(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169848
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】車載用制御装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
B60R16/02 645A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075524
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝崎 将実
(72)【発明者】
【氏名】阿部 武徳
(57)【要約】
【課題】操舵輪に掛かる設置荷重による影響を加味して電力制限を実行する。
【解決手段】車載用制御装置1は、車載システム100に用いられる。車載システム100は、電源部10と、電源部10に基づく電力が供給される電動パワーステアリング装置11及び制限対象負荷12と、を備える。車載用制御装置1は、ターンシグナルスイッチ又はステアリングが操作された場合に、車両の加速度と車速に基づいて制限対象負荷12への電力供給を制限する制限制御を実行する制御部30を有する。制御部30は、制限制御において、加速度が大きいほど制限対象負荷12に対する電力の制限量を小さくする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部と、前記電源部に基づく電力が供給される電動パワーステアリング装置及び制限対象負荷と、を備える車載システムに用いられる車載用制御装置であって、
ターンシグナルスイッチ又はステアリングが操作された場合に、車両の加速度と車速に基づいて前記制限対象負荷への電力供給を制限する制限制御を実行する制御部を有し、
前記制御部は、前記制限制御において、前記加速度が大きいほど前記制限対象負荷に対する前記電力の制限量を小さくする車載用制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記制限制御において、前記加速度と複数の閾値とに基づいて、前記電力の制限量を段階的に切り替える請求項1に記載の車載用制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記制限制御において、減速時の前記電力の制限量を加速時の前記電力の制限量よりも大きくする請求項1又は請求項2に記載の車載用制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ターンシグナルスイッチが操作された場合に前記制限制御を開始した後、前記ステアリングが操作されるまでの間、前記加速度に基づいて前記電力の制限量を切り替える処理を繰り返し実行する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車載用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動パワーステアリングが駆動される際に、規制対象の負荷に対して車両の速度に応じた電力規制を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動パワーステアリングの操作に必要な電力は、操舵輪に掛かる設置荷重にも影響される。しかし、特許文献1の技術では、操舵輪に掛かる設置荷重による影響が考慮されていない。
【0005】
本開示は、操舵輪に掛かる設置荷重による影響を加味して電力制限を実行しうる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載用制御装置は、
電源部と、前記電源部に基づく電力が供給される電動パワーステアリング装置及び制限対象負荷と、を備える車載システムに用いられる車載用制御装置であって、
ターンシグナルスイッチ又はステアリングが操作された場合に、車両の加速度と車速に基づいて前記制限対象負荷への電力供給を制限する制限制御を実行する制御部を有し、
前記制御部は、前記制限制御において、前記加速度が大きいほど前記制限対象負荷に対する前記電力の制限量を小さくする。
【0007】
本開示によれば、操舵輪に掛かる設置荷重による影響を加味して電力制限を実行しうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の車載システムの構成を概略的に示す回路図である。
【
図2】
図2は、通常制御、第1制限制御、第2制限制御及び第3制限制御に対応する優先度テーブルを概念的に示す説明図である。
【
図3】
図3は、通常制御、第4制限制御、第5制限制御及び第6制限制御に対応する優先度テーブルを概念的に示す説明図である。
【
図4】
図4は、通常制御、第7制限制御、第8制限制御及び第9制限制御に対応する優先度テーブルを概念的に示す説明図である。
【
図5】
図5は、車載用制御装置が実行する制御の流れを示す前半部分のフローチャートである。
【
図6】
図6は、車載用制御装置が実行する制御の流れを示す後半部分のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。
【0010】
〔1〕電源部と、前記電源部に基づく電力が供給される電動パワーステアリング装置及び制限対象負荷と、を備える車載システムに用いられる車載用制御装置であって、ターンシグナルスイッチ又はステアリングが操作された場合に、車両の加速度と車速に基づいて前記制限対象負荷への電力供給を制限する制限制御を実行する制御部を有し、前記制御部は、前記制限制御において、前記加速度が大きいほど前記制限対象負荷に対する前記電力の制限量を小さくする車載用制御装置。
【0011】
上記車載用制御装置によれば、ターンシグナルスイッチ又はステアリングが操作された場合に、車両の加速度と車速に基づいて制限対象負荷への電力供給を制限する制限制御を実行することができる。しかも、制限制御において、加速度が大きいほど制限対象負荷に対する電力の制限量を小さくすることができる。車両の加速時には、操舵輪に掛かる設置荷重が減るため、電動パワーステアリング装置の駆動に必要な電力が小さくなる。つまり、この車載用制御装置によれば、操舵輪に掛かる設置荷重が小さくなるほど電力の制限量を小さくすることができる。したがって、この車載用制御装置によれば、操舵輪に掛かる設置荷重による影響を加味して電力制限を実行しうる。
【0012】
〔2〕前記制御部は、前記制限制御において、前記加速度と複数の閾値とに基づいて、前記電力の制限量を段階的に切り替える〔1〕に記載の車載用制御装置。
【0013】
この構成によれば、操舵輪に掛かる設置荷重による影響をより正確に反映させた電力の制限量を設定することができる。
【0014】
〔3〕前記制御部は、前記制限制御において、減速時の前記電力の制限量を加速時の前記電力の制限量よりも大きくする〔1〕又は〔2〕に記載の車載用制御装置。
【0015】
この車載用制御装置によれば、加速時及び減速時のそれぞれにおいて、操舵輪に掛かる設置荷重による影響を加味した電力の制限量を好適に設定しうる。
【0016】
〔4〕前記制御部は、前記ターンシグナルスイッチが操作された場合に前記制限制御を開始した後、前記ステアリングが操作されるまでの間、前記加速度に基づいて前記電力の制限量を切り替える処理を繰り返し実行する〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の車載用制御装置。
【0017】
この構成によれば、ターンシグナルスイッチが操作された場合に制限制御を開始した後、ステアリングが操作されるまでの間、加速度の変化に応じて電力の制限量を変更することができる。
【0018】
<第1実施形態>
図1で示す車載システム100は、車両に搭載されるシステムである。車載システム100は、電源部10と、電動パワーステアリング装置11と、制限対象負荷12と、を備える。
【0019】
電源部10は、例えば鉛バッテリなどのバッテリである。電源部10に基づく電力は、図示しない電力路を介して電動パワーステアリング装置11及び制限対象負荷12のそれぞれに供給される。
【0020】
制限対象負荷12は、電動パワーステアリング装置11が駆動される際に電力供給が制限される対象の負荷である。制限対象負荷12は、複数設けられている。制限対象負荷12は、予め優先度が設定されており、優先度が高い負荷から優先的に電力供給が制限される。制限対象負荷12は、優先度が高い順に、シートヒータ12A、ステアリングヒータ12B、リアデフォッガ12C、ミラーヒータ12D、デアイサ12E、空調装置12F、操作パネル12G、及びパワーウインドウ12Hを有する。シートヒータ12Aは、運転席に対応する運転席側シートヒータと、助手席に対応する助手席側シートヒータとを有する。助手席側シートヒータは、運転席側シートヒータよりも優先度が高い。なお、本実施形態では、運転席側シートヒータと助手席側シートヒータへの電力供給が同じように制限される例を示すが、異なるように制限されるようにしてもよい。
【0021】
制限対象負荷12は、電力の消費量の調整が可能な負荷と、調整ができない負荷とに分類される。例えばシートヒータ12A、ステアリングヒータ12B、空調装置12F、及び操作パネル12Gは、電力の消費量の調整が可能な負荷に分類される。例えばリアデフォッガ12C、ミラーヒータ12D、デアイサ12E、及びパワーウインドウ12Hは、電力の消費量の調整ができない負荷に分類される。
【0022】
シートヒータ12A及びステアリングヒータ12Bは、電力供給量が調整されることで、加熱温度が段階的に調整される。シートヒータ12A及びステアリングヒータ12Bは、ON状態のとき、例えば「強」「中」「弱」のいずれかの動作レベルに設定される。運転席側シートヒータと助手席側シートヒータは、動作レベルを別々に設定可能である。
空調装置12Fは、電力供給量が調整されることで、風量が調整される。空調装置12Fは、ON状態のとき、例えば「強」「中」「弱」のいずれかの動作レベルに設定される。
操作パネル12Gは、電力供給量が調整されることで、輝度が段階的に調整される。操作パネル12Gは、ON状態のとき、例えば「輝度1」「輝度2」「輝度3」のいずれかの動作レベルに設定される。
【0023】
車載システム100は、車速センサ20と、加速度センサ21と、操舵角センサ22と、を備える。車速センサ20は、車両の速度を検出する。加速度センサ21は、車両の加速度を検出する。操舵角センサ22は、図示しないステアリングの操舵角を検出する。
【0024】
車載システム100は、車載用制御装置1を備える。車載用制御装置1は、車載システム100に用いられる装置である。車載用制御装置1は、制御部30を有する。制御部30は、例えばECUであり、CPU、ROM、RAMなどを有する。制御部30には、車速センサ20、加速度センサ21及び操舵角センサ22の検出値を示す信号が入力される。制御部30は、この信号に基づいて、車両の速度、車両の加速度、及びステアリングの操舵角を特定する。
【0025】
制御部30は、稼働状況テーブル31と、必要電力テーブル32と、優先度テーブル33と、バッテリ情報テーブル34と、を記憶している。稼働状況テーブル31は、制限対象負荷12の各々の動作の有無、動作中の制限対象負荷12に供給されている電力量などの情報を含む。「動作中の制限対象負荷12に供給されている電力量などの情報」には、動作中の制限対象負荷12の動作レベルを示す情報が含まれる。稼働状況テーブル31の内容は、制限対象負荷12側から出力される情報に基づいて随時更新される。必要電力テーブル32は、制限対象負荷12の各々を稼働させるのに必要な電力量の情報を含む。「制限対象負荷12の各々を稼働させるのに必要な電力量の情報」には、「制限対象負荷12の各々を稼働させるのに必要な動作レベルに応じた電力量の情報」が含まれる。優先度テーブル33は、制限対象負荷12の優先度を示す情報を含む。バッテリ情報テーブル34は、電源部10を構成するバッテリのSOC(充電率:State of charge)を示す情報と、電源部10を構成するバッテリのSOP(充放電可能電力:State of power)を示す情報と、電源部10を構成するバッテリの温度を示す情報と、を含む。バッテリ情報テーブル34の情報は、電源部10側から出力される情報に基づいて、随時更新される。
【0026】
制御部30は、図示しないターンシグナルスイッチ又はステアリングが操作された場合に、車両の加速度と車速に基づいて制限対象負荷12への電力供給を制限する制限制御を実行する。制御部30には、ターンシグナルスイッチのON/OFF状態を示す信号が入力される。制御部30は、この信号に基づいてターンシグナルスイッチが操作された状態であるか否かを判定する。制御部30は、例えばステアリングの角速度に基づいて、ステアリングが操作された状態であるか否かを判定する。より具体的には、制御部30は、ステアリングの角速度が閾値角速度以上である場合にステアリングが操作された状態であると判定し、閾値角速度よりも小さい場合にステアリングが操作された状態でないと判定する。制御部30は、制限対象負荷12への電力供給を制限する方法として、制限対象負荷12と電源部10との間に設けられたスイッチを制御することで制限対象負荷12への電力供給量を調整するようにしてもよいし、制限対象負荷12が有する制御装置に指示することで電力供給量を制限させるようにしてもよい。制御部30は、制限制御を実行する際、電動パワーステアリング装置11の駆動に電力を消費しても、電源部10を構成するバッテリの供給能力を超えないようにする。つまり、制御部30は、SOPが100%を超えないようにする。
【0027】
制御部30は、制限制御において、加速度が大きいほど制限対象負荷12に対する電力の制限量を小さくする。制御部30は、制限制御において、加速度と複数の閾値とに基づいて、電力の制限量を段階的に切り替える。制御部30は、制限制御において、減速時の電力の制限量を加速時の電力の制限量よりも大きくする。複数の閾値は、閾値加速度と、閾値減速度と、を含む。閾値加速度は、0よりも大きい値である。閾値減速度は、0よりも小さい値である。
【0028】
制限制御は、通常制御よりも制限対象負荷12への電力供給を制限する制御である。通常制御は、ターンシグナルスイッチ及びステアリングのいずれも操作されていない場合に実行される制御である。制限制御は、第1制限制御と、第2制限制御と、第3制限制御と、第4制限制御と、第5制限制御と、第6制限制御と、第7制限制御と、第8制限制御と、第9制限制御と、を含む。
【0029】
第1制限制御、第2制限制御及び第3制限制御は、ターンシグナルスイッチが操作された場合に実行される。より具体的には、第1制限制御、第2制限制御及び第3制限制御は、ターンシグナルスイッチが操作された後で、且つステアリングが操作される前に実行される。第1制限制御は、加速度が閾値加速度より小さく且つ閾値減速度より大きい場合に実行される。第2制限制御は、加速度が閾値加速度以上である場合に実行される。第3制限制御は、加速度が閾値減速度以下である場合に実行される。
【0030】
第1制限制御では、通常制御よりも制限対象負荷12への電力供給が制限される。例えば第1制限制御では、
図2に例示するように、シートヒータ12Aの動作レベルを「中」に設定し、ステアリングヒータ12Bの動作レベルを「弱」に設定することで、通常制御よりも制限対象負荷12への電力供給を制限する。第2制限制御は、第1制限制御と比較して、電力の制限量が小さい。例えば第2制限制御では、
図2に例示するように、ステアリングヒータ12Bの動作レベルを「強」のまま、シートヒータ12Aの動作レベルを「中」に設定することで、第1制限制御よりも電力の制限量が小さくなる。第3制限制御は、第1制限制御と比較して、電力の制限量が大きい。例えば第3制限制御では、シートヒータ12AをOFF状態にし、ステアリングヒータ12Bの動作レベルを「弱」に設定することで、第1制限制御よりも電力の制限量が大きくなる。
【0031】
第4制限制御、第5制限制御、第6制限制御、第7制限制御、第8制限制御、及び第9制限制御は、ステアリング操作が行われた場合に実行される。第4制限制御、第5制限制御、及び第6制限制御は、ステアリングが操作された場合であって、車速が第2閾値車速以下である場合に実行される。第4制限制御は、加速度が閾値加速度より小さく且つ閾値減速度より大きい場合に実行される。第5制限制御は、加速度が閾値加速度以上である場合に実行される。第6制限制御は、加速度が閾値減速度以下である場合に実行される。第7制限制御、第8制限制御、及び第9制限制御は、ステアリングが操作された場合であって、車速が第2閾値車速よりも大きい場合に実行される。第7制限制御は、加速度が閾値加速度より小さく且つ閾値減速度より大きい場合に実行される。第8制限制御は、加速度が閾値加速度以上である場合に実行される。第9制限制御は、加速度が閾値減速度以下である場合に実行される。
【0032】
第7制限制御は、第1制限制御と比較して、電力の制限量が大きい。例えば第7制限制御では、
図4に例示するように、シートヒータ12A、ステアリングヒータ12B及びリアデフォッガ12CをOFF状態にすることで、第1制限制御よりも電力の制限量が大きくなる。第8制限制御は、第7制限制御と比較して、電力の制限量が小さい。例えば第8制限制御では、
図4に例示するように、ステアリングヒータ12B及びリアデフォッガ12CをON状態にしたまま、シートヒータ12AをOFF状態にすることで、第7制限制御よりも電力の制限量が小さくなる。なお、
図4に示す例では、ステアリングヒータ12Bの動作レベルは「弱」に設定される。第9制限制御は、第7制限制御と比較して、電力の制限量が大きい。例えば第9制限制御は、
図4に例示するように、シートヒータ12A、ステアリングヒータ12B、リアデフォッガ12C及びミラーヒータ12DをOFF状態にすることで、第7制限制御よりも電力の制限量が大きくなる。
【0033】
第4制限制御は、第7制限制御と比較して、電力の制限量が大きい。例えば第4制限制御では、
図3に例示するように、シートヒータ12A、ステアリングヒータ12B、リアデフォッガ12C及びミラーヒータ12DをOFF状態にすることで、第7制限制御よりも電力の制限量が大きくなる。第5制限制御は、第4制限制御と比較して、電力の制限量が小さい。例えば第5制限制御では、
図3に例示するように、リアデフォッガ12C及びミラーヒータ12DをON状態にしたまま、シートヒータ12A及びステアリングヒータ12BをOFF状態にすることで、第4制限制御よりも電力の制限量が小さくなる。第6制限制御は、第4制限制御と比較して、電力の制限量が大きい。例えば第6制限制御では、
図3に例示するように、シートヒータ12A、ステアリングヒータ12B、リアデフォッガ12C、ミラーヒータ12D及びデアイサ12EをOFF状態にし、空調装置12Fの動作レベルを「中」に設定することで、第4制限制御よりも電力の制限量が大きくなる。
【0034】
制御部30は、ターンシグナルスイッチが操作された場合に制限制御を開始した後、ステアリングが操作されるまでの間、加速度に基づいて電力の制限量を切り替える処理を繰り返し実行する。また、制御部30は、ステアリングが操作された後(より具体的には、ステアリングが操作され且つステアリング操舵角が閾値角度以上になった後)、ターンシグナルスイッチがOFF状態となるまでの間、加速度に基づいて電力の制限量を切り替える処理を繰り返し実行する。
【0035】
制御部30は、開始条件が成立した場合に、
図5及び
図6に示す制御を実行する。開始条件は、例えば、車両の始動スイッチがON状態に切り替わったことである。制御部30は、例えば始動スイッチのON/OFF状態を示す信号が外部ECUから入力される構成とされ、この信号に基づいて始動スイッチがON状態に切り替わったことを判定する。制御部30は、
図5及び
図6に示す制御が終了すると、直ぐに再開させる。つまり、
図5及び
図6に示す制御は、開始条件が成立した後、繰り返し実行される。また、制御部30は、
図5及び
図6に示す制御を終了する際、制限制御を実行中であれば実行中の制限制御を終了して、通常制御に切り替える。
【0036】
制御部30は、開始条件が成立した場合に、ステップS10にて、車速が第1閾値車速よりも大きいか否かを判定する。制御部30は、車速が第1閾値車速よりも大きくないと判定した場合(ステップS10にてNoの場合)、ステップS10に戻る。つまり、制御部30は、車速が第1閾値車速よりも大きくなるまでステップS10を繰り返し実行する。これにより、駐車に伴うターンシグナルスイッチ又はステアリングの操作に応じてステップS11以降にて制限制御が実行されることを抑制することができる。
【0037】
制御部30は、車速が第1閾値車速よりも大きいと判定した場合(ステップS10にてYesの場合)、ステップS11にて、ターンシグナルスイッチが操作された状態であるか否かを判定する。ターンシグナルスイッチが操作された状態とは、ターンシグナルスイッチのON状態のことである。制御部30は、ターンシグナルスイッチが操作された状態でないと判定した場合(ステップS11にてNoの場合)、
図5及び
図6の制御を終了する。
【0038】
制御部30は、ターンシグナルスイッチが操作された状態であると判定した場合(ステップS11にてYesの場合)、ステップS12にて、車両の加速度が閾値加速度以上であるか否かを判定する。制御部30は、車両の加速度が閾値加速度以上であると判定した場合(ステップS12にてYesの場合)、ステップS13にて、第2制限制御を開始する。制御部30は、車両の加速度が閾値加速度以上でないと判定した場合(ステップS12にてNoの場合)、ステップS14にて、車両の加速度が閾値減速度よりも大きいか否かを判定する。制御部30は、車両の加速度が閾値減速度よりも大きいと判定した場合(ステップS14にてYesの場合)、ステップS15にて第1制限制御を開始する。制御部30は、車両の加速度が閾値減速度よりも大きくないと判定した場合(ステップS14にてNoの場合)、ステップS16にて第3制限制御を開始する。
【0039】
制御部30は、第1制限制御、第2制限制御又は第3制限制御を開始した後、ステップS17にて、ステアリングが操作された状態であるか否かを判定する。制御部30は、ステアリングが操作された状態でないと判定した場合(ステップS17にてNoの場合)、ステップS11に戻る。つまり、制御部30は、ターンシグナルスイッチが操作された状態になった後、ステアリングが操作されるまでの間、車両の加速度を継続して監視し、加速度の変化に応じて制限制御を変更する処理を繰り返し実行する。
【0040】
制御部30は、ステアリングが操作された状態であると判定した場合(ステップS17にてYesの場合)、ステップS18にて、ステアリング操舵角が閾値角度以上であるか否かを判定する。制御部30は、ステアリング操舵角が閾値角度以上でないと判定した場合(ステップS18にてNoの場合)、ステップS11に戻る。つまり、制御部30は、ターンシグナルスイッチが操作された状態になった後、ステアリング操舵角が閾値角度以上となるまでの間、車両の加速度を継続して監視し、加速度の変化に応じて制限制御を変更する処理を繰り返し実行する
【0041】
制御部30は、ステアリング操舵角が閾値角度以上であると判定した場合(ステップS18にてYesの場合)、ステップS20にて、車速が第2閾値車速以下であるか否かを判定する。車速が小さい場合には、電動パワーステアリング装置11の駆動に必要な電力が大きくなり、電力の制限量を大きくする必要があるためである。
【0042】
制御部30は、車速が第2閾値車速以下であると判定した場合(ステップS20にてYesの場合)、ステップS21にて、車両の加速度が閾値加速度以上であるか否かを判定する。制御部30は、車両の加速度が閾値加速度以上であると判定した場合(ステップS21にてYesの場合)、ステップS22にて、第5制限制御を開始する。制御部30は、車両の加速度が閾値加速度以上でないと判定した場合(ステップS21にてNoの場合)、ステップS23にて、車両の加速度が閾値減速度よりも大きいか否かを判定する。制御部30は、車両の加速度が閾値減速度よりも大きいと判定した場合(ステップS23にてYesの場合)、ステップS24にて第4制限制御を開始する。制御部30は、車両の加速度が閾値減速度よりも大きくないと判定した場合(ステップS23にてNoの場合)、ステップS25にて第6制限制御を開始する。
【0043】
制御部30は、車速が第2閾値車速以下でないと判定した場合(ステップS20にてNoの場合)、ステップS26にて、車両の加速度が閾値加速度以上であるか否かを判定する。制御部30は、車両の加速度が閾値加速度以上であると判定した場合(ステップS26にてYesの場合)、ステップS27にて、第8制限制御を開始する。制御部30は、車両の加速度が閾値加速度以上でないと判定した場合(ステップS26にてNoの場合)、ステップS28にて、車両の加速度が閾値減速度よりも大きいか否かを判定する。制御部30は、車両の加速度が閾値減速度よりも大きいと判定した場合(ステップS28にてYesの場合)、ステップS29にて第7制限制御を開始する。制御部30は、車両の加速度が閾値減速度よりも大きくないと判定した場合(ステップS28にてNoの場合)、ステップS30にて第9制限制御を開始する。
【0044】
制御部30は、第4制限制御、第5制限制御、第6制限制御、第7制限制御、第8制限制御、又は第9制限制御を開始した後、ステップS31にて、ターンシグナルスイッチが操作された状態であるか否かを判定する。制御部30は、ターンシグナルスイッチが操作された状態であると判定した場合(ステップS31にてYesの場合)、ステップS20に戻る。つまり、制御部30は、ステップS18にてステアリング操舵角が閾値角度以上であると判定した後、ターンシグナルスイッチが操作された状態でないと判定するまでの間、車速及び加速度に基づいて制限制御を変更する処理を繰り返し実行する。制御部30は、ターンシグナルスイッチが操作された状態でないと判定した場合(ステップS31にてNoの場合)、
図5及び
図6に示す制御を終了する。
【0045】
次の説明は、第1実施形態の効果に関する。
第1実施形態の車載用制御装置1によれば、ターンシグナルスイッチ又はステアリングが操作された場合に、車両の加速度と車速に基づいて制限対象負荷12への電力供給を制限する制限制御を実行することができる。しかも、制限制御において、加速度が大きいほど制限対象負荷12に対する電力の制限量を小さくすることができる。車両の加速時には、操舵輪に掛かる設置荷重が減るため、電動パワーステアリング装置11の駆動に必要な電力が小さくなる。つまり、この車載用制御装置1によれば、操舵輪に掛かる設置荷重が小さくなるほど電力の制限量を小さくすることができる。したがって、この車載用制御装置1によれば、操舵輪に掛かる設置荷重による影響を加味して電力制限を実行しうる。
【0046】
更に、制御部30は、制限制御において、加速度と複数の閾値とに基づいて、電力の制限量を段階的に切り替える。この構成によれば、操舵輪に掛かる設置荷重による影響をより正確に反映させた電力の制限量を設定することができる。
【0047】
更に、制御部30は、制限制御において、減速時の電力の制限量を加速時の電力の制限量よりも大きくする。この構成よれば、加速時及び減速時のそれぞれにおいて、操舵輪に掛かる設置荷重による影響を加味した電力の制限量を好適に設定しうる。
【0048】
更に、制御部30は、ターンシグナルスイッチが操作された場合に制限制御を開始した後、ステアリングが操作されるまでの間、加速度に基づいて電力の制限量を切り替える処理を繰り返し実行する。この構成によれば、ターンシグナルスイッチが操作された場合に制限制御を開始した後、ステアリングが操作されるまでの間、加速度の変化に応じて電力の制限量を変更することができる。
【0049】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0050】
上記実施形態では、閾値として、閾値加速度と閾値減速度の2つを設定する例を説明したが、閾値は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、閾値は、閾値加速度のみを含むものであってもよいし、閾値減速度のみを含むものであってもよい。
【0051】
上記実施形態では、ターンシグナルスイッチが操作された場合に制限制御を実行する構成であったが、ターンシグナルスイッチが操作されても制限制御を実行せず、ステアリングが操作された場合にのみ制限制御を実行する構成であってもよい。
【0052】
上記実施形態では、ターンシグナルスイッチが操作された場合に制限制御を開始し、更にステアリングが操作された場合に制限量のより大きい制限制御に変更する構成であったが、この構成に限定されない。例えば、ターンシグナルスイッチが操作された場合に制限制御を開始した後、ステアリングが操作されても同じ制限制御を継続して実行する構成であってもよい。
【0053】
上記実施形態では、制御部が、車両の加速度を、加速度センサの検出値に基づいて特定する構成としたが、別の方法で特定してもよい。例えば、制御部が、車輪速センサや車速センサの検出値に基づいて、車両の加速度を特定する構成であってもよい。
【0054】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0055】
1…車載用制御装置
10…電源部
11…電動パワーステアリング装置
12…制限対象負荷
12A…シートヒータ
12B…ステアリングヒータ
12C…リアデフォッガ
12D…ミラーヒータ
12E…デアイサ
12F…空調装置
12G…操作パネル
12H…パワーウインドウ
20…車速センサ
21…加速度センサ
22…操舵角センサ
30…制御部
31…稼働状況テーブル
32…必要電力テーブル
33…優先度テーブル
34…バッテリ情報テーブル
100…車載システム