること
を特徴とするドリル。
【請求項3】
請求項1または2記載のドリルにおいて、
前記カラーの後端側の外径が前記錐部後端側の直径と同一あるいは該直径より大きいことを特徴とするドリル。
【請求項4】
請求項1~3記載のドリルにおいて、
前記カラーの先端がテーパ状に形成されることを特徴とするドリル。
【請求項5】
請求項1~3記載のドリルにおいて、
前記カラーの先端がノコギリ状に形成されていることを特徴とするドリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種加工用のドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明者および出願人は、例えば、下記特許文献1示すように、大腿骨に穿孔するための特殊ドリルなどを各種考案している。例えば、特許文献1のドリルでは、大腿骨軸に対してドリル軸が30°程度の角度を成すような強斜位で穿孔しなければならない場合でも、先端に設けられた先端切れ刃と、先端切れ刃の後方に連なるメイン切れ刃とを備え、先端切れ刃9の先端角は所定の鋭角であり、メイン切れ刃の先端角は、メイン切れ刃の前端から後端にかけて減少させると共に、メイン切れ刃の前端の先端角は、先端切れ刃の先端角よりも大きい鋭角を有することで、ドリルの切れ刃によって骨の表面が蹴られることなく、正しい穿孔位置にドリルを位置決めして穿孔を開始することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6375469号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本願発明者および出願人は、かかる各種ドリルの開発を一歩進めて、金属製の治具やプレートや固定具に形成された貫通孔にドリルを挿通させてその先の加工対象物を切削したい場合に対応したドリルの開発を試みた。
【0005】
かかるドリルの開発では、金属製の治具等に形成された貫通孔の軸線方向とドリルの軸線方向とが微妙にずれることで、ドリルの刃先が貫通孔の一部または全部と干渉してしまうという課題の解決が必要であった。
【0006】
以上の事情に鑑みて、本発明は、ドリルを挿入する加工対象物手前の治具等の貫通孔との干渉を回避することができるドリルを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明のドリルは、
先端部に形成された錐部と、
前記錐部に外挿される円筒形状のカラーと
を備える。
【0008】
第1発明のドリルによれば、ドリル先端の錐部にカラーを付けることで、錐部を覆い、ドリルを挿入する加工対象物手前の治具等の貫通孔との干渉をカラーで逃げて回避することができる。
【0009】
第2発明のドリルは、第1発明において、
前記錐部が平錐である
ことを特徴とする。
【0010】
第2発明のドリルによれば、錐部と外挿したカラーとの間に大きな空間を設けることができ、切屑の排出性を良好に保つことができる。
【0011】
第3発明のドリルは、第1または第2発明において
前記カラーの後端側の外径が前記錐部後端の直径と同一あるいは該直径より大きいことを特徴とする。
【0012】
第3発明のドリルによれば、カラーの後端の外径を、錐部後端の直径同一あるいは大きすることで、ドリルを挿入する加工対象物手前の治具等の貫通孔との干渉を回避することができる。
【0013】
第4発明のドリルは、第1~第3発明のドリルにおいて、
前記カラーの先端がテーパ状に形成されることを特徴とする。
【0014】
第4発明のドリルによれば、カラーの先端をテーパ状とすることで、カラーの先端を薄く鋭くすることで加工対象物に対する切削性を向上させることができる。
【0015】
第5発明のドリルは、第1~第3発明のドリルにおいて、
前記カラーの先端部がノコギリ状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
第5発明のドリルによれば、カラーの先端をノコギリ状とすることで、カラー先端に切削性を付与することができ、加工対象物に対する切削性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態のドリル(テーパを組み合わせた状態)の正面図および先端側から見た図。
図2図1のドリルのみを示した正面図および先端側から見た図。
図3図1のテーパのみを示した正面図および先端側から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態のドリルは、図1に示すように、ドリル1と、カラー2とを備える。
【0019】
ドリル1は、図2に示すように、先端は平錐形状の平錐部を有するドリルであり、平錐形状より後方は、ネジレ角 15°の溝(ドリル溝)が形成されたドリル部となっている。
【0020】
平錐部は、図3に示すカラー2で覆われる。カラー2の先端は鋭角な角度で成形されている。
【0021】
本実施形態のドリルは、先端より5mmの範囲で切り刃部がカラー(平錐部に外挿される円筒形状のカラー)で覆われており、一般的なドリルの切屑の排出部としての溝を持たないので、特殊ドリルが斜め方向から治具の穴(貫通孔)に挿入されてもドリルはロックされる事はない。
【0022】
本実施形態のドリルは、カラー2が治具の穴径より-0.05~-0.1mm程度小さく製作されており、斜めから挿入された特殊ドリルは治具の穴(貫通孔)に倣い、想定された正しい位置に矯正されていくので、速やかに正しい位置に穿孔ができる。
【0023】
また、カラーの後端側の外径はドリル部の直径と同一となっており、カラーとドリル部とは外径が連続するようになっている。
【0024】
そして、切屑の排出は平錐形状の刃先とカラーの隙間より排出され、カラーを通過した後は、溝部より排出される。
【0025】
このように、本実施形態のドリルは、ドリルを挿入する加工対象物手前の治具等の貫通孔との干渉を回避することができる。
【0026】
また、本実施形態では、カラー2に先端側に縮径したテーパを設けたが、テーパは省略しても、カラー2により、ドリル部に対して縮径した平錐部がドリルを挿入する加工対象物手前の治具等の貫通孔との干渉を回避することができる。
【0027】
また、テーパを設ける場合には、カラー2の軸方向に全体的に形成してもよい、先端側のみに部分的に形成してもよい。さらに、カラーの先端をノコギリ状として、カラー先端に切削性を付与してもよい。
【0028】
また、本実施形態における平錘部の形状はこれに限定されるものではなく、錘形の錘部であればよい。
【0029】
また、本実施形態において、カラーの後端側の外径が前記錐部後端の直径と同一としたが、これに限定されるものではなく該直径より若干大きくてもよい。
【0030】
また、本実施形態では、ドリル1とカラー2とを別体として構成したが、これに限定されるものではなく、ドリル1とカラー2とを一体として構成してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…ドリル、2…カラー。
図1
図2
図3