(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169842
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】入力補助装置
(51)【国際特許分類】
G05G 1/10 20060101AFI20221102BHJP
G05G 1/54 20080401ALI20221102BHJP
B62D 1/04 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G05G1/10 A
G05G1/54
B62D1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075515
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】野村 圭司
(72)【発明者】
【氏名】片桐 寿治
(72)【発明者】
【氏名】妻鹿 晋
(72)【発明者】
【氏名】野津 眞貴
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 敏仁
(72)【発明者】
【氏名】野畑 直樹
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 仁紀
【テーマコード(参考)】
3D030
3J070
【Fターム(参考)】
3D030CA03
3D030DA25
3D030DB13
3J070AA13
3J070AA26
3J070BA34
3J070BA41
3J070BA90
3J070CA12
3J070CB11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】操作の自由度を向上させる。
【解決手段】操舵装置に付加される入力補助装置20であって、前記操舵装置は、第1の軸に沿って回転可能な軸部と、一端が前記軸部に接続される支持部120と、前記支持部の他端側に配置され、前記第1の軸とは異なる第2の軸A2に沿って回転可能な把持部130と、前記支持部に配置される入力部140a,bと、を備え、前記入力補助装置は、前記把持部の少なくとも一部を被覆し、前記把持部上において、前記第2の軸とは異なる第3の軸A3に沿って回転可能に設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵装置に付加される入力補助装置であって、
前記操舵装置は、
第1の軸に沿って回転可能な軸部と、
一端が前記軸部に接続される支持部と、
前記支持部の他端側に配置され、前記第1の軸とは異なる第2の軸に沿って回転可能な把持部と、
前記支持部に配置される入力部と、
を備え、
前記入力補助装置は、
前記把持部の少なくとも一部を被覆し、前記把持部上において、前記第2の軸とは異なる第3の軸に沿って回転可能に設けられる、
入力補助装置。
【請求項2】
前記入力補助装置は、前記把持部上において、少なくとも前記把持部および前記入力補助装置を把持するユーザの側から前記ユーザの反対側に傾く方向に回転可能に設けられる、
請求項1に記載の入力補助装置。
【請求項3】
前記入力補助装置は、前記第2の軸に沿った前記把持部の回転に伴い、前記ユーザの反対側に傾く方向に回転する、
請求項2に記載の入力補助装置。
【請求項4】
前記入力補助装置および前記把持部は、球状に形成される、
請求項1から請求項3までのうちいずれか一項に記載の入力補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザからの入力を受け付ける多様な入力装置が開発されている。例えば、車両の操舵角を制御する操舵装置に関しては、下記特許文献1において、環状のハンドルに代わる、一対のグリップを有する操舵装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示された操舵装置では、グリップを握りこんで操舵する以外の操作を手で行うことが困難な状況が生じ得る。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、操作の自由度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、操舵装置に付加される入力補助装置であって、前記操舵装置は、第1の軸に沿って回転可能な軸部と、一端が前記軸部に接続される支持部と、前記支持部の他端側に配置され、前記第1の軸とは異なる第2の軸に沿って回転可能な把持部と、前記支持部に配置される入力部と、を備え、前記入力補助装置は、前記把持部の少なくとも一部を被覆し、前記把持部上において、前記第2の軸とは異なる第3の軸に沿って回転可能に設けられる、入力補助装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように本発明によれば、操作の自由度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る操舵装置10の概略的な構成の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示す操舵装置10を第1の軸A1に沿って反時計回りに回転させた状態を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る入力補助装置20が付加されない操舵装置10において、把持部130bが軸部110の上方に位置する状況を示す図である。
【
図4】同実施形態に係る入力補助装置20の構成例および動作例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素を、必要に応じて把持部130a及び130bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、把持部130a及び130bを特に区別する必要が無い場合には、単に把持部130と称する。
【0011】
<1.実施形態>
<<1.1.操舵装置10の構成例>>
まず、本発明の一実施形態に係る入力補助装置が付加される操舵装置について述べる。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る操舵装置10の概略的な構成の一例を示す図である。
【0013】
図1の上段には、基準状態における操舵装置10の正面図が示される。
図1の下段には、基準状態における操舵装置10の下面図が示される。
【0014】
なお、上記の基準状態とは、操舵装置10を第1の軸A1に沿って回転させていない状態である。
【0015】
図2は、
図1に示す操舵装置10を第1の軸A1に沿って反時計回りに回転させた状態を示す図である。
【0016】
図1に示すように、操舵装置10は、軸部110、支持部120(120a及び120b)、及び把持部130(130a及び130b)を含む。
【0017】
ユーザは、把持部130を把持しながら、第1の軸A1を回転軸として操舵装置10を時計回り(右回り)又は反時計回り(左回り)に回転させることで、操作対象を操作する。操作対象とは、ユーザにより操作される対象である。
【0018】
軸部110の回転量に基づき、操作対象の第1の動作設定が変更される。ここでの回転量とは、基準状態における軸部110の回転角と操作時の軸部110の回転角との差である。
【0019】
第1の動作設定は、操作対象の移動方向の設定であってもよい。例えば、操作対象の移動方向の変化量は、軸部110の回転量に比例する。
【0020】
一例として、操作対象は車両であってもよい。この場合、第1の動作設定は車両の進行方向(例えば、操舵角)である。車両が進行中、ユーザが操舵装置10を時計回りに回転させると車両は右に旋回し、ユーザが操舵装置10を半時計回りに回転させると車両は左に旋回する。
【0021】
操舵装置10は、ドライバー席の前方(即ち、進行方向)に設置される。なお、以下においては、操舵装置10を基準に、ドライバー席方向を手前とし、進行方向を奥と表現する場合がある。
【0022】
軸部110は、第1の軸A1に沿って回転可能に設けられる。例えば、軸部110は、ステアリングシャフトに連結される。ステアリングシャフトとは、操舵装置10の回転を車輪に伝達するための部材である。第1の軸A1は、ステアリングシャフトの回転軸である。
【0023】
上記のような構成により、軸部110の回転を車輪に伝達して、車両の進行方向を変更することが可能となる。
【0024】
支持部120は、一端が軸部110に接続される。支持部120は、長尺状の部材であってもよい。その場合、支持部120は、長手方向の一端が軸部110に接続される。
【0025】
図1に示す一例では、支持部120は、円柱状の部材であり、高さ方向の一端が軸部110に接続される。もちろん、支持部120の形状は円柱に限定されず、四角柱等の任意の形状をとり得る。
【0026】
図1の上段に示すように、支持部120a及び支持部120bは、第1の軸A1に直交する方向に、互いに対向するように配置される。また、
図1の下段に示すように、支持部120a及び支持部120bは、手前側に傾斜していてもよい。
【0027】
把持部130は、ユーザにより把持される部材である。把持部130aはユーザの右手に把持され、把持部130bはユーザの左手に把持される。
【0028】
例えば、ユーザは、
図1に示す基準状態において、親指を把持部130の上に載せて、その他の指と手のひらとで把持部130の奥側から側方を経由して手前側までを包み込むようにして、把持部130を把持する。
【0029】
把持部130は、支持部120のうち、軸部110に接続された一端と逆側の他端側に配置される。
【0030】
図1に示す一例では、把持部130は、円柱状に構成された支持部120の高さ方向のうち、軸部110に接続されていない方の端部側に配置される。
【0031】
また、本実施形態に係る把持部130は、第1の軸A1とは異なる第2の軸A2(第2の軸A2a又は第2の軸A2b)に沿って回転可能に設けられる。
【0032】
例えば、把持部130aは、第2の軸A2aに沿って時計回り及び反時計回りに回転可能であってもよい。同様に、把持部130bは、第2の軸A2bに沿って時計回り又は反時計回りに回転可能であってもよい。
【0033】
上記のような構成によれば、操舵装置10を第1の軸A1に沿って回転させる際に、把持部130は、把持部130を把持する手の動きに連動して回転することができる。従って、操舵装置10を第1の軸A1に沿って回転させる際に、ユーザの手首が不自然に捻られることを防止して、操作を楽にすることが可能となる。
【0034】
詳しくは、
図2に示すように、操舵装置10を第1の軸A1に沿って反時計回りに回転させた状態においては、把持部130a及び把持部130bが反時計回りに回転することが想定される。
【0035】
この際、ユーザは、右手の親指が把持部130aの手前側に位置し、その他の指が把持部130aの左側に位置し、手首が把持部130aの右側に位置した状態で、把持部130aを右手で把持することができる。
【0036】
また、ユーザは、左手の親指が把持部130bの奥側に位置し、その他の指が把持部130bの右側に位置し、手首が把持部130aの左側に位置した状態で、把持部130bを左手で把持することができる。
【0037】
このように、ユーザは、把持部130を楽に把持し続けながら、操舵装置10を回転させることができる。
【0038】
なお、
図1に示すように、把持部130は、球状に形成されてもよい。
【0039】
この場合、ユーザは把持部130を把持しやすくなる上に、握り替えも容易となる。これにより、後述する入力部140の操作も容易となる。
【0040】
もちろん、把持部130の形状は球状に限定されず、立方体、直方体又は楕円体等の任意の形状をとり得る。
【0041】
第2の軸A2は、支持部120の長手方向に平行していてもよい。他にも、第2の軸A2は、第1の軸A1と直交していてもよい。いずれにしろ、第1の軸A1と第2の軸A2との角度を直角に近付けることで、操舵装置10を第1の軸A1に沿って回転させた際の手首の不自然なねじれを防止することが可能となる。
【0042】
<<1.2.入力補助装置20の構成例>>
次に、本実施形態に係る入力補助装置20の構成例について述べる。
【0043】
本実施形態に係る入力補助装置20は、操舵装置10に付加され、操舵装置に備えられる入力部140に対するユーザの入力操作を補助する装置である。
【0044】
本実施形態に係る入力補助装置20が奏する効果について説明するために、まず、操舵装置10に本実施形態に係る入力補助装置20が付加されない場合に生じる入力操作の困難性について述べる。
【0045】
以下においては、操舵装置10が、支持部120に配置される入力部140を備えるものとする。なお、入力部140は、ユーザによる各種の入力操作を受け付ける構成である。入力部140は、例えば、各種のボタン、レバー、スライダースイッチなどであってもよい。
【0046】
図3は、本実施形態に係る入力補助装置20が付加されない操舵装置10において、把持部130bが軸部110の上方に位置する状況を示す図である。
【0047】
上述したように、本実施形態に係る支持部120および把持部130は、把持部130を把持するユーザの手の動きに連動して第1の軸A1に沿って回転する。
【0048】
このため、例えば、
図3に示すように、ユーザが右手により把持する把持部130aが軸部110の上方に位置する状況や、反対に、ユーザが左手により把持する把持部130bが軸部110の上方に位置する状況が生じ得る。
【0049】
また、把持部130aおよび把持部130bはユーザの手の動きに連動して第1の軸に沿って回転するとともに、第2の軸A2に沿って回転する。
【0050】
例えば、
図3に示す状況においては、把持部130aは、上述の基準状態と比較して、反時計回りに回転している。
【0051】
上記のように、把持部130aが第2の軸A2に沿って回転することで、ユーザの手首が不自然に捻られることを防止して、操作を楽にすることが可能となる。
【0052】
一方、
図3に示すように、把持部130aが第2の軸A2に沿って反時計回りに回転した場合、ユーザの右手は、手首の関節がおよそ90°屈曲した状態で固定される。
【0053】
これは、軸部110の下方に位置する把持部130bを把持する左手についても同様である。
【0054】
上記のように関節がおよそ90°屈曲した状態では、ユーザの親指をはじめとする手指の可動域が制限され、手指が非常に動かしづらい状況となる。
【0055】
このため、ユーザは、例えば、把持部130aを把持する右手の状態を変化させずに親指を伸ばして入力部140に対して入力操作を行うことなどが困難となる。
【0056】
本発明の一実施形態に係る入力補助装置20は上記の点に着目しては発想されたものであり、入力部140に対する入力操作の自由度を向上させるものである。
【0057】
以下、
図4を用いて、本実施形態に係る入力補助装置20の構成例および動作例について詳細に説明する。
【0058】
なお、
図4および以下の記載においては、支持部120aと支持部120b、把持部130aと把持部130bをそれぞれ区別する必要がないことから、末尾のアルファベットを省略する。
【0059】
図4においては、図中の左側が把持部130および入力補助装置20を把持するユーザが位置する側とし、図中の右側が操舵装置10を基準に当該ユーザと反対の側とする。
【0060】
図4には、把持部130の非回転時および回転時における入力補助装置20の断面図が示される。
【0061】
図示するように、本実施形態に係る入力補助装置20は、把持部130の少なくとも一部を被覆するように設けられる。
【0062】
例えば、把持部130が球状に形成される場合、入力補助装置20も同様に球状に形成されてもよい。
【0063】
入力補助装置20が把持部130と同様の形状を有することにより、操舵装置10に入力補助装置20が付加された場合であっても、ユーザに違和感を与えることなく、かつユーザによる操作を阻害しない効果が得られる。
【0064】
また、本実施形態に係る入力補助装置20は、把持部130上において、第2の軸A2とは異なる第3の軸A3に沿って回転可能に設けられることを特徴の一つとする。
【0065】
本実施形態に係る第3の軸A3は、第2の軸A2に直交する軸であってもよい。
【0066】
より詳細には、本実施形態に係る入力補助装置20は、把持部130上において、少なくとも把持部130および入力補助装置20を把持するユーザの側から前記ユーザの反対側に傾く方向に回転可能に設けられてもよい。
【0067】
上記のような構成によれば、
図3に示すように、操舵操作に伴いユーザの手がおよそ90°屈曲した状態となった場合であっても、ユーザが入力補助装置20の把持状況を変えずに自身とは反対の方向に手を傾けることが可能となる。
【0068】
上記のような手の傾きによれば、掌がユーザの方向を向くことにより手の屈曲状況が大きく改善され、手指の可動域が大きく広がることとなる。
【0069】
これによれば、ユーザは、例えば、自由度が増した親指で入力部140aに対する入力操作を行ったり、小指などを用いて入力部140bに対する入力操作を容易に行ったりすることができる。
【0070】
なお、本実施形態に係る入力補助装置20は、上記のようにユーザにより意図された操作によってユーザの反対側に傾く方向に回転してもよい一方、
図4に示すように、第2の軸A2に沿った把持部130の回転に伴って自動でユーザの反対側に傾く方向に回転してもよい。
【0071】
この際、入力補助装置20は、例えば、第2の軸A2に沿った把持部130の回転量が増加するほど、ユーザの反対側に傾く方向に大きく回転してもよい。
【0072】
上記のような入力補助装置20の動作によれば、ユーザの手を常に入力部140に対する入力操作がしやすい状態に保つことができ、操作性を大きく向上させることが可能となる。
【0073】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0074】
例えば、上記実施形態では、操作対象が車両である例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、操作対象は、飛行機、船舶、又はロボットアーム等であってもよい。また、操作対象は、物理的な物体に限定されない。例えば、操作対象は、仮想空間におけるキャラクター等の仮想的な物体であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
10:操舵装置、110:軸部、120:支持部、130:把持部、140:入力部、20:入力補助装置