(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169858
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 23/14 20060101AFI20221102BHJP
H01H 23/30 20060101ALI20221102BHJP
H01H 9/18 20060101ALI20221102BHJP
H01H 23/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H01H23/14
H01H23/30
H01H9/18 Z
H01H23/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075542
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱川 浩二
(72)【発明者】
【氏名】竹内 元哉
(72)【発明者】
【氏名】澤田 昌俊
【テーマコード(参考)】
5G035
5G052
【Fターム(参考)】
5G035CA04
5G035CB04
5G035DA03
5G035JB09
5G035PA02
5G052AA14
5G052AA35
5G052BB03
5G052JA08
(57)【要約】
【課題】誤操作を抑制することができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置1は、車両8に配置され、上面100に開口する凹部11を有する筐体10と、筐体10の凹部11に配置され、第1の回転軸200を回転軸として車両の前席のウインドウを開閉するための押下操作及び引上操作を受け付ける前席用操作ノブ2と、前席用操作ノブ2の後方に並んで凹部11に配置され、上面100における凹部11の縁110が作る基準面12aを基準として前席用操作ノブ2よりも高さが低く、第2の回転軸300を回転軸とした車両8の後席のウインドウを開閉するための押下操作及び引上操作を受け付ける後席用操作ノブ3と、を備えて概略構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配置され、上面に開口する凹部を有する筐体と、
前記筐体の前記凹部に配置され、第1の回転軸を回転軸として前記車両の前席のウインドウを開閉するための押下操作及び引上操作を受け付ける前席用操作ノブと、
前記前席用操作ノブの後方に並んで前記凹部に配置され、前記上面における前記凹部の縁が作る基準面を基準として前記前席用操作ノブよりも高さが低く、第2の回転軸を回転軸とした前記車両の後席のウインドウを開閉するための押下操作及び引上操作を受け付ける後席用操作ノブと、
を備えたスイッチ装置。
【請求項2】
前記後席用操作ノブは、前記基準面に平行で、かつ前記前席用操作ノブの回転軸である第1の回転軸を含む平行面内に回転軸である第2の回転軸が位置する、
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記後席用操作ノブは、操作力が作用する作用点のうち、前記第2の回転軸から最も離れた作用点までの距離を、前記前席用操作ノブの前記第1の回転軸から最も離れた作用点までの距離に合わせるため、前記第1の回転軸より下に位置する前記基準面と平行な平行面内、及び前記第1の回転軸を含み、かつ前記基準面と平行な平行面内のいずれか一方に前記第2の回転軸を有する、
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記前席用操作ノブ及び前記後席用操作ノブは、前記車両の左右を基準にそれぞれ左領域及び右領域に分けられ、
前記前席用操作ノブの前記左領域及び前記右領域に対する接触を検出する前席用接触検出部と、
前記前席用操作ノブの前記押下操作及び前記引上操作を検出する前席用操作検出部と、
前記後席用操作ノブの前記左領域及び前記右領域に対する接触を検出する後席用接触検出部と、
前記後席用操作ノブの前記押下操作及び前記引上操作を検出する後席用操作検出部と、
前記前席用接触検出部及び前記前席用操作検出部の検出結果に基づいて前記前席のウインドウの左右の開閉を制御し、前記後席用接触検出部及び前記後席用操作検出部の検出結果に基づいて前記後席のウインドウの開閉を制御する制御部と、
を備えた請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、車両のウインドウを開閉するために操作される操作ノブと、操作ノブを支持する筐体と、を有する入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この入力装置は、車両の前後に操作ノブが並んで配置されている。操作ノブは、筐体の上面と、前後に並ぶ操作ノブの上面と、が揃う、つまり高さが揃うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の入力装置は、操作ノブの高さが揃っているので、ユーザが視線移動なしに操作する際、前後の操作ノブの識別が困難となって誤操作が生じる要因となる可能性がある。
【0006】
従って本発明の目的は、誤操作を抑制することができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、車両に配置され、上面に開口する凹部を有する筐体と、筐体の凹部に配置され、第1の回転軸を回転軸として車両の前席のウインドウを開閉するための押下操作及び引上操作を受け付ける前席用操作ノブと、前席用操作ノブの後方に並んで凹部に配置され、上面における凹部の縁が作る基準面を基準として前席用操作ノブよりも高さが低く、第2の回転軸を回転軸とした車両の後席のウインドウを開閉するための押下操作及び引上操作を受け付ける後席用操作ノブと、を備えたスイッチ装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、誤操作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)は、実施の形態に係るスイッチ装置の一例を示す図であり、
図1(b)は、操作ノブを支持するベースの一例を示す図である。
【
図2】
図2(a)は、実施の形態に係るスイッチ装置が搭載された車両の一例を示す図であり、
図2(b)は、スイッチ装置のブロック図の一例である。
【
図3】
図3(a)は、実施の形態に係るスイッチ装置の上面図の一例であり、
図3(b)は、
図3(a)のIII(b)-III(b)線で切断した断面を矢印方向から見た一例を模式的に示す図である。
【
図4】
図4(a)は、実施の形態に係るスイッチ装置の第1の回転軸及び第2の回転軸の一例を示す図であり、
図4(b)は、変形例1に係るスイッチ装置の第1の回転軸及び第2の回転軸の一例を示す図であり、
図4(c)は、変形例2に係るスイッチ装置の第1の回転軸及び第2の回転軸の一例を示す図である。
【
図5】
図5(a)は、変形例3に係るスイッチ装置の一例を示す上面図であり、
図5(b)は、変形例4に係るスイッチ装置の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係るスイッチ装置は、車両に配置され、上面に開口する凹部を有する筐体と、筐体の凹部に配置され、第1の回転軸を回転軸として車両の前席のウインドウを開閉するための押下操作及び引上操作を受け付ける前席用操作ノブと、前席用操作ノブの後方に並んで凹部に配置され、上面における凹部の縁が作る基準面を基準として前席用操作ノブよりも高さが低く、第2の回転軸を回転軸とした車両の後席のウインドウを開閉するための押下操作及び引上操作を受け付ける後席用操作ノブと、を備えて概略構成されている。
【0011】
このスイッチ装置は、前席用操作ノブが後席用操作ノブよりも高いので、同じ高さの場合と比べて、ユーザが視線移動しなくても触って識別し易い。従ってスイッチ装置は、誤操作を抑制することができる。
【0012】
[実施の形態]
(スイッチ装置1の概要)
図1(a)は、スイッチ装置の一例を示す図であり、
図1(b)は、操作ノブを支持するベースの一例を示す図である。
図2(a)は、スイッチ装置が搭載された車両の一例を示す図であり、
図2(b)は、スイッチ装置のブロック図の一例である。
図3(a)は、スイッチ装置の上面図の一例であり、
図3(b)は、
図3(a)のIII(b)-III(b)線で切断した断面を矢印方向から見た一例を模式的に示す図である。なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。また
図1(b)では、主な信号や情報の流れを矢印で示している。さらに数値範囲を示す「A~B」は、A以上B以下の意味で用いるものとする。
【0013】
スイッチ装置1は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、車両に配置され、上面100に開口する凹部11を有する筐体10と、筐体10の凹部11に配置され、第1の回転軸200を回転軸として車両の前席のウインドウを開閉するための押下操作及び引上操作を受け付ける前席用操作ノブ2と、前席用操作ノブ2の後方に並んで凹部11に配置され、上面100における凹部11の縁110が作る基準面12aを基準として前席用操作ノブ2よりも高さが低く、第2の回転軸300を回転軸とした車両8の後席のウインドウを開閉するための押下操作及び引上操作を受け付ける後席用操作ノブ3と、を備えて概略構成されている。
【0014】
スイッチ装置1は、
図2(a)に示す車両8のウインドウの開閉操作を受け付けるように構成されている。この車両8は、一例として、助手席85側の前席左ドア80のウインドウ80a、運転席84側の前席右ドア81のウインドウ81a、後席86の後席左ドア82のウインドウ82a、及び後席86の後席右ドア83のウインドウ83aを開閉可能なウインドウとして有している。なお前席とは、運転席84及び助手席85である。
【0015】
スイッチ装置1は、運転席84側の前席右ドア81のアームレストに配置されている。なおスイッチ装置1は、アームレストに限定されず、運転席84と助手席85の間のセンターコンソール87などに配置されても良い。
【0016】
また前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3は、車両8の左右を基準にそれぞれ左領域及び右領域に分けられている。具体的には、前席用操作ノブ2は、
図3(a)の紙面において点線で囲まれた領域であって、上面20から前面21に渡る左領域20a及び右領域20bに分けられる。後席用操作ノブ3は、
図3(a)の紙面において点線で囲まれた領域であって、上面30から前面31に渡る左領域30a及び右領域30bに分けられる。
【0017】
なお前席用操作ノブ2の左領域20aと右領域20b、及び後席用操作ノブ3の左領域30aと右領域30bは、一例として、中央から間隔を空けて分けられる。これは、後述するタッチ電極を、間隔を空けて配置しているためである。
【0018】
スイッチ装置1は、前席用操作ノブ2の左領域20a及び右領域20bに対する接触を検出する前席用接触検出部40と、前席用操作ノブ2の押下操作及び引上操作を検出する前席用操作検出部41と、後席用操作ノブ3の左領域30a及び右領域30bに対する接触を検出する後席用接触検出部50と、後席用操作ノブ3の押下操作及び引上操作を検出する後席用操作検出部51と、前席用接触検出部40及び前席用操作検出部41の検出結果に基づいて前席のウインドウの左右の開閉を制御し、後席用接触検出部50及び後席用操作検出部51の検出結果に基づいて後席86のウインドウの開閉を制御する制御部6と、を備えている。
【0019】
(筐体10の構成)
筐体10は、
図1(b)に示すように、樹脂材料によって形成され、内部にベース13が取り付けられている。このベース13は、樹脂材料を用いて形成され、前席用操作ノブ2が取り付けられる取付部14と、後席用操作ノブ3が取り付けられる取付部15と、を上面130に有している。この取付部14及び取付部15は、樹脂材料を用いて形成され、ベース13と一体に形成されても良いし、ベース13に取り付けられても良い。
【0020】
なお本実施の形態では、凹部11の縁110が作る面を基準面12aと定めたがこれに限定されず、取付部14及び取付部15が配置されるベース13の上面130を基準面としても良い。
【0021】
取付部14は、対向する2つの支持部140を上部に有している。この支持部140は、貫通孔141を有し、この貫通孔141に挿入された前席用操作ノブ2の軸を第1の回転軸200として前席用操作ノブ2を回転可能に支持している。また取付部14は、前席用操作ノブ2の押下操作及び引上操作を検出する前席用操作検出部41が内部に配置されている。
【0022】
取付部15は、対向する2つの支持部150を上部に有している。この支持部150は、貫通孔151を有し、この貫通孔151に挿入された後席用操作ノブ3の軸を第2の回転軸300として後席用操作ノブ3を回転可能に支持している。また取付部15は、後席用操作ノブ3の押下操作及び引上操作を検出する後席用操作検出部51が内部に配置されている。
【0023】
前席用操作検出部41及び後席用操作検出部51は、例えば、ベース13に配置されたプリント配線基板に配置されている。
【0024】
筐体10の凹部11は、開口部分が矩形を有している。凹部11は、この開口の周囲にベゼルが取り付けられても良い。また凹部11は、開口部分が内部に向かって傾斜するテーパー形状を有していても良い。
【0025】
(前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3の構成)
本実施の形態の前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3は、
図3(a)に示すように、左右別々の操作ノブとして構成されず、1つの操作ノブとしてそれぞれ構成されている。この前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3は、例えば、樹脂材料を用いて形成されている。なお前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3は、左右で別々の操作ノブを備える構成であっても良い。
【0026】
押下操作では、
図3(b)に示すように、第1の回転軸200及び第2の回転軸300を回転軸として前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3が矢印A方向に回転する。また引上操作では、第1の回転軸200及び第2の回転軸300を回転軸として前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3が矢印B方向に回転する。
【0027】
前席用操作ノブ2は、押下操作の際にユーザの操作指9が接触する上面20と、引上操作の際に操作指9が接触する前面21と、後席用操作ノブ3の前面31と対向する後面22と、を有している。
【0028】
上面20は、一例として、
図3(b)に示すように、上方に膨らむ緩やかな曲面であり、最も高い位置が筐体10の上面100以下に位置している。なお上面20は、筐体10の上面100以上に位置し、上方に突出する複数の突起を有しても良い。ユーザは、この突起を触ることで前席用操作ノブ2の先端23を認識して押下操作を行うことができる。
【0029】
前面21は、車両8の前方に位置する面であり、操作指9を掛けて引き上げ易くなるように、内側に凹んだ曲面形状を有している。この前面21は、筐体10の凹部11の前方に位置する曲面111と共に操作指9が挿入される挿入凹部16を形成している。
【0030】
後面22は、内側に凹んだ曲面形状を有し、後席用操作ノブ3の前面31と共に操作指9が挿入される挿入凹部17を形成している。
【0031】
前席用操作ノブ2は、
図3(a)に示すように、左領域20aに配置された左タッチ電極400と、右領域20bに配置された右タッチ電極401と、を有している。この左タッチ電極400及び右タッチ電極401は、導電性を有する金属材料を用いて薄膜として形成されている。
【0032】
後席用操作ノブ3は、押下操作の際にユーザの操作指9が接触する上面30と、引上操作の際に操作指9が接触する前面31と、後面32と、を有している。
【0033】
上面30は、一例として、
図3(b)に示すように、最も高い位置が筐体10の上面100より下であり、かつ前席用操作ノブ2の上面20より低い高さとなっている。言い換えるなら上面30は、ベース13の上面130を基準とした高さが前席用操作ノブ2の上面20までの高さよりも低い。
【0034】
なお上面30は、前席用操作ノブ2の上面20より高い位置にならなければ、上方に突出する複数の突起を有しても良い。
【0035】
前面31は、車両8の前方に位置する面であり、操作指9を掛けて引き上げ易くなるように、内側に凹んだ曲面形状を有している。この前面31は、前席用操作ノブ2の後面22と共に操作指9が挿入される挿入凹部17を形成している。
【0036】
後面32は、内側に凹んだ曲面形状を有し、筐体10の内部に隠れている。なお前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3は、形状が異なるがこれに限定されず、同じ形状の操作ノブを、高さを変えて筐体10に取り付けても良い。
【0037】
後席用操作ノブ3は、
図3(a)に示すように、左領域30aに配置された左タッチ電極500と、右領域30bに配置された右タッチ電極501と、を有している。この左タッチ電極500及び右タッチ電極501は、導電性を有する金属材料を用いて薄膜として形成されている。
【0038】
前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3は、
図3(a)に示す上面視において先端23及び先端33が直線形状となっている。前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3は、
図3(a)に示すように、幅W
2が操作指9の幅W
1の2倍より小さくされている。つまり幅W
2は、W
1<W
2<2W
1となるようにされている。
【0039】
また前席用操作ノブ2の左領域20a及び右領域20bは、操作指9の幅W1より狭くされる。さらに後席用操作ノブ3の左領域30a及び右領域30bは、操作指9の幅W1より狭くされる。
【0040】
従ってスイッチ装置1は、左右のウインドウを操作するために2つの操作ノブを左右方向に並べて配置する場合と比べて、左右方向の幅を狭くできるので、小型化することができる。
【0041】
前席用操作ノブ2と後席用操作ノブ3の高さの差Dは、一例として、1~5mmであり、3~4mmがより好ましい。この差Dは、凹部11の縁110からの差でもあるので、ユーザが視線移動せずに縁110を触りながら前席用操作ノブ2を認識しようとする場合、後席用操作ノブ3が縁110より低いため、前席用操作ノブ2に接触し易くなり、前席用操作ノブ2を認識し易くなる。
【0042】
・第1の回転軸200及び第2の回転軸300について
図4(a)は、本実施の形態の第1の回転軸及び第2の回転軸の一例を示す図であり、
図4(b)は、変形例1の第1の回転軸及び第2の回転軸の一例を示す図であり、
図4(c)は、変形例2の第1の回転軸及び第2の回転軸の一例を示す図である。
図4(a)~
図4(c)では、平行面12bを左右方向の直線として一点鎖線で示している。また
図4(a)~
図4(c)では、平行面12bと直交し、かつ第1の回転軸200及び第2の回転軸300と通る直線l
1及び直線l
2を縦方向の一点鎖線として示している。
【0043】
後席用操作ノブ3は、
図4(a)に示すように、基準面12aに平行で、かつ前席用操作ノブ2の回転軸である第1の回転軸200を含む平行面12b内に回転軸である第2の回転軸300が位置する。
【0044】
つまり第1の回転軸200と第2の回転軸300は、同じ平行面12bに設定される。従って前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3が取り付けられる取付部14及び取付部15は、
図1(b)に示すように、同じ形状とすることが可能となり、その内部に配置される前席用操作検出部41及び後席用操作検出部51に対して共通の部品を増やすことが可能となる。
【0045】
また操作ノブを操作する際の操作力は、操作がなされる作用点から回転軸までの距離に反比例する。つまりユーザは、同じ操作力を操作ノブに加えても当該距離が長いと軽く感じ、短いと重く感じる。
【0046】
本実施の形態のスイッチ装置1は、第1の回転軸200及び第2の回転軸300を同じ平行面12b内に設定すると共に前席用操作ノブ2と後席用操作ノブ3の高さを変えている。従って前席用操作ノブ2の作用点201から第1の回転軸200までの距離L
1は、一例として、
図4(a)に示すように、後席用操作ノブ3の作用点301から第2の回転軸300までの距離L
2と異なっている。
【0047】
スイッチ装置1は、後席用操作ノブ3の高さが前席用操作ノブ2よりも低いので、距離L2が距離L1より短くなっている。従ってユーザは、後席用操作ノブ3を操作する際、前席用操作ノブ2よりも操作力が必要に感じる。なお前席用操作ノブ2と後席用操作ノブ3の操作力が異なる場合、ユーザは、操作の際、高さの差と共に操作力の差によって視線移動をせずに前席用操作ノブ2と後席用操作ノブ3との識別が可能となる。
【0048】
以下では、第2の回転軸300の変形例について説明する。
【0049】
(第2の回転軸300の変形例について)
後席用操作ノブ3は、操作力が作用する作用点のうち、第2の回転軸300から最も離れた作用点301までの距離L2を、前席用操作ノブ2の第1の回転軸200から最も離れた作用点201までの距離L1に合わせるため、第1の回転軸200より下に位置する基準面12aと平行な平行面12c内、及び第1の回転軸200を含み、かつ基準面12aと平行な平行面12b内のいずれか一方に前記第2の回転軸を有する。
【0050】
変形例1は、一例として、
図4(b)に示すように、第1の回転軸200より下に位置する基準面12aと平行な平行面12c内であって、かつ直線l
2と交差する位置に第2の回転軸300を設定した場合を示している。
【0051】
この変形例1では、第2の回転軸300が直線l
2上にある、つまり
図4(a)の第2の回転軸300を下に移動させているので、取付部15の位置が変わらない。従ってスイッチ装置1は、主に後席用操作ノブ3の軸の位置、支持部150の形状、及び貫通孔151の位置などの変更で対応可能となる。
【0052】
なお直線l1及び直線l2は、挿入凹部17の形成や取付部14と取付部15の間隔に応じて定められ、操作ノブを移動して回転軸を設定する場合、間隔が短いと操作指の挿入が困難となり、長いとスイッチ装置1の前後方向の長さが長くなる。変形例1では、この直線l1及び直線l2の間隔を変えず、また後席用操作ノブ3の筐体10に対する位置を変えずに、操作力を同等にする第2の回転軸300を設定することができる。
【0053】
変形例2は、一例として、
図4(c)に示すように、第1の回転軸200を含み、かつ基準面12aと平行な平行面12b内に第2の回転軸300が設定された場合を示している。
【0054】
この変形例2では、第2の回転軸300が直線l2から直線l3に移動、つまり後方に移動している。この変形例2は、取付部15を後方に移動させるものの支持部150の形状や貫通孔151を変更しなくて済むので、前席用操作ノブ2の取付部14と多くの部品が共通化できる。
【0055】
また他の変形例として第2の回転軸300は、変形例1と変形例2を組み合わせて設定されても良い。
【0056】
(前席用接触検出部40及び後席用接触検出部50の構成)
前席用接触検出部40及び後席用接触検出部50は、例えば、操作指9とタッチ電極の間に生じる静電容量に基づいて接触を検出する静電容量方式のタッチセンサである。なお前席用接触検出部40及び後席用接触検出部50は、タッチセンサに限定されず、圧力を検出する圧力センサなどであっても良い。
【0057】
前席用接触検出部40は、左領域20aに対応して配置された左タッチ電極400と、右領域20bに対応して配置された右タッチ電極401と、を有している。左タッチ電極400及び右タッチ電極401は、前席用操作ノブ2に対する押下操作及び引上操作の際、操作指9と対向する位置に設けられている。
【0058】
前席用接触検出部40は、左領域20aに対する接触、右領域20bに対する接触、及び左領域20aと右領域20bの双方に対する接触を検出し、接触検出情報S1を制御部6に出力する。この接触検出情報S1は、接触が検出された領域に関する情報を含んでいる。
【0059】
後席用接触検出部50は、左領域30aに対応して配置された左タッチ電極500と、右領域30bに対応して配置された右タッチ電極501と、を有している。左タッチ電極500及び右タッチ電極501は、後席用操作ノブ3に対する押下操作及び引上操作の際、操作指9と対向する位置に設けられている。
【0060】
後席用接触検出部50は、左領域30aに対する接触、右領域30bに対する接触、及び左領域30aと右領域30bの双方に対する接触を検出し、接触検出情報S2を制御部6に出力する。この接触検出情報S2は、接触が検出された領域に関する情報を含んでいる。
【0061】
(前席用操作検出部41及び後席用操作検出部51の構成)
前席用操作検出部41及び後席用操作検出部51は、例えば、プッシュ式のマイクロスイッチを備えて構成されている。なお前席用操作検出部41及び後席用操作検出部51は、マイクロスイッチに限定されず、可動接点がスライドして固定接点と接触するスイッチ、ラバードームが座屈することでオンするスイッチなどであっても良い。
【0062】
前席用操作検出部41は、前席用操作ノブ2になされた押下操作を検出する押下検出部410と、引上操作を検出する引上検出部411と、を有している。前席用操作ノブ2は、押下操作及び引上操作が少なくとも二段階に操作可能に構成されている。一段階目は、操作がなされている間、ウインドウを開閉する。二段階目は、一段階目からさらに操作量を増やすことにより切り替わり、全開又は全閉するまでウインドウを開閉する。
【0063】
前席用操作検出部41は、押下操作の二段階の操作検出用に2つのマイクロスイッチを有し、引上操作の二段階の操作検出用に2つのマイクロスイッチを有している。前席用操作検出部41は、検出した押下操作及び引上操作に応じて操作検出情報S3を制御部6に出力する。操作検出情報S3は、押下操作か引上操作かの操作の種類、及び一段目か二段目かの段階の種類の情報を含んでいる。
【0064】
後席用操作検出部51は、後席用操作ノブ3になされた押下操作を検出する押下検出部510と、引上操作を検出する引上検出部511と、を有している。後席用操作ノブ3は、押下操作及び引上操作が少なくとも二段階に操作可能に構成されている。一段階目は、操作がなされている間、ウインドウを開閉する。二段階目は、一段階目からさらに操作量を増やすことにより切り替わり、全開又は全閉するまでウインドウを開閉する。
【0065】
後席用操作検出部51は、押下操作の二段階の操作検出用に2つのマイクロスイッチを有し、引上操作の二段階の操作検出用に2つのマイクロスイッチを有している。後席用操作検出部51は、検出した押下操作及び引上操作に応じて操作検出情報S4を制御部6に出力する。操作検出情報S4は、押下操作か引上操作かの操作の種類、及び一段目か二段目かの段階の種類の情報を含んでいる。
【0066】
(制御部6の構成)
制御部6は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(=Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(=Random Access Memory)及びROM(=Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部6が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。
【0067】
制御部6は、前席用接触検出部40及び前席用操作検出部41の検出結果に基づいて前席のウインドウ80a及びウインドウ81aの開閉を制御し、後席用接触検出部50及び後席用操作検出部51の検出結果に基づいて後席86のウインドウ82a及びウインドウ83aの開閉を制御する。
【0068】
具体的には、制御部6は、前席用操作ノブ2の左タッチ電極400が接触を検出し、かつ押下検出部410が押下操作又は引上操作を検出した場合、助手席85側のウインドウ80aを開ける、又は閉じるための操作情報S5を被制御装置に出力する。この被制御装置は、一例として、ウインドウレギュレータ88である。
【0069】
制御部6は、前席用操作ノブ2の右タッチ電極401が接触を検出し、かつ押下検出部410が押下操作又は引上操作を検出した場合、運転席84側のウインドウ81aを開ける、又は閉じるための操作情報S5をウインドウレギュレータ88に出力する。
【0070】
制御部6は、後席用操作ノブ3の左タッチ電極500が接触を検出し、かつ押下検出部510が押下操作又は引上操作を検出した場合、後席86の左側のウインドウ82aを開ける、又は閉じるための操作情報S5をウインドウレギュレータ88に出力する。
【0071】
制御部6は、後席用操作ノブ3の右タッチ電極501が接触を検出し、かつ押下検出部510が押下操作又は引上操作を検出した場合、後席86の右側のウインドウ83aを開ける、又は閉じるための操作情報S5をウインドウレギュレータ88に出力する。
【0072】
また制御部6は、前席用操作ノブ2の左タッチ電極400及び右タッチ電極401が接触を検出し、かつ押下検出部410又は引上検出部411が押下操作又は引上操作を検出した場合、助手席85側のウインドウ80a、及び運転席84側のウインドウ81aを共に開ける、又は閉じるための操作情報S5を被制御装置であるウインドウレギュレータ88に出力する。
【0073】
さらに制御部6は、後席用操作ノブ3の左タッチ電極500及び右タッチ電極501が接触を検出し、かつ押下検出部510又は引上検出部511が押下操作又は引上操作を検出した場合、後席86のウインドウ82a及びウインドウ83aを共に開ける、又は閉じるための操作情報S5を被制御装置であるウインドウレギュレータ88に出力する。
【0074】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、誤操作を抑制することができる。具体的には、スイッチ装置1は、ユーザが視線移動することなく操作する際、前席用操作ノブ2と後席用操作ノブ3との高さが異なるので、同じ場合と比べて、識別し易い。従ってスイッチ装置1は、前席用操作ノブ2と後席用操作ノブ3との識別が容易であるので、誤操作を抑制することができる。
【0075】
このスイッチ装置1は、前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3を備え、運転席84側に配置されている。そのためスイッチ装置1は、運転席84に着座するユーザによって操作されるので、前席用操作ノブ2の方が後席用操作ノブ3よりも使用頻度が高い。またユーザは、後席用操作ノブ3よりも高い位置にある前席用操作ノブ2の方が操作し易い。従ってスイッチ装置1は、前席用操作ノブ2の方が後席用操作ノブ3よりも高く設定されているので、この構成を採用しない場合と比べて、使用頻度の高い前席用操作ノブ2に対するアプローチ性が高い。
【0076】
スイッチ装置1は、1つの操作ノブによって左右の識別を行うことができるので、左右のウインドウのために2つの操作ノブを配置する場合と比べて、左右方向の幅を狭くできて小型化することができる。
【0077】
スイッチ装置1は、第2の回転軸300から最も離れた作用点301までの距離L2を、前席用操作ノブ2の第1の回転軸200から最も離れた作用点201までの距離L1に合わせるので、この構成を採用しない場合と比べて、前席用操作ノブ2と後席用操作ノブ3の高さが異なってもユーザが同じ操作力で操作することができる。
【0078】
以下では、他の変形例について説明する。なお以下に記載する変形例において、実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0079】
(変形例3及び変形例4について)
図5(a)は、変形例3のスイッチ装置の一例を示す上面図であり、
図5(b)は、変形例4のスイッチ装置の一例を示す側面図である。
【0080】
変形例3のスイッチ装置1は、前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3の先端23及び先端33の左右が下がり、V字形状となっている。ユーザは、前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3の先端23及び先端33が直線ではないので、視覚的にも左右の領域の識別が可能になると共に触ることで容易に左右の識別が可能となる。
【0081】
変形例4のスイッチ装置1は、ベース13の上面130に段差131が形成され、前席用操作ノブ2の取付部14が後席用操作ノブ3の取付部15よりも高くされている。このスイッチ装置1は、取付部14及び取付部15の形状などを変えずに前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3の高さを変えることができる。またスイッチ装置1は、前席用操作ノブ2及び後席用操作ノブ3として同じ形状の操作ノブを使用することが可能となる。
【0082】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1…スイッチ装置、2…前席用操作ノブ、3…後席用操作ノブ、6…制御部、8…車両、9…操作指、10…筐体、11…凹部、12a…基準面、12b…平行面、12c…平行面、20…上面、20a…左領域、20b…右領域、40…前席用接触検出部、41…前席用操作検出部、50…後席用接触検出部、51…後席用操作検出部、84…運転席、85…助手席、86…後席、100…上面、110…縁、200…第1の回転軸、201…作用点、300…第2の回転軸、301…作用点、400…左タッチ電極、401…右タッチ電極、410…押下検出部、411…引上検出部、500…左タッチ電極、501…右タッチ電極、510…押下検出部、511…引上検出部