(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169925
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】液滴吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20221102BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20221102BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 451
B41J2/01 305
B41J2/175 131
B41J2/165 211
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075653
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】高平 遥介
(72)【発明者】
【氏名】染矢 勝
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA06
2C056EB27
2C056EC07
2C056EC24
2C056EC42
2C056EC62
2C056EC71
2C056EC75
2C056ED01
2C056FA10
2C056HA29
(57)【要約】
【課題】簡単に、複数のノズル間での液滴の吐出特性のばらつきを低減させる。
【解決手段】少なくともノズル列9の搬送方向の最も上流側のノズル10aからインク滴を吐出させて、走査方向に並ぶ複数の第1パターン部分72A~72Iを記録させる。また、少なくともノズル列9の搬送方向の最も下流側のノズル10bからインク滴を吐出させて、走査方向に並ぶ複数の第2パターン部分82A~82Iを記録させる。第1パターン部分72A~72Iのノズル10aによって記録された部分と、第2パターン部分82A~82Iのノズル10bによって記録された部分とが、搬送方向に隣接して並ぶ。第1パターン部分72F~72Iは、第1パターン部分72A~72Eよりも濃度が薄く、且つ、右端に近いものほど濃度が薄い。第2パターン部分82A~82Dは、第2パターン部分82E~82Iよりも濃度が薄く、且つ、左端に近いものほど濃度が薄い。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に配列された複数のノズルで構成されたノズル列を有する液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドと被吐出媒体とを、前記第1方向に相対移動させる相対移動手段と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記液滴吐出ヘッド及び前記相対移動手段を制御して、前記複数のノズル間の液滴の吐出量のばらつきを補正するためのムラ補正パターンを被吐出媒体に記録させ、
前記ムラ補正パターンを記録させるときに、
前記液滴吐出ヘッドに、少なくとも、前記ノズル列の前記第1方向における一方の最外端の第1ノズルから液滴を吐出させることによって、前記ムラ補正パターンの一部であって、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ複数の第1パターン部分で構成された第1パターン群を記録させ、
その後、前記相対移動手段に前記液滴吐出ヘッドと被吐出媒体とを前記第1方向に所定距離相対移動させてから、前記液滴吐出ヘッドに、少なくとも、前記ノズル列の前記第1方向における他方の最外端の第2ノズルから液滴を吐出させることによって、前記ムラ補正パターンの一部であって、前記第2方向に並ぶとともに、前記第1方向において前記複数の第1パターン部分の前記第1ノズルで記録された部分に前記第2ノズルで記録された部分が隣接して並ぶ複数の第2パターン部分で構成された第2パターン群を記録させ、
前記第1パターン群は、前記第2方向における一方の最外端の第1パターン部分と他方の最外端の第1パターン部分の間に位置する基準第1パターン部分を含み、
前記第2パターン群は、前記第2方向における一方の最外端の第2パターン部分と他方の最外端の第2パターン部分と間に位置し、前記基準第1パターン部分と前記第1方向において隣接する基準第2パターン部分を含み、
前記第1パターン群を記録させるときに、前記第2方向における前記一方の最外端の第1パターン部分の濃度を、前記基準第1パターン部分の濃度よりも薄くさせ、
前記第2パターン群を記録させるときに、前記第2方向における前記他方の最外端の第2パターン部分の濃度を、前記基準第2パターン部分の濃度よりも薄くさせることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1パターン群を記録させるときには、前記液滴吐出ヘッドに、前記ノズル列のうち、前記第1ノズルを含み前記第1方向に連続して並ぶ一部のノズルで構成された第1ノズル群から液滴を吐出させ、
前記第2パターン群を記録させるときには、前記液滴吐出ヘッドに、前記ノズル列のうち、前記第2ノズルを含み前記第1方向に連続して並ぶ一部のノズルで構成された第2ノズル群から液滴を吐出させることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記第1ノズル群は、
前記第1ノズルと、
前記ノズル列のうち前記第1方向における中央に位置するノズルよりも、前記第1ノズルに近い位置にあるノズルとによって構成され、
前記第2ノズル群は、
前記第2ノズルと、
前記ノズル列のうち前記第1方向における中央に位置するノズルよりも、前記第2ノズルに近い位置にあるノズルとによって構成されていることを特徴とする請求項2記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記ノズル列が、前記第1方向における前記第1ノズル群と前記第2ノズル群との間に位置する少なくとも1つのノズルを含むことを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記第1パターン群は、前記第2方向において、前記基準第1パターン部分よりも前記他方の最外端の第1パターン部分との距離が遠い複数の前記第1パターン部分を含み、
前記第2パターン群は、前記第2方向において、前記基準第2パターン部分よりも前記一方の最外端の第2パターン部分との距離が遠い複数の前記第2パターン部分を含み、
前記制御部は、
前記第2方向において、前記基準第1パターン部分よりも前記他方の最外端の第1パターン部分との距離が遠い複数の前記第1パターン部分を記録させるときに、前記他方の最外端の第1パターン部分との距離が遠い前記第1パターン部分ほど濃度を薄くさせ、
前記第2方向において、前記基準第2パターン部分よりも前記一方の最外端の第2パターン部分との距離が遠い複数の前記第2パターン部分を記録させるときに、前記一方の最外端の第2パターン部分との距離が遠い前記第2パターン部分ほど濃度を薄くさせることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第2方向において前記基準第1パターン部分よりも前記他方の最外端の第1パターン部分から遠い前記第1パターン部分を記録させるときに、前記第1方向において前記第2ノズルから前記第1ノズルに向かうほど前記第1パターン部分の濃度を薄くさせ、
前記第2方向において前記基準第1パターン部分よりも前記一方の最外端の第1パターン部分から遠い前記第1パターン部分を記録させるときに、前記第1方向において前記第1ノズルから前記第2ノズルに向かうほど前記第1パターン部分の濃度を薄くさせ、
前記第2方向において前記基準第2パターン部分よりも前記他方の最外端の第2パターン部分から遠い前記第2パターン部分を記録させるときに、前記第1方向において前記第2ノズルから前記第1ノズルに向かうほど前記第2パターン部分の濃度を薄くさせ、
前記第2方向において前記基準第2パターン部分よりも前記一方の最外端の第2パターン部分から遠い前記第2パターン部分を記録させるときに、前記第1方向において前記第1ノズルから前記第2ノズルに向かうほど前記第2パターン部分の濃度を薄くさせることを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第2方向において、前記基準第1パターン部分よりも前記他方の最外端の第1パターン部分との距離が遠い複数の前記第1パターン部分を記録させるときに、前記他方の最外端の第1パターン部分との距離が遠い前記第1パターン部分ほど前記液滴吐出ヘッドに単位面積あたりの少なくとも前記第1ノズルからの吐出量を少なくさせることによって濃度を薄くさせ、
前記第2方向において、前記基準第2パターン部分よりも前記一方の最外端の第2パターン部分との距離が遠い複数の前記第2パターン部分を記録させるときに、前記一方の最外端の第2パターン部分との距離が遠い前記第2パターン部分ほど前記液滴吐出ヘッドに単位面積あたりの少なくとも前記第2ノズルからの吐出量を少なくさせることによって濃度を薄くさせることを特徴とする請求項5又は6に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第2方向において、前記基準第1パターン部分よりも前記他方の最外端の第1パターン部分との距離が遠い複数の前記第1パターン部分、及び、前記基準第2パターン部分よりも前記一方の最外端の第2パターン部分との距離が遠い複数の前記第2パターン部分を記録させるときに、前記液滴吐出ヘッドに、マスクデータに基づいて前記複数のノズルからの液滴の吐出のうち一部の吐出を間引かせ、
前記第2方向において、前記基準第1パターン部分よりも前記他方の最外端の第1パターン部分との距離が遠い複数の前記第1パターン部分を記録させるときに、前記他方の最外端の第1パターン部分との距離が遠い前記第1パターン部分ほど、液滴の吐出を間引く比率である間引き率が高いマスクデータに基づいて液滴の吐出を間引かせることによって濃度を薄くさせ、
前記第2方向において、前記基準第2パターン部分よりも前記一方の最外端の第2パターン部分との距離が遠い複数の前記第2パターン部分を記録させるときに、前記一方の最外端の第2パターン部分との距離が遠い前記第2パターン部分ほど、前記間引き率が高いマスクデータに基づいて液滴の吐出を間引かせることによって濃度を薄くさせることを特徴とする請求項7に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記液滴吐出ヘッドは、前記複数のノズルの各々から、体積の異なる複数種類の液滴のいずれかを選択的に吐出させることができるように構成され、
前記制御部は、
前記第2方向において、前記基準第1パターン部分よりも前記他方の最外端の第1パターン部分との距離が遠い複数の前記第1パターン部分を記録させるときに、前記他方の最外端の第1パターン部分との距離が遠い前記第1パターン部分ほど、前記複数種類の液滴のうち体積の小さい液滴の吐出の比率が高くなるように少なくとも前記第1ノズルから液滴を吐出させることによって濃度を薄くさせ、
前記第2方向において、前記基準第2パターン部分よりも前記一方の最外端の第2パターン部分との距離が遠い複数の前記第2パターン部分を記録させるときに、前記一方の最外端の第2パターン部分との距離が遠い前記第2パターン部分ほど、前記複数種類の液滴のうち体積の小さい液滴の吐出の比率が高くなるように少なくとも前記第2ノズルから液滴を吐出させることによって濃度を薄くさせることを特徴とする請求項7に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記相対移動手段は、
被吐出媒体を挟持して前記第1方向に搬送する第1搬送ローラと、
前記第1搬送ローラと前記第1方向に離れて配置され、被吐出媒体を挟持して前記第1方向に搬送する第2搬送ローラと、を備え、
前記液滴吐出ヘッドが、前記第1方向において、前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間に位置し、
前記制御部は、
被吐出媒体が前記第1搬送ローラ及び前記第2搬送ローラの両方に挟持されている状態で、前記ムラ補正パターンを記録させることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記ムラ補正パターンの記録結果に基づく、濃度差が最も小さい前記第1方向に隣接する前記第1パターン部分と前記第2パターン部分の前記第2方向の位置である濃度最適位置の情報を取得し、
前記液滴吐出ヘッド及び前記相対移動手段を制御して、前記濃度最適位置の情報に基づいて、再度、前記ムラ補正パターンを記録させ、
再度、前記ムラ補正パターンを記録させるときに、
先に記録させた前記ムラ補正パターンにおいて前記濃度最適位置に位置していた前記第1パターン部分を基準第1パターン部分に再設定し、前記濃度最適位置に位置していた前記第2パターン部分を基準第2パターン部分に再設定し、
再設定された前記基準第1パターン部分とこれに隣接する第1パターン部分との間の濃度差、及び、再設定された前記基準第1パターン部分よりも前記他方の最外端の第1パターン部分との距離が遠い隣接する第1パターン部分の間の濃度差を、先に記録させた前記ムラ補正パターンよりも小さくさせ、
再設定された前記基準第2パターン部分とこれに隣接する第2パターン部分との間の濃度差、及び、再設定された前記基準第2パターン部分よりも前記一方の最外端の第2パターン部分との距離が遠い隣接する第2パターン部分の間の濃度差を、先に記録させた前記ムラ補正パターンよりも小さくさせることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記ムラ補正パターンの記録結果に基づく、濃度差が最も小さい前記第1方向に隣接する前記第1パターン部分と前記第2パターン部分の前記第2方向の位置である濃度最適位置の情報を取得し、
前記濃度最適位置が、前記第2方向において、前記基準第1パターン部分及び前記基準第2パターン部分よりも前記他方の最外端の第1パターン部分及び前記他方の最外端の第2パターンから遠い場合には、前記第1ノズルからの液滴の吐出量を少なくさせる補正、及び、前記第2ノズルからの液滴の吐出量を多くさせる補正のうち、少なくとも一方の補正を行い、
前記濃度最適位置が、前記第2方向において、前記基準第1パターン部分及び前記基準第2パターン部分よりも前記一方の最外端の第1パターン及び前記一方の最外端の第2パターン部分から遠い場合には、前記第2ノズルからの液滴の吐出量を少なくさせる補正、及び、前記第1ノズルからの液滴の吐出量を多くさせる補正のうち、少なくとも一方の補正を行うことを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項13】
ユーザに前記ムラ補正パターンの記録結果に関する信号を入力させるための入力部、を備え、
前記制御部は、前記入力部から入力された前記信号に基づいて、前記第1ノズル及び前記第2ノズルのうち、少なくとも一方からの液滴の吐出量を補正することを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記液滴吐出ヘッドが、前記複数のノズル間での液滴の吐出量のばらつきに関する特性として、第1特性を有するものであるか、前記第1特性とは別の第2特性を有するものであるかを示す特性信号を受信可能に構成され、
受信した前記特性信号が、前記液滴吐出ヘッドが前記第1特性を有していることを示している場合に、前記ムラ補正パターンである第1ムラ補正パターンを記録させ、
受信した前記特性信号が、前記液滴吐出ヘッドが前記第2特性を有していることを示している場合に、前記第1ムラ補正パターンとは別の第2ムラ補正パターンを記録させることを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項15】
前記第1特性は、前記複数のノズルについて同じ信号によって前記液滴吐出ヘッドを駆動させたときに、前記複数のノズルからの液滴の吐出量が、前記第1ノズルから前記第2ノズルに向かうほど、徐々に少なくなる又は徐々に多くなるという特性であり、
前記第2特性は、前記複数のノズルについて同じ信号によって前記液滴吐出ヘッドを駆動させたときに、前記複数のノズルのうち、前記第1方向の中央に配置されたノズルからの液滴の吐出量が、前記第1ノズル及び前記第2ノズルからの液滴の吐出量よりも多くなる、又は、前記第1ノズル及び前記第2ノズルからの液滴の吐出量よりも少なくなるという特性であることを特徴とする請求項14に記載の液滴吐出装置。
【請求項16】
前記制御部は、
前記第1パターン群を記録させるときには、前記液滴吐出ヘッドに、前記ノズル列のうち、前記第1ノズルを含み前記第1方向に連続して並ぶ一部のノズルで構成された第1ノズル群から液滴を吐出させ、
前記第2パターン群を記録させるときには、前記液滴吐出ヘッドに、前記ノズル列のうち、前記第2ノズルを含み前記第1方向に連続して並ぶ一部のノズルで構成された第2ノズル群から液滴を吐出させ、
受信した前記特性信号が、前記液滴吐出ヘッドが前記第2特性を有していることを示している場合に、
前記第2ムラ補正パターンを記録させる前に、前記液滴吐出ヘッド及び前記相対移動手段を制御して前記第1ムラ補正パターンを記録させ、
前記第1ムラ補正パターンの記録結果に基づく、濃度差が最も小さい前記第1方向に隣接する前記第1パターン部分と前記第2パターン部分の前記第2方向の位置である濃度最適位置の情報と、
前記第1ムラ補正パターンの記録結果に基づく、前記第1パターン部分及び前記第2パターン部分において、濃度が頂点に達する部分の前記第1方向の位置である頂点位置の情報と、を取得し、
前記液滴吐出ヘッド及び前記相対移動手段を制御して、前記濃度最適位置の情報と前記頂点位置の情報とに基づいて、前記第2ムラ補正パターンを記録させ、
前記第2ムラ補正パターンを記録させるときに、
前記液滴吐出ヘッドに、前記第1ノズル群から液滴を吐出させることによって、前記第2ムラ補正パターンの一部であって、前記第2方向に並ぶ複数の第3パターン部分で構成された第3パターン群を記録させ、
その後、前記相対移動手段に前記液滴吐出ヘッドと被吐出媒体とを前記第1方向に所定距離相対移動させてから、前記液滴吐出ヘッドに、前記第2ノズル群から液滴を吐出させることによって、前記第2ムラ補正パターンの一部であって、前記第2方向に並ぶとともに、前記第1方向において前記複数の第3パターン部分の前記第1ノズルで記録された部分に前記第2ノズルで記録された部分が隣接して並ぶ複数の第4パターン部分で構成された第4パターン群を記録させ、
前記第3パターン群は、前記第2方向における一方の最外端の第3パターン部分と他方の最外端の第3パターン部分と間に位置する基準第3パターン部分を含み、
前記第4パターン群は、前記第2方向における一方の最外端の第4パターン部分と他方の最外端の第4パターン部分と間に位置する基準第4パターン部分を含み、
前記第3パターン群及び前記第4パターン群を記録させるときに、
前記濃度最適位置が、前記第2方向において、前記基準第1パターン部分及び前記基準第2パターン部分よりも前記他方の最外端の第1パターン部分及び前記他方の最外端の第2パターン部分から遠い場合には、前記第1ノズル群からの液滴の吐出量を少なくさせる補正、及び、前記第2ノズル群からの液滴の吐出量を多くさせる補正のうち、少なくとも一方の補正を行って、前記複数の第3パターン部分及び前記複数の第4パターン部分を記録させ、
前記濃度最適位置が、前記第2方向において、前記基準第1パターン部分及び前記基準第2パターン部分よりも前記一方の最外端の第1パターン部分及び前記一方の最外端の第2パターン部分から遠い場合には、前記第2ノズル群からの液滴の吐出量を少なくさせる補正、及び、前記第1ノズル群からの液滴の吐出量を多くさせる補正のうち、少なく一方の補正を行って、前記複数の第3パターン部分及び前記複数の第4パターン部分を記録させ、
さらに、
前記第2方向において前記基準第3パターン部分よりも前記他方の最外端の第3パターン部分から遠い前記第3パターン部分を記録させるときに、前記他方の最外端の第3パターン部分から遠い前記第3パターン部分を記録させるときほど、前記第3パターン部分の前記頂点位置での濃度を薄くさせ、
前記第2方向において前記基準第3パターン部分よりも前記一方の最外端の第3パターン部分から遠い前記第3パターン部分を記録させるときに、前記一方の最外端の第3パターン部分から遠い前記第3パターン部分を記録させるときほど、前記第3パターン部分の前記頂点位置での濃度を濃くさせ、
前記第2方向において前記基準第4パターン部分よりも前記他方の最外端の第4パターン部分から遠い前記第4パターン部分を記録させるときに、前記他方の最外端の第4パターン部分から遠い前記第4パターン部分を記録させるときほど、前記第4パターン部分の前記頂点位置での濃度を薄くさせ、
前記第2方向において前記基準第4パターン部分よりも前記一方の最外端の第4パターン部分から遠い前記第4パターン部分を記録させるときに、前記一方の最外端の第4パターン部分から遠い前記第4パターン部分を記録させるときほど、前記第4パターン部分の前記頂点位置での濃度を濃くさせることを特徴とする請求項15に記載の液滴吐出装置。
【請求項17】
第1方向に配列された複数のノズルで構成されたノズル列を有する液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドと被吐出媒体とを、前記第1方向に相対移動させる相対移動手段と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記液滴吐出ヘッド及び前記相対移動手段を制御して、前記複数のノズル間の液滴の吐出量のばらつきを補正するためのムラ補正パターンを被吐出媒体に記録させ、
前記ムラ補正パターンを記録させるときに、
前記液滴吐出ヘッドに、少なくとも、前記ノズル列の前記第1方向における一方の最外端の第1ノズルから液滴を吐出させることによって、前記ムラ補正パターンの一部であって、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ複数の第1パターン部分で構成された第1パターン群を記録させ、
その後、前記相対移動手段に前記液滴吐出ヘッドと被吐出媒体とを前記第1方向に所定距離相対移動させてから、前記液滴吐出ヘッドに、少なくとも、前記ノズル列の前記第1方向における他方の最外端の第2ノズルから液滴を吐出させることによって、前記ムラ補正パターンの一部であって、前記第2方向に並ぶとともに、前記第1方向において前記複数の第1パターン部分の前記第1ノズルで記録された部分に前記第2ノズルで記録された部分が隣接して並ぶ複数の第2パターン部分で構成された第2パターン群を記録させ、
前記第1パターン群は、前記第2方向における一方の最外端の第1パターン部分と他方の最外端の第1パターン部分の間に位置する基準第1パターン部分を含み、
前記第2パターン群は、前記第2方向における一方の最外端の第2パターン部分と他方の最外端の第2パターン部分と間に位置し、前記基準第1パターン部分と前記第1方向において隣接する基準第2パターン部分を含み、
前記第1パターン群を記録させるときに、前記第2方向における前記一方の最外端の第1パターン部分の濃度を、前記基準第1パターン部分の濃度よりも濃くさせ、
前記第2パターン群を記録させるときに、前記第2方向における前記他方の最外端の第2パターン部分の濃度を、前記基準第2パターン部分の濃度よりも濃くさせることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項18】
第1方向に配列された複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドと被吐出媒体とを、前記第1方向に相対移動させる相対移動手段と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記液滴吐出ヘッド及び前記相対移動手段を制御して、液滴吐出ヘッドにおける前記複数のノズル間の液滴の吐出量のばらつきを補正するためのムラ補正パターンを被吐出媒体に記録させ、
前記液滴吐出ヘッドが、前記複数のノズル間での液滴の吐出量のばらつきに関する特性として、第1特性を有するものであるか、前記第1特性とは別の第2特性を有するものであるかを示す特性信号を受信可能に構成され、
前記ムラ補正パターンを被吐出媒体に記録させるときに、
受信した前記特性信号が、前記液滴吐出ヘッドが前記第1特性を有していることを示している場合には、
前記液滴吐出ヘッド及び前記相対移動手段を制御して、前記ムラ補正パターンとして、前記第1特性を有する前記液滴吐出ヘッドにおける前記複数のノズル間の液滴の吐出量のばらつきを補正するための第1ムラ補正パターンを被記録媒体に記録させ、
受信した前記特性信号が、前記液滴吐出ヘッドが前記第2特性を有していることを示している場合には、
前記液滴吐出ヘッド及び前記相対移動手段を制御して、前記ムラ補正パターンとして、前記第2特性を有する前記液滴吐出ヘッドにおける前記複数のノズル間の液滴の吐出量のばらつきを補正するための、前記第1ムラ補正パターンとは別の第2ムラ補正パターンを被記録媒体に記録させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項19】
前記液滴吐出ヘッドに接続された液体タンクと、
前記複数のノズルから前記液滴吐出ヘッド内の液体を排出させるパージを行うパージ手段と、を備え、
前記液滴吐出装置の製造時に、前記液滴吐出ヘッドには、前記複数のノズルから吐出させる液体とは別の保存液が充填されており、
前記制御部は、
前記液滴吐出装置の初回の使用時に、前記パージ手段に前記パージを行わせることによって、前記液滴吐出ヘッド内の前記保存液を排出させるとともに、前記液体タンクから、前記ノズルから吐出させる液体を導入させる初期導入を行わせ、
前記初期導入が完了した後に、前記ムラ補正パターンを記録させることを特徴とする請求項1~18のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液滴を吐出する液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液滴を吐出する液滴吐出装置の一例として、特許文献1には、ノズルからインクを吐出して記録を行う画像記録装置が記載されている。特許文献1に記載の画像記録装置では、キャリッジに搭載されたインクジェットヘッドが、搬送方向に並んだ複数のノズルを有する。そして、キャリッジを走査方向に移動させつつ、インクジェットヘッドの複数のノズルからインクを吐出させて用紙上にドットを形成する記録パスと、用紙を搬送方向に搬送させる搬送動作とを繰り返し行わせることによって、用紙への記録を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載されているような画像記録装置では、インクジェットヘッドにおいて、製造時のばらつきなどにより、複数のノズル間でインクの吐出量がばらつくことがある。この場合、上述したように記録パスと搬送動作とを繰り返して記録を行うと、記録される画像に搬送方向に沿った濃度ムラが生じる虞がある。また、複数のノズルが記録用紙の搬送方向と直交する方向に記録用紙の全長にわたって配列されているとともに、記録用紙の搬送方向に配列された、いわゆるラインヘッドを備えた画像記録装置においても、搬送方向に配列された複数のノズル間でインクの吐出量にばらつきがあると、上述したような濃度ムラが生じる虞がある。
【0005】
本発明の目的は、簡単に、複数のノズル間での液滴の吐出特性のばらつきを補正することが可能な液滴吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液滴吐出装置は、第1方向に配列された複数のノズルで構成されたノズル列を有する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドと被吐出媒体とを、前記第1方向に相対移動させる相対移動手段と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記液滴吐出ヘッド及び前記相対移動手段を制御して、前記複数のノズル間の液滴の吐出量のばらつきを補正するためのムラ補正パターンを被吐出媒体に記録させ、前記ムラ補正パターンを記録させるときに、前記液滴吐出ヘッドに、少なくとも、前記ノズル列の前記第1方向における一方の最外端の第1ノズルから液滴を吐出させることによって、前記ムラ補正パターンの一部であって、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ複数の第1パターン部分で構成された第1パターン群を記録させ、その後、前記相対移動手段に前記液滴吐出ヘッドと被吐出媒体とを前記第1方向に所定距離相対移動させてから、前記液滴吐出ヘッドに、少なくとも、前記ノズル列の前記第1方向における他方の最外端の第2ノズルから液滴を吐出させることによって、前記ムラ補正パターンの一部であって、前記第2方向に並ぶとともに、前記第1方向において前記複数の第1パターン部分の前記第1ノズルで記録された部分に前記第2ノズルで記録された部分が隣接して並ぶ複数の第2パターン部分で構成された第2パターン群を記録させ、前記第1パターン群は、前記第2方向における一方の最外端の第1パターン部分と他方の最外端の第1パターン部分の間に位置する基準第1パターン部分を含み、前記第2パターン群は、前記第2方向における一方の最外端の第2パターン部分と他方の最外端の第2パターン部分と間に位置し、前記基準第1パターン部分と前記第1方向において隣接する基準第2パターン部分を含み、前記第1パターン群を記録させるときに、前記第2方向における前記一方の最外端の第1パターン部分の濃度を、前記基準第1パターン部分の濃度よりも薄くさせ、前記第2パターン群を記録させるときに、前記第2方向における前記他方の最外端の第2パターン部分の濃度を、前記基準第2パターン部分の濃度よりも薄くさせる。
【0007】
また、本発明の液滴吐出装置は、第1方向に配列された複数のノズルで構成されたノズル列を有する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドと被吐出媒体とを、前記第1方向に相対移動させる相対移動手段と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記液滴吐出ヘッド及び前記相対移動手段を制御して、前記複数のノズル間の液滴の吐出量のばらつきを補正するためのムラ補正パターンを被吐出媒体に記録させ、前記ムラ補正パターンを記録させるときに、前記液滴吐出ヘッドに、少なくとも、前記ノズル列の前記第1方向における一方の最外端の第1ノズルから液滴を吐出させることによって、前記ムラ補正パターンの一部であって、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ複数の第1パターン部分で構成された第1パターン群を記録させ、その後、前記相対移動手段に前記液滴吐出ヘッドと被吐出媒体とを前記第1方向に所定距離相対移動させてから、前記液滴吐出ヘッドに、少なくとも、前記ノズル列の前記第1方向における他方の最外端の第2ノズルから液滴を吐出させることによって、前記ムラ補正パターンの一部であって、前記第2方向に並ぶとともに、前記第1方向において前記複数の第1パターン部分の前記第1ノズルで記録された部分に前記第2ノズルで記録された部分が隣接して並ぶ複数の第2パターン部分で構成された第2パターン群を記録させ、前記第1パターン群は、前記第2方向における一方の最外端の第1パターン部分と他方の最外端の第1パターン部分の間に位置する基準第1パターン部分を含み、前記第2パターン群は、前記第2方向における一方の最外端の第2パターン部分と他方の最外端の第2パターン部分と間に位置し、前記基準第1パターン部分と前記第1方向において隣接する基準第2パターン部分を含み、前記第1パターン群を記録させるときに、前記第2方向における前記一方の最外端の第1パターン部分の濃度を、前記基準第1パターン部分の濃度よりも濃くさせ、前記第2パターン群を記録させるときに、前記第2方向における前記他方の最外端の第2パターン部分の濃度を、前記基準第2パターン部分の濃度よりも濃くさせる。
【0008】
また、本発明の液滴吐出装置は、第1方向に配列された複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドと被吐出媒体とを、前記第1方向に相対移動させる相対移動手段と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記液滴吐出ヘッド及び前記相対移動手段を制御して、液滴吐出ヘッドにおける前記複数のノズル間の液滴の吐出量のばらつきを補正するためのムラ補正パターンを被吐出媒体に記録させ、前記液滴吐出ヘッドが、前記複数のノズル間での液滴の吐出量のばらつきに関する特性として、第1特性を有するものであるか、前記第1特性とは別の第2特性を有するものであるかを示す特性信号を受信可能に構成され、前記ムラ補正パターンを被吐出媒体に記録させるときに、受信した前記特性信号が、前記液滴吐出ヘッドが前記第1特性を有していることを示している場合には、前記液滴吐出ヘッド及び前記相対移動手段を制御して、前記ムラ補正パターンとして、前記第1特性を有する前記液滴吐出ヘッドにおける前記複数のノズル間の液滴の吐出量のばらつきを補正するための第1ムラ補正パターンを被記録媒体に記録させ、受信した前記特性信号が、前記液滴吐出ヘッドが前記第2特性を有していることを示している場合には、前記液滴吐出ヘッド及び前記相対移動手段を制御して、前記ムラ補正パターンとして、前記第2特性を有する前記液滴吐出ヘッドにおける前記複数のノズル間の液滴の吐出量のばらつきを補正するための、前記第1ムラ補正パターンとは別の第2ムラ補正パターンを被記録媒体に記録させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、ムラ補正パターンの記録結果に基づいて、ノズル間の液滴の吐出量のばらつきを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
【
図2】
図1の矢印IIの方向から見たキャリッジ、サブタンク、インクジェットヘッド、プラテン及び搬送ローラの位置関係を示す図である。
【
図3】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】(a)はインクジェットヘッドの特性の一例を説明するための図であり、(b)はインクジェットヘッドの特性の別の一例を説明するための図である。
【
図5】初回の起動時に行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】(a)が第1パターン群の記録を説明するための図であり、(b)が第2パターン群の記録を説明するための図であり、(c)が選択用記号の記録を説明するための図である。
【
図7】(a)が各第1パターン部分の記録に用いるマスクデータの間引き率を説明するための図であり、(b)が各第2パターン部分の記録に用いるマスクデータの間引き率を説明するための図であり、(c)が選択信号と吐出量の補正量との関係を説明するための図である。
【
図8】ムラ補正パターンの記録結果に基づいて再度ムラ補正パターンを記録させる場合における、初回の起動時に行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】(a)が再度の各第1パターン部分の記録に用いるマスクデータの間引き率を説明するための図であり、(b)が再度の各第2パターン部分の記録に用いるマスクデータの間引き率を説明するための図であり、(c)が2回のムラ補正パターンに基づく選択信号と補正量との関係を説明するための図である。
【
図10】(a)が吐出量を多くさせる補正を行う場合の、選択信号と吐出量の補正量との関係を説明するための図であり、(b)が吐出量を少なくさせる補正と多くさせる補正の両方を行う場合の、選択信号と吐出量の補正量との関係を説明するための図である。
【
図11】(a)が第1ノズル群を用いた第1パターン群の記録を説明するための図であり、(b)が第2ノズル群を用いた第2パターン群及び選択用記号の記録を説明するための図である。
【
図12】(a)が小玉の比率を変えることで濃度を変える場合における各第1パターン部分を記録するときの小玉の比率を説明するための図であり、(b)が小玉の比率を変えることで濃度を変える場合における各第2パターン部分を記録するときの小玉の比率を説明するための図である。
【
図13】(a)が第1パターン部分間の濃度の関係を逆にした場合における第1パターン群の記録を説明するための図であり、(b)が第2パターン部分間の濃度の関係を逆にした場合における第2パターン群の記録を説明するための図であり、(c)が第1パターン部分間の濃度の関係を逆にした場合における選択用記号の記録を説明するための図である。
【
図14】(a)が第1パターン部分間の濃度の関係を逆にした場合における各第1パターン部分の記録に用いるマスクデータの間引き率を説明するための図であり、(b)が第1パターン部分間の濃度の関係を逆にした場合における各第2パターン部分の記録に用いるマスクデータの間引き率を説明するための図であり、(c)が第1パターン部分間の濃度の関係を逆にした場合における選択信号と吐出量の補正量との関係を説明するための図である。
【
図15】パターン部分内に濃度差を生じさせる場合のムラ補正パターンを説明するための図である。
【
図16】(a)は第2特性の一例を説明するための図であり、(b)は第2特性の別の一例を説明するための図であり、(c)は第2特性の別の一を説明するための図であり、(d)は第2特性の別の一例を説明するための図である。
【
図17】インクジェットヘッドの特性に応じたムラ補正パターンを記録させる場合において初回の起動時に行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図18】
図17の第2処理の流れを示すフローチャートである。
【
図19】第1ムラ補正パターンを説明するための図である。
【
図20】(a)が第2ムラ補正パターンの第1パターン群の記録を説明するための図であり、(b)が第2ムラ補正パターンの第2パターン群の記録を説明するための図であり、(c)が第2ムラ補正パターンの選択用記号の記録を説明するための図である。
【
図21】頂点検出用パターンと補正量決定用パターンとを記録させる場合における第2処理の流れを示すフローチャートである。
【
図22】(a)は頂点検出用パターンを説明するための図であり、(b)は補正量決定用パターンを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0012】
<プリンタの全体構成>
図1に示すように、本実施形態に係るプリンタ1(本発明の「液滴吐出装置」)は、キャリッジ2、サブタンク3、インクジェットヘッド4(本発明の「液滴吐出ヘッド」)、プラテン5、搬送ローラ6,7(本発明の「相対移動手段」)、メンテナンスユニット8(本発明の「パージ手段」)などを備えている。
【0013】
キャリッジ2は、走査方向(本発明の「第2方向」)に延びた2本のガイドレール11,12に支持されている。キャリッジ2は、図示しないベルトなどを介してキャリッジモータ56(
図3参照)に接続されており、キャリッジモータ56を駆動させると、キャリッジ2がガイドレール11,12に沿って走査方向に移動する。なお、以下では、
図1に示すように、走査方向の右側及び左側を定義して説明を行う。
【0014】
サブタンク3は、キャリッジ2に搭載されている。ここで、プリンタ1は、カートリッジホルダ13を備えており、カートリッジホルダ13に4つのインクカートリッジ14(本発明の「液体タンク」)が取り外し可能に装着されている。4つのインクカートリッジ14は、走査方向に並んでおり、走査方向の右側に配置されたものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクを貯留している。サブタンク3は、4本のチューブ15を介してカートリッジホルダ13に装着された4つのインクカートリッジ14と接続されている。これにより、4つのインクカートリッジ14からサブタンク3に上記4色のインクが供給される。なお、インクカートリッジ14の代わりに、プリンタ1の筐体に固定されたインクタンクが設けられていてもよい。
【0015】
インクジェットヘッド4は、キャリッジ2に搭載され、サブタンク3の下端部に接続されている。インクジェットヘッド4には、サブタンク3から上記4色のインクが供給される。また、インクジェットヘッド4は、その下面であるノズル面4aに形成された複数のノズル10からインク滴(本発明の「液滴」)を吐出する。より詳細に説明すると、複数のノズル10は、走査方向と直交する搬送方向(本発明の「第1方向」)に長さLにわたって配列されることによってノズル列9を形成しており、ノズル面4aにおいて、4列のノズル列9が走査方向に並んでいる。複数のノズル10からは、走査方向の右側のノズル列9を構成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインク滴が吐出される。
【0016】
プラテン5は、インクジェットヘッド4の下方に配置され、複数のノズル10と対向している。プラテン5は、走査方向に記録用紙P(本発明の「被吐出媒体」)の全長にわたって延び、記録用紙Pを下方から支持する。
【0017】
搬送ローラ6(本発明の「第1搬送ローラ」)は、インクジェットヘッド4及びプラテン5よりも搬送方向の上流側に配置されている。搬送ローラ7(本発明の「第2搬送ローラ」)は、インクジェットヘッド4及びプラテン5よりも搬送方向の下流側に配置されている。すなわち、搬送ローラ6と搬送ローラ7とが搬送方向に離れて配置され、搬送方向において、インクジェットヘッド4が搬送ローラ6と搬送ローラ7との間に位置する。
【0018】
図2に示すように、搬送ローラ6は、駆動ローラ6aと従動ローラ6bとによって構成されており、駆動ローラ6aと従動ローラ6bとによって記録用紙Pを上下方向から挟持する。搬送ローラ7は、駆動ローラ7aと従動ローラ7bとによって構成されており、駆動ローラ7aと従動ローラ7bとによって記録用紙Pを上下方向から挟持する。また、駆動ローラ6a,7aは、図示しないギヤなどを介して搬送モータ57(
図3参照)に接続されている。搬送モータ57を駆動させると、駆動ローラ6a,7aが回転し、これに伴って従動ローラ6b,7bが従動回転する。これにより、駆動ローラ6aと従動ローラ6b、及び、駆動ローラ7aと従動ローラ7bに挟持された記録用紙Pが搬送方向に搬送される。
【0019】
メンテナンスユニット8は、キャップ41と、吸引ポンプ42と、廃液タンク43とを備えている。キャップ41は、プラテン5よりも走査方向の右側に配置されている。そして、キャリッジ2を、プラテン5よりも走査方向の右側のメンテナンス位置に位置させると、複数のノズル10がキャップ41と対向する。
【0020】
また、キャップ41は、キャップ昇降機構58(
図3参照)によって昇降可能となっている。そして、キャリッジ2を上記メンテナンス位置に位置させることによって複数のノズル10とキャップ41とを対向させた状態で、キャップ昇降機構58によりキャップ41を上昇させると、キャップ41の上端部がノズル面4aに密着し、複数のノズル10がキャップ41に覆われる。なお、キャップ41はノズル面4aに密着することで複数のノズル10を覆うものであることには限られない。キャップ41は、例えば、インクジェットヘッド4のノズル面4aの周囲に配置される図示しないフレーム等に密着することで、複数のノズル10を覆うものであってもよい。
【0021】
吸引ポンプ42はチューブポンプなどであり、キャップ41及び廃液タンク43と接続されている。そして、メンテナンスユニット8では、上述したように複数のノズル10がキャップ41によって覆われた状態で吸引ポンプ42を駆動させると、複数のノズル10からインクジェットヘッド4内のインクを排出させる、いわゆる吸引パージを行うことができる。吸引パージによって排出されたインクは廃液タンク43に貯留される。
【0022】
なお、ここでは、便宜上、キャップ41が全てのノズル10をまとめて覆い、吸引パージにおいて、全てのノズル10からインクジェットヘッド4内のインクを排出させるものとして説明を行ったが、これには限られない。例えば、キャップ41が、ブラックインクを吐出する最も右側のノズル列9を構成する複数のノズル10を覆う部分と、カラーインク(イエロー、シアン、マゼンタのインク)を吐出する左側3列のノズル列9を構成する複数のノズル10を覆う部分とを別々に備えており、吸引パージにおいて、インクジェットヘッド4内のブラックインク及びカラーインクのいずれかを選択的に排出させることができるようになっていてもよい。あるいは、例えば、キャップ41が、ノズル列9毎に個別に設けられ、吸引パージにおいて、ノズル列9毎に個別に、ノズル10からインクを排出させることができるようになっていてもよい。
【0023】
<プリンタの電気的構成>
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。
図3に示すように、プリンタ1は、制御部50を備えている。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、フラッシュメモリ54、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)55などからなる。制御部50は、キャリッジモータ56、インクジェットヘッド4、搬送モータ57、キャップ昇降機構58、吸引ポンプ42等の動作を制御する。
【0024】
また、プリンタ1は、以上で説明した構成のほかに、表示部60と操作部61(本発明の「入力部」)とを備えている。表示部60は、例えば、プリンタ1の筐体に設けられた液晶ディスプレイなどである。制御部50は、表示部60を制御して、プリンタ1の動作に必要な情報等を表示する。操作部61は、例えば、プリンタ1の筐体に設け設けられたボタン、表示部60に設けられたタッチパネルなどである。ユーザが操作部61を操作することによって信号の入力を行うことができ、制御部50は入力された信号を受信する。
【0025】
なお、制御部50は、CPU51のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC55のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU51とASIC55とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御部50は、1つのCPU51が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU51が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部50は、1つのASIC55が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC55が処理を分担して行うものであってもよい。
【0026】
<初回の起動時の処理>
次に、プリンタ1の初回の起動時の制御部50の処理について説明する。ここで、プリンタ1は、その製造時に、インクジェットヘッド4内にインクの代わりに保存液が充填される。保存液とは、例えばインクから色剤を除いた液体である。
【0027】
また、インクジェットヘッド4では、製造時の誤差の影響などによって、ノズル列9を構成する複数のノズル10間で、インク滴の吐出量のばらつきが生じることがある。インク滴の吐出量のばらつきとは、同じ信号でインクジェットヘッド4を駆動させてノズル10からインク滴を吐出させたときの吐出量に差が生じることである。
【0028】
例えば、
図4(a)に示すように、インクジェットヘッド4は、ノズル列9を構成する複数のノズル10について、それぞれ同じ信号でインクジェットヘッド4を駆動させてインク滴を吐出させたときに、搬送方向において最上流のノズル10a(本発明の「第1方向の一方の最外端の第1ノズル」)から、最下流のノズル10b(本発明の「第1方向の他方の最外端の第2ノズル」)に向かうほどインク滴の吐出量が徐々に多くなるという特性を有することがある。
【0029】
あるいは、
図4(b)に示すように、インクジェットヘッド4が、ノズル列9を構成する複数のノズル10について、それぞれ同じ信号でインクジェットヘッド4を駆動させてインク滴を吐出させたときに、搬送方向においてノズル10aからノズル10bに向かうほどインク滴の吐出量が徐々に少なくなるという特性を有することがある。
【0030】
そこで、本実施形態では、プリンタ1の初回の使用時に、制御部50が
図5のフローに沿って処理を行うことによって、インクジェットヘッド4内の保存液を排出させてインクジェットヘッド4にインクを導入させる初期導入を行わせるとともに、ノズル10からのインク滴の吐出量の補正を行わせる。
【0031】
図5のフローについて説明すると、制御部50は、まず、初期導入処理を実行する(S101)。初期導入処理では、制御部50は、吸引ポンプ42等を制御して吸引パージを行わせることによって、インクジェットヘッド4内の保存液を排出させるとともに、インクカートリッジ14からインクジェットヘッド4内にインクを導入する初期導入を行わせる。
【0032】
続いて、制御部50は、給紙処理を実行する(S102)。給紙処理では、制御部50は、図示しない給紙機構を制御して記録用紙Pを供給させるとともに、搬送モータ57を制御して、搬送ローラ6,7に記録用紙Pを、
図1,
図2に示すような、搬送ローラ6,7の両方に挟持される位置まで搬送させる。
【0033】
続いて、制御部50は、第1パターン群記録処理を実行する(S103)。第1パターン群記録処理では、制御部50は、キャリッジモータ56を制御してキャリッジ2を走査方向に移動させつつ、インクジェットヘッド4を制御して複数のノズル10からインク滴を吐出させる記録パスを行わせることによって、
図6(a)に示すような第1パターン群71を記録用紙Pに記録させる。このとき、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクについて、それぞれ第1パターン群71を記録させるが、各色についての第1パターン群71は、インクの色以外は同じであるので、
図6(a)では、1色分の第1パターン群71のみを図示して説明を行う。以下の説明におけるこれ以外のパターン群、ムラ補正パターン等についても同様である。
【0034】
第1パターン群71は、走査方向に隣接して並ぶ複数の第1パターン部分72A~72Iによって構成されている。第1パターン部分72A~72Iは、矩形の塗りつぶしパターンである。なお、本実施形態では、第1パターン部分72A~72Iのうち、走査方向の中央に位置する第1パターン部分72Eが、本発明の「基準第1パターン部分」に相当する。また、右端の第1パターン部分72Iが本発明の「第2方向の一方の最外端の第1パターン部分」に相当する。また、左端の第1パターン部分72Aが本発明の「第2方向の他方の最外端の第1パターン部分」に相当する。
【0035】
また、第1パターン群記録処理において、制御部50は、記録パスにおいて、ノズル列9を構成する全てのノズル10からインク滴を吐出させることによって、記録用紙Pに第1パターン部分72A~72Iを記録させる。
【0036】
また、第1パターン群記録処理では、制御部50は、第1パターン部分72E及びこれよりも左側の(第1パターン部分72Iとの距離が遠い)第1パターン部分72A~72Dが同じ濃度となるように、第1パターン部分72A~72Eを記録させる。また、制御部50は、第1パターン部分72Eよりも右側(第1パターン部分72Aとの距離が遠い)の第1パターン部分72F~72Iが、第1パターン部分72Eよりも濃度が薄く、且つ、右端に近い第1パターン部分ほど濃度が薄くなるように、第1パターン部分72F~72Iを記録させる。
【0037】
図5に戻って、制御部50は、続いて搬送処理を実行する(S104)。S104の搬送処理では、制御部50は、搬送モータ57を制御して、搬送ローラ6,7に記録用紙Pを、ノズル列9の長さL搬送方向に搬送させる。ここで、本実施形態では、S104の搬送処理後にも、記録用紙Pが搬送ローラ6,7の両方に挟持される位置にくるように、S102において搬送ローラ6,7に記録用紙Pを搬送させる。
【0038】
続いて、制御部50は、第2パターン群記録処理を実行する(S105)。第2パターン群記録処理では、制御部50は、記録パスを行わせることによって、
図6(b)に示すような第2パターン群81を記録用紙Pに記録させる。
【0039】
第2パターン群81は、走査方向に隣接して並ぶ複数の第2パターン部分82A~82Iによって構成されている。第2パターン部分82A~82Iは、矩形の塗りつぶしパターンである。また、第2パターン部分82A~82Iは、それぞれ、第1パターン部分72A~72Iの搬送方向における上流側に隣接して並んでいる。これにより、第1パターン部分72A~72Iのノズル10aによって記録された部分と、第2パターン部分82A~82Iのノズル10bによって記録された部分とが、搬送方向に隣接している。
【0040】
なお、本実施形態では、第2パターン部分82A~82Iのうち、走査方向の中央に位置する第2パターン部分82Eが、本発明の「基準第2パターン部分」に相当する。また、右端の第2パターン部分82Iが本発明の「第2方向の一方の最外端の第2パターン部分」に相当する。また、左端の第2パターン部分82Aが本発明の「第2方向の他方の最外端の第2パターン部分」に相当する。
【0041】
また、第2パターン群記録処理では、制御部50は、記録パスにおいて、ノズル列9を構成する全てのノズル10からインク滴を吐出させることによって、記録用紙Pに第2パターン部分82A~82Iを記録させる。
【0042】
また、第2パターン群記録処理では、制御部50は、第2パターン部分82E及びこれよりも右側の(第2パターン部分82Aとの距離が遠い)第2パターン部分82F~82Iが同じ濃度となるように、第2パターン部分82E~82Iを記録させる。また、制御部50は、ノズル列9を構成する複数のノズル10の間にインク滴の吐出量のばらつきがないとした場合に、第2パターン部分82E~82Iの濃度が、第1パターン部分72A~72Eの濃度と同じとなるように、第2パターン部分82E~82Iを記録させる。また、制御部50は、第2パターン部分82Eよりも左側の(第2パターン部分82Iとの距離が遠い)第2パターン部分82A~82Dが、第2パターン部分82Eよりも濃度が薄く、且つ、左端に近い第2パターン部分ほど濃度が薄くなるように、第2パターン部分82A~82Dを記録させる。
【0043】
そして、本実施形態では、上記のようにして、第1パターン群71と第2パターン群81とを有するムラ補正パターン70を記録させる。
【0044】
ここで、第1パターン部分72A~72I及び第2パターン部分82A~82Iを上記のような濃度となるように記録させる方法について説明する。本実施形態では、記録パスにおいて複数のノズル10からインク滴を吐出させるときに、制御部50は、記録させる画像の画像データに基づいて、記録パスでの各ノズル10からのインク滴の吐出タイミングを示す吐出データを生成する。また、制御部50は、マスクデータに基づいて、吐出データが示すインク滴の吐出のうち一部を間引いて複数のノズル10からインク滴を吐出させることによって、第1パターン部分における単位面積あたりのインク滴の吐出量を小さくさせて濃度を薄くさせることができる。
【0045】
また、このとき、制御部50は、間引き率の異なる複数種類のマスクデータのいずれかを選択的に用いて、吐出データが示すインク滴の吐出のうち一部を間引くことができる。間引き率とは、吐出データが示すインク滴の吐出のうち、間引くインク滴の吐出の割合のことである。また、複数種類のマスクデータは、制御部50が自身で生成する、あるいは、予めフラッシュメモリ54に記憶されている。
【0046】
そして、
図7(a)、(b)に示すように、第1パターン部分72A~72E及び第2パターン部分82E~82Iを記録させるときには、間引き率が0のマスクデータを用いる。すなわち、第1パターン部分72A~72E及び第2パターン部分82E~82Iを、複数のノズル10からのインク滴の吐出を間引かずに記録させる。
【0047】
また、
図7(a)に示すように、第1パターン部分72F,72G,27H,72Iを記録させるときには、それぞれ、間引き率がM,(2×M),(3×M),(4×M)のマスクデータを用いる。すなわち、第1パターン部分72F~72Iは、右端に近い第1パターン部分ほど、間引き率の高いマスクデータを用いて記録される。
【0048】
また、
図7(b)に示すように、第2パターン部分82A,82B,82C,82Dを記録させるときには、それぞれ、間引き率が(4×M),(3×M),(2×M),Mのマスクデータを用いる。すなわち、第2パターン部分82A~82Dは、左端に近い第2パターン部分ほど、間引き率の高いマスクデータを用いて記録される。
【0049】
続いて、制御部50は、搬送処理を実行する(S106)。S106の搬送処理では、制御部50は、搬送モータ57を制御して、搬送ローラ6,7に記録用紙Pを搬送させる。このときの記録用紙Pの搬送量は、ノズル列9の長さLと同じであってもよいし、長さLと異なっていてもよい。
【0050】
続いて、制御部50は、選択用記号記録処理を実行する(S107)。選択用記号記録処理では、制御部50は、記録パスを行わせることにより、
図6(c)に示すような、搬送方向に並ぶ第1パターン部分と第2パターン部分との組であるパターン組74をユーザに選択させるための複数の選択用記号73を記録させる。
【0051】
続いて、制御部50は、排紙処理を実行する(S108)。排紙処理では、制御部50は、搬送モータ57を制御して、搬送ローラ6,7に記録用紙Pを搬送させることによって、記録用紙Pを排出させる。
【0052】
続いて、制御部50は、ユーザに第1パターン部分と第2パターン部分との境界における濃度差が最も小さいパターン組74を選択させるための選択画面を表示部60に表示させる(S109)。そして、ユーザによる操作部61の操作により、パターン組74を選択する選択信号が入力されて、制御部50がこの選択信号を受信するまで待機する(S110:NO)。なお、本実施形態では、選択信号が示すパターン組74の走査方向の位置の情報が、本発明の「濃度最適位置の情報」に相当する。
【0053】
そして、制御部50は、選択信号を受信したときに(S110:YES)、補正処理を実行する(S111)。補正処理では、制御部50は、選択信号に基づいて、ノズル10からのインク滴の吐出量を補正する。ノズル10からのインク滴の吐出量の補正は、例えば、インクジェットヘッド4を駆動させる駆動信号の波形を補正することによって行う。
【0054】
インク滴の吐出量の補正について、より詳細に説明すると、
図7(c)に示すように、選択信号が第1パターン部分72Eと第2パターン部分82Eのパターン組74を示している(「E」が選択された)場合には、ノズル10からのインク滴の吐出量を補正しない(補正量を±0とする)。
【0055】
また、選択信号が第1パターン部分72Eと第2パターン部分82Eのパターン組74よりも左側のパターン組74を示している(「A」~「D」のいずれかが選択された)場合には、ノズル10b、又は、ノズル10bを含む連続して並ぶ所定個のノズル10(以下、これらをまとめて「下流ノズル」とすることがある)からのインク滴の吐出量を少なくさせる補正を行う。また、このとき、選択信号が示すパターン組74が左端に近いパターン組74であるときほど、下流ノズルからのインク滴の吐出量を少なくさせる補正を行う。なお、
図6(c)における「-」は、吐出量を少なくさせることを意味している。
【0056】
また、
図6(c)で示す「A」~「D」の補正量補正した後の下流ノズルにおけるインク滴の吐出量は、それぞれ、第2パターン部分82A~82Dを記録したときの下流ノズルにおけるインク滴の吐出量と同じである。
【0057】
また、選択信号が第1パターン部分72Eと第2パターン部分82Eのパターン組74よりも右側のパターン組74を示している(「F」~「I」のいずれかが選択された)場合には、ノズル10a、又は、ノズル10aを含む連続して並ぶ所定個のノズル10(以下、これらをまとめて「上流ノズル」とすることがある)からのインク滴の吐出量を少なくさせる補正を行う。また、このとき、選択信号が示すパターン組74が右端に近いパターン組74であるときほど、上流ノズルからのインク滴の吐出量を少なくさせる補正を行う。
【0058】
また、
図6(c)で示す「F」~「I」の補正量補正した後の上流ノズルにおけるインク滴の吐出量は、それぞれ、第1パターン部分72F~72Iを記録したときの上流ノズルにおけるインク滴の吐出量と同じである。
【0059】
<効果>
本実施形態では、第1パターン部分72A~72Eの濃度が同じであり、第1パターン部分72F~72Iは、第1パターン部分72A~72Eよりも濃度が薄く、且つ、右端に近い第1パターン部分ほど濃度が薄い。また、第2パターン部分82E~82Iの濃度が同じであり、第2パターン部分82A~82Dは、第2パターン部分82E~82Iよりも濃度が薄く、且つ、左端に近い第2パターン部分ほど濃度が薄い。
【0060】
したがって、ノズル10aとノズル10bとに吐出量の差がなければ、第1パターン部分72Eと第2パターン部分82Eのパターン組74において、第1パターン部分と第2パターン部分との境界での濃度差が最も小さくなる。一方、ノズル10bからのインク滴の吐出量がノズル10aからのインク滴の吐出量よりも多い場合には、第1パターン部分72Eと第2パターン部分82Eのパターン組74よりも左側のパターン組74において、第1パターン部分と第2パターン部分との境界での濃度差が最も小さくなる。また、ノズル10bからのインク滴の吐出量がノズル10aからのインク滴の吐出量よりも少ない場合には、第1パターン部分72Eと第2パターン部分82Eのパターン組74よりも右側のパターン組74において、第1パターン部分と第2パターン部分との境界での濃度差が最も小さくなる。
【0061】
したがって、上流ノズル又は下流ノズルからのインク滴の吐出量が、第1パターン部分と第2パターン部分との境界における濃度差が最も小さいパターン組74の記録の際の吐出量に設定されることで、ノズル10間のインク滴の吐出量のばらつきを低減することができる。
【0062】
また、本実施形態では、ユーザに、第1パターン部分と第2パターン部分との境界部分の濃度差が最も小さいパターン組74を選択させるだけで、その選択結果に応じてノズル10からのインク滴の吐出量を補正して、ノズル10間のインク滴の吐出量のばらつきを低減することができる。したがって、本実施形態では、ムラ補正パターンを読み取って濃度の情報を取得するためのスキャナなどを必要とせず、簡単にノズル10からのインク滴の吐出量のばらつきを低減させることができる。
【0063】
また、本実施形態では、第1パターン群71が、第1パターン部分72Eよりも左側及び右側にそれぞれ複数の第1パターン部分72A~72D及び複数の第1パターン部分72F~72Iを有している。すなわち、第1パターン群71が、第1パターン部分72Aと第1パターン部分72Eとの間に第1パターン部分72B~72Dを有し、第1パターン部分72Eと第1パターン部分72Iとの間に第1パターン部分72F~72Hを有している。
【0064】
同様に、第2パターン群81が、第2パターン部分82Eよりも左側及び右側にそれぞれ複数の第2パターン部分82A~82D及び複数の第2パターン部分82F~82Iを有している。すなわち、第2パターン群81が、第2パターン部分82Aと第2パターン部分82Eとの間に第2パターン部分82B~82Dを有し、第2パターン部分82Eと第2パターン部分82Iとの間に、第2パターン部分82F~82Hを有している。
【0065】
これらのことから、本実施形態では、第1パターン群71が、第1パターン部分72Eに対して、濃度を多段階で変更した複数の第1パターン部分72F~72Iを有し、第2パターン群81が、第2パターン部分82Eに対して、濃度を多段階で変更した複数の第2パターン部分82A~72Dを有するものとなり、上流ノズル又は下流ノズルからのインク滴の吐出量を多段階で補正することができる。これにより、ノズル10間のインク滴の吐出量のばらつきを精度よく低減させることができる。
【0066】
また、本実施形態では、第1パターン部分72A~72Eを記録するときの単位面積あたりのインク滴の吐出量を同じとし、第1パターン部分72F~72Iを記録させるときに、第1パターン部分72A~72Eの記録時よりも単位面積あたりのインク滴の吐出量を少なくさせるとともに、右端に近い第1パターン部分の記録時ほど、単位面積あたりのインク滴の吐出量を少なくさせる。これにより、第1パターン部分72F~72Iの濃度を、第1パターン部分72A~72Eの濃度よりも薄くさせるとともに、右端に近い第1パターン部分ほど薄くさせることができる。
【0067】
また、本実施形態では、第2パターン部分82E~82Iを記録するときの単位面積あたりのインク滴の吐出量を同じとし、第2パターン部分82A~82Dを記録させるときに、第2パターン部分82E~82Iの記録時よりも単位面積あたりのインク滴の吐出量を少なくさせるとともに、左端に近い第2パターン部分の記録時ほど、単位面積あたりのインク滴の吐出量を少なくさせる。これにより、第2パターン部分82A~82Dの濃度を、第2パターン部分82E~82Iの濃度よりも薄くさせるとともに、左端に近い第2パターン部分ほど薄くさせることができる。
【0068】
また、本実施形態では、第1パターン部分72A~72Eを同じマスクデータを用いて記録させ、第1パターン部分72F~72Iを記録させるときに、第1パターン部分72A~72Eの記録時よりも間引き率の高いマスクデータを用い、且つ、右端に近い第1パターン部分の記録時ほど間引き率の高いマスクデータを用いる。これにより、第1パターン部分72F~72Iを記録させるときの単位面積あたりの吐出量を、第1パターン部分72A~72Eを記録させるときよりも少なくさせ、且つ、右端に近い第1パターン部分ほど単位面積あたりの吐出量を少なくさせることができる。
【0069】
また、本実施形態では、第2パターン部分82E~82Iを同じマスクデータを用いて記録させ、第2パターン部分82A~82Dを記録させるときに、第2パターン部分82E~82Iの記録時よりも間引き率の高いマスクデータを用い、且つ、左端に近い第2パターン部分の記録時ほど間引き率の高いマスクデータを用いる。これにより、第2パターン部分82A~82Dを記録させるときの単位面積あたりの吐出量を、第2パターン部分82E~82Iを記録させるときよりも小さくさせ、且つ、左端に近い第2パターン部分ほど単位面積あたりの吐出量を少なくさせることができる。
【0070】
また、本実施形態では、記録用紙Pが搬送ローラ6及び搬送ローラ7の両方に挟持された安定した状態で、ムラ補正パターン70(第1パターン群71及び第2パターン群81)を記録させる。これにより、記録用紙P上での各第1パターン部分72A~72I及び各第2パターン部分82A~82Iの位置がずれないようにすることができる。
【0071】
また、本実施形態では、ユーザにより操作部61が操作されることによって入力された選択信号に基づいて、ノズル10からインク滴の吐出量を補正することによって、ノズル10間のインク滴の吐出量のばらつきを低減することができる。
【0072】
また、本実施形態では、初期導入が完了した直後にムラ補正パターン70を記録させる。したがって、ムラ補正パターン70の記録結果に基づいてノズル10からのインク滴の吐出量を補正することにより、プリンタ1の初回の使用時から、ノズル10間のインク滴の吐出量のばらつきを低減することができる。
【0073】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限られず、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0074】
例えば、変形例1では、プリンタ1の初回の起動時に、制御部50が
図8のフローに沿って処理を行う。より詳細に説明すると、制御部50は、上述の実施形態と同様のS101と同様の初期導入処理を実行した後(S201)、間引き間隔をMに設定する(S202)。ここで、間引き間隔とは、隣接する第1パターン部分72E~72I間、及び、隣接する第2パターン部分82E~82I間での、使用するマスクデータの間引き率の差のことである。そして、上述の実施形態のS102~S110と同様の、S203~S211の処理を実行する。
【0075】
これにより、S204において第1パターン群71を記録させるときに、上述の実施形態と同様、
図7(a)に示すような間引き率のマスクデータを用いて、第1パターン部分72A~72Iが記録される。また、S206において第2パターン群81を記録させるときに、上述の実施形態と同様、
図7(b)に示すような間引き率のマスクデータを用いて、第2パターン部分82A~82Iが記録される。
【0076】
そして、選択信号を受信したときに(S211:YES)、制御部50は、選択信号が示すパターン組74を構成する第1、第2パターン部分を、後述するS215,S217において走査方向の中央に記録させる第1、第2パターン部分に設定する(S212)。すなわち、上記第1、第2パターン部分を、基準第1、第2パターン部分に再設定する。
【0077】
続いて、制御部50は、間引き間隔をS202で設定したMよりも小さい[(1/4)×M]に設定したうえで(S213)、上述の実施形態のS102~S110と同様の、S214~S222の処理を実行する。
【0078】
ただし、S211で受信した選択信号が示すパターン組74を構成する第1パターン部分の記録に用いたマスクデータの間引き率をM1として、
図9(a)に示すように、S215において、第1パターン部分72A~72Eを記録させるときには、間引き率がM1のマスクデータを用いる。また、第1パターン部分72F,72G,27H,72Iを記録させるときには、それぞれ、間引き率が[M1+(1/4)×M],[M1+(1/2)×M],[M1+(3/4)×M],[M1+M]のマスクデータを用いる。
【0079】
また、S211で受信した選択信号が示すパターン組74を構成する第2パターン部分の記録に用いたマスクデータの間引き率をM2として、
図9(b)に示すように、S217において、第2パターン部分82E~82Iを記録させるときには、間引き率がM2のマスクデータを用いる。また、第2パターン部分82D,82C,82B,82Aを記録させるときには、それぞれ、間引き率が[M2+(1/4)×M],[M2+(1/2)×M],[M2+(3/4)×M],[M2+M]のマスクデータを用いる。
【0080】
これにより、S214~S217によって記録されるムラ補正パターン70では、走査方向の中央のパターン組74を構成する第1パターン部分71E及び第2パターン部分82Eの濃度が、S203~S206によって記録されたムラ補正パターン70のうち、S211で受信した選択信号に対応するパターン組74を構成する第1パターン部分及び第2パターン部分の濃度と同じとなる。また、S214~S217によって記録されるムラ補正パターン70では、S203~S206によって記録されたムラ補正パターン70よりも、第1パターン部分72A~72E,72F,72G,72H,72I間の濃度差、及び、第2パターン部分82A,82B,82C,82D,82E~82I間の濃度差が小さくなる。
【0081】
そして、選択信号を受信したときに(S222:YES)、制御部50は、補正処理を実行する(S223)。ここで、変形例1では、
図9(c)に示すように、S211で受信する選択信号(「A」~「I」)及びS222で受信する選択信号(「A」~「I」)と、インク滴の吐出量の補正量とを関連付けたテーブルが記憶されている。S223の補正処理では、S211,S222で受信した選択信号と
図9(c)とに基づいて補正量を決定し、上流ノズル又は下流ノズルからのインク滴の吐出量を補正する。
図9(c)に示す補正量は、S211で受信する選択信号に基づいて決定される補正量と、S222で受信する選択信号に基づいて決定される補正量とを足し合わせたものとなっている。
【0082】
変形例1では、ムラ補正パターン70の記録結果に基づいて、ムラ補正パターン70を記録させ、再度のムラ補正パターン70において、第1パターン部分72A~72E,72F,72G,72H,72I間の濃度差、及び、第2パターン部分82A,82B,82C,82D,82E~82I間の濃度差を、先に記録したムラ補正パターン70よりも小さくしている。これにより、先に記録したムラ補正パターン70の記録結果と、再度記録したムラ補正パターンの記録結果とに基づいて、ノズル10間のインク滴の吐出量のばらつきを精度よく補正することができる。
【0083】
なお、変形例1では、S213において間引き間隔を「(1/4)×M]に設定し、これに合わせて、調整補正量を
図9(c)~(e)に示すようなものとしたが、これには限られない。S213において間引き間隔をMよりも小さい別の間引き間隔に設定し、これに合わせて、調整補正量を設定してもよい。
【0084】
また、上述の実施形態では、選択信号が、第1パターン部分72Eと第2パターン部分82Eよりも左側のパターン組74を示している場合に、下流ノズルからのインク滴の吐出量を少なくさせるように吐出量を補正する。また、選択信号が、第1パターン部分72Eと第2パターン部分82Eよりも右側のパターン組74を示している場合に、上流ノズルからのインク滴の吐出量を少なくさせるように吐出量を補正する。しかしながら、これには限られない。
【0085】
変形例2では、
図10(a)に示すように、選択信号が第1パターン部分72Eと第2パターン部分82Eよりも左側のパターン組を示している(「A」~「D」のいずれかが選択された)場合に、上流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせ、且つ、選択信号が示すパターン組74が左端に近いパターン組74であるときほど、上流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせるように、吐出量を補正する。
【0086】
また、選択信号が第1パターン部分72Eと第2パターン部分82Eよりも右側のパターン組74を示している(「F」~「I」のいずれかが選択された)場合に、下流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせ、且つ、選択信号が示すパターン組74が右端に近いほど、下流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせるように、吐出量を補正する。
【0087】
変形例3では、
図10(b)に示すように、選択信号が第1パターン部分72Eと第2パターン部分82Eよりも左側のパターン組74を示している(「A」~「D」のいずれかが選択された)場合に、上流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせるとともに、下流ノズルからのインク滴の吐出量を少なくさせるように、吐出量を補正する。さらに、選択信号が示すパターン組74が左端に近いパターン組74であるときほど、上流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせ、下流ノズルからのインク滴の吐出量を少なくさせるように、吐出量を補正する。
【0088】
また、選択信号が第1パターン部分72Eと第2パターン部分82Eよりも右側のパターン組74を示している(「F」~「I」のいずれかが選択された)場合に、上流ノズルからのインク滴の吐出量を少なくさせるとともに、下流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせるように、吐出量を補正する。さらに、選択信号が示すパターン組74が右端に近いパターン組74であるときほど、上流ノズルからのインク滴の吐出量を少なくさせ、下流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせるように、吐出量を補正する。ただし、変形例3では、上流ノズル及び下流ノズルにおける吐出量の補正量の大きさは、それぞれ、上述の実施形態の場合の半分とする。
【0089】
変形例2,3のようにノズル10b、あるいは、ノズル10a,10bの両方からのインク滴の吐出量を補正することによっても、ノズル10間のインク滴の吐出量のばらつきを低減することができる。
【0090】
また、上述の実施形態では、ノズル列9を構成する全てのノズル10からインク滴を吐出させて、第1パターン群71及び第2パターン群81を記録させたが、これには限られない。
【0091】
変形例4では、
図11(a)、(b)に示すように、ノズル列9が、第1ノズル群100aと第2ノズル群100bと第3ノズル群100cとを有する。第1ノズル群100aは、ノズル10aを含む搬送方向に連続して並ぶ複数のノズル10によって構成される。第2ノズル群100bは、ノズル10bを含む搬送方向に連続して並ぶ複数のノズル10によって構成される。第3ノズル群100cは、搬送方向において第1ノズル群100aと第2ノズル群100bとの間に位置し、搬送方向に連続して並ぶ複数のノズル10によって構成される。これにより、変形例4では、第1ノズル群100aが、ノズル列9のうち、ノズル10aを含み、搬送方向における中央に位置するノズル10よりも上流側において連続して並ぶ一部のノズル10によって構成される。また、第2ノズル群100bが、ノズル列9のうち、ノズル10bを含み、搬送方向における中央に位置するノズル10よりも下流側において連続して並ぶ一部のノズル10によって構成される。
【0092】
そして、変形例4では、
図11(a)に示すように、第1ノズル群100aを構成するノズル10からインク滴を吐出させて第1パターン群102を記録させる。また、
図11(b)に示すように、第2ノズル群100bを構成するノズル10からインク滴を吐出させて第2パターン群103を記録させる。これにより、第1パターン群102と第2パターン群103とを有するムラ補正パターン101を記録させることができる。また、第2パターン群103を記録させる記録パスにおいて、第1ノズル群100a及び第3ノズル群100cの少なくとも一方を構成するノズル10からインク滴を吐出させて、選択用記号104を記録させる。なお、選択用記号104については、上述の実施形態と同様に、第2パターン群103記録させる記録パスとは別の記録パスで記録させてもよい。
【0093】
変形例4では、第1ノズル群100aからインク滴を吐出させて第1パターン群102を記録させ、第2ノズル群100bからインク滴を吐出させて第2パターン群103を記録させるため、第1パターン群102及び第2パターン群103を、それぞれ、1回の記録パスで記録させつつ、搬送方向にある程度の長さを有するものとすることができる。これにより、ムラ補正パターン101を視認しやすくすることができる。
【0094】
また、変形例4では、第1ノズル群100aからインク滴を吐出させて第1パターン群102を記録させ、第2ノズル群100bからインク滴を吐出させて第2パターン群103を記録させることにより、第1パターン群102の記録に使用するノズル10と第2パターン群103の記録に使用するノズル10が重複しないようにすることができる。これにより、ムラ補正パターン101の記録で消費されるインク滴の量を抑えることができる。
【0095】
また、変形例4では、ノズル列9が、第1パターン群102の記録に使用する第1ノズル群100aと、第2パターン群103の記録に使用する第2ノズル群100bとの間に、第1パターン群102及び第2パターン群103のどちらの記録にも使用しない第3ノズル群100cを有する。これにより、ノズル列9が、第1パターン群102及び第2パターン群103のどちらの記録にも使用しないノズル10を有していない場合よりも、ムラ補正パターン101の記録で消費されるインクの量を抑えることができる。
【0096】
また、変形例4では、ノズル列9が、第1ノズル群100aと第2ノズル群100bとの間に、搬送方向に連続して並ぶ複数のノズル10によって構成される第3ノズル群100cを有していたが、これには限られない。ノズル列9が、第1ノズル群100aと第2ノズル群100bとの間に、ノズル10を1つだけ有していてもよい。
【0097】
また、ノズル列9が、第1パターン群102及び第2パターン群103のいずれの記録にも使用されないノズル10を有していることにも限られない。例えば、第1パターン群の記録に使用される第1ノズル群が、ノズル列9の搬送方向における上流側の半分によって形成され、第2パターン群の記録に使用される第2ノズル群が、ノズル列9の搬送方向における下流側の半分によって形成されていてもよい。
【0098】
また、ノズル列9の一部を構成するノズル10を使用して第1、第2パターン群を記録する場合に、第1パターン群の記録に使用されるノズル10と、第2パターン群の記録に使用されるノズル10とが一部重複していてもよい。
【0099】
また、連続して並ぶ複数のノズル10からインク滴を吐出させて第1、第2パターン群を記録させることにも限られない。例えば、ノズル10aのみを用いて第1パターン群を記録させてもよい。また、ノズル10bのみを用いて第2パターン群を記録させてもよい。また、これらの場合、記録パスと搬送動作とを繰り返すことで、搬送方向にある程度の長さを有する第1、第2パターン群を記録させてもよい。
【0100】
また、上述の実施形態では、マスクデータの間引き率を変えることによって、単位面積あたりのインク滴の吐出量を変えてパターン部分の濃度を異ならせたが、これには限られない。
【0101】
変形例5では、インクジェットヘッド4が、各ノズル10から、大玉と、大玉よりも体積の小さい小玉の、2種類の体積の異なるインク滴のいずれかを選択的に吐出させることができる。
【0102】
そして、変形例5では、
図12(a)、(b)に示すように、第1パターン部分72A~72E及び第2パターン部分82E~82Iを記録させるときには、小玉の比率を0とする、すなわち、ノズル10から吐出させるインク滴を全て大玉とする。
【0103】
また、
図12(a)に示すように、第1パターン部分72F~72Iを記録させるときには、それぞれ、小玉の比率をR1,R2,R3,R4とする。ここで、R1~R4は、R1<R2<R3<R4の大小関係にある。すなわち、第1パターン部分72F~72Iを記録させるときに、第1パターン部分72A~72Eを記録させるときよりも小玉の比率を高くし、且つ、右端に近い第1パターン部分を記録させるときほど小玉の比率を高くする。
【0104】
また、
図12(b)に示すように、第2パターン部分82A~82Dを記録させるときには、それぞれ、小玉の比率をR4,R3,R1,R1とする。すなわち、第2パターン部分82A~82Dを記録させるときに、第2パターン部分82E~82Iを記録させるときよりも小玉の比率を高くし、且つ、左端に近い第2パターン部分を記録させるときほど小玉の比率を高くする。
【0105】
変形例5では、第1パターン部分72A~72Iを記録するときの小玉の比率を上記のようにすることによって、第1パターン部分72F~72Iを記録させるときの単位面積あたりの吐出量を、第1パターン部分72A~72Eを記録させるときよりも少なくさせ、且つ、右端に近い第1パターン部分ほど単位面積あたりの吐出量を少なくさせることができる。
【0106】
また、変形例5では、第2パターン部分82A~82I記録するときの小玉の比率を上記のようにすることによって、第2パターン部分82A~82Dを記録させるときの単位面積あたりの吐出量を、第2パターン部分82E~82Iを記録させるときよりも小さくさせ、且つ、左端に近い第2パターン部分ほど単位面積あたりの吐出量を少なくさせることができる。
【0107】
また、マスクデータの間引き率を変える、小玉の比率を変える以外の方法で、第1パターン部分72A~72Iの濃度の大小関係、及び、第2パターン部分82A~82Iの濃度の大小関係を上記のようなものとしてもよい。
【0108】
例えば、第1パターン部分72A~72E,72F,72G,72H,72I間で、第1パターン部分を記録させるための画像データを異ならせることによって、第1パターン部分72A~72Iの濃度の大小関係を上記のようなものとしてもよい。同様に、第2パターン部分82A,82B,82C,82D,82E~82I間で、第2パターン部分を記録させるための画像データを異ならせることによって、第2パターン部分82A~82Iの濃度の大小関係を上記のようなものとしてもよい。
【0109】
また、第1パターン群71における第1パターン部分72A~72Iの濃度の大小関係、及び、第2パターン群81における第2パターン部分82A~82Iの濃度の大小関係は、上述の実施形態のものには限られない。
【0110】
変形例6でも、プリンタ1の最初の起動時に、制御部50が、
図5のフローに沿って処理を行う。ただし、変形例6では、S103,S105,S111の処理が、上述の実施形態と異なる。
【0111】
変形例6では、S103の第1パターン群記録処理において、制御部50は、記録パスを行わせることによって、記録用紙Pに
図13(a)に示すような第1パターン群111を記録させる。
【0112】
第1パターン群111は、走査方向に隣接して並ぶ複数の第1パターン部分112A~112Iによって構成されている。第1パターン部分112A~112Iは、矩形の塗りつぶしパターンである。なお、変形例6では、走査方向の中央に位置する第1パターン部分112Eが、本発明の「基準第1パターン部分」に相当する。また、第1パターン部分112Iが本発明の「第2方向の一方の最外端の第1パターン部分」に相当する。また、第1パターン部分112Aが本発明の「第2方向の他方の最外端の第1パターン部分」に相当する。
【0113】
また、第1パターン群記録処理では、制御部50は、第1パターン部分112E及びこれよりも左側に位置する第1パターン部分112A~112Dが同じ濃度となるように、第1パターン部分112A~112Eを記録させる。また、制御部50は、第1パターン部分112Eよりも右側に位置する第1パターン部分112F~112Iの濃度が、第1パターン部分112Eの濃度よりも濃く、且つ、右端に近い(第1パターン部分112Aとの距離が遠い)第1パターン部分ほど濃度が濃くなるように、第1パターン部分112F~112Iを記録させる。
【0114】
このとき、例えば、
図14(a)に示すように、第1パターン部分112A~112Eを記録させるときに、間引き率が(4×M)のマスクデータを用いる。また、第1パターン部分112F,112G,112H,112Iを記録させるときに、それぞれ、間引き率が(3×M),(2×M),M,0のマスクデータを用いる。
【0115】
S105の第2パターン群記録処理では、制御部50は、記録パスを行わせることによって、
図13(b)に示すような第2パターン群121を記録させる。
【0116】
第2パターン群121は、走査方向に隣接して並ぶ複数の第2パターン部分122A~122Iによって構成されている。第2パターン部分122A~122Iは、矩形の塗りつぶしパターンである。また、第2パターン部分122A~122Iは、それぞれ、第1パターン部分112A~112Iの搬送方向における上流側に隣接して並んでいる。これにより、第1パターン部分112A~112Iのノズル10aによって記録された部分と、第2パターン部分122A~122Iのノズル10bによって記録された部分とが、搬送方向に隣接している。
【0117】
また、第2パターン群記録処理では、制御部50は、第2パターン部分122E及びこれよりも右側に位置する第2パターン部分122F~122Iが同じ濃度となるように、第2パターン部分122E~122Iを記録させる。また、制御部50は、ノズル列9を構成する複数のノズル10の間にインク滴の吐出量のばらつきがないとした場合に、第2パターン部分122E~122Iの濃度が、第1パターン部分112A~112Eの濃度と同じとなるように、第2パターン部分122E~122Iを記録させる。また、制御部50は、第2パターン部分122Eよりも左側に位置する第2パターン部分122A~122Dの濃度が第2パターン部分122Eの濃度よりも濃く、且つ、左端に近い(第2パターン部分122Iとの距離が遠い)第2パターン部分ほど濃度が濃くなるように、第2パターン部分122A~122Dを記録させる。
【0118】
このとき、例えば、
図14(b)に示すように、第2パターン部分122A,122B,122C,122Dを記録させるときに、それぞれ、間引き率が0,M,(2×M),(3×M)のマスクデータを用いる。また、第2パターン部分122E~122Iを記録させるときに、間引き率が(4×M)のマスクデータを用いる。
【0119】
そして、上記のように第1パターン群111及び第2パターン群121を記録させることにより、第1パターン群111と第2パターン群121とを有するムラ補正パターン110を記録することができる。また、変形例6でも、S107において、
図13(c)に示すように、搬送方向に並ぶ第1パターン部分と第2パターン部分とのパターン組114毎に選択用記号113を記録させる。
【0120】
S111の補正処理では、制御部50は、
図14(c)に示すように、選択信号が第1パターン部分112Eと第2パターン部分122Eのパターン組114を示している(「E」が選択された)場合には、ノズル10からのインク滴の吐出量を補正しない。
【0121】
また、選択信号が第1パターン部分112Eと第2パターン部分122Eのパターン組114よりも左側の組を示している(「A」~「D」のいずれかが選択された)場合には、下流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせる補正を行う。また、このとき、選択信号が示すパターン組114が左端に近いほど、下流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせる。
【0122】
また、選択信号が第1パターン部分112Eと第2パターン部分122Eのパターン組114よりも右側のパターン組114を示している(「F」~「I」のいずれかが選択された)場合には、上流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせる補正を行う。また、このとき、選択信号が示すパターン組114が右端に近いパターン組114であるときほど、上流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせる。
【0123】
変形例6でも、第1パターン部分と第2パターン部分との境界における濃度差が最も小さいパターン組114の位置に基づいて、ノズル10aを含む上流ノズル又はノズル10bを含む下流ノズルからのインク滴の吐出量を補正することにより、ノズル10間のインク滴の吐出量のばらつきを低減することができる。
【0124】
また、変形例6の補正処理において、下流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせる補正を行う代わりに、上流ノズルからのインク滴の吐出量を少なくさせる補正を行う、あるいは、下流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせるとともに上流ノズルからのインク滴の吐出量を少なくさせる補正を行ってもよい。
【0125】
また、変形例6の補正処理において、上流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせる補正を行う代わりに、下流ノズルからのインク滴の吐出量を少なくさせる補正を行う、あるいは、上流ノズルからのインク滴の吐出量を多くさせるとともに下流ノズルからのインク滴の吐出量を少なくさせる補正を行ってもよい。
【0126】
また、上述の実施形態では、複数のノズル10間にインク滴の吐出量のばらつきがない場合に、第1パターン部分72A~72I及び第2パターン部分82A~82Iの各々について、パターン部分内の各部分の濃度が全て一定となるように、第1パターン部分72A~72I及び第2パターン部分82A~82Iを記録させたが、これには限られない。
【0127】
変形例7でも、プリンタ1の最初の起動時に、制御部50が、
図5のフローに沿って処理を行う。ただし、
図15に示すように、変形例7では、S103の第1パターン群記録処理で記録させる第1パターン群191が、上述の実施形態の第1パターン群71と異なる。また、S105の第2パターン群記録処理で記録させる第2パターン群201が、上述の実施形態の第2パターン群81と異なる。
【0128】
第1パターン群191は、走査方向に隣接して並ぶ複数の第1パターン部分192A~192Iによって構成されている。第1パターン部分192A~192Iは、矩形の塗りつぶしパターンである。なお、変形例7では、走査方向の中央に位置する第1パターン部分192Eが、本発明の「基準第1パターン部分」に相当する。また、第1パターン部分192Iが本発明の「第2方向の一方の最外端の第1パターン部分」に相当する。また、第1パターン部分192Aが本発明の「第2方向の他方の最外端の第1パターン部分」に相当する。
【0129】
また、変形例7では、第1パターン群記録処理において、制御部50は、ノズル列9を構成する複数のノズル10間にインク滴の吐出量のばらつきがない場合に、濃度が一定となるように第1パターン部分192Eを記録させる。
【0130】
また、変形例7では、第1パターン群記録処理において、制御部50は、ノズル列9を構成する複数のノズル10間にインク滴の吐出量のばらつきがない場合に、搬送方向においてノズル10aからノズル10bに向かうほど濃度が薄くなるように、第1パターン部分192Eよりも左側の第1パターン部分192A~192Dを記録させる。また、このとき、制御部50は、第1パターン部分192A~192Dを、平均の濃度が第1パターン部分192Eの濃度よりも薄く、且つ、左端に近い第1パターン部分ほど、搬送方向に沿った濃度の変化が大きくなるように記録させる。
【0131】
また、変形例7では、第1パターン群記録処理において、制御部50は、ノズル列9を構成する複数のノズル10間にインク滴の吐出量のばらつきがない場合に、搬送方向においてノズル10bからノズル10aに向かうほど濃度が薄くなるように、第1パターン部分192Eよりも右側の第1パターン部分192F~192Iを記録させる。また、このとき、制御部50は、第1パターン部分192F~192Iを、平均の濃度が第1パターン部分192Eの濃度よりも薄く、且つ、右端に近い第1パターン部分ほど、搬送方向に沿った濃度の変化が大きくなるように記録させる。
【0132】
第2パターン群201は、走査方向に隣接して並ぶ複数の第2パターン部分202A~202Iによって構成されている。第2パターン部分202A~202Iは、矩形の塗りつぶしパターンである。なお、変形例7では、走査方向の中央に位置する第1パターン部分202Eが、本発明の「基準第2パターン部分」に相当する。また、第2パターン部分202Iが本発明の「第2方向の一方の最外端の第2パターン部分」に相当する。また、第2パターン部分202Aが本発明の「第2方向の他方の最外端の第2パターン部分」に相当する。
【0133】
また、変形例7では、第2パターン群記録処理において、制御部50は、ノズル列9を構成する複数のノズル10間にインク滴の吐出量のばらつきがない場合に、第1パターン部分192Eと同じ一定の濃度となるように第2パターン部分202Eを記録させる。
【0134】
また、変形例7では、第2パターン群記録処理において、制御部50は、ノズル列9を構成する複数のノズル10間にインク滴の吐出量のばらつきがない場合に、搬送方向においてノズル10aからノズル10bに向かうほど濃度が薄くなるように、第2パターン部分202Eよりも左側の第2パターン部分202A~202Dを記録させる。また、このとき、制御部50は、第2パターン部分202A~202Dを、平均の濃度が第2パターン部分202Eの濃度よりも薄く、且つ、左端に近い第2パターン部分ほど、搬送方向に沿った濃度の変化が大きくなるように記録させる。
【0135】
また、変形例7では、第2パターン群記録処理において、制御部50は、ノズル列9を構成する複数のノズル10間にインク滴の吐出量のばらつきがない場合に、搬送方向においてノズル10bからノズル10aに向かうほど濃度が薄くなるように、第2パターン部分202Eよりも右側の第2パターン部分202F~202Iを記録させる。また、このとき、制御部50は、第2パターン部分202F~202Iを、平均の濃度が第1パターン部分202Eの濃度よりも薄く、且つ、右端に近い第2パターン部分ほど、搬送方向に沿った濃度の変化が大きくなるように記録させる。
【0136】
そして、変形例7では、上記のように第1パターン群191及び第2パターン群201を記録させることにより、第1パターン群191と第2パターン群201とを有するムラ補正パターン190を記録させる。
【0137】
変形例7では、複数のノズル10からのインク滴の吐出量を、第1パターン群191と第2パターン群201との境界の濃度差が最も小さいパターン組194を記録したときの吐出量となるように補正することにより、複数のノズル10からのインク滴の吐出量のばらつきを低減することができる。また、この場合には、連続する2回の記録パスで記録される画像部分の境界における濃度ムラを目立ちにくくすることができるとともに、各記録パスで記録される画像部分における搬送方向に沿った濃度ムラも目立ちにくくすることができる。
【0138】
また、上述の実施形態では、第1パターン群71が、第1パターン部分72Eよりも左側に複数の第1パターン部分72A~72Dを有し、第1パターン部分72Eよりも右側に複数の第1パターン部分72F~72Iを有している。同様に、第2パターン群81が、第2パターン部分82Eよりも左側に複数の第2パターン部分82A~82Dを有し、第2パターン部分82Eよりも右側に複数の第2パターン部分82F~82Iを有している。しかしながら、これには限られない。
【0139】
第1パターン群71における、第1パターン部分72Eよりも左側の第1パターン部分の数、は1つだけであってもよい。この場合、第2パターン群81における、第2パターン部分82Eよりも左側の第2パターン部分の数も1つだけとなる。
【0140】
また、第1パターン部分72Eよりも右側の第1パターン部分の数は1つだけであってもよい。この場合、第2パターン群81における、第2パターン部分82Eよりも右側の第2パターン部分の数も1つだけとなる。
【0141】
また、上述の実施形態では、記録用紙Pが搬送ローラ6及び搬送ローラ7の両方に挟持された状態でムラ補正パターンを記録させたが、これには限られない。例えば、第1パターン群及び第2パターン群の少なくとも一方について、記録用紙Pが搬送ローラ6及び搬送ローラ7の一方にのみ挟持された状態で記録させてもよい。
【0142】
また、上述の実施形態では、ユーザにプリンタ1の操作部61を操作させることによって選択信号を入力させたが、これには限られない。例えば、ユーザにプリンタ1に接続されたPC等を操作させることによって選択信号を入力させてもよい。
【0143】
また、上述の実施形態では、吸引パージを行わせることによって初期導入を行わせたが、これには限られない。例えば、サブタンク3とインクカートリッジ14とを接続するチューブ15の途中部分に加圧ポンプが設けられていてもよい。あるいは、プリンタにインクカートリッジと接続された加圧ポンプが設けられていてもよい。そして、複数のノズル10がキャップ41で覆われた状態で、上記加圧ポンプを駆動させることで、インクジェットヘッド4内のインクを加圧してノズル10からインクジェットヘッド4内のインクを排出させる、いわゆる加圧パージによって初期導入を行わせてもよい。この場合には、加圧ポンプが、本発明の「パージ手段」に相当する。
【0144】
さらには、パージにおいて、吸引ポンプ42による吸と加圧ポンプによる加圧の両方を行わせることによって初期導入を行わせてもよい。この場合には、メンテナンスユニット8と加圧ポンプとを合わせたものが、本発明の「パージ手段」に相当する。
【0145】
また、以上の例では、初期導入が完了した直後に、ムラ補正パターンを記録させ、その記録結果に基づいてノズル10における吐出量を補正したが、これには限られない。例えば、ユーザが操作部61を操作して指示したとき等の別のタイミングに、ムラ補正パターンを記録させ、その記録結果に基づいてノズル10における吐出量を補正してもよい。
【0146】
また、以上の例では、同じ信号を用いてノズル列9を構成する複数のノズル10からインク滴を吐出させたときに、搬送方向においてノズル10aからノズル10bに向かうほどインク滴の吐出量が多くなる又は少なくなるという特性を有しているインクジェットヘッド4について、ムラ補正パターンを記録させ、その記録結果に基づいてノズル10からのインク滴の吐出量を補正させたが、これには限られない。
【0147】
変形例8では、インクジェットヘッド4が、製造時の誤差の影響などによって、ノズル列9を構成する複数のノズル10について同じ信号によって駆動させてインク滴を吐出させたときに、
図4(a)、(b)に示すような第1特性、及び、
図16(a)~(d)に示すような第2特性のうち、いずれかの特性を有する。
【0148】
図16(a)の特性は、搬送方向における中央のノズル10からのインク滴の吐出量が最も多く、搬送方向において上記中央のノズル10からノズル10a,10bに向かうほどインク滴の吐出量が徐々に少なくなる、という特性である。
【0149】
図16(b)の特性は、搬送方向における中央のノズル10からのインク滴の吐出量が最も少なく、搬送方向において上記中央のノズル10からノズル10a,10bに向かうほどインク滴の吐出量が徐々に多くなる、という特性である。
【0150】
図16(c)の特性は、ノズル列9の搬送方向の両端部以外のノズル10からのインク滴の吐出量がほぼ同じであり、ノズル列9の搬送方向の両端部のノズル10からのインク滴の吐出量が、搬送方向の両端部以外のノズル10からのインク滴の吐出量よりも少なくなる、という特性である。
【0151】
図16(d)の特性は、ノズル列9の搬送方向の両端部以外のノズル10からのインク滴の吐出量がほぼ同じであり、ノズル列9の搬送方向の両端部のノズルからのインク滴の吐出量が、ノズル列9の搬送方向の両端部以外のノズル10からのインク滴の吐出量よりも多くなる、という特性である。
【0152】
すなわち、
図16(a)~(d)に示す第2特性とは、ノズル列9の搬送方向の中央に配置されたノズル10からのインク滴の吐出量が、ノズル10a,10bを含むノズル列9の搬送方向の両端部のノズル10からのインク滴の吐出量よりも多くなる、又は、ノズル10a,10bを含むノズル列9の搬送方向の両端部のノズル10からのインク滴の吐出量よりも少なくなる、という特性である。
【0153】
変形例8では、制御部50が、インクジェットヘッド4が第1特性及び第2特性のどちらを有するかを示す特性信号を受信可能である。そして、プリンタ1の製造時に、例えば、作業者がインクジェットヘッド4の試験を行った結果に基づいて操作部61を操作することによって特性信号を入力する。制御部50は入力された特性信号を受信し、受信した特性信号に基づいて、インクジェットヘッド4が第1特性及び第2特性のどちらを有するかの情報をフラッシュメモリ54に記憶させる。
【0154】
そして、変形例8では、プリンタ1の初回の起動時に、制御部50が、
図17のフローに沿って処理を行う。
【0155】
より詳細に説明すると、制御部50は、上述の実施形態のS101と同様の初期導入処理を実行する(S301)。続いて、制御部50は、フラッシュメモリ54に記憶されている特性情報に基づいて、インクジェットヘッド4が第1特性を有するものであるか否かを判定する(S302)。
【0156】
インクジェットヘッド4が第1特性を有するものである場合には(S302:YES)、第1処理を実行する(S303)。第1処理は、上述の実施形態のS102~S111と同様の処理であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0157】
インクジェットヘッド4が第1特性を有するものでない、すなわち、第2特性を有するものである場合には(S302:NO)、第2処理を実行する(S304)。
【0158】
第2処理では、制御部50は、
図18のフローに沿って処理を行う。より詳細に説明すると、制御部50は、まず、上述の実施形態のS102~S110と同様の、S401~S409の処理を実行する。ただし、変形例8の場合には、
図19に示すように、S404の第2パターン群記録処理において、第2パターン群81を記録させるとともに、第2パターン群81の右側に、第2パターン部分82A~82Iを搬送方向に複数の領域133に区切る複数の区切り線131と、区切り線131によって区切られた領域133をユーザに選択させるための複数の選択用記号132とを記録させる。なお、
図19に示すムラ補正パターン70は、インクジェットヘッド4が
図16(a)に示すような特性を有している場合の一例である。また、変形例8では、第1処理、又は、第2処理のS401~S404によって記録されるムラ補正パターン70が、本発明の「第1ムラ補正パターン」に相当する。
【0159】
また、S408において、制御部50は、ユーザに、第1パターン部分と第2パターン部分との境界における濃度差が最も小さいパターン組74(「A」~「I」の選択用記号73)を選択させるのに加えて、第2パターン部分の区切り線131で区切られた複数の領域133のうち濃度が頂点に達する領域133(「1」~「8」の選択用記号132)を選択させるための選択画面を、表示部60に表示させる。濃度が頂点に達するというのは、濃度が最も濃くなる又は最も薄くなるという意味である。ここで、インクジェットヘッド4の特性が
図16(a)、(b)に示すような特性である場合には、ユーザに1つの領域133を選択させる。一方、インクジェットヘッド4の特性が
図16(c)、(d)に示すような特性である場合には、ユーザに連続して並ぶ複数の領域133を選択させる。なお、ムラ補正パターン70が、
図19に示すようなものである場合、例えば、「D」の選択用記号73が選択され、「5」の選択用記号132が選択される。
【0160】
そして、ユーザが、これらの選択用記号73,132を選択することで選択信号を入力したときに、制御部50が選択信号を受信する。S409では、これらの選択信号を受信したか否かを判定する。
【0161】
選択信号を受信したときに(S409:YES)、制御部50は、第1補正処理を実行する(S410)。第1補正処理は、上述の実施形態のS111の補正処理と同様の処理であるので、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0162】
続いて、制御部50は、S401と同様の給紙処理を実行してから(S411)、第3パターン群記録処理を実行する(S412)。第3パターン群記録処理では、制御部50は、記録パスを行わせることによって、記録用紙Pに
図20(a)に示すような第3パターン群141を記録させる。
【0163】
第3パターン群141は、走査方向に隣接して並ぶ複数の第3パターン部分142A~142Iによって構成されている。第3パターン部分142A~142Iは、矩形の塗りつぶしパターンである。なお、本実施形態では、第3パターン部分142A~142Iのうち、走査方向の中央に位置する第3パターン部分142Eが、本発明の「基準第3パターン部分」に相当する。また、右端の第3パターン部分142Iが本発明の「第2方向の一方の最外端の第3パターン部分」に相当する。また、左端の第3パターン部分142Aが本発明の「第2方向の他方の最外端の第3パターン部分」に相当する。
【0164】
また、第3パターン群記録処理において、制御部50は、ノズル列9を構成する全てのノズル10からインク滴を吐出させることによって、記録用紙Pに第3パターン部分142A~142Iを記録させる。
【0165】
また、第3パターン群記録処理では、S410の第1補正処理で上流ノズル又は下流ノズルからのインク滴の吐出量が補正された状態で、各ノズル10からインク滴を吐出させる。
【0166】
また、第3パターン群記録処理では、制御部50は、第3パターン部分142Eよりも右側の(第3パターン部分142Aとの距離が遠い)第3パターン部分142F~142Iを記録させるときに、第3パターン部分142Eよりも、S409で受信した選択信号が示す領域133(頂点位置)の濃度を薄くさせ、且つ、右端に近い第3パターン部分を記録させるときほど、上記領域133(頂点位置)の濃度を薄くさせる。
【0167】
また、第3パターン群記録処理では、制御部50は、第3パターン部分142Eよりも左側の(第3パターン部分142Iとの距離が遠い)第3パターン部分142A~142Dを記録させるときに、第3パターン部分142EよりもS409で受信した選択信号が示す領域133(頂点位置)の濃度を濃くさせ、且つ、左端に近い第3パターン部分を記録させるときほど、上記領域133(頂点位置)の濃度を濃くさせる。
【0168】
続いて、制御部50は、S405と同様の搬送処理を実行してから(S413)、第4パターン群記録処理を実行する(S414)。
【0169】
第4パターン群記録処理では、制御部50は、記録パスを行わせることによって、記録用紙Pに
図20(b)に示すような第4パターン群151を記録させる。これにより、記録用紙Pに、第3パターン群141と第4パターン群151とを有するムラ補正パターン140(本発明の「第2ムラ補正パターン」)が記録される。
【0170】
第4パターン群151は、走査方向に隣接して並ぶ複数の第4パターン部分152A~152Iによって構成されている。第4パターン部分152A~152Iは、矩形の塗りつぶしパターンである。また、第4パターン部分152A~152Iは、それぞれ、第3パターン部分142A~142Iの搬送方向における上流側に隣接して並んでいる。これにより、第3パターン部分142A~142Iのノズル10aによって記録された部分と、第4パターン部分152A~152Iの、ノズル10bによって記録された部分とが、搬送方向に隣接している。
【0171】
なお、変形例8では、第4パターン部分152Eが、本発明の「基準第4パターン部分」に相当する。また、右端の第4パターン部分152Iが本発明の「第2方向の一方の最外端の第4パターン部分」に相当する。また、左端の第4パターン部分152Aが本発明の「第2方向の他方の最外端の第4パターン部分」に相当する。
【0172】
また、第4パターン群記録処理では、制御部50は、ノズル列9を構成する全てのノズル10からインク滴を吐出させることによって、記録用紙Pに第4パターン部分152A~152Iを記録させる。
【0173】
また、第4パターン群記録処理では、S410の第1補正処理で上流ノズル又は下流ノズルからのインク滴の吐出量が補正された状態で、各ノズル10からインク滴を吐出させる。
【0174】
また、第4パターン群記録処理では、制御部50は、第4パターン部分152Eよりも右側の(第4パターン部分152Aとの距離が遠い)第4パターン部分152F~152Iを記録させるときに、第4パターン部分152Eよりも、S409で受信した選択信号が示す領域133(頂点位置)の濃度を薄くさせ、且つ、右端に近い第4パターン部分を記録させるときほど、上記領域133(頂点位置)の濃度を薄くさせる。
【0175】
また、第4パターン群記録処理では、制御部50は、第4パターン部分152Eよりも左側の(第4パターン部分152Iとの距離が遠い)第4パターン部分152A~152Dを記録させるときに、第4パターン部分152Eよりも選択信号が示す領域133(頂点位置)の濃度を濃くさせ、且つ、左端に近い第4パターン部分を記録させるときほど、上記領域133(頂点位置)の濃度を濃くさせる。
【0176】
続いて、制御部50は、上述の実施形態のS106と同様の搬送処理を実行してから(S415)、上述の実施形態のS107と同様の選択用記号記録処理を実行して(S416)、
図20(c)に示すように、搬送方向に並ぶ第3パターン部分と第4パターン部分とのパターン組144をユーザに選択させるための複数の選択用記号143を記録させる。続いて、制御部50は、S108と同様の排紙処理を実行する(S417)。
【0177】
続いて、制御部50は、濃度が最も均一なパターン組144をユーザに選択させるための選択画面を表示部60に表示させる(S418)。そして、ユーザによる操作部61の操作により、パターン組144を選択する選択信号が入力されて、制御部50がこの選択信号を受信するまで待機する(S419:NO)。
【0178】
そして、制御部50は、選択信号を受信したときに(S419:YES)、第2補正処理を実行する(S420)。第2補正処理では、制御部50は、選択信号が第3パターン部分142Eと第4パターン部分152Eのパターン組144を示している(「E」が選択された)場合には、ノズル10からのインク滴の吐出量について、さらなる補正を行わせない。
【0179】
また、第2補正処理では、制御部50は、選択信号が第3パターン部分142Eと第4パターン部分152Eのパターン組144よりも左側のパターン組144を示している(「A」~「D」のいずれかが選択された)場合には、選択信号が示すパターン組144が左端に近いパターン組144であるときほど、頂点位置の記録に使用したノズル10からのインク滴の吐出量を少なくさせる補正を行う。
【0180】
また、第2補正処理では、制御部50は、選択信号が第3パターン部分142Eと第4パターン部分152Eとのパターン組144よりも右側のパターン組144を示している(「F」~「I」のいずれかが選択された)場合には、選択信号が示すパターン組144が右端に近いパターン組114であるときほど、頂点位置の記録に使用したノズル10からのインク滴の吐出量を多くさせる補正を行う。
【0181】
変形例8では、インクジェットヘッド4が、ノズル列9における複数のノズル10間でのインク滴の吐出量ばらつきに関する特性として第1特性を有する場合及び第2特性を有する場合のどちらであっても、特性に応じたムラ補正パターンを記録させ、その記録結果に基づいて、ノズル10間のインク滴の吐出量のばらつきを補正することができる。
【0182】
また、インクジェットヘッド4は、複数のノズル10間でのインク滴の吐出量のばらつきの特性として、複数のノズル10について同じ信号によってインクジェットヘッド4を駆動させたときに、搬送方向においてノズル10aからノズル10bに向かうほどインク滴の吐出量が徐々に少なくなる又は徐々に多くなるという特性を有することがある。そこで、変形例8では、上記の特性を第1特性としている。そして、インクジェットヘッド4が第1特性を有するものである場合に、ムラ補正パターン70を記録させ、その記録結果に基づいて、ノズル10からのインク滴の吐出量を補正している。
【0183】
また、インクジェットヘッド4は、複数のノズル10間でのインク滴の吐出量のばらつきの特性として、複数のノズル10について同じ信号によってインクジェットヘッド4を駆動させたときに、複数のノズル10のうち、搬送方向の中央に配置されたノズル10からのインク滴の吐出量が、ノズル10a,10bからの液滴の吐出量よりも多くなる、又は、ノズル10a,10bからの液滴の吐出量よりも少なくなるという特性を有することがある。そこで、変形例8では、上記特性を第2特性としている。そして、インクジェットヘッド4が第2特性を有するものである場合に、ムラ補正パターン70,140を記録させ、これらの記録結果に基づいて、ノズル10からのインク滴の吐出量を補正している。
【0184】
また、第2処理は、変形例8のものには限られない。変形例9では、第2処理において、制御部50が、
図21のフローに沿って処理を行う。
【0185】
より詳細に説明すると、変形例9の第2処理では、制御部50は、まず、上述の実施形態のS101と同様の給紙処理を実行し(S501)、続いて頂点検出用パターン記録処理を実行する(S502)。頂点検出用パターン記録処理では、制御部50は、記録パスを行わせることによって、記録用紙Pに
図22(a)に示すような頂点検出用パターン161と、複数の選択用記号162とを記録させる。
【0186】
頂点検出用パターン161は、搬送方向に延びた帯状のパターンであり、記録パスにおいて、ノズル列9を構成する全てのノズル10について同じ駆動信号でインクジェットヘッド4を駆動させてインク滴を吐出させることによって記録させる。複数の選択用記号162は、頂点検出用パターン161を搬送方向に分割した複数の領域161aをユーザに選択させるためのものであり、各領域161aと走査方向に隣接するように記録させる。
【0187】
続いて、制御部50は、上述の実施形態のS109と同様の排紙処理を実行する(S503)。続いて、制御部50は、濃度が頂点に達している領域161a(「A」~「I」の選択用記号162)をユーザに選択させるための選択画面を表示部60に表示させ(S504)、ユーザによる操作部61の操作により、領域161a(選択用記号162)を選択する選択信号が入力され、制御部50がこの選択信号を受信するまで待機する(S505:NO)。
【0188】
ここで、インクジェットヘッド4の特性が
図16(a)、(b)に示すような特性である場合には、ユーザに1つの領域161aを選択させる。一方、インクジェットヘッド4の特性が
図16(c)、(d)に示すような特性である場合には、ユーザに連続して並ぶ複数の領域161aを選択させる。
【0189】
なお、
図22(a)に示す頂点検出用パターン161は、インクジェットヘッド4の特性が
図16(a)に示すような特性である場合の一例であり、例えば、「C」の選択用記号162に対応する領域161aが選択される。
【0190】
制御部50が選択信号を受信したときに(S505:YES)、制御部50は、給紙処理を実行し(S506)、続いて補正量決定用パターン記録処理を実行する(S507)。補正量決定用パターン記録処理では、記録パスと搬送動作とを繰り返し行わせることによって、
図22(b)に示すような補正量決定用パターン170と、複数の選択用記号175とを記録させる。なお、変形例9では、頂点検出用パターン161及び補正量決定用パターン170が、本発明の「第2ムラ補正パターン」に相当する。
【0191】
補正量決定用パターン170は、3つのパターン群171~173を有する。パターン群171は、走査方向に並ぶ複数のパターン部分181を有する。複数のパターン部分181は、それぞれ、頂点検出用パターン161の搬送方向の最も上流側の領域161a(
図22(a)の「A」の選択用記号162に対応する領域161a)の記録に使用したノズル10によって記録させたものである。また、複数のパターン部分181の濃度はいずれも、頂点検出用パターン161の搬送方向の最も上流側の領域161aの濃度と同じである。
【0192】
パターン群172は、パターン群171の搬送方向の上流側に隣接している。パターン群172は、走査方向に並ぶ複数のパターン部分182を有する。複数のパターン部分182は、それぞれ、頂点検出用パターン161の搬送方向の最も下流側の領域161a(
図22(a)の「I」の選択用記号162に対応する領域161a)の記録に使用したノズル10によって記録させたものである。また、複数のパターン部分182のうち、走査方向の中央に位置するパターン部分182の濃度は、頂点検出用パターン161の搬送方向の最も下流側の領域161aの濃度と同じである。また、このパターン部分182よりも右端に近いパターン部分182ほど濃度が濃くなっており、このパターン部分182よりも左端に近いパターン部分182ほど濃度が薄くなっている。
【0193】
パターン群173は、パターン群171の搬送方向の下流側に隣接している。パターン群173は、走査方向に並ぶ複数のパターン部分183を有する。複数のパターン部分183は、それぞれ、S504で受信した選択信号が示す領域161aの記録に使用したノズル10によって記録させたものである。また、複数のパターン部分183のうち、走査方向の中央に位置するパターン部分183の濃度は、S504で受信した選択信号が示す領域161aの濃度と同じである。また、このパターン部分183よりも右端に近いパターン部分183ほど濃度が濃くなっており、このパターン部分183よりも左端に近いパターン部分183ほど濃度が薄くなっている。
【0194】
複数の選択用記号175は、搬送方向に並ぶパターン部分181とパターン部分182とパターン部分183の列174をユーザに選択させるためのものであり、各列174と搬送方向に隣接して配置されている。
【0195】
続いて、制御部50は、排紙処理を実行する(S508)。続いて、制御部50は、パターン部分181とパターン部分182との濃度差が最も小さくなっている列174と、パターン部分181とパターン部分183との濃度差が最も小さくなっている列174とを、それぞれ選択させるための選択画面を表示部60に表示させ(S509)、ユーザによる操作部61の操作により、これらの列174(選択用記号175)を選択する選択信号が入力され、制御部50がこの選択信号を受信するまで待機する(S510:NO)。
【0196】
なお、
図22(b)に示す補正量決定用パターン170は、頂点検出用パターン161が
図22(a)に示すようなものである場合の一例であり、この場合、例えば、パターン部分181とパターン部分182との濃度差が最も小さくなっている列174として「G」の選択用記号175に対応する列174が選択される。また、パターン部分181とパターン部分183との濃度差が最も小さくなっている列174として、「C」の選択用記号175に対応する列174が選択される。
【0197】
制御部50が選択信号を受信したときに(S510:YES)、制御部50は、補正処理を実行して、ノズル10からのインク滴の吐出量を補正する(S511)。ここで、変形例9では、S505で受信した選択信号に基づいて、ノズル列9における、吐出量が頂点に達する搬送方向の位置の情報を取得することができる。また、S510で受信した、パターン部分181とパターン部分182との濃度差が最も小さくなっている列174を示す選択信号に基づいて、ノズル10aとノズル10bとの間の吐出量の差の情報を取得することができる。また、S510で受信した、パターン部分181とパターン部分183との濃度差が最も小さくなっている列174を示す選択信号に基づいて、ノズル10aと、吐出量が頂点に達するノズル10との間の吐出量の差の情報を取得することができる。そして、S510では、これらの情報に基づいて、ノズル10からのインク滴の吐出量を補正する。
【0198】
また、第2特性は、
図16(a)~(d)のような特性であることには限られない。インクジェットヘッド4が
図16(a)~(d)とは異なる第2特性を有するものである場合に、第2処理により、第2特性に対応する第2ムラ補正パターンを記録させ、その記録結果に基づいて、ノズル10からのインク滴の吐出量を補正してもよい。
【0199】
また、第1特性も、以上に説明したものには限られない。第1特性及び第2特性がどのような特性であるかによらず、インクジェットヘッド4が第1特性を有している場合には、第1特性に対応する第1ムラ補正パターンを記録させ、その記録結果に基づいて、ノズル10からのインク滴の吐出量を補正し、インクジェットヘッド4が第2特性を有している場合には、第2特性に対応する第2ムラ補正パターンを記録させ、その記録結果に基づいて、ノズル10からのインク滴の吐出量を補正してもよい。
【0200】
この場合でも、インクジェットヘッド4が、ノズル列9における複数のノズル10間でのインク滴の吐出量のばらつきに関する特性として第1特性を有する場合及び第2特性を有する場合のどちらであっても、特性に応じたムラ補正パターンを記録させ、その記録結果に基づいて、ノズル10間のインク滴の吐出量のばらつきを補正することができる。
【0201】
また、以上の例では、記録用紙Pが搬送ローラ6,7によって搬送方向に搬送されることによってインクジェットヘッド4と記録用紙Pとが搬送方向に相対移動するようになっていたが、これには限られない。例えば、インクジェットヘッド4を搭載するキャリッジ2を搬送方向に移動させる移動機構(本発明の「相対移動手段」)を備え、キャリッジ2が搬送方向に移動することで、インクジェットヘッド4と記録用紙Pとが搬送方向に相対移動するようになっていてもよい。あるいは、インクジェットヘッド4及び記録用紙Pの両方が搬送方向に移動することによって、インクジェットヘッド4と記録用紙Pとが搬送方向に相対移動するようになっていてもよい。なお、この場合には、キャリッジ2と上記移動機構が、本発明の「相対移動手段」に相当する。
【0202】
また、以上では、キャリッジとともに走査方向に移動しつつ複数のノズルからインクを吐出する、いわゆるシリアルヘッドを備えたプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。例えば、走査方向に記録用紙Pの全長にわたって延びたいわゆるラインヘッドを備えたプリンタに本発明を適用することも可能である。
【0203】
ラインヘッドにおいては、複数のノズルが記録用紙の搬送方向と直交する方向に配列されているのに加えて、例えば記録の高速化のために、複数のノズルが搬送方向にも配列されていることがある。このような場合においても、以上に説明したのと同様にして、ムラ補正パターンを記録させ、その記録結果に基づいて、ノズル10からのインク滴の吐出量を補正することによって、搬送方向に配列される複数のノズル間のインク滴の吐出量のばらつきを低減させることができる。
【0204】
また、以上では、ノズルからインクを吐出して記録用紙Pに記録を行うプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。Tシャツ、屋外広告用のシート、スマートフォン等の携帯端末のケース、段ボール、樹脂部材など、記録用紙以外の被記録媒体に画像を記録するプリンタにも適用され得る。また、インク以外の液体、例えば、液体状にした樹脂や金属を吐出する液滴吐出装置にも適用され得る。
【符号の説明】
【0205】
1 プリンタ
4 インクジェットヘッド
8 メンテナンスユニット
10 ノズル
50 制御部
70 ムラ補正パターン
71 第1パターン群
72A~72I 第1パターン部分
81 第2パターン群
82A~82I 第2パターン部分
100a 第1ノズル群
100b 第2ノズル群
101 ムラ補正パターン
102 第1パターン群
103 第2パターン群
110 ムラ補正パターン
111 第1パターン群
112A~112I 第1パターン部分
121 第2パターン群
122A~122I 第2パターン部分
140 ムラ補正パターン
141 第3パターン群
142A~142I 第3パターン部分
151 第4パターン群
152A~152I 第4パターン部分
161 頂点検出用パターン
170 補正量決定用パターン