IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ FDK株式会社の特許一覧

特開2022-169913バックアップ電源装置、及び充放電制御方法
<>
  • 特開-バックアップ電源装置、及び充放電制御方法 図1
  • 特開-バックアップ電源装置、及び充放電制御方法 図2
  • 特開-バックアップ電源装置、及び充放電制御方法 図3
  • 特開-バックアップ電源装置、及び充放電制御方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169913
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】バックアップ電源装置、及び充放電制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20221102BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221102BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/02 G
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075632
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 一裕
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503GA01
5G503HA02
5G503HA03
5H030AS03
5H030BB01
5H030BB23
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】同時に充電されるグループの電池数が異なる場合であっても、充電器が出力する充電電流を変化させることなく、グループ間の充電率を均一にする。
【解決手段】バックアップ電源装置1は、並列に接続された第1電池パックBP1~第5電池パックBP5と、各電池パックに充電電流を供給する充電器10と、各電池パックの充電経路を個別に断接する第1充電スイッチSWc1~第5充電スイッチSWc5と、各充電スイッチを制御する制御装置30と、を備え、制御装置30は、各電池パックを複数のグループに振り分け、グループ内の電池数に応じたデューティ比で各充電スイッチをPWM制御することでグループごとに各電池パックを充電する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続された複数の二次電池と、
前記二次電池に充電電流を供給する充電器と、
複数の前記二次電池の充電経路を個別に断接する複数の充電スイッチと、
複数の前記充電スイッチを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、複数の前記二次電池を複数のグループに振り分け、前記グループ内の電池数に応じたデューティ比で前記充電スイッチをPWM制御することで前記グループごとに前記二次電池を充電する、バックアップ電源装置。
【請求項2】
前記制御装置は、電池数が最多の前記グループを100%のデューティ比で充電する、請求項1に記載のバックアップ電源装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記グループ内において複数の前記二次電池に供給される前記充電電流を所望の電流にするため前記デューティ比を個別に補正する、請求項1又は2に記載のバックアップ電源装置。
【請求項4】
複数の前記二次電池の放電経路を個別に断接する複数の放電スイッチを備え、
前記制御装置は、外部の負荷装置から放電要求があった場合に、複数の前記二次電池のうち電池電圧が前記負荷装置の上限電圧未満の前記二次電池に対応する前記放電スイッチのみをONに制御する、請求項1乃至3のいずれかに記載のバックアップ電源装置。
【請求項5】
前記制御装置は、一の前記グループを充電する場合に、他の前記グループの全ての電池電圧が前記上限電圧以上である期間においては充電を保留する、請求項4に記載のバックアップ電源装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記グループの数が3以上である場合に、一の前記グループの充電が完了したことを条件として他の前記グループの充電を開始する、請求項4に記載のバックアップ電源装置。
【請求項7】
複数の充電スイッチにより充電経路が個別に断接される並列に接続された複数の二次電池に対する充電制御方法であって、
複数の前記二次電池が複数のグループに振り分けられ、
前記グループ内の電池数に応じたデューティ比で前記充電スイッチをPWM制御することで前記グループごとに前記二次電池が充電される、充放電制御方法。
【請求項8】
電池数が最多の前記グループが100%のデューティ比で充電される、請求項7に記載の充放電制御方法。
【請求項9】
前記グループ内において複数の前記二次電池に供給される充電電流を所望の電流にするため前記デューティ比が個別に補正される、請求項7又は8に記載の充放電制御方法。
【請求項10】
複数の前記二次電池は、複数の放電スイッチにより放電経路が個別に断接され、
外部の負荷装置から放電要求があった場合に、複数の前記二次電池のうち電池電圧が前記負荷装置の上限電圧未満の前記二次電池に対応する前記放電スイッチのみがONに制御される、請求項7乃至9のいずれかに記載の充放電制御方法。
【請求項11】
一の前記グループを充電する場合に、他の前記グループの全ての電池電圧が前記上限電圧以上である期間においては充電が保留される、請求項10に記載の充放電制御方法。
【請求項12】
前記グループの数が3以上である場合に、一の前記グループの充電が完了したことを条件として他の前記グループの充電を開始する、請求項10に記載の充放電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ電源装置、及び充放電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バックアップ電源装置は、停電等によって外部電源から負荷装置へ電力が供給されない状態になったときに、予め充電した二次電池から負荷装置へ電力を供給することにより、負荷装置の動作を継続させることができる。一般的にバックアップ電源装置は、複数の二次電池を内蔵し、外部電源と負荷装置との導電路上に接続されることにより、停電でない平時において外部電源から供給される電力で当該二次電池が充電される。
【0003】
ここで、当該二次電池を充電する充電器は、外部電源から供給される電圧を昇圧することにより、充電の進行に伴い上昇する二次電池の電池電圧よりも高い充電電圧を出力する。このため、当該二次電池は、特に満充電状態まで充電された直後においては、負荷装置に印加できる上限電圧を超過し得るため、そのまま放電した場合には負荷装置を故障させる可能性が生じることになる。
【0004】
このような問題に対し、特許文献1に開示された無停電原装置では、2つの電池パックを並列に接続し、一方の電池パックが充電中、又は電池電圧が負荷装置の上限電圧以下に低下するまで放電を禁止し、その期間中に他方の電池パックを放電可能状態で待機させている。これにより当該無停電原装置は、内部の電池パックを十分に充電させながらも常時放電可能な状態で待機し、停電発生時においても負荷装置を故障させることなく電池パックを放電させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-10250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のようなバックアップ電源装置は、想定する連続稼働時間が長い程、内蔵する二次電池の並列数が増加することになる。このとき、並列接続された複数の二次電池を、充電されるグループと、放電可能状態で待機するグループと、に振り分ける場合に、各グループに所属する二次電池の電池数が互いに異なることがある。そして、各グループの電池数が異なる場合には、充電器から出力される充電電流を制御しない限り、グループごとに充電率(充電速度)が異なってしまい、満充電時に充電を停止するタイミングが異なることにより、充電完了後の充電容量が不均一になってしまう虞が生じる。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、同時に充電されるグループの電池数が異なる場合であっても、充電器が出力する充電電流を変化させることなく、グループ間の充電率を均一にすることができるバックアップ電源装置、及び充放電制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のバックアップ電源装置は、並列に接続された複数の二次電池と、前記二次電池に充電電流を供給する充電器と、複数の前記二次電池の充電経路を個別に断接する複数の充電スイッチと、複数の前記充電スイッチを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、複数の前記二次電池を複数のグループに振り分け、前記グループ内の電池数に応じたデューティ比で前記充電スイッチをPWM制御することで前記グループごとに前記二次電池を充電する。
【0009】
また、本発明の充放電制御方法は、複数の充電スイッチにより充電経路が個別に断接される並列に接続された複数の二次電池に対する充電制御方法であって、複数の前記二次電池が複数のグループに振り分けられ、前記グループ内の電池数に応じたデューティ比で前記充電スイッチをPWM制御することで前記グループごとに前記二次電池が充電される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、同時に充電されるグループの電池数が異なる場合であっても、充電器が出力する充電電流を変化させることなく、グループ間の充電率を均一にすることができるバックアップ電源装置、及び充放電制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係るバックアップ電源装置の回路図である。
図2】バックアップ電源装置の充電制御手順の概略を表すフローチャートである。
図3】第1グループ及び第2グループを順に充電した場合の電池パックの電池電圧、及び各充電スイッチの動作を表すタイミングチャートである。
図4】第2実施形態に係る各グループを順に充電した場合の電池パックの電池電圧、及び各充電スイッチの動作を表すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るバックアップ電源装置1の回路図である。バックアップ電源装置1は、入出力端子Tin/Tout及び接地端子GNDが設けられ、例えば図示しない外部電源と負荷装置との導電路上に接続されることにより、詳細を後述するように内蔵される複数の電池パックBP1~BP5を充放電させる予備電源である。本実施形態のバックアップ電源装置1は、充電器10,バッテリモジュール20、充電ラインLc、放電ラインLd、接地ラインLg、及び制御装置30を備える。
【0014】
充電器10は、入出力端子Tin/Toutを介して外部電源から供給された電圧を、充電に適した電圧に変換して充電ラインLcに出力するDC/DCコンバータである。充電器10は、充電制御の実行時に出力電流を一定に維持し、並列接続された複数の電池パックBP1~BP5のうち充電対象の二次電池の電池電圧に応じて充電電圧を昇圧することにより、当該二次電池を満充電状態になるまで充電する。
【0015】
バッテリモジュール20は、並列に接続された複数のバッテリ、及びこれらに対応する充放電経路等を含み、本実施形態では第1モジュール21、第2モジュール22、第3モジュール23、第4モジュール24、及び第5モジュール25から構成される。尚、モジュールの数は、これに限定されるものではなく複数であればよい。
【0016】
第1モジュール21は、「二次電池」としての第1電池パックBP1、第1充電スイッチSWc1、第1充電ダイオードDc1、第1放電ダイオードDd1、第1放電スイッチSWd1、第1抵抗器R1、及び第1サーミスタTM1を備える。
【0017】
第1電池パックBP1は、例えば直列に接続された複数のアルカリ二次電池から構成される。第1電池パックBP1は、停電でない平時において、充電ラインLc、第1充電スイッチSWc1、及び第1充電ダイオードDc1を介して充電器10により充電される。
【0018】
また、第1電池パックBP1は、停電時において、第1放電スイッチSWd1、第1放電ダイオードDd1、及び放電ラインLdを介して、入出力端子Tin/Toutに接続された図示しない負荷装置に放電することができる。
【0019】
ここで、第1電池パックBP1は、シャント抵抗としての第1抵抗器R1、接地ラインLgを介して接地端子GNDに接続され、シャント抵抗に流れる電流により充電電流が測定される。また、第1電池パックBP1の近傍には第1サーミスタTM1が設けられ、第1電池パックBP1の電池温度が測定される。
【0020】
第2モジュール22乃至第5モジュール25については、第1モジュール21と同様の構成を有するため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0021】
制御装置30は、例えば公知のマイコン制御回路からなり、バックアップ電源装置1の全体的な動作を管理する。より具体的には、制御装置30は、第1電池パックBP1~第5電池パックBP5のそれぞれの電池電圧、充電電流、及び電池温度を個別に取得するほか、負荷装置からの放電要求や外部機器からのシャットダウン信号を割り込み信号として受信する。また、制御装置30は、充電器10のON/OFF状態や昇圧動作を制御すると共に、第1充電スイッチSWc1~第5充電スイッチSWc5、及び第1放電スイッチSWd1~第5放電スイッチSWd5を個別に断接制御する。
【0022】
次に、バックアップ電源装置1の充放電制御方法についてより詳細に説明する。制御装置30は、外部の負荷装置から放電要求があった場合には、充電制御状態にあるか否かに拘らず、第1充電スイッチSWc1~第5充電スイッチSWc5の全てをOFFに制御し、第1放電スイッチSWd1~第5放電スイッチSWd5をONに制御することにより、各電池パックから放電ラインLd及び入出力端子Tin/Toutを介して負荷装置に電力を供給する。
【0023】
ここで、第1電池パックBP1~第5電池パックBP5の電池電圧は、特に満充電まで充電された直後の状態においては、負荷装置に供給可能な上限電圧Vuを超過している可能性がある。そして、電池電圧が上限電圧Vuを超過した状態の電池パックを放電要求時に負荷装置に接続した場合には、当該負荷装置を故障させてしまう可能性が生じる。そこで、制御装置30は、このような場合においては、第1電池パックBP1~第5電池パックBP5のうち電池電圧が上限電圧Vu未満の電池パックに対応する放電スイッチのみをONに制御する。
【0024】
尚、各電池パックは、放電の進行具合に応じて電池電圧に差がある場合もあるが、この場合には電池電圧の高い電池が優先的に放電され、放電の進行に伴って電池電圧が均等化されていくことになる。
【0025】
図2は、バックアップ電源装置1の充電制御手順の概略を表すフローチャートである。制御装置30は、起動時、並びに定期的に当該手順を実行することにより、電池電圧が低下した電池パックを充電する。
【0026】
まず、制御装置30は、第1電池パックBP1~第5電池パックBP5の電池電圧を取得し、いずれかの電池パックに充電が必要か否かを判定する(ステップS1)。そして、制御装置30は、充電が必要な電池がある場合には(ステップS1でYes)、第1充電スイッチSWc1~第5充電スイッチSWc5のうち充電対象の電池パックに対応するスイッチをONにして充電器10を駆動する。
【0027】
ここで、制御装置30は、各電池パックを第1グループ及び第2グループに振り分け、当該グループごとに電池を充電する。本実施形態では、第1電池パックBP1~第3電池パックBP3を第1グループとし、第4電池パックBP1~第5電池パックBP5を第2グループとして説明することとする。尚、当該グループは、任意の振り分け方が可能であり、予めグループ分けがなされていてもよく、又はその都度グループ分けがなされてもよい。また、バックアップ電源装置1がより多くの電池パックを備える場合には、3つ以上のグループ分けがなされてもよい。
【0028】
そして、制御装置30は、充電対象として例えば第1グループを選択する場合(ステップS2)、第4充電スイッチSWc4~第5充電スイッチSWc5をOFFに制御した状態で、第1充電スイッチSWc1~第3充電スイッチSWc3をPWM制御することにより、第1電池パックBP1~第3電池パックBP3を充電制御する(ステップS3)。
【0029】
ここで、当該充電制御においては、充電対象のグループ内の電池数に応じたデューティ比で制御対象の充電スイッチがPWM制御される。例えば本実施形態においては、第1グループの電池数が3であり、第2グループの電池数が2である。このため、第1グループを充電する場合のデューティ比と第2グループを充電する場合のデューティ比とは、3:2の比率に設定される。すなわち、第1グループの電池を100%のデューティ比で充電するのであれば、第2グループの電池は約67%のデューティ比で充電される。これにより、各電池パックは、いずれも同一の充電率で充電されることになる。
【0030】
第1グループの電池パックに対し100%のデューティ比で充電が開始されると、制御装置30は、第1グループの電池パックが満充電状態まで充電されたか否かを判定する(ステップS4)。そして、制御装置30は、第1グループの電池パックが満充電状態に達するまで当該デューティ比による充電制御を継続する(ステップS4でNo)。
【0031】
第1グループの電池パックが満充電状態に達すると(ステップS4でYes)、制御装置30は、第1グループの電池パックの電池電圧と負荷装置の上記した上限電圧Vuとを比較し、第1グループの電池パックが放電可能な状態であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0032】
第1グループの電池パックが負荷装置の上限電圧Vu以上である期間は(ステップS5でNo)、制御装置30は、放電可能な状態でないとして第1グループの電池パックの放電を禁止する(ステップS6)。
【0033】
一方、第1グループの電池パックが負荷装置の上限電圧Vu未満まで低下すると(ステップS5でYes)、制御装置30は、放電可能な状態になったものとして第1グループの電池パックの放電を許可する(ステップS7)。
【0034】
また、制御装置30は、いずれかの電池パックに充電が必要か否かを再び判定し(ステップS1)、第2グループの電池パックにも充電が必要である場合には(ステップS1でYes)、充電グループとして第2グループを選択し(ステップS2)、第1グループと同様の手順で第2グループを67%のデューティ比で充電する。そして、全てのグループの充電が不要と判定されると(ステップS1でNo)、一連の充電制御手順を終了する。
【0035】
続いて、上記の充電制御手順に伴う各電池パックの状態変化について説明する。図3は、第1グループ及び第2グループを順に充電した場合の電池パックの電池電圧、及び各充電スイッチの動作を表すタイミングチャートである。ここで、第1電池パックBP1~第5電池パックBP5は、制御装置30の起動時において、充電開始前の電池電圧がいずれも充電の必要な初期電圧Vsを有するものとする。また、制御装置30の起動時においては、各充電スイッチ及び各放電スイッチはいずれもOFFの状態である。
【0036】
バックアップ電源装置1は、例えば外部電源と負荷装置との導電路上に接続され電源が供給されると、制御装置30が起動して外部機器との接続確認等の初期動作を行う。また、制御装置30は、上記した充電制御手順を実行することにより、タイミングt1において第1グループに対応する第1充電スイッチSWc1~第3充電スイッチSWc3を100%のデューティ比でPWM制御し、第1電池パックBP1~第3電池パックBP3の充電を開始する。
【0037】
ここで、制御装置30は、充電対象のグループ内において各電池パックに供給される充電電流を取得し、当該充電電流を所望の電流にするため、当該電流差に基づいてデューティ比を個別に補正してもよい。より具体的には、当該充電電流に電流差があり、例えば第2電池パックBP2に供給される充電電流が第1電池パックBP1に供給される充電電流よりも僅かに多い場合、その差に応じて第2充電スイッチSWc2のデューティ比を例えば99%に低下させる。これにより、同時に充電されるグループ内の電池パック間で充電率を均一化することができる。
【0038】
第1グループの各電池パックがタイミングt2において満充電状態に達すると、制御装置30は、第1充電スイッチSWc1~第3充電スイッチSWc3を停止させる。このとき、第1電池パックBP1~第3電池パックBP3は、電池電圧が最大電圧Vmaxに達し、負荷装置の上限電圧Vuを超過しているため放電が禁止される。
【0039】
また、制御装置30は、第2グループの各電池パックが充電要求状態であるものの、他の全てのグループ、すなわちここでは第1グループの電池電圧が上限電圧Vu以上である期間においては充電を保留する(タイミングT2~タイミングt3)。
【0040】
そして、第1グループの電池電圧が上限電圧Vu未満となるタイミングt3において、第2グループに対応する第4充電スイッチSWc4~第5充電スイッチSWc5を67%のデューティ比でPWM制御し、第4電池パックBP4~第5電池パックBP5の充電を開始する。
【0041】
このとき、第4電池パックBP4~第5電池パックBP5に対する充電率は、第1電池パックBP1~第3電池パックBP3に対する充電率と一致している。このため、第2グループの電池電圧は、グループ内の電池数の違いに拘らず第1グループと同一条件で満充電状態に達することにより、最大電圧Vmaxのみならず(タイミングt4)、その後の電圧降下の軌道も一致する。従って、全ての電池パックは、上限電圧Vuよりも僅かに低い電池電圧において、最終的な充電容量が略均一化される(タイミングt5)。
【0042】
以上のように、本実施形態に係るバックアップ電源装置1は、並列に接続された第1電池パックBP1~第5電池パックBP5を複数のグループに振り分け、グループ内の電池数に応じたデューティ比のPWM制御によりグループごと各電池パックを充電する。このため、バックアップ電源装置1は、充電器10から供給される充電電流が一定で、且つグループ内の電池パックの数が異なる場合であっても、全ての電池パックの充電速度を一定にすることができる。従って、本実施形態に係るバックアップ電源装置1によれば、同時に充電されるグループの電池数が異なる場合であっても、充電器10が出力する充電電流を変化させることなく、グループ間の充電率を均一にすることができる。
【0043】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るバックアップ電源装置1は、上記した第1実施形態のバックアップ電源装置1のバッテリモジュール20において、更に第6電池パックBP6が並列に接続される点で第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる部分について説明することとし、第1実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0044】
第2実施形態におけるバックアップ電源装置1は、第1実施形態の第1電池パックBP1~第5電池パックBP5と同一の構成を有する第6電池パックBP6が第1電池パックBP1~第5電池パックBP5に並列に接続されている。また、本実施形態においては、第6電池パックBP6のみが新たな第3グループとして、第1グループ及び第2グループとは別に充電されるものとする。
【0045】
このため、本実施形態の第1グループ~第3グループの電池数はそれぞれ3,2,1であり、制御装置30は、各グループの充電においてPWM制御のデューティ比を3:2:1に設定する。例えば、制御装置30は、電池数が最多の第1グループを100%のデューティ比で充電する場合には、第2グループを67%、第3グループを33%のデューティ比で充電し、これにより各グループの電池容量を均一化することができる。
【0046】
図4は、第2実施形態に係る各グループを順に充電した場合の電池パックの電池電圧、及び各充電スイッチの動作を表すタイミングチャートである。制御装置30は、第1実施形態と同様の充電制御手順を実行することにより、タイミングt11において第1グループに対応する第1充電スイッチSWc1~第3充電スイッチSWc3を100%のデューティ比でPWM制御し、第1電池パックBP1~第3電池パックBP3の充電を開始する。
【0047】
また、第1グループの各電池パックがタイミングt12において満充電状態に達すると、制御装置30は、第1充電スイッチSWc1~第3充電スイッチSWc3を停止させる。このとき、第1電池パックBP1~第3電池パックBP3は、電池電圧が最大電圧Vmaxに達し、負荷装置の上限電圧Vuを超過しているため放電が禁止される。
【0048】
ただし、本実施形態においては、たとえ第1グループが放電不可な状態で且つ第2グループが充電中であったとしても、停電の発生時に第3グループの電池パックで放電が可能である。このため、制御装置30は、第1グループの充電が完了したことを条件として第2グループの充電を開始することができる(タイミングt13)。
【0049】
また、制御装置30は、第2グループの充電が完了したタイミングt13においても、第3グループに対応する第6充電スイッチSWc6を33%のデューティ比でPWM制御し、第6電池パックBP6の充電を直ちに開始することができる。そして、第6電池パックBP6が満充電状態に達した後(タイミングt14)、上限電圧Vuよりも僅かに低い電池電圧まで低下するタイミングt15以降において、各電池パックの充電容量が略均一化される。
【0050】
従って、本実施形態におけるバックアップ電源装置1によれば、複数のグループの電池パックが充電要求状態であっても、充電が保留されることなく連続して各グループの充電を行うことができる。
【0051】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の各実施形態では、第1グループの電池パックから順に充電する形態を例示したが、第2グループ又は第3グループから充電を開始してもよく、又は、充電前の初期電圧Vsが低いグループから充電を開始してもよい。
【0052】
<本発明の実施態様>
本発明の第1実施態様に係るバックアップ電源装置は、並列に接続された複数の二次電池と、前記二次電池に充電電流を供給する充電器と、複数の前記二次電池の充電経路を個別に断接する複数の充電スイッチと、複数の前記充電スイッチを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、複数の前記二次電池を複数のグループに振り分け、前記グループ内の電池数に応じたデューティ比で前記充電スイッチをPWM制御することで前記グループごとに前記二次電池を充電する。
【0053】
第1実施態様に係るバックアップ電源装置は、並列に接続された複数の二次電池を複数のグループに振り分け、グループ内の電池数に応じたデューティ比のPWM制御によりグループごと当該二次電池を充電する。このため、バックアップ電源装置は、充電器から供給される充電電流が一定で、且つグループ内の二次電池の数が異なる場合であっても、全ての二次電池の充電率を一定にすることができる。従って、本発明に係るバックアップ電源装置によれば、同時に充電されるグループの電池数が異なる場合であっても、充電器が出力する充電電流を変化させることなく、グループ間の充電率を均一にすることができる。
【0054】
本発明の第2実施態様に係るバックアップ電源装置は、上記した第1実施態様に係るバックアップ電源装置において、前記制御装置は、電池数が最多の前記グループを100%のデューティ比で充電する。
【0055】
第2実施態様に係るバックアップ電源装置によれば、充電グループごとの電池数の違いに拘らず各二次電池の充電率を均一に維持しつつ、全てのグループに対する充電率を最大化することができる。
【0056】
本発明の第3実施態様に係るバックアップ電源装置は、上記した第1又は第2実施態様に係るバックアップ電源装置において、前記制御装置は、前記グループ内において複数の前記二次電池に供給される前記充電電流を所望の電流にするため前記デューティ比を個別に補正する。
【0057】
第3実施態様に係るバックアップ電源装置によれば、例えば同時に充電するグループ内の二次電池の間に充電電流の差がある場合であっても、充電スイッチに対するデューティ比により充電速度を調整することで、全ての二次電池の充電率を均一化することができる。
【0058】
本発明の第4実施態様に係るバックアップ電源装置は、上記した第1乃至第3実施態様のいずれかに係るバックアップ電源装置において、複数の前記二次電池の放電経路を個別に断接する複数の放電スイッチを備え、前記制御装置は、外部の負荷装置から放電要求があった場合に、複数の前記二次電池のうち電池電圧が前記負荷装置の上限電圧未満の前記二次電池に対応する前記放電スイッチのみをONに制御する。
【0059】
第4実施態様に係るバックアップ電源装置によれば、並列に接続された複数の二次電池から負荷装置へ放電する場合に、負荷装置の上限電圧を超過する電池電圧を有する二次電池に対し放電スイッチで放電を規制することにより、負荷装置の超過電圧印加に伴う故障を防止することができる。
【0060】
本発明の第5実施態様に係るバックアップ電源装置は、上記した第4実施態様に係るバックアップ電源装置において、前記制御装置は、一の前記グループを充電する場合に、他の前記グループの全ての電池電圧が前記上限電圧以上である期間においては充電を保留する。
【0061】
第5実施態様に係るバックアップ電源装置によれば、少なくとも1つのグループに含まれる二次電池の電池電圧が常に負荷装置の上限電圧未満に維持されることにより、放電要求のタイミングに拘らず、放電可能な状態で待機することができる。
【0062】
本発明の第6実施態様に係るバックアップ電源装置は、上記した第4実施態様に係るバックアップ電源装置において、前記制御装置は、前記グループの数が3以上である場合に、一の前記グループの充電が完了したことを条件として他の前記グループの充電を開始する。
【0063】
第6実施態様に係るバックアップ電源装置によれば、第1のグループの電池電圧が負荷装置の上限電圧以上である場合であっても、残りのグループのうち第3のグループを放電可能状態で待機させておくことができるため、第1のグループの充電完了後、直ちに第2のグループの充電を開始することができる。
【0064】
本発明の第7実施態様に係る充放電制御方法は、複数の充電スイッチにより充電経路が個別に断接される並列に接続された複数の二次電池に対する充電制御方法であって、複数の前記二次電池が複数のグループに振り分けられ、前記グループ内の電池数に応じたデューティ比で前記充電スイッチをPWM制御することで前記グループごとに前記二次電池が充電される。
【0065】
第7実施態様に係る充放電制御方法は、並列に接続された複数の二次電池を複数のグループに振り分け、グループ内の電池数に応じたデューティ比のPWM制御によりグループごと当該二次電池が充電される。このため、複数の二次電池に供給される充電電流が一定で、且つグループ内の二次電池の数が異なる場合であっても、全ての二次電池の充電率を一定にすることができる。従って、本発明に係る充放電制御方法によれば、同時に充電されるグループの電池数が異なる場合であっても、二次電池に供給される充電電流を変化させることなく、グループ間の充電率を均一にすることができる。
【0066】
本発明の第8実施態様に係る充放電制御方法は、上記した第7実施態様に係る充放電制御方法において、電池数が最多の前記グループが100%のデューティ比で充電される。
【0067】
第8実施態様に係る充放電制御方法によれば、充電グループごとの電池数の違いに拘らず各二次電池の充電率を均一に維持しつつ、全てのグループに対する充電率を最大化することができる。
【0068】
本発明の第9実施態様に係る充放電制御方法は、上記した第7又は第8実施態様に係る充放電制御方法において、前記グループ内において複数の前記二次電池に供給される充電電流を所望の電流にするため前記デューティ比が個別に補正される。
【0069】
第9実施態様に係る充放電制御方法によれば、例えば同時に充電するグループ内の二次電池の間に充電電流の差がある場合であっても、充電スイッチに対するデューティ比により充電速度を調整することで、全ての二次電池の充電率を均一化することができる。
【0070】
本発明の第10実施態様に係る充放電制御方法は、上記した第7乃至第9実施態様のいずれかに係る充放電制御方法において、複数の前記二次電池は、複数の放電スイッチにより放電経路が個別に断接され、外部の負荷装置から放電要求があった場合に、複数の前記二次電池のうち電池電圧が前記負荷装置の上限電圧未満の前記二次電池に対応する前記放電スイッチのみがONに制御される。
【0071】
第10実施態様に係る充放電制御方法によれば、並列に接続された複数の二次電池から負荷装置へ放電する場合に、負荷装置の上限電圧を超過する電池電圧を有する二次電池に対し放電スイッチで放電を規制することにより、負荷装置の超過電圧印加に伴う故障を防止することができる。
【0072】
本発明の第11実施態様に係る充放電制御方法は、上記した第10実施態様に係る充放電制御方法において、一の前記グループを充電する場合に、他の前記グループの全ての電池電圧が前記上限電圧以上である期間においては充電が保留される。
【0073】
第11実施態様に係る充放電制御方法によれば、少なくとも1つのグループに含まれる二次電池の電池電圧が常に負荷装置の上限電圧未満に維持されることにより、放電要求のタイミングに拘らず、放電可能な状態で待機することができる。
【0074】
本発明の第12実施態様に係る充放電制御方法は、上記した第10実施態様に係る充放電制御方法において、前記グループの数が3以上である場合に、一の前記グループの充電が完了したことを条件として他の前記グループの充電を開始する。
【0075】
第12実施態様に係る充放電制御方法によれば、第1のグループの電池電圧が負荷装置の上限電圧以上である場合であっても、残りのグループのうち第3のグループを放電可能状態で待機させておくことができるため、第1のグループの充電完了後、直ちに第2のグループの充電を開始することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 バックアップ電源装置
10 充電器
20 バッテリモジュール
21~25 第1モジュール~第5モジュール
30 制御装置
BP1~BP5 第1電池パック~第5電池パック
SWc1~SWc5 第1充電スイッチ~第5充電スイッチ
SWd1~SWd5 第1放電スイッチ~第5放電スイッチ
Dc1~Dc5 第1充電ダイオード~第5充電ダイオード
Dd1~Dd5 第1放電ダイオード~第5放電ダイオード
R1~R5 第1抵抗器~第5抵抗器
TM1~TM5 第1サーミスタ~第5サーミスタ
Lc 充電ライン
Ld 放電ライン
Lg 接地ライン
Tin/Tout 入出力端子
GND 接地端子
図1
図2
図3
図4