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特開2022-169979製管用帯状部材の接続方法及び嵌め込み治具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169979
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】製管用帯状部材の接続方法及び嵌め込み治具
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/32 20060101AFI20221102BHJP
   B29C 65/56 20060101ALI20221102BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20221102BHJP
   F16L 9/16 20060101ALI20221102BHJP
   F16L 11/16 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
B29C63/32
B29C65/56
F16L1/00 J
F16L9/16
F16L11/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075761
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】木原 彬
(72)【発明者】
【氏名】乙川 貴史
(72)【発明者】
【氏名】山崎 政浩
【テーマコード(参考)】
3H111
4F211
【Fターム(参考)】
3H111BA15
3H111CA03
3H111CA05
3H111CC07
3H111EA17
3H111EA18
4F211AG08
4F211AH43
4F211AR07
4F211SA05
4F211SC03
4F211SD06
4F211SD18
4F211SD19
4F211SJ01
4F211SJ15
4F211SJ21
4F211SJ29
4F211SP04
4F211TA06
4F211TC08
(57)【要約】
【課題】合成樹脂製の帯状部材から螺旋管を製管するに際して、帯状部材を、接続プレートを用いることなく継ぎ足し可能な接続方法を提供する。
【解決手段】合成樹脂製の帯状部材より塑性変形し易い短帯状の補強材20を、帯状部材10Bの先端部の外周部の溝部15に嵌め込む。次に、帯状部材10Bの先端部を螺旋管9より螺旋径φ10Bが小さくなるように曲げる。その後、帯状部材10Bの先端部を製管機3に導入して、先行帯状部材10Aと接続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製管機によって螺旋管に製管される合成樹脂製の帯状部材の先端部を先行帯状部材と接続する方法であって、
前記帯状部材より塑性変形し易い短帯状の補強材を、前記帯状部材の先端部の外周部の溝部に嵌め込み、
次に、前記帯状部材の先端部を前記螺旋管より螺旋径が小さくなるように曲げ、
その後、前記帯状部材の先端部を前記製管機に導入することを特徴とする製管用帯状部材の接続方法。
【請求項2】
前記補強材が、一対の側壁部及び底部を有するU字状の断面に形成されており、
前記底部が前記溝部の溝底部と対面され、かつ前記側壁部が前記溝部の溝側面と対面されるように、前記補強材を前記溝部に嵌め込むことを特徴とする請求項1に記載の接続方法。
【請求項3】
前記溝部の隣接する各長さ部分に前記補強材を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の接続方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の嵌め込みに用いる嵌め込み治具であって、
前記帯状部材及び前記補強材を挿通方向に挿通可能な治具本体と、
軸線を前記挿通方向と直交する軸方向へ向けて、前記治具本体に回転可能に支持された外周ローラ及び内周ローラと、
前記外周ローラ又は前記内周ローラを回転させる回転操作部と、
を備え、前記挿通時の前記帯状部材の前記溝部の溝底部と前記外周ローラとの間に前記補強材が介在されるようにして、前記外周ローラ及び内周ローラが、互いの間に前記帯状部材を挟み付け可能に対峙していることを特徴とする嵌め込み治具。
【請求項5】
前記内周ローラを挟んで前記挿通方向の両側部にそれぞれ前記外周ローラが配置されており、
前記内周ローラが、前記外周ローラに対して前記挿通方向及び前記軸方向と直交する内外方向へ相対位置調節可能であることを特徴とする請求項4に記載の嵌め込み治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋管用の帯状部材の接続方法及び該接続方法の実施に用いられる嵌め込み治具に関し、特に高剛性の合成樹脂製帯状部材に適した接続方法及び嵌め込み治具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば老朽化した既設管を更生するために、製管機を用いて、合成樹脂製の帯状部材(プロファイル)を既設管の内壁に沿って螺旋状に巻回して、一周違いの隣接する縁どうしを嵌合させることによって、螺旋管からなる更生管を形成する方法が知られている。1本の帯状部材を使い切ったときは、新たな帯状部材を継ぎ足す。帯状部材どうしの接続方法として、例えば、専用の鋼製の接続プレートを用意して、2つの帯状部材の端部どうしを突き合わせるとともに、これら帯状部材に接続プレートを跨らせる。帯状部材のリブが邪魔な場合は、リブを切除する。そして、各帯状部材と接続プレートとをビス止めする。これによって、接続プレートを介して、2つの帯状部材が接続される(特許文献1等参照)。その後、接続部を製管機の供給口から駆動部に導入して一対の駆動ローラ間へ挿し入れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-013406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製管機の供給口は、帯状部材の断面形状に合わせた形状に形成されている。該供給口に帯状部材が挿し入れられる際は、帯状部材の断面の向きが供給口の向きと合致している必要がある。合致していないときは、帯状部材がねじられて、向きが矯正される。通常、ねじりによる応力は、帯状部材の長手方向に分散される。しかし、帯状部材どうしの接続部においては、ねじりによる応力が接続プレートに集中的に作用する。このため、接続プレートが変形したり破損したりするおそれがあり、更に、駆動部が接続プレートと干渉して停止するおそれがあった。特に、帯状部材が製管機まで送られる部分の螺旋径が比較的小さく、かつ螺旋ピッチが比較的大きいと、供給口に対する傾きが大きく、必要なねじり度合いが大きくなるために、接続プレートの変形や破損が起きやすい。
【0005】
接続プレートを用いない帯状部材接続方法として、新たな帯状部材の先端部を、直接、製管機の供給口に挿し込み、更に駆動ローラの駆動によって先行帯状部材の末端部に突き当てるとともに、新たな帯状部材の幅方向の縁を、先行帯状部材からなる形成済の更生管の縁と嵌合させる方法もあり得る。しかし、新たな帯状部材の先端部を、人力で、供給口と向きが合致するようにねじるのは容易でない。特に、帯状部材の剛性が高いと、人力でねじるのは困難である。巻き癖付与機によって、帯状部材の螺旋径及び螺旋ピッチを供給口へ挿し込み易いように調整したとしても、巻き癖付与機から製管機まで送る間に、帯状部材が弾性によって曲げ戻ってしまい、結局、挿し込み困難になる。
本発明は、かかる事情に鑑み、合成樹脂製の帯状部材から螺旋管を製管するに際して、帯状部材を、接続プレートを用いることなく継ぎ足し可能な帯状部材接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、製管機によって螺旋管に製管される合成樹脂製の帯状部材の先端部を先行帯状部材と接続する方法であって、
前記帯状部材より塑性変形し易い短帯状の補強材を、前記帯状部材の先端部の外周部の溝部に嵌め込み、
次に、前記帯状部材の先端部を前記螺旋管より螺旋径が小さくなるように曲げ、
その後、前記帯状部材の先端部を前記製管機に導入することを特徴とする。
【0007】
当該接続方法によれば、帯状部材の先端部を曲げることによって、それと一体化された補強材が塑性変形される。これによって、帯状部材の先端部に所望の巻き癖を付与できる。したがって、その後、製管機の供給口まで送る途中で、帯状部材の曲げ戻しが起きるのを防止でき、巻き癖を維持できる。これによって、帯状部材の先端部を製管機の供給口に容易に挿し入れることができる。その後、製管機の駆動ローラの駆動によって、帯状部材の先端部を引き込んで、該帯状部材の幅方向の縁を形成済の螺旋管の縁と嵌合させる。
【0008】
前記補強材が、一対の側壁部及び底部を有するU字状の断面に形成されていることが好ましい。前記底部が前記溝部の溝底部と対面され、かつ前記側壁部が前記溝部の溝側面と対面されるように、前記補強材を前記溝部に嵌め込むことが好ましい。これによって、補強材をローラ等によって帯状部材の溝部に押し込んで嵌め込むことができる。
【0009】
前記溝部の隣接する各長さ部分に前記補強材を設けることが好ましい。要するに、複数の補強材を溝部の長手方向に一列に配置することが好ましい。これら一列をなす複数の補強材の合計長さは、前記螺旋管の周長程度であることが好ましい。これによって、1本の補強材が短くても、複数本の補強材を連ねることで、帯状部材における、螺旋管の一周分の長さ部分に補強材を設けることができる。したがって、帯状部材を確実に継ぎ足すことができ、螺旋管を延伸製管できる。
【0010】
嵌め込み治具を用いて前記嵌め込みを行うことが好ましい。
前記嵌め込み治具は、
前記帯状部材及び前記補強材を挿通方向に挿通可能な治具本体と、
軸線を前記挿通方向と直交する軸方向へ向けて、前記治具本体に回転可能に支持された外周ローラ及び内周ローラと、
前記外周ローラ又は前記内周ローラを回転させる回転操作部と、
を備え、前記挿通時の前記帯状部材の前記溝部の溝底部と前記外周ローラとの間に前記補強材が介在されるようにして、前記外周ローラ及び内周ローラが、互いの間に前記帯状部材を挟み付け可能に対峙していることが好ましい。
内周ローラは、帯状部材の内周側面(螺旋管の内周面となる面)に押し当てられる。外周ローラは、帯状部材の外周側部の溝部に挿し入れられ、補強材に押し当てられる。回転操作部の操作によって、帯状部材及び補強材を内周ローラ及び外周ローラの間に引き込んで挟み付けることで、補強材を溝部に嵌め込むことができる。
【0011】
前記内周ローラを挟んで前記挿通方向の両側部にそれぞれ前記外周ローラが配置されており、
前記内周ローラが、前記外周ローラに対して前記挿通方向及び前記軸方向と直交する内外方向へ相対位置調節可能であることが好ましい。
帯状部材における2つの外周ローラに架け渡された部分の中間部を内周ローラによって外周側へ押し込むことで、補強材を帯状部材に確実に嵌め込むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、帯状部材を、接続プレートを用いることなく、製管機の供給口へ容易に挿し入れて確実に継ぎ足すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る施工中の更生管を、帯状部材の接続工程で示す正面断面図である。
図2図2は、前記接続工程における更生管の平面断面図である。
図3図3は、前記帯状部材を、補強材の嵌め込み工程で示す、図4のIII-III線に沿う断面図である。
図4】前記嵌め込み工程に用いる嵌め込み治具の正面図である。
図5図5は、図4のV-V線に沿う、前記嵌め込み治具の側面図である。
図6図6は、前記補強材を嵌め込んだ帯状部材を示す、図4のVI-VI線に沿う断面図である。
図7図7は、前記補強材を嵌め込んだ帯状部材を、図6にVII-VII線に沿って示す断面図である。
図8図8は、前記帯状部材の巻き癖付与工程に用いる巻き癖付与機の正面図である。
図9図9は、前記更生管を製管する製管機の供給口を示す、図1のIX-IX線に沿う断面図である。
図10図10は、前記帯状部材の接続部分を示す、図1のX-X線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1及び図2は、老朽化した下水道管などの既設管1を更生する様子を示したものである。既設管1は、下水道管に限らず、上水道管、農業用水管、ガス管、水力発電導水管、トンネル等であってもよい。既設管1の内壁に沿って更生管9が製管されている。更生管9は、帯状部材10(プロファイル)によって構成された螺旋管である。
【0015】
図3に示すように、帯状部材10は、平坦な平帯部11と、平帯部11の外周側面(更生管9において外周側を向く面、図3において下面)から突出された複数のリブ12A,12B,12Cと、平帯部11の幅方向の両端部に設けられた雌雄の嵌合部13,14とを含む。隣接するリブ12A,12B及び12B,12Cどうしの間に溝部15が形成されている。帯状部材10の材質は、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂である。帯状部材10は、厚みやリブ12A,12B,12Cの高さが一般的な帯状部材より大きく、人力でねじるのが困難な程度に剛性が高い。図1及び図10に示すように、該帯状部材10が、既設管1の内壁に沿って螺旋状に巻回され、一周違いの隣接する嵌合部13,14どうしが凹凸嵌合されることによって、更生管9に製管されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、更生管9は、製管機3によって製管されている。製管機3として、製管しながら螺旋状の巻回方向に沿って推進される自走式製管機が用いられている。製管機3は、一対の駆動ローラ3bを含む駆動部3aと、帯状部材10の供給口3cを備えている。図9に示すように、供給口3cは、溝部15に挿し入れられるガイド3dを有して、帯状部材10の断面形状に合わせた形状に形成されている。
【0017】
図1及び図2に示すように、帯状部材10は、巻き癖付与機5によって巻き癖を付与されたうえで、形成済の更生管9の内部を経て、製管機3の供給口3c(図9)から駆動部3aに導入される。該帯状部材10における、一対の駆動ローラ3bから押し出された部分又は一対の駆動ローラ3bに挟み付けられた部分の雄嵌合部14と、形成済の更生管9の先端部の雌嵌合部13とが凹凸嵌合される(図10)。これによって、帯状部材10の前記部分が更生管9に組み入れられて、更生管9が延伸されるとともに、製管機3が巻回方向の前方(図1において反時計回り方向)へ推進される。
【0018】
<帯状部材の接続方法>
先行の帯状部材10Aの末端部まで製管されたときは、次のようにして、新たな帯状部材10Bが継ぎ足される。
図3図5に示すように、先ず、複数本の補強材20と、嵌め込み治具30を用意する。
【0019】
<補強材20>
図3に示すように、補強材20は、溝部15の断面に合わせた一定の断面形状の短帯状に形成されている。補強材20の材質は、好ましくはスチールである。補強材20は、合成樹脂製の帯状部材10より塑性変形し易い。
【0020】
補強材20は、一対の側壁部21及び底部23を有し、U字状の断面に形成されている。各補強材10の長さ(図3の紙面と直交する方向の寸法)は、更生管9の周長より短く、好ましくは更生管9の周長の数分の1である。更に好ましくは、補強材10には、当初(後記巻き癖付与前)から緩やかな曲率が付与されている。補強材10の当初の曲率半径は、後記巻き癖付与後の曲率半径(≒φ10B/2)より大きい。
【0021】
<嵌め込み治具30>
図4及び図5に示すように、嵌め込み治具30は、治具本体31と、ローラ41~43と、レバー46(回転操作部)を備えている。治具本体31は、本体部32(外周ローラ支持部)と、架渡部材33(内周ローラ支持部)を含む。本体部32は、前後方向(軸方向)に対峙する一対の支持壁34と、これら支持壁34の底部どうしを連ねる底板35を有し、上面及び左右両側面が開放された箱状に形成されている。帯状部材10及び補強材20が、一対の支持壁34どうしの間を左右方向(軸方向と直交する挿通方向)へ挿通可能である。架渡部材33は、図4の紙面と直交する前後方向(軸方向)へ延びて、一対の支持壁34の上端部に架け渡されている。架渡部材33の両端部には、L字状の支持脚部33bが設けられている。支持脚部33bが、ボルト37及び蝶ナット36を介して各支持壁34の連結突起34bに連結されている。蝶ナット36(内周ローラ位置調節手段)の回転操作によって、架渡部材33が、本体部32に対して上下へ位置調節可能である。
【0022】
内周ローラ43は、帯状部材10の幅寸法と同等又はそれより少し大きい軸長の円筒形状に形成されている。該内周ローラ43が、軸線を前後方向(軸方向)へ向けて、支持脚部33bに回転可能に支持されている。内周ローラ43の外周面は、滑面になっている。
【0023】
内周ローラ43を挟んで左右(挿通方向)の両側部にそれぞれ外周ローラ41,42が配置されている。各外周ローラ41,42は、軸線を前後方向(軸方向)へ向けて、治具本体31の一対の支持壁34に回転可能に支持されている。各外周ローラ41,42は、同軸をなす一対のローラ部44を有している。ローラ部44は、内周ローラ43より大径で軸長が短い円板形状になっている。ローラ部44の外周面には、凹凸パターン45が形成されている。凹凸パターン45は、例えば斜目ローレットによって構成されているが、これに限らず、平目ローレット、綾目ローレット等であってもよい。
【0024】
外周ローラ41,42は、内周ローラ43よりも下方(挿通方向及び軸方向と直交する内外方向の外周側)に配置されている。
前記架渡部材33の位置調節に伴って、内周ローラ43が、外周ローラ41,42に対して上下方向(内外方向)へ相対位置調節可能である。
【0025】
治具本体31の外面にレバー46が設けられている。レバー46は、前段(挿通方向の上流側)の外周ローラ41の回転軸の端部に連結されている。レバー46の回転操作によって外周ローラ41が回転される。後段の外周ローラ42及び内周ローラ43は、フリーに回転可能である。
【0026】
<嵌め込み工程>
新たな帯状部材10Bを先行帯状部材10Aに継ぎ足すにあたって、帯状部材10Bの先端部に補強材20を設ける。
詳しくは、図3に示すように、まず、補強材20の長手方向を帯状部材10Bの先端部の長手方向に沿わせ、補強材20の底部23を帯状部材10Bの溝部15の溝底部15bと対面させる。好ましくは、2本の補強材20を帯状部材10Bの2条(複数)の溝部15にそれぞれ沿わせる。
次に、シャコ万力(図示せず)を用いて、各補強材20の長手方向の一部(好ましくは先端部)を帯状部材10Bの溝部15に押し込む。
図4に示すように、その状態の帯状部材10B及び補強材20を、矢印a(挿通方向)に沿って外周ローラ41,42と内周ローラ43の間に挿し込む。この時点では、図5において二点鎖線にて示すように、内周ローラ43を上方へ退避させておく。そして、外周ローラ41,42の各ローラ部44を補強材20の一対の側壁部21の間に挿し入れて、底部23に突き当てる。ひいては、ローラ部44を溝部15に挿し入れる。
【0027】
続いて、図5において実線にて示すように、蝶ナット36をねじ込むことによって、内周ローラ43を外周ローラ41,42に接近させる。これによって、内周ローラ43及び外周ローラ41,42の間に帯状部材10Bが強く挟み付けられる。かつ、帯状部材10Bの溝部15の溝底部15bと、外周ローラ41,42との間に、補強材20が介在される。内周ローラ43は、帯状部材10の内周側面に押し当てられる。
【0028】
さらに、レバー46によって外周ローラ41を図4において時計まわりに回転させる。これによって、帯状部材10B及び補強材20が、内周ローラ43及び外周ローラ41,42の間に引き込まれる。これに伴って、補強材20が、長手方向に沿って順次、溝部15に嵌め込まれる。凹凸パターン45によって、外周ローラ41,42の滑りを抑制でき、帯状部材10及び補強材20を嵌め込み治具30へ確実に引き込むことができる。一方、内周ローラ43の外周面は滑面であるため、帯状部材10の内周側面ひいては更生管9の内周面にローラ43による傷痕が付くのを抑制できる。
【0029】
図4に示すように、帯状部材10Bにおける2つの外周ローラ41,42に架け渡された部分の中間部は、内周ローラ43によって下方(外周側)へ押し込まれる。これによって、帯状部材10B及び補強部材20を下方(外周側)へ湾曲させながら、補強材20を帯状部材10Bの先端部に確実に嵌め込むことができる。
【0030】
図6に示すように、補強材20の底部23は、溝部15の溝底部15bと当接される。補強材20の側壁部21は、溝部15の溝側面15a(リブ12A,12B,12Cの側面)と対面される。さらに、側壁部21の先端部がリブ12A,12B,12Cの係止凹部12dに嵌って係止されることで、補強材20が溝部15から抜け止めされる。帯状部材10Bの2条(複数条)の溝部15にそれぞれ補強材20が嵌め込まれる。
【0031】
更に、図7に示すように、帯状部材10Bの各溝部15には、複数(図では2つだけ図示)の補強材20が一列に連なるように嵌め込まれる。すなわち、溝部15の隣接する各長さ部分に補強材20が嵌め込まれる。好ましくは、これら一列をなす補強材20の合計長さが、更生管9の周長(1リング分の長さ)と同程度になるようにする。一列に並んだ補強材20の合計長さは、更生管9の周長とちょうど同じである必要はなく、更生管9の周長の0.8倍~1.2倍程度であればよい。
【0032】
<巻き癖付与機5>
次に、図8に示すように、帯状部材10Bの先端部を巻き癖付与機5に導入する。
巻き癖付与機5は、送りユニット51と、作用アーム53を含む。送りユニット51には、複数対(図では2対)の送りローラ52が送り方向(図8において左右方向)に並んで配置されている。作用アーム53は、ユニット52から送り方向の下流側へ突出されている。作用アーム53は、ユニット52に対して角度調節可能である。作用アーム53の先端部には、押当てローラ54が回転可能に設けられている。
なお、詳細な図示は省略するが、巻き癖付与機5の設置場所は、既設管1内ひいては形成済の更生管9内でもよく、既設管1に連なる人孔内でもよく、地上の帯状部材10Bの繰り出し部から人孔までの間でもよい。
【0033】
<巻き癖付与工程>
巻き癖付与機5に導入された帯状部材10Bの先端部は、送りローラ52によってユニット52から送り出されるとともに、作用アーム53によって曲げられ、押当てローラ54に押し当てられる。好ましくは、図2に示すように、帯状部材10Bは、更生管9より螺旋径φ10Bが小さくなるように曲げられ、かつ螺旋ピッチP10Bが出来るだけ小さくなるように曲げられる。このとき、合成樹脂製の帯状部材10B自体は、弾性領域内で曲げ変形される。一方、帯状部材10Bと一体化されたスチール製の補強材20は、塑性変形される。このため、帯状部材10Bの先端部が弾性によって曲げ戻されようとしても、塑性変形した補強材20によって、曲げ戻しが阻止される。この結果、は帯状部材10Bの先端部に巻き癖を付与できる。したがって、帯状部材10Bの先端部は、巻き癖付与機5から解放された後も、螺旋径φ10B及び螺旋ピッチP10Bが共に小さい螺旋状態に保持される。
【0034】
<製管機導入工程>
図1及び図2に示すように、その後、帯状部材10Bの先端部を製管機3に導入する。このとき、帯状部材10Bの先端部は、螺旋径φ10B及び螺旋ピッチP10Bが共に小さい螺旋状態に保持されているから、製管機3の供給口3cに対する帯状部材10Bの先端部のずれ角度αを十分に小さくできる。したがって、図9に示すように、帯状部材10Bの先端部を大きく捩じらなくても供給口3cの向きに合致させることができ、人力で容易に帯状部材10Bの先端部を供給口3cに挿し込むことができる。
ちなみに、図9の仮想線に示すように、帯状部材10Bの先端部の角度が供給口3cと合致していないと、ガイド3dと干渉し、供給口3cに挿し込むことができない。
【0035】
その後、図1及び図2に示すように、駆動ローラ3bの駆動によって、帯状部材10Bの先端部を引き込んで先行帯状部材10Aの末端部に突き当てるとともに、図10に示すように、帯状部材10Bの雄嵌合部14を、先行帯状部材10Aからなる形成済の更生管9の雌嵌合部13と嵌合させる。帯状部材10Bの先端部は、製管機3への導入時のねじれが小さいため、製管機3の内部の正規の軌道に沿って確実に案内できる。したがって、帯状部材10Bの雄嵌合部14を更生管9の雌嵌合部13と確実に嵌合させることができる。帯状部材10Bにおける、更生管9の約1リング分の長さ部分が、補強材20による巻き癖を付与されているため、約1リングにわたって、帯状部材10Bの雄嵌合部14を更生管9の雌嵌合部13と確実に嵌合させることができる。
このようにして、帯状部材10Bを先行帯状部材10Aに継ぎ足すことができる。
その後、製管機3の運転によって、帯状部材10Bが順次製管され、更生管9が更に延伸される。
【0036】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、帯状部材の断面形状は適宜設定できる。
補強材の断面形状は、U字状に限らず、W字形状、平板形状、筒形状などであってもよい。
製管機は、自走式に限らず、元押し式でもよく、牽引式でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、例えば老朽化した下水道管の更生技術に適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 既設管
3 製管機
3a 駆動部
3b 駆動ローラ
3c 供給口
3d ガイド
5 巻き癖付与機
53 作用アーム
54 押当てローラ
9 更生管(螺旋管)
10 帯状部材(プロファイル)
10A 先行帯状部材
10B 新たな帯状部材
12d 係止凹部
13 雌嵌合部
14 雄嵌合部
15 溝部
15a 溝側面
15b 溝底部
20 補強材
21 側壁部
23 底部
30 嵌め込み治具
31 治具本体
32 本体部(外周ローラ支持部)
33 架渡部材(内周ローラ支持部)
33b 支持脚部
34 支持壁
35 底板
36 蝶ナット(内周ローラ位置調節手段)
41 前段外周ローラ
42 後段外周ローラ
43 内周ローラ
44 ローラ部
45 凹凸パターン
46 レバー(回転操作部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10