(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169871
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
B65D1/02 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075558
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝典
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 精一
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA21
3E033BB08
3E033CA20
3E033DA03
3E033DB01
3E033DE05
3E033EA03
3E033FA03
(57)【要約】
【課題】胴部を径方向の内側に向けて弾性変形したときに軋み音および皺が発生するのを抑制する。
【解決手段】収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器12、および内容器が内装された外容器11を備えるとともに、口部13、胴部16、および底部14が、ボトル軸O方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、内容物の減少に伴い、外容器と内容器との間に外気を導入する外気導入孔17を備え、外容器のうちの少なくとも胴部は、弾性変形可能に形成され、外容器および内容器の各胴部に、径方向の外側から見て、ボトル軸方向および周方向に傾斜する第1方向に延びる複数の傾斜リブ21が、径方向の外側から見て、第1方向に直交する第2方向に間隔をあけて設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が内装された外容器を備えるとともに、口部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、
前記内容物の減少に伴い、前記外容器と前記内容器との間に外気を導入する外気導入孔を備え、
前記外容器のうちの少なくとも胴部は、弾性変形可能に形成され、
前記外容器および前記内容器の各胴部に、径方向の外側から見て、ボトル軸方向および周方向に傾斜する第1方向に延びる複数の傾斜リブが、径方向の外側から見て、前記第1方向に直交する第2方向に間隔をあけて設けられている、二重容器。
【請求項2】
前記胴部に、ボトル軸方向に延びる縦リブが、周方向に間隔をあけて複数形成され、
前記傾斜リブは、前記縦リブに分断されている、請求項1に記載の二重容器。
【請求項3】
前記胴部のうち、前記口部側の上部の直径は、前記底部側の下部の直径より小さく、
前記傾斜リブは、前記胴部における上部および下部にわたって一体に形成されている、請求項1または2に記載の二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および内容器が内装された外容器を備えるとともに、口部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、内容物の減少に伴い、外容器と内容器との間に外気を導入する外気導入孔を備えた二重容器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の二重容器では、胴部を径方向の内側に向けて弾性変形したときに、内容器の外周面が外容器の内周面に密着し、外容器の内周面および内容器の外周面が互いに擦れ合って軋み音が発生するおそれがあった。この際、外容器および内容器に皺が発生するおそれもある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、胴部を径方向の内側に向けて弾性変形したときに軋み音および皺が発生するのを抑制することができる二重容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の二重容器は、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が内装された外容器を備えるとともに、口部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、前記内容物の減少に伴い、前記外容器と前記内容器との間に外気を導入する外気導入孔を備え、前記外容器のうちの少なくとも胴部は、弾性変形可能に形成され、前記外容器および前記内容器の各胴部に、径方向の外側から見て、ボトル軸方向および周方向に傾斜する第1方向に延びる複数の傾斜リブが、径方向の外側から見て、前記第1方向に直交する第2方向に間隔をあけて設けられている。
【0007】
本発明では、外容器および内容器の各胴部に、径方向の外側から見て、ボトル軸方向および周方向に傾斜する第1方向に延びる複数の傾斜リブが、第1方向に直交する第2方向に間隔をあけて設けられているので、胴部を径方向の内側に向けて弾性変形したときに、複数の傾斜リブが拡幅することで、胴部を第2方向に伸長しやすくなる。したがって、この弾性変形時に、外容器および内容器に皺が発生するのを抑制することができるとともに、外容器の内周面と内容器の外周面との間に、剥離の起点を生じさせやすくなり、胴部のうち径方向の内側に向けて押圧された所定領域において、内容器が一体となって外容器の変形に追従するのを抑制することができる。これにより、胴部を径方向の内側に向けて弾性変形したときに、外容器の内周面および内容器の外周面が、互いに擦れ合うのを抑制することが可能になり、軋み音が発生するのを抑えることができる。
【0008】
前記胴部に、ボトル軸方向に延びる縦リブが、周方向に間隔をあけて複数形成され、前記傾斜リブは、前記縦リブに分断されてもよい。
【0009】
この場合、胴部のうち、周方向で互いに隣り合う縦リブ同士の間に位置して、径方向の内側に向けて押圧される被押圧部分に、傾斜リブが設けられることとなり、前述の作用効果を確実に奏功させることができる。
【0010】
前記胴部のうち、前記口部側の上部の直径は、前記底部側の下部の直径より小さく、前記傾斜リブは、前記胴部における上部および下部にわたって一体に形成されてもよい。
【0011】
この場合、胴部の上部の直径が、胴部の下部の直径より小さくなっているので、接地安定性を向上させることができるとともに、胴部のうち、下部と比べて剛性が高くなっている上部を径方向の内側に向けて押圧しても、傾斜リブを拡幅させることにより、胴部の上部を第2方向に伸長させやすくすることが可能になり、軋み音および皺が発生するのを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、胴部を径方向の内側に向けて弾性変形したときに軋み音および皺が発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態として示した二重容器を径方向の外側から見た一部縦断面を含む側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、一実施形態に係る二重容器を説明する。
二重容器1は、
図1に示されるように、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器12、および内容器12が内装された外容器11を備えている。外容器11の内面に、内容器12の外面が離間可能に設けられている。図示の例では、内容器12は、可撓性に富み、外容器11の内面に剥離可能に積層されている。
なお、外容器11の内面と内容器12の外面との間に隙間が設けられてもよい。
【0015】
二重容器1は、外容器11を形成するための外側プリフォーム内に、内容器12を形成するための内側プリフォームを嵌合した状態で、外側プリフォームおよび内側プリフォームを一体にブロー成形することで形成されている。つまり、二重容器1は、二軸延伸ブロー容器となっている。
【0016】
内容器12および外容器11の材質は合成樹脂材料とされ、互いに同材質でも構わないし異材質でも構わない。合成樹脂材料の一例としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ナイロン(ポリアミド)、およびEVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)等が挙げられる。
【0017】
二重容器1は、口部13、肩部15、胴部16および底部14を備えている。口部13、肩部15、胴部16および底部14は、共通軸と同軸に配設されるとともに、共通軸に沿ってこの順に配設されている。
以下、この共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸Oに沿う口部13側を上側、ボトル軸Oに沿う底部14側を下側という。ボトル軸O方向から見て、ボトル軸Oに交差する方向を径方向といい、ボトル軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
二重容器1の口部13は、内容器12の口部と外容器11の口部とが積層されることで構成され、二重容器1の肩部15は、内容器12の肩部と外容器11の肩部とが積層されることで構成され、二重容器1の胴部16は、内容器12の胴部と外容器11の胴部とが積層されることで構成され、二重容器1の底部14は、内容器12の底部と外容器11の底部とが積層されることで構成されている。
以下の説明において、特に断りのない限り、内容器12および外容器11の双方が同様の形態となっているものとする。
【0019】
二重容器1のボトル軸O方向の大きさは、例えば、115mm以上220mm以下となっている。二重容器1の内容量は、例えば、150ml以上600ml以下となっている。図示の例では、二重容器1のボトル軸O方向の大きさは、約150mmとされ、二重容器1は、内容量が200ml用となっている。
二重容器1は、ボトル軸O方向の全長にわたって、ボトル軸Oに直交する横断面視で円形状を呈する。
【0020】
内容器12の口部の上端部に、径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びるフランジ部12aが形成されている。フランジ部12aは、外容器11の口部の上端開口縁に載置されている。
外容器11の口部の外周面に、図示されないキャップが螺着される雄ねじ部18と、図示されないキャップの周壁部が外嵌される被シール突部19と、ネックリング20と、が上方から下方に向けてこの順に形成されている。
【0021】
被シール突部19、およびネックリング20は、外容器11の口部から径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びている。
被シール突部19の外周面と、図示されないキャップの周壁部の内周面と、の間は、気密にシールされる。ネックリング20は、外容器11の口部の下端部に設けられている。ネックリング20の外径は、被シール突部19の外径より大きくなっている。ネックリング20は、キャップの周壁部より下方に位置する。
なお、キャップは、外容器11の口部にアンダーカット嵌合されてもよい。
【0022】
外容器11の口部に、内容物の減少に伴い、内容器12との間に外気を導入する外気導入孔17が形成されている。外気導入孔17は、被シール突部19のうち、最も径方向の外側に位置して、周方向の全長にわたって連続して延びるシール面より上方に位置している。
なお、外気導入孔17の形成位置は、外容器11の口部に限定されるものではなく、例えば、外容器11のうち、口部以外の胴部、肩部、若しくは底部であってもよく、また、外容器11の口部の上端開口縁と、内容器12のフランジ部12aの下面と、の間等であってもよい。
【0023】
肩部15は、口部13の下端部から下方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びている。
底部14は、有底筒状に形成されている。底部14の周壁部14bは、下方に向かうに従い径方向の内側に向けて延びている。
【0024】
胴部16のうち、口部13側の上部の直径は、底部14側の下部の直径より小さくなっている。胴部16は、上方から下方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びている。胴部16の上部は、ボトル軸Oに沿う縦断面視で径方向の内側に向けて窪む曲線状を呈する。なお、胴部16の上部は、前記縦断面視で直線状を呈してもよい。
胴部16と、底部14の周壁部14bと、の接続部分における外周面は、二重容器1において、最も外径の大きい最大外径部分となっている。この最大外径部分の外径は、例えば、58mm以上74mm以下となっている。図示の例では、二重容器1の最大外径部分の外径は、約63mmとなっている。
【0025】
胴部16に、ボトル軸O方向に延びる縦リブ22が、周方向に間隔をあけて複数形成されている。縦リブ22は、口部13と肩部15との接続部分から肩部15を介して胴部16の下端部にわたって一体に形成されている。縦リブ22は、ボトル軸O方向に真直ぐ延びている。縦リブ22は、径方向の外側に向けて突出した突条、若しくは径方向の内側に向けて窪んだ溝となっている。縦リブ22の下端部は、二重容器1の最大外径部分より上方に位置している。
【0026】
なお、縦リブ22を設けなくてもよい。縦リブ22は、肩部15等に設けず、胴部16にのみ設けてもよい。縦リブ22として、径方向の外側から見て、例えば湾曲した構成等を採用してもよい。
【0027】
縦リブ22は、二重容器1の最大外径部分より径方向の内側に位置している。
これにより、例えば、複数の二重容器1が収容されたカートンを輸送する際に、振動等の影響によって、二重容器1に装着されたラベルに破れ等の損傷が生じてしまうのを抑制することができる。
【0028】
外容器11のうちの少なくとも胴部が、スクイズ変形(弾性変形)可能とされ、外容器11のスクイズ変形に伴って内容器12がしぼみ変形する。胴部16と、肩部15および底部14と、がボトル軸O方向に段差なく連なっている。
【0029】
そして、本実施形態では、外容器11および内容器12の各胴部に、径方向の外側から見て、ボトル軸O方向および周方向に傾斜する第1方向に延びる複数の傾斜リブ21が、径方向の外側から見て、第1方向に直交する第2方向に間隔をあけて設けられている。
【0030】
傾斜リブ21は、第1方向に真直ぐ延びている。傾斜リブ21は、径方向の外側に向けて突出した突条、若しくは径方向の内側に向けて窪んだ溝となっている。複数の傾斜リブ21は、径方向の外側から見て全て同じ方向に延びている。傾斜リブ21の幅は、縦リブ22の幅より狭くなっている。傾斜リブ21の幅およびピッチ間隔は、胴部16を径方向の内側に向けて押圧したときに、1つの指先により3本以上の傾斜リブ21が押圧されるように設定されている。
【0031】
傾斜リブ21は、胴部16における上部および下部にわたって一体に形成されている。
傾斜リブ21の下端部は、二重容器1の最大外径部分より上方に位置している。傾斜リブ21の下端部は、縦リブ22より下方に位置している。傾斜リブ21の上端部は、胴部16の上端部に位置している。傾斜リブ21の下端部における径方向の大きさは、第1方向に沿って下方に向かうに従い小さくなっている。傾斜リブ21の上端部における径方向の大きさは、第1方向に沿って上方に向かうに従い小さくなっている。
【0032】
傾斜リブ21は、縦リブ22に分断されている。
傾斜リブ21のうち、縦リブ22に分断された分断部分は、縦リブ22から第1方向に離れている。傾斜リブ21のうち、分断部分における径方向の大きさは、この傾斜リブ21を分断している縦リブ22に対して第1方向に近付くに従い小さくなっている。
傾斜リブ21において、縦リブ22を第1方向に挟む各分断部分は、径方向の外側から見て、第1方向に延びる同一の線上に位置してもよいし、第1方向に延びる同一の線に対してずれて位置してもよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態による二重容器1によれば、外容器11および内容器12の各胴部に、径方向の外側から見て、ボトル軸O方向および周方向に傾斜する第1方向に延びる複数の傾斜リブ21が、第1方向に直交する第2方向に間隔をあけて設けられているので、胴部16を径方向の内側に向けて弾性変形したときに、複数の傾斜リブ21が拡幅することで、胴部16を第2方向に伸長しやすくなる。したがって、この弾性変形時に、外容器11および内容器12に皺が発生するのを抑制することができるとともに、外容器11の内周面と内容器12の外周面との間に、剥離の起点を生じさせやすくなり、胴部16のうち径方向の内側に向けて押圧された所定領域において、内容器12が一体となって外容器11の変形に追従するのを抑制することができる。これにより、胴部16を径方向の内側に向けて弾性変形したときに、外容器11の内周面および内容器12の外周面が、互いに擦れ合うのを抑制することが可能になり、軋み音が発生するのを抑えることができる。
【0034】
胴部16のうち、周方向で互いに隣り合う縦リブ22同士の間に位置して、径方向の内側に向けて押圧される被押圧部分に、傾斜リブ21が設けられることとなり、前述の作用効果を確実に奏功させることができる。
【0035】
胴部16の上部の直径が、胴部16の下部の直径より小さくなっているので、接地安定性を向上させることができるとともに、胴部16のうち、下部と比べて剛性が高くなっている上部を径方向の内側に向けて押圧しても、傾斜リブ21を拡幅させることにより、胴部16の上部を第2方向に伸長させやすくすることが可能になり、軋み音および皺が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0036】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0037】
例えば、胴部16として、複数の面部が角部を介して周方向に連ねられた構成を採用し、縦リブ22を前記角部に設けてもよい。
この場合、胴部16のうち、剛性が高い角部に縦リブ22が設けられて、角部の剛性がさらに高められているので、胴部16を径方向の内側に向けて弾性変形する際、胴部16のうち、周方向で互いに隣り合う縦リブ22同士の間に位置する部分が確実に押圧されることとなる。
胴部16は、例えばボトル軸O方向に真直ぐ延びてもよい。
【0038】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 二重容器
11 外容器
12 内容器
13 口部
14 底部
16 胴部
17 外気導入孔
21 傾斜リブ
22 縦リブ
O ボトル軸