(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022169992
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、端末プログラム、サーバプログラム及び契約書修正支援システム
(51)【国際特許分類】
G06F 40/253 20200101AFI20221102BHJP
G06Q 50/18 20120101ALI20221102BHJP
【FI】
G06F40/253
G06Q50/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075784
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】518001313
【氏名又は名称】デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】森 貴章
(72)【発明者】
【氏名】石川 仁史
(72)【発明者】
【氏名】小林 由里香
【テーマコード(参考)】
5B091
5L049
【Fターム(参考)】
5B091EA01
5B091EA04
5L049CC32
(57)【要約】
【課題】契約書の修正の実績に応じて修正の精度を向上させることができる情報処理装置、情報処理方法、端末プログラム、サーバプログラム及び契約書修正支援システムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザが使用するユーザ端末から、契約書と、契約書に含まれる文言の指定とを受け付ける受付部と、契約書の文言を入力データとしこの文言を修正した修正文言を正解データとする第1データセットを含む学習データにより学習された学習モデルを用いて、指定された文言に対する修正案を生成する生成部と、ユーザ端末に、修正案を表示させる表示部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用するユーザ端末から、契約書と、前記契約書に含まれる文言の指定とを受け付ける受付部と、
契約書の文言を入力データとしこの文言を修正した修正文言を正解データとする第1データセットを含む学習データにより学習された学習モデルを用いて、前記指定された文言に対する修正案を生成する生成部と、
前記ユーザ端末に、前記修正案を表示させる表示部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記受付部は、前記ユーザ端末から、前記契約書の文言を修正した修正文言を受け付け、
前記修正文言に対応する修正前の前記契約書の文言を入力データとし、前記修正文言を正解データとする第2データセットを、前記学習データに反映する第1データ反映部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記契約書は、契約書テンプレートを修正することで作成された文書であって、
前記学習データは、入力データと正解データとを同じ契約書テンプレートの文言とする第3データセットをさらに含む、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受付部は、前記ユーザ端末から、前記表示された修正案を採用する旨を受け付け、
前記採用された前記修正案に対応する前記契約書の文言を入力データとし、前記修正案の文言を正解データとする第4データセットを、前記学習データに反映する第2データ反映部と、
前記契約書に前記採用された修正案を反映する文書反映部と、をさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記受付部は、前記ユーザ端末から、前記契約書の文言の指定と共に、この文言が修正不要な旨を受け付け、
前記修正不要と指定された文言を入力データ及び正解データとする第5データセットを、前記学習データに反映する第3データ反映部をさらに備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記受付部は、前記ユーザ端末から、前記表示された修正案の文言を修正した修正文言を受け付け、
前記修正案に対応する前記契約書の文言を入力データとし、前記修正文言を正解データとする第6データセットを、前記学習データに反映する第4データ反映部をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記ユーザ端末に、前記契約書の文言を修正した修正文言を表示させ、
前記受付部は、前記ユーザ端末から、前記表示された修正文言に対応する前記第2データセットを前記学習データに反映させるか否かの指示を受け付け、
前記第1データ反映部は、前記指示の結果に基づいて、前記第2データセットを前記学習データに反映する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記ユーザ端末に、前記採用された修正案の文言を表示させ、
前記受付部は、前記ユーザ端末から、前記表示された修正案に対応する前記第4データセットを反映させるか否かの指示を受け付け、
前記第2データ反映部は、前記指示の結果に基づいて、前記第4データセットを前記学習データに反映する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記情報処理装置は、前記学習モデルを用いて、前記修正案の確信度を算出する算出部をさらに備え、
前記表示部は、前記確信度に基づいて、前記修正案の表示の有無を含む前記修正案の表示の態様を決定する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
1以上の単語が登録された単語辞書を記憶する辞書記憶部を参照して、前記学習データを用いて前記学習モデルを学習させる学習部をさらに備え、
前記単語辞書は、前記ユーザの種別又は前記契約書の種別の少なくともいずれか毎に登録されている単一語であって複数の単語を組み合わせた単一語が登録されている、
請求項1から9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
コンピュータが、
ユーザが使用するユーザ端末から、契約書と、前記契約書に含まれる文言の指定とを受け付け、
契約書の文言を入力データとしこの文言を修正した修正文言を正解データとする第1データセットを含む学習データにより学習された学習モデルを用いて、前記指定された文言に対する修正案を生成し、
前記ユーザ端末に、前記修正案を表示させる、
情報処理方法。
【請求項12】
ユーザが使用するユーザ端末に、
前記ユーザから、契約書と、前記契約書に含まれる文言の指定とを受け付ける端末受付機能と、
契約書の文言を入力データとしこの文言を修正した修正文言を正解データとする第1データセットを含む学習データを用いて学習された学習モデルを記憶する端末記憶機能と、
前記指定された文言を前記学習モデルに入力して、前記文言に対する修正案を生成する生成機能と、
前記修正案を表示する端末表示機能と、を実現する、
端末プログラム。
【請求項13】
ユーザが使用するユーザ端末と通信可能に接続されたサーバ装置に、
前記ユーザ端末から、契約書と、前記契約書に含まれる文言の指定とを受け付ける受付機能と、
契約書の文言を入力データとしこの文言を修正した修正文言を正解データとする第1データセットを含む学習データを用いて学習された学習モデルを記憶する記憶機能と、
前記指定された文言を前記学習モデルに入力して、前記文言に対する修正案を生成する生成機能と、
前記ユーザ端末に、前記修正案を表示させる表示機能と、を実現する、
サーバプログラム。
【請求項14】
ユーザが使用するユーザ端末と、前記ユーザ端末と通信可能に接続されたサーバ装置と、を含む契約書修正支援システムであって、
前記ユーザ端末は、
前記ユーザから、契約書と、前記契約書に含まれる文言の指定とを受け付ける端末受付部と、
前記契約書と前記文言の指定とを前記端末受付部が受け付けた場合、前記サーバ装置に、前記指定された文言を送信する端末送信部と、を備え、
前記サーバ装置は、
前記ユーザ端末から、前記送信された文言を受信する受信部と、
契約書の文言を入力データとしこの文言を修正した修正文言を正解データとする第1データセットを含む学習データにより学習された学習モデルを記憶するモデル記憶部と、
前記受信した文言を前記学習モデルに入力して、前記文言に対する修正案を生成する生成部と、
前記ユーザ端末に、前記修正案を送信する送信部と、を備え、
前記ユーザ端末は、前記修正案を受信する端末受信部と、前記修正案を表示する端末表示部と、を備える、
契約書修正支援システム。
【請求項15】
前記端末受付部は、前記ユーザから、前記文言の指定と共に、前記文言が修正不要の指定を受け付け、
前記端末送信部は、前記文言の指定を前記端末受付部が受け付けた場合であっても、前記修正不要と指定された文言は前記サーバ装置に送信しない、
請求項14に記載された契約書修正支援システム。
【請求項16】
前記ユーザ端末は、前記契約書のテンプレートを記憶する端末記憶部を参照して、前記指定された文言と、前記文言に対応する前記テンプレートの文言とが一致するか否かを判定する判定部をさらに備え、
前記端末送信部は、前記文言の指定を前記端末受付部が受け付けた場合であっても、前記判定部により前記指定された文言と前記テンプレートの文言とが一致すると判定された場合には、前記指定された文言を前記サーバ装置に送信しない、
請求項15に記載された契約書修正支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、端末プログラム、サーバプログラム及び契約書修正支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、契約書の修正を支援する技術が知られている。例えば、特許文献1には、契約書にて用いられる条項間の関連性を規律するルールに従って、契約書の修正処理(校正処理)を行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、契約書の修正の実績が増えれば増えるほど、それに伴い契約書の修正の精度を向上させていきたいというニーズがある。しかしながら、特許文献1の技術では、ルールベースでの修正処理のため、その処理実績が増えても契約書の修正の精度を向上させることが難しいという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、契約書の修正の実績に応じて修正の精度を向上させることができる情報処理装置、情報処理方法、端末プログラム、サーバプログラム及び契約書修正支援システムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、ユーザが使用するユーザ端末から、契約書と、契約書に含まれる文言の指定とを受け付ける受付部と、契約書の文言を入力データとしこの文言を修正した修正文言を正解データとする第1データセットを含む学習データにより学習された学習モデルを用いて、指定された文言に対する修正案を生成する生成部と、ユーザ端末に、修正案を表示させる表示部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、ユーザが使用するユーザ端末から、契約書と、契約書に含まれる文言の指定とを受け付け、契約書の文言を入力データとしこの文言を修正した修正文言を正解データとする第1データセットを含む学習データにより学習された学習モデルを用いて、指定された文言に対する修正案を生成し、ユーザ端末に、修正案を表示させる。
【0008】
本発明の一態様に係る端末プログラムは、ユーザが使用するユーザ端末に、ユーザから、契約書と、契約書に含まれる文言の指定とを受け付ける端末受付機能と、契約書の文言を入力データとしこの文言を修正した修正文言を正解データとする第1データセットを含む学習データを用いて学習された学習モデルを記憶する端末記憶機能と、指定された文言を学習モデルに入力して、文言に対する修正案を生成する生成機能と、修正案を表示する端末表示機能と、を実現する。
【0009】
本発明の一態様に係るサーバプログラムは、ユーザが使用するユーザ端末と通信可能に接続されたサーバ装置に、ユーザ端末から、契約書と、契約書に含まれる文言の指定とを受け付ける受付機能と、契約書の文言を入力データとしこの文言を修正した修正文言を正解データとする第1データセットを含む学習データを用いて学習された学習モデルを記憶する記憶機能と、指定された文言を学習モデルに入力して、文言に対する修正案を生成する生成機能と、ユーザ端末に、修正案を表示させる表示機能と、を実現する。
【0010】
本発明の一態様に係る契約書修正支援システムは、ユーザが使用するユーザ端末と、ユーザ端末と通信可能に接続されたサーバ装置と、を含む契約書修正支援システムであって、ユーザ端末は、ユーザから、契約書と、契約書に含まれる文言の指定とを受け付ける端末受付部と、契約書と文言の指定とを端末受付部が受け付けた場合、サーバ装置に、指定された文言を送信する端末送信部と、を備え、サーバ装置は、ユーザ端末から、送信された文言を受信する受信部と、契約書の文言を入力データとしこの文言を修正した修正文言を正解データとする第1データセットを含む学習データにより学習された学習モデルを記憶するモデル記憶部と、受信した文言を学習モデルに入力して、文言に対する修正案を生成する生成部と、ユーザ端末に、修正案を送信する送信部と、を備え、ユーザ端末は、修正案を受信する端末受信部と、修正案を表示する端末表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、契約書の修正の実績に応じて修正の精度を向上させることができる情報処理装置、情報処理方法、端末プログラム、サーバプログラム及び契約書修正支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る契約書修正支援システムのシステム構成例を説明するための図である。
【
図2】本実施形態に係る契約書修正支援システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係るサーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る契約書修正支援システムの確信度の算出方法の一例を説明するための図である。
【
図5】本実施形態に係るユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る契約書修正支援システムの画面例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る契約書修正支援システムの画面例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る契約書修正支援システムの画面例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る契約書修正支援システムの動作例を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る契約書修正支援システムの動作例を示す図である。
【
図11】本実施形態に係るサーバ装置及びユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図12】本実施形態に係る契約書修正支援システムの学習モデル及び学習データの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0014】
本実施形態では、本実施形態に係る契約書修正支援システム1を利用して、企業の法務部担当者等のユーザが、この企業の取引先(以下、単に「取引先」ともいう)等から受領した契約書に対して修正を行う例を説明する。但し、本発明をこの例に限る趣旨ではない。この「取引先等から受領した契約書」とは、例えば、契約書のテンプレート(以下、「契約書テンプレート」ともいう)を取引先が修正することで作成された文書である。また、契約書は、例えば、先ずこの企業の営業担当者が契約書テンプレートを修正して契約書のドラフトを作成し、この作成したドラフトを取引先が修正した文書であってもよい。契約書修正支援システム1は、例えば、このように契約書テンプレートを修正して作成された契約書以外の契約書にも利用可能である。なお、契約書テンプレートは、複数存在してもよく、例えば、ユーザの種別又は契約書の種別の少なくともいずれか毎に存在してもよい。ここで「ユーザの種別」とは、特定の種類によってユーザを区別するものであって、例えば、ユーザが所属する組織(例えば、企業や組合等)、部門等である。また、ここで「契約書の種別」とは、特定の種類によって契約書を区別するものであって、例えば、業務委託契約書や秘密保持契約書(NDA)、売買契約書等である。また、契約書テンプレートは、例えば、ユーザが所属する組織ごと、かつ組織の取引先ごとに存在してもよい。
【0015】
<1.システム構成>
図1を参照して、本実施形態に係る契約書修正支援システム1のシステム構成例を説明する。
【0016】
契約書修正支援システム1は、自然言語処理の技術を用いて、ユーザに、契約書の修正を支援するサービス(以下、「修正支援サービス」ともいう)を提供するためのシステムである。
図1に示すように、契約書修正支援システム1は、修正支援サービスを提供する者が使用するサーバ装置100と、ユーザが使用するユーザ端末200と、とを含む。サーバ装置100とユーザ端末200とは、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続されている。なお、本実施形態では、「契約書」と「契約書ファイル」とは同義に用いる。契約書は、種々の文書作成ソフトのファイル形式にて保存される。文書作成ソフトの一例として、一般的なところでは、Adobe社のAdobe Acrobat(PDF)、又はマイクロソフト社のWord(登録商標)等がある。
【0017】
ネットワークNは、無線ネットワークや有線ネットワークにより構成される。ネットワークNの一例としては、携帯電話網や、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN(Local Area Network)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiMax(登録商標)、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、電話線、電灯線ネットワーク、IEEE1394等に準拠したネットワークがある。
【0018】
サーバ装置100は、修正支援サービスを提供するための情報処理装置である。サーバ装置100は、所定のプログラム(サーバプログラム)を実行することにより、ユーザからの各種要求や各種指定に応じて、契約書を修正するための各種機能を提供するサーバ機能を実現する。
【0019】
ユーザ端末200は、ユーザが使用する情報処理装置である。ユーザ端末200は、例えば、スマートフォンやラップトップ等の端末である。ユーザ端末200は、所定のソフト(例えば、文書作成ソフト等)をインストールして動作させたり、サーバ装置100との通信を行ったりすることが可能である。ユーザ端末200は、所定のプログラムを実行することにより、サーバ装置100と連携して契約書を修正するための画面に関する情報(以下、「表示情報」ともいう)を送受信したり、この画面を表示したり、ユーザからの指定入力を受け付けたりする。本実施形態では、所定のプログラムを契約書修正支援システム1専用の端末側のプログラム(以下、「端末プログラム」ともいう)とする例を説明する。さらに、本実施形態では、端末プログラムを、ユーザ端末200にインストールされている文書作成ソフトのアドイン(Add-in)とする例を説明する。
【0020】
<2.概要>
図2を参照して、契約書修正支援システム1の概要を説明する。
【0021】
(1)
図2に示すように、契約書修正支援システム1では、先ず、ユーザが、取引先等から受領した契約書を、端末プログラムがアドインされた文書作成ソフトで表示させる(開く)。ユーザは、文書作成ソフトに表示された契約書に含まれる文言に対して、修正対象の文言を指定する。
【0022】
(2)次に、ユーザは、修正対象の文言が指定された状態で、修正案表示ボタンを指定する。この「修正案表示ボタン」は、指定された契約書の文言の修正案を要求するためのボタンである。修正案表示ボタンの詳細は後述する。
【0023】
(3)次に、上記(2)のとおり修正案表示ボタンが指定された場合、契約書修正支援システム1は、学習モデルを用いて、上記(1)で指定された文言に対する修正案を生成する。そして、契約書修正支援システム1は、生成した修正案をユーザ端末200に表示させる。ここで「学習モデル」とは、第1データセットを含む学習データ(教師データ)により学習されたモデルである。ここで「第1データセット」とは、契約書の文言を入力データとし、この文言を修正した修正文言を正解データとするデータセットである。学習モデルの詳細は後述する。
【0024】
(4)次に、上記(3)で表示された修正案を契約書に反映させる指定をユーザがすると、契約書修正支援システム1は、文書作成ソフトに表示された契約書にこの修正案を反映させる。
【0025】
上記構成のもと、契約書修正支援システム1は、契約書の文言と、この文言を修正した修正文言と、をセットとした学習データにより学習された学習モデルを用いて、契約書の修正案をユーザに提供する。この学習モデルは、契約書の修正の実績が増えれば増えるほど学習データの量が増えて、その性能が高められる。したがって、契約書修正支援システム1は、契約書の修正の実績に応じて修正の精度を向上させることができる。
【0026】
<3.機能構成>
<3-1.サーバ装置の機能構成>
図3を参照して、本実施形態に係るサーバ装置100の機能構成を説明する。
図3に示すように、サーバ装置100は、制御部110と、通信部120と、記憶部130と、を備える。
【0027】
[制御部]
制御部110は、受付部111と、学習部112と、生成部113と、表示部114と、を備える。また、制御部110は、例えば、文書反映部115を備えてもよい。
【0028】
[受付部]
受付部111は、ユーザ端末200から、各種要求や各種指定を受け付ける。受付部111は、例えば、契約書と、この契約書に含まれる文言の指定とを受け付ける。受付部111は、例えば、文書作成ソフトに表示された契約書の文言をユーザが指定して修正案を要求した際、後述するユーザ端末200の端末受付部211から、この要求として、この表示された契約書と指定された文言とを受信する。この「表示された契約書と指定された文言」とは、具体的には、表示された契約書の属性情報と指定された文言の文字列とであってもよい。
【0029】
「契約書の属性情報」とは、例えば、各契約書を識別するための識別情報(例えば、契約名、契約書のファイル名又はID等)、契約書の種別、契約者に関する情報等を含む。また、この「契約者に関する情報(以下、「契約者情報」ともいう)」とは、例えば、契約書に記載する当事者(「甲」「乙」等)の属性情報であり、当事者を識別するための識別情報、当事者の事業内容、事業規模、事業形態、又は資本状況等を含む。
【0030】
受付部111は、例えば、ユーザ端末200から、契約書の文言を修正した修正文言を受け付けてもよい。受付部111は、例えば、文書作成ソフトに表示されている契約書の文言をユーザが修正した場合、ユーザ端末200の端末受付部211から、この契約書の文言を修正した修正文言を受信する。
【0031】
受付部111は、例えば、ユーザ端末200から、後述の表示部114により表示された修正案を採用する旨を受け付けてもよい。受付部111は、例えば、後述する
図7に示す修正案表示画面A2に表示された修正案反映ボタンa22をユーザが指定した際に、ユーザ端末200の端末受付部211から、修正案表示画面A2に表示された修正案を採用する旨を受信してもよい。
【0032】
受付部111は、例えば、ユーザ端末200から、契約書の文言の指定と共に、この文言が修正不要な旨を受け付けてもよい。
【0033】
受付部111は、例えば、表示部114により表示された下記(ア)~(エ)の文言の中から、学習データに反映させるデータセットに対応する文言の指定を受け付けてもよい。受付部111は、例えば、ユーザ端末200から、表示部114により表示された下記(ア)の修正文言に対応する第2データセットを学習データに反映させるか否かの指示を受け付けてもよい。また、受付部111は、例えば、ユーザ端末200から、表示部114により表示された下記(イ)の修正案に対応する第4データセットを反映させるか否かの指示を受け付けてもよい。
【0034】
[学習部]
学習部112は、学習データを用いて学習モデルを学習させる。学習モデルは、機械学習の手法により学習されたモデルである。学習モデルは、典型的にはディープラーニング(深層学習)の手法により学習されたモデルであるが、これに限定されない。学習モデルは、例えば、SVM(Support Vector Machine)や決定木等の他のアルゴリズムを利用したモデルであってもよい。
【0035】
学習モデルは、例えば、ディープラーニングの手法を用いたモデルとして、再帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)であってもよい。また、学習モデルは、例えば、RNNのうち、長期の時系列を考慮することができるLSTM(Long Short-Term Memory)であってもよい。また、学習モデルは、例えば、エンコーダやデコーダにRNNを利用したseq2seq(sequence-to-sequence)モデルであってもよく、さらに、アテンション機構(Attention mechanism)を備えてもよい。
【0036】
学習データは、例えば、第1データセットの他に、以下の第2~6データセットの少なくともいずれかを含んでもよい。
・第2データセット:ユーザが修正した修正文言に対応する修正前の契約書の文言を入力データとし、この修正文言を正解データとするデータセット
・第3データセット:入力データと正解データとを同じ契約書テンプレートの文言とするデータセット(この場合、対象の契約書は、契約書テンプレートを修正することで作成された文書とする)
・第4データセット:ユーザに採用された修正案に対応する契約書の文言を入力データとし、この修正案の文言を正解データとするデータセット
・第5データセット:ユーザに修正不要と指定された契約書の文言を入力データ及び正解データとするデータセット
・第6データセット:表示された修正案に対応する契約書の文言を入力データとし、表示された修正案をユーザが修正した修正文言を正解データとするデータセット
【0037】
例えば、契約書の修正においては、契約書テンプレートからの修正が無い状態も正解となりうるケースがある。上記構成によれば、入力データと正解データとを同じ契約書テンプレートの文言とする第3データセットを学習データに反映することで、このようなケースを再現させたデータセットで学習モデルを学習させることができる。
【0038】
学習部112は、例えば、学習の際、学習モデルから出力された修正案に対してその精度を評価してもよい。学習部112は、例えば、学習モデルから出力された修正案と正解データとに基づいて、修正案のBLEUスコアを算出してもよい。
【0039】
[データ反映部]
学習部112は、データ反映部1121を含む。データ反映部1121は、ユーザによる手動又は自動(所定条件を満たした場合等)で、第1~6データセットそれぞれを学習データに反映させる。
【0040】
データ反映部1121は、例えば、第1データ反映部1121aを含んでもよい。第1データ反映部1121aは、契約書の文言をユーザが自ら修正した場合、このユーザが修正した修正文言に対応する修正前の契約書の文言を入力データとし、この修正文言を正解データとする第2データセットを、学習データに反映する。
【0041】
第1データ反映部1121aは、例えば、以下のとおり、契約書の文言を入力データとしてユーザによる修正文言を正解データとする第2データセットを、学習データに反映する。
・入力データ:契約書の文言「本契約に関して訴訟の必要が生じた場合、名古屋地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。」
・正解データ:ユーザが上記契約書の文言を修正した修正文言「本契約に関して訴訟の必要が生じた場合、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。」(第一審の専属的合意管轄裁判所を「名古屋地方裁判所」から「東京地方裁判所」にユーザが修正)
【0042】
上記構成のもと、第1データ反映部1121aは、契約書の文言をユーザが修正すると、その修正内容を学習データとして反映することができる。このため、第1データ反映部1121aは、ユーザによる契約書の修正の実績が増えれば増えるほど、学習モデルの精度を向上させることができる。また、第1データ反映部1121aは、学習データを効率的に蓄積させることができ、ひいては学習モデルの精度の向上を効率的に図ることができる。
【0043】
第1データ反映部1121aは、例えば、第2データセットを学習データに反映させるか否かのユーザの指示の結果に基づいて、第2データセットを学習データに反映してもよい。第1データ反映部1121aは、例えば、第2データセットを学習データに反映させるユーザの指示を受付部111が受け付けた場合、この第2データセットを学習データに反映させる。他方、第1データ反映部1121aは、例えば、第2データセットを学習データに反映させないとするユーザの指示を受付部111が受け付けた場合、この第2データセットを学習データに反映させない。
【0044】
上記構成のもと、第1データ反映部1121aは、学習データ、ひいては学習モデルに対してユーザの意向を反映することができる。例えば、特殊な契約等における例外的な修正をユーザが行った場合、一般的な契約書にはこの修正を適用したくないという場合もある。このような場合において、第1データ反映部1121aは、ユーザの指示に応じて、例外的な修正を学習モデルに学習させないようにすることもできる。
【0045】
データ反映部1121は、例えば、第2データ反映部1121bを含んでもよい。第2データ反映部1121bは、ユーザに採用された修正案に対応する契約書の文言を入力データとし、この採用された修正案の文言を正解データとする第4データセットを、学習データに反映する。
【0046】
上記構成のもと、第2データ反映部1121bは、生成部113により生成された修正案により契約書の文言が修正されると、その修正案の内容を学習データとして反映することができる。このため、第2データ反映部1121bは、修正案による契約書の修正の実績が増えれば増えるほど、学習モデルの精度を向上させることができる。また、第2データ反映部1121bは、学習データを効率的に蓄積させることができ、ひいては学習モデルの精度の向上を効率的に図ることができる。
【0047】
第2データ反映部1121bは、例えば、受付部111が受け付けた第4データセットを学習データに反映させるか否かのユーザの指示の結果に基づいて、第4データセットを学習データに反映してもよい。
【0048】
上記構成のもと、第2データ反映部1121bは、学習データ、ひいては学習モデルに対してユーザの意向を反映することができる。例えば、特殊な契約等における例外的な修正案を生成部113が生成した場合、一般的な契約書にはこの例外的な修正案を適用したくないという場合もある。また、生成部113が生成した修正案が妥当ではない場合もある。これらのような場合において、第2データ反映部1121bは、ユーザの指示に応じて、この例外的な修正案や妥当ではない修正案を学習モデルに学習させないようにすることもできる。
【0049】
データ反映部1121は、例えば、第3データ反映部1121cを含んでもよい。第3データ反映部1121cは、修正不要と指定された契約書の文言を入力データ及び正解データとする第5データセットを、学習データに反映する。
【0050】
例えば、取引先から受領した契約書を法務部員のユーザがレビューした結果、この契約書の文言に対して修正が無い状態も正解となりうるケースがある。上記構成のもと、第3データ反映部1121cは、入力データと正解データとを同じ契約書の文言とする第5データセットを学習データに反映することで、このようなケースを再現させたデータセットを学習データにフィードバックさせることができる。
【0051】
データ反映部1121は、例えば、第4データ反映部1121dを含んでもよい。第4データ反映部1121dは、修正案に対応する契約書の文言を入力データとし、この修正案の文言を修正した修正文言を正解データとする第6データセットを、学習データに反映する。
【0052】
上記構成のもと、第4データ反映部1121dは、修正案の誤り等を訂正した形で学習データにフィードバックすることができる。例えば、学習モデルがニューラルネットワークを用いたモデルの場合、第4データ反映部1121dは、第6データセットを、この学習モデルを学習させる際のバックプロパゲーション(誤差伝播法)に活用させることができる。
[生成部]
生成部113は、学習部112により学習された学習モデルを用いて、ユーザに指定された契約書の文言に対する修正案を生成する。生成部113は、例えば、先ず、ユーザに指定された文言に対して形態素解析等の自然言語処理を行い、単語や句等の単位に分割する。生成部113は、例えば、単語辞書を記憶する辞書記憶部131を参照して、この単語辞書に従って単語等の単位にこの文言を分割してもよい。生成部113は、このように指定された文言を単語等の所定の単位に分割してから学習モデル(入力層)に入力して、指定された文言に対する修正案を学習モデルに出力させてもよい。
【0053】
[算出部]
生成部113は、例えば、算出部1131を備えてもよい。算出部1131は、学習モデルを用いて、修正案の確信度を算出する。この「修正案の確信度」とは、修正案の確からしさを示す度合いである。算出部1131は、例えば、修正案の確信度として、修正案の文言に含まれる各単語の確信度を統計処理した統計値を算出してもよい。統計値とは、例えば、平均値又は中央値、最頻値等である。各単語の確信度は、例えば、単語位置における各単語の生成確率(出現確率)の分布等であってもよい。各単語の確信度は、例えば、i番目の単語とj番目の単語の共起確率であってもよい。また、修正案の確信度は、例えば、学習の際に学習部112により算出された、契約書ごと、又は条文ごと若しくは条項ごとの修正案のBLEUスコアの統計値であってもよい。
【0054】
ここで
図4を参照して、本実施形態に係る修正案の確信度の算出方法の一例を説明する。本例では、学習モデルにseq2seqモデルを用いて、修正案に含まれる各単語の確信度として生成確率(単位は%)を算出する例を説明する。
【0055】
図4に示すように、算出部1131は、修正案の出力の際に、各単語の確信度を算出する。例えば、算出部1131は、入力データとして契約書の文言を学習モデルに入力した場合、冒頭の単語位置における単語の生成確率の分布を算出し、確率最大(90%)の単語である「甲」を出力させる。次に、算出部1131は、この出力された「甲」を学習モデル(隠れ層)に入力して、次の単語位置における単語の生成確率の分布を算出し、確率最大(93%)の単語である「は」を出力させる。次に、算出部1131は、この出力された「は」を学習モデルに入力して、さらに次の単語位置における単語の生成確率の分布を算出し、確率最大(80%)の単語である「以下」を出力させる。算出部1131は、学習モデルにより、このように各単語位置における単語の生成確率の分布を算出し、確率最大となる単語をその生成確率と併せて出力させることができる。
【0056】
[表示部]
図3に戻って説明を続ける。表示部114は、ユーザ端末200に、生成部113により生成された修正案を表示させる。表示部114は、例えば、
図7で示す修正案表示画面A2を表示するための表示情報を生成する。表示部114は、この生成した表示情報をユーザ端末200の端末表示部213に送信して、ユーザ端末200に修正案表示画面A2を表示させる。
【0057】
上記構成のもと、表示部114は、契約書の文言と、この文言を修正した修正文言と、をセットとした学習データで学習された学習モデルによる契約書の修正案を、ユーザに提示することができる。この学習モデルは、契約書の修正の実績が増えれば増えるほど学習データの量が増えて、その性能が高められる。このため、表示部114は、契約書の修正の実績に応じて精度を向上させた修正案をユーザに提示することができる。
【0058】
表示部114は、例えば、ユーザ端末200に、(ア)契約書の文言をユーザが修正した修正文言、(イ)ユーザに採用された修正案の文言、(ウ)ユーザに修正不要と指定された文言、又は、(エ)修正案の文言をユーザが修正した修正文言、の少なくともいずれかを表示させてもよい。また、表示部114は、例えば、ユーザ端末200に、学習データに反映させるデータセットの候補リスト(以下、単に「反映候補リスト」ともいう)として、これら(ア)~(エ)のいずれかの文言を含むリストを表示させてもよい。
【0059】
表示部114は、例えば、算出部1131により算出された修正案の確信度に基づいて、修正案の表示の態様を決定してもよい。この「修正案の表示の態様」とは、例えば、修正案の表示の有無、各文言や各単語の強調表示(例えば、フォントを太字にしたり下線をひいたり等)の有無、各文言や各単語の文字色又は背景色の設定、確信度の表示の有無、等を含む。
【0060】
表示部114は、例えば、ユーザ端末200に、算出部1131により算出された修正案に含まれる単語の確信度の統計値を、修正案と併せて表示させてもよい。また、表示部114は、例えば、修正案の確信度に対する第1閾値を設定し、修正案の確信度が第1閾値より小さい場合は、修正案の表示の態様として、この修正案を表示させないと決定してもよい。表示部114は、例えば、このようにユーザから指定された文言に対して修正案を表示させない場合、代わりにその旨のメッセージ(例えば、「お勧めする修正案はありません。」等)をユーザ端末200に表示させてもよい。また、表示部114は、修正案に含まれる各単語の確信度それぞれに対する第2閾値を設定し、単語の確信度が第2閾値より小さい場合は、この単語を要確認ワードとしてユーザに注意喚起するために、この単語の表示の態様を強調表示有りと決定してもよい。
【0061】
上記構成のもと、表示部114は、ユーザに、修正案の確からしさや確からしさに基づく要確認ワードを提示することができる。このため、表示部114は、ユーザに、修正案を反映するか否か、また修正案をさらに修正すべきか否か等を判断するための材料として、この修正案の確からしさや要確認ワード等を提供することができる。
【0062】
[文書反映部]
文書反映部115は、受付部111が受け付けた契約書に、ユーザに採用された修正案を反映する。文書反映部115は、例えば、ユーザ端末200に表示された修正案をユーザが採用した場合、ユーザ端末200の端末文書反映部212又は文書作成ソフトに対して、文書作成ソフトで表示されている契約書に対してこの修正案を反映するよう指示する。端末文書反映部212又は文書作成ソフトは、サーバ装置100からこの指示を受け付けると、表示されている契約書にこの修正案を反映させる。このような構成によれば、文書反映部115は、修正の実績に応じて精度を向上させた修正案を、契約書に反映させることができる。
【0063】
[通信部]
通信部120は、ネットワークNを介して、表示情報を含む各種情報をユーザ端末200等と送受信する。通信部120は、例えば、ネットワークNを介して、契約書に関する情報や画面に入力された情報をユーザ端末200から受信したり、各種画面を表示させるための表示情報をユーザ端末200に送信したりする。通信部120は、送信部121と、受信部122と、を備える。送信部121は、例えば、ユーザ端末200に、修正案を送信する。受信部122は、例えば、ユーザ端末200から送信された文言、例えば、ユーザから指定された契約書に含まれる文言を受信する。
【0064】
[記憶部]
記憶部130は、学習モデルや学習データ、契約書テンプレート、表示情報、ナレッジ情報等を記憶する。また、記憶部130は、例えば、ユーザ情報と契約書テンプレートとを関連付けて記憶してもよい。記憶部130は、データベースマネジメントシステム(DBMS)を利用して各情報を記憶してもよいし、ファイルシステムを利用して各情報を記憶してもよい。DBMSを利用する場合は、上記情報ごとにテーブルを設けて、当該テーブル間を関連付けて各情報を管理してもよい。
【0065】
「ユーザ情報」とは、ユーザに関する情報である。ユーザ情報は、例えば、ユーザを識別するための識別情報(例えば、ユーザの氏名やID等)、又はユーザの種別等を含んでもよい。例えば、ユーザが契約者の場合、契約者情報の全部又は一部をユーザ情報としてもよい。
【0066】
記憶部130は、例えば、辞書記憶部131を備えてもよい。辞書記憶部131は、1以上の単語が登録された単語辞書を記憶する。また、この単語辞書は、例えば、複数の単語を組み合わせた単一語が登録されていてもよい。この単一語は、例えば、ユーザの種別又は契約書の種別の少なくともいずれか毎に登録されていてもよい。例えば、「対象会社」という文言について、一般的には、「対象」と「会社」というように複数の単語に単語分割されるが、この単語辞書には、契約書で一般に使用される「対象会社」とする単一語として登録されていてもよい。また、この単語辞書には、ユーザの種別として企業毎に、契約書で使用される複数の単語を組み合わせた句を、単一語として登録されていてもよい。
【0067】
上記構成によれば、単語分割の処理において本来分割すべきでない複数の単語からなる単一語を分割されないようにすることができる。このため、より実態に即した精度の高い学習モデルの構築を支援することができる。
【0068】
記憶部130は、例えば、モデル記憶部132を備えてもよい。モデル記憶部132は、学習モデルを記憶する。また、記憶部130は、例えば、学習データ記憶部133を備えてもよい。学習データ記憶部133は、学習データを記憶する。
【0069】
<3-2.ユーザ端末の機能構成>
図5を参照して、本実施形態に係るユーザ端末200の機能構成を説明する。
図5に示すように、ユーザ端末200は、端末制御部210と、端末通信部220と、端末記憶部230と、を備える。
【0070】
[端末制御部]
端末制御部210は、端末受付部211と、端末文書反映部212と、端末表示部213と、を備える。また、端末制御部210は、例えば、判定部214を備えてもよい。
【0071】
[端末受付部]
端末受付部211は、ユーザから、契約書と、契約書に含まれる文言の指定とを受け付ける。端末受付部211は、文書作成ソフトに表示された契約書の文言をユーザが指定して修正案を要求した際、この要求として、この表示された契約書と指定された文言とを受け付ける。端末受付部211は、例えば、ユーザが指定するカーソル位置の文字列を、指定された文言として受け付けてもよい。なお、この指定対象とする文言の単位は、ユーザにより任意に指定された1以上の文言であってもよいし、指定された文言を含む文、条項、又は条文等であってもよい。
【0072】
端末受付部211は、例えば、ユーザから、契約書に含まれる文言の指定と共に、この文言が修正不要な旨を受け付けてもよい。
【0073】
端末受付部211は、例えば、ユーザから、契約書の文言を修正した修正文言を受け付けてもよい。端末受付部211は、例えば、契約書テンプレート又は前のバージョンの契約書からの修正箇所(差分)を抽出し、この抽出した修正箇所をこのユーザによる修正文言として受け付けてもよい。この「前のバージョン」とは、例えば、一つ前のバージョンであってもよいし、前のバージョンのうち文書作成ソフトにおける異なるユーザ(例えば、取引先のユーザ等)により保存された最新のバージョンであってもよい。
【0074】
端末記憶部230に記憶されている契約書テンプレートの文言のうちユーザに指定された文言に対応する文言を抽出する方法として、端末受付部211は、例えば、指定された文言と契約書テンプレートの文言との類似度を算出してもよい。端末表示部213は、この算出した類似度が最大となる契約書テンプレートの文言を抽出して、この抽出した文言と指定された文言との差分を修正箇所として抽出してもよい。なお、この文言の抽出の単位は、条文ごと又は条項ごとであってもよい。
【0075】
端末受付部211は、例えば、ユーザから、ナレッジ情報を受け付けてもよい。ここで「ナレッジ情報」とは、契約書に関するナレッジを示す情報である。この「契約書に関するナレッジ」とは、契約書に関するユーザの知見を蓄積したものであり、例えば、契約書の各条文の意図や取引先による契約書の修正に対するカウンター修正をする際の指針やノウハウをまとめたものであってもよい。ナレッジ情報は、例えば、契約書の種別又は条文別の少なくともいずれか毎に登録されていてもよい。
【0076】
[端末文書反映部]
端末文書反映部212は、ユーザが指定した契約書に、このユーザに採用された修正案を反映する。端末文書反映部212は、例えば、修正案の反映要求を端末受付部211がユーザから受け付けると、文書作成ソフトで表示されている契約書の文言のうちユーザに指定された文言に対してこの修正案を反映する。端末文書反映部212は、具体的には、契約書から指定された文言を削除して、その代わりに修正案の文言をこの契約書に記入する。他の例として、端末文書反映部212は、修正案の反映要求を端末受付部211がユーザから受け付けると、指定された文言を削除してその代わりに修正案の文言をこの契約書に記入するよう文書作成ソフトに指示してもよい。
【0077】
[端末表示部]
端末表示部213は、ユーザ端末200に、サーバ装置100から端末受付部211が修正案を受け付けると、この修正案を表示する。また、端末表示部213は、例えば、ユーザが契約書の文言を指定した場合、この指定した文言に対応するナレッジ情報を表示してもよい。端末記憶部230に記憶されているナレッジ情報のうちユーザに指定された文言に対応するナレッジ情報を抽出する方法として、端末表示部213は、例えば、指定された文言と契約書テンプレートの各条文の文言との類似度を算出してもよい。端末表示部213は、この算出した類似度が最大となる条文のナレッジ情報を抽出して、ユーザ端末200に表示してもよい。端末表示部213は、例えば、ユーザが指定した文言が契約書の第22条に含まれる文言の場合、第22条に対応するナレッジ情報を表示してもよい。
【0078】
[判定部]
判定部214は、契約書に含まれる文言のうちユーザに指定された文言における修正の有無を判定する。判定部214は、例えば、契約書テンプレートを記憶する端末記憶部230を参照して、ユーザに指定された契約書の文言と、この文言に対応する契約書テンプレートの文言とが一致するか否かを判定する。判定部214は、例えば、これらの文言が一致すると判定した場合には修正無しと判定し、他方、一致しないと判定した場合には修正有りと判定してもよい。
【0079】
端末記憶部230に記憶されている契約書テンプレートの文言の中からユーザに指定された文言に対応する文言を判定部214が参照するにあたって、例えば、上記の端末受付部211による抽出方法と同様に、指定された文言と契約書テンプレートの文言との類似度に基づいて該当する契約書テンプレートの文言を抽出して参照してもよい。
【0080】
[端末通信部]
端末通信部220は、ネットワークNを介して、表示情報を含む各種情報をサーバ装置100等と送受信する。
【0081】
端末通信部220は、端末送信部221を備える。端末送信部221は、例えば、契約書と契約書に含まれる文言の指定とを端末受付部211が受け付けた場合、ネットワークNを介して、この指定された文言をサーバ装置100に送信する。また、端末送信部221は、この指定された文言と併せて対象の契約書に関する情報(例えば、契約書の属性情報の一部等)をサーバ装置100に送信してもよい。また、端末送信部221は、例えば、契約書に含まれる文言の指定を端末受付部211が受け付けた場合であっても、修正不要と指定された文言はサーバ装置100に送信しなくてもよい。なお、この場合、端末送信部221は、修正不要の旨のみサーバ装置100に送信してもよい。
【0082】
契約書の文言に対して修正不要とユーザに指定された場合、サーバ装置100にて修正案を生成する必要がない。このような場合において、上記構成のもと、端末送信部221は、指定された文言の文字列を送信しない分、通信処理の負荷やネットワークの帯域使用率を削減することができる。
【0083】
端末送信部221は、例えば、契約書に含まれる文言の指定を端末受付部211が受け付けた場合であっても、判定部214によりこの指定された文言は修正無しと判定された場合(この指定された文言と契約テンプレートの文言とが一致すると判定された場合)には、指定された文言をサーバ装置100に送信しなくてもよい。なお、この場合、端末送信部221は、これらの文言が一致する旨のみサーバ装置100に送信してもよい。
【0084】
契約書の文言と契約書テンプレートの文言が一致する場合、ユーザ又は契約書修正支援システム1等による修正がされていないとみなすことができる。このような場合において、上記構成のもと、端末送信部221は、修正がされていないとみなすことができる文言の文字列を送信しない分、通信処理の負荷やネットワークの帯域使用率を削減することができる。
【0085】
端末通信部220は、端末受信部222を備える。端末受信部222は、サーバ装置100から修正案や表示情報等を受信する。
【0086】
[端末記憶部]
端末記憶部230は、契約書や契約書テンプレート、ナレッジ情報、第2、4~6データセット等を記憶する。
【0087】
<4.画面例>
図6~9を参照して、契約書修正支援システム1の画面例を説明する。
【0088】
図6は、契約書修正支援システム1の支援機能のメニューを表示する支援メニュー画面の一例を示す図である。
図6に示すように、支援メニュー画面A1は、文書作成ソフトの編集画面のアドインタブにあるメニュー画面表示ボタンa10がユーザにより指定された場合、端末表示部213により編集画面のサイドバーに表示される。支援メニュー画面A1は、修正支援領域a11(
図6等では、「虎の巻」と表記)とデータ反映領域a12(
図6等では、「フィードバック」と表記)とを含み、タブによって切替表示される。本例では、修正支援領域a11のタブが指定されているものとする。
【0089】
修正支援領域a11では、端末表示部213は、修正案表示ボタンa111と、修正不要ボタンa112と、テンプレート表示ボタンa113と、ナレッジ表示ボタンa114と、支援情報表示領域a115と、を表示する。
【0090】
修正案表示ボタンa111は、ユーザ端末200に修正案を表示させるための入力手段である。例えば、契約書の文言と修正案表示ボタンa111とがユーザにより指定された場合、ユーザ端末200の端末受付部211がこの指定された文言の修正案の要求を受け付け、サーバ装置100の受付部111にこの要求を送信する。サーバ装置100の受付部111がこの要求を受け付けると、上記指定された文言の修正案を生成部113が生成し、ユーザ端末200に送信する。ユーザ端末200の端末受付部211がこの送信された修正案を受け付けると、端末表示部213は、修正案表示画面A2によりこの修正案を表示する。
【0091】
テンプレート表示ボタンa113(
図6等では、「ひな型の第22条第1項」と表記)は、文書作成ソフトに表示されている各条文や各条項に対応する契約書テンプレートの文言を表示させるための入力手段である。例えば、テンプレート表示ボタンa113がユーザにより指定された場合、ユーザ端末200の端末受付部211がテンプレートの表示要求を受け付け、端末表示部213は、端末記憶部230又はサーバ装置100の記憶部130に記憶されている該当する契約書テンプレート(本例では、第22条第1項のテンプレート)を取得する。端末表示部213は、この取得した契約書テンプレートの文言を、支援情報表示領域a115に表示する。支援情報表示領域a115は、契約書の修正を支援するための情報として、契約書テンプレートやナレッジ情報を表示するための領域である。
【0092】
ナレッジ表示ボタンa114(
図6等では、「虎の巻」と表記)は、文書作成ソフトに表示されている各条文や各条項に対応するナレッジ情報を表示させるための入力手段である。例えば、ナレッジ表示ボタンa114がユーザにより指定された場合、ユーザ端末200の端末受付部211がこのナレッジ情報の表示要求を受け付け、端末表示部213は、端末記憶部230又はサーバ装置100の記憶部130に記憶されているナレッジ情報を取得して、支援情報表示領域a115に表示する。
【0093】
図7は、契約書修正支援システム1の修正案表示画面の一例を示す図である。
図7に示すように、修正案表示画面A2は、メニュー画面表示ボタンa10がユーザにより指定された場合、端末表示部213によりモーダルウィンドウとして表示される。修正案表示画面A2は、修正前文言表示領域a20と、修正文言表示領域a21と、修正案反映ボタンa22と、を含む。
【0094】
修正前文言表示領域a20では、端末表示部213は、修正案を要求するためにユーザに指定された契約書の文言を表示する。また、修正文言表示領域a21では、端末表示部213は、生成された修正案の文言を表示する。
【0095】
修正案反映ボタンa22は、ユーザが修正案を採用した際に、この修正案を契約書に反映させるための入力手段である。例えば、修正案反映ボタンa22がユーザにより指定されると、ユーザ端末200の端末受付部211がこの修正案の反映要求を受け付け、端末文書反映部212は、文書作成ソフトで表示されている契約書に対してこの修正案を反映させる。
【0096】
図8は、契約書修正支援システム1のデータ反映領域の一例を示す図である。
図8に示すように、データ反映領域a12は、そのタブが指定されると端末表示部213により表示される。データ反映領域a12は、反映要求ボタンa121と、反映候補リスト表示領域a122と、を含む。
【0097】
反映要求ボタンa121は、ユーザが指定したデータセットを学習データに反映させるための入力手段である。例えば、反映要求ボタンa121がユーザにより指定された場合、ユーザ端末200の端末受付部211が反映候補リスト表示領域a122で指定されたデータセットの反映要求を受け付け、このデータセットをサーバ装置100のデータ反映部1121に送信する。サーバ装置100のデータ反映部1121は、この送信されたデータセットを受信すると、学習データ記憶部133に記憶されている学習データに反映させる。
【0098】
反映候補リスト表示領域a122は、学習データへの反映候補となる第2、4~6データセットを一覧表示するための領域である。言い換えれば、反映候補リスト表示領域a122は、反映候補となる第2、4~6データセットに対応する契約書の文言やユーザや契約書修正支援システム1による修正文言を一覧表示するための領域である。反映候補リスト表示領域a122は、例えば、学習データに反映させるデータセットの候補が3つある場合、第1反映候補a122aと、第2反映候補a122bと、第3反映候補a122cと、を含む。第1反映候補a122aでは、例えば、第1反映候補a122aに表示されている修正文言が第2データセットに対応する修正文言である場合、端末表示部213は、「修正前」にはこの修正文言に対応する修正前の契約書の文言を表示し、「修正後」にはこの修正文言を表示する。第1反映候補a122aのチェックボックスがユーザにより指定されて、かつ反映要求ボタンa121がユーザにより指定された場合、修正前の契約書の文言を入力データとし、修正文言が正解データとする第2データセットが端末表示部213によりサーバ装置100に送信され、学習データに反映される。
【0099】
<5.動作例>
図9~10を参照して、本実施形態に係る契約書修正支援システム1の動作例を説明する。
図9は、学習モデルの学習の際の処理の流れを示すフロー図と、学習された学習モデルを利用して修正案を表示させるの処理の流れを示すフロー図である。なお、以下に示すフロー図やシーケンス図の処理の順番は一例であって、適宜、変更されてもよい。
【0100】
図9(a)に示すように、サーバ装置100の学習部112は、学習データ記憶部133に記憶されている学習データを用いて学習モデルを学習させる(S10)。学習部112は、学習させた学習モデルをモデル記憶部132に記憶させる(S11)。
【0101】
図9(b)に示すように、サーバ装置100の受付部111は、ユーザ端末200から、契約書と、この契約書に含まれる文言の指定とを受け付ける(S20)。生成部113は、上記学習された学習モデルを用いて、ユーザ端末200から指定された文言に対する修正案を生成する(S21)。表示部114は、ユーザ端末200に、生成された修正案を表示させる(S22)。
【0102】
図10は、契約書の文言に対する修正案の要求をユーザから受け付けてからこの文言の修正に対応するデータセットを学習データに反映するまでの処理における、ユーザ端末200の文書作成ソフト、ユーザ端末200の端末プログラム、及びサーバ装置100の処理の流れや相互作用を示すシーケンス図である。
【0103】
図10に示すように、ユーザ端末200の端末プログラム200b(以下、単に「端末プログラム200b」ともいう)の端末受付部211は、ユーザから、修正案の表示要求を受け付ける(S30)。端末受付部211は、この表示要求を受け付けた場合、ユーザから指定された契約書の文言(具体的には、文言の文字列)の取得を、ユーザ端末200の文書作成ソフト200a(以下、単に「文書作成ソフト200a」ともいう)に要求する(S31)。文書作成ソフト200aは、この取得要求を受け付けると、ユーザから指定された契約書の文言を端末プログラム200bに応答する(S32)。端末プログラム200bの端末受付部211は、この応答された契約書の文言とこの契約書とを受け付ける(S33)。
【0104】
端末プログラム200bの判定部214は、上記受け付けられた契約書の文言において修正の有無を判定する(S34)。具体的には、判定部214は、上記受け付けられた契約書の文言と、この文言に対応する契約書テンプレートの文言とが一致するか否かを判定する。判定部214は、これらの文言が一致すると判定した場合には修正無しと判定し、他方、一致しないと判定した場合には修正有りと判定する。
【0105】
ユーザ端末200及びサーバ装置100は、判定部214による上記判定の結果が修正有りの場合、複合フラグメントopt1(Option1)が示すエリア内の処理を実行する。具体的には、端末プログラム200bの端末受付部211は、ユーザに指定された文言に対する修正案をサーバ装置100に要求する(S35)。サーバ装置100の受付部111がこの修正案の要求を受け付けると、サーバ装置100の生成部113は、学習モデルを用いて、指定された文言に対する修正案を生成する(S36)。
【0106】
サーバ装置100の送信部121は、生成された修正案を送信する(S37)。ユーザ端末200の端末受付部211がこの修正案を受け付けると、端末表示部213は、この修正案をユーザ端末200に表示する(S38)。
【0107】
ユーザ端末200は、表示された修正案がユーザに採用された場合、複合フラグメントopt2(Option2)が示すエリア内の処理を実行する。具体的には、端末プログラム200bの端末受付部211は、修正案を採用する旨をユーザから受け付ける(S39)。端末プログラム200bの端末文書反映部212は、文書作成ソフト200aに対して表示されている契約書にこの修正案を反映するよう指示する(S40)。文書作成ソフト200aは、この反映指示を受け付けると、契約書における指定された文言に対して修正案を反映する(S41)。
【0108】
文書作成ソフト200aは、ユーザから、契約書の文言を修正した修正文言を受け付ける(S42)。この契約書の文言には、上記反映された修正案の文言が含まれているものとする。文書作成ソフト200aは、端末プログラム200bに、この修正文言を連携する(S43)。端末プログラム200bの端末受付部211は、この連携されたユーザによる修正文言を受け付ける。
【0109】
端末プログラム200bの端末受付部211は、ユーザから、反映候補リストの表示要求を受け付ける(S45)。端末受付部211がこの表示要求を受け付けると、端末表示部213は、採用された修正案の文言やユーザによる修正文言を含む反映候補リストをユーザ端末200に表示する(S46)。
【0110】
端末プログラム200bの端末受付部211は、ユーザから、表示された反映候補リストに含まれる文言に対応するデータセットのうち、学習データに反映させるデータセットの指定を受け付ける(S47)。端末プログラム200bの端末送信部221は、サーバ装置100に、指定されたデータセットを送信し、このデータセットの学習データへの反映を要求する(S48)。サーバ装置100のデータ反映部1121は、受付部111がこの反映要求とデータセットを受け付けると、このデータセットを学習データに反映する(S49)。
【0111】
<6.ハードウェア構成>
図11を参照して、上述してきたサーバ装置100やユーザ端末200をコンピュータ800により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0112】
図11に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811と、表示装置813とを含む。
【0113】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ800における様々な処理を制御する。例えば、サーバ装置100の制御部110やユーザ端末200の端末制御部210が備える各機能部等は、メモリ803に一時記憶されたプログラム(例えば、ユーザ端末200であれば端末プログラム)をプロセッサ801が実行することにより実現可能である。
【0114】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0115】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種モデルや各種プログラムを記憶する。この他、記憶装置805は、学習データやナレッジ情報、ユーザ情報等を登録するテーブルと、当該テーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じてメモリ803にロードされることにより、プロセッサ801から参照される。
【0116】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0117】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0118】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0119】
表示装置813は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置813の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示装置813は、コンピュータ800の外部に設けられても良い。その場合、表示装置813は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ800に接続される。また、入力I/F部807としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置813は、入力I/F部807と一体化して構成することが可能である。
【0120】
なお、上記実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、上記に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0121】
[変形例]
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0122】
[変形例1]
上記実施形態に係るサーバ装置100における各構成の少なくとも一部は、ユーザ端末200が備えていてもよい。例えば、サーバ装置100の学習部112及び生成部113をユーザ端末200に実装させ、サーバ装置100の辞書記憶部131、モデル記憶部132又は学習データ記憶部133の少なくともいずれかを端末記憶部230に実装させてもよい。また、例えば、サーバ装置100の受付部111の全部又は一部をユーザ端末200の端末受付部211に、文書反映部115の全部又は一部を端末文書反映部212に、表示部114の全部又は一部を端末表示部213に実装させてもよい。
【0123】
例えば、ユーザ端末200は、ユーザから、契約書と、契約書に含まれる文言の指定とを受け付ける端末受付部211と、契約書の文言を入力データとしこの文言を修正した修正文言を正解データとする第1データセットを含む学習データを用いて学習された学習モデルを記憶する端末記憶部230と、ユーザに指定された文言を学習モデルに入力して、この文言に対する修正案を生成する生成部(不図示)と、修正案を表示する端末表示部213と、を備えてもよい。
【0124】
上記構成によれば、サーバ装置100を使用せずに、ユーザ端末200単体で修正支援サービスをユーザに提供することができる。また、上記構成によれば、ユーザ端末200がオフライン環境にあっても修正支援サービスをユーザに提供することができる。
【0125】
[変形例2]
上記実施形態では、学習モデルを記憶するモデル記憶部132をサーバ装置100の記憶部130に備える例を説明したが、学習モデルが記憶される場所はこれに限定されない。学習モデルは、例えば、外部装置の記憶部に記憶されていてもよい。サーバ装置100の生成部113は、例えば、この外部装置が提供するAPIであって学習モデルの機能を利用するためのAPIに対して、学習モデルを用いて修正案の生成するよう指示してもよい。生成部113は、この指示に対する応答として、この外部装置から修正案を取得してもよい。
【0126】
[変形例3]
上記実施形態では示していないが、
図12に示すように、学習モデルは、複数存在してもよく、例えば、契約書の種別ごと又はユーザの種別ごとに構築されてもよい。さらに、学習モデルは、例えば、ユーザが所属する組織ごと、かつ組織の取引先ごとに構築されてもよい。また、学習モデルに併せて、学習データも、契約書の種別ごと又はユーザの種別ごとにDBが構築されてもよい。例えば、ユーザ端末200の端末プログラム200bは、契約書及び契約書の文言の指定を含む修正案の要求やデータセットの学習データへの反映要求と併せて、端末プログラム200bを有効にするためのユーザの認証情報(例えば、ユーザID等)をサーバ装置100に送信してもよい。サーバ装置100は、このユーザの認証情報を検索キーにして記憶部130が記憶するユーザ情報の中から該当するユーザ情報を抽出してユーザの種別を取得してもよい。サーバ装置100の生成部113は、契約書の指定として受信した契約書の種別や取得したユーザの種別に基づいて、修正案の要求先の学習モデルを特定してもよい。また、サーバ装置100のデータ反映部1121は、受信した契約書の種別や取得したユーザの種別に基づいて、データセットの反映先の学習データのDBを特定してもよい。
【0127】
[変形例4]
上記実施形態では、契約書に含まれる文言をユーザが指定して、かつ修正案表示ボタンa11をユーザが指定した場合、修正案の要求を端末受付部211が受け付ける例を説明したが、修正案の要求を受け付ける態様はこれに限定されない。例えば、契約書に含まれる文言をユーザが指定した場合、すなわち、ユーザによる文言の指定(例えば、カーソル位置による指定)のみで、修正案の要求を端末受付部211が受け付けてもよい。
【0128】
[変形例5]
上記実施形態では、文書作成機能を文書作成ソフトにより実現し、端末プログラムをこの文書作成ソフトにアドインすることで修正支援サービスを提供する例を説明したが、修正支援サービスで必要な文書作成機能はこれに限定されない。例えば、端末プログラムが文書作成ソフトに代わって文書作成機能の全部又は一部を備えてもよい。
【0129】
[変形例6]
上記実施形態では示していないが、表示部114は、受付部111が指定された文言と共に修正不要の旨をユーザ端末200から受け付けた場合、この指定された契約書の文言を他の契約書の文言と識別可能に表示させててもよい。表示部114は、例えば、この修正不要と指定された契約書の文言の表示の態様を変更させてもよい。表示部114は、例えば、この修正不要と指定された契約書の文言の文字列について、その文字色又は背景色の設定を標準の色(例えば、文字色であれば黒等)から相対的に目立たない色(例えば、文字色であれば灰色等)に変更させてもよい。
【符号の説明】
【0130】
1…契約書修正支援システム、100…サーバ装置、110…制御部、111…受付部、112…学習部、113…生成部、114…表示部、115…文書反映部、120…通信部、130…記憶部、200…ユーザ端末、210…端末制御部、211…端末受付部、212…端末文書反映部、213…端末表示部、214…判定部、220…端末通信部、230…端末記憶部、800…コンピュータ、801…プロセッサ、803…メモリ、805…記憶装置、807…入力I/F部、809…データI/F部、811…通信I/F部、813…表示装置。