(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169981
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】作業機械管理方法、作業機械管理システムおよび作業機械管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20221102BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01B69/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075765
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】岡本 将希
(72)【発明者】
【氏名】三谷 英樹
(72)【発明者】
【氏名】吉峰 拓海
【テーマコード(参考)】
2B043
5L049
【Fターム(参考)】
2B043EA11
2B043EA32
2B043EE01
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】作業機械の稼働状況を分かりやすく識別することのできる作業機械管理方法、作業機械管理システムおよび作業機械管理プログラムを提供する。
【解決手段】作業機械管理方法は、作業機械(2)の最新位置を表す位置情報を少なくとも含む機械情報と、圃場(9)の位置および範囲を少なくとも表す圃場情報とに基づいて、作業機械(2)の最新位置が圃場(9)の中にあるか否かを判定すること(S3)と、作業機械(2)の最新位置が圃場(9)の中にあるか否かを識別可能に表示するための図形を表す図形情報を出力すること(S5)とを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の最新位置を表す位置情報を少なくとも含む機械情報と、圃場の位置および範囲を少なくとも表す圃場情報とに基づいて、前記作業機械の前記最新位置が前記圃場の中にあるか否かを判定することと、
前記作業機械の前記最新位置が前記圃場の中にあるか否かを識別可能に表示するための図形を表す図形情報を出力することと
を含む
作業機械管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械管理方法において、
前記出力することは、
前記圃場を含む地域の地図の上に、前記圃場の前記位置および前記範囲と、前記作業機械の前記最新位置に対応する位置に配置された前記図形とを表示すること
を含む
作業機械管理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械管理方法において、
前記出力することは、
前記作業機械が移動を開始した移動開始地点の位置を表すマークと、前記作業機械が移動を開始した移動開始時刻を表す情報とを前記地図の上に表示すること
をさらに含む
作業機械管理方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の作業機械管理方法において、
前記機械情報は、前記作業機械が稼働中であるか否かを表す稼働状況情報をさらに含み、
前記出力することは、
前記作業機械が稼働中であるか否かをさらに識別可能に表示するための前記図形を表す前記図形情報を出力すること
を含む
作業機械管理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の作業機械管理方法において、
作業計画を表し、前記圃場のうちの前記作業機械による作業が計画されている対象作業領域を表す対象作業領域情報を少なくとも含む作業計画情報を用意すること
をさらに含み、
前記判定することは、
前記作業計画情報にさらに基づいて、前記作業機械が前記対象作業領域の中にあるか否かをさらに判定すること
を含み、
前記出力することは、
前記作業機械が、前記対象作業領域の中にあるか否かをさらに識別可能に表示するための前記図形を出力すること
をさらに含む
作業機械管理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の作業機械管理方法において、
前記作業計画情報は、前記作業機械による前記対象作業領域での前記作業が計画されている作業計画期間を表す作業計画期間情報をさらに含み、
前記判定することは、
前記作業計画情報に基づいて、前記作業機械が、前記対象作業領域の中で、かつ、前記作業計画期間の間に前記作業を行っているか否かを判定すること
を含み、
前記出力することは、前記作業機械が前記作業計画期間に前記作業を行っているか否かを識別可能に表示すること
を含む
作業機械管理方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の作業機械管理方法において、
前記出力することは、
前記作業機械が前記作業を開始した時刻を表す情報を表示すること
をさらに含む
作業機械管理方法。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか一項に記載の作業機械管理方法において、
前記出力することは、
稼働中の前記作業機械が前記作業計画から外れた作業を行っていると判定した場合に警告を表す情報を出力すること
をさらに含む
作業機械管理方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の作業機械管理方法において、
前記機械情報は、前記作業機械の種別を表す種別情報をさらに含み、
前記出力することは、
前記作業機械の前記種別をさらに識別可能に表示するための前記図形を出力すること
をさらに含む
作業機械管理方法。
【請求項10】
作業機械の最新位置を表す位置情報を少なくとも含む機械情報と、圃場の位置および範囲を少なくとも表す圃場情報とに基づいて、前記作業機械の前記最新位置が前記圃場の中にあるか否かを判定する判定部と、
前記作業機械の前記最新位置が前記圃場の中にあるか否かを識別可能に表示するための図形を表す図形情報を出力する出力部と
を備える
作業機械管理システム。
【請求項11】
実行することによって所定の処理を実現するための作業機械管理プログラムであって、
前記処理は、
作業機械の最新位置を表す位置情報を少なくとも含む機械情報と、圃場の位置および範囲を少なくとも表す圃場情報とに基づいて、前記作業機械の前記最新位置が前記圃場の中にあるか否かを判定することと、
前記作業機械の前記最新位置が前記圃場の中にあるか否かを識別可能に表示するための図形を表す図形情報を出力することと
を含む
作業機械管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業機械管理方法、作業機械管理システムおよび作業機械管理プログラムに関し、例えば、農作業を行う機械に関する作業機械管理方法、作業機械管理システムおよび作業機械管理プログラムに好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
作業計画に沿って複数の作業機械が複数の圃場で農作業を行う場合がある。このような場合に、それぞれの作業機械を遠隔で管理する手段が求められている。特に、管理者と、作業者と、作業補助者とが、それぞれの稼働状況を容易に把握できるように作業機械を管理できる手段が求められている。
【0003】
上記に関連して、特許文献1(特開2014-38437号公報)には、対地作業管理システムが開示されている。この対地作業管理システムは、農作業などを行う複数の対地作業機のそれぞれから測位情報と機体IDとを取得し、それぞれの対地作業機の位置と機体IDとを地図上に示すように遠隔のディスプレイに表示する。こうすることによって、各対地作業機の位置を遠隔で把握することが可能となる。ただし、特許文献1による対地作業管理システムでは、複数の対地作業機の位置を地図上で把握することはできても、それぞれの対地作業機が圃場の中にあるのか、圃場近傍の道路上にあるのかを瞬時に把握することは困難である。また、特許文献1による対地作業管理システムでは、圃場の中にある対地作業機が作業中であるのか、非作業中であるのかを瞬時に把握することも困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記状況に鑑み、本開示は作業機械の稼働状況を分かりやすく識別することのできる作業機械管理方法、作業機械管理システムおよび作業機械管理プログラムを提供することを目的の1つとする。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0007】
一実施の形態によれば、作業機械管理方法は、作業機械(2)の最新位置を表す位置情報を少なくとも含む機械情報と、圃場(9)の位置および範囲を少なくとも表す圃場情報とに基づいて、作業機械(2)の最新位置が圃場(9)の中にあるか否かを判定すること(S3)と、作業機械(2)の最新位置が圃場(9)の中にあるか否かを識別可能に表示するための図形(7A~7F)を表す図形情報を出力すること(S5)とを含む。
【0008】
一実施の形態によれば、作業機械管理システム(1)は、判定部(312)と、出力部(313)とを備える。判定部(312)は、作業機械(2)の最新位置を表す位置情報を少なくとも含む機械情報と、圃場(9)の位置および範囲を少なくとも表す圃場情報とに基づいて、作業機械(2)の最新位置が圃場(9)の中にあるか否かを判定する。出力部(313)は、作業機械(2)の最新位置が圃場(9)の中にあるか否かを識別可能に表示するための図形(7A~7F)を表す図形情報を出力する。
【0009】
一実施の形態によれば、作業機械管理プログラムは、実行することによって所定の処理を実現するためのものである。この処理は、作業機械(2)の最新位置を表す位置情報を少なくとも含む機械情報と、圃場(9)の位置および範囲を少なくとも表す圃場情報とに基づいて、作業機械(2)の最新位置が圃場(9)の中にあるか否かを判定すること(S3)と、作業機械(2)の最新位置が圃場(9)の中にあるか否かを識別可能に表示するための図形(7A~7F)を表す図形情報を出力すること(S5)とを含む。
【発明の効果】
【0010】
一実施の形態によれば、作業機械管理システムは利用者による作業機械の稼働状況の識別を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施の形態による作業機械管理システムの一構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態による車載端末の一構成例を示すブロック回路図である。
【
図3】
図3は、一実施の形態による端末の一構成例を示すブロック回路図である。
【
図4】
図4は、一実施の形態によるサーバの一構成例を示すブロック回路図である。
【
図5】
図5は、一実施の形態による作業機械管理方法の一構成例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、一実施の形態による図形の例を示す表である。
【
図7A】
図7Aは、一実施の形態による図形の部品の例を示す表である。
【
図7B】
図7Bは、一実施の形態による図形の部品の例を示す表である。
【
図7C】
図7Cは、一実施の形態による図形の部品の例を示す表である。
【
図8A】
図8Aは、一実施の形態による表示の例を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、一実施の形態による表示の例を示す図である。
【
図8C】
図8Cは、一実施の形態による表示の例を示す図である。
【
図9A】
図9Aは、一実施の形態による表示の例を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、一実施の形態による表示の例を示す図である。
【
図10】
図10は、一実施の形態による表示の例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明による作業機械管理方法、作業機械管理システムおよび作業機械管理プログラムを実施するための形態を以下に説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、一実施の形態による作業機械管理システム1は、作業機械2に搭載された車載端末20と、端末3と、サーバ5とを備える。作業機械2は、例えば、収穫機、作業機を装着したトラクター、移植機などの、圃場9で農作業を行う車両である。車載端末20は、アンテナ232を用いた無線通信を行うなどしてネットワーク4に接続可能である。端末3は、有線通信または無線通信を行うなどしてネットワーク4に接続可能である。端末3は、ネットワーク4を介して、圃場9で作業を行う車載端末20から各種の情報を実質的にリアルタイムに取得することができる。端末3は、例えば、無線通信機能を有するタブレット型の情報端末である。
【0014】
サーバ5と、端末3とは、一部の機能を実現するための構成を重複して備えていてもよい。以下、端末3とサーバ5が同様の構成を重複して備える場合について説明するが、重複する構成は端末3またはサーバ5から省略可能である。
【0015】
図2に示すように、一実施の形態による車載端末20は、いわゆるコンピュータとしての構成を備えていてもよい。車載端末20は、バス200と、演算装置210と、記憶装置220と、入出力装置230とを備える。演算装置210、記憶装置220および入出力装置230は、バス200を介して互いに通信可能に接続されている。
【0016】
演算装置210は、伝達部211を仮想的に備えている。伝達部211は、演算装置210が伝達プログラム222を実行することによって所定の機能を実現する機能ブロックである。伝達プログラム222は、記憶装置220に格納されている。伝達プログラム222は、記録媒体221から読み出されて記憶装置220に格納されてもよいし、入出力装置230を介して外部から取得されて記憶装置220に格納されてもよい。
【0017】
入出力装置230は、通信装置231と、測位装置233と、出力装置234と、入力装置235と、検知装置236とを備える。通信装置231は、アンテナ232を介してネットワーク4に接続可能であり、ネットワーク4を介して端末3および/またはサーバ5と通信可能である。アンテナ232は、車載端末20の一部であってもよいし、車載端末20以外の、例えば作業機械2の一部であってもよい。測位装置233は、GNSS(Global Navigation Satellite System:衛星測位システム)を利用するなどして自身の位置を示す位置情報を取得する。測位装置233が取得する位置情報は、車載端末20の位置を表し、したがって車載端末20を搭載する作業機械2の位置を表す。出力装置234は、例えば表示装置やランプなどを含み、車載端末20の状態などを表す任意の情報を出力してもよい。入力装置235は、例えばスイッチやボタンなどを含み、利用者が車載端末20を操作するために用いてもよい。検知装置236は、作業機械2の状態を表す作業機械状態信号を作業機械2から受信する。
【0018】
図3に示すように、一実施形態による端末3は、いわゆるコンピュータとしての構成を備えていてもよい。端末3は、バス30と、演算装置31と、記憶装置32と、入出力装置33とを備える。演算装置31、記憶装置32および入出力装置33は、バス30を介して互いに通信可能に接続されている。
【0019】
演算装置31は、情報取得部311と、判定部312と、出力部313とを仮想的に備えている。情報取得部311、判定部312および出力部313のそれぞれは、演算装置31が作業機械管理プログラム321を実行することによって所定の機能を実現する機能ブロックである。これらの機能ブロックが有する機能については、後述する。
【0020】
記憶装置32は、作業機械管理プログラム321と、地図情報322と、作業計画情報323とを格納している。地図情報322は、例えば、圃場9の位置と範囲とを表す情報を含む。作業計画情報323は、作業機械2が圃場9で行う作業計画を表す情報を含む。作業機械管理プログラム321と、地図情報322と、作業計画情報323とは、記録媒体320から読み出されて記憶装置32に格納されてもよいし、入出力装置33を介して外部から取得されて記憶装置32に格納されてもよい。
【0021】
入出力装置33は、通信装置331と、表示装置332と、入力装置333とを備える。通信装置331は、有線通信および/または無線通信を介してネットワーク4に接続可能であり、ネットワーク4を介して車載端末20および/またはサーバ5と通信可能である。表示装置332は、演算装置31の判定部312が判定した結果を視認可能に表示する。入力装置333は、例えばタッチパッドやボタンなどを含み、利用者が端末3を操作するために用いてもよい。表示装置332および入力装置333は一体化されたタッチパネルとして端末3に実装されていてもよい。
【0022】
図4に示すように、一実施形態によるサーバ5は、
図3に示した端末3と同様の構成要素を備えている。一実施形態によるサーバ5は、いわゆるコンピュータとしての構成を備えていてもよい。サーバ5は、バス50と、演算装置51と、記憶装置52と、入出力装置53とを備える。演算装置51、記憶装置52および入出力装置53は、バス50を介して互いに通信可能に接続されている。
【0023】
演算装置51は、情報取得部511と、判定部512と、出力部513とを仮想的に備えている。情報取得部511、判定部512および出力部513のそれぞれは、演算装置51が作業機械管理プログラム521を実行することによって所定の機能を実現する機能ブロックである。
【0024】
記憶装置52は、作業機械管理プログラム521と、地図情報522と、作業計画情報523とを格納している。地図情報522は、圃場9の位置と範囲とを少なくとも表す。作業計画情報523は、どの作業機械2がどの圃場9で作業を行うかを予め計画した作業計画の内容を少なくとも表す。作業機械管理プログラム521と、地図情報522と、作業計画情報523とは、記録媒体520から読み出されて記憶装置52に格納されてもよいし、入出力装置53を介して外部から取得されて記憶装置52に格納されてもよい。
【0025】
入出力装置53は、通信装置531と、表示装置532と、入力装置533とを備える。通信装置531は、有線通信および/または無線通信を介してネットワーク4に接続可能であり、ネットワーク4を介して車載端末20および/または端末3と通信可能である。表示装置532は、演算装置51の判定部512が判定した結果を視認可能に表示して出力する。入力装置533は、例えばキーボードやマウスなどを含み、利用者がサーバ5を操作するために用いてもよい。表示装置532および入力装置533は一体化されたタッチパネルとしてサーバ5に実装されていてもよい。
【0026】
図5のフローチャートを参照して、一実施の形態による作業機械管理方法の構成について説明する。ここで、一実施の形態による作業機械管理方法の一構成例は、一実施の形態による作業機械管理システム1の動作の一例でもある。また、
図5のフローチャートは、一実施の形態による作業機械管理プログラム321の一構成例も示している。
【0027】
図5のフローチャートは、例えば、利用者がサーバ5を操作して作業機械管理プログラム521を起動することによって開始する。
図5のフローチャートが開始すると、ステップS1が実行される。
【0028】
ステップS1において、サーバ5の演算装置51は作業機械管理プログラム521を実行することによって情報取得部511の機能を実現する。情報取得部511は、ネットワーク4を介するなどして作業機械2の車載端末20から機械情報を取得する。情報取得部511は、複数の作業機械2にそれぞれ搭載された複数の車載端末20から、それぞれの機械情報を取得してもよい。
【0029】
ここで、車載端末20は、サーバ5が機械情報を受信する準備が整っているか否かに関わらず、車載端末20は機械情報を送信し続けてもよい。
【0030】
機械情報は、少なくとも、作業機械2の最新位置を表す位置情報を含む。作業機械2の最新位置とは、車載端末20の位置を最後に測定して得られた測位情報が表す位置である。車載端末20の演算装置210は、伝達プログラム222を実行することによって伝達部211の機能を実現する。伝達部211は、測位装置233を制御して測位情報を取得し、測位情報を取得した時刻を表す測位時刻情報に対応付けて測位情報を記憶装置220に格納する。伝達部211は、複数の時刻のそれぞれにおいて測位情報の取得を繰り返す。一例として、伝達部211は、定期的に測位情報を取得してもよい。また、一例として、伝達部211は1分ごとに測位情報を取得してもよい。
【0031】
車載端末20は、利用者が作業機械2を起動したときに連動して起動する。車載端末20が起動するときに、演算装置210は自動的に伝達プログラム222を実行する。伝達プログラム222が実行されるとき、伝達部211は自動的に測位情報の取得を開始する。伝達部211は、測位情報を少なくとも含む機械情報を生成し、通信装置231を制御して機械情報をサーバ5に送信する。
【0032】
サーバ5の情報取得部511は、取得した機械情報を記憶装置52に格納する。機械情報は、位置情報に加えて、作業機械2が稼働状況を表す稼働状況情報をさらに含んでいてもよい。稼働状況情報の詳細については後述する。
【0033】
ステップS1の後、ステップS2が実行される。ステップS2において、サーバ5の演算装置51は作業機械管理プログラム521を実行することによって判定部512の機能を実現する。判定部512は作業機械2の最新位置が圃場9の中にあるか否かを判定する。この判定を行うために、判定部512は、一方では機械情報を参照して作業機械2の最新位置を読み出し、他方では地図情報522を参照して圃場9の位置および範囲を表す圃場情報を読み出す。判定部512は、作業機械2の最新位置が圃場9の範囲に含まれている場合は作業機械2が圃場9の中にあると判定し、その他の場合は作業機械2が圃場9の外にあると判定する。判定部512は、この判定の結果を表す第1判定情報を、記憶装置52に格納する。
【0034】
判定部512は、作業機械2の最新位置が圃場9の中にあると判定したとき、作業機械2がこの圃場9で作業を行うことが計画されていたか否かを、さらに判定する。作業機械2がどの圃場9で作業を行うかを予め計画した作業計画の内容は、作業計画情報523に含まれている。ここで、作業計画情報523は、圃場9のうちの、作業機械2による作業が計画されている対象作業領域を表す対象作業領域情報を含む。判定部512は、作業計画情報523を参照することで、作業機械2が位置している圃場9が、作業機械2による作業が計画されていた対象作業領域であるか否かを判定する。言い換えれば、作業計画情報523は、対象作業領域を表す対象作業領域情報を含む。判定部512は、この判定の結果を表す第2判定情報を、記憶装置52にさらに格納する。
【0035】
ステップS2の後、ステップS3が実行される。ステップS3において、サーバ5の演算装置51は作業機械管理プログラム521を実行することによって判定部512の別の機能をさらに実現する。判定部512は、作業機械2の稼働状況をさらに判定する。この判定を行うために、判定部512は、一方では機械情報を参照して、作業機械2が稼働状況を表す稼働状況情報を読み出す。
【0036】
稼働状況情報について説明する。一実施の形態において、作業機械2の稼働状況は、休止状態、非作業状態および作業状態に区別される。作業機械2がキーオフされている状態を休止状態と呼ぶ。作業機械2がキーオンされており、かつ、作業を行っていない状態を非作業状態と呼ぶ。作業機械2がキーオンされており、かつ、作業機械2に設けられて農作業を行う部位が作業を行っている状態を作業状態と呼ぶ。
【0037】
車載端末20の伝達部211が作業機械2の稼働状況を伝達する方法について説明する。伝達部211は、検知装置236を介して作業機械2の状態を表す作業機械状態信号を受信する。作業機械状態信号には、例えば、作業機械2がキーオン状態であることを表す信号、作業機械2の移動速度を表す信号、作業機械2に設けられて農作業を行う部位への動力が伝達されているか否かを表す信号などが含まれている。ただし、作業機械2が休止状態にあるときに車載端末20の電源も連動してオフ状態にある場合は、車載端末20は作業機械2が休止状態にあることを識別する機能も停止していてもよい。この場合、伝達部211は、作業機械2がキーオフ状態であることを表す信号を作業機械状態信号の一部として受信しなくてもよい。
【0038】
伝達部21は、測位情報と、稼働状況情報とを少なくとも含む機械情報を生成し、この機械情報をサーバ5の情報取得部511に送信する。伝達部21は、生成した機械情報を情報取得部511に送信する前に、記憶装置22に格納してもよい。
【0039】
サーバ5の情報取得部511は、位置情報と、稼働状況情報とを少なくとも含む機械情報を受信して記憶装置52に格納する。サーバ5の判定部512は、記憶装置52に格納された機械情報から稼働状況情報を読み出し、この稼働状況情報に対応付けられた時刻情報が表す時刻において作業機械2が休止状態、非作業状態または作業状態のいずれの稼働状況にあったかを判定する。判定部512は、判定した結果を表す第3判定情報を、記憶装置52にさらに格納する。
【0040】
サーバ5の判定部512は、通信装置531を制御して、第1判定情報と、第2判定情報と、第3判定情報とを、端末3に送信する。
【0041】
ステップS3の後、ステップS4が実行される。ステップS4において、端末3の演算装置31は作業機械管理プログラム321を実行することによって出力部313の機能を実現する。出力部313は、まず、通信装置331を介して第1判定情報と、第2判定情報と、第3判定情報とをサーバ5から受信して記憶装置32に格納する。次に、出力部313は、作業機械2の稼働状況などを表すための画像(および/または図形)を決定する。より具体的には、出力部313は、まず、ステップS2でサーバ5の判定部512が判定した結果に基づいて、作業機械2の最新位置が圃場9の中にあるか否かを識別可能に表示するための図形を表す図形情報を生成する。出力部313は、さらに、記憶装置32から地図情報322を読み出して、作業機械2および/または圃場9の周囲の地域の地図を表示するための地図画像を表す地図画像情報を生成する。出力部313は、次に、上記の地図画像の上に上記の図形を重ね合わせた合成画像を表す合成画像情報を生成する。ここで、出力部313は、合成画像において、図形が地図の上に、かつ、作業機械2の最新位置に対応する位置に配置されるように、合成画像情報を生成する。出力部313は、さらに、合成画像において地図の上に圃場9の位置および範囲が表示されるように合成画像情報を生成する。
【0042】
図形情報の生成について説明する。
図6に示すように、一実施形態による図形7A~7Fは、作業機械2の状態を容易に識別できるように、作業機械2の状態に応じて異なる形態を有する。作業機械2の状態は、例えば、対象作業領域内にあるか、対象作業領域外にあるかを表す2種類と、休止状態であるか、非作業状態であるか、作業状態であるかを表す3種類とを組み合わせた合計6種類に分類される。
図6に示した図形7A~7Fは、これら6種類の状態にそれぞれ対応付けられている。図形7A~7Fを区別しないとき、これらを単に図形7と総称する。
【0043】
図7A、
図7Bおよび
図7Cを参照して、一実施形態による図形7A~7Fの構成要素について説明する。
図7Aは、一例として、3種類の枠部71A、71B、71Cと、3種類の矢印部72A、72B、72Cを示す。
図7Bは、一例として、2種類の背景部73A、73Bを示す。
図7Cは、一例として、4種類のピクトグラム74A、74B、74C、74Dを示す。枠部71A、71B、71Cを区別しないとき、これらを単に枠部71と総称する。矢印部72A、72B、72Cを区別しないとき、これらを単に矢印部72と総称する。背景部73A、73Bを区別しないとき、これらを単に背景部73と総称する。ピクトグラム74A、74B、74C、74Dを区別しないとき、これらを単にピクトグラム74と総称する。
【0044】
図形7は、枠部71と、矢印部72と、背景部73と、ピクトグラム74とを1つずつ重ね合わせることで形成される。より具体的には、いずれか1つの背景部73の上に、いずれか1つの枠部71といずれか1つの矢印部72とを重ね合わせ、その上にいずれか1つのピクトグラム74をさらに重ね合わせることによって、図形7は形成される。言い換えれば、枠部71と、矢印部72と、背景部73と、ピクトグラム74とは、図形7の構成要素に含まれる。
【0045】
一実施の形態では、枠部71Aと矢印部72Aとは、作業機械2が休止状態にあることを表すために用いられる。また、枠部71B、71Cと、矢印部72B、72Cとは、作業機械2が休止状態ではないことを表すために用いられる。言い換えれば、枠部71B、71Cと、矢印部72B、72Cとは、作業機械2が非作業状態または作業状態であることを表すために用いられる。
【0046】
一実施の形態では、枠部71Bと矢印部72Bとは、作業機械2が、休止状態ではなく、かつ、対象作業領域内にあることを表すために用いられる。また、枠部71Cと矢印部72Cとは、作業機械2が、休止状態ではなく、かつ、対象作業領域外にあることを表すために用いられる。
【0047】
ここで、対象作業領域とは、圃場9のうち、作業機械2が作業を行うことが予め計画されている圃場9である。したがって、枠部71Cと矢印部72Cとは、作業機械2が、作業を行うことが計画されていない圃場9の中にあり、かつ、休止状態ではないことを利用者に警告するために、例えば赤などの警戒を促す色で表示することが好ましい。反対に、枠部71Bと矢印部72Bとは、作業機械2が計画されたとおりの圃場9で作業を行っている状態、または作業を中断している状態であることを利用者に示すために、例えば緑などの安全を連想させる色で表示することが好ましい。枠部71Aと矢印部72Aとは、作業機械2が休止状態であることを表すために、枠部71Bおよび矢印部72Bとも、枠部71Cおよび矢印部72Cとも異なる、例えば灰色などの目立ちにくい色で表示したりすることが好ましい。
【0048】
言い換えれば、枠部71Aおよび矢印部72Aと、枠部71Bおよび矢印部72Bと、枠部71Cおよび矢印部72Cとは、それぞれを容易に識別可能な3種類の形態で表示される。このことを説明する目的で、
図7Aでは、枠部71Aおよび矢印部72Aを白抜きで示し、枠部71Bおよび矢印部72Bを比較的薄いハッチングで示し、枠部71Cおよび矢印部72Cを中間的な濃さのハッチングで示している。
【0049】
一実施の形態では、背景部73Aは、作業機械2が休止状態または非作業状態であることを表すために用いられる。反対に、背景部73Bは、作業機械2が作業状態であることを表すために用いられる。背景部73と枠部71との組み合わせの中で利用者が最も注目したい組み合わせは、作業機械2が対象作業領域外の圃場9で作業状態であることを表す組み合わせである場合がある。つまり、このような組み合わせを発見し次第、利用者はその作業機械2を操作する作業者に連絡して作業の停止を指示する場合がある。そこで、背景部73Bは、背景部73Aよりも、枠部71Cと組み合わされたときに目立つように表示されることが好ましい。このことを説明する目的で、
図7Bでは、背景部73Aを白抜きで示し、背景部73Bのうち上半分を白抜きで示し、下半分を比較的濃いハッチングで示している。
【0050】
一実施の形態では、ピクトグラム74が作業機械2の種別を表している。
図7Cに例示するように、収穫機を表すピクトグラム74Aと、作業機を装着可能なトラクターを表すピクトグラム74Bと、移植機を表すピクトグラム74Cと、トラックを表すピクトグラム74Dとは、それぞれに対応する作業機械2を容易に識別可能に表すために、それぞれの作業機械2を模式的に表現している。作業機械2の種別を表す種別情報は、その作業機械2に搭載されている車載端末20が送信する機械情報に含まれていてもよい。また、サーバ5の記憶装置52に、作業機械2の種別を表す種別情報を、この作業機械2に搭載された車載端末20の端末識別IDと関連付けて予め記憶しておき、車載端末20が送信する端末識別IDに基づいて作業機械2の種別を特定してもよい。
【0051】
上記の説明に基づいて、
図6に示した図形7A~7Fの構成を改めて説明する。図形7Aは、休止状態を表す枠部71Aおよび矢印部72Aと、休止状態を表す背景部73Aと、収穫機を表すピクトグラム74Aとを重ね合わせて形成されている。図形7Bは、対象作業領域内にあることを表す枠部71Bおよび矢印部72Bと、非作業状態を表す背景部73Aと、収穫機を表すピクトグラム74Aとを重ね合わせて形成されている。図形7Cは、対象作業領域内にあることを表す枠部71Bおよび矢印部72Bと、作業状態を表す背景部73Bと、収穫機を表すピクトグラム74Aとを重ね合わせて形成されている。図形7Dは、休止状態を表す枠部71Aおよび矢印部72Aと、休止状態を表す背景部73Aと、収穫機を表すピクトグラム74Aとを重ね合わせて形成されている。図形7Eは、対象作業領域外にあることを表す枠部71Cおよび矢印部72Cと、非作業状態を表す背景部73Aと、収穫機を表すピクトグラム74Aとを重ね合わせて形成されている。図形7Fは、対象作業領域外にあることを表す枠部71Cおよび矢印部72Cと、作業状態を表す背景部73Bと、収穫機を表すピクトグラム74Aとを重ね合わせて形成されている。
【0052】
図形7をこのように形成することによって、利用者は、図形7に対応する作業機械2が、休止状態、非作業状態または作業状態のうちのいずれの状態であるかを容易に識別でき、この作業機械2が対象作業領域の中にあるか否かを容易に識別でき、かつ、この作業機械2の種別を容易に識別することができる。
【0053】
出力部313は、作業機械2に対応して形成した図形7を表す図形情報を、記憶装置32に格納してもよい。
【0054】
出力部313は、合成画像情報を生成するとき、図形7を構成する矢印部72の下端部を基準点として用い、この基準点が地図画像における作業機械2の最新位置を表すように、地図画像の上に図形7を配置する。出力部313は、生成した合成画像情報を記憶装置32に格納してもよい。
【0055】
図5に示すステップS4の後に、ステップS5が実行される。ステップS5において、端末3の演算装置31は作業機械管理プログラム321を実行することによって出力部313の別の機能をさらに実現する。出力部313は、画像を表示する。より具体的には、出力部313は、表示装置332を制御して、ステップS4で生成した合成画像を表示する。言い換えれば、出力部313は、圃場9を含む地域の地図の上に、圃場9の位置および範囲を配置して表示し、さらに、作業機械2の最新位置に対応する位置に図形7を配置して表示する。
【0056】
表示装置332に表示される合成画像の一例として、
図8Aの場合は、非作業状態の第1の作業機械2が、第1の作業機械2による作業が計画されている対象作業領域9Aの中にあることを図形7Bが示している。ここで、道路の輪郭は細い線で示しており、圃場などの輪郭はより太い線で示している。また、非作業状態の第2の作業機械2が圃場ではない領域9Bにあることを図形7Eが示している。図形7Eの傍には、図形7Eに対応する第2の作業機械2の稼働状況に異常が発生している可能性を示す警告表示としての文字列「NG」が追加されて表示されてもよい。利用者は、図形7Eを見ることによって異常が発生している可能性を容易に識別することができ、図形7Eに対応する第2の作業機械2で作業する予定の作業者に確認の連絡を早急に取ることができる。
【0057】
表示装置332に表示される合成画像の別の一例として、
図8Bの場合は、非作業状態の第1の作業機械2が、第1の作業機械2による作業が計画されている対象作業領域9Aの中にあることを、図形7Bが示している。ここで、道路の輪郭は細い線で示しており、対象作業領域9Aは太い線で示しており、その他の圃場9Cなどを中間的な太さの線で示している。また、非作業状態の第2の作業機械2が、対象作業領域ではない圃場9Cの中にあることを図形7Eが示している。図形7Eの傍には、図形7Eに対応する第2の作業機械2の状態に異常が発生している可能性を示す警告表示としての文字列「NG」が追加されて表示されてもよい。利用者は、図形7Eを見ることによって異常が発生している可能性を容易に識別することができ、図形7Eに対応する作業機械2で作業する予定の作業者に確認の連絡を早急に取ることができる。
【0058】
表示装置332に表示される合成画像のさらに別の一例として、
図8Cの場合は、作業状態の第1の作業機械2が、第1の作業機械2による作業が計画されている対象作業領域9Aの中にあり、かつ、作業中であることを図形7Cが示している。ここで、道路の輪郭は細い線で示しており、対象作業領域9Aは太い線で示しており、その他の圃場9Cなどを中間的な太さの実線で示している。また、第2の作業機械2が、第2の作業機械2による作業が計画されていない対象作業領域9Cの中にあり、かつ、作業中であることを図形7Fが示している。図形7Fの傍には、図形7Fに対応する第2の作業機械2の状態に異常が発生している可能性を示す警告表示としての文字列「NG」が追加されて表示されてもよい。利用者は、図形7Fを見ることによって異常が発生している可能性を容易に識別することができ、図形7Fに対応する作業機械2で作業する予定の作業者に確認の連絡を早急に取ることができる。
【0059】
図8A、
図8B、
図8Cの例に示したように、一実施形態によれば、休止状態ではない作業機械2が、圃場9ではない領域にある場合も、対象作業領域ではない圃場9にある場合も、その作業機械2による作業が計画されていない対象作業領域にある場合も、作業機械2の状態に異常が発生している可能性を利用者が容易に識別することができ、その作業機械2で作業する予定の作業者に確認の連絡を早急に取ることができる。
【0060】
表示装置332に表示される合成画像には、圃場9の位置および範囲を表す地図と、作業機械2の最新位置および稼働状況を表す図形7とに加えて、さらなる情報を表す画像または図形を追加で合成してもよい。追加される画像または図形が表す情報の一例として、作業機械2が移動した軌跡や、対象作業領域とその他の圃場9とを区別する輪郭線や、作業計画の内容や、これらの追加情報の表示と非表示を制御するためのインタフェース画像などがある。
【0061】
情報を追加した合成画像の一例として、
図9Aの場合は、地図と図形7に加えてインタフェース画像80が合成画像に追加されている。インタフェース画像80には複数のスイッチが設けられている。これらのスイッチには、利用者が操作することで作業機械2の移動経路の表示と非表示を切り替えることができる第1のスイッチ81が含まれていてもよい。またこれらのスイッチには、利用者が操作することで圃場9を識別する輪郭線の表示と非表示を切り替えることができる第2のスイッチ82が含まれていてもよい。さらに、これらのスイッチには、利用者が操作することで、作業機械2による作業が計画されている対象作業領域とその他の圃場9とを区別する輪郭線の表示と非表示を切り替えることができる第3のスイッチ83が含まれていてもよい。また、対象作業領域の各々での進捗状況を色分けして表示可能にする第4のスイッチ84が含まれていてもよい。更に、これらのスイッチには、利用者が操作することで図形7と、上記の移動経路と、上記の輪郭線との表示と非表示とをまとめて切り替えることができる第5のスイッチ(図にはない)が含まれていてもよい。
【0062】
情報を追加した合成画像の別の一例として、
図9Bの場合は、
図9Aに示した地図と、図形7Bと、インタフェース画像80に加えて、作業機械2が移動した軌跡76A、76B、76Cと、対象作業領域91、92とその他の圃場とを区別するための輪郭線とが表示されている。
【0063】
ここで、作業機械2が移動した軌跡76A、76B、76Cは、第1のスイッチ81が操作されてオン状態になった結果として
図9Bでは表示されている。軌跡76Aは、作業機械2が移動開始地点75から移動を開始し、対象作業領域91の中で移動し、対象作業領域91から出るまでの軌跡を表している。軌跡76Bは、作業機械2が対象作業領域91から出て、道路を移動し、対象作業領域92に入るまでの軌跡を表している。軌跡76Cは、作業機械2が対象作業領域92に入り、対象作業領域92の中で移動している軌跡を表している。図形7Bは、地図の上の、作業機械2の最新位置に対応する位置に配置されている。合成画像には、移動開始地点75の位置を地図の上に示すマークに加えて、この移動開始地点75から移動を開始した移動開始時刻を表す情報をさらに表示してもよい。
【0064】
また、
図9Bでは、対象作業領域91、92を含む対象作業領域の輪郭線と、その他の圃場の輪郭線とが区別されている。
図9Bの例では、前者は実線で、後者は破線でそれぞれ表示されているが、一実施の形態はこの例に限定されず、例えば両者をそれぞれ異なる色で表示してもよい。
【0065】
このように、合成画像にさらなる情報を追加して表示したり、この表示を非表示状態に切り替えたりすることによって、利用者は作業機械2が作業計画に沿って作業を行っているかどうかをより容易に識別することができる。
【0066】
表示装置332には、複数の作業機械2の稼働状況を一覧できる表を表示してもよい。このような表は、
図10に示すように、それぞれの作業機械2について、図形7、作業機械2の識別名、作業機械2を伴走する車両の識別名、作業が予定されている圃場または作業中圃場、当日の作業を開始した作業開始時刻、作業が行われていることが検知された最新の時刻、などが含まれていてもよい。
【0067】
この表において、異常が発生している可能性を、図形7の警戒色などを用いた表示のみならず、異常が発生している可能性があるパラメータに対応するセルを強調表示することで利用者の注意を促してもよい。
【0068】
一例として、ある作業機械2が作業を開始した時刻が、実際の作業開始時刻が予め計画されている作業計画期間から外れている場合には、その作業機械2の識別名を表すセルと、その作業機械2に対応する作業開始時刻を表すセルとを強調表示する。作業計画期間を表す作業計画期間情報は、作業計画情報323に含まれている。
図10の例では、「HV 02」を示すセルと、「AM 07:45」を示すセルとが、ボールド体の文字列と、ハッチングされた背景とによって強調表示されている。
【0069】
別の一例として、ある作業機械2が作業計画で予定されている圃場とは異なる圃場で作業している場合には、その作業機械2の識別名を表すセルと、その作業機械2に対応する作業予定圃場または作業中圃場を表すセルとを強調表示する。
図10の例では、「HV 06」を示すセルと、「field Z」を示すセルとが、ボールド体の文字列と、ハッチングされた背景とによって強調表示されている。
【0070】
図10の例では、セルの強調表示をボールド体の文字列と、ハッチングされた背景とによって実現しているが、一実施の形態はこの例に限定されない。セルの強調表示は、例えば、文字列と背景の色を変えてもよい。
【0071】
このように、一実施の形態によれば、地図上に配置された図形7を用いた表示の他に、表などの表示を行うことによって、表示装置332の単位面積当たりの情報量を増大させるという意味でより容易に作業機械2の稼働状況を識別することができる。
【0072】
(変形例)
上述した実施の形態では、車載端末20の伝達部211がサーバ5の情報取得部511から要求されることなく機械情報を送信する構成例について説明したが、一実施の形態はこの構成に限定されない。別の一例として、伝達部211は、情報取得部511から要求されることによって機械情報の送信を開始してもよい。このとき、
図5のフローチャートのステップS1において、サーバ5の情報取得部511は、まず、機械情報の送信を要求するためのリクエスト信号を車載端末20の伝達部211に向けて送信し、次に、このリクエスト信号に応じて伝達部211が機械情報をサーバ5の情報取得部511に送信する。さらに別の一例として、車載端末20の伝達部211は、サーバ5の情報取得部511からリクエスト信号を受信する前から機械情報を記憶装置220に蓄積しておき、リクエスト信号を受信した後、蓄積された機械情報をサーバ5の情報取得部511に送信してもよい。このとき、サーバ5の情報取得部511は、どの機械情報までを受信したかを表す受信確認信号を車載端末20に送信してもよい。車載端末20の伝達部211は、受信確認信号に応じて、受信された機械情報に続く機械情報だけをサーバ5の情報取得部511に送信してもよい。
【0073】
上述した実施の形態では、圃場9で農作業を行う作業機械2が作業状態であることを、作業機械2に搭載された車載端末20が検知する構成例について説明したが、一実施の形態はこの構成に限定されない。別の一例として、収穫機が圃場9で農作物の収穫を行うときに、トラックが収穫機の傍で伴走して収穫された農作物を積載する場合には、トラックが収穫機の傍で伴走している状態を検知することで収穫機が作業状態であると推定することができる。このような場合には、作業機械2に搭載された車載端末20とトラックに搭載された別の車載端末とが協働して作業機械2が作業状態であることを検知してもよいし、トラックに搭載された別の車載端末が単独で作業機械2が作業状態であることを検知してもよい。言い換えれば、作業機械2が作業状態またはその他の状態であることを検知する車載端末は、作業機械2に搭載されていなくてもよい。
【0074】
上述した実施の形態では、
図5のフローチャートのうち、ステップS1~S3をサーバ5の情報取得部511と判定部512とが実行し、ステップS4、S5を端末3の出力部313が実行する構成について説明したが、一実施の形態はこの例に限定されない。ステップS1において、サーバ5の情報取得部511の機能の一部または全てを端末3の情報取得部311が実現してもよい。ステップS2、S3において、サーバ5の判定部512の機能の一部または全てを端末3の判定部312が実現してもよい。ステップS4、S5において、端末3の出力部313の機能の一部または全てをサーバ5の出力部513が実現してもよい。
【0075】
上述した実施の形態では、
図10に示すように、作業開始時刻を表に表示する構成について説明した。この作業開始時刻は、
図9Bを参照して説明した移動開始時刻であってもよい。反対に、
図9Bに例示した合成画像の地図の上に表示する移動開始時刻を表す情報は、作業開始時刻を表す情報であってもよい。また、この合成画像の地図の上に表示する移動開始時刻を表す情報は、利用者の操作に応じて表示状態と非表示状態とを切り替えられてもよい。
【0076】
以上、発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、実施の形態に説明したそれぞれの特徴は、技術的に矛盾しない範囲で自由に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 作業機械管理システム
2 作業機械
20 車載端末
200 バス
210 演算装置
211 伝達部
220 記憶装置
221 記録媒体
222 伝達プログラム
230 入出力装置
231 通信装置
232 アンテナ
233 測位装置
234 出力装置
235 入力装置
236 検知装置
3 端末
30 バス
31 演算装置
311 情報取得部
312 判定部
313 出力部
32 記憶装置
320 記録媒体
321 作業機械管理プログラム
322 地図情報
323 作業計画情報
33 入出力装置
331 通信装置
332 表示装置
333 入力装置
4 ネットワーク
5 サーバ
50 バス
51 演算装置
511 情報取得部
512 判定部
513 出力部
52 記憶装置
520 記録媒体
521 作業機械管理プログラム
522 地図情報
523 作業計画情報
53 入出力装置
531 通信装置
532 表示装置
533 入力装置
7A、7B、7C、7D、7E、7F 図形
71A、71B、71C 枠部
72A、72B、72C 矢印部
73A、73B 背景部
74A、74B、74C、74D ピクトグラム
75 移動開始地点
76A、76B、76C 軌跡
80 インタフェース画像
81、82、83 スイッチ
9、9A、9C 圃場(対象作業領域)
9B 領域
91、92 対象作業領域