(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169967
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】蓋部材を備えた電気機器
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20221102BHJP
H02G 3/08 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H05K5/03 D
H02G3/08 010
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075740
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】313003417
【氏名又は名称】株式会社ザクティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】信岡 裕夫
(72)【発明者】
【氏名】田口 稔祐
(72)【発明者】
【氏名】三浦 真人
【テーマコード(参考)】
4E360
5G361
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB02
4E360AB22
4E360AB24
4E360AB42
4E360BA08
4E360BB04
4E360BB20
4E360BB23
4E360BC05
4E360BD03
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA18
4E360EC13
4E360ED02
4E360FA08
4E360FA12
4E360GA07
4E360GB26
4E360GB46
4E360GC02
4E360GC08
5G361AA06
5G361AB12
5G361AC01
5G361AC03
5G361AC05
5G361AD01
(57)【要約】
【課題】電気機器の筐体に設けた収納空間をスライド係合によって閉封する蓋部材を備えた電気機器において、蓋部材に余計な加工や強度アップを必要とすることなく、また、収納空間の収納スペースも十分に確保することができつつも、蓋部材が不意に筐体から外れることを防ぐことができる電気機器を提供する。
【解決手段】筐体1の電池収容空間3に隣接する右側位置にネジ穴部5を形成して、そのネジ穴部5に対して、ストッパーネジ4を螺合固定することで、ストッパーネジ4の頭部4aが、蓋部材2のスライド移動を制限するように構成している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の筐体に収納物を収納する収納空間を設けて、該収納空間を閉封する蓋部材を備えた電気機器であって、
前記蓋部材を前記筐体の一方向にスライド移動させることで、該筐体から外れるように構成したスライド係合部と、
一方向にスライド移動させる前記蓋部材の一方向に隣接した位置の筐体に形成したネジ穴部と、
該ネジ穴部に螺合固定されて、頭部が前記蓋部材の一方向に隣接した位置に位置する開放規制ネジ部材と、
を備えたことを特徴する蓋部材を備えた電気機器。
【請求項2】
前記ネジ穴部には、内部に金属製の円筒補強部材を設定した
ことを特徴とする請求項1記載の蓋部材を備えた電気機器。
【請求項3】
前記開放規制ネジ部材の頭部は、螺合固定状態で、蓋部材の最外表面よりも低くなるように設定されている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の蓋部材を備えた電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、筐体に設けた収納空間を、蓋部材で閉封するように構成した電気機器に関し、特に、蓋部材が不意に筐体から外れないように構成した電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気機器の筐体には、乾電池等の収納物を収納する収納空間を設けて、この収納空間を蓋部材で閉封するものが知られている。そして、この蓋部材は、筐体に対してスライド係合することで収納空間を閉封するように構成されている。そして、この蓋部材が不意に筐体から外れないようにするために、筐体にスライド係合した蓋部材をネジ部材で締結固定するものが知られている。
【0003】
もっとも、このようにネジ部材で蓋部材を締結固定すると、ネジ部材の頭部で蓋部材を挟持した状態で締結固定することになるため、蓋部材の一部が変形したり破損したりするおそれがある。
【0004】
そこで、下記特許文献1には、蓋部材の裏面にネジ部材の受け部(ロック凹所)を設けて、筐体の裏側から、蓋体の裏面をネジ部材で固定するものが提案されている。
【0005】
確かに、このように蓋部材の裏面をネジ部材で固定すると、蓋部材の変形や破損を回避しつつ、蓋部材が不意に筐体から外れることを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この特許文献1に記載された構造によると、蓋部材の裏面に別途ネジ部材の受け部を設ける必要があり、蓋部材の裏面に余計な加工が必要となる。また、蓋部材にネジ部材を固定する必要があるため、蓋部材自体の強度もある程度高める必要があり、蓋部材にネジ部材固定のためのコストを余分に掛けなければならないという問題が生じる。また、蓋部材の裏側の収納空間も、こうしたネジ部材や受け部を設ける必要があるため、収納スペースが制限されてしまい、蓋部材の大きさに比して収納空間が小さくなってしまうという問題も生じる。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、電気機器の筐体に設けた収納空間をスライド係合によって閉封する蓋部材を備えた電気機器において、蓋部材に余計な加工や強度アップを必要とすることなく、また、収納空間の収納スペースも十分に確保することができつつも、蓋部材が不意に筐体から外れることを防ぐことができる電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その目的を達成するために、この発明では、電気機器の筐体に収納物を収納する収納空間を設けて、その収納空間をスライド係合して閉封する蓋部材を設けた電気機器において、蓋部材のスライド方向に隣接した筐体にネジ穴部を形成して、そのネジ穴部に開放規制ネジ部材を螺合固定したことを特徴とするものである。
【0010】
具体的に、第1の発明では、電気機器の筐体に収納物を収納する収納空間を設けて、該収納空間を閉封する蓋部材を備えた電気機器であって、前記蓋部材を前記筐体の一方向にスライド移動させることで、該筐体から外れるように構成したスライド係合部と、一方向にスライド移動させる前記蓋部材の一方向に隣接した位置の筐体に形成したネジ穴部と、該ネジ穴部に螺合固定されて、頭部が前記蓋部材の一方向に隣接した位置に位置する開放規制ネジ部材と、を備えたことを特徴するものである。
【0011】
この構成によれば、開放規制ネジ部材をネジ穴部に螺合固定することにより、蓋部材をスライド移動させる一方側に、開放規制ネジ部材の頭部が位置することになるので、その開放規制ネジ部材の頭部によって蓋部材のスライド移動が規制されることなる。
【0012】
すなわち、蓋部材を一方向にスライド移動させて、筐体から取り外すためには、一旦、開放規制ネジ部材をネジ穴部から取り外さなければならないのである。
【0013】
このため、蓋部材は、特段の加工や補強なども行うことなく、そのままの状態で収納空間を閉封した状態が維持されて、蓋部材が不意にスライド移動することがない。また、蓋部材と重複しない位置でネジ穴部と開放規制ネジ部材を設けているため、蓋部材を、収納空間を覆うだけの大きさで構成することができ、収納スペースを十分に確保することができる。
【0014】
なお、電気機器は、電気によって作動する機器であれば、どのようなものであっても良い。例えば、カメラ装置や、携帯電話装置、携帯音楽機器、GPS発信装置、録画装置、さらには、家電等のリモコン装置等であっても良い。
【0015】
また、収納空間に収納される収納物についても、特に限定されることはなく、電気機器を駆動する乾電池や充電池等の電源や、または、記憶手段のメモリーカード等であっても良い。
【0016】
さらに、開放規制ネジ部材についても、一般的な鍋ネジや丸ネジのマイナスネジ、プラスネジや、六角ネジ、または、特殊なネジ等であっても良い。
【0017】
第2の発明では、前記ネジ穴部には、内部に金属製の円筒補強部材を設定したことを特徴とするものである。
【0018】
この構成によれば、ネジ穴部の内部が、金属製の円筒補強部材で補強されることになるため、開放規制ネジ部材をネジ穴部に螺合固定した状態で、開放規制ネジ部材の頭部に対して、蓋部材からスライド移動の一方向への荷重が作用しても、開放規制ネジ部材が倒れるような変形が生じない。
【0019】
このため、開放規制ネジ部材が長期間に亘り、安定して蓋部材のスライド移動を規制することができる。
【0020】
よって、開放規制ネジ部材の開放規制機能を長期間に亘り確保することができ、確実に、蓋部材がスライド移動することなく、不意に筐体から外れることを防ぐことができる。
【0021】
第3の発明では、前記開放規制ネジ部材の頭部は、螺合固定状態で、蓋部材の外表面よりも低くなるように設定されていることを特徴とするものである。
【0022】
この構成によれば、開放規制ネジ部材の頭部が、蓋部材の外表面よりも低く設定されているため、開放規制ネジ部材の頭部が筐体の外表面に露出しても、蓋部材の外表面の方が高いため、開放規制ネジ部材の頭部だけが相対的に筐体の表面から突出するようなことにならない。
【0023】
このため、開放規制ネジ部材の頭部が筐体表面に露出しても、筐体の表面から突出しないため、開放規制ネジ部材の頭部が、外部の構造物等と干渉するおそれがなくなり、その構造物等から衝撃を受けることがない。
【0024】
よって、開放規制ネジ部材が外部からの衝撃によって倒れることを防ぐことができ、開放規制ネジ部材の開放規制機能を、より長期間に亘り確保することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上、説明したように、本発明によれば、蓋部材は、特段の加工や補強なども行うことなく、そのままの状態で収納空間を閉封した状態が維持されて、蓋部材が不意にスライド移動することがない。また、蓋部材と重複しない位置でネジ穴部と開放規制ネジ部材を設けているため、蓋部材を、収納空間を覆うだけの大きさで構成することができ、収納スペースを十分に確保することができる。
【0026】
よって、電気機器の筐体に設けた収納空間をスライド係合によって閉封する蓋部材を備えた電気機器において、蓋部材に余計な加工や強度アップを必要とすることなく、また、収納空間の収納スペースも十分に確保することができつつも、蓋部材が不意に筐体から外れることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態1に係る蓋部材を備えたカメラ装置の全体斜視図である。
【
図2】実施形態1に係るカメラ装置の蓋部材等を取り外しした全体斜視図である。
【
図3】実施形態1に係るカメラ装置の蓋部材のスライド係合状態を説明する詳細斜視図である。
【
図5】蓋部材の閉封手順を説明する図であり、(A)蓋部材を筐体に嵌める前の状態図、(B)蓋部材を筐体に嵌めてストッパーネジを螺合する前の状態図、(C)ストッパーネジを螺合固定した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0029】
(実施形態1)
まず、
図1と
図2を使って本実施形態1の蓋部材を備えた電気機器について説明する。
【0030】
本実施形態の電気機器は、例えば、電池を電源として駆動されるカメラ装置であり、
図1は、そのカメラ装置の筐体の後面(背面)を上とした全体斜視図である。また、
図2は、そのカメラ装置の筐体から蓋部材等を取り外した状態の全体斜視図である。なお、以下、図面の矢印に従って実施形態の各方角を説明する。
【0031】
この電気機器であるカメラ装置Mは、外殻としての筐体1を備えており、その筐体1は左右方向に長尺で、上下方向に短尺の長方形形状の樹脂製の筐体1で構成している。なお、図示しない筐体1の前面には、カメラレンズが設けられている。
【0032】
この筐体1の後面1Aには、周囲の基準面11より一段高く隆起した隆起部12が設けられている。この隆起部12は、筐体1の後面1Aの形状に沿って、横長の長方形形状で形成されている。また、この隆起部12の4つの各角部には、それぞれ滑り止め機能を有する台座部13…を設けている。
【0033】
この筐体1の隆起部12の右側には、スライド係合で着脱される蓋部材2を設けている。この蓋部材2は、筐体1に設けた電池収納空間3を覆うようにして筐体1に係合されている。
【0034】
前述の蓋部材2は、
図2に示すように、筐体1の右側からスライド移動して筐体1に係合するように構成されている。そして、この蓋部材2も、樹脂製の平板で構成されており、横長矩形の本体部21と、左側先端に設けたスライドロック22と、周囲に設けた差し込みフック23…(具体的には後述する)と、を備えている。また、本体部21の右側には、隆起部12の傾斜形状に沿うように形成した傾斜面24を設けており、本体部21の左側には、開放方向(右方向)を示す開放マーク25を形成している。
【0035】
なお、この蓋部材2は、単なる平板状部材で構成されており、特段、補強構造等は設けていない。すなわち、蓋部材2には、剛性を高めるような加工を施しておらず、単に電池収納空間3を閉封する機能を満たすように形成しているだけである。
【0036】
前述の電池収納空間3は、筐体1に凹設された矩形形状の空間で、内部にコイン電池Cを収容するように構成されている。具体的には、中央に設けられたコイン電池収納部31と、その周りに形成されたスライド凹部32と、その左側で一段低く形成された押込み凹部33と、その中間位置でさらに低く形成されたロック逃げ凹部34と、を備えて、構成されている。
【0037】
前述のコイン電池収納部31は、コイン電池Cを斜め上方から差し込んで、コイン電池Cの一部が覆い部36で覆われる状態で収納されるように構成している。なお、このコイン電池収納部31には、プラス電極用接点(図示せず)とマイナス電極用接点6(
図4参照)とを設けており、このコイン電池収納部31に、コイン電池Cを収納することで、コイン電池Cとカメラ装置Mが通電するように構成している。
【0038】
前述のスライド凹部32は、蓋部材2をスライド移動させる際のガイド面になっており、このスライド凹部32に沿って蓋部材2をスライドさせることで、蓋部材2を係合位置に案内するようになっている。そして、このスライド凹部32には、コイン電池収納部31へのコイン電池Cの収納方法を説明する説明
図32aが描かれている。
【0039】
前述の押込み凹部33は、蓋部材2を筐体1から取り外す際に、この押込み凹部33を利用して、蓋部材2を押し込んで、スライドロック22の係合を外せるように、スライド凹部32よりも深く凹設している。すなわち、蓋部材2の開放マーク25の部分を押し込むことで、蓋部材2の左側を撓ませて、スライドロック22が筐体1のロック係合穴37(
図3参照)から外れる程度に下方に変形するように押込み凹部33を形成しているのである。
【0040】
前述のロック逃げ凹部34は、この押込み凹部33よりも、さらに深く凹設されており、蓋部材2の左側を撓ませた際に、スライドロック22が底突きしないように深く形成されている。
【0041】
この蓋部材2のスライド係合構造について、
図3を使って詳細に説明する。
【0042】
この
図3に示すように、蓋部材2は、筐体1の隆起部12の右側に設けた電池収納凹部3を、覆うようにしてスライド係合される。具体的には、蓋部材2を左側にスライド移動させると、蓋部材2は筐体1に係止固定されて、蓋部材2を右側にスライド移動させると、蓋部材2は筐体1から外れるように構成されている。
【0043】
蓋部材2には、前述のように本体部21の左側にスライドロック22を設けて、そのスライドロック22の上下位置に差し込みフック23,23をそれぞれ設けている。また、右側の傾斜面24の上端と下端にも差し込みフック23,23をそれぞれ設けている。
【0044】
一方、筐体1の電池収納凹部3には、これらスライドロック22や差し込みフック23…に対応するように、左端壁面の中央にロック係合穴37を形成し、その上下位置にフック受け穴38,38を形成している。また、右端の上下位置にもフック受け部39,39を形成している。
【0045】
このように、ロック係合穴37やフック受け穴等38,39を形成することにより、蓋部材2は、確実に筐体1に係合固定されることになる。
【0046】
もっとも、この蓋部材2は、スライドロック22をロック係合穴37に係合させるだけで、電池収納空間3を覆っているため、蓋部材2が押圧されて右側にスライド移動されると、スライドロック22が外れて、蓋部材2が不意に外れてしまい、コイン電池Cが電池収納空間3から脱落するおそれがある。
【0047】
そこで、本実施形態では、蓋部材2が不意に外れてしまうのを防止するために、開放規制ネジ部材であるストッパーネジ4を設けている。
【0048】
次に、この開放規制ネジ部材であるストッパーネジ4について、
図4も使って詳細に説明する。
【0049】
このストッパーネジ4は、
図1に示すように、蓋部材2のスライド移動方向である蓋部材2の右側位置に、螺合固定されるように構成している。すなわち、
図2に示すように、筐体1の電池収容空間3に隣接する右側位置にネジ穴部5を形成して、そのネジ穴部5に対して、ストッパーネジ4を螺合固定することで、ストッパーネジ4の頭部4aが、蓋部材2のスライド移動を制限するように構成している。
【0050】
前述のストッパーネジ4は、一般的な「鍋ネジ」で構成されており、頭部4aが鍋をひっくり返したような形状となっている。また、ストッパーネジ4の頭部4aの溝41がブラス形状となったプラスネジで構成されて、十字ドライバー(図示せず)で回転操作できるようなっている。
【0051】
一方、前述のネジ穴部5は、
図4に示すように、筐体1の電池収容空間3の右側で、筐体1の角部近傍に設けられている。このネジ穴部5に対応して、筐体1には内側ボス部51が形成されて、その内側ボス部51の内部には、金属製のインサートナット52が筐体1裏側(前側)から埋設されている。そして、このインサートナット52の内周面に、ストッパーネジ4の雄ネジ42と螺合する雌ネジ(図示せず)を形成している。
【0052】
また、このネジ穴部5の着座面53は、
図4に示すように、電池収納空間3のスライド凹部32の面よりもやや低く形成されており、ネジ穴部5にストッパーネジ4を螺合固定した状態で、ストッパーネジ4の頭部4aの高さh4が、蓋部材2の外表面の高さ位置h2よりも低くなるように構成している。
【0053】
そして、このようにストッパーネジ4をネジ穴部5に螺合固定することにより、ストッパーネジ4の頭部4aが、蓋部材2の右側に隣接して位置することになるため、蓋部材2の右側へのスライド移動を制限することができる。
【0054】
このため、蓋部材2が押圧されて、スライドロック22がロック係合穴37から外れるような挙動が生じても、ストッパーネジ4の頭部4aで蓋部材2のスライド移動が制限されるため、スライドロック22がロック係合穴37から外れず、蓋部材2の筐体1からの不意な外れを防止することができる。
【0055】
なお、蓋部材2の裏面中央には、閉封時にコイン電池Cを押圧する押圧ボス部26を設けている。また、コイン電池収納部31の底面に開口穴31aを形成して、その開口穴31aからコイン電池Cを押し上げ方向に付勢力されたマイナス電極用接点6が露出するように設けている。そして、この押圧ボス部26とマイナス電極用接点6とでコイン電池Cを前後方向で挟み込むことで、コイン電池Cがコイン電池収納部31内でガタつかないように構成している。
【0056】
次に、
図5を使って、この蓋部材の閉封手順について、説明する。
【0057】
まず、
図5(A)に示すように、電池収納空間3のコイン電池収納部31にコイン電池Cを収納した状態で、蓋部材2を準備する。この蓋部材2を、電池収納空間3の右側から移動させて、スライド凹部32上をスライドさせて、電池収納空間3を覆うように位置させる。そして、スライドロック22をロック係合穴37に係合させることで、蓋部材2を筐体1に係合固定する。
【0058】
次に、
図5(B)に示すように、蓋部材2を筐体1に係合固定させた状態で、ストッパーネジ4を準備する。このストッパーネジ4を筐体に設けたネジ穴部5に対して螺合固定する。この螺合固定の際には、十字ドライバー(図示せず)を使って、ストッパーネジ4を回転させる。
【0059】
その後、
図5(C)に示すように、ストッパーネジ4を螺合固定することで、ストッパーネジ4の頭部4aが、蓋部材2に隣接した右側位置に位置する事になるため、蓋部材2のスライド移動を抑えることができる。これにより、蓋部材2が不意に外れてしまうのを防止することができる。
【0060】
すなわち、蓋部材2を取り外すためには、ストッパーネジ4を一旦取り外さなければ、蓋部材2をスライド移動させることができないため、蓋部材2が不意に外れるのを防止できるのである。
【0061】
以上のように、本実施形態では、カメラ装置Mの筐体1に、コイン電池Cを収納する電池収納空間3を設けて、その電池収納空間3を閉封する蓋部材2を備えたカメラ装置Mであって、蓋部材2を、筐体1の表面で開放方向(本実施形態では右側)にスライド移動させることで、その筐体1から外れるように構成したスライドロック22とロック係合穴37とを備えて、スライド移動させる蓋部材1の右側に隣接した位置の筐体1に形成したネジ穴部5と、そのネジ穴部5に螺合固定されて、頭部4aが蓋部材2に隣接した位置に位置するストッパーネジ4と、を備えている。
【0062】
これにより、ストッパーネジ4の頭部4aが、蓋部材2をスライド移動させる右側に位置することになるので、そのストッパーネジ4の頭部4aによって、蓋部材2のスライド移動が規制されることなる。
【0063】
すなわち、蓋部材2を筐体1から取り外すためには、一旦、ストッパーネジ4をネジ穴部5から取り外さなければならないのである。
【0064】
このため、蓋部材2は、特段の加工や補強なども行うことなく、そのままの状態で電池収納空間3を閉封した状態が維持されて、蓋部材2が不意にスライド移動することがない。また、蓋部材2と重複しない位置にネジ穴部5とストッパーネジ4を設けているため、蓋部材2を、電池収納空間3を覆うだけの大きさで構成することができ、コイン電池Cの収納スペースを十分に確保することができる。
【0065】
よって、カメラ装置Mの筐体1に設けた電池収納空間3をスライド係合によって閉封する蓋部材2を備えたカメラ装置Mにおいて、蓋部材2に余計な加工や強度アップを必要とすることなく、また、電池収納空間3の収納スペースも十分に確保することができつつも、蓋部材2が不意に筐体1から外れることを防ぐことができる。
【0066】
また、本実施形態では、ネジ穴部5の内部に金属製のインサートナット52を設定している。
【0067】
これにより、ネジ穴部5の内部が金属製のインサートナット52で補強されることになるため、ストッパーネジ4をネジ穴部5に螺合固定した状態で、ストッパーネジ4の頭部4aに対して、蓋部材2からスライド移動方向への荷重が作用しても、ストッパーネジ4が倒れるような変形は生じない。
【0068】
このため、ストッパーネジ4が長期間に亘り、安定して蓋部材2のスライド移動を規制することができる。
【0069】
よって、ストッパーネジ4の開放規制機能を長期間に亘り確保することができ、確実に、蓋部材2がスライド移動することなく、不意に筐体1から外れることを防ぐことができる。
【0070】
また、本実施形態では、ストッパーネジ4の頭部4a(h4)が、螺合固定状態で、蓋部材2の外表面(h2)よりも低くなるように設定されている。
【0071】
これにより、ストッパーネジ4の頭部4aが、筐体1の外表面に露出しても、蓋部材2の外表面の方が高いため、ストッパーネジ4の頭部4aだけが相対的に筐体1の表面から突出するようなことにならない。
【0072】
このため、ストッパーネジ4の頭部4aが筐体1の表面に露出しても、筐体1の表面から突出しないため、ストッパーネジ4の頭部4aが、外部の構造物等と干渉するおそれがなくなり、その構造物等から衝撃を受けることがない。
【0073】
よって、ストッパーネジ4が外部からの衝撃によって倒れることを防ぐことができ、ストッパーネジ4の開放規制機能を、より長期間に亘り確保することができる。
【0074】
(その他の実施形態)
次に、その他の実施形態について説明する。
【0075】
まず、前述の実施形態では、電気機器をカメラ装置で説明したが、本発明では、これに限定されるものではなく、電気によって作動する機器であれば、どのようなものであっても良い。例えば、携帯電話装置や、携帯音楽機器、GPS発信装置、録画装置、さらには、家電等のリモコン装置等であっても良い。
【0076】
また、収納空間に収納される収納物についても、コイン電池などの乾電池に限定されるものでなく、充電池などの二次電池や、記憶手段のメモリーカード等であってもよい。
【0077】
さらに、開放規制ネジ部材であるストッパーネジについても、一般的な鍋ネジに限定されず、丸ネジや、六角ネジ、または、特殊なネジ等であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明したように、本発明は、蓋部材を備えた電気機器において有用である。
【符号の説明】
【0079】
M…カメラ装置(電気機器)
C…コイン電池(収納物)
1…筐体
2…蓋部材
3…電池収納空間(収納空間)
4…ストッパーネジ(開放規制ネジ部材)
5…ネジ穴部
22…スライドロック(スライド係合部)
37…ロック係合穴(スライド係合部)