(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169878
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20221102BHJP
H02K 33/02 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G06F3/041 480
H02K33/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075566
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤政 智幸
【テーマコード(参考)】
5H633
【Fターム(参考)】
5H633BB07
5H633GG02
(57)【要約】
【課題】アクチュエーターによってタッチスクリーンに振動を与え、触覚フィードバックを実現する構成において、タッチスクリーンに振動を効率よく伝達し得る構成を提供する。
【解決手段】入力装置1は、LCDパネル13と、LCDパネル13の表面に重ねて配置されたタッチセンサーと、アクチュエーター61、及び、歪検出部を有する振動発生ユニット5と、を備え、振動発生ユニット5は、LCDパネル13の背面側に配置され、剛性を有する連結部材8を介して、LCDパネル13の背面に設けられた固定部13bに連結される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルの表面に重ねて配置されたタッチセンサーと、
アクチュエーター、及び、歪検出部を有する振動発生ユニットと、を備え、
前記振動発生ユニットは、前記表示パネルの背面側に配置され、剛性を有する連結部材を介して、前記表示パネルの背面に設けられた固定部に連結される、入力装置。
【請求項2】
前記連結部材は、端に雄ネジが形成された棒状部材であり、
前記固定部は、前記連結部材の雄ネジをねじ込み可能な穴を有する形状である、請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記振動発生ユニットは、振動を発生するアクチュエーターと、前記アクチュエーターを支持する支持部と、前記アクチュエーターに連結されて振動する振動部材と、を備え、
前記連結部材は前記振動部材を前記固定部に連結する、請求項1または2記載の入力装置。
【請求項4】
前記表示パネルの背面側に配置されて、前記表示パネル及び前記振動発生ユニットを収容するケースを有し、
前記支持部は前記ケースに固定される、請求項3記載の入力装置。
【請求項5】
前記ケースと前記表示パネルとの間に金属製のシールド板が配置され、
前記シールド板は、前記連結部材を貫通させる第1貫通孔を有する形状である、請求項4記載の入力装置。
【請求項6】
前記表示パネルと前記振動発生ユニットとの間に位置して、前記表示パネルの背面を覆うカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記連結部材を貫通させる第2貫通孔を有する形状である、請求項1から5のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記表示パネルは矩形であり、
前記表示パネルの背面には、前記表示パネルの四隅に対応する4つの柱状の前記固定部が設けられ、
4つの前記固定部のそれぞれに前記連結部材が連結され、
前記振動発生ユニットは、4つの前記連結部材に対応して配置される4つの前記歪検出部を備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項8】
前記アクチュエーター、及び、前記歪検出部に接続され、前記歪検出部の検出結果に応じて前記アクチュエーターにより振動を発生させる制御部を備える、請求項1から7のいずれか1項に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチスクリーンを振動させることによって、タッチ操作に対する触覚フィードバックを実現する構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、電子タッチスクリーン又はタッチ表面を取り付ける際に用いるコンプライアントサスペンション部材が開示される。少なくとも1つのコンプライアントサスペンション部材は、タッチスクリーン部品がハウジング部品に対して可動であるようにタッチスクリーン部品とハウジング部品とをともに連結する。ハウジング部品に対してタッチスクリーン部品を動かす力を生成するとともに、それによってハプティック効果をタッチスクリーン部品のユーザーに提供する圧電材料セグメントが、少なくとも1つのサスペンション部材の対向する両面に結合される。圧電材料セグメントによって生成された力に応じて、少なくとも1つのサスペンション部材は、第1の方向へのハウジング部品に対するタッチスクリーン部品の動きを可能にするとともに、少なくとも第2の方向へのタッチスクリーン部品とハウジング部品との間の動きを抑制するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成では、アクチュエーターによってタッチスクリーンを振動させる場合に、アクチュエーターから振動を伝達する経路における伝達ロスが無視できないという課題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、アクチュエーターによってタッチスクリーンに振動を与え、触覚フィードバックを実現する構成において、タッチスクリーンに振動を効率よく伝達し得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の入力装置は、表示パネルと、前記表示パネルの表面に重ねて配置されたタッチセンサーと、アクチュエーター、及び、歪検出部を有する振動発生ユニットと、を備え、前記振動発生ユニットは、前記表示パネルの背面側に配置され、剛性を有する連結部材を介して、前記表示パネルの背面に設けられた固定部に連結される、入力装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、アクチュエーターが発生する振動を、連結部材を介して効率よくタッチセンサーに伝達できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】入力装置のケースを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図10】入力装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、入力装置1の分解斜視図である。
図2は、入力装置1の背面を示す斜視図である。
【0011】
入力装置1は、表示ユニット10に画像を表示することにより表示デバイスとして機能する。さらに、入力装置1は、表示面に対するタッチ操作を検出することによって入力を受け付ける入力デバイスとして機能する。
図1及び後に参照する各図において、入力装置1の設置状態における水平方向をX方向とし、本実施形態では便宜的に、入力装置1の表示画面の左端から右に向かう方向をX+方向とする。また、入力装置1の設置状態において鉛直方向をY方向とする。Y+方向は入力装置1の上方に相当し、Y-方向は入力装置1の下方に相当する。また、入力装置1の奥行き方向をZ方向とする。Z+方向は入力装置1の後方に相当し、Z-方向は入力装置1の前方に相当し、表示ユニット10の表示面は入力装置1の前面に相当する。
【0012】
図1に示すように、入力装置1は、ケース2、シールド板3、回路基板4、振動発生ユニット5、及び、表示ユニット10を備える。ケース2は入力装置1の背面を覆う金属製の筐体であり、表示ユニット10とケース2とによって入力装置1の外装が構成される。
【0013】
振動発生ユニット5は、振動を発生するアクチュエーター61(
図4)、及び、表示ユニット10に対する押圧力を検知する歪ゲージ66(
図6)を備える。振動発生ユニット5の詳細な構成については後述する。
【0014】
振動発生ユニット5は、表示ユニット10の背面側に配置される。シールド板3、及び、回路基板4は、表示ユニット10と振動発生ユニット5との間に配置される。回路基板4には、タッチセンサー12を制御する回路や後述する制御回路100が実装される。シールド板3は、回路基板4と表示ユニット10の間を電磁的にシールドする金属製の板または薄膜である。
【0015】
ケース2の前面には、複数の突出部22が形成される。突出部22は、入力装置1が組み立てられた状態で回路基板4の背面に当接する。各々の突出部22には、ネジ24が貫通可能な孔が開口し、ネジ24は、ケース2の背面側から突出部22を貫通する。ネジ24によって、シールド板3及び回路基板4が突出部22と締結され、ケース2と表示ユニット10との間に挟まれて固定される。
【0016】
表示ユニット10には振動発生ユニット5が発生する振動が伝達され、これにより表示ユニット10が振動する。この振動を吸収するため、合成樹脂またはゴムからなる弾性部材を、表示ユニット10とケース2との間に配置してもよい。
【0017】
ケース2の前面には、複数の突出部23が形成される。突出部23は、入力装置1が組み立てられた状態で振動発生ユニット5の背面に当接する。突出部23にはネジ25が貫通可能な孔が開口する。ケース2の背面からネジ25が突出部23を貫通してねじ込まれることによって、ケース2と振動発生ユニット5とが固定される。
【0018】
図3は、表示ユニット10の分解斜視図である。
図4は、入力装置1のケース2を取り外した状態を示す斜視図である。
【0019】
図3に示すように、表示ユニット10は、カバーレンズ11、タッチセンサー12、LCD(Liquid Crystal Display)パネル13、及び、カバー14を備える。
【0020】
カバーレンズ11は、タッチセンサー12の表面を保護する透光性のカバーであり、合成樹脂の枠に固定される。タッチセンサー12は、カバーレンズ11の表面に対するタッチ操作を検出するセンサーであり、LCDパネル13の前面に重畳して配置される。タッチセンサー12の検出方式は限定されず、例えば、静電容量式のセンサーや感圧式のセンサーが挙げられる。LCDパネル13は、画像を表示する表示パネルであり、その側面および背面を覆うカバー13a(
図4)を備える。表示ユニット10は、LCDパネル13に代えて有機EL(Electro-Luminescence)パネルや、その他の表示パネルを備える構成であってもよい。この場合、表示パネルは、金属製のカバー13aを有することが望ましい。
カバー14は、カバーレンズ11に接合され、タッチセンサー12及びLCDパネル13を収容する。カバー14は、カバー部材の一例に対応する。
【0021】
振動発生ユニット5は、連結部材8によってLCDパネル13に連結される。連結部材8は、
図1の円内に拡大して示すように、柱状の軸部81を有する。連結部材8の先端部82は先細りのテーパーを有し、雄ネジが形成されている。また、先端部82とは反対側の後端83には、ネジ26をねじ込み可能な孔が形成されている。
【0022】
連結部材8は、所定の剛性を有し、伸縮や弾性変形しにくい材料により構成される。例えば、連結部材8は、アルミニウム、鉄、ステンレス、真鍮等の金属製である。連結部材8は、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート等のエンジニアリングプラスチックを用いて構成されてもよい。好ましい例としては、連結部材8は金属製である。軸部81は円柱形状であってもよいし、角柱形状であってもよい。連結部材8は、LCDパネル13の背面と、振動発生ユニット5とを連結する。
【0023】
図4には、連結部材8によってLCDパネル13に振動発生ユニット5を固定した状態を示す。
図4では、カバー14、シールド板3、及び、回路基板4の図示を省略する。
図4に示すように、表示ユニット10の下部には基板カバー16が配置される。基板カバー16の内部には不図示の回路基板が収容される。
【0024】
LCDパネル13は、LCDパネル13の側面および背面を覆う金属製のカバー13aを有する。LCDパネル13の背面において、カバー13aには固定部13bが設けられている。本実施形態では4つの固定部13bがLCDパネル13に設けられている。固定部13bは、軸部81をねじ込み可能な孔を有する。この孔には雌ネジが形成されていてもよい。
【0025】
連結部材8の軸部81は、固定部13bにねじ込まれて固定される。一方、後端83は、振動発生ユニット5に設けられるパネル連結部55bに当接する。パネル連結部55bには、後述するように、ネジ26を通すネジ孔56が形成されている。ネジ26が、振動発生ユニット5の背面側からネジ孔56を通して後端83にねじ込まれることにより、振動発生ユニット5が連結部材8に固定される。ネジ26は、連結部材8と同様に、金属またはエンジニアリングプラスチックで構成され、剛体と見なすことができる。
【0026】
このように、振動発生ユニット5とLCDパネル13とは、連結部材8を介して連結される。LCDパネル13と振動発生ユニット5との間では、連結部材8を介して、LCDパネル13に加わる外力が振動発生ユニット5に伝達される。また、振動発生ユニット5が発生する振動が、連結部材8を介して、LCDパネル13に伝達される。
【0027】
図5は、振動発生ユニット5の背面図である。
図6および
図7は振動発生ユニット5の正面図であり、
図7はフレキシブル基板67を除いた状態を示す。
図8は、振動発生ユニット5の側面図であり、振動発生ユニット5をX方向に見た図である。
図9は、振動発生ユニット5の分解斜視図である。
【0028】
振動発生ユニット5は、アクチュエーター支持部51を備える。アクチュエーター支持部51は金属製の平板状部材であり、
図5及び
図9に示すように、アクチュエーター支持部51のX方向におけるほぼ中央部には、後方に突出する凹部51aが形成される。アクチュエーター支持部51のX方向における両端は平板部51bとなっている。凹部51aは、所定の厚みを有するアクチュエーター61を収容する。
【0029】
アクチュエーター61は、アクチュエーター支持部51の前面側に配置され、凹部51aに納まるように、リベット51cによってアクチュエーター支持部51に固定される。アクチュエーター支持部51は、支持部の一例に対応する。
【0030】
アクチュエーター61は、制御回路100から供給される電力によって振動を発生する振動発生デバイスである。アクチュエーター61は、例えば、圧電アクチュエーター、ボイスコイルアクチュエーター、偏心回転質量アクチュエーター、Eコア型アクチュエーター、ソレノイド、可動磁石アクチュエーター、或いはその他のアクチュエーター等を用いることができる。
【0031】
本実施形態のアクチュエーター61は、電磁的作用により振動を発生する。
図9に示すように、アクチュエーター61は、コイル巻線61a、コア61b、及びボビン61c、61cを有する。ボビン61c、61cは、例えば合成樹脂製であり、磁性材料からなるコア61bを囲むように配置される。コイル巻線61aは、ボビン61c、61cに巻き回された線材である。コア61bには貫通孔が形成され、この貫通孔を貫通するリベット51cによって、凹部51aに固定される。
【0032】
凹部51aの中央部には開口51dが形成され、アクチュエーター61は、開口51dにはめ込まれる。このため、アクチュエーター支持部51の背面において、開口51dからアクチュエーター61の一部が露出する。
【0033】
アクチュエーター61は、支持板57を有する。支持板57は、磁性材料で構成される板状部材であり、より好ましくは高磁性材料を用いて構成される。支持板57は、開口57aを有し、アクチュエーター61が組み立てられた状態で開口57aにコイル巻線61aが収まる。支持板57は、開口57aにコイル巻線61aが納められた状態でヨークとして機能する。
【0034】
支持板57の前面側には、一対の板バネ52が配置される。支持板57のX方向における両端はリベット59によって板バネ52に固定される。また、板バネ52は、リベット53によって、アクチュエーター支持部51の平板部51bに固定される。つまり、支持板57は、2つの板バネ52を介してアクチュエーター支持部51に連結される。
【0035】
板バネ52は、弾性を有するバネ材により構成される板状部材である。板バネ52は、アクチュエーター61の磁気回路の構成部品でもあるため、磁性材料で構成されることが好ましく、より好ましくは高磁性材料で構成される。板バネ52が有する弾性によって、支持板57は、後述するように振動可能な状態で、アクチュエーター支持部51に支持される。
【0036】
コイル巻線61aに、例えば交流パルス電流が通電されると、支持板57がコイル巻線61aに対して往復移動する。コア61bはリベット51cによってアクチュエーター支持部51に固定されているため、支持板57は、アクチュエーター支持部51に対して相対的に往復移動し、振動を発生する。
【0037】
図8に示すように、アクチュエーター支持部51の平板部51bの背面には支柱54が立設される。支柱54には、ネジ25をねじ込むことが可能な穴が形成されている。入力装置1が組み立てられた状態において、支柱54は、
図1に示したケース2の突出部23に当接する。ケース2の背面から突出部22を貫通してネジ25が支柱54にねじ込まれることによって、アクチュエーター支持部51がケース2に固定される。これにより、アクチュエーター61がケース2に固定される。
【0038】
アクチュエーター支持部51の背面には、アクチュエーター61にリード線63を接続するターミナル62が設けられる。リード線63は、制御回路100に接続されるコネクター64を有し、テープ65によりアクチュエーター支持部51の背面に固定される。
【0039】
支持板57の前面には、リベット58によって振動板55が固定される。振動板55は、金属または合成樹脂により構成される板状部材であり、非磁性体であることが好ましい。振動板55は、板バネ52等との干渉を避けるため、
図8に示すように前方に突出させた形状としてもよい。
【0040】
振動板55は、アクチュエーター支持部51の上方および下方に突出する突出部55aを有する。突出部55aのX方向における両端部には、括れを有する平板部55cが形成され、平板部55cよりも先端側はパネル連結部55bとなっている。
【0041】
突出部55aのY方向における端部には、折り曲げ加工によりリブ55dが形成され、前後方向における突出部55a及びパネル連結部55bの剛性が高められている。これに対し、平板部55cにはリブ55dが形成されていない。このため、パネル連結部55bに対して前後方向の力が加わった場合、この力は平板部55cに集中して作用し、平板部55cを弾性変形させる。
【0042】
パネル連結部55bは、入力装置1が組み立てられた状態において連結部材8の後端83に当接する。上述したように、パネル連結部55bには、ネジ26を貫通させることが可能なネジ孔56が設けられる。ネジ26がネジ孔56を貫通して後端83にねじ込まれることにより、振動板55と連結部材8とが連結される。
【0043】
振動発生ユニット5の前面において、平板部55cには歪ゲージ66が配置される。歪ゲージ66は、平板部55cの変形を検出するセンサーである。本実施形態の振動発生ユニット5において、上部に位置する突出部55aには2つの平板部55cが形成され、下部に位置する突出部55aに2つの平板部55cが形成されている。歪ゲージ66は、これら4カ所の平板部55cのそれぞれに配置される。歪ゲージ66は、歪検出部の一例に対応する。
【0044】
歪ゲージ66には、振動発生ユニット5の前面に装着されるフレキシブル基板67が接続される。歪ゲージ66は、フレキシブル基板67に形成された配線によって、制御回路100に接続される。
【0045】
このように、入力装置1においては、LCDパネル13が有するカバー13aの背面に形成された固定部13bに、連結部材8を介して、振動発生ユニット5のパネル連結部55bが連結される。
【0046】
LCDパネル13に対して押圧力が加わると、この押圧力は連結部材8を介してパネル連結部55bに作用する。突出部55a及びパネル連結部55bは、リブ55dを有するためにZ方向に変形しにくいので、パネル連結部55bにZ方向の力が加わると、この力により平板部55cが変形する。入力装置1は、歪ゲージ66によって平板部55cの変形を検出することにより、LCDパネル13に対する操作を検出できる。
【0047】
一方、アクチュエーター61が振動を発生すると、支持板57に連結された振動板55が支持板57とともに、ケース2に対して振動する。振動板55の振動は、連結部材8を通じてパネル連結部55bからカバー13aに伝達され、表示ユニット10を振動させる。つまり、振動板55は、アクチュエーター61の動作に伴って振動を出力するものであり、振動板55は振動部材の一例に対応する。この構成によれば、振動板55の振動が、剛性を有する連結部材8によって伝達されるので、振動の伝達ロスを抑制でき、振動板55から表示ユニット10に効率よく振動を伝達できる。
【0048】
入力装置1において、連結部材8は、カバー14、シールド板3、及び、回路基板4を貫通する。カバー14は、連結部材8を貫通させる貫通孔14aを有する。貫通孔14aの内径は、連結部材8の外径以上である。貫通孔14aは、連結部材8が振動した場合にカバー14が連結部材8の振動を制限しない程度の大きさであることが好ましく、連結部材8が振動した場合に貫通孔14aの内面に連結部材8が接触しないことが、より好適である。貫通孔14aは、第2貫通孔の一例に対応する。
【0049】
シールド板3には、連結部材8を貫通させる貫通孔3aが形成されている。回路基板4には、連結部材8を貫通させる貫通孔4aが形成されている。貫通孔3a及び貫通孔4aの内径は、いずれも、連結部材8の外径以上である。貫通孔3aは、連結部材8が振動した場合にシールド板3が連結部材8の振動を制限しない程度の大きさであることが好ましく、連結部材8が振動した場合に貫通孔3aの内面に連結部材8が接触しないことが、より好適である。貫通孔4aも同様である。貫通孔3aは、第1貫通孔の一例に対応する。
【0050】
連結部材8が貫通するシールド板3、回路基板4、及びカバー14には、貫通孔3a、4a、14aが形成されているので、これらの部材は連結部材8の振動に干渉しない。このため、振動発生ユニット5が発生する振動を、伝達ロスなく、表示ユニット10に伝達できる。
【0051】
貫通孔3aは、断面円形の孔に限定されず、例えば、シールド板3の外周を、連結部材8の位置に対応して切り欠いた形状であってもよい。貫通孔4a、14aも同様である。
【0052】
図10は、入力装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
入力装置1は、制御回路100を有する。制御回路100は、制御部110、検出回路112、及び、振動発生回路114を備える。
【0053】
検出回路112は、歪ゲージ66に接続され、歪ゲージ66によって平板部55cの弾性変形を検出する。振動発生回路114は、制御部110の制御に従って、アクチュエーター61によって振動を発生させる。振動発生回路114は、例えば、アクチュエーター61のコイル巻線61aに交流パルス電流を出力することにより、支持板57を振動させる。
【0054】
制御部110は、歪ゲージ66の検出結果を検出回路112から取得する。制御部110は、歪ゲージ66の検出値を、予め設定された閾値と比較する。例えば、制御部110は、4つの歪ゲージ66の検出値の平均値や中央値を算出し、算出した値を閾値と比較する。制御部110は、歪ゲージ66の検出値が閾値以上である場合に、振動発生回路114によってアクチュエーター61を振動させる。
【0055】
このように、制御回路100は、表示ユニット10の表面、すなわち表示面に対してZ方向の押圧力が加わった場合に、この押圧力に応答して表示ユニット10を振動させる。これにより、入力装置1は、表示ユニット10へのタッチ操作に対して、表示ユニット10の振動による触覚フィードバックを与え、ハプティック効果を実現する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の入力装置1は、LCDパネル13と、LCDパネル13の表面に重ねて配置されたタッチセンサー12と、アクチュエーター61、及び、歪ゲージ66を有する振動発生ユニット5と、を備える。振動発生ユニット5は、LCDパネル13の背面側に配置され、剛性を有する連結部材8を介して、LCDパネル13の背面に設けられた固定部13bに連結される。
【0057】
この構成によれば、剛性を有する連結部材8を用いることによって、振動発生ユニット5とLCDパネル13との間における振動や押圧力の伝達ロスを抑えることができ、振動発生ユニット5が発生する振動をLCDパネル13に効率よく伝達できる。また、LCDパネル13に対して加わる外力を、振動発生ユニット5に効率よく伝達し、振動発生ユニット5が備える歪ゲージ66によって、LCDパネル13への外力をより確実に検出できる。従って、LCDパネル13を押圧する操作に対応してLCDパネル13を振動させる触覚フィードバックを、より効率よく実現できる。
【0058】
具体的には、振動の伝達ロスが小さいため、小型で低出力のアクチュエーター61を用いても十分な触覚フィードバックを実現できる。また、振動の伝達ロスが小さいため、例えば、LCDパネル13を強く振動させることができ、より強い触覚フィードバックを与えることができる。また、LCDパネル13への押圧力を歪ゲージ66に伝達する経路における伝達ロスが小さいため、歪ゲージ66の感度を抑えることができ、制御回路100の消費電力を抑制できるという効果が期待できる。
【0059】
上記実施形態の連結部材8は、先端部82に雄ネジが形成された棒状部材であり、固定部13bは、連結部材8の雄ネジをねじ込み可能な穴を有する形状である。これにより、連結部材8をLCDパネル13に強固に、かつ容易に接合できる。この構成によれば、連結部材8とLCDパネル13との間における振動や外力の伝達ロスを、より一層、低減できる。
【0060】
上記実施形態において、振動発生ユニット5は、振動を発生するアクチュエーター61と、アクチュエーター61を支持するアクチュエーター支持部51と、アクチュエーター61に連結されて振動する振動板55と、を備える。連結部材8は、振動板55を固定部13bに連結する。この構成によれば、アクチュエーター61が発生する振動を少ない伝達ロスで連結部材8に伝達すること、及び、アクチュエーター61をアクチュエーター支持部51によって確実に支持することを、両立できる。
【0061】
上記実施形態において、入力装置1は、LCDパネル13の背面側に配置されて、LCDパネル13及び振動発生ユニット5を収容するケース2を有し、アクチュエーター支持部51はケース2に固定される。この構成によれば、アクチュエーター61が発生する振動を減衰させないように、アクチュエーター61をケース2に固定できる。
【0062】
上記実施形態において、ケース2とLCDパネル13との間に金属製のシールド板3が配置され、シールド板3は、連結部材8を貫通させる貫通孔3aを有する形状である。この構成によれば、連結部材8による振動や外力の伝達を阻害することなく、シールド板3を配置できる。これにより、振動発生ユニット5を設置する位置の自由度が増すという利点がある。
【0063】
上記実施形態において、入力装置1は、LCDパネル13と振動発生ユニット5との間に位置して、LCDパネル13の背面を覆うカバー14を備え、カバー14は、連結部材8を貫通させる貫通孔14aを有する形状である。この構成によれば、連結部材8による振動や外力の伝達を阻害することなく、振動発生ユニット5を、カバー14の背面側に配置できる。これにより、振動発生ユニット5を設置する位置の自由度が増すという利点がある。
【0064】
上記実施形態において、LCDパネル13は矩形であり、LCDパネル13の背面には、LCDパネル13の四隅に対応する4つの柱状の固定部13bが設けられ、4つの固定部13bのそれぞれに連結部材8が連結され、振動発生ユニット5は、4つの連結部材8に対応して配置される4つの歪ゲージ66を備える。この構成によれば、4つの連結部材8によって振動発生ユニット5とLCDパネル13とを連結することにより、LCDパネル13に対する押圧力を、より確実に振動発生ユニット5に伝達できる。
【0065】
上記実施形態において、アクチュエーター61、及び、歪ゲージ66に接続され、歪ゲージ66の検出結果に応じてアクチュエーター61により振動を発生させる制御部110を備える。この構成によれば、LCDパネル13に対する操作力に応答してLCDパネル13を振動させる触覚フィードバックを実現できる。
【0066】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0067】
上記実施形態において、振動板55が4つのパネル連結部55bを有し、各々のパネル連結部55bに対応する4つの歪ゲージ66を備える構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、入力装置1は、5以上の歪ゲージ66を備える構成であってもよいし、歪ゲージ66の数を、より少なくしてもよい。
【0068】
また、入力装置1は、複数のアクチュエーター61を備える構成であってもよい。アクチュエーター61の位置は、X-Y平面においてLCDパネル13の中央付近であってもよいし、LCDパネル13の中央よりも端に近い位置であってもよい。
【0069】
また、上記実施形態において、制御回路100を、LCDパネル13の背面において基板カバー16の内部に収容する構成としたが、これは一例に過ぎず、例えば回路基板4に制御回路100を実装した構成であってもよい。
【0070】
また、平板部55cの変位を検出する歪検出部は、歪ゲージ66に限定されない。例えば、パネル連結部55bのZ方向における変位量を、磁気的、機械的、あるいは光学的に検出するセンサーを用いる構成としてもよい。また、加速度センサーや角速度センサーを利用してパネル連結部55bの変位を検出することにより、LCDパネル13に加わる外力を検出する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 入力装置
2 ケース
3 シールド板
3a 貫通孔(第1貫通孔)
4 回路基板
4a 貫通孔
5 振動発生ユニット
8 連結部材
11 カバーレンズ
12 タッチセンサー
13 LCDパネル(表示パネル)
13a カバー
13b 固定部
14 カバー(カバー部材)
14a 貫通孔(第2貫通孔)
16 基板カバー
22、23 突出部
51 アクチュエーター支持部(支持部)
51a 凹部
51b 平板部
51d 開口
52 板バネ
54 支柱
55 振動板(振動部材)
55a 突出部
55b パネル連結部
55c 平板部
56 ネジ孔
57 支持板
57a 開口
61 アクチュエーター
61a コイル巻線
61b コア
61c ボビン
66 歪ゲージ(歪検出部)
81 軸部
82 先端部
83 後端
100 制御回路
110 制御部