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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169980
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】パージ装置、ロードポート
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075763
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】深江 兼一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳志
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131BB03
5F131DA05
5F131DA32
5F131DB03
5F131DB52
5F131DB76
5F131DB82
5F131FA02
5F131FA14
5F131GA76
5F131JA04
5F131JA07
5F131JA24
5F131JA35
5F131KA05
(57)【要約】
【課題】底面に設けた被当接部の材質が異なる搬送容器に対応することができるとともに、被当接部の高さ寸法が異なる搬送容器にも対応することが可能なパージ装置及びそのようなパージ装置を備えたロードポートを提供する。
【解決手段】ノズルユニットP1により載置テーブル5上の搬送容器3にガスを注入または排出するパージ装置Pであり、ノズルユニットP1が、ガス流通路P2の周囲に配置され、且つ上端部を開口36の周囲に設けられた被当接部37に当接可能な第1当接部P31に設定した第1ノズルP3と、第1ノズルP3の周囲に配置され、上端部を被当接部37に当接可能な第2当接部P41に設定した第2ノズルP4と、第1ノズルP3及び第2ノズルP4を相互に独立して昇降自在に移動させる駆動部P6とを備えたものにした。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送容器を載置するための載置テーブルに実装され、且つ前記搬送容器に対して当該搬送容器の底面に設けられた開口に連通可能なガス流通路を有するノズルユニットにより前記載置テーブル上の前記搬送容器にガスを注入または排出するパージ装置であり、
前記ノズルユニットが、
前記ガス流通路の周囲に配置され、且つ上端部を前記開口の周囲に設けられた被当接部に当接可能な第1当接部に設定した第1ノズルと、
前記第1ノズルの周囲に配置され、上端部を前記被当接部に当接可能な第2当接部に設定した第2ノズルと、
前記第1ノズル及び前記第2ノズルを相互に独立して昇降自在に移動させる駆動部とを備えていることを特徴とするパージ装置。
【請求項2】
半導体製造装置に隣接して設けられ、前記載置テーブルに載置された前記搬送容器の蓋を開閉するロードポートであって、
請求項1に記載の前記パージ装置が搭載され、
さらに、前記駆動部による前記第1ノズル及び前記第2ノズルの昇降を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記載置テーブルに載置された前記搬送容器に関する判別情報に基づいて前記第1ノズル又は前記第2ノズルを上昇させる制御を実行するものであることを特徴とするロードポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物が収容された搬送容器にガスを注入または排出するパージ装置、及びパージ装置を備えたロードポートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の材料となるウェーハを収容するFOUP(Front-Opening Unified Pod)等の搬送容器を載置テーブルに載置した状態で所定の気体(例えば窒素や乾燥空気、不活性ガス等)を搬送容器の底面側から内部に注入して充満させて、搬送容器内を所定の気体雰囲気に置換するパージ装置を備えたロードポートが知られている。このような搬送容器の底面側から窒素や乾燥空気、不活性ガス等の所定の気体を搬送容器内に注入して搬送容器内を所定の気体雰囲気に置換する、いわゆるボトムパージ方式は、フロントパージ方式のパージ装置と比較して、所定の気体雰囲気の到達濃度が高いという利点がある。
【0003】
ボトムパージ処理(以下、パージ処理)を実行する際には、載置テーブル上における所定箇所に設けられたパージノズルを搬送容器の底面に接触させて、パージノズルの軸方向に貫通しているガス流通路と、搬送容器の底面に形成された開口(ポート)とを相互に連通させている。このようなパージノズルとポートの間に隙間が生じているとその隙間からガスが漏出するため、例えば下記特許文献1には、FOUPのポートにゴム製のグロメットを装着し、ノズルとして、上方に突出するリップ状の突出部をガス流通路の周囲に設けた態様が開示されている。このような構成であれば、ゴム製で柔らかいグロメットに対してリップ状の突出部を密接させることができ、パージ処理実行時のガス漏れを防ぐことが可能である。
【0004】
ところで、搬送容器には、ポートにゴム製のグロメットが装着されたグロメットタイプの他に、ポートの周りにプラスチック等からなるリップ状の突出部(リップ部)が設けられたリップタイプも存在する。このような搬送容器のタイプに応じて、その都度パージノズルもグロメットタイプ対応のノズルまたはリップタイプ対応のノズルまたはノズル先端部分に変更・交換しなければならず、作業効率が低下する要因になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-187539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本出願人は、搬送容器の底面に設けられたポートに対して連通可能なガス流通路を有し、ポートを介して搬送容器にガスを注入または排出するパージ装置として、パージノズルの先端(上端)部に、平坦部と、平坦部よりも上方に突出した突出部とを設け、平坦部を突出部よりも柔らかい材料で構成したパージ装置を開発し、実用化を進めている(特許第6455261号公報)。
【0007】
このようなパージノズルであれば、搬送容器がリップタイプの場合には、突出部よりも柔らかい平坦部が搬送容器のリップ部に当接することで、パージノズルと搬送容器とを密接させることができ、搬送容器がグロメットタイプの場合には、パージノズルの突出部が搬送容器のグロメットに当接することで、パージノズルと搬送容器とを密接させることができ、グロメットタイプの搬送容器とリップタイプの搬送容器の両方に対応することが可能である。したがって、グロメットタイプの搬送容器とリップタイプの搬送容器とが混在する状況であっても対応可能である。
【0008】
ところで、FOUPの底面に設けたグロメットやリップ部の高さ寸法(FOUPの底面に対する下方への突出寸法)が統一されていない場合には、その高さ寸法に応じてパージノズルもノズル全体またはノズルの先端部分を変更・交換する必要がある。このような変更・交換作業も作業効率が低下する要因になるため、改善の余地がある。
【0009】
さらにまた、FOUPの種類によってグロメットやリップ部の高さ、換言すれば、FOUPの底面からの突出寸法が異なる場合もある。このような場合には、底面からの突出寸法に応じた高さを有するノズルを適宜選択・交換する作業が必要になり、底面からの突出寸法が異なる搬送容器が混在する状況ではやはり対応できないという問題があった。
【0010】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、搬送容器の底面のうち開口の周囲に設けられたグロメットまたはリップ部(被当接部)の高さ寸法(搬送容器の底面からグロメット及びリップ部が突出している寸法であり、グロメット及びリップ部の下端から搬送容器の底面までの高さ寸法と同義)が異なる搬送容器(グロメットタイプの搬送容器及びリップタイプの搬送容器)にも対応することができるとともに、材質が異なるグロメットタイプの搬送容器及びリップタイプの搬送容器にも対応することが可能なパージ装置及びそのようなパージ装置を備えたロードポートを提供することである。なお、本発明は、FOUP以外の搬送容器や、ロードポート以外の搬送容器載置装置、搬送容器に対する専用のストッカ装置等の搬送容器内をパージする処理を要する各種の装置であっても対応可能な技術である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明に係るパージ装置は、搬送容器を載置するための載置テーブルに実装され、且つ搬送容器に対して当該搬送容器の底面に設けられた開口に連通可能なガス流通路を有するノズルユニットにより載置テーブル上の搬送容器にガスを注入または排出するパージ装置であって、ノズルユニットとして、ガス流通路の周囲に配置され、且つ上端部を開口の周囲に設けられた被当接部に当接可能な第1当接部に設定した第1ノズルと、第1ノズルの周囲に配置され、且つ上端部を被当接部に当接可能な第2当接部に設定した第2ノズルと、第1ノズル及び第2ノズルを相互に独立して昇降自在に移動させる駆動部とを備えたものを適用していることを特徴としている。
【0012】
このような、本発明に係るパージ装置であれば、ガス流通路を軸中心として少なくとも第1ノズル及び第2ノズルをガス流通路の開口径方向に並ぶように二重(二段)に配置し、さらに、駆動部によって第1ノズル及び第2ノズルを相互に独立して昇降自在に移動さているため、搬送容器の開口の周囲に設けられた被当接部の高さ寸法がグロメットとリップ部とで異なる場合であっても、第1ノズル及び第2ノズルを個別に昇降自在に移動させることができるため、搬送容器がグロメットタイプかリップタイプの何れであるかに応じて第1ノズルまたは第2ノズルを単独で上昇させることで、被当接部に第1当接部または第2当接部を確実に密接させることができる。したがって、搬送容器の底面に設けたグロメットやリップ部の高さ寸法が一致してない場合であっても、その高さ寸法に応じてノズルユニットを交換するという作業が不要にあり、作業効率が向上する。
【0013】
特に、本発明に係るパージ装置であれば、開口の周囲に設けられた被当接部がリップ部である搬送容器に対してパージ処理を行う場合には、第1当接部または第2当接部の何れか一方(例えば第2ノズル)のみを単独で上昇させて搬送容器のリップ部に当接させることでリップ部との間に隙間が生じていない良好な密着状態になり、適切なパージ処理を行うことができる。また、被当接部がグロメットである搬送容器に対してパージ処理を行う場合には、他方のノズル(例えば第1ノズル)のみを単独で上昇させて搬送容器のグロメットに当接させることでグロメットとの間に隙間が生じていない良好な密着状態になり、適切なパージ処理を行うことができる。本発明の好適な実施態様としては、第1ノズルのうち上端部に設定した第1当接部と第2ノズルのうち上端部に設定した第2当接部のうち何れか一方の当接部(例えば第2当接部)を他方の当接部(例えば第1当接部)よりも柔らかい材料で構成する態様を挙げることができる。この場合、第1当接部または第2当接部のうち相対的に柔らかい材料(以下、軟質材)で構成した当接部を有するノズル(例えば第2ノズル)のみを単独で上昇させて軟質材を搬送容器のリップ部に当接させることでリップ部との間に隙間が生じていない良好な密着状態になり、適切なパージ処理を行うことができる。また、被当接部がグロメットである搬送容器に対してパージ処理を行う場合には、軟質材よりも硬い材料で構成した当接部を有するノズル(例えば第1ノズル)のみを単独で上昇させて搬送容器のグロメットに当接させることでグロメットとの間に隙間が生じていない良好な密着状態になり、適切なパージ処理を行うことができる。
【0014】
また、本発明に係るロードポートは、半導体製造装置に隣接して設けられ、載置テーブルに載置された搬送容器の蓋を開閉するロードポートであって、上述のパージ装置が搭載され、さらに、駆動部による第1ノズル及び第2ノズルの昇降を制御する制御部を備え、制御部が、載置テーブルに載置された搬送容器に関する判別情報に基づいて第1ノズル又は第2ノズルを上昇させる制御を実行するものであることを特徴としている。なお、「載置テーブルに載置された搬送容器に関する判別情報」は、制御部が有する判別部によって判別した搬送容器に関する判別情報(制御部自体が判別した搬送容器に関する判別情報)であってもよいし、制御部以外の適宜の判別部によって判別した搬送容器に関する判別情報であってもよい。
【0015】
このようなロードポートによれば、載置テーブルに載置された搬送容器に関する判別情報に基づいて制御部が第1ノズル又は第2ノズルを上昇させる制御を実行することで、グロメットやリップの下端から搬送容器の底面までの高さ寸法が一致していない場合であってもノズルを交換することなく、適切にパージ処理を行うことができるとともに、グロメットタイプの搬送容器とリップタイプの搬送容器の両方に対してもノズルを交換することなく適切にパージを行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ノズルユニットとして、2種類のノズル(第1ノズル、第2ノズル)をガス流通路周りに二重に配置したものを適用し、それぞれのノズルを単独で昇降自在に移動させる構成を採用しているため、被当接部の高さが異なる場合であっても好適に対応可能であり、且つグロメットタイプの搬送容器とリップタイプの搬送容器の両方に対応可能なパージ装置及びロードポートを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るロードポートを備えたEFEMとその周辺装置の相対位置関係を示す模式的に示す側面図。
図2図1に示す相対位置関係を簡略化した平面図。
図3】同実施形態における全体待機状態のノズルユニットを模式的に示す縦断面図。
図4】同実施形態における第1ノズル使用状態のノズルユニットを図3に対応して示す縦断面図。
図5】同実施形態における第2ノズル使用状態のノズルユニットを図3に対応して示す縦断面図。
図6】グロメットタイプのFOUPのポートにノズルユニットを接続した状態を模式的に示す図。
図7】リップタイプのFOUPのポートにノズルユニットを接続した状態を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係るパージ装置Pは、図1に示すロードポート1に適用可能なものである。本実施形態のロードポート1は、例えば半導体の製造工程において用いられ、図1及び図2に示すように、クリーンルーム内において、搬送室2の壁面の一部を構成し、搬送室2とFOUP等の搬送容器3との間でウェーハW等の搬送対象物の出し入れを行うためのものである。ロードポート1は、搬送室2と共にEFEM(Equipment Front End Module)の一部を構成し、搬送容器3と搬送室2のインターフェース部分として機能するものである。
【0020】
搬送室2は、ロードポート1及び処理室Rが接続されることによって、内部空間2Sが略密閉された状態となるように構成している。搬送室2の内部空間2Sには、図1に示すように、上方から下方に向かう気流であるダウンフローを形成している。したがって、搬送室2の内部空間2SにウェーハWの表面を汚染するパーティクルが存在した場合であっても、ダウンフローによってパーティクルを下方に押し下げ、搬送中のウェーハWの表面へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。図1には、ダウンフローを形成している搬送室2内の気体の流れを矢印で模式的に示している。搬送室2の内部空間2Sには、ウェーハW等の搬送対象物をロードポート1上のFOUP3と処理室Rとの間で搬送可能な搬送ロボット21が設けられている。図2には、搬送室2の前面(前壁面)2Fにロードポート1を複数(例えば3台)並べて配置した構成を模式的に示している。EFEMの作動は、ロードポート1のコントローラ(図2に示す制御部1C)や、EFEM全体のコントローラ(図1に示す制御部C)によって制御される。
【0021】
本実施形態では、搬送室2のうちロードポート1を配置した壁面2F(前壁面)に対向する壁面2B(後壁面)に、処理室R(半導体処理装置)を幅方向に複数(図示例では3室)並べて配置し、各処理室R内でそれぞれ異なる適宜の処理が施されるように構成している。なお、処理室Rの作動は、処理室Rのコントローラ(図1に示す制御部RC)によって制御される。ここで、処理室R全体のコントローラ(制御部RC)や、EFEM全体のコントローラ(制御部C)は、ロードポート1の制御部1Cの上位コントローラである。
【0022】
本実施形態におけるFOUP3は、図1に模式的に示すように、搬出入口31を通じて内部空間3Sを後方にのみ開放可能なFOUP本体32と、搬出入口31を開閉可能なFOUPドア33を備えている。FOUP3は、内部に多段式スロットを設け、各スロットに搬送対象物であるウェーハWを収容可能に構成され、搬出入口31を介してこれらウェーハWを出し入れ可能に構成された既知のものである。FOUP本体32の上向面には、搬送容器3を自動で搬送する装置(例えばOHT:Over Head Transport)等に把持されるフランジ部35を設けている。
【0023】
ロードポート1は、図1等に示すように、搬送室2の壁面の一部を構成し、且つ搬送室2の内部空間2Sを開放するための開口部41が形成された板状をなすフレーム4と、フレーム4に対して前方に突出させた略水平姿勢で設けた載置テーブル5と、外部から搬送されてきたFOUP3を載置テーブル5上に保持する着座保持機構6と、載置テーブル5上でFOUP3を着座位置と搬送対象物受渡位置との間で前後方向Dに移動させる牽引機構7と、フレーム4の開口部41を開閉するロードポートドア8と、ロードポートドア8を搬送室2側に後退したドア開放位置に移動させることによりフレーム4の開口部41を開状態にするドア開閉機構9と、ドア開閉機構9によってフレーム4の開口部41を開状態にした状態において、搬送対象物受渡位置にあるFOUP3内の各スロットにおけるウェーハWの有無を含むウェーハWの載置状態に関する情報をマッピングするマッピング機構Mと、FOUP3内にパージ用気体を注入し、FOUP3内の気体雰囲気を窒素ガス等のパージ用気体に置換可能なパージ装置Pとを備えたものである。
【0024】
載置テーブル5は、フレーム4のうち高さ方向H中央よりもやや上方寄りの位置に略水平姿勢で配置される水平基台50(支持台)の上部に設けられ、FOUP本体32がフレーム4に対向する向きでFOUP3を載置可能なものである。載置テーブル5には、上向きに突出させた複数の突起(図示省略)を設け、これらの突起をFOUP3の底面に形成された穴(図示省略)に係合させることで、載置テーブル5上におけるFOUP3の位置決めを図っている。本実施形態では、載置テーブル5に載置したFOUP3とフレーム4が並ぶ前後方向Dにおいて、FOUP3側を前方と定義し、フレーム4側を後方と定義する。
【0025】
なお、図1では、載置テーブル5上におけるFOUP3の載置状態として、載置テーブル5の上面にFOUP3の底面が接触している状態として簡略化して示している。しかしながら、実際には、載置テーブル5の上面よりも上方に突出している複数の突起が、FOUP3の底面に形成された有底の穴に係合することでFOUP3を支持しており、載置テーブル5の上面とFOUP3の底面は相互に接触せず、載置テーブル5の上面とFOUP3の底面の間に所定の隙間が形成されるように規定されている。
【0026】
パージ装置Pは、載置テーブル5に設けられFOUP3の底面側から当該FOUP3内に窒素ガスや不活性ガス又はドライエア等の適宜選択された気体である環境ガス(パージガスまたはパージ用気体とも称され、本実施形態では主に窒素ガスやドライエアを用いている)を注入し、FOUP3内の気体雰囲気を環境ガスに置換可能なものである。パージ装置Pは、載置テーブル5上に上端部を露出可能な状態で所定箇所に配置される複数のノズルユニットP1(気体給排装置)を備えたものである。これら複数のノズルユニットP1は、FOUP3の底面に設けたポート36(本発明の「開口」に相当、図6参照)の位置に応じて載置テーブル5上または載置テーブル5近傍の適宜位置に取り付けられ、ポート36に接触した状態で接続可能なものである。
【0027】
このようなパージ装置Pを用いたボトムパージ処理は、FOUP3の底部に設けられた複数のポート36のうち、所定数(全部を除く)のポート36を「供給用ポート」として機能させ、供給ポート36に接続したノズルユニットP1により当該FOUP3内にパージ用気体を注入するとともに、残りのポート36を「排気用ポート36」として機能させ、排気ポート36に接続したノズルユニットP1を通じてFOUP3内の気体雰囲気を排出することで、FOUP3内にパージ用気体を充満する処理である。本実施形態では、載置テーブル5の周縁部(四隅近傍)にそれぞれパージ装置Pを構成する4つのノズルユニットP1を配設している(図2参照)。
【0028】
ノズルユニットP1は、図3乃至図7に示すように、搬送容器3に対して当該搬送容器3の底面に設けられたポート36に連通可能なガス流通路P2を有するものであり、ガス流通路P2の周囲に配置した第1ノズルP3と、第1ノズルP3の周囲に配置した第2ノズルP4と、第1ノズルP3及び第2ノズルP4を保持するノズルホルダP5と、第1ノズルP3及び第2ノズルP4を相互に独立して昇降動作させる駆動部P6とを備えている。
【0029】
第1ノズルP3は、高さ方向Hに延伸する管状をなし、上下方向に貫通する内部空間をガス流通路P2に設定したものである。第1ノズルP3は、例えば金属製の一体成型品であり、上端部を搬送容器3のポート36の周囲に設けた被当接部37に当接可能な第1当接部P31に設定している。したがって、第1当接部P31は金属で構成したものである。本実施形態では、第1ノズルP3のうち、下端部側の所定箇所における外周面に他の部位よりも外側に突出した第1大径部P32を設け、第1大径部P32がノズルホルダP5の底壁P51に当接することで第1ノズルP3の最下降位置を位置決めしている。ノズルホルダP5の底壁P51における中央部には、第1大径部P32よりも小径であって且つ第1ノズルP3のうち第1大径部P32よりも下側の部分における外周面の直径よりも僅かに大きい開口径に設定した第1ノズル挿通孔P52を形成している。本実施形態では、第1ノズルP3のうち上端部側の外周面を被覆し得る位置に第2ノズルP4を設けている。
【0030】
第2ノズルP4は、高さ方向Hに延伸する管状をなす例えば金属製の第2ノズル本体P40と、第2ノズル本体P40の上端部に装着した例えばゴム製の第2当接部P41とを備え、上下方向に貫通する内部空間を第1ノズル収容スペースP4Sに設定したものである。第1ノズル収容スペースP4Sの開口径(第2ノズル本体P40の開口径)は、第1ノズルP3のうち上端部側の外周面の直径よりも僅かに大きく、第1ノズル収容スペースP4Sを規定する第2ノズル本体P40の内周面に第1ノズルP3の外周面が添接した状態で第1ノズルP3を第1ノズル収容スペースP4Sに収容している。本実施形態では、第2ノズル本体P40のうち上端部側の外周面を下端部側の外周面よりも大きい直径を有する第2大径部P42に設定し、第2大径部P42の下向き面が後述するノズルホルダP5の内方突出部P53に当接することで第2ノズルP4の最下降位置を位置決めしている。第2大径部P42の直径は、第1ノズルP3の第1大径部P32の直径と同一または略同一である。
【0031】
第2当接部P41は、上向き面をフラットな面に設定した例えばゴム製のリング部材である。したがって、第2ノズルP4は、金属製の第2ノズル本体P40を主体としてなり、上端部に第1ノズルP3の第1当接部P31(金属製)よりも柔らかい材料からなる第2当接部P41を設けたものである。第2当接部P41の周縁部における下向き面には、下方に突出する下方突出部P41aを一体に設け、この下方突出部P41aを第2ノズル本体P40の上端部に設けたリング状の凹部P43に嵌め込むことによって、第2当接部P41を第2ノズル本体P40の上端部に装着している。
【0032】
ノズルホルダP5は、上方に開口した有底筒状をなし、底壁P51に第1ノズル挿通孔P52を形成し、側壁P54の内向き面における所定高さ位置に開口中心に向かって所定寸法突出した内方突出部P53を有するものである。内方突出部P53は円環状をなし、中央に形成された空洞部分を、第2ノズルP4の第2大径部P42よりも小径であって且つ第2ノズルP4のうち第2大径部P42よりも下側の部分における外周面の直径よりも僅かに大きい開口径に設定した第2ノズル挿通孔P55として機能させている。ノズルホルダP5、第1ノズルP3及び第2ノズルP4は、互いに同心円状となるように配置されている。
【0033】
ノズルホルダP5の内部空間のうち内方突出部P53よりも下側の空間は、第1ノズルP3を、搬送容器3のポート36を介して搬送容器3内へ所定の気体を噴射し得ない待機姿勢(a)と、ポート36を介して所定の気体を搬送容器3内へ噴射し得る使用姿勢(b)との間で動作させるべく拡縮する第1動作調整空間P56として機能する。また、ノズルホルダP5の内部空間のうち内方突出部P53よりも上側の空間は、第2ノズルP4を、ポート36を介して搬送容器3内へ所定の気体を噴射し得ない待機姿勢(c)と、ポート36を介して所定の気体を搬送容器3内へ噴射し得る使用姿勢(d)との間で動作させるべく拡縮する第2動作調整空間P57として機能する。
【0034】
ノズルホルダP5の側壁P54には、第1動作調整空間P56に連通する第1気体導入孔P58と、第2動作調整空間P57に連通する第2気体導入孔P59とを形成している。第1気体導入孔P58は、第1気体導出入源を通じて第1動作調整空間P56へパージ用気体とは異なる気体である制御用気体(本実施形態では圧縮空気を適用)を出し入れすることにより第1ノズルP3の動作を制御する第1気体導出入部P61の一部を構成するものであり、第2気体導入孔P59は、第2気体導出入源を通じて第2動作調整空間P57へ制御用気体を出し入れすることにより第2ノズルP4の動作を制御する第2気体導出入部P62の一部を構成するものである。
【0035】
第1気体導出入部P61及び第2気体導出入部P62は、それぞれ第1動作調整空間P56、第2動作調整空間P57へ制御用気体を出し入れすることにより第1動作調整空間P56及び第2動作調整空間P57を拡縮させて、第1ノズルP3及び第2ノズルP4を相互に独立して昇降動作させるものである。本実施形態では、これら第1気体導出入部P61及び第2気体導出入部P62を用いて駆動部P6を構成している。
【0036】
本実施形態では、第1動作調整空間P56及び第2動作調整空間P57を相互に隔離した空間に設定し、第1動作調整空間P56及び第2動作調整空間P57の何れにも制御用気体を導入していない状態では、図3に示すように、第1ノズルP3及び第2ノズルP4の両方が待機姿勢(a),(c)にあり、この状態を「ノズルユニットP1の全体待機姿勢(A)」とする。ノズルユニットP1が全体待機姿勢(A)にある状態で、第1気体導入孔P58を通じて第1動作調整空間P56に制御用気体を導入しながら第2気体導入孔P59を通じて第2動作調整空間P57の気体を排出すると、図4に示すように、第1ノズルP3のみが上昇して待機姿勢(a)から使用姿勢(b)になる。この状態を「ノズルユニットP1の第1ノズル使用姿勢(B)」とする。なお、図4では、第1気体導入孔P58及び第2気体導入孔P59における制御用気体の気流の流れを矢印で示している。
【0037】
一方、ノズルユニットP1が全体待機姿勢(A)にある状態で、第2気体導入孔P59を通じて第2動作調整空間P57に制御用気体を導入しながら第1気体導入孔P58を通じて第1動作調整空間P56の気体を排出すると、図5に示すように、第2ノズルP4のみが上昇して待機姿勢(c)から使用姿勢(d)になる。この状態を「ノズルユニットP1の第2ノズル使用姿勢(C)」とする。なお、互いに摺動し合う部材同士の間には、適宜のシーリング等を設けることにより摺動時における気密状態を維持し、部材間からの気体の流出入が生じないようにしている。図4と同様に図5には、第1気体導入孔P58及び第2気体導入孔P59における制御用気体の気流の流れを矢印で示している。
【0038】
ノズルユニットP1が第1ノズル使用姿勢(B)にある状態で、第1気体導入孔P58を通じて第1動作調整空間P56の気体を排出すると、第1ノズルP3が下降して使用姿勢(b)から待機姿勢(a)になり、ノズルユニットP1は全体待機姿勢(A)になる。同様に、ノズルユニットP1が第2ノズル使用姿勢(C)にある状態で、第2気体導入孔P59を通じて第2動作調整空間P57の気体を排出すると、第2ノズルP4が下降して使用姿勢(d)から待機姿勢(c)になり、ノズルユニットP1は全体待機姿勢(A)になる。
【0039】
なお、各ノズルユニットP1は、ノズルホルダP5に連結されたブラケット(図示省略)等を介して載置テーブル5の所定位置に取り付けることで、載置テーブル5の上面に形成された開口から少なくとも第1ノズルP3の上端部(第1当接部P31)及び第2ノズルP4の上端部(第2当接部P41)が上方に露出する形態で載置テーブル5に搭載することができる。したがって、ノズルユニットP1は、上述の牽引機構7により、載置テーブル5と一体的に前後方向Dに移動可能である。ノズルユニットP1が、供給用ポートに接続される注入ノズルユニットである場合には、ガス流通路P2の下端部に、パージ用気体である不活性ガスの供給源(不図示)からの配管が接続される。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン等が用いられる。一方、ノズルユニットP1が排気用ポートに接続される排出ノズルユニットである場合には、ガス流通路P2の下端部に、ガスを吸引する真空ポンプ等の吸引機(不図示)からの配管が接続される。
【0040】
本実施形態では、第1動作調整空間P56へ制御用気体を導入することで第1ノズルP3を上昇させることができ、第2動作調整空間P57へ制御用気体を導入することで第2ノズルP4を上昇させることができる。本実施形態に係るパージ装置Pは、高さ方向Hにおいて隔離した2つの動作調整空間P56,P57を有する2段エアシリンダの構成を備えていることによって、コンパクト化を図りつつ、第1動作調整空間P56及び第2動作調整空間P57を拡大させたり、縮小させることで第1ノズルP3及び第2ノズルP4の昇降動作をスムーズ且つ的確に行うことができる。
【0041】
本実施形態では、ノズルユニットP1が全体待機姿勢(A)にある状態で、第1ノズルP3及びノズルホルダP5の各上端面が同一または略同一の高さ位置にあり、第2ノズルP4の上端面(第2当接部P41)のみが所定の厚み寸法分だけ第1ノズルP3及びノズルホルダP5よりも上方に突出した位置に位置付けられる。
【0042】
そして、本実施形態に係るパージ装置Pは、ノズルユニットP1を全体待機姿勢(A)から第2ノズル使用姿勢(C)に変更すると、図7に示すように、第2ノズルP4の上端部であるゴム製の第2当接部P41がポート36の周囲に設けた被当接部37に密着する。第2ノズル使用姿勢(C)において、第1ノズルP3のガス流通路P2に連通する第2ノズル本体P40の内部空間P4S及び第2当接部P41の内部空間は、第1ノズルP3のガス流通路P2と同様にガス(パージ用気体)が流通する空間になる。
【0043】
このようなパージ装置Pを備えたロードポート1の載置テーブル5に搬送容器であるFOUP3が載置された時点以降、所定のタイミングでノズルユニットP1を全体待機姿勢(A)から第1ノズル使用姿勢(B)または第2ノズル使用姿勢(C)に切り替えることで、FOUP3の底面に設けたポート36を通じたパージ処理を実施することができる。本実施形態のロードポート1は、パージ装置Pの動作を制御する制御部1Cを備え、制御部1Cが、ポート36の周囲に設けられている被当接部37の種類(グロメット(G)またはリップ部(L))を含むFOUP3の種類を判別し、判別結果(本発明における「載置テーブルに載置された搬送容器に関する判別情報」に相当)に基づいてノズルユニットP1を全体待機姿勢(A)から第1ノズル使用姿勢(B)または第2ノズル使用姿勢(C)に切替・変更する処理を実施する。
【0044】
FOUP3の種類を判別する具体的な手段としては、FOUP3の適宜の箇所に搬送容器識別用IDであるFOUP識別用IDを取り付け、識別用IDを、ロードポート1に設けたFOUP識別用ID読取部で読み取り、その読取情報に基づいて制御部1CがFOUP3の種類を判別する態様を挙げることができる。FOUP識別用IDの一例としてRFID(Radio Frequency Identifier)を挙げることができるが、これに限定されず適宜のIDを用いることができる。FOUP識別用IDは、パッシブタグ(受動タグ)、アクティブタグ(能動タグ)、双方を組み合わせたセミアクティブタグ(起動型能動タグ)の何れであってもよく、通信方式も特に限定されるものではない。さらに、FOUP識別用IDとして、1次元バーコードやQRコード(登録商標)のような2次元コード等を用いることもできる。また、FOUP3は、OHT等の容器搬送装置によって工場内を輸送されるものであることから、搬送容器3の所定位置にFOUP識別用ID読取部を設け、容器搬送装置による輸送中にFOUP識別用IDをFOUP識別用ID読取部で読み取り、その読取情報に基づいて制御部1CがFOUP3の種類を判別する態様を採用することもできる。また、FOUP識別用IDを利用したFOUPの種類判別処理に代えて、適宜の箇所に設けたセンサを利用して、当該センサによるセンシング情報(本発明における「載置テーブルに載置された搬送容器に関する判別情報」に相当)に基づいてFOUPの種類判別処理を実施する態様を採用することも可能である。この場合、センサによるセンシング情報に基づいてFOUPの種類を判別する主体は制御部1Cであってもよいし、制御部1C以外の適宜の判別部であってもよい。なお、容器搬送装置が、OHTではなく、OHS(Over Head Shuttle:天井走行式シャトル)、RGV(Rail Guided Vehicle:有軌道式無人搬送車)、AGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)等であってもよい。
【0045】
制御部1Cは、載置テーブル5に載置されたFOUP3に関する判別情報に基づいて第1ノズルP3又は第2ノズルP4を上昇させる制御を実行する。本実施形態に係るパージ装置Pによれば、FOUP識別用ID読取部による読取情報に基づき、図6に示すように、ポート36にグロメット(G)が装着されたFOUP3であると制御部1Cが判別した場合には、当該判別情報に基づいて制御部1Cが第1ノズルP3を上昇させる制御を実行する。その結果、各ノズルユニットP1が全体待機姿勢(A)から第1ノズル使用姿勢(B)に切り替わる。すると、第1ノズルP3の第1当接部P31が被当接部37であるグロメット(G)に当接する位置まで上昇し、ゴム製のグロメット(G)に対して金属製の第1当接部P31を密着させることができる。ここで、図6に示すFOUP3は、いわゆる「グロメットタイプ」であり、その底面に形成されたポート36に、円環形状を有するゴム製のグロメット(G)が取り付けられている。そして、第1ノズルP3の第1当接部P31がグロメット(G)に当接することで、グロメット(G)の中央の開口部分GSが、第1ノズルP3に形成されたガス流通路P2と気密状態で連通し、FOUP3にガスを注入または排出することが可能になる。このように、本実施形態では、駆動部P6(第1気体導出入部P61)によって第1ノズルP3を昇降移動させることが可能であり、第1当接部P31をグロメット(G)に当接する位置まで上昇させた使用姿勢(b)にすることができる。
【0046】
また、図7に示すように、ポート36の周囲に樹脂製のリップ部(L)を有するFOUP3であると制御部1Cが判別した場合には、当該判別情報に基づいて制御部1Cが第2ノズルP4を上昇させる制御を実行する。その結果、各ノズルユニットP1が全体待機姿勢(A)から第2ノズル使用姿勢(C)に変更する。すると、第2ノズルP4の第2当接部P41が被当接部37であるリップ部(L)に当接する位置まで上昇し、樹脂製のリップ部(L)に対してゴム製の第2当接部P41を密着させることができる。ここで、図4に示すFOUP3は、いわゆる「リップタイプ」であり、その底面に形成されたポート36に、バルブVが取り付けられている。バルブVは、概ね円筒形状を有するプラスチック製であり、下方に突出するようにアール加工された円環形状のリップ部(L)を有する。そして、第2ノズルP4の上端部であるゴム製の第2当接部P41がリップ部(L)に当接することで、バルブVの中央の開口部分VSが、第1ノズルP3に形成されたガス流通路P2と気密状態で連通し、FOUP3’にガスを注入または排出することが可能になる。このように、本実施形態では、駆動部P6(第2気体導出入部P62)によって第2ノズルP4を昇降移動させることが可能であり、第2当接部P41をリップ部(L)に当接する位置まで上昇させた使用姿勢(d)にすることができる。また、本実施形態では、使用姿勢(d)にある第2当接部P41の高さ位置と、使用姿勢(b)にある第1当接部P31の高さ位置とを相互に異ならせている構成、すなわち、ノズルホルダP5の上向き面から第2当接部P41の上向き面までの距離と、ノズルホルダP5の上向き面から第1当接部P31の上向き面までの距離とを相互に異ならせている構成(本実施形態では、使用姿勢(b)にある第1当接部P31の高さ位置を使用姿勢(d)にある第2当接部P41の高さ位置よりも所定寸法分高くなる構成)を採用しているため、リップ部(L)と上述のグロメット(G)とで高さ位置が異なる場合であっても、リップ部(L)に第2当接部P41を当接させたり、グロメット(G)に第1当接部P31を当接させることができる。なお、使用姿勢(d)にある第2当接部P41の高さ位置や使用姿勢(b)にある第1当接部P31の高さ位置をそれぞれ適宜変更可能に設定することも可能である。例えば第1動作調整空間P56や第2動作調整空間P57の容積を拡縮したり、各ノズルP3,P4のサイズや形状を変更することで、使用姿勢(b)にある第1当接部P31の高さ位置や使用姿勢(d)にある第2当接部P41の高さ位置をそれぞれ適宜変更することができる。また、使用姿勢(b)にある第1当接部P31の高さ位置が使用姿勢(d)にある第2当接部P41の高さ位置よりも所定寸法分低くなる構成を採用することもできる。
【0047】
このように、本実施形態に係るパージ装置Pによれば、ガス流通路P2を軸中心として第1ノズルP3及び第2ノズルP4を二重(二段)に配置したノズルユニットP1を採用し、第1ノズルP3及び第2ノズルP4をそれぞれ相互に独立して昇降動作させるように構成しているため、第1ノズルP3及び第2ノズルP4を個別に昇降自在に移動させることができ、FOUP3のポート36の周囲に設けた被当接部37であるグロメット(G)やリップ部(L)の高さ寸法が不揃いの場合であっても、ノズルの先端部分を交換することなく、共通のノズルユニットP1で対応することができ、交換作業が不要であり、作業効率の向上に貢献する。
【0048】
特に、本実施形態に係るパージ装置Pによれば、グロメットタイプのFOUP3を使用する場合には、第1ノズルP3の上端部(第1当接部P31)がFOUP3のグロメット(G)に当接することで両者を隙間のない良好な密着状態を維持させたまま密接させることができるとともに、リップタイプのFOUP3を使用する場合には、ゴム製の当接部(第2当接部P41)が樹脂製のリップ部(L)に当接することで両者を隙間のない良好な密着状態を維持させたまま密接させることができ、グロメットタイプのFOUPとリップタイプのFOUPの両方に対応することができる。
【0049】
また、本実施形態のパージ装置Pを備えるロードポート1によれば、ノズルごと又はノズルの先端部分を交換することなく、グロメットタイプのFOUPとリップタイプのFOUPの両方に対して、適切にパージ処理を行うことが可能となる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、第1当接部を金属製、第2当接部をゴム製としたが、各当接部の材料はこれに限定されない。つまり、第1当接部または第2当接部のうち一方の当接部が他方の当接部よりも柔らかいという関係が成立していれば、第1当接部及び第2当接部の材料は適宜変更が可能である。例えば、何れか一方の当接部がプラスチック製であってもよい。柔らかさの指標となる物性値としては、例えば弾性係数(ヤング率)、ビッカース硬さ、デュロメーター硬さ等の中から適当なものを採用することができる。また、本発明は、第1当接部及び第2当接部を同じ又は略同等の硬度を有する材料で構成した態様も包含する。
【0051】
また、上記実施形態では、第1当接部または第2当接部のうち相対的に硬い当接部を有するノズル(第1ノズル)を1つの部材で構成した態様を例示したが、分割可能な上側ノズルと下側ノズルとを相互に連結したノズルであってもよい。
【0052】
上述の実施形態では、第1ノズル及び第2ノズルのうち相対的に外側(外周側)に配置される第2ノズルの第2当接部を、相対的に内側(内周側)に配置される第1ノズルの第1当接部よりも柔らかい材料で構成する態様を例示したが、その逆の態様、つまり、相対的に内側(内周側)に配置される第1ノズルの第1当接部を、相対的に外側(外周側)に配置される第2ノズルの第2当接部よりも柔らかい材料で構成する態様も本発明に含まれる。第1ノズル及び第2ノズルの昇降移動幅(ストローク)も適宜変更・選択することができる。
【0053】
また、上記実施形態では、第1ノズルと第2ノズルをガス流通路回りに二重に配置したノズルユニットを例示したが、さらに第3ノズルを第1ノズル及び第2ノズルと同心円状に配置した3段エアシリンダのように3段以上のエアシリンダ構造を採用することもできる。この場合であっても、第1当接部または記第2当接部の何れか一方の当接部を他方の当接部よりも柔らかい材料で構成するという条件を満たせば、第3ノズル(第4ノズル・・・)の上端部に設定する第3当接部(第4当接部・・・)の硬度は適宜選択することができる。また、本発明は、第1当接部及び第2当接部(第3当接部、第4当接部・・・)を同じまたは略同等の硬度を有する材料で構成した態様も包含する。
【0054】
少なくとも第1ノズル及び第2ノズルを相互に独立して昇降動作させる駆動部として、上述の実施形態におけるエアシリンダを用いた機構に代えて、他の機構を採用することができる。
【0055】
また、上記実施形態では、パージ装置を備えたロードポートについて説明を行ったが、パージ装置の搭載先はロードポートに限定されない。例えば、パージ装置を、OHT等の搬送機構によって搬送された搬送容器を仮置きするための仮置装置や、複数の搬送容器を格納しておくストッカー、パージ専用機等に搭載することも可能である。
【0056】
また、上記実施形態では、搬送容器としてFOUPを使用する場合について説明したが、その内部空間に対してパージ処理を行うものであれば、FOUP以外の搬送容器であってもよい。
【0057】
本発明に係るロードポートは、EFEMの一部を構成するものとして使用可能であることは上述した通りであり、EFEM以外の搬送装置に適用することもできる。
【0058】
上述の実施形態では、搬送対象物としてウェーハを例示したが、搬送対象物が、レティクル、液晶搬送対象物、ガラス搬送対象物、カルチャープレート、培養容器、ディッシュ、或いはシャーレ等であってもよい。
【0059】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…ロードポート
1C…制御部
3…搬送容器
36…開口(ポート)
37(G),(L)…被当接部(グロメット,リップ部)
5…載置テーブル
P…パージ装置
P1…ノズルユニット
P2…ガス流通路
P3…第1ノズル
P31…第1当接部
P4…第2ノズル
P41…第2当接部
P6(P61,P62)…駆動部(第1気体導出入部,第2気体導出入部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7