(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170036
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】車載器
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
B60R11/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075893
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】水口 はるな
(72)【発明者】
【氏名】村上 弘憲
(72)【発明者】
【氏名】小河原 賢
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA02
3D020BA04
3D020BA06
3D020BB01
3D020BC01
3D020BD02
3D020BD05
(57)【要約】
【課題】締結部材が落下した際に、当該締結部材が車両の意図しない領域に落下することを抑制可能な車載器を実現する。
【解決手段】本開示の一形態に係る車載器(1)は、電子機器(2)と、電子機器(2)の両側壁部に固定され、締結部材を介して電子機器(2)を車両(5)の被固定治具(52)に固定するための一対のブラケット(3)と、を備える。ブラケット(3)は、ブラケット(3)を車両(5)の被固定治具(52)に固定する場合に落下した締結部材を受ける舌片(35)を有する。舌片(35)は、ブラケット(3)が車両(5)の被固定治具(52)に固定された状態でブラケット(3)を側方から見て、車両(5)の予め設定された第1の領域(A1)に対して上方に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と、
前記電子機器の両側壁部に固定され、締結部材を介して前記電子機器を車両の被固定治具に固定するための一対のブラケットと、
を備え、
前記ブラケットは、前記ブラケットを前記車両の被固定治具に固定する場合に落下した前記締結部材を受ける舌片を有し、
前記舌片は、前記ブラケットが前記車両の被固定治具に固定された状態で当該ブラケットを側方から見て、前記車両の予め設定された第1の領域に対して上方に配置される、車載器。
【請求項2】
前記舌片は、前記締結部材を前記第1の領域に誘導するための傾斜面を有する、請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記舌片は、前記締結部材の一部を収容するための収容部を有する、請求項1又は2に記載の車載器。
【請求項4】
前記舌片は、前記車両の予め設定された第2の領域を直上から覆う、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車載器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、一般的なナビゲーションシステムなどの電子機器は、ブラケットを介して車両の被固定治具に固定される。このとき、ブラケットは、ネジやナットなどの締結部材を用いて車両の被固定治具に固定されるが、締結部材が落下した際に当該締結部材を収拾し易いように、落下した締結部材の処理が重要である。
【0003】
例えば、特許文献1には、空調ケースを車両の被固定治具に固定する際に落下したナットを受け止めるために、当該空調ケースの上面に溝部を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、ナットの落下方向や落下後に跳ね返る方向によって、ナットが車両の意図しない領域に落下する可能性がある。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題を解決するためになされたものであり、締結部材が落下した際に、当該締結部材が車両の意図しない領域に落下することを抑制可能な車載器を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態に係る車載器は、
電子機器と、
前記電子機器の両側壁部に固定され、締結部材を介して前記電子機器を車両の被固定治具に固定するための一対のブラケットと、
を備え、
前記ブラケットは、前記ブラケットを前記車両の被固定治具に固定する場合に落下した前記締結部材を受ける舌片を有し、
前記舌片は、前記ブラケットが前記車両の被固定治具に固定された状態で当該ブラケットを側方から見て、前記車両の予め設定された第1の領域に対して上方に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、締結部材が落下した際に、当該締結部材が車両の意図しない領域に落下することを抑制可能な車載器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1の車載器を模式的に示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1の右側のブラケットを示す斜視図である。
【
図3】
図2のIII方向からブラケットを見た拡大図である。
【
図4】実施の形態1の車載器を車両の被固定治具に固定する様子を当該車載器の右側から見た図である。
【
図5】実施の形態1の車載器が車両の被固定治具に固定された状態を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態1の車載器が車両の被固定治具に固定された状態を当該車載器の上側から見た図である。
【
図7】落下したネジの振る舞いを説明するための図である。
【
図8】実施の形態2の車載器の右側のブラケットを示す斜視図である。
【
図9】実施の形態3の車載器を車両の被固定治具に固定する様子を当該車載器の右側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0011】
<実施の形態1>
先ず、本実施の形態の車載器の構成を説明する。
図1は、本実施の形態の車載器を模式的に示す斜視図である。車載器1は、
図1に示すように、電子機器2及び一対のブラケット3を備えている。
【0012】
電子機器2は、例えば、ナビゲーションシステムである。電子機器2は、
図1に示すように、略矩形柱形状を基本形態としており、電子機器2の正面に表示面2aを備えている。但し、電子機器2は、車両に搭載される電子機器であればよく、例えば、オーディオなどでもよい。
【0013】
図2は、本実施の形態の右側のブラケットを示す斜視図である。
図3は、
図2のIII方向からブラケットを見た拡大図である。なお、一対のブラケット3は、左右対称の構成とされているため、右側のブラケット3を代表して説明する。ここで、以下のブラケット3の構成の説明は、説明を明確にするために、ブラケット3の前後方向、左右方向及び上下方向を基準に説明する。
【0014】
ブラケット3は、
図2に示すように、第1の部分31、第2の部分32、第3の部分33、第4の部分34及び舌片35を備えている。第1の部分31は、例えば、前後方向軸と上下方向軸とを含む平面と略平行な平板であり、複数個(例えば、4個)の貫通孔31aを備えている。
【0015】
第2の部分32は、
図2に示すように、第1の部分31から右側に突出している。第2の部分32は、ブラケット3を右側から見て、前後方向軸と左右方向軸とを含む平面に対して反時計回りに傾斜した平板であり、複数個(例えば、2個)の貫通孔32aを備えている。つまり、第2の部分32は、後側に向かうに従って下側に向かうように傾斜している。
【0016】
第3の部分33は、
図2に示すように、第1の部分31の後端部から右側に突出しており、左右方向軸と上下方向軸とを含む平面と略平行な平板である。第4の部分34は、第3の部分33の右端部から右側に突出している。
【0017】
第4の部分34は、
図2に示すように、ブラケット3を上側から見て、左右方向軸と上下方向軸とを含む平面に対して反時計回りに傾斜した平板である。つまり、第4の部分34は、右側に向かうに従って前側に向かうように傾斜している。
【0018】
第4の部分34は、第1の部分31の後端部の第3の部分33の右端部における上下方向の所定の高さに配置されている。例えば、第4の部分34は、第1の部分31の後端部の第3の部分33の右端部における上下方向の略中央の高さに配置されている。このとき、詳細な機能は後述するが、第4の部分34に対して下側の領域には、切り欠き部36が形成されているとよい。
【0019】
舌片35は、
図2及び
図3に示すように、第4の部分34の上端部から後側であって、且つ、右側に突出している。舌片35は、ブラケット3を右側から見て前後方向軸と左右方向軸とを含む平面に対して時計回りに傾斜し、且つ、ブラケット3を後側から見て前後方向軸と左右方向軸とを含む平面に対して反時計回りに傾斜する平板である。つまり、舌片35は、前側に向かうに従って下側に向かって傾斜すると共に、左側に向かうに従って下側に傾斜している。
【0020】
上述のブラケット3は、例えば、一枚の金属板から板金によって形成することができる。このとき、可能な限り小さい金属板からブラケット3を形成できるように、各部に切り欠き部が形成されているとよい。
【0021】
なお、上述の第1の部分31、第2の部分32、第3の部分33、第4の部分34及び舌片35は、後述するように、車載器1を車両に固定する際に当該車両の各部に干渉しない形状であればよい。
【0022】
このとき、舌片35は、後述するように、車載器1を車両に固定する際に落下したネジなどの締結部材を受けて車両の予め設定された第1の領域に誘導することができ、且つ、車両における予め設定された、締結部材の落下を防止したい第2の領域を覆うことができる、形状及び配置であればよい。
【0023】
このようなブラケット3の第1の部分31の貫通孔31aと電子機器2の側壁部に形成されたネジ孔とを位置合わせした状態で、
図1に示すように、ブラケット3の第1の部分31の貫通孔31aに通したネジ41を電子機器2のネジ孔に締結して、ブラケット3を電子機器2に固定すると、車載器1を構成することができる。
【0024】
次に、本実施の形態の車載器1を車両に固定する手順を説明する。
図4は、本実施の形態の車載器を車両の被固定治具に固定する様子を当該車載器の右側から見た図である。
図5は、本実施の形態の車載器が車両の被固定治具に固定された状態を示す斜視図である。
図6は、本実施の形態の車載器が車両の被固定治具に固定された状態を当該車載器の上側から見た図である。なお、
図4乃至
図6では、一部の部材の厚さなどを簡略化している場合がある。
【0025】
ここで、以下の車載器1を車両5に固定する手順の説明及び車載器1が車両5に固定された状態での各部材の配置の説明は、車両5の前後方向、左右方向及び上下方向を基準に説明する。本実施の形態では、車両5における車載器1の収容部(例えば、センタークラスター)51内の側壁部に隣接するように配置された被固定治具52に車載器1を固定するものとする。
【0026】
このとき、被固定治具52の上面は、例えば、
図4乃至
図6に示すように、後側に向かうに従って下側に向かって傾斜する傾斜面を備えており、被固定治具52を上側から見て後側に向かうに従って左右方向の幅寸法が広くなる直角台形状である。そして、被固定治具52には、当該被固定治具52を貫通するようにネジ孔が形成されている。
【0027】
先ず、作業者は、例えば、車両5の収容部51の開口部から車載器1を前側に向かって挿入し、
図4乃至
図6に示すように、ブラケット3の切り欠き部36に車両5の被固定治具52の角部を逃がしつつ、車載器1のブラケット3の第2の部分32を車両5の被固定治具52の上面に載置する。
【0028】
次に、作業者は、ブラケット3の第2の部分32の貫通孔32aと、車両5の被固定治具52のネジ孔と、が重なるように、車載器1を配置する。そして、作業者は、例えば、車両5の収容部51に対して上側の領域(例えば、インストルメントパネルの上面)に形成された開口部を介して、工具6によってブラケット3の第2の部分32の貫通孔32aに通したネジ42を車両5の被固定治具52に締結する。これにより、車載器1を車両5に固定することができる。
【0029】
このとき、ブラケット3の第3の部分33の前端部と車両5の被固定治具52の後端部との間に隙間が形成されるが、当該隙間は、ネジ42が通過できない間隔であるとよい。また、ブラケット3の第4の部分34の下端部と車両5の被固定治具52の上面との間にも隙間が形成されるが、当該隙間も、ネジ42が通過できない間隔であるとよい。さらに、ブラケット3の第4の部分34の側端部と車両5の収容部51の側壁部との間にも隙間が形成されるが、当該隙間も、ネジ42が通過できない間隔であるとよい。
【0030】
ここで、
図6では、車両5の収容部51の開口部の右端部を通り、且つ、前後方向に延在する線を一点鎖線L1によって示している。
図6に示すように、車載器1を車両5の収容部51の開口部に挿入する際に、ブラケット3の第4の部分34及び舌片35が車両5の収容部51の開口部に接触しない形状に制約される。
【0031】
その一方で、上述のように被固定治具52の上面は、後側に向かうに従って左右方向の幅寸法が広くなる直角台形状である。そのため、ブラケット3の第4の部分34の裏側には、広い空間が形成される。当該空間は、例えば、車両5の被固定治具52が配置されていない隙間と重なり、このような空間にネジ42が落下した場合、ネジ42を収拾することが困難である。
【0032】
そのため、本実施の形態では、ブラケット3の第4の部分34の裏側の空間が、ネジ42の落下を防ぎたい第2の領域A2であり、当該第2の領域A2を直上からブラケット3の舌片35で覆うように、当該舌片35が配置される。
【0033】
このとき、ブラケット3の舌片35は、車載器1を側方から見て前側に向かうに従って下側に向かって傾斜すると共に、車載器1を後側から見て電子機器2の側に向かうに従って下側に傾斜するように配置される。
【0034】
そして、本実施の形態では、
図6に示すように、ブラケット3の第2の部分32の前端部に対して後側で、電子機器2の側壁部と、ブラケット3の第3の部分33と、ブラケット3の第4の部分34と、車両5の収容部51の側壁部と、で囲まれた領域が、落下したネジ42をブラケット3の舌片35によって誘導して捕捉するための第1の領域A1とされる。
【0035】
第1の領域A1は、後側に向かうに従って下側に向かって傾斜しており、第1の領域A1の上方は開放されている。このとき、車載器1を側方から見てブラケット3の舌片35は、第1の領域A1の上方に配置される。
【0036】
次に、車載器1を車両5の被固定治具52に固定する際に落下したネジ42の振る舞いを説明する。
図7は、落下したネジの振る舞いを説明するための図である。なお、
図7では、矢印によって落下したネジ42の振る舞いを示している。
【0037】
例えば、第2の領域A2の上方で落下したネジ42は、
図7に示すように、ブラケット3の舌片35に接触して当該舌片35の上面でバウンドする。ブラケット3の舌片35は、車載器1を側方から見て前側に向かうに従って下側に向かって傾斜すると共に、車載器1を後側から見て電子機器2の側に向かうに従って下側に傾斜するように配置されている。そのため、ネジ42は、第1の領域A1に向かってバウンドして当該第1の領域A1に落下する。
【0038】
このとき、ブラケット3の舌片35は、第1の領域A1の上方に配置されているので、当該舌片35が第1の領域A1と面一に配置されている場合に比べて、ネジ42が舌片35に接触するまでの落下距離が短く、ネジ42のバウンドを低く抑えることができる。その結果、ネジ42が意図しない領域に落下することを抑制できる。
【0039】
第1の領域A1は、後側に向かうに従って下側に向かって傾斜しているので、その後、ネジ42は、第1の領域A1上を転がって止まる。このように、第2の領域A2の上方で落下したネジ42を第1の領域A1に導いて捕捉することができるので、ネジ42が第2の領域A2などの意図しない領域に落下することを抑制できる。
【0040】
一方、例えば、第1の領域A1の上方で落下したネジ42は、第1の領域A1でバウンドするが、第1の領域A1は、電子機器2の側壁部と、ブラケット3の第3の部分33と、ブラケット3の第4の部分34と、車両5の収容部51の側壁部と、で囲まれ、且つ、後側に向かうに従って下側に向かって傾斜している。
【0041】
そのため、バウンドしたネジ42は、電子機器2の側壁部、ブラケット3の第3の部分33、ブラケット3の第4の部分34、又は車両5の収容部51の側壁部の何れかと接触してバウンドが収束し、第1の領域A1上で止まる。このように第1の領域A1の上方で落下したネジ42も第1の領域A1に導いて捕捉することができるので、ネジ42が第2の領域A2などの意図しない領域に落下することを抑制できる。
【0042】
以上より、本実施の形態の車載器1は、落下したネジ42を第1の領域A1に導いて捕捉することができるので、ネジ42が第2の領域A2などの意図しない領域に落下することを抑制できる。
【0043】
しかも、第1の領域A1の上方は開放されているので、第1の領域A1で捕捉されたネジ42を、例えば、車両5の収容部51に対して上側の領域に形成された開口部を介して、簡単に収拾することができる。
【0044】
また、第2の領域A2を直上からブラケット3の舌片35で覆うので、第2の領域A2にネジ42が落下することを抑制できる。さらに、本実施の形態のブラケット3は、例えば、金属板を板金することによって簡単に形成することができる。
【0045】
<実施の形態2>
図8は、本実施の形態の右側のブラケットを示す斜視図である。本実施の形態のブラケット201は、実施の形態1のブラケット3と略等しい構成とされているが、舌片35にネジ42の一部を収容するための収容部202が形成されている点で相違する。
【0046】
収容部202は、例えば、舌片35を貫通する貫通孔であり、ネジ42の一部が収容可能であって、且つ、ネジ42が通過不可能な形状であればよい。これにより、舌片35で落下したネジ42を直接に捕捉することができる。
【0047】
なお、舌片35に収容部202が形成されている場合、車載器が車両に固定された状態で、舌片35が車両の前後方向軸と左右方向軸とを含む平面に対して傾いている必要はなく、少なくともブラケット201の第4の部分34の裏側にネジ42が落下することを抑制できるように配置されればよい。
【0048】
<実施の形態3>
図9は、本実施の形態の車載器を車両の被固定治具に固定する様子を当該車載器の右側から見た図である。本実施の形態の車載器301は、実施の形態1の車載器1と略等しい構成とされているが、ブラケット302の構成が異なる。
【0049】
ここで、実施の形態1のブラケット3と同様に、本実施の形態のブラケット302も左右対称の構成とされているため、右側のブラケット302を代表して説明する。なお、以下のブラケット302などの説明では、説明を明確にするために、ブラケット302が車両303に固定された状態での当該車両303の前後方向、左右方向、及び上下方向を基準にして説明する。
【0050】
ブラケット302は、
図9に示すように、第1の部分321、第2の部分322及び舌片323を備えている。第1の部分321は、前後方向軸と上下方向軸とを含む平面と略平行な平板であり、複数のネジ孔321aが形成されている。
【0051】
第2の部分322は、第1の部分321の前端部から右側に突出している。第2の部分322は、左右方向軸と上下方向軸とを含む平面と略平行な平板であり、複数のボルト孔が形成されている。
【0052】
舌片323は、第2の部分322の下端部から後側に突出している。舌片323は、ブラケット302を右側から見て前後方向軸と左右方向軸とを含む平面に対して反時計回りに傾斜した平板である。つまり、舌片323は、後側に向かうに従って下側に向かって傾斜している。このとき、舌片323は、ブラケット302の上下方向の略中央の高さに配置されているとよい。
【0053】
このようなブラケット302の第1の部分321を電子機器2の側壁部に固定すると、車載器301を構成することができる。そして、車両303における車載器301の収容部331に当該車載器301を前側に向かって挿入し、工具6によって前側に向かって車両303の収容部331に挿入したネジ304を介して、ブラケット302の第2の部分322を車両303の被固定治具332の前部に固定すると、車載器301を車両303に固定することができる。
【0054】
ここで、車両303の収容部331は、当該収容部331の後部が開放しており、被固定治具332に固定された車載器301の前部、上部、下部、左側部及び右側部を囲むことが可能な形状であるとよい。
【0055】
車両303の被固定治具332は、収容部331の内部に配置されている。被固定治具332は、
図9に示すように、略C字形状であり、電子機器2の側方の領域を、車両303の収容部331の側壁部と共に囲んでいる。そして、被固定治具332の前部には、
図9に示すように、車両303の内部と連通する貫通孔332aが形成されている。
【0056】
そのため、本実施の形態では、被固定治具332の貫通孔332aが配置された領域が、ネジ304の落下を防ぎたい第2の領域A4であり、当該第2の領域A4を直上からブラケット302の舌片323で覆うように、当該舌片323が配置される。
【0057】
そして、本実施の形態では、被固定治具332の底部が落下したネジ304を捕捉するための第1の領域A3とされている。このとき、第1の領域A3は、電子機器2の側壁部と、車両303の被固定治具332の前部と、車両303の収容部331の側壁部と、で囲まれており、第1の領域A3の後方が開放されている。そして、車載器301を側方から見て当該第1の領域A3の上方にブラケット302の舌片323が配置される。
【0058】
これにより、
図9に示すように、工具6を介してネジ304を前側に向かって車両303の収容部331に挿入した際に誤って当該ネジ304がブラケット302の舌片323の上方で落下した場合、舌片323の傾斜によってネジ304を第1の領域A3に誘導して捕捉することができる。
【0059】
このとき、ブラケット302の舌片323は、車両303の第1の領域A3の上方に配置されているので、落下したネジ304を一度、舌片323で受け止めてネジ304の落下エネルギーを軽減することができる。そのため、ネジ304のバウンドを低く抑えることができ、ネジ304が意図しない領域に落下することを抑制できる。
【0060】
一方、ネジ304がブラケット302の舌片323と接触しない箇所で落下した場合、ネジ304が第1の領域A3でバウンドするが、第1の領域A3は、電子機器2の側壁部と、車両303の被固定治具332の前部と、車両303の収容部331の側壁部と、で囲まれている。
【0061】
そのため、バウンドしたネジ304は、電子機器2の側壁部、車両303の被固定治具332の前部、又は車両303の収容部331の側壁部の何れかと接触してバウンドが収束し、第1の領域A3上で止まる。このようにブラケット302の舌片323と接触しない箇所で落下したネジ304も第1の領域A3で捕捉することができるので、ネジ304が意図しない領域に落下することを抑制できる。
【0062】
これにより、本実施の形態の車載器301は、落下したネジ304を第1の領域A3に導いて捕捉することができるので、ネジ304が意図しない領域に落下することを抑制できる。しかも、第1の領域A3の後方は開放されているので、第1の領域A3で捕捉されたネジ304を、例えば、車両303の収容部331の開口部を介して、簡単に収拾することができる。
【0063】
また、第2の領域A4を直上からブラケット302の舌片323で覆うので、第2の領域A4にネジ304が落下することを抑制できる。
【0064】
本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、落下したネジを捕捉するための領域は、工具によってネジが挿入される側を除いて何らかの部材で囲まれていればよく、上記実施の形態の構成に限定されない。
例えば、車載器を車両の被固定治具に固定する締結部材は、ネジに限らず、ナットなどであってもよい。
例えば、ブラケットの形状は、上記実施の形態の限りではなく、電子機器2を車両の被固定治具に固定できる形状であればよい。このとき、舌片の配置や形状は、上記実施の形態の限りではなく、要するに、締結部材の落下が想定される領域であって、当該締結部材を捕捉するための領域の上方に配置されていればよい。
【符号の説明】
【0065】
1 車載器
2 電子機器
3 ブラケット
5 車両
6 工具
31 第1の部分、31a 貫通孔
32 第2の部分、32a 貫通孔
33 第3の部分
34 第4の部分
35 舌片
36 切り欠き部
41、42 ネジ
51 車両における車載器の収容部
52 車両の被固定治具
201 ブラケット
202 収容部
301 車載器
302 ブラケット
303 車両
304 ネジ
321 第1の部分、321a ネジ孔
322 第2の部分
323 舌片
331 車両における車載器の収容部
332 被固定治具、貫通孔 332a
A1、A3 ネジを捕捉するための領域(第1の領域)
A2、A4 ネジの落下を防ぎたい領域(第2の領域)