(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169907
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置
(51)【国際特許分類】
B63C 11/12 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
B63C11/12
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075619
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】592048132
【氏名又は名称】株式会社ダイブウエイズ
(74)【代理人】
【識別番号】100069992
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 政義
(72)【発明者】
【氏名】武田 寿吉
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 正彦
(57)【要約】
【課題】本発明は、市販の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置であって、マスクと呼吸器の接続が堅牢・確実で、潜水使用が安心して行なえる装置の提供にある。
【解決手段】
マスク本体が軟質ゴム製の汎用フルフェイスマスクにおいて、ダイバーの口元対応部に外向きに突出形成された筒状接続部がマウスピースを取り外された呼吸器のケース本体の管状装着部に被嵌装着され、前記筒状接続部を除く口元対応部の所要範囲の外面部と内面部にベース板と補強板が接面され、それらが内外に貫通する締着手段より挟圧固定されて口元対応部が剛体に設けられ、前記呼吸器のケース本体の管状装着部の内部に通した呼吸器連結具により前記補強板と呼吸器のケース本体の取付け部が定間隔に連結され、マスク本体の口元応部と呼吸器のケース本体の管状装着部が一体の剛体に設けられてなる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体が軟質ゴム製の汎用フルフェイスマスクにおいて、ダイバーの口元対応部に外向きに突出形成された筒状接続部がマウスピースを取り外された呼吸器のケース本体の管状装着部に被嵌装着され、前記筒状接続部を除く口元対応部の所要範囲の外面部にベース板が接面され、反対の内面部に対応して補強板が接面され、それらが内外に貫通する締着手段より挟圧固定されて設けられ、かつ、前記呼吸器のケース本体の管状装着部の内部に挿通した呼吸器連結具により前記補強板と呼吸器のケース本体の取付け部が定間隔に連結され、マスク本体の口元対応部と呼吸器のケース本体の管状装着部とが一体の剛体に設けられてなる汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置。
【請求項2】
前記軟質ゴム製の汎用フルフェイスマスクのマスク本体の口元対応部の外面部に接面される前記ベース板と内面部に接面される補強板は、マスク本体の口元対応部を貫通し、かつ、ベース板と補強板の取付け孔に貫通する取付けネジとナットとにより締付けられて配備され、筒状接続部を形成した口元対応部の所要範囲が剛体に設けられてなる請求項1の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置。
【請求項3】
前記補強板は、前記軟質ゴム製のマスク本体の口元対応部の筒状接続部に接続する呼吸器のケース本体の管状装着部の先端面を、その内面部と同一面もしくは内面部より軟質ゴム製のマスク本体の内方へ僅かに突出させて呼吸器のケーシング本体の内部と軟質ゴム製のマスク本体の内部とを連通させる管状装着部用孔が開口されてなる請求項1又は請求項2の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置。
【請求項4】
両端が取付け部に設けられた呼吸器連結具が呼吸器のケース本体の管状装着部の内部に挿通され、その一方端の取付け部が軟質ゴム製のマスク本体の口元対応部の内面部の補強板に、ネジにより止着され、反対の他方端の取付け部が呼吸器のケース本体の取付け部にネジより止着されて呼吸器のケース本体と軟質ゴム製のマスク本体の口元対応部の内面部の補強板とが定間隔に連結されてなる請求項1、請求項2又は請求項3の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置。
【請求項5】
前記ベース板には、その右側縁の右上方と左側縁の左上方に、マスク本体の眼鏡レンズ取付け部の外回締付枠の下半部の右下半部と左下半部とに夫々接続する右接続部と左接続部を上端部に有する右上方支杆部と左上方支杆部とが一体に形成され、ベース板がマスク本体の眼鏡レンズ取付け部の外回締付枠に接続されて一体に保持する剛体が設けられてなる請求項1又は請求項2の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置。
【請求項6】
前記右接続部は、前記右上方支杆部の上端部が右前向掛爪付き上半部とその下方部が右下半取付け台部に形成され、該右下半取付け台部に背面から嵌合し、その左右側面において前方に突出する右規制部右側縁と右規制部左側縁を夫々に配備する右規制部と、後向き右掛爪部を上端に備える右後向掛爪付き上半部と前記右下半取付け台部の正面に連接する右下半取付け部を備える右前側取付け部からなる請求項5の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置。
【請求項7】
前記左接続部は、前記左上方支杆部の上端部が左前向掛爪付き上半部とその下方部が左下半取付け台部に形成され、該左下半取付け台部に背面から嵌合し、その左右側面において前方に突出する左規制部右側縁と左規制部左側縁を夫々に配備する左規制部と、後向き左掛爪部を上端に備える左後向掛爪付き上半部と、前記左下半取付け台部の正面に連接する左下半取付け部を備える左前側取付け部からなる請求項5の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市販される汎用フルフェイスマスクに呼吸器(自給気式水中呼吸装置及び送気式水中呼吸装置における第2段減圧部)を取り付けるフルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
潜水には、視界を確保するためマスクが必要である。また、呼吸を維持する為(素潜りを除く。)に呼吸器が必要である。
【0003】
現在、視界と呼吸を確保するのには二つの方式がある。一つの方式は、マスクは視界の確保のためだけに用い、呼吸器はマウスピースを口にくわえるマウスピース方式である。他の方式は、視界を確保するマスク自体に呼吸器を組み込んだフルフェイスマスク方式である。
【0004】
フルフェイスマスクは口と鼻で呼吸が出来るため、陸(船)上や、ダイバー同士の通話ができる。重労働の水中作業も可能であり、建築から道路・港湾施設の現場と活用する場面が拡大されている。
【0005】
また、フルフェイスマスクは、構造上、二つの方式がある。一つの方式は、長期使用が可能な強度と耐久性を具えたフルフェイスマスクに呼吸器が完全に組み込まれた本格型製品で、安全性が高いものである。他の方式は、市販される汎用フルフェイスマスクのゴム製本体に、ユーザーが、マウスピースを外した呼吸器を取り付け、結束バンドで固定する簡易方式のものである。
【0006】
ユーザーが、マウスピースを外した呼吸器を取り付ける、前記汎用フルフェイスマスクは、呼吸器を取り付けたり、外したり、或いは元のマウスピース方式に戻せるものであり、また、前記固定式の本格型のフルフェイスマスクに比較して安価なため多く用いられている。
【0007】
前記ユーザーによる呼吸器取付け方式の汎用フルフェイスマスクは、致命的な欠陥があり、重大事故が世界中で発生している。
【0008】
図1に示すように、従来のユーザーによる呼吸器の取付け方式の汎用フルフェイスマスク1(以下、単に「従来のマスク1」という。)は、顔面に装着するマスク本体1aが、軟質ゴムから設けられ、このマスク本体1aのレンズ2は、ガラスか透明な硬質プラスチックで設けられ、該レンズの周縁部2aがマスク本体1aの眼鏡レンズ取付け部3の環状溝3aに嵌合され、その眼鏡レンズ取付け部3の外回りに金属又は硬質のプラスチックで設けられた上半部4aと下半部4bからなる外回締付枠4が被嵌固着されて水漏れが防止される水密構造となっている。
【0009】
前記従来のマスク1の周縁の顔面装着部5は、水密性と保持性を具える軟質ゴムから設けられる。
【0010】
前記従来のマスク1において、装着したダイバーの口元対応部1a1には、横断面が楕円形の筒状接続部6が外方へ突出形成され、その先端側の外周面に環状凹陥部6aを、その基部側の内径面の中途に環状凹陥溝6bをそれぞれ備える。
前記筒状接続部6にマウスピースを外した呼吸器7のケース本体7aの管状装着部7a1が差し込まれ、前記筒状接続部6の基部側の内径面の中途の環状凹陥溝6bに管状装着部7a1の先端側の外周面の環状凸状部7bが嵌着され、それから従来のマスク1の筒状接続部6の先端側の外周面に環状凹陥部6aに結束バンド8が巻装されて呼吸器7が外れないように固定される。かくして、機能上、前記本格型のフルフェイスマスクとなるのである。
【0011】
前記従来のマスク1の前記筒状接続部6は、全てのメーカーの呼吸器7のケース本体7aの管状装着部7a1が取付けられるように、小さめに設けられている。
【0012】
呼吸器7のマウスピースの大きさ、高さ等の形状等についての規格はなく、結果として前記従来のマスク1の筒状接続部6に無理に嵌合することになる。
【0013】
次に、ダイバーが従来のマスク1を装着して潜水した時に従来のマスク1の筒状接続部6に掛る負荷について説明する。
【0014】
中圧空気を送ってくるホース9は、誰にでも適合するように長めに配備され、従来のマスク1を顔に装着すると湾曲した状態となる。中圧空気が送られてくると、ホース9には直線にする力が作用する。従来のマスク1は装着用バンド10で顔に固定されて定位置に保持されているため、呼吸器7を取付けた筒状接続部6に力が集中する。そして、この力の方向は、前後、左右、上下とすべての方向に掛るものである。
【0015】
また、ダイバーは、潜水中に、顔を上下、左右の方向に動かすものであるから、前記従来のマスク1の筒状接続部6にも前述と同様のいろいろな方向の力が作用する。
【0016】
また、ダイバーが呼吸をするたびにも従来のマスク1内の空気圧が上下するから従来のマスク1の筒状接続部6に僅かであるが応力が休みなく作用するものである。
【0017】
前記従来のマスク1を構成するゴム体は、オゾンにより材質の劣化が生じる。特に海洋では「オゾン」を強くあびてひび割れが生じるものである。
【0018】
以上の多くの悪条件の結果、従来のマスク1の筒状接続部6の根元が、突然、切断して従来のマスク1から呼吸器7が外れてしまい、ダイバーは呼吸が出来なくなる事故が発生する。従来のマスク1の筒状接続部6の根元の切断によって、切断穴から水が従来のマスク1内に浸入してダイバーは一瞬のうちに視界を失うものである。この従来のマスク1の筒状接続部6と呼吸器7の破断事故は、国内において数件発生し、死亡事故も起きている。
【0019】
従来、対策としては、業界では、この従来のマスク1を使用する場合は、予備の「視界確保用マスク」と予備の「マウスピース付きの呼吸器」を持って潜水するように指導しているが、実際には、呼吸器7が外れ、視界を失った時に予備のマスクや呼吸器を使用することは非常に難しいものである。
【0020】
この従来のマスク1の呼吸器7が離脱することがない固定方法として、特許引用文献1には、マウスピースを固定できる部位として管状に形成されたマウスピース管部を備える呼吸用レギュレーターを、軟質素材で形成されたフルフェイスマスクに固定する手段として、フルフェイスマスク1のレギュレーター取付け部の内側部と、マウスピース管部の内側部に板状部材し、該板状部材を、マウスピース管内部を連通した連結部材で締結するものであって、前記フルフェイスマスクのレギュレーター取付け部に前記マウスピース管部が挿入されて固定され、前記フルフェイスマスクのレギュレーター取付け部が前記板状部材によって挿入長さ方向に圧縮されるように、前記マウスピース管部の長さは前記フルフェイスマスクのレギュレーター取付け部の長さと同等以下であることを特徴とするフルフェイスマスクのレギュレーター固定方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、前記引用文献1の固定方法によらない汎用フルフェイスマスクに呼吸器の取付ける汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
マスク本体が軟質ゴム製の汎用フルフェイスマスクにおいて、ダイバーの口元対応部に外向きに突出形成された筒状接続部がマウスピースを取り外された呼吸器のケース本体の管状装着部に被嵌装着され、前記筒状接続部を除く口元対応部の所要範囲の外面部にベース板が接面され、反対の内面部に対応して補強板が接面され、それらが内外に貫通する締着手段より挟圧固定されて設けられ、かつ、前記呼吸器のケース本体の管状装着部の内部に挿通した呼吸器連結具により前記補強板と呼吸器のケース本体の取付け部が定間隔に連結され、マスク本体の口元対応部と呼吸器のケース本体の管状装着部とが一体の剛体に設けられてなる汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置にある。
【0024】
前記軟質ゴム製の汎用フルフェイスマスクのマスク本体の口元対応部の外面部に接面される前記ベース板と内面部に接面される補強板は、マスク本体の口元対応部を貫通し、かつ、ベース板と補強板の取付け孔に貫通する取付けネジとナットとにより締付けられて配備され、筒状接続部を形成した口元対応部の所要範囲が剛体に設けられてなる汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置にある。
【0025】
前記補強板は、前記軟質ゴム製のマスク本体の口元対応部の筒状接続部に接続する呼吸器のケース本体の管状装着部の先端面を、その内面部と同一面もしくは内面部より軟質ゴム製のマスク本体の内方へ僅かに突出させて呼吸器のケーシング本体の内部と軟質ゴム製のマスク本体の内部とを連通させる管状装着部用孔が開口されてなる汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置にある。
【0026】
両端が取付け部に設けられた呼吸器連結具が呼吸器のケース本体の管状装着部の内部に挿通され、その一方端の取付け部が軟質ゴム製のマスク本体の口元対応部の内面部の補強板に、ネジにより止着され、反対の他方端の取付け部が呼吸器のケース本体の取付け部にネジより止着されて呼吸器のケース本体と軟質ゴム製のマスク本体の口元対応部の内面部の補強板とが定間隔に連結されてなる汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置にある。
【0027】
前記ベース板には、その右側縁の右上方と左側縁の左上方に、マスク本体の眼鏡レンズ取付け部の外回締付枠の下半部の右下半部と左下半部とに夫々接続する右接続部と左接続部を上端部に有する右上方支杆部と左上方支杆部とが一体に形成され、ベース板がマスク本体の眼鏡レンズ取付け部の外回締付枠に接続されて一体に保持する剛体が設けられてなる汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置にある。
【0028】
前記右接続部は、前記右上方支杆部の上端部が右前向掛爪付き上半部とその下方部が右下半取付け台部に形成され、該右下半取付け台部に背面から嵌合し、その左右側面において前方に突出する右規制部右側縁と右規制部左側縁を夫々に配備する右規制部と、後向き右掛爪部を上端に備える右後向掛爪付き上半部と、前記右下半取付け台部の正面に連接する右下半取付け部を備える右前側取付け部からなる汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置にある。
【0029】
前記左接続部は、前記左上方支杆部の上端部が左前向掛爪付き上半部とその下方部が左下半取付け台部に形成され、該左下半取付け台部に背面から嵌合し、その左右側面において前方に突出する左規制部右側縁と左規制部左側縁を夫々に配備する左規制部と、後向き左掛爪部を上端に備える左後向掛爪付き上半部と、前記左下半取付け台部の正面に連接する左下半取付け部を備える左前側取付け部からなる汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置にある。
【発明の効果】
【0030】
本発明の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置によると、軟質ゴム製のマスク本体から構成される従来のマスクは、レンズ部から呼吸器取付け部まで、ゴム状体が応力を受けても変形しない剛体となり、本格的フルフェイスマスクと同様の強度を備えるフルフェイスマスクへの変換が簡単に行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】従来における汎用フルフェイスマスクとこれに接続する呼吸器の正面外観斜視図である。
【
図2】従来における汎用フルフェイスマスクと呼吸器を接続した状態の要部の一部切欠き縦断面側面図である。
【
図3】本発明の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置により汎用フルフェイスマスクに呼吸器を取付けた状態の正面外観斜視図である。
【
図4】本発明の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置の要部の構造を示す正面図である。
【
図5】本発明の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置における外面支承板と内面支承板の分解状態正面斜視図である。
【
図6】本発明の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置を構成する外面支承板における左上半支杆上端接続部と右上半支杆上端接続部の分解正面斜視図である。
【
図9】本発明の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置における内面支承板の補強板と呼吸器本体を連結する呼吸器連結具の拡大斜視図である。
【
図10】本発明の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置により汎用フルフェイスマスクに呼吸器を取付けた状態の要部の一部切欠き縦断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
マスク本体が軟質ゴム製の汎用フルフェイスマスクにおいて、ダイバーの口元対応部に外向きに突出形成された筒状接続部がマウスピースを取り外された呼吸器のケース本体の管状装着部に被嵌装着され、前記筒状接続部を除く口元対応部の所要範囲の外面部と内面部にベース板と補強板が接面され、マスク本体の口元対応部を貫通し、かつ、ベース板と補強板の取付け孔に貫通する取付けネジとナットとにより締付けられて口元対応部に配備され、筒状接続部を形成した口元対応部の所要範囲が剛体に設けられ、前記補強板は、前記軟質ゴム製のマスク本体の口元対応部の筒状接続部に接続する呼吸器のケース本体の管状装着部の先端面を、その内面部と同一面か、内面部より軟質ゴム製のマスク本体の内方へ僅か突出させて呼吸器のケーシング本体の内部と軟質ゴム製マスク本体の内部とを連通させる開口部が開口され、両端が取付け部に設けられた呼吸器連結具が呼吸器のケース本体の管状装着部の内部に挿通され、その一方端の取付け部を軟質ゴム製のマスク本体の口元対応部の内面部の補強板の取付けネジ孔に螺合するネジにより止着され、その他方端の取付け部を呼吸器のケース本体の取付け部にネジより止着されて呼吸器のケース本体と軟質ゴム製のマスク本体の口元対応部の内面部の補強板とが連結され、前記ベース板の右側縁の右上方と左側縁の左上方に、マスク本体の眼鏡レンズ取付け部の外回締付枠の下半部の右下半部と左下半部とに夫々接続する右接続部と左接続部を上端部に有する右上方支杆部と、左上方支杆部とが一体に形成され、ベース板がマスク本体の外回締付枠に接続されて一体に保持する剛体が設けられてなる汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置。
【実施例0033】
以下、本発明の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置11を、実施例を示す
図1~
図10の図面に基づいて説明すると、従来のマスク1のゴム体製のマスク本体1aにおけるダイバーの口元対応部1a1において、固定用ネジ12を通す左右の取付け孔13が外向きに突設された筒状接続部6を中心とする両側の離隔位置の二個所に開設される。
【0034】
前記マスク本体1aの口元対応部1a1の外面部1a11にベース板14を、そのベース板14に開設した筒状接続部用孔15に前記筒状接続部6を外向きに通した後、該ベース板14に開孔した取付け孔16を前記左右の取付け孔13と対応させて接面させる。前記ベース板14は、金属板、特にアルミニュウム板、合成樹脂、強化合成樹脂板等が選択される。
【0035】
前記マスク本体1aにおけるダイバーの口元対応部1a1の内面部1a12に、前記ベース板14に対応して接面される補強板17は、前記ベース板14に適合した外形に形成される。この補強板17についても、ベース板14と同様に材質が選択される。
【0036】
前記補強板17は、その中心に、前記ベース板14の筒状接続部用孔15に対応し、かつ呼吸器7のマウスピースを外した管状装着部7a1と適合して嵌挿する管状装着部用孔18が開孔され、かつ、前記マスク本体1aにおけるダイバーの口元対応部1a1の左右に開設された左右の取付け孔13と対応して取付け孔19が開孔される。
【0037】
前記補強板17は、管状装着部用孔18の両側近傍であって、かつ取付け孔19の下方に取付けネジ孔20が配備される。
【0038】
前記ベース板14と前記補強板17は、マスク本体1aの外面部1a11と内面部1a12に接面状態において、固定用ネジ12が前記マスク本体1aにおけるダイバーの口元対応部1a1の取付け孔13とは圧接状態、ベース板14の取付け孔16と補強板17の取付け孔19とは遊合状態に、夫々挿通されると共に、固定用ネジ12の一方端にナット21が螺合されて、マスク本体1aの口元対応部1a1における筒状接続部6の周囲の所要範囲が前記ベース板14と前記補強板17により挟圧保持され、マスク本体1aの口元対応部1a1が口元剛体部22に構成される。なお、前記固定用ネジ12とナット21には、座金21aを用いてもよいものである。
【0039】
マスク本体1aにおける口元対応部1a1の筒状接続部6と呼吸器7のケース本体7aの接続は、マスク本体1aの筒状接続部6にマウスピースを外した管状装着部7a1を、筒状接続部6の内径面の環状凹陥溝6bに管状装着部7a1の外径面の環状凸状部7bを嵌着して挿通し、管状装着部7a1の先端面7a11をマスク本体1aの口元対応部1a1の内面部1a12より内方へ僅かに突出させて補強板17の管状装着部用孔18に連通させてなる。
【0040】
図4、
図9及び
図10に示すように、両端が一方の取付け部23a1と他方の取付け部23a2に設けられた右呼吸器連結具23aと両端が一方の取付け部23b1と他方の取付け部23b2に設けられた左呼吸器連結具23bを呼吸器7のケース本体7aの管状装着部7a1の内部に通し、それらの一方の取付け部23a1の取付け孔23a11と一方の取付け部23b1の取付け孔23b11に取付けネジ24、24が挿通された後、補強板17の取付けネジ孔20、20に螺合されて止着され、それらの他方の取付け部23a2の取付け孔23a21と他方の取付け部23b2の取付け孔23b21に取付けネジ25、25が挿通された後、呼吸器7のケース本体7aの取付け部7a3のネジ孔(図示しない)に螺合されて止着される。
【0041】
図4、
図5及び
図6に示すように、前記ベース板14の右上方には、マスク本体1aの眼鏡レンズ取付け部3の外回締付枠4の下半部4bの右下半部4b1と接続する右接続部14b11を上端に有する右上方支杆部14b1が一体に形成され、同じく前記ベース板14の左上方にはマスク本体1aの眼鏡レンズ取付け部3の外回締付枠4の下半部4bの左下半部4b2と接続する左接続部14b21を上端部に有する左上方支杆部14b2が一体に形成される。前記右上方支杆部14b1および左上方支杆部14b2がベース板14と同一資材で設けられる。
【0042】
前記右接続部14b11は、
図6に示すように、右上方支杆部14b1の上端部の右前向掛爪付き上半部14b111とその下方部の右下半取付け台部14b112から形成される。
【0043】
前記右下半取付け台部14b112に背面から嵌合し、その左右側面において前方に突出する右規制部右側縁14b121と右規制部左側縁14b122を夫々に配備する右規制部14b12と、右後向掛爪付き上半部14b131と右下半取付け部14b132からなる右前側取付け部14b13が形成される。
【0044】
前記左接続部14b21は、
図6に示すように、左上方支杆部14b2の上端部の左前向掛爪付き上半部14b211とその下方部が左下半取付け台部14b212から形成される。
【0045】
前記左下半取付け台部14b212に背面から嵌合し、その左右側面において前方に突出する左規制部右側縁14b221と左規制部左側縁14b222を夫々に配備する左規制部14b22と、左後向掛爪付き上半部14b231と左下半取付け部14b232とからなる左前側取付け部14b23が形成される。
【0046】
前記ベース板14の右上方へ延長された右上方支杆部14b1の右接続部14b11と左上方へ延長された左上方支杆部14b2の左接続部14b21は、右接続部14b11の構成部材の取付け孔26a1、26b1、26c1と左接続部14b21の構成部材の取付け孔26a2、26b2、26c2に貫通する固着ネジ27とこれに螺合するナット28及び座金28a、28bにより締付けられて固着される。
【0047】
前述のように、マスク本体1aのダイバーと対応する口元対応部1a1は、その外面部1a11と内面部1a12にベース板14と補強板17が重合され、その間を貫通する固着手段により狭圧固着されて該部が口元剛体部22となる。そして、口元剛体部22と呼吸器7とが、従来と同様に、呼吸器7の管状装着部7a1に対してマスク本体1aの口元対応部1a1の筒状接続部6が被嵌装着された後、呼吸器7の管状装着部7a1の内径部に、前後に嵌挿された右呼吸器連結具23aと左呼吸器連結具23bが、それらの一方の取付け部23a1と23b1が口元対応部1a1の補強板17に固着され、それらの他方の取付け部23a2と23b2が呼吸器7の内面の取付け部7a3に固着され、それらの間を定間隔に保持し、かつ、曲げ応力に対して強度を補強し、呼吸器のケーシング本体7aとマスク本体1aの口元対応部1a1は一体化されるものである。
【0048】
前記口元対応部1a1の左右の取付け孔13は、固定用ネジ12の直径より小径とし、固定用ネジ12を挿通することにより拡張し、その収縮力に圧着してもよいものである。
【0049】
また、前記ベース板14は、マスク本体1aの口元対応部1a1の中心の所要範囲と重合する重合面部14aの上縁の左右が上方へ延長された右上方支杆部14b1と左上方支杆部14b2が形成され、夫々の先端には、右接続部14b11と左接続部14b21が配備され、マスク本体1aの眼鏡レンズ取付け部3の外回締付枠4の下半部4bの右下半部4b1と左下半部4b2と一体に接続されるものであるから、ベース板14は、ダイバーの顔面にしっかりと固定されたマスク本体1aの眼鏡レンズ取付け部3の外回締付枠4に一体化され、強固にベース板14が保持されるものである。
【0050】
中圧空気の通気によるホース9が直線になろうとする応力やダイバーの顔の動きによる応力は、口元剛体部22と右呼吸器連結具23aと左呼吸器連結具23bが補強して受けることになり、呼吸器7を取り付けるマスク本体1aの軟質ゴムにあたえる疲労を防ぎ所要の耐久性を得ることができる。
【0051】
また、ケース本体7aの管状装着部7a1の「オゾン」による亀裂等も結束バンド8により締付けられて遮蔽されており、生じないものである。
【0052】
さらに、本発明の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置の利点は、マウスピース型の呼吸器が必要となった場合、簡単に戻せることである。
本発明の汎用フルフェイスマスク用呼吸器の取付け装置によると、軟質ゴム製のマスク本体の汎用フルフェイスマスクを本格的フルフェイスマスクと同様の強度を備えるフルフェイスマスクへ変換が非常に簡単に行え、安全に使用することができる。