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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169964
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】変圧装置及び電気機器用ブッシング
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/04 20060101AFI20221102BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20221102BHJP
   H01B 17/26 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H01F27/04 B
H01F30/10 G
H01B17/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075732
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】高石 聡
(72)【発明者】
【氏名】井手上 篤
【テーマコード(参考)】
5E059
5G331
【Fターム(参考)】
5E059JM02
5E059JM03
5E059JM04
5G331AA08
5G331DA03
5G331DA04
5G331FA03
(57)【要約】
【課題】従来の変圧装置においては、小型化が困難であるという課題があった。
【解決手段】変圧部ケース31を有する変圧部3と、絶縁管5bを有し、変圧部ケース31に取り付けられており、変圧部3に電流を導入する高圧ブッシング5と、変圧部3及び高圧ブッシング5を含む各部を収容する外箱とを備え、絶縁管5bのうち、変圧部3の外側に露出する外側部51は、絶縁管の軸線方向において薄い扁平形状を有する、変圧装置1は、小型化が可能なものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧部ケースを有する変圧部と、
絶縁管を有し、前記変圧部ケースに取り付けられている高圧ブッシングと、
前記変圧部及び前記高圧ブッシングを含む各部を収容する外箱とを備え、
前記絶縁管のうち、前記変圧部の外側に露出する外側部は、前記絶縁管の軸線方向において薄い扁平形状を有する、変圧装置。
【請求項2】
前記外箱内に収容されており、配電線から引き込まれる高圧ケーブルに接続されている高圧部をさらに備え、
前記高圧部は、前記高圧ケーブルから前記高圧ブッシングに至る経路に配置されているカットアウトを有し、
前記カットアウトの上端部は、前記外側部の下端部よりも上に位置している、請求項1に記載の変圧装置。
【請求項3】
前記外側部の外表面は、前記絶縁管の軸線を通る任意の断面において凹凸のある外形形状を有する、請求項1又は2に記載の変圧装置。
【請求項4】
前記外側部のうち、径方向において電線が接続される接続部と側周部との間にある部位は、軸線方向において凹んでいる、請求項1から3のいずれかに記載の変圧装置。
【請求項5】
前記外側部のうち、径方向において前記側周部と前記接続部との間にある部位の一部は、軸線方向において突出している、請求項4に記載の変圧装置。
【請求項6】
絶縁管を有し、変圧装置に設けられている変圧部のケースに取り付けて用いられる電気機器用ブッシングであって、
前記絶縁管のうち前記ケースの外側に露出する外側部は、前記絶縁管の軸線方向において薄い扁平形状を有する、電気機器用ブッシング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、変圧装置及び電気機器用ブッシングに関し、特に、地上設置型の変圧装置及び電気機器用ブッシングに関する。
【背景技術】
【0002】
電線の地中化の進展などに伴って、地表上に設置されて用いられる地上設置型の配電用変圧装置が多く用いられるようになっている。このような変圧装置においては、接地帯と充電部との間に高圧ブッシングが用いられる。高圧ブッシングとしては、長尺の碍管を用いた構造を有するものが一般的に知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5376644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような地上設置型の変圧装置への注目度が高くなるのに伴い、機器の小型化のニーズが大きくなってきている。しかしながら、上述のような高圧ブッシングは、接地帯に対して離隔された状態を維持する必要があるために長尺であり、機器の小型化の妨げとなっている。
【0005】
この発明は、小型の変圧装置及び電気機器用ブッシングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第一の発明の変圧装置は、変圧部ケースを有する変圧部と、絶縁管を有し、変圧部ケースに取り付けられている高圧ブッシングと、変圧部及び高圧ブッシングを含む各部を収容する外箱とを備え、絶縁管のうち、変圧部の外側に露出する外側部は、絶縁管の軸線方向において薄い扁平形状を有する、変圧装置である。
【0007】
かかる構成により、変圧器を小型化することができる。
【0008】
また、本第二の発明の変圧装置は、第一の発明に対して、外箱内に収容されており、配電線から引き込まれる高圧ケーブルに接続されている高圧部をさらに備え、高圧部は、高圧ケーブルから高圧ブッシングに至る経路に配置されているカットアウトを有し、カットアウトの上端部は、外側部の下端部よりも上に位置している、変圧装置である。
【0009】
かかる構成により、変圧器をより小型化することができる。
【0010】
また、本第三の発明の変圧装置は、第一又は二の発明に対して、外側部の外表面は、絶縁管の軸線を通る任意の断面において凹凸のある外形形状を有する、変圧装置である。
【0011】
かかる構成により、高圧ブッシングにおける絶縁性を高めることができる。
【0012】
また、本第四の発明の変圧装置は、第一から三のいずれかの発明に対して、外側部のうち、径方向において電線が接続される接続部と側周部との間にある部位は、軸線方向において凹んでいる、変圧装置である。
【0013】
かかる構成により、高圧ブッシングにおける絶縁性を高めることができる。
【0014】
また、本第五の発明の変圧装置は、第四の発明に対して、外側部のうち、径方向において側周部と接続部との間にある部位の一部は、軸線方向において突出している、変圧装置である。
【0015】
かかる構成により、高圧ブッシングにおける絶縁性をさらに高めることができる。
【0016】
また、本第六の発明の電気機器用ブッシングは、絶縁管を有し、変圧装置に設けられている変圧部のケースに取り付けて用いられる電気機器用ブッシングであって、絶縁管のうちケースの外側に露出する外側部は、絶縁管の軸線方向において薄い扁平形状を有する、電気機器用ブッシングである。
【0017】
かかる構成により、高圧ブッシングを用いる変圧装置を小型の外箱に収容することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、小型の変圧器及び電気機器用ブッシングを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態における変圧装置の構成を示す図
図2】同高圧ブッシングの外側部の構成を示す側面図
図3】同外側部を軸線方向から見た図
図4】本実施の形態に関係する例における変圧装置の構成を示す図
図5】同例にかかる高圧ブッシングの外側部の構成を示す側面図
図6】本実施の形態の第一の変形例にかかる高圧ブッシングの外側部の構成を示す側面図
図7】本実施の形態の第二の変形例にかかる高圧ブッシングの外側部の構成を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、変圧装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0021】
なお、以下の説明において、ある方向を示して各部の形状や位置関係を説明することがあるが、方向の明示はあくまで説明の便宜のためのものに過ぎず、各構成要素の使用時における向きや姿勢などを限定するものではない。
【0022】
(実施の形態)
【0023】
図1は、本実施の形態における変圧装置1の構成を示す図である。
【0024】
変圧装置1は、地表上に設置されて用いられる、地上設置形変圧器である。変圧装置1は、例えば、地中に巡らされた配電線(図示せず)に接続される。具体的には、変圧装置1は、地中から引き込まれる、三相(U相、V相、及びW相)それぞれの高圧ケーブル90に接続される。
【0025】
なお、変圧装置1において、特に以下において言及しない部位については、公知の地上設置型変圧器に用いられる同等の部位の構成と同様に構成すればよい。例えば、変圧装置1の変圧部3の低圧側(二次側)の機器構成等は、図示や具体的な説明は省略されているが、公知の構成と同様に構成することができるものである。
【0026】
図1に示されるように、本実施の形態において、変圧装置1は、変圧部3と、高圧ブッシング5と、高圧部7とを備える。
【0027】
本実施の形態において、変圧装置1の各部は、外箱10に収容されている。外箱10は、例えば直方体形状を有する。外箱10の形状はこれに限られず、例えば他の角柱状であったり、円柱状等であったりしてもよい。また、変圧部3及び高圧ブッシング5を除く変圧装置1の一部の構成要素が、外箱10の外部に配置されていてもよい。例えば、高圧部7などの一部の構成要素が、外箱10とは別の箱の内部に収容されていてもよい。このような場合において、外箱10に収容されている要素を変圧装置1と呼んでもよいし、外箱10に収容されていない要素を含めて変圧装置1と呼んでもよい。
【0028】
変圧部3は、変圧部ケース31を備える。変圧部ケース31の内部には、絶縁油、絶縁油に浸漬された変圧器本体などが収容されている。変圧部ケース31の側面には、変圧部3に電流を導入する高圧ブッシング5が取り付けられている。変圧部3は、高圧ブッシング5からの入力電力の電圧を変換して低圧の出力電圧を二次ブッシング端子から出力する。
【0029】
高圧ブッシング5は、磁器製の碍管(絶縁管の一例)5bを有している。本実施の形態において、碍管5bのほかの高圧ブッシング5の構成は、例えば、上記の特許5376644号公報に記載されているものと同様の構成を採用しうるが、これに限られない。高圧ブッシング5は、一部が変圧部ケース31の内側に埋めこまれるようにして、変圧部ケース31の外壁を貫通するようにして変圧部ケース31に取り付けられている。すなわち、碍管5bは、変圧部ケース31よりも外側にある外側部51と、変圧部ケース31よりも内側にある内側部51bとを有している。本実施の形態において、高圧ブッシング5は、碍管5bの軸線(碍管5bの長手方向に平行で、碍管5bの中心を通る線)が略水平となる姿勢で取り付けられている。なお、図1において、内側部51bの概略形状は二点鎖線で示されている。内側部51bも、例えば特許5376644号公報に記載のものと同様に構成されていればよいし、これとは異なる構成を有していてもよい。
【0030】
高圧部7は、外箱10内に収容されている。高圧部7は、カットアウト71を有する。高圧部7は、配電線から引き込まれる高圧ケーブル90に接続されている。また、高圧部7は、高圧ブッシング5に接続される電線である接続ケーブル61に接続されている。
【0031】
カットアウト71は、高圧ケーブル90から高圧ブッシング5に至る経路に配置されている。本実施の形態において、カットアウト71の出力端子に、接続ケーブル61の一端が接続されている。すなわち、カットアウト71は、接続ケーブル61及び高圧ブッシング5を介して変圧部3の高圧側に接続されており、高圧ケーブル90を介して配電線に接続されている。カットアウト71は、高圧ケーブル90から高圧ブッシング5に至る経路を開閉可能である。
【0032】
カットアウト71を含めて、高圧部7の回路構成は適宜設定可能である。カットアウト71の前段(高圧ケーブル90側)に、開閉器等が設けられているものであってもよい。本実施の形態において、カットアウト71と呼ぶ部位は、カットアウト71と電気的に接続される他の機器とを結ぶケーブルを除いた部位であるとすればよい。例えば、カットアウト71と呼ぶ部位は、接続ケーブル61を除いた部位であるということができる。なお、カットアウト71に当該接続ケーブル61を接続するための端子部(図示せず)を覆うカバー部材67がある場合において、当該カバー部材67がカットアウト71に含まれると解釈してもよいし、含まれないと解釈してもよい。また、接続ケーブル61が接続される端子部がカットアウト71に含まれるものとしてもよいし、含まれないものとしてもよい。
【0033】
本実施の形態において、カットアウト71の上端部は、高圧ブッシング5のうち、外側部51の下端部よりも上に位置している。より好ましくは、カットアウト71の上端部は、碍管5bの軸線よりも上に位置している。
【0034】
図2は、同高圧ブッシング5の外側部51の構成を示す側面図である。図3は、同外側部51を軸線方向から見た図である。
【0035】
図2において、高圧ブッシング5のうち、変圧部ケース31の内側に埋まっている部分の図示は省略されている。また、図2において、外側部51が片側断面図として示されおり、その他の高圧ブッシング5の構成の図示は省略されている。以下、外側部51の構成について説明する。
【0036】
図2に示されるように、外側部51は、側周部52と、接続部53とを有している。外側部51の外表面は、碍管5bの軸線を通る任意の断面において凹凸のある外形形状を有している。すなわち、外側部51は、凹部54と突出部55とをさらに有している。以下、外側部51の形状等を説明する上で、軸線から離れる方向を径方向といい、軸線に平行な方向を軸線方向という。軸線方向のうち、図2において左を入力端側、右をケース側ということがある。
【0037】
高圧ブッシング5は、接続ケーブル61を介して、カットアウト71の出力端に接続されている。接続ケーブル61には、入力端側からケース側に向けて径が大きくなるようにして、絶縁被膜と一体に形成されたコーン部63が設けられている。コーン部63は、外側部51の接続部53に接続される。すなわち、接続ケーブル61は、接続部53に接続される。本実施の形態において、接続部53は、外側部51の径方向中央部に設けられている。接続部53には、碍管5bの軸線に沿う貫通孔が形成されている部位である。コーン部63は、接続部53の入力端側の端面に接続されている。接続ケーブル61の芯線61bは、接続部53の貫通孔の内部に位置する(図示せず)。
【0038】
外側部51は、全体として、軸線方向の寸法が短く(薄く)、径方向の寸法が軸線方向の寸法に比して比較的大きい、扁平形状を有している。外側部51は、例えば、凹部54や突出部55などを除いて、おおまかに円柱状の外形形状を有している。本実施の形態において、外側部51の軸線方向の寸法は、外側部51の直径よりも小さい。より好ましくは、外側部51の軸線方向の寸法は、外側部51の半径よりも小さい。
【0039】
側周部52は、外側部51の径方向外側に位置している。側周部52は、例えば円筒面である外周面を有している。側周部52の軸線方向における寸法が、外側部51の軸線方向における寸法となっている。
【0040】
凹部54は、外側部51の入力端側の端面からケース側に凹むように形成された部位である。すなわち、凹部54は、碍管5bの一方の端部側から他方の端部側に凹むように形成された部位である。凹部54は、接続部53の近傍部位と側周部52とを除く部位に、接続部53を囲むように溝状に形成されている。すなわち、外側部51のうち、径方向において、接続ケーブル61が接続される接続部53と側周部52との間にある部位は、軸線方向に凹んでいる。なお、このように凹部54が形成されていることにより、接続部53は、凹部54が設けられている部位から円筒状に突出していると表現することも可能である。接続部53の入力端側の端面の位置は、側周部52の端部よりも若干ケース側にある。なお、接続部53の当該端面と側周部52の端部との軸線方向における位置は略同じであってもよい。
【0041】
突出部55は、凹部54の底面すなわちケース側の面から入力端側に向けて突出するように形成された部位である。すなわち、外側部51のうち、径方向において側周部52と接続部53との間にある部位の一部は、軸線方向において突出している。
【0042】
本実施の形態において、突出部55の軸線方向における寸法(高さ)は、凹部54の軸線方向における寸法(深さ)と略同じである。すなわち、軸線方向において、突出部55の入力端側の端部は、側周部52の入力端側の端部と略同じ位置にある。突出部55は、碍管5bの軸線を中心とする円弧に沿って円環をなすように配置されている。これにより、図3に示されるように、軸線方向から見て、接続部53の貫通孔と、突出部55と、側周部52とが略同心円をなすように構成されている。なお、これらのうち一部の要素が他の要素よりも偏心していてもよい。
【0043】
なお、突出部55の高さは、これよりも高くてもよいし、低くてもよい。すなわち、軸線方向において、突出部55の入力端側の端部と側周部52の入力端側の端部とが異なる位置にあってもよい。
【0044】
また、このような外側部51の形状について以下のように表現してもよい。すなわち、例えば、接続部53の径方向外側においてケース側の端部から入力端側に突出する突出部55と、突出部55の径方向外側においてケース側の端部から入力端側に突出する側周部52とが、外側部51に設けられているといってもよい。また、2つの凹部54が、側周部52と突出部55との間の部位と、突出部55と接続部53との間の部位とにそれぞれ設けられていると表現してもよい。
【0045】
なお、凹部54や突出部55の表面は、軸線方向の位置に応じて径方向の位置が異なるテーパ形状に形成されている。これにより、碍管5bを容易に成型できるようになっている。
【0046】
このように、外側部51は、凹部54や突出部55を有しており、軸線を通る任意の断面において凹凸のある外形形状を有している。これにより、外側部51の外表面において、入力端側の中央部からケース側の端面に至るまでの距離が、長くなる。すなわち、扁平な外側部51を有する高圧ブッシング5であっても、接続部53の入力端側の部位から、変圧部ケース31の表面までの沿面距離を長く確保することができる。したがって、高圧ブッシング5の絶縁性能を高く保持することができる。
【0047】
上述のように、近年、景観に良いというような理由から地上設置タイプの変圧装置の注目度が高くなっている。注目の高まりとともに機器の小型化のニーズが大きくなってきているが、特に、地上高さを低くして欲しいとの要求がある。一方で、洪水時の水位上昇の可能性を考慮すると、充電部と接地帯との離隔を最大限確保する必要がある。このような相反する二つの要求を解消するには、各機材の位置を最適化することが必要である。
【0048】
図4は、本実施の形態に関係する例における変圧装置801の構成を示す図である。図5は、同例にかかる高圧ブッシング805の外側部851の構成を示す側面図である。
【0049】
図4及び図5は、それぞれ、図1及び図2と同様式にて示されている。変圧装置801は、変圧装置1と同様に構成された高圧部7と、それとは異なる高圧ブッシング805及び変圧部803とを有している。変圧装置801のこれらの各部は、外箱810内に収容されている。
【0050】
関係例にかかる変圧装置801は、主に、高圧ブッシング5とは形状が異なる外側部851を有する高圧ブッシング805が用いられている点で、変圧装置1とは相違する。高圧ブッシング805の外側部851は、接地帯との離隔確保のため、軸線方向における寸法が長い、背高な形状を有している。
【0051】
このように背高な外側部851を有する高圧ブッシング805を用いる場合には、高圧部7等に対して一定の離隔を確保して、外側部851が他の部位に干渉しないようにする必要がある。変圧装置801においては、変圧器803の高さを高くして、比較的高い位置に高圧ブッシング805を配置している。すなわち、変圧器803が収容されるよう、外箱810の高さは比較的高く設定されている。そのため、変圧装置801の地上高さは高くなってしまい、その一方で、外箱810の内部においては、図4において一点差線で示される部位のような、デッドスペースが生じている。
【0052】
これに対して、本実施の形態においては、扁平な外側部51を有する高圧ブッシング5が用いられるので、高圧部7に対して比較的低い位置に高圧ブッシング5を配置することができる。具体的には、例えば、カットアウト71に外側部51が干渉しにくくなるので、カットアウト71に対して外側部51の位置を下げることができる。変圧部3の上下方向の寸法を小さくすることができ、外箱10の上下方向の寸法を小さくすることができる。または、水害等に備える必要がある場合に、高圧部7を高い位置に配置することができる。したがって、充電部と接地帯との離隔を十分に確保しつつ、外箱10の内部においてデッドスペースを削減し、変圧装置1をより小型化することができる。
【0053】
なお、扁平形状の外側部を有する高圧ブッシングの形状は、上述の実施の形態のものに限られない。以下、この点に関する、本実施の形態の変形例について説明する。
【0054】
図6は、本実施の形態の第一の変形例にかかる高圧ブッシング205の外側部251の構成を示す側面図である。
【0055】
第一の変形例にかかる高圧ブッシング205の外側部251は、上述の実施の形態と同様に形成された側周部52及び接続部53を有している。外側部251には、接続部53から側周部52までの間において、一つの凹部254が形成されている。すなわち、外側部251は、突出部55を有していない点で外側部51とは異なっているといえる。
【0056】
このように形成されていたとしても、凹部254が形成されていることにより沿面距離を確保することができる。したがって、扁平形状の外側部251を有する高圧ブッシング205を変圧装置1に用いることで、上述の実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0057】
図7は、本実施の形態の第二の変形例にかかる高圧ブッシング305の外側部351の構成を示す側面図である。
【0058】
第二の変形例にかかる高圧ブッシング305の外側部351は、上述の実施の形態とは異なり、側周部352に凹凸のある外形形状を有している。すなわち、図に示されるように、側周部352のうち、ケース側(図7においては下側)の端部近傍部位と、入力端側(図7においては上側)の端部近傍部位との間には、径方向内側に凹む凹部354が形成されている。また、凹部354には、径方向外側に突出する突出部355が形成されている。突出部355の径方向先端部と、側周部352のケース側の端部及び入力端の側端部の各径方向先端部とは、径方向において略同じ位置にある。なお、突出部355は設けられていなくてもよい。本変形例において、外側部351の入力端側の端面は、略平坦であるが、当該端面にも凹部が形成されていてもよい。外側部351の入力端側の端面の中央部は、コーン部63が接続される接続部353となっている。外側部351は、全体として、扁平形状を有しているといえる。
【0059】
このように形成されている高圧ブッシング305を用いる場合にも、凹部354や、突出部355が形成されていることにより、沿面距離を確保することができる。したがって、扁平形状の外側部351を有する高圧ブッシング305を変圧装置1に用いることで、上述の実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、高圧ブッシング305は、図7に示されるように、取り付け向きを水平方向ではなく、鉛直方向とする場合にも適している。高圧ブッシング305は、鉛直方向にして用いる場合に外側部351に埃や水分等がたまりにくい形状であるので、かかる姿勢で、従来はデッドスペースであった場所に配置することが可能となる。また、高圧ブッシング305を鉛直方向に取り付けた場合には、高圧部7との配線を直線的に取り回すことができる。したがって、上述の実施の形態の効果に加え、当該部分について種々の作業を行う際の作業効率が向上するという効果を得ることができる。
【0061】
(その他)
【0062】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。
【0063】
なお、高圧ブッシングに用いられる碍管は、電気的性能を満足すれば、材質は問わない。すなわち、高圧ブッシングにおいて、磁器製の碍管に替えて、電気的性能を満足する他の材質の絶縁管が用いられていてもよい。
【0064】
なお、上述の実施の形態にかかる高圧ブッシングは、他の用途の変圧装置やその他の受電設備などの電気機器用ブッシングとして広く用いることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる変圧装置は、小型化の変圧器及び電気機器用ブッシングを提供するという効果を有し、変圧装置等として有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 変圧装置、3 変圧部、5,205,305 高圧ブッシング、5b 碍管(絶縁管の一例)、7 高圧部、31 変圧部ケース、51,251,351 外側部、52,352 側周部、53,353 接続部、54,254,354 凹部、55,355 突出部、71 カットアウト、90 高圧ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7