(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170042
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】建物内のオゾン脱臭除菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/015 20060101AFI20221102BHJP
C01B 13/10 20060101ALI20221102BHJP
C25B 1/13 20060101ALI20221102BHJP
C25B 1/23 20210101ALI20221102BHJP
【FI】
A61L9/015
C01B13/10 Z
C01B13/10 D
C25B1/13
C25B1/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075910
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】519024326
【氏名又は名称】株式会社HBコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100084342
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 久巳
(74)【代理人】
【識別番号】100213883
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 雅史
(72)【発明者】
【氏名】杉本 吉則
【テーマコード(参考)】
4C180
4G042
4K021
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CA06
4C180EA17X
4C180HH02
4C180KK05
4C180KK10
4C180LL06
4C180LL20
4C180MM01
4G042CA04
4G042CB24
4G042CC18
4G042CE04
4K021AB15
4K021DC07
(57)【要約】
【課題】各種建物の建物内を簡単且つ安価に脱臭除菌できるオゾン脱臭除菌装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るオゾン脱臭除菌装置1は、包囲部3aと下方に開口した電極突出口3bを有した容器本体3と、容器本体3内に水の侵入を遮断するために電極突出口3bを閉鎖する突出口閉鎖板3dと、電極突出口3bから下方に突出した電極構造体2と、包囲部3aの内部に配置されて電極構造体2に電圧を印加する電源部17から構成され、建物内41に配置された蓄水容器5に上方開口部5aから蓄水面6aが露出するように容器内蓄水6を蓄水させ、電極構造体2を蓄水面6aから容器内蓄水6に水没させ、電源部17の電圧印加により、電極構造体2は容器内蓄水6の電気分解を開始してオゾンを発生させ、このオゾンが上方開口部5aから建物内41に放出されて建物内41の脱臭除菌を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方を包囲する包囲部と下方に開口した電極突出口を有した容器本体と、前記容器本体内に水の侵入を遮断するために前記電極突出口を閉鎖する突出口閉鎖板と、
前記電極突出口から下方に突出した電極構造体と、前記包囲部の内部に配置されて前記電極構造体に電圧を印加する電源部から構成され、建物の建物内に配置された蓄水容器にその上方開口部から蓄水面が露出するように容器内蓄水を蓄水させ、前記電極構造体を前記蓄水面から前記容器内蓄水に水没させ、前記電源部の電圧印加により、前記電極構造体は前記容器内蓄水の電気分解を開始してオゾンを発生させ、このオゾンが前記上方開口部から前記建物内に放出されて建物内の脱臭除菌を行うことを特徴とする建物内のオゾン脱臭除菌装置。
【請求項2】
前記電極構造体に電圧を印可して前記容器内蓄水の電気分解を実行してオゾンを発生させるオゾン発生回路が前記電源部に接続して設けられる請求項1に記載の建物内のオゾン脱臭除菌装置。
【請求項3】
前記電源部又は前記オゾン発生回路により前記電極構造体に電圧印可を開始してから電圧印加を終了するまでの電圧印加継続時間を設定するタイマー回路が設けられる請求項1又は2に記載の建物内のオゾン脱臭除菌装置。
【請求項4】
前記電源部又は前記オゾン発生回路からの電圧供給をオンオフするスイッチ回路が設けられ、当該スイッチ回路がオン動作することによって前記電圧供給を開始する請求項1~3のいずれかに記載の建物内のオゾン脱臭除菌装置。
【請求項5】
前記電極構造体が前記容器内蓄水に水没したことを検出する水位センサが設けられ、当該水位センサが前記水没を検出することによって前記電源部又は前記オゾン発生回路からの電圧供給を開始する請求項1~3のいずれかに記載の建物内のオゾン脱臭除菌装置。
【請求項6】
前記容器本体は内部に水が浸入しないように密閉状態に構成され、前記容器本体を前記容器内蓄水の前記蓄水面に浮力で浮遊させた状態で脱臭除菌を実行する請求項1~5のいずれかに記載の建物内のオゾン脱臭除菌装置。
【請求項7】
前記容器本体を前記蓄水容器の内底面に立設部により立設させて脱臭除菌を実行する請求項1~5のいずれかに記載の建物内のオゾン脱臭除菌装置。
【請求項8】
前記電極構造体は、電極間隙を隔てて配置された陽極部材と陰極部材を単位電極体とし、1個の単位電極体又は接続された2個以上の単位電極体から構成される請求項1~7のいずれかに記載の建物内のオゾン脱臭除菌装置。
【請求項9】
前記陽極部材と前記陰極部材の間の電極間隙に紐状絶縁スペーサを介装して両者間の電気絶縁性を確実化した請求項8に記載の建物内のオゾン脱臭除菌装置。
【請求項10】
前記紐状絶縁スペーサがOリング又は紐である請求項9に記載の建物内のオゾン脱臭除菌装置。
【請求項11】
前記電極構造体は、電極の表面が容器内蓄水に接触する状態で保護体により保護されており、当該保護体により前記容器本体からの抜脱防止を図り、且つ物品との接触・衝突による毀損防止を図る請求項1~10のいずれかに記載の建物内のオゾン脱臭除菌装置。
【請求項12】
前記電源部は直流電源、電池又は充電自在な二次電池から構成される請求項1~11のい
ずれかに記載の建物内のオゾン脱臭除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋・マンション・ビル・部屋・浴室・トイレ室等の建物の建物内をオゾンで脱臭除菌する装置に関し、詳細には、電源部を内部に有した容器本体の下方にある電極突出口から電極構造体を突出させておき、建物内の所要部に配置した蓄水容器に容器内蓄水を蓄水して、電極構造体を蓄水面から容器内蓄水に水没させ、電源部の電圧印加により電極構造体が記容器内蓄水を電気分解してオゾンを発生させ、このオゾンを建物内に放出して建物内の脱臭除菌を行う建物内のオゾン脱臭除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、オゾンO3は不安定な状態であるため酸素 O2と酸素原子Oに分解する。 放出された酸素原子はニオイの原因となる物質を酸化して脱臭し、また菌を酸化して死滅させるため、脱臭除菌効果を有することは良く知られている。
【0003】
また、気体としてのオゾンは、発生環境に依存するが、密閉環境において数時間から十数時間で半減するから、その時間内に室内空間や物品表面の脱臭除菌作用を効率的に実現する。また、オゾン水の中では、オゾンは十数分から数十分の間に分解されるから、その時間内にオゾン水を室内空間や物品表面に噴霧すると、室内空間や物品表面の脱臭除菌を効率的に実現することも知られている。
【0004】
更に、オゾンを生成するには、水道水等の洗浄水を容器内に蓄水し、その容器内蓄水を電気分解すればよいことは周知である。洗浄水内にオゾンが混在すればオゾン水となり、またこのオゾン水から気体であるオゾンが空間部へ逃散すれば気体としてのオゾンを分離できることも知られている。
【0005】
従来技術1として、特開2000-64388号公報(特許文献1)が存在する。この特許文献1の発明の名称は「洗浄装置」であり、便器の洗浄と手の洗浄に共通して使用できる洗浄装置を開示している。その要約から明らかなように、食塩水を電気分解することによって、次亜塩素酸を含有する水を、便器と手洗部とに供給して、簡単な構成でトイレの消毒と手の消毒ができる洗浄装置を提案している。
しかし、この洗浄装置で使用される次亜塩素酸はオゾンとは全く異なり、気体としての次亜塩素酸は使用されておらず、次亜塩素酸水が使用されているだけである。従って、トイレ室内に次亜塩素酸水を噴霧するには人手が必ず必要となるため自然には不可能であり、特に、次亜塩素酸水をトイレ空間に噴霧するとトイレ室内の湿気が高くなる弱点がある。同様に、この次亜塩素酸水を湿気を嫌う一般の部屋などの建物内で使用することは問題外と云わざるを得ない。
【0006】
従来技術2として、特開2002-21150号公報(特許文献2)が存在する。この特許文献2の発明の名称は「水洗トイレの洗浄装置」であり、水洗トイレの殺菌、脱臭、漂白などの洗浄を行うオゾンを利用した水洗トイレの洗浄装置を開示している。その要約から明らかなように、オゾン注入部からオゾンを洗浄水タンク内の洗浄水に直接注入し、またオゾン注入部からオゾンを温水タンク内の温水に直接注入し、便器に流出させて便器の殺菌・脱臭・漂白などを行う洗浄装置である。
従って、この洗浄装置は、洗浄水及び温水にオゾンを含有させたオゾン水を使用する洗浄装置に限定されている。オゾン気体でトイレ空間を脱臭除菌する機能は全く有していない。本願発明のように、オゾン気体でトイレ空間等の建物空間を脱臭除菌する機能を有していないことは明らかである。
【0007】
従来技術3として、特開2009-138359号公報(特許文献3)が存在する。この特許文献3の発明の名称は「衛生洗浄装置」であり、オゾン水生成手段により生成したオゾン水を便器内及びトイレ空間内に噴霧して、トイレ空間内と便器の衛生を保つ衛生洗浄装置を提供している。
従って、この衛生洗浄装置では、その請求項1~7の全てがオゾン水に限定されているから、オゾン水をトイレ空間に噴霧するとトイレ室内の湿気が高くなる弱点がある。トイレ空間をオゾン気体で浄化する技術思想は全く存在しないだけでなく、本願発明のように、オゾン気体で一般の建物空間を脱臭除菌する機能を有していないことは明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000-64388号公報
【特許文献2】特開2002-21150号公報
【特許文献3】特開2009-138359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上詳述したように、従来の脱臭除菌装置は、次亜塩素酸水やオゾン水をトイレ空間に噴霧するため、その機構が高価であるだけでなく、トイレ空間の湿気が高くなるという弱点がある。
従って、本発明の目的は、簡易な構造で且つ安価であり、家屋・マンション・ビル・部屋・浴室・トイレ室等の建物一般に使用でき、家庭・職場・公共施設・お店等で利用できる建物内のオゾン脱臭除菌装置を提供するものである。しかも、オゾン気体は、密閉環境においても数時間から十数時間で半減するから、土曜日の晩に開始すれば月曜日の朝にはオゾン気体は消失しているため、極めて安全に建物内のオゾン脱臭除菌作用を効率的に発現させることができる。また、1年に1回以上の大掃除や長期休暇の中で建物内のオゾン脱臭除菌作用を発現させれば、人や動物に対して極めて安全安心なオゾン脱臭除菌を実現することが可能になる。
また、本発明は、家屋・マンション・ビル・部屋・浴室・トイレ室等の建物の建物内をオゾンで脱臭除菌する装置に関し、詳細には、電源部を内部に有した容器本体の下方にある電極突出口から電極構造体を突出させておき、建物内の所要部に配置した蓄水容器に容器内蓄水を蓄水して、電極構造体を蓄水面から容器内蓄水に水没させ、電源部の電圧印加により電極構造体が記容器内蓄水を電気分解してオゾンを発生させ、このオゾンを建物内に放出して建物内の脱臭除菌を行う建物内のオゾン脱臭除菌装置である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、上方を包囲する包囲部と下方に開口した電極突出口を有した容器本体と、前記容器本体内に水の浸入を遮断するために前記電極突出口を閉鎖する突出口閉鎖板と、前記電極突出口から下方に突出した電極構造体と、前記包囲部の内部に配置されて前記電極構造体に電圧を印加する電源部から構成され、建物の建物内に配置された蓄水容器にその上方開口部から蓄水面が露出するように容器内蓄水を蓄水させ、前記電極構造体を前記蓄水面から前記容器内蓄水に水没させ、前記電源部の電圧印加により、前記電極構造体は前記容器内蓄水の電気分解を開始してオゾンを発生させ、このオゾンが前記上方開口部から前記建物内に放出されて建物内の脱臭除菌を行うことを特徴とする建物内のオゾン脱臭除菌装置である。
【0011】
本発明の第2の形態は、前記第1の形態において、前記電極構造体に電圧を印可して前記容器内蓄水の電気分解を実行してオゾンを発生させるオゾン発生回路が前記電源部に接続して設けられる建物内のオゾン脱臭除菌装置である。
【0012】
本発明の第3の形態は、前記第1又は第2の形態において、前記電源部又は前記オゾン発生回路により前記電極構造体に電圧印可を開始してから電圧印加を終了するまでの電圧印加継続時間(即ち、タイマー時間)を設定するタイマー回路が設けられる建物内のオゾン脱臭除菌装置である。
【0013】
本発明の第4の形態は、前記第1~第3のいずれかの形態において、前記電源部又は前記オゾン発生回路からの電圧供給をオンオフするスイッチ回路が設けられ、当該スイッチ回路がオン動作することによって前記電圧供給を開始する建物内のオゾン脱臭除菌装置である。
【0014】
本発明の第5の形態は、前記第1~第3のいずれかの形態において、前記電極構造体が前記容器内蓄水に水没したことを検出する水位センサが設けられ、当該水位センサが前記水没を検出することによって前記電源部又は前記オゾン発生回路からの電圧供給を開始する建物内のオゾン脱臭除菌装置である。
【0015】
本発明の第6の形態は、前記第1~第5のいずれかの形態において、前記容器本体は内部に水が浸入しないように密閉状態に構成され、前記容器本体を前記容器内蓄水の前記蓄水面に浮力で浮遊させて脱臭除菌を実行する建物内のオゾン脱臭除菌装置である。
【0016】
本発明の第7の形態は、前記第1~第5のいずれかの形態において、前記容器本体を前記蓄水容器の内底面に立設部により立設させて脱臭除菌を実行する建物内のオゾン脱臭除菌装置である。
【0017】
本発明の第8の形態は、前記電極構造体が、前記第1~第7のいずれかの形態において、電極間隙を隔てて配置された陽極部材と陰極部材を単位電極体とし、1個の単位電極体又は接続された2個以上の単位電極体から構成される建物内のオゾン脱臭除菌装置である。
【0018】
本発明の第9の形態は、前記第8の形態において、前記陽極部材と前記陰極部材の間の電極間隙に紐状絶縁スペーサを介装して両者間の電気絶縁性を確実化した建物内のオゾン脱臭除菌装置である。
【0019】
本発明の第10の形態は、前記第9の形態において、前記紐状絶縁スペーサがOリング又は紐である建物内のオゾン脱臭除菌装置である。
【0020】
本発明の第11の形態は、前記第1~第10のいずれかの形態において、前記電極構造体は、電極の表面が容器内蓄水に接触する状態で保護体により保護されており、当該保護体により前記容器本体からの抜脱防止を図り、且つ他物品との接触・衝突による毀損防止を図る建物内のオゾン脱臭除菌装置である。
【0021】
本発明の第12の形態は、前記第1~第11のいずれかの形態において、前記電源部は直流電源、電池又は充電自在な二次電池から構成される建物内のオゾン脱臭除菌装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の形態によれば、上方を包囲する包囲部と下方に開口した電極突出口を有した容器本体と、前記容器本体内に水の侵入を遮断するために前記電極突出口を閉鎖する突出口閉鎖板と、前記電極突出口から下方に突出した電極構造体と、前記包囲部の内部に配置されて前記電極構造体に電圧を印加する電源部から構成された建物内のオゾン脱臭除菌装置が提供される。容器本体は包囲部と突出口閉鎖板により完全に密閉されており、内
部に水が浸入しない構造になっている。従って、容器本体の内部には各種部材を水密状態で封入できる空間構造を有している。電極構造体を水に水没させても、電圧を印加する電源部は水からは遮断構造に密封されている。
他方、建物の建物内の所要部には蓄水容器を配置し、蓄水容器の上方は上方開口部により開口されている。蓄水容器の例として、水桶・湯桶・洗面器・鍋・深皿・フライパン・浴室内の浴槽・トイレ室内の手洗部等があり、上方が開口されて水を投入して蓄水できる物なら何でもよい。また、建物とは、戸建て・家屋・連棟式家屋・工場・ビル・マンション・部屋・浴室・トイレ室などオゾン脱臭除菌作用の対象となる総ての建物を含む概念である。
脱臭除菌するときに、上記蓄水容器に上方開口部から水を所定深さまで入水させて容器内蓄水として蓄水させ、その水面が蓄水面となる。当該蓄水面から電極構造体を投入して容器内蓄水に水没させる。電極構造体は水没しても、完全密閉容器である容器本体は蓄水面に浮力で浮遊することができる。また、本体容器を蓄水容器の内底面に立設部を介して立設させても良い。
前記電極構造体の水没状態で、電源部により電圧を印加すると、前記電極構造体は容器内蓄水の電気分解を開始してオゾン、即ちオゾン気体を発生させる。このオゾン気体が蓄水容器の上方開口部から建物内に放出されて建物内の脱臭除菌を行うことができる。
【0023】
本発明の第2の形態によれば、前記電源部にオゾン発生回路を接続し、このオゾン発生回路によりオゾン脱臭除菌装置の下方に突設された電極構造体に電圧を印加する機構が提供される。そして電極構造体が容器内蓄水の電気分解を実行してオゾンを発生させるのである。
前記電源部は、交流電源や直流電源や電池や二次電池などから構成されるから、電極構造体に適切な直流電圧を印加して水の電気分解を最適化させるために上記オゾン発生回路が設けられている。前記電源部が交流電源の場合には、当該オゾン発生回路は直流変換器を有して直流電圧に変換する。また、電源部が出力する直流電圧が大きい等の場合には、オゾン発生回路は最適直流電圧、即ち駆動直流電圧を出力する機能を有する。従って、オゾン発生回路は前記電極構造体に最適な直流電圧を印加して、前記電極構造体が容器内蓄水の電気分解を開始し、生成されたオゾンが蓄水容器の上方開口部から建物内に放出され始め、建物内の脱臭除菌が開始される。即ち、極めて簡単な構成で脱臭除菌が自動的に開始される特徴を有する。
【0024】
本発明の第3の形態によれば、電源部又はオゾン発生回路により電極構造体に電圧印加を開始してから電圧印加を終了するまでの電圧印加継続時間(所謂、タイマー時間)を設定するタイマー回路が設けられる建物内のオゾン脱臭除菌装置を提供できる。
当該タイマー回路は電圧印加継続時間を設定する部材であり、当該電圧印加継続時間は建物の広さに依存し、例えば1分間、3分間、5分間、10分間等が設定される。基本的に、建物の広さが大きくなると大量のオゾンが必要になり、適正なオゾン量を発生するように電圧印加継続時間は合理的に設計される。この電圧印加継続時間はタイマー時間とも称する。
【0025】
本発明の第4の形態によれば、前記電源部又は前記オゾン発生回路からの電圧供給をオンオフするスイッチ回路が設けられ、当該スイッチ回路がオン動作することによって前記電圧供給を開始する建物内のオゾン脱臭除菌装置を提供できる。
当該スイッチ回路は手動スイッチ回路でも光・電波・音波等を使った無線スイッチ回路でも電子回路結線による電子スイッチでも良い。先にスイッチ回路をオンにしてから電極構造体を蓄水面に水没させても良いし、先に電極構造体を蓄水面に水没させてからスイッチ回路をオンにしても良いなど、種々の方法がある。
【0026】
本発明の第5の形態によれば、電極構造体が容器内蓄水に水没したことを検出する水位
センサが設けられ、当該水位センサが前記水没を検出することによって前記電源部又は前記オゾン発生回路からの電圧供給を開始する建物内のオゾン脱臭除菌装置を提供することができる。
当該水位センサの機能は、電極構造体が容器内蓄水に水没したことを検出することであり、電極構造体の全体が水没する場合もあれば、電極構造体が所定深さまで水没、即ち部分水没すれば良いなど、種々の所定水位が存在する。従って、当該水位センサが所定水位を検出すると、前記電源部又は前記オゾン発生回路からの電圧供給を開始して、電極構造体が水の電気分解を開始し、オゾン発生を開始することができる。即ち、電極構造体は、前記作動開始水位の検出により前記容器内蓄水の電気分解を開始して容器内蓄水の中にオゾンを発生させる。このオゾンは気体であり、オゾン気体の浮力により容器内蓄水中を上昇し、蓄水面から上昇分離したオゾン気体が上方開口部から建物内に放出されて、建物内の脱臭除菌を行うことができる。
上記水位センサとしては、非接触センサや接触センサが利用できる。非接触センサとしては、静電容量式センサ、超音波式センサ、電波式センサ、レーザー式センサ、放射線式センサ、重量検出式センサ、水位直視式センサなどを適材適所に使用できる。特に可動部式センサとしてフロート式センサ、ディスプレーサ式センサ、サウンジング式センサ、パドル式センサなどがあり、非可動部式センサとしては電極式センサ、静電容量式センサ、差圧式センサ、ガイドパルス式センサ、光式センサ、振動式センサなどを適材適所に使用できる。
【0027】
本発明の第6の形態によれば、前記容器本体は内部に水が浸入しないように密閉状態に構成され、容器本体を容器内蓄水の蓄水面に浮力で浮遊させて脱臭除菌を実行する建物内のオゾン脱臭除菌装置を提供できる。
第1形態で説明したように、建物には、戸建て・家屋・連棟式家屋・工場・ビル・マンション・部屋・浴室・トイレ室などがある。戸建て・家屋・連棟式家屋・工場・ビル・マンション・部屋・トイレ室といった建物では、蓄水容器として、水桶・湯桶・洗面器・鍋・深皿・フライパン・手洗部等が利用でき、容器内蓄水の深さは比較的浅い。しかし、建物が浴室の場合には、蓄水容器が浴室内の浴槽となり、その容器内蓄水の深さは人が入浴できる程であるから極めて深い。
従って、容器内蓄水の深さが浅い状態から深い状態までの総てに対応するためには、建物内のオゾン脱臭除菌装置の容器本体を容器内蓄水の蓄水面に浮力で浮遊させることが重要になる。そこで、第1形態で述べたように、容器本体は完全に密閉された水密容器であるから、蓄水容器に入水された容器内蓄水の蓄水面に自動的に浮力で浮遊する構造を有している。
【0028】
本発明の第7の形態によれば、容器本体を前記蓄水容器の内底面に立設部により立設させて脱臭除菌を実行する建物内のオゾン脱臭除菌装置を提供できる。
本形態では、容器本体を蓄水容器の内底面に立設部により立設させることによって、容器本体が蓄水容器に対して準固定状態で安定して保持される構成を採用した。従って、オゾン脱臭除菌装置を蓄水容器に対して安定して位置固定させることができる。容器内蓄水が浅い場合や中程度の深さでは、立設部を設けることが容易である。しかし、浴槽のように深い場合には、立設部を設けることが難しくなり、浮遊が適切と考えられる。
【0029】
本発明の第8の形態によれば、前記電極構造体が、電極間隙を隔てて配置された陽極部材と陰極部材を単位電極体とし、1個の単位電極体又は接続された2個以上の単位電極体から構成される建物内のオゾン脱臭除菌装置を提供できる。
容器内蓄水を電気分解してオゾンを発生させるために、電極構造体は電圧を印可する陽極部材と陰極部材を電極間隙を隔てて対向配置させた単位電極体から少なくとも構成する必要がある。また、電気分解能力を増強するために、前記単位電極体を2個以上接続させて電極構造体を構成することもできる。接続形態は、直列接続でも並列接続でもよく、更
には直列接続と並列接続を混在させた直並列接続でも構わない。
【0030】
本発明の第9の形態によれば、前記陽極部材と前記陰極部材の間の電極間隙に紐状絶縁スペーサを介装して両者間の電気絶縁性を確実化した建物内のオゾン脱臭除菌装置を提供できる。
電極間隙を隔てて対向配置された前記陽極部材と前記陰極部材は金属体であるから可動性は極めて低いが、両部材間の絶縁性を確実化するために、本形態では電極間隙に紐状絶縁スペーサを介装させて、両部材の直接接触を物理的に遮断している。これにより容器内蓄水の電気分解を故障なく持続させる作用効果がある。
【0031】
本発明の第10の形態によれば、前記紐状絶縁スペーサがOリング又は紐である建物内のオゾン脱臭除菌装置を提供できる。
電気絶縁性を有したOリングであれば、1個以上、確実には離隔した状態で2個以上のOリングを陽極部材又は陰極部材に巻回するだけで、両部材の物理的接触を簡単に遮断できる。また電気絶縁性を有した紐であれば、1本の紐を陽極部材又は陰極部材に1回以上、確実には離隔した状態で2回以上連続して多重巻回すればOリングと同等の物理的接触の遮断能力を有する。
【0032】
本発明の第11の形態によれば、電極構造体は、電極の表面が容器内蓄水に接触する状態で保護体により保護されており、当該保護体により容器本体からの抜脱防止を図り、且つ他物品との接触・衝突による毀損防止を図る建物内のオゾン脱臭除菌装置を提供できる。
本発明に係る建物内のオゾン脱臭除菌装置の中心部材は電極構造体であり、電極構造体は電極突出口から突出して配置されている。従って、本形態では、電極構造体を保護する保護体を設け、しかも電極構造体が容器内蓄水と大面積で接触するような構造で保護体を配置する。この保護体により、容器本体からの抜脱防止を図り、且つ他物品との接触・衝突による毀損防止を図ることができる。
例えば、電極構造体の突出先端部に保護頭部を被せ、その保護頭部から電極構造体の2面、3面又は4面に沿って2本以上の保護柱部を離間状態で電極突出口方向に立設させて、電極突出口の周りの容器本体の包囲部と結合させる。更に望ましくは、保護頭部や保護柱部から押え部を突設して電極構造体の周面や先端両面を狭持して、電極構造体の揺れを防止することもできる。
【0033】
本発明の第12の形態によれば、電源部は直流電源、電池又は充電自在な二次電池から構成される建物内のオゾン脱臭除菌装置を提供できる。
前述したように、電源部は交流電源や直流電源であればよく、交流電源の場合にはオゾン発生回路に交直変換機能を付設する必要がある。しかし、水を電気分解するためには直流電圧を使用するから、電源部を直流電源にしておけば、直ちに容器内蓄水の電気分解を実行できる。従って、本形態では、電源部は直流電源であり、また最も簡易には電池であっても良く、電池の中でも充電自在な二次電池から構成されれば、本発明のオゾン脱臭除菌装置を最も簡単な構造で安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るオゾン脱臭除菌装置1を蓄水容器5に浮遊又は載置してオゾン発生による脱臭除菌を行う全体説明図である。
【
図2】
図2は、本発明の第2実施形態に係るオゾン脱臭除菌装置1を蓄水容器5に浮遊又は載置してオゾン発生による脱臭除菌を行う全体説明図である。
【
図3】
図3は、本発明に係るオゾン脱臭除菌装置1の具体物の一例を示した外観斜視図である。
【
図4】
図4は、建物40が一般の部屋である場合に洗面器からなる蓄水容器5に本発明に係るオゾン脱臭除菌装置1を配置して部屋内をオゾン脱臭除菌する説明図である。
【
図5】
図5は、建物40が浴室である場合に浴槽からなる蓄水容器5に本発明に係るオゾン脱臭除菌装置1を配置して浴室内をオゾン脱臭除菌する説明図である。
【
図6】
図6は、建物40がトイレ室である場合に手洗部からなる蓄水容器5に本発明に係るオゾン脱臭除菌装置1を配置してトイレ室内をオゾン脱臭除菌する説明図である。
【
図7】
図7は、本発明において1個の単位電極体の実施例である電極構造体2の分解斜視図(7A)及び全体斜視図(7B)である。
【
図8】
図8は、
図7に示した電極構造体2の側面図(8A)及び上面図(8B)である。
【
図9】
図9は、本発明において1個の単位電極体の別実施例である電極構造体2の分解斜視図(9A)及び全体斜視図(9B)である。
【
図10】
図10は、本発明において1個の単位電極体からなる電極構造体2の第1変形例の分解斜視図(10A)及び全体斜視図(10B)、並びに第2変形例の斜視図(10C)及び全体斜視図(10D)である。
【
図11】
図11は、本発明において2個以上の単位電極体からなる電極構造体2の実施例の全体斜視図(11A)及び別実施例の全体斜視図(11B)である。
【
図12】
図12は、本発明において陽極部材21に各種の紐状絶縁スペーサ28を巻回する様々な形態を例示する説明図(12A)~(12D)である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明に係る建物内41のオゾン脱臭除菌装置1の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るオゾン脱臭除菌装置1を蓄水容器5に浮遊又は載置してオゾン発生による脱臭除菌を行う全体説明図である。
オゾン脱臭除菌装置1は、水の浸入が遮断された完全密閉構造の容器本体3と、その中に内包された各種電子部材と、電極構造体2から構成されている。容器本体3は、前記電子部材を密閉状態で包囲する包囲部3aと、電極構造体2を突出させた電極突出口3bと、その電極突出口を水密状態に閉鎖する突出口閉鎖板3dから構成されている。各種電子部材は、タイマー回路16a及びオゾン発生回路16bからなる制御部16と、電源部17とスイッチ回路18から構成されている。
スイッチ回路18は直流電圧を付与する電源部17に対しオンオフ信号を送信する。オフ信号の場合には電源部17は直流電圧をオゾン発生回路16bに付与せず遮断状態になり、オン信号の場合に電源部17は直流電圧をオゾン発生回路16bに付与してオゾンが発生する。オゾン発生回路16bは電源部17からの直流電圧を制御した駆動直流電圧を電極構造体2に供給する。タイマー回路16aは、オゾン発生回路16bが駆動直流電圧を電極構造体2に供給した後、所定の電圧印加継続時間(所謂、タイマー時間)の経過後に駆動直流電圧の印加を遮断する作用を有する。この電圧印加継続時間は使用者が複数段階に設定できるように構成されている。
【0036】
電極構造体2は、U字状に折り曲げられた陰極部材22の中に板状の陽極部材21を相互に接触しない電気絶縁状態で配置されている。その電気絶縁状態を確実化するために、板状の陽極部材21は紐状絶縁スペーサ28で巻回されているから、陽極部材21は紐状絶縁スペーサ28の太さ分だけ陰極部材と離間しており、この離間した薄空間が電極間隙となって電気絶縁状態が確保されている。
建物40の建物内41の所要部には、水からなる容器内蓄水6を所定深さで入水された蓄水容器5が配置されており、容器内蓄水6は蓄水面6aを水面としている。蓄水容器5の上方は建物内41と向き合った上方開口部5aとなっている。
本発明のオゾン脱臭除菌装置1は、電極構造体2が容器内蓄水6に水没した状態になるように、蓄水容器5の内側に配置される。この配置状態で、スイッチ回路18がオン動作すると、オゾン発生回路16bが電極構造体2に対し駆動直流電圧を印加する。この電圧
印加により、容器内蓄水6の電気分解が開始され、オゾン気体が矢印G方向に上昇し、蓄水面6aから矢印H方向に上昇したオゾンは上方開口部5aを介して建物内41に上昇拡散してゆく。このオゾン拡散により、建物内41は脱臭除菌されてゆく。タイマー回路16aにより設定された電圧印加継続時間(タイマー時間)の経過後に電圧印加は終了し、電気分解が終了してオゾン拡散は終了する。電圧印加継続時間(タイマー時間)は複数段階に調整できるから、建物内の広さにより、電圧印加継続時間の長短設定は自在にできるものである。
【0037】
容器本体3は完全密閉状態の密閉容器であるから、オゾン脱臭除菌装置1は容器内蓄水6の蓄水面6aに浮上又は浮遊するのが状態である。ただ、オゾン発生により容器本体3が揺動するのを防止するために、一点鎖線で示すように、立設部3c、3cにより容器本体3を蓄水容器5の内定面5bに立設させて準固定状態に保持することもできる。容器内蓄水6の深さが比較的浅い場合には立設固定することは簡単に行える。蓄水容器5が浴室の浴槽などの場合には、容器内蓄水6が深くなり、立設部3cを配置することが難しくなる傾向にある。
【0038】
図2は、本発明の第2実施形態に係るオゾン脱臭除菌装置1を蓄水容器5に浮遊又は載置してオゾン発生による脱臭除菌を行う全体説明図である。
本発明に係るオゾン脱臭除菌装置1の第2実施形態は、上述した第1実施形態と殆ど同じ構造を有している。第1実施形態と異なる点は、スイッチ回路18が水位センサ12に置き換わっただけである。従って、第1実施形態のスイッチ回路18に対して、第2実施形態の水位センサ12の構成と作用効果を主として説明する。それ以外の構成と作用効果については、上述した第1実施形態と同一であるから、以下ではそれら全ての説明を準用するので、反復記載はしない。
【0039】
図2において、水位センサ12は電極構造体2が容器内蓄水6に水没したことを検出する部材であり、水位センサ12がこの水没状態を検出すると、水位センサ12はオゾン発生回路16bに対して電極構造体2への駆動直流電圧の印加開始信号を送信する。オゾン発生回路16bはこの印加開始信号を受信すると、電極構造体2に対し駆動直流電圧を印加する。この駆動直流電圧を受けて、電極構造体2は容器内蓄水6の電気分解を開始する。この電気分解により、容器内蓄水6は電気分解され、オゾン気体が矢印G方向に放出される。更に、オゾン気体は蓄水面6aから上方開口部5aへと矢印H方向に放出されてゆく。このオゾン気体は建物40の建物内41の全空間へと拡散し、建物内41に対する脱臭除菌作用を開始する。そして、タイマー回路16aが電圧印加継続時間(タイマー時間)の終了信号をオゾン発生回路16bに送信して、オゾン発生回路16bは電極構造体2への駆動直流電圧の印加を終了する。この電圧印加の終了により、容器内蓄水6の電気分解が終了して、オゾン発生は停止し、建物内41の脱臭除菌作用も停止する。
【0040】
以上説明したように、第1実施形態のスイッチ回路18も第2実施形態の水位センサ12も、電圧印加によるオゾン発生の開始をオゾン発生回路16bに送信する手段である。そして、オゾン発生の終了はタイマー回路16aが共通してオゾン発生回路16bに送信するのである。
【0041】
図3は、本発明に係るオゾン脱臭除菌装置1の具体物の一例を示した外観斜視図である。オゾン脱臭除菌装置1の容器本体3の包囲部3aの外形は、容器内蓄水6の蓄水面6aに浮遊しやすいように略球形に形成されている。包囲部3aの下方に電極突出口3bが細長状の穴部として開口されている。この電極突出口3bから電極構造体2が突設されている。この電極構造体2の陰極部材22の表面には多数の孔27が形成されており、この孔27から容器内蓄水6が出入りして電気分解が実行される。
また、電極構造体2を部分的に包囲するように保護体30が配置されている。この保護
体30は、保護穴部32を開口した保護頭部31と脚状に伸びた4本の保護柱部33から構成されている。保護柱部33は脚状であるから、陰極部材22の表面のほぼ全面が容器内蓄水6と接触し、電気分解が効率的に行える構造である。4本の保護柱部33は電極突出口3bの周囲を取り巻くように包囲部3aと連結されている。この保護体30により、電極構造体2は、保護体により前記容器本体からの抜脱防止を図り、且つ物品との接触・衝突による毀損防止を図ることができる。
更に、保護頭部31の保護穴部32を通して容器内蓄水6があ電極内部に流入でき、電気分解を高効率にしている。保護頭部31の下側縁には4個の押え部31が突設され、陰極部材22の両面の夫々が2個の押え部31、31により挟み込まれ、陰極部材22を確実に定位置に固定している。従って、保護体30により、電極構造体2は強固に保護され、長寿命性を確保している。
【0042】
図4は、建物40が一般の部屋である場合に洗面器からなる蓄水容器5に本発明に係るオゾン脱臭除菌装置1を配置して部屋内をオゾン脱臭除菌する説明図である。
蓄水容器5としては、洗面器以外に水桶・湯桶・鍋・深皿・フライパン等、容器内蓄水6を貯留できるものなら何でもよい。オゾン脱臭除菌装置1を蓄水面6aに浮遊させて、容器内蓄水6の電気分解をタイマー回路16aで選択した所定時間だけ実行する。電極構造体2による容器内蓄水6の電気分解により、オゾンが矢印G方向に放出され、蓄水面6aから上方開口部5aを介してオゾン気体が矢印H方向に放出される。このオゾン気体は建物内41の全体に拡散して、建物内41の脱臭除菌を実行する。
【0043】
図5は、建物40が浴室である場合に浴槽からなる蓄水容器5に本発明に係るオゾン脱臭除菌装置1を配置して浴室内をオゾン脱臭除菌する説明図である。
建物40が浴室の場合には、蓄水容器5としては浴槽が使用される。また、容器内蓄水6は浴湯であり、容器内蓄水6は極めて大量で、且つ深さも深いからオゾン脱臭除菌装置1を浮遊させる方法が最適である。オゾン脱臭除菌装置1を蓄水面6aに浮遊させて、容器内蓄水6の電気分解をタイマー回路16aで選択した所定時間だけ実行する。電極構造体2による容器内蓄水6の電気分解により、オゾンが矢印G方向に放出され、蓄水面6aから上方開口部5aを介してオゾン気体が矢印H方向に放出される。このオゾン気体は建物内41、即ち浴室内の全体に拡散して、建物内41即ち浴室内の脱臭除菌を実行する。
【0044】
図6は、建物40がトイレ室である場合に手洗部からなる蓄水容器5に本発明に係るオゾン脱臭除菌装置1を配置してトイレ室内をオゾン脱臭除菌する説明図である。
建物40がトイレ室の場合には、蓄水容器5としては手洗部が使用される。また、容器内蓄水6は水道水であり、手洗部の深さは浅いからオゾン脱臭除菌装置1を浮遊させても良いし、手洗部に準固定しても良い。オゾン脱臭除菌装置1を蓄水面6aに浮遊させて、容器内蓄水6の電気分解をタイマー回路16aで選択した所定時間だけ実行する。電極構造体2による容器内蓄水6の電気分解により、オゾンが矢印G方向に放出され、蓄水面6aから上方開口部5aを介してオゾン気体が矢印H方向に放出される。このオゾン気体は建物内41、即ちトイレ室内の全体に拡散して、建物内41即ちトイレ室内の脱臭除菌を実行する。
【0045】
図7は、本発明において1個の単位電極体の実施例である電極構造体2の分解斜視図(7A)及び全体斜視図(7B)である。
本実施例において、電極構造体2は、矩形板状の陽極部材21と、陽極部材21に電極間隙23を隔てて対面する断面形状がU字型若しくはコの字型の陰極部材22と、陽極部材21と陰極部材22とで挟持された紐状絶縁スペーサ28の1種であるOリング28aから構成される。この1個以上のOリング28aが前記陽極部材21を巻回して配置され、電極間隙23のうち、Oリング28a以外の空間部分には前述した容器内蓄水6が流入する。
陽極部材21には陽極接続突起25が形成され、陰極部材22には陰極接続突起26が形成され、陽極接続突起25と陰極接続突起26に電圧が印加されて容器内蓄水6の電気分解が実行され、水分解によりオゾンが生成される。また、陰極部材22には多数の孔27が開孔形成され、これらの孔27から電極間隙23内に容器内蓄水が流入して、電気分解を効率化しオゾン発生量を増大化させている。
なお、前記Oリング28aや後述する紐28b等の紐状絶縁スペーサ28の材質は、特に限定されるものではないが、フッ素樹脂、軟質フッ素樹脂、バイトンゴム、シリコンゴム、塩ビゴム、エチレンプロピレンゴム等が利用可能であり、耐食性の観点から、フッ素樹脂や軟質フッ素樹脂等が好ましい。
【0046】
図8は、
図7に示した電極構造体2の側面図(8A)及び上面図(8B)である。
図8において、Oリング28aで構成される紐状絶縁スペーサ28は弾性素材からなることが好ましい。その場合、電極構造体2は、紐状絶縁スペーサ28により巻回された陽極部材21と、陰極部材22との挿嵌により構成される。本形態によれば、接着剤をもちいることなく、単なる挿嵌により電極構造体2を構成でき、その構成が紐状絶縁スペーサ28の弾性により維持されるので、構造がシンプルで製造が容易な電極構造体2を有するオゾン脱臭除菌装置1を提供できる。
本発明において、陽極部材21を構成する素材は、導電性を有する限り特に限定されるものではないが、耐食性及びオゾン生成反応の触媒作用の観点から少なくともその表面は白金、イリジウム等の貴金属及びそれらの酸化物、又は、ニオブ酸化物、又は、タンタル酸化物、又は、カーボンを含むことが好ましい。陽極部材21には、陽極接続突起25が延設されている。
本発明において、陰極部材22を構成する素材は、導電性を有する限り特に限定されるものではないが、発生する水素に対して脆化しないという観点から、白金族元素、ニッケル、ステンレス、チタン、ジルコニウム、金、銀、カーボン等が好ましい。陰極部材22には、陰極接続突起26が延設されている。
【0047】
図9は、本発明において1個の単位電極体の別実施例である電極構造体2の分解斜視図(9A)及び全体斜視図(9B)である。
本別実施例の構成と作用効果は、上述の実施例と多くの点で共通するから、相違点を中心に説明する。この別実施例は、
図7及び
図8に示した実施例と陰極部材22の構造のみが異なる。即ち、陰極部材22は2枚の分離した板からなり、これら2枚の板が、紐状絶縁スペーサ28の一例であるOリング28aにより巻回された陽極部材21を挟持することにより電極構造体2が構成される。電極構造体2を構成する各部材は、接着、融着、締着等により互いに固定される。
図9において、陰極部材22は2枚の分離した板からなり、その側面に開口部が2つあるから、電極間隙23に外部から出入りする容器内蓄水6の移動の自由度が大きい。そのため、電極構造体2の外部から容器内蓄水6を電極間隙23内に効率的に導くことができ、又、生成したオゾンを電極間隙23内から電極構造体2の外部へと効率的に送り出すことができるので、オゾン及びオゾン水を効率的に生成することができる。
【0048】
図10は、本発明において1個の単位電極体からなる電極構造体2の第1変形例の分解斜視図(10A)及び全体斜視図(10B)、並びに第2変形例の斜視図(10C)及び全体斜視図(10D)である。
本変形例の構成と作用効果は、
図7に示す実施例と多くの点で共通であるから、相違点を中心に説明する。図(10A)及び図(10B)に示す第1変形例においては、陽極部材21は円柱形状であり、陰極部材22は円筒形状である。Oリング28aで構成される紐状絶縁スペーサ28が陽極部材21の円柱の側面を巻回している。紐状絶縁スペーサ28は、陽極部材21と陰極部材22の間に挟持されており、その配向方向は水平方向と交差する方向である。
図(10C)及び図(10D)に示すように、第2変形例においては、陽極部材21を構成する貴金属等の使用量を節減する観点から、陽極部材21は円筒形状をなしている。なお、陽極部材21を巻回するOリング28aの個数は2個に限られず、1個でもよく、3個以上でもよい。また、陽極部材21を巻回する紐状絶縁スペーサ28は、Oリング28aでなくてもよく、螺旋状に陽極部材21を巻回する後述の紐28bでもよい。また、紐状絶縁スペーサ28は、必ずしも陽極部材21の全周を隙間なく巻回する必要はなく、分離した複数の円弧から構成されていてもよい。また、紐状絶縁スペーサ28は、必ずしも陽極部材21の全周に渡って同じ太さである必要はなく、場所によって太さが異なる紐状絶縁材料から構成されていてもよい。
【0049】
図11は、本発明において2個以上の単位電極体からなる電極構造体2の実施例の全体斜視図(11A)及び別実施例の全体斜視図(11B)である。
図(11A)は、本発明における2個以上の単位電極体からなる電極構造体2の実施例の全体斜視図である。本実施例の構成と作用効果は、既述の実施例と多くの点で共通であるから、相違点を中心に説明する。本実施例は、
図7に示す実施例の変形例である。図(11A)において、電極構造体2は、nを2以上の整数として、紐状絶縁スペーサ28により巻回されたn枚の板状の陽極部材21が、n個の凹部をもつ板状の陰極部材22の凹部にそれぞれ挿嵌されて構成されている。nが2の場合には、陰極部材の断面形状は「wの字型」である。本実施例においては、オゾン生成反応の起きる陽極部材21の表面積が大きくなるので、オゾン及びオゾン水を効率的に生成することができる。
図(11B)は、本発明における2個以上の単位電極体からなる電極構造体2の別実施例の全体斜視図である。本別実施例の構成と作用効果は、既述の別実施例と多くの点で共通であるから、相違点を中心に説明する。本別実施例は、
図9に示す別実施例の変形例である。図(11B)において、電極構造体2は、nを2以上の整数として、紐状絶縁スペーサ28により巻回されたn枚の板状の陽極部材21が、(n+1)枚の板状の陰極部材22の間に挿嵌されて、接着、融着、締着等により各部材が互いに固定されて構成されている。本別実施例においては、オゾン生成反応の起きる陽極部材21の表面積が大きくなるので、オゾン及びオゾン水を効率的に生成することができる。
【0050】
図12は、本発明において陽極部材21に各種の紐状絶縁スペーサ28を巻回する様々な形態を例示する説明図(12A)~(12D)である。
本発明においては、陽極部材21に各種の紐状絶縁スペーサ28を巻回する様々な仕方がある。紐状絶縁スペーサ28としてはOリング28aと紐28bがある。他の条件を一定に保ちつつ、巻回の仕方を変えた各種形態がある。(12A)では2個のOリング28aを斜め巻きしている。(12B)では1本の紐28bをW巻きしている。(12C)では2個のOリング28aを鉛直巻きしている。(12D)では2個のOリング28aを水平巻きしている。これらの各種巻き方を適材適所に実施することができる。
【0051】
本発明は、上記の実施形態や実施例及び変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上詳述したように、本発明に係る建物内のオゾン脱臭除菌装置は、家屋・マンション・ビル・部屋・浴室・トイレ室等の建物の建物内をオゾンで脱臭除菌する装置に関し、詳細には、電源部を内部に有した容器本体の下方にある電極突出口から電極構造体を突出させておき、建物内の所要部に配置した蓄水容器に容器内蓄水を蓄水して、電極構造体を蓄水面から容器内蓄水に水没させ、電源部の電圧印加により電極構造体が記容器内蓄水を電気分解してオゾンを発生させ、このオゾンを建物内に放出して建物内の脱臭除菌を実行する装置である。
従って、本発明に係る建物内のオゾン脱臭除菌装置は、簡易な構造で且つ安価であり、家屋・マンション・ビル・部屋・浴室・トイレ室等の建物一般に使用でき、家庭・職場・公共施設・お店等で広く利用することができる。また、オゾン気体は、密閉環境においても数時間から十数時間で半減するから、土曜日の晩に開始すれば月曜日の朝にはオゾン気体は消失しているため、極めて安全に建物内のオゾン脱臭除菌作用を効率的に発現させることができる。また、1年に1回以上の大掃除や長期休暇の中で建物内のオゾン脱臭除菌作用を発現させれば、人や動物に対して極めて安全安心なオゾン脱臭除菌を実現することが可能になる。
【符号の説明】
【0053】
1 オゾン脱臭除菌装置。
2 電極構造体
3 容器本体
3a 包囲部
3b 電極突出口
3c 立設部
3d 突出口閉鎖板
5 蓄水容器
5a 上方開口部
5b 内底面
6 容器内蓄水
6a 蓄水面
12 水位センサ
16 制御部
16a タイマー回路
16b オゾン発生回路
17 電源部
18 スイッチ回路
21 陽極部材
22 陰極部材
23 電極間隙
25 陽極接続突起
26 陰極接続突起
27 孔
28 紐状絶縁スペーサ
28a Oリング
28b 紐
30 保護体
31 保護頭部
32 保護穴部
33 保護柱部
40 建物
41 建物内
42 便器
43 水タンク
44 排水レバー