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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169934
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】選果方法および選果システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20221102BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G01N21/85 A
G01N21/17 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075676
(22)【出願日】2021-04-28
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト(びわの品質を保証する生産から出荷までのスマート農業技術の実証と農福連携の推進)」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】釘尾 卓也
(72)【発明者】
【氏名】宇野 隆
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸明
(72)【発明者】
【氏名】高田 咲子
(72)【発明者】
【氏名】古澤 健太郎
【テーマコード(参考)】
2G051
2G059
【Fターム(参考)】
2G051AA05
2G051AB02
2G051BC01
2G051CA02
2G051CA04
2G051CB02
2G051CB05
2G051CC07
2G051CD01
2G051CD02
2G051DA06
2G051DA13
2G059AA05
2G059BB11
2G059EE01
2G059GG06
2G059HH05
2G059KK02
2G059KK04
2G059PP06
(57)【要約】
【課題】一つのシステムで青果物の等級および階級の両方を判定することができる選果方法および選果システムを提供する。
【解決手段】トレイ5上の青果物F,F,…に対してX線を照射することによって当該青果物F,F,…それぞれの外観の階級を個別判定する階級判定動作を行う階級判定装置2と、該階級判定装置2による階級の判定を行った後、青果物F,F,…に対して投光器から光を照射することによって当該青果物F,F,…それぞれの内部品質の等級を判定する等級判定動作を行う等級判定装置3とを備えさせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイに分散配置された複数の青果物の選果方法であって、
前記青果物に対してX線を照射することによって当該青果物それぞれの外観の階級を個別判定する階級判定動作と、
前記階級判定動作によって判定された前記青果物それぞれの前記階級の情報と、前記トレイ上における前記各青果物の位置情報とを関連付けて記憶する記憶動作と、
前記階級判定動作による前記階級の判定を行った後、前記記憶部に記憶されている前記各青果物の位置情報に基づいて前記トレイ上における前記各青果物の位置を認識しながら、前記各青果物それぞれの内部品質の等級を個別判定する等級判定動作と、
を行うことを特徴とする選果方法。
【請求項2】
請求項1記載の選果方法において、
前記階級判定動作は、前記青果物の外観として大きさの階級を判定するようになっており、
前記等級判定動作は、前記各青果物に対して光を照射することによって当該青果物それぞれの内部品質の等級を個別判定するようになっており、
前記等級判定動作では、前記階級判定動作によって判定された大きさが所定の大きさ未満である青果物に対して照射される光の強度を、前記階級判定動作によって判定された大きさが所定の大きさ以上である青果物に対して照射される光の強度よりも低くすることを特徴とする選果方法。
【請求項3】
複数の青果物を分散配置可能なトレイを備え、該トレイに分散配置された前記複数の青果物それぞれの外観および内部品質を個別判定する選果システムであって、
前記青果物に対してX線を照射することによって当該青果物それぞれの外観の階級を個別判定する階級判定装置と、
前記階級判定装置によって判定された前記青果物それぞれの前記階級の情報と、前記トレイ上における前記各青果物の位置情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記階級判定装置による前記階級の判定を行った後、前記記憶部に記憶されている前記各青果物の位置情報に基づいて前記トレイ上における前記各青果物の位置を認識しながら、前記各青果物それぞれの内部品質の等級を個別判定する等級判定装置と、
を備えていることを特徴とする選果システム。
【請求項4】
請求項3記載の選果システムにおいて、
前記階級判定装置は、前記青果物の外観として大きさの階級を判定するようになっており、
前記等級判定装置は、前記各青果物に対して投光手段から光を照射することによって当該青果物それぞれの内部品質の等級を個別判定するようになっており、当該等級判定装置には、前記投光手段から前記青果物に対して照射される光の強度を可変とする光度可変機構が設けられていて、
前記光度可変機構は、前記階級判定装置によって判定された大きさが所定の大きさ未満である青果物に対して照射される光の強度を、前記階級判定装置によって判定された大きさが所定の大きさ以上である青果物に対して照射される光の強度よりも低くする構成となっていることを特徴とする選果システム。
【請求項5】
請求項4記載の選果システムにおいて、
前記光度可変機構は、前記投光手段と前記青果物との間に配設され前記投光手段からの光の光軸に対して直交する方向に移動可能な遮光部材を備えており、
前記遮光部材には、前記投光手段から前記青果物に向けて照射される光の径よりも小径の貫通孔が設けられていて、
前記遮光部材が、前記光の光路から待避する姿勢と、前記貫通孔が前記光路上に位置する姿勢との間で移動可能な構成となっていることを特徴とする選果システム。
【請求項6】
請求項4または5記載の選果システムにおいて、
前記トレイには、前記青果物を収容する凹陥部が、複数行複数列のマトリックス状に配置されており、
前記等級判定装置は、前記トレイを前記複数行複数列の行方向および列方向にそれぞれ移動可能とする移動手段を備えており、
前記移動手段は、
前記列方向に並ぶ各青果物が前記投光手段からの光の光路上に順に移動していくように前記トレイを前記列方向に沿って移動させる列方向移動動作と、前記トレイを前記行方向の1行分だけ移動させる行方向移動動作とを交互に繰り返すことを特徴とする選果システム。
【請求項7】
請求項6記載の選果システムにおいて、
前記移動手段は、前記トレイを載置した状態で前記行方向および前記列方向にそれぞれ移動可能な搬送パレットを備えており、該搬送パレットの上面には、載置された前記トレイの各側面に当接して当該トレイの位置決めを行う突起が設けられていることを特徴とする選果システム。
【請求項8】
請求項6または7記載の選果システムにおいて、
前記移動手段の前記列方向移動動作は、前記トレイを前記列方向に沿って移動させて当該列方向において最後に光が照射される前記青果物が前記光の光路上を通過した後、所定寸法だけ列方向への移動を継続することを特徴とする選果システム。
【請求項9】
請求項1~8のうち何れか一つに記載の選果システムにおいて、
前記トレイの外面には、当該トレイの個体情報として2次元コードが付与されており、
前記階級判定装置には、前記2次元コードを読み取り可能なコードリーダが備えられており、当該コードリーダの配設位置は、前記階級判定装置上の所定位置に前記トレイが設置された状態で、当該トレイに付与されている前記2次元コードが読み取れる位置に設定されていることを特徴とする選果システム。
【請求項10】
請求項1~9のうち何れか一つに記載の選果システムにおいて、
前記トレイの外面には、当該トレイの個体情報として2次元コードが付与されており、
前記等級判定装置には、前記2次元コードを読み取り可能なコードリーダが備えられており、当該コードリーダの配設位置は、前記等級判定装置上の所定位置に前記トレイが設置された状態で、当該トレイに付与されている前記2次元コードが読み取れる位置に設定されていることを特徴とする選果システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は青果物を選別する選果方法および当該選果方法を実施する選果システムに係る。
【背景技術】
【0002】
従来、青果物のパック詰め作業の高効率化を図ること等を目的として、トレイ上に載置された複数の青果物に対する等級分け(内部品質等の仕分け)を行う選果システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、複数の青果物を載置可能なトレイと、該トレイを搬送するための搬送装置と、トレイを用いて青果物の供給を行う供給部と、投光手段および受光手段が対向して配置される測定部と、品質判定の結果に基づき青果物の選別を行う選別部とを備えた選果システムが開示されている。そして、この特許文献1では、投光手段から青果物に向けて光を照射し、その透過光を受光手段によって検出して、青果物の吸光度を測定・分析することにより、青果物の糖度等といった内部品質(等級)を判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-325281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている選果システムは、青果物の内部品質(等級)を判定する機能しか備えておらず、青果物の大きさ等の階級の判定を行うことができないものであった。つまり、青果物の階級の判定を行うためには個別に選果システム(階級判定機能を備えたシステム)が必要になってしまうものであった。このため、一つのシステムで青果物の等級および階級の両方を判定することができる選果方法および選果システムが求められていた。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、一つのシステムで青果物の等級および階級の両方を判定することができる選果方法および選果システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、トレイに分散配置された複数の青果物の選果方法であって、前記青果物に対してX線を照射することによって当該青果物それぞれの外観の階級を個別判定する階級判定動作と、前記階級判定動作によって判定された前記青果物それぞれの前記階級の情報と、前記トレイ上における前記各青果物の位置情報とを関連付けて記憶する記憶動作と、前記階級判定動作による前記階級の判定を行った後、前記記憶部に記憶されている前記各青果物の位置情報に基づいて前記トレイ上における前記各青果物の位置を認識しながら、前記各青果物それぞれの内部品質の等級を個別判定する等級判定動作と、を行うことを特徴とする。
【0008】
この特定事項により、階級判定動作においては、青果物に対してX線を照射することによって当該青果物それぞれの外観の階級が個別判定される。この階級の情報は、トレイ上における各青果物の位置情報と関連付けられて記憶される。その後、等級判定動作においては、各青果物の位置を認識しながら、各青果物それぞれの内部品質の等級が個別判定される。つまり、トレイ上における各青果物の位置情報と等級の情報とが関連付けられる。これにより、各青果物それぞれにおいて、トレイ上における位置情報と階級の情報と等級の情報とが互いに関連付けられることになり、青果物の階級および等級の両方を判定することができる。また、前記各情報が関連付けられていることにより、各青果物それぞれの階級および等級の情報を一元管理することができ、青果物のパック詰め作業等においては、この情報を有効利用することで作業の高効率化を図ることもできる。
【0009】
また、前記階級判定動作は、前記青果物の外観として大きさの階級を判定するようになっており、前記等級判定動作は、前記各青果物に対して光を照射することによって当該青果物それぞれの内部品質の等級を個別判定するようになっており、前記等級判定動作では、前記階級判定動作によって判定された大きさが所定の大きさ未満である青果物に対して照射される光の強度を、前記階級判定動作によって判定された大きさが所定の大きさ以上である青果物に対して照射される光の強度よりも低くするようにしている。
【0010】
青果物に対して照射される光の強度を青果物の大きさに関わらず一定とした場合、大きさが大きい青果物は、光の透過方向の厚さが大きく、透過光量が小さくなる傾向がある。一方、大きさが小さい青果物は、光の透過方向の厚さが小さく、透過光量が大きくなる傾向がある。つまり、光の強度を青果物の大きさに関わらず一定とした場合には、青果物を透過した光の光量が当該青果物の内部品質の等級に応じたものにならない可能性がある。本解決手段では、青果物の大きさに応じて、青果物に対して照射される光の強度を変更する(大きい青果物に対しては光の強度を高くするのに対し、小さい青果物に対しては光の強度を低くする)ことにより、青果物の大きさに関わりなく、青果物の内部品質の等級に応じた透過光量が得られるようにしている。これにより、高い精度で等級判定を行うことができる。
【0011】
前述した選果方法を実施する選果システムも本発明の技術的思想の範疇である。つまり、複数の青果物を分散配置可能なトレイを備え、該トレイに分散配置された前記複数の青果物それぞれの外観および内部品質を個別判定する選果システムであって、前記青果物に対してX線を照射することによって当該青果物それぞれの外観の階級を個別判定する階級判定装置と、前記階級判定装置によって判定された前記青果物それぞれの前記階級の情報と、前記トレイ上における前記各青果物の位置情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記階級判定装置による前記階級の判定を行った後、前記記憶部に記憶されている前記各青果物の位置情報に基づいて前記トレイ上における前記各青果物の位置を認識しながら、前記各青果物それぞれの内部品質の等級を個別判定する等級判定装置とを備えていることを特徴とする。
【0012】
この特定事項により、一つのシステムで青果物の階級および等級の両方を判定することができる。また、前記各情報が関連付けられていることにより、各青果物それぞれの階級および等級の情報を一元管理することができ、青果物のパック詰め作業等においては、この情報を有効利用することで作業の高効率化を図ることもできる。
【0013】
また、前記階級判定装置は、前記青果物の外観として大きさの階級を判定するようになっており、前記等級判定装置は、前記各青果物に対して投光手段から光を照射することによって当該青果物それぞれの内部品質の等級を個別判定するようになっており、当該等級判定装置には、前記投光手段から前記青果物に対して照射される光の強度を可変とする光度可変機構が設けられていて、前記光度可変機構は、前記階級判定装置によって判定された大きさが所定の大きさ未満である青果物に対して照射される光の強度を、前記階級判定装置によって判定された大きさが所定の大きさ以上である青果物に対して照射される光の強度よりも低くする構成となっている。
【0014】
本解決手段においても、青果物の大きさに応じて、青果物に対して照射される光の強度を変更する(大きい青果物に対しては光の強度を高くするのに対し、小さい青果物に対しては光の強度を低くする)ことにより、青果物の大きさに関わりなく、青果物の内部品質の等級に応じた透過光量が得られるようにしている。これにより、高い精度で等級判定を行うことができる。
【0015】
また、前記光度可変機構は、前記投光手段と前記青果物との間に配設され前記投光手段からの光の光軸に対して直交する方向に移動可能な遮光部材を備えており、前記遮光部材には、前記投光手段から前記青果物に向けて照射される光の径よりも小径の貫通孔が設けられていて、前記遮光部材が、前記光の光路から待避する姿勢と、前記貫通孔が前記光路上に位置する姿勢との間で移動可能な構成となっている。
【0016】
所定以上の大きさの青果物に対して等級の判定を行う場合には、遮光部材が光の光路から待避する姿勢となり、投光手段からの光がそのまま青果物に照射され、当該青果物に照射される光の強度は高くなる。これに対し、所定未満の大きさの青果物に対して等級の判定を行う場合には、遮光部材が、貫通孔が光路上に位置する姿勢となり、光の一部は遮光部材によって遮られ、青果物に照射される光の強度は低くなる。このような遮光部材の移動によって、青果物の大きさに応じた光の強度の変更を行うことができる。これにより、比較的簡素な構成によって前記光の強度を変更することができる。
【0017】
また、前記トレイには、前記青果物を収容する凹陥部が、複数行複数列のマトリックス状に配置されており、前記等級判定装置は、前記トレイを前記複数行複数列の行方向および列方向にそれぞれ移動可能とする移動手段を備えており、前記移動手段は、前記列方向に並ぶ各青果物が前記投光手段からの光の光路上に順に移動していくように前記トレイを前記列方向に沿って移動させる列方向移動動作と、前記トレイを前記行方向の1行分だけ移動させる行方向移動動作とを交互に繰り返すようになっている。
【0018】
これによれば、トレイ上でマトリックス状に配置された各凹陥部それぞれに収容された青果物を投光手段からの光の光路上に順に移動させていくことができ、トレイ上の青果物に対する内部品質の等級を自動的に個別判定していくことができる。これにより、等級判定動作の自動化を図ることができる。
【0019】
また、前記移動手段は、前記トレイを載置した状態で前記行方向および前記列方向にそれぞれ移動可能な搬送パレットを備えており、該搬送パレットの上面には、載置された前記トレイの各側面に当接して当該トレイの位置決めを行う突起が設けられている。
【0020】
これによれば、列方向移動動作および行方向移動動作が繰り返されることに伴って搬送パレットの移動および停止が繰り返される状況であっても、搬送パレット上でトレイが移動してしまう(位置ズレする)ことがなく、列方向移動動作および行方向移動動作を安定的に行うことができ、各青果物を投光手段からの光の光路上に順に正確に移動させていくことができる。
【0021】
また、前記移動手段の前記列方向移動動作は、前記トレイを前記列方向に沿って移動させて当該列方向において最後に光が照射される前記青果物が前記光の光路上を通過した後、所定寸法だけ列方向への移動を継続するようにしている。
【0022】
これによれば、列方向での移動の減速動作を、当該列方向において最後に光が照射される青果物が光の光路上を通過した後から開始することができる。つまり、各青果物への光の照射途中で列方向での移動速度が変動してしまうといったことがなくなる。このため、各青果物に対して均等な光の照射を行うことができ、等級の個別判定の信頼性を高めることができる。
【0023】
また、前記トレイの外面には、当該トレイの個体情報として2次元コードが付与されており、前記階級判定装置には、前記2次元コードを読み取り可能なコードリーダが備えられており、当該コードリーダの配設位置は、前記階級判定装置上の所定位置に前記トレイが設置された状態で、当該トレイに付与されている前記2次元コードが読み取れる位置に設定されている。
【0024】
これによれば、コードリーダで2次元コードが読み取られたことで、階級判定装置における所定位置にトレイが設置されたことを保証できる。つまり、2次元コードの読み取り動作により、トレイの個体情報の取得と、該トレイが階級判定装置における所定位置に設置されたことの確認とを行うことができる。
【0025】
同様に、前記等級判定装置には、前記2次元コードを読み取り可能なコードリーダが備えられており、当該コードリーダの配設位置は、前記等級判定装置上の所定位置に前記トレイが設置された状態で、当該トレイに付与されている前記2次元コードが読み取れる位置に設定されている。
【0026】
この場合にも、コードリーダで2次元コードが読み取られたことで、等級判定装置における所定位置にトレイが設置されたことを保証できる。つまり、2次元コードの読み取り動作により、トレイの個体情報の取得と、該トレイが等級判定装置における所定位置に設置されたことの確認とを行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、青果物に対してX線を照射することによって複数の青果物それぞれの外観の階級を個別判定する階級判定動作と、複数の青果物それぞれの内部品質の等級を個別判定する等級判定動作とを行うようにしている。これにより、青果物の階級および等級の両方を判定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態に係る選果システムを模式的に示す平面図である。
図2】選果システムのシステム構成の概略を示す図である。
図3】トレイの平面図である。
図4】トレイに設けられた凹陥部の拡大図である。
図5】階級判定装置を模式的に示す側面図である。
図6】等級判定装置を模式的に示す側面図である。
図7】等級判定装置におけるトレイの移動を説明するための平面図である。
図8】光度可変機構を示す斜視図である。
図9】遮光板の姿勢変化を説明するための図である。
図10】パック詰め部を模式的に示す側面図である。
図11】第2実施形態に係る選果システムの一部を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、青果物として枇杷を選別するための選果システムに本発明を適用した場合について説明する。尚、本発明に係る選果システムによって選別される青果物としては枇杷に限らず、苺やサクランボやトマト等の種々のものが適用可能である。
【0030】
-第1実施形態-
図1は、本実施形態に係る選果システム1を模式的に示す平面図である。以下の説明では、図1における左右方向をX方向と呼び、図1における上下方向をY方向と呼ぶこととする。
【0031】
(選果システムの全体構成)
選果システム1は、図1に示すように、階級判定装置2、等級判定装置3、2カ所のパック詰め部4L,4Rを備えている。また、階級判定装置2には、当該階級判定装置2に向けてトレイ(複数の青果物F,F,…が分散配置されたトレイ)5を搬送するための第1コンベアC1が連結されている。また、等級判定装置3とパック詰め部4L,4Rとの間には、等級判定装置3からパック詰め部4L,4Rに向けてトレイ5を搬送するための第2コンベアC2が配設されている。尚、この第2コンベアC2は、X方向に延在するコンベア部C2aとY方向に延在するコンベア部C2bとを備えている。第1コンベアC1および第2コンベアC2は、ベルトコンベアであってもよいし、ローラコンベアであってもよい。
【0032】
階級判定装置2は、トレイ5に分散配置された複数の青果物(枇杷)F,F,…それぞれの外観(大きさ等)の階級の判定や青果物それぞれの重量の推定(本発明でいう階級判定動作)を行う装置である。例えば、作業者が図示しない計測開始釦を押し込み操作することで、複数の青果物F,F,…それぞれに対する階級の判定動作が開始される。この階級の判定や重量の推定の詳細については後述する。
【0033】
等級判定装置3は、階級判定装置2による階級の判定を行った後、青果物F,F,…それぞれの内部品質の等級(糖度の等級や腐敗の有無等)や形状を判定する(本発明でいう等級判定動作を行う)装置である。例えば、作業者が図示しない計測開始釦を押し込み操作することで、複数の青果物F,F,…それぞれに対する等級の判定動作が開始される。この内部品質の等級や形状の判定の詳細についても後述する。
【0034】
パック詰め部4L,4Rは、作業者W2による青果物Fのパック詰め作業を行う部分であって、トレイ5から図示しない包装パックに青果物Fを移し替える作業が行われる。このパック詰め部4L,4Rでは、階級判定装置2で判定された青果物Fの階級および等級判定装置3で判定された青果物Fの等級に応じ、階級および等級が同じ青果物Fが同じ包装パックに詰められるように作業者W2に指示(後述するプロジェクタによる指示)を行うようになっている。また、このパック詰め部4L,4Rでは、等級判定装置3で判定された青果物Fの内部品質に応じ、商品として不適切な青果物F(腐敗した青果物等)については包装パックに詰めないように作業者W2に指示(後述するプロジェクタによる指示)を行うようになっている。この作業者W2への指示の詳細についても後述する。
【0035】
本実施形態にあっては、階級判定装置2から等級判定装置3へのトレイ5の移動は作業者W1の手作業によって行われるようになっている。
【0036】
また、第2コンベアC2のコンベア部C2bには手動搬入コンベアC3が連結されている。この手動搬入コンベアC3は、作業者W3が手動でトレイ5を第2コンベアC2に送り込むためのものである。
【0037】
図2は、選果システム1のシステム構成の概略を示す図である。この図2では、本発明の技術を説明する上で必要な構成のみを示している。実際の選果システム1にあっては、この図2に示す各装置以外の装置(各種データ入力用のタブレット端末やデータ編集のためのパーソナルコンピュータや荷受け設定のためのパーソナルコンピュータ等)も備えられている。
【0038】
図2に示すように、階級判定装置2、等級判定装置3、パック詰め部4L,4Rは、それぞれコンピュータ(パーソナルコンピュータ)PC1,PC2,PC3,PC4を備えており、これらコンピュータPC1~PC4がLANケーブルによる有線通信またはWi-Fi(登録商標)等を利用した無線通信によって互いに情報の送受信が可能となっている。具体的には、コンピュータPC1,PC2間でLANケーブルによる有線通信が行われ、コンピュータPC1,PC3,PC4間でWi-Fi等を利用した無線通信が行われるようになっている。階級判定装置2、等級判定装置3、パック詰め部4L,4Rそれぞれの具体的なシステム構成については後述する。
【0039】
また、階級判定装置2は、選果システム1を統括管理するための事務所7に備えられた2台のコンピュータPC5,PC6にLANケーブルによる有線通信またはWi-Fi等を利用した無線通信によって互いに情報の送受信が可能となっている。具体的には、コンピュータPC1,PC5,PC6間でLANケーブルによる有線通信が行われるようになっている。事務所7に備えられた2台のコンピュータPC5,PC6は、階級判定装置2からの情報を受信することによって、青果物Fの形状をAI(Artificial Intelligence)判定する形状判定用のコンピュータPC5、青果物Fの傷の有無をAI判定する傷判定用のコンピュータPC6となっている。
【0040】
(トレイ)
階級判定装置2、等級判定装置3、パック詰め部4L,4Rそれぞれについて説明する前に、複数の青果物F,F,…を分散配置するトレイ5の概略について説明する。
【0041】
図3は、トレイ5の平面図である(後述する搬送パレット32を仮想線で示している)。このトレイ5は、例えば発泡ポリプロピレン等の樹脂から成り、上方に開放する矩形箱状に形成されている。
【0042】
トレイ5は、比較的密度が低く、X線の透過率が高いものであることが好ましい。これによれば、後述する階級判定装置2におけるX線照射による階級判定動作において計測精度を高めることができる。また、トレイ5は、黒色等の濃い色であって光(例えば近赤外光)の遮光性を有するものであることが好ましい。これによれば、後述する等級判定装置3において照射される光が後述する貫通孔53を透過したもののみとなり、漏れ光を低減することができる。
【0043】
トレイ5には、青果物F,F,…が収容される複数の凹陥部51,51,…が複数行複数列(本実施形態では、7行4列)のマトリックス状に配置されている。図4は凹陥部51の拡大図である。この図4に示すように、凹陥部51の形状(平面視の形状)は青果物(枇杷)Fの形状に応じた形状に予め設定されている。また、各凹陥部51,51,…は、その長手方向がトレイ5の長手方向に対して所定角度だけ傾斜するように配置されている。これにより、トレイ5の長手方向の長さを抑えながらも、多数の凹陥部51,51,…が配置できるようにしている。また、この凹陥部51の周囲には作業者W2が青果物Fを摘まむ際に指を挿入する挿入凹陥部52,52,…が設けられている。これにより、トレイ5から青果物Fを取り出す際の作業性の向上が図られている。各凹陥部51,51,…それぞれに青果物F,F,…が収容された状態では、これら複数の青果物F,F,…が水平方向に並べられて上下に重ならないように分散配置される。また、各凹陥部51,51,…の中央部には円形の貫通孔53がそれぞれ形成されている。この貫通孔53は、等級判定装置3において青果物Fに向けて照射される光を透過させるためのものである。この等級判定装置3における光の照射については後述する。
【0044】
各トレイ5には、当該トレイ5と他のトレイ5とを識別するためのバーコード(2次元コード)が貼り付けられている。このバーコードの貼り付け位置は例えばトレイ5の側面であって予め規定された位置(後述するバーコードリーダの配設位置に応じた位置)となっている。本実施形態では、図3における位置BC1および位置BC2それぞれに同一のバーコードが貼り付けられている。つまり、トレイ5における長手方向側の側面における一方寄りの位置(図3における上寄りの位置BC1,BC2)にバーコードが貼り付けられている。
【0045】
このようにトレイ5におけるバーコードの貼り付け位置が規定されていることにより、トレイ5の反転(例えば鉛直軸周りに180°反転)した場合には、バーコードリーダとの位置がずれることで当該バーコードリーダによるバーコードの読み取りがされないようになっている。具体的に説明すると、図1において、階級判定装置2にあっては図中の位置BR1にバーコードリーダ(図5における符号25を参照)が配置されている。また、等級判定装置3にあっては図中の位置BR2にバーコードリーダ(図6における符号34を参照)が配置されている。また、図1において左側に位置するパック詰め部4Lにあっては図中の位置BR3にバーコードリーダ(図10における符号42を参照)が配置されている。また、図1において右側に位置するパック詰め部4Rにあっては図中の位置BR4にバーコードリーダが配置されている。これらパック詰め部4L,4Rにおけるバーコードリーダの位置BR3,BR4は、パック詰め作業の邪魔にならない位置として、作業者W2に対してトレイ5の奥側の位置に規定されている。
【0046】
このような位置RB1~BR4にバーコードリーダを配置したことにより、階級判定装置2にあっては図中の位置BR1のバーコードリーダによって位置BC1(図3を参照)に貼り付けられているバーコードを読み取ることができる。また、等級判定装置3にあっては図中の位置BR2のバーコードリーダによって位置BC1に貼り付けられているバーコードを読み取ることができる。この際、トレイ5が反転(鉛直軸周りに180°反転)していた場合には、位置BC2に貼り付けられているバーコードは位置BR2のバーコードリーダに対向しないため、当該バーコードリーダによるバーコードの読み取りはされない。これにより、バーコードリーダによってバーコードが読み取られた場合には、階級判定装置2でのトレイ5の姿勢と、等級判定装置3でのトレイ5の姿勢とが同じ姿勢であることが保証できる。尚、本実施形態では、トレイ5が反転してバーコードの読み取りが行えなかった場合には、等級判定装置3での判定動作がロックされるようになっている。
【0047】
また、図1において左側に位置するパック詰め部4Lにあっては図中の位置BR3のバーコードリーダによって位置BC2に貼り付けられているバーコードを読み取ることができる。この際、トレイ5が反転(鉛直軸周りに180°反転)していた場合には、位置BC1に貼り付けられているバーコードは位置BR3のバーコードリーダに対向しないため、当該バーコードリーダによるバーコードの読み取りはされない。これにより、バーコードリーダによってバーコードが読み取られた場合には、階級判定装置2でのトレイ5の姿勢と、等級判定装置3でのトレイ5の姿勢と、パック詰め部4Lでのトレイ5の姿勢とが同じ姿勢であることが保証できる。尚、本実施形態では、トレイ5が反転してパック詰め部4Lでのバーコードの読み取りが行えなかった場合には、当該パック詰め部4Lでの動作がロックされるようになっている。
【0048】
また、図1において右側に位置するパック詰め部4Rにあっては図中の位置BR4のバーコードリーダによって位置BC1に貼り付けられているバーコードを読み取ることができる。この際、トレイ5が反転(鉛直軸周りに180°反転)していた場合には、位置BC2に貼り付けられているバーコードは位置BR4のバーコードリーダに対向しないため、当該バーコードリーダによるバーコードの読み取りはされない。これにより、バーコードリーダによってバーコードが読み取られた場合には、階級判定装置2でのトレイ5の姿勢と、等級判定装置3でのトレイ5の姿勢と、パック詰め部4Rでのトレイ5の姿勢とが同じ姿勢であることが保証できる。尚、本実施形態では、トレイ5が反転してパック詰め部4Rでのバーコードの読み取りが行えなかった場合には、当該パック詰め部4Rでの動作がロックされるようになっている。
【0049】
また、トレイ5の外縁の4隅の上面には平面視が円形の孔54,54,…が形成されており、これら4つの孔54,54,…のうち3つの孔54,54,54にはマークMがそれぞれ挿入されている。このマークMの材質は、X線吸収係数が相対的に大きい材料であれば特に限定されないが、例えば、鉄や、セラミックスや、発泡ポリプロピレンよりもX線吸収係数が大きい樹脂等を挙げることができる。また、前記4つの孔54,54,…のうち3つの孔54,54,54にマークMを挿入したことにより、トレイ5がどのような姿勢を採っても、トレイの姿勢を認識する際に(例えばX線照射によって姿勢を認識する際に)トレイ5の向きや方向等を特定できるようになっている
以下、階級判定装置2、等級判定装置3、パック詰め部4Lそれぞれについて、これら階級判定装置2、等級判定装置3、パック詰め部4Lにおける動作と共に説明する。尚、パック詰め部4Rの構成はパック詰め部4Lと対称であるため、パック詰め部4Lを代表して説明する。
【0050】
(階級判定装置)
図5は、階級判定装置2を模式的に示す側面図である。この図5では、左右方向を前記Y方向として表している。この図5に示すように、階級判定装置2は、ベース台21、搬送コンベア22、X線検出装置23、カメラ24、バーコードリーダ25、計測処理装置26を備えている。
【0051】
ベース台21は、所定の高さを有し、前記搬送コンベア22を支持している。このベース台21の高さは、搬送コンベア22の上面と第1コンベアC1の上面とが略同じ高さ位置となるように設定されている。
【0052】
搬送コンベア22は、図1および図5におけるY方向を搬送方向とし、図示しない駆動モータの作動によって、搬送面22aに載置されたトレイ(複数の青果物F,F,…を収容したトレイ)5を前記搬送方向に沿って搬送可能となっている。具体的には、図1および図5における矢印Y1方向にトレイ5を搬送しながらX線検出装置23からのX線の照射およびカメラ24による撮影を行って、青果物F,F,…それぞれの外観の階級の判定や青果物F,F,…それぞれの重量の推定を行い、その後、図1および図5における矢印Y2方向にトレイ5を搬送することによって作業者W1の近くに戻ってくるようになっている。
【0053】
X線検出装置23は、搬送コンベア22を挟んで上下に対向配置されたX線発生器23aとX線ラインスキャナ23bとを有している。X線発生器23aは、搬送コンベア22よりも上方に配置されていて、搬送コンベア22の下方に配置されたX線ラインスキャナ23bに向けてX線を照射する。X線ラインスキャナ23bは、X線発生器23aから照射されてトレイ5等を透過したX線を検出する。X線ラインスキャナ23bは、X線を受光すると、受光量に応じた強度の電気信号を計測処理装置26に出力する。
【0054】
カメラ24は、搬送コンベア22の上方に配置されており、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等で構成されている。このカメラ24は、搬送コンベア22上のトレイ5に収容された各青果物F,F,…を撮影し、その画像情報(色等の情報)を計測処理装置26に出力する。
【0055】
バーコードリーダ25は、搬送コンベア22上に載置されたトレイ5に取り付けられたバーコード(前述した位置BC1に貼り付けられているバーコード)を自動的に読み取る。バーコードリーダ25は、読み取ったトレイ5の識別情報を計測処理装置26に出力する。また、このバーコードリーダ25の配設位置は、階級判定装置2の搬送コンベア22上の所定位置にトレイ5が設置された状態(例えば、搬送コンベア22の搬送方向に沿う方向がトレイ長手方向となるようにトレイ5が設置された状態)で当該トレイ5の側面の位置BC1に貼り付けられているバーコードが読み取れる位置に設定されている。つまり、バーコードリーダ25でバーコードが読み取られたことで、搬送コンベア22上の所定位置にトレイ5が設置されたことが保証できるようにしている。
【0056】
計測処理装置26は、前述したコンピュータPC1で構成されており、処理部26aと、記憶部26bと、送信部26cとを有している。処理部26aは、CPU(Central Processing Unit)等で構成されており、記憶部26bに記憶された各種プログラム等に基づいて演算処理を実行する。記憶部26bは、各種プログラム等が記憶されているROM(Read Only Memory)や、処理部26aによる演算結果などを一時的に記憶するメモリであるRAM(Random Access Memory)等で構成されている。
【0057】
また、X線検出装置23から照射されたX線が青果物F,F,…およびトレイ5を透過した場合とトレイ5のみを透過した場合とで、X線ラインスキャナ23bの受光量に差が生じることから、計測処理装置26には当該差に応じた電気信号が入力され、これにより、処理部26aはトレイ5に収用された各青果物F,F,…の外縁部を特定すると共に、トレイ5における各青果物F,F,…の位置を特定する。
【0058】
さらに、厚さが大きい青果物FをX線が透過した場合と厚さが小さい青果物FをX線が透過した場合とで、X線ラインスキャナ23bの受光量に差が生じることから、計測処理装置26には当該差に応じた電気信号が入力され、これにより、処理部26aはトレイ5に収用された複数の青果物F,F,…の相対的な厚みを取得する。そして、処理部26aは、例えば各青果物F,F,…の存在領域内において相対的な厚みの値を積分処理することによって、各青果物F,F,…の相対的な大きさを推定し、それに応じて、重量の比率を算出する。
【0059】
加えて、処理部26aは、推定された各青果物F,F,…の大きさに基づいて、各青果物F,F,…を、例えばL/M/Sなどのサイズに階級分けする。例えば、処理部26aは、青果物Fの大きさがLサイズに対応する所定の大きさ以上か否かを判定し、肯定判定であれば、当該青果物FをLサイズとして認識する。一方、否定判定であれば、処理部26aは、青果物Fの大きさがMサイズに対応する所定の大きさ以上か否かを判定し、肯定判定であれば、当該青果物FをMサイズとして認識する。一方、否定判定であれば、当該青果物FをSサイズとして認識する。このようにして算出された各青果物F,F,…の階級分けの結果(判定結果)は、トレイ5における青果物F,F,…の前記位置と関連付けて、記憶部26bに記憶される。
【0060】
各青果物F,F,…の形状や傷の有無を判定するための具体的な動作としては、カメラ24によって撮影された各青果物F,F,…の画像、および、X線ラインスキャナ23bからの受光量の情報を、事務所7に備えられた2台のコンピュータPC5,PC6にそれぞれ送信し、コンピュータPC5によって青果物Fの形状が判定され、コンピュータPC6によって青果物Fの傷の有無が判定され、これらの判定結果の情報を計測処理装置26が受信して記憶部26bに記憶されるようになっている。
【0061】
記憶部26bには、バーコードリーダ25で読み取られたトレイ5の識別情報や、各青果物F,F,…の大きさや重量がトレイ5における青果物F,F,…の位置と関連付けられた情報が記憶される(本発明でいう記憶動作)。
【0062】
送信部26cは、記憶部26bに記憶されている各種の情報(トレイ5の識別情報や、各青果物F,F,…の大きさや重量がトレイ5における青果物F,F,…の位置と関連付けられた情報)を、等級判定装置3に送信する。
【0063】
尚、トレイ5の外縁部を特定する処理動作としては、X線がトレイ5および搬送コンベア22を透過した場合と搬送コンベア22のみを透過した場合とで、X線ラインスキャナ23bの受光量に差が生じることから、計測処理装置26には当該差に応じた電気信号が入力され、これにより、処理部26aはトレイ5の外縁部を特定するようになっている。
【0064】
(等級判定装置)
図6は、等級判定装置3を模式的に示す側面図である。この図6では、左右方向を前記Y方向として表している。この図6に示すように、等級判定装置3は、ベース台31、搬送パレット32、光検出装置33、バーコードリーダ34、情報管理装置35を備えている。
【0065】
ベース台31は、上面の高さ位置が前記階級判定装置2のベース台21の高さ位置に略一致している。これにより、階級判定装置2の搬送コンベア22から等級判定装置3のベース台31へのトレイ5の移動(作業者W1の手作業による移動)が容易に行えるようになっている。
【0066】
搬送パレット32は、載置されたトレイ5をX方向およびY方向に沿って移動可能となっている。例えば、ベース台31上には、搬送パレット32をX方向に沿って移動させる図示しない搬送コンベアと、搬送パレット32をY方向に沿って移動させる図示しない搬送コンベア(例えば前記X方向に移動する搬送コンベアを搬送パレット32と共にY方向に移動させる搬送コンベア等)とが備えられており、これら搬送コンベアの作動によって搬送パレット32をX方向およびY方向に任意の移動距離だけ移動させることが可能な構成となっている。これにより、本発明でいう移動手段が構成されている。この搬送パレット32をX方向およびY方向に移動させることを可能にする構成としてはこれに限定されるものではなく、搬送パレット32がX方向およびY方向に沿って自走可能な構成となっていてもよい。
【0067】
また、搬送パレット32の上面には、載置されたトレイ5の位置決めを行う突起32a,32a,…が設けられている(図3における仮想線を参照)。これら突起32a,32a,…は、搬送パレット32上に載置されたトレイ5の各側面に当接する位置に設けられており、これら側面に当接することで、トレイ5の位置決め(搬送パレット32に対する相対位置のズレの防止)を行うようになっている。
【0068】
光検出装置33は、ベース台31を挟んで上下に対向配置された投光器33aと受光器33bとを有している。投光器33aは、ベース台31よりも上方に配置されていて、ベース台31の下方に配置された受光器33bに向けて光(近赤外光やレーザ光等)を照射する。受光器33bは、投光器33aから照射されて青果物Fおよびトレイ5の凹陥部51の貫通孔53を透過した光を検出する。受光器33bは、光を受光すると、受光量に応じた電気信号を情報管理装置35に出力する。
【0069】
バーコードリーダ34は、搬送パレット32上に載置されたトレイ5に取り付けられたバーコード(前述した位置BC1に貼り付けられているバーコード)を自動的に読み取る。バーコードリーダ34は、読み取ったトレイ5の識別情報を情報管理装置35に出力する。また、このバーコードリーダ34の配設位置は、等級判定装置3のベース台31上の初期位置(等級判定動作開始前の位置)にある搬送パレット32上の所定位置にトレイ5が設置された状態(例えば、搬送パレット32によるY方向の移動方向がトレイ長手方向となるようにトレイ5が設置された状態)で当該トレイ5の側面の位置BC1に貼り付けられているバーコードが読み取れる位置に設定されている。つまり、バーコードリーダ34でバーコードが読み取られたことで、搬送パレット32上の所定位置にトレイ5が設置されたことが保証できるようにしている。
【0070】
情報管理装置35は、前述したコンピュータPC2で構成されており、処理部35aと、記憶部35bと、送信部35cとを有している。処理部35aは、CPU等で構成されており、記憶部35bに記憶された各種プログラム等に基づいて演算処理を実行する。記憶部35bは、各種プログラム等が記憶されているROMや、処理部35aによる演算結果などを一時的に記憶するメモリであるRAM等で構成されている。
【0071】
また、光検出装置33の受光器33bで受光された光の情報は情報管理装置35に入力され、これにより、処理部35aは、この光の情報を解析することによって青果物Fの内部品質の等級(糖度の等級や腐敗の有無等)を判定する。この判定された青果物Fの内部品質の等級の情報は、前記各青果物F,F,…の階級分けの結果(判定結果)の情報と共に、トレイ5における青果物F,F,…の位置と関連付けられて記憶部35bに記憶される。
【0072】
このようにして、記憶部35bには、バーコードリーダ34で読み取られたトレイ5の識別情報や、各青果物F,F,…の大きさや重量の情報および青果物Fの内部品質の等級の情報がトレイ5における青果物F,F,…の位置と関連付けられた情報が記憶される。
【0073】
送信部35cは、記憶部35bに記憶されている各種の情報(トレイ5の識別情報や、各青果物F,F,…の大きさや重量の情報および青果物Fの内部品質の等級の情報がトレイ5における青果物F,F,…の位置と関連付けられた情報)を、パック詰め部4L,4Rに送信する。
【0074】
本実施形態における等級判定装置3の特徴の一つとして、搬送パレット32の移動動作が挙げられる。以下、この搬送パレット32の移動動作について説明する。
【0075】
前述したように搬送パレット32は、X方向およびY方向に沿って移動可能となっており、これにより、搬送パレット32上に載置されたトレイ5もX方向およびY方向に沿って移動可能となっている。そして、等級判定装置3による各青果物F,F,…の等級判定動作にあっては、投光器33aから受光器33bに向かって照射される光の光路上に各青果物F,F,…を順に移動させて各青果物F,F,…の等級を個別判定していくことになるが、この際、搬送パレット32は、前記列方向に並ぶ各青果物F,F,…が投光器33aからの光の照射位置(光の光路上の位置)に順に移動していくようにトレイ5を列方向に沿って移動させる列方向移動動作と、トレイ5を行方向の1行分だけ移動させる行方向移動動作とを交互に繰り返すようになっている。
【0076】
図7は、等級判定装置3におけるトレイ5の移動を説明するための平面図である。搬送パレット32の列方向移動動作および行方向移動動作が交互に繰り返されることによって、図7(a)~図7(i)の順で光の光路上(各図において丸印を付した位置)に各青果物F,F,…が順に移動されて各青果物F,F,…の等級が個別判定されることになる。図7(a)は、トレイ5が等級判定装置3に搬入されて搬送パレット32上に載置された状態である。図7(b)は、トレイ5上の各青果物F,F,…の第1列(図7(b)において最も下側に位置する列)の等級の判定動作が行われる前の状態である。図7(c)は搬送パレット32が図中の左方向に移動して第1列の各青果物F,F,…の等級の判定動作が終了した状態である。図7(d)は搬送パレット32の行方向移動動作が行われた状態である。この状態では、第2列(図7(d)において下から2番面に位置する列)が投光器33aからの光の照射位置に対応している。図7(e)は搬送パレット32が図中の右方向に移動して第2列の各青果物F,F,…の等級の判定動作が終了した状態である。図7(f)は搬送パレット32の行方向移動動作が行われた状態である。この状態では、第3列(図7(f)において下から3番面に位置する列)が投光器33aからの光の照射位置に対応している。図7(g)は搬送パレット32が図中の左方向に移動して第3列の各青果物F,F,…の等級の判定動作が終了した状態である。図7(h)は搬送パレット32の行方向移動動作が行われた状態である。この状態では、第4列(図7(h)において最も上側に位置する列)が投光器33aからの光の照射位置に対応している。図7(i)は搬送パレット32が図中の右方向に移動してトレイ5上の各青果物F,F,…の第4列の各青果物F,F,…の等級の判定動作が終了した状態である。
【0077】
前述したように、搬送パレット32の上面には、載置されたトレイ5の位置決めを行う突起32a,32a,…(図3を参照)が設けられているため、列方向移動動作および行方向移動動作が繰り返されることに伴って搬送パレット32の移動および停止が繰り返される状況であっても、搬送パレット32上でトレイ5が移動してしまう(位置ズレする)ことがなく、列方向移動動作および行方向移動動作を安定的に行うことができる。
【0078】
また、前述した搬送パレット32の各列方向移動動作にあっては、列方向において最後に光が照射される青果物Fが光の照射位置を通過した後、所定寸法(例えば数十mm)だけ列方向への移動を継続し、その後、搬送パレット32の移動が減速されて停止されるようになっている。つまり、搬送パレット32の列方向での移動の減速動作を、当該列方向において最後に光が照射される青果物Fが光の照射位置を通過した後から開始することができる。このため、各青果物F,F,…への光の照射途中で列方向での移動速度が変動してしまうといったことがなくなる。その結果、各青果物F,F,…に対して均等な光の照射を行うことができ(光の照射位置において等速度で各青果物F,F,…を通過させることができ)、等級の個別判定の信頼性を高めることができるようになっている。
【0079】
このようにして搬送パレット32の列方向移動動作および行方向移動動作が交互に繰り返されることによって、トレイ5上の青果物F,F,…に対する内部品質の等級を自動的に個別判定していくことができ、等級の判定動作の自動化を図ることができるようになっている。
【0080】
また、本実施形態における等級判定装置3は、投光器33aから青果物Fに対して照射される光の強度を可変とする光度可変機構6(図8を参照)が設けられている。この光度可変機構6は、階級判定装置2によって判定された大きさが所定の大きさ未満である青果物Fに対して照射される光の強度を、前記所定の大きさ以上である青果物Fに対して照射される光の強度よりも低くするものである。以下、具体的に説明する。
【0081】
青果物Fに対して照射される光の強度を青果物Fの大きさに関わらず一定とした場合、大きさが大きい青果物Fは、光の透過方向の厚さが大きく、透過光量が小さくなる傾向がある。一方、大きさが小さい青果物Fは、光の透過方向の厚さが小さく、透過光量が大きくなる傾向がある。つまり、光の強度を青果物Fの大きさに関わらず一定とした場合には、青果物Fを透過した光の光量が当該青果物Fの内部品質の等級に応じたものにならない可能性がある。本実施形態では、後述する光度可変機構6を備えさせることにより、青果物Fの大きさに応じて、青果物Fに対して照射される光の強度を変更する(大きい青果物Fに対しては光の強度を高くするのに対し、小さい青果物Fに対しては光の強度を低くする)ことにより、青果物Fの大きさに関わりなく、青果物Fの内部品質の等級に応じた透過光量が得られるようにしている。以下、光度可変機構6の具体構成について説明する。
【0082】
図8は、光度可変機構6の斜視図である。この図8に示すように、光度可変機構6は、遮光板(遮光部材)61およびモータ62を備えている。この図8に示すように、光度可変機構6は、モータ62の回動軸63に扇型の遮光板61が取り付けられた構成となっており、モータ62の作動によって遮光板61が回動可能な構成とされている。遮光板61は、モータ62の回動軸63の延在方向に対して直交する方向に延びている。そして、モータ62の回動軸63は、投光器33aから照射される光の光軸に沿う方向に延びている。このため、遮光板61は、この光軸に対して直交する方向で回動可能となっている。
【0083】
遮光板61には、小径の貫通孔64が形成されている。この貫通孔64の内径寸法は、前記投光器33aから青果物Fに向けて照射される光の径よりも僅かに小径に設定されている。そして、モータ62の作動によって回動する遮光板61の回動姿勢としては、図9(a)に示すように、遮光板61が、光の光路Lから待避する姿勢と、図9(b)に示すように、貫通孔64が光路L上に位置する姿勢と、図9(c)に示すように、遮光板61が光路L上に位置することで光の照射を遮断する姿勢との間で切り替え可能とされている。つまり、階級判定装置2によって判定された大きさが所定の大きさ以上である青果物Fに対して光を照射する場合には図9(a)に示す姿勢として、投光器33aからの光がそのまま青果物Fに照射されるようにして、当該青果物Fに照射される光の強度を高く設定する。また、階級判定装置2によって判定された大きさが所定の大きさ未満である青果物Fに対して光を照射する場合には図9(b)に示す姿勢として、光の一部を遮光板61(貫通孔64の周縁部)によって遮ることで、青果物Fに照射される光の強度を低く設定する。また、階級判定装置2によって、青果物Fが収容されていない凹陥部51に向けて光を照射する場合には図9(c)に示す姿勢として、トレイ5に向かう光を完全に遮断する。このようなモータ62の作動による遮光板61の回動姿勢変化が前記列方向移動動作と連動して行われるようになっている。
【0084】
このように青果物Fの大きさに応じて、青果物Fに対して照射される光の強度を変更することにより、青果物Fの大きさに関わりなく、青果物Fの内部品質の等級に応じた透過光量が得られるようにしている。
【0085】
尚、本実施形態では、遮光板61に形成する貫通孔64を1箇所のみに設けていたが、内径寸法が互いに異なる複数の貫通孔を設けておくようにしてもよい。これによれば、光路L上に位置する貫通孔を異ならせることで、青果物Fに照射される光の強度を複数段階で切り替えることができる。これにより、青果物Fの大きさに応じた光の強度をより適切なもの(青果物Fの内部品質の等級に応じた透過光量をより適切に得ることができるもの)にすることができる。
【0086】
(パック詰め部)
図10は、パック詰め部4Lを模式的に示す側面図である。この図10では、左右方向を前記X方向として表している。この図10に示すように、パック詰め部4Lは、作業台41、バーコードリーダ42、タッチパネル43、プロジェクタ44、制御装置45を備えている。
【0087】
作業台41は、作業者W2(図1を参照)が青果物Fのパック詰め作業を行うための台である。
【0088】
バーコードリーダ42は、作業台41上まで搬送されたトレイ5に取り付けられたバーコード(前述した位置BC2に貼り付けられているバーコード)を自動的に読み取る。バーコードリーダ42は、読み取ったトレイ5の識別情報を制御装置45に出力する。また、このバーコードリーダ42の配設位置は、作業台41上の所定位置にトレイ5が設置された状態(例えば、プロジェクタ44に対する相対位置が所定の位置となった状態)で当該トレイ5の側面の位置BC2に貼り付けられているバーコードが読み取れる位置に設定されている。つまり、バーコードリーダ42でバーコードが読み取られたことで、作業台41上の所定位置にトレイ5が設置されたことが保証できるようにしている。
【0089】
タッチパネル43は、青果物F,F,…のパック詰め作業を行う作業者W2が画面をタッチすることにより、希望する青果物Fのサイズ(希望サイズ)を入力することができるように構成されている。タッチパネル43から入力された希望サイズは、制御装置45に入力される。
【0090】
プロジェクタ44は、LED素子やレーザ素子などを含む光源を複数有しており、制御装置45からの指令に従い、トレイ5上の各青果物F,F,…に対して、上方(斜め上方を含む)から光を照射することが可能に構成されている。このプロジェクタ44から各青果物F,F,…に対して照射される光は、青果物Fの階級や等級に応じて色分けされた光となっている。つまり、前述した青果物Fのサイズ(L/M/Sの別)に応じて色分けされた光が、各サイズに該当する青果物Fに向けて照射され、糖度等の等級に応じて色分けされた光が、各等級に該当する青果物Fに向けて照射されるようになっている。これにより、作業者W2は、プロジェクタ44から照射されている色を見ることで、その青果物Fのサイズや糖度等を認識することができる。また、作業者W2が、タッチパネル43を操作して希望サイズ等を入力した場合には、その希望サイズ等に該当する青果物Fのみにプロジェクタ44から光が照射されるようになっている。これにより、サイズ別に青果物Fのパック詰め作業を行う際の作業効率の改善を図ることができる。また、腐敗していると判定された青果物Fに対しては、前述したサイズ別に色分けされた光とは異なる色の光がその青果物Fに照射される。これにより、作業者W2は、プロジェクタ44から照射されている色を見ることで、腐敗している青果物Fを認識することができる。
【0091】
制御装置45は、前述したコンピュータPC3で構成されており、処理部45aと、記憶部45bとを有している。処理部45aは、CPU等で構成されており、記憶部45bに記憶された各種プログラム等に基づいて演算処理を実行する。記憶部45bは、各種プログラム等が記憶されているROMや、処理部45aによる演算結果などを一時的に記憶するメモリであるRAM等で構成されている。
【0092】
そして、制御装置45は、等級判定装置3の情報管理装置35の記憶部35bに記憶されている各種の情報(トレイ5の識別情報や、各青果物F,F,…の大きさや重量の情報および青果物Fの内部品質の等級の情報がトレイ5における青果物F,F,…の位置と関連付けられた情報)を受信すると共に、作業者W2がタッチパネル43を操作した場合の操作情報(入力情報)を受信する。これらの情報に基づき、制御装置45は、プロジェクタ44に対して前述した光の照射を行わせるための指令信号を送信する。作業者W2は、このプロジェクタ44から照射された光を確認しながらサイズ別のパック詰め作業や腐敗している青果物Fの除去作業等を行うことになる。
【0093】
(実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態では、選果システム1として、青果物Fに対してX線を照射することによって複数の青果物F,F,…それぞれの外観の階級を個別判定する階級判定装置2と、青果物Fに対して投光器33aから光を照射することによって複数の青果物F,F,…それぞれの内部品質の等級を個別判定する等級判定装置3とを備え、階級判定動作および等級判定動作を行うようにしている。これにより、一つの選果システム1で青果物F,F,…の階級および等級の両方を判定することが可能になる。
【0094】
また、本実施形態では、青果物Fの大きさに応じて、青果物Fに対して照射される光の強度を変更する(大きい青果物Fに対しては光の強度を高くするのに対し、小さい青果物Fに対しては光の強度を低くする)ことにより、青果物Fの大きさに関わりなく、青果物Fの内部品質の等級に応じた透過光量が得られるようにしている。これにより、高い精度で等級判定を行うことができる。
【0095】
また、本実施形態では、トレイ5を列方向に沿って移動させる列方向移動動作と、トレイ5を行方向の1行分だけ移動させる行方向移動動作とを交互に繰り返すことで等級判定装置3における等級判定動作を行うようにしている。このため、トレイ5上の青果物F,F,…に対する内部品質の等級を自動的に個別判定していくことができる。これにより、等級判定動作の自動化を図ることができる。
【0096】
-第2実施形態-
次に、第2実施形態について説明する。前記第1実施形態にあっては、階級判定装置2から等級判定装置3へのトレイ5の移動は作業者W1の手作業によって行うようになっていた。第2実施形態は、この階級判定装置2から等級判定装置3へのトレイ5の移動を自動で行うようにしたものである。各装置2,3の構成は前記第1実施形態のものと同様であるため、ここでは、階級判定装置2から等級判定装置3へのトレイ5の移動を自動で行うための構成についてのみ説明する。
【0097】
図11は、本実施形態に係る選果システム1の一部を模式的に示す平面図である。この図11に示すように、階級判定装置2と等級判定装置3との間には、待機テーブル7が配設されている。この待機テーブル7は、トレイ5をX方向およびY方向の任意の方向に搬送することが可能なコンベアを備えている。
【0098】
これにより、階級判定装置2から等級判定装置3に向けてトレイ5を搬送する場合には、待機テーブル7上に自動搬送された(例えば階級判定装置2から待機テーブル7へトレイ5を搬送する搬送コンベア等を利用することで自動搬送された)トレイ5をY方向に搬送することで等級判定装置3に向けて移動させる。そして、この等級判定装置3での等級判定が終了したトレイ5は、待機テーブル7上に戻された後、X方向に搬送されてパック詰め部4L,4Rに向けて搬送されることになる。
【0099】
これにより、階級判定装置2から等級判定装置3へのトレイ5の移動を自動で行うことができ、作業者W1の負担の軽減を図ることができる。
【0100】
-他の実施形態-
尚、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
【0101】
例えば、前記各実施形態では、階級判定装置2、等級判定装置3、パック詰め部4L,4RがコンベアC1,C2によって連結された選果システム1を例に挙げて説明した。本発明はこれに限らず、階級判定装置2と等級判定装置3とを備えた選果システム1であり、パック詰め部4L,4Rが、これら階級判定装置2および等級判定装置3から切り離されたものであってもよい。
【0102】
また、前記各実施形態では、投光器33aから青果物Fに対して照射される光の強度を可変とする機構として、遮光板61を備えた光度可変機構6を設けていた。本発明は、この光度可変機構6を備えさせない構成としてもよい。この場合、青果物Fが受光する時間(露光時間)を調整することになる。つまり、青果物Fの受光量は、光の強度と露光時間との積算量で決まるため、光の強度を一定とした状態で、小さい青果物Fほど露光時間を短くし、大きい青果物Fほど露光時間を長くするといった調整を行う。これによっても、青果物Fの大きさに関わりなく、青果物Fの内部品質の等級を高い精度で判定することが可能になる。
【0103】
また、前記各実施形態では、各青果物F,F,…に対して投光器33aから光を照射することによって当該青果物F,F,…それぞれの等級を個別判定するようにしていた。本発明はこれに限らず、投光器33aに代えて、カメラを備えさせ、該カメラによって青果物F,F,…を撮影することで等級(色と傷とによって決まる等級)を個別判定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、トレイに分散配置された複数の青果物それぞれの外観および内部品質を個別判定する選果方法および選果システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 選果システム
2 階級判定装置
25 バーコードリーダ
26b 記憶部
3 等級判定装置
32 搬送パレット
32a 突起
33a 投光器(投光手段)
34 バーコードリーダ
5 トレイ
51 凹陥部
6 光度可変機構
61 遮光板(遮光部材)
64 貫通孔
F 青果物
L 光路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11