(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170058
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】策定システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20221102BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G06Q50/20
G09B19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075933
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】505259516
【氏名又は名称】学校法人国際学園
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 保夫
(72)【発明者】
【氏名】金子 肇
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 由加子
(72)【発明者】
【氏名】蓮田 亮大
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 和範
(72)【発明者】
【氏名】松尾 宏之
(72)【発明者】
【氏名】西永 堅
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】対象者を支援するための方針を指導者によらず適切に策定する。
【解決手段】特性取得部は、対象者の特性に関する特性データを取得する。目標決定部は、特性データに基づいて、複数の成長目標候補の中から対象者の成長目標を決定する。活動決定部は、成長目標に基づいて、複数の活動候補の中から対象者に取り組ませる活動を決定する。支援決定部は、特性データ及び活動の少なくとも一方に基づいて、支援者が活動の取り組みを支援するための支援手段を決定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の支援方針を策定する策定システムであって、
前記対象者の特性に関する特性データを取得する特性取得部と、
前記特性データに基づいて、複数の成長目標候補の中から前記対象者の成長目標を決定する目標決定部と、
前記成長目標に基づいて、複数の活動候補の中から前記対象者に取り組ませる活動を決定する活動決定部と、
前記特性データ及び前記活動の少なくとも一方に基づいて、支援者が前記活動の取り組みを支援するための支援手段を決定する支援決定部と
を備える策定システム。
【請求項2】
前記特性データは多次元のベクトルによって表され、
前記目標決定部は、前記複数の成長目標候補と前記特性データとの関係を表す第1関数によって算出される、前記成長目標候補ごとのレコメンドスコアに基づいて前記成長目標を決定し、
前記活動決定部は、前記成長目標ごとに設定された前記複数の活動候補とレコメンドスコアとの関係を示す第2関数に基づいて前記活動を決定し、
前記支援決定部は、前記活動と前記支援手段との関係を表す第3関数によって算出される、前記支援手段ごとのレコメンドスコアに基づいて前記支援手段を決定する
請求項1に記載の策定システム。
【請求項3】
前記対象者の支援の成果の入力を受け付ける成果入力部と、
前記入力された成果に基づいて、前記第1関数、前記第2関数、及び前記第3関数を更新する更新部を備える
請求項2に記載の策定システム。
【請求項4】
前記支援の成果は、前記成長目標の達成についての評価である
請求項3に記載の策定システム。
【請求項5】
前記第1関数、前記第2関数、及び前記第3関数の少なくとも1つは、複数の異なる評価関数を含み、
前記更新部は、前記入力された成果を異なる基準に基づいて前記複数の評価関数それぞれを更新する、
請求項3または請求項4に記載の策定システム。
【請求項6】
前記特性取得部は、前記対象者の心理検査の結果と、前記対象者の行動観察の結果とに基づいて、前記特性データを生成する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の策定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、策定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発達にアンバランスのある児童生徒の教育において、当該児童生徒の特性により沿った教育を提供するために、指導者が児童生徒別の個別指導計画(IEP:Individualized Education Plan)を作成することが求められている。また、近年、学習者の指導計画の作成を支援する技術が研究されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
個別指導計画を作成するにあたって、目標設定や支援方法の策定は、指導者によって決められる。そのため、個別指導計画が対象の生徒児童(対象者)に適したものとなるか否かは、指導者の経験やセンスに依存してしまう可能性がある。
本発明の目的は、対象者を支援するための方針を指導者によらず適切に策定することができる策定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、策定システムは、対象者の支援方針を策定する策定システムであって、前記対象者の特性に関する特性データを取得する特性取得部と、前記特性データに基づいて、複数の成長目標候補の中から前記対象者の成長目標を決定する目標決定部と、前記成長目標に基づいて、複数の活動候補の中から前記対象者に取り組ませる活動を決定する活動決定部と、前記特性データ及び前記活動の少なくとも一方に基づいて、支援者が前記活動の取り組みを支援するための支援手段を決定する支援決定部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、策定システムは、対象者を支援するための方針を指導者によらず適切に策定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係るIEP策定システムの構成を示す概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係るIEP策定システムのIEP策定時の動作を示すフローチャートである。
【
図3】第1の実施形態に係る成長目標の選択画面の例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る活動の選択画面の例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る支援手段の選択画面の例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係るIEP策定システムの評価時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈第1の実施形態〉
《IEP策定システム100の構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係るIEP策定システム100の構成を示す概略図である。
第1の実施形態に係るIEP策定システム100は、対象者の特性に関する情報の入力を受け付け、IEPを構成する成長目標、活動及び支援手段の選択肢を支援者に提示する。またIEP策定システム100は、提示した選択肢に基づく支援者の入力によって、IEPを生成する。
【0009】
対象者の例としては、発達にアンバランスのある児童生徒が挙げられる。支援者の例としては、対象者を指導する教員が挙げられる。なお、対象者は発達にアンバランスのある児童生徒に限られず、アンバランスの小さい者であってもよいし、児童生徒でない者であってもよい。また支援者は教員に限られず、保護者、支援施設の職員、対象者の上長などであってもよい。IEPは、対象者の支援方針を表す情報である。
【0010】
IEPに係る成長目標は、対象者のねらい、長期目標とも言い換えることができる。IEPに係る活動は、対象者が成長目標の達成のために取り組む活動である。IEPに係る活動は、タスク、短期目標とも言い換えることができる。IEPに係る支援手段は、対象者が活動に取り組むにあたって、支援者が活動の取り組みを支援する方法である。IEPに係る支援手段は、指導方法、支援の手立てとも言い換えることができる。
【0011】
IEP策定システム100は、ウェブサーバにインストールされ、支援者が操作するクライアント端末からのアクセスを受け付ける。
IEP策定システム100は、対象者入力部101、検査結果入力部102、観察結果入力部103、特性取得部104、データベース105、目標決定部106、活動決定部107、条件決定部108、支援決定部109、出力部110、成果入力部111、更新部112を備える。
【0012】
対象者入力部101は、対象者の氏名、所属などの対象者の情報の入力を受け付ける。対象者入力部101は、対象者の情報が入力された場合に、当該対象者のIDを生成し、ID及び入力された情報をデータベース105に記録する。
【0013】
検査結果入力部102は、クライアント端末から、対象者が受検した心理検査の結果の入力を受け付ける。心理検査の例としては、WISC(Wechsler Intelligence Scale for Children)やK-ABC(Kaufman Assessment Battery for Children)などが挙げられる。第1の実施形態に係る心理検査の結果は、複数の項目について数値で表されるものである。すなわち、心理検査の結果は多次元のベクトルで表される。なお、対象者が心理検査を受検していない場合、検査結果入力部102に心理検査の結果の入力がなされなくてもよい。
【0014】
観察結果入力部103は、クライアント端末から、支援者による対象者の行動観察の結果の入力を受け付ける。観察結果の入力は、例えば複数項目のアンケートへの入力によって行われる。アンケートの回答は、YES/NOによる評価であってもよいし、多段階評価であってもよいし、パーセンテージの入力によるものであってもよい。観察結果は多次元のベクトルで表される。
【0015】
特性取得部104は、心理検査の結果と観察結果とに基づいて、対象者の特性を表す特性データを生成する。第1の実施形態に係る特性データは、対象者の認知特性や傾向を表す複数項目のリストによって表される。例えば、特性データは、知的能力、言語能力、視覚認知能力、聴覚認知能力、ワーキングメモリ、処理速度、プランニング、社会的認知能力、固執性、運動機能、不注意傾向、多動傾向/衝動傾向、LD(Learning Disability)傾向、情動のコントロール、自己概念の問題、不安/緊張/対人恐怖、HSP(Highly Sensitive Person)傾向、睡眠リズム、身体的機能障害、及び登校不順/不登校などの項目を有し、各項目について、対象者が苦手とする項目及び不便を感じる項目にTRUEを格納し、そうでない項目にFALSEを格納したデータであってよい。つまり、特性データは多次元のベクトルで表される。
【0016】
特性取得部104は、心理検査の結果及び観察結果を、所定の関数に入力することで特性データの初期値を計算し、クライアント端末に表示させる。なお、心理検査の結果は、特性データの初期値の計算に用いられるが、画面に表示されない。当該関数は、予め、心理検査の結果と、観察結果と、特性データの各項目との関係を重回帰分析によって求めることで得られたものであってよい。特性取得部104は、クライアント端末の操作によって特性データの初期値に対する修正を受け付けることで、特性データを決定する。
【0017】
データベース105は、IEPの生成に用いる複数のデータテーブルを記憶する。具体的には、データベース105は、対象者テーブルと、目標テーブルと、第1活動テーブルと、第2活動テーブルと、第3活動テーブルと、第4活動テーブルと、支援テーブルと、履歴テーブルと、成果テーブルと、未評価テーブルとを記憶する。
【0018】
対象者テーブルは、対象者入力部101に入力された対象者ごとに、対象者のID、氏名、所属、及び特性データを関連付けて記憶する。
【0019】
目標テーブルは、複数の成長目標候補ごとに、特性データの項目別の相関係数を格納する。相関係数は、特性データと、当該特性データに係る対象者による成長目標候補の適正の組み合わせに基づく重回帰分析によって求められる。相関係数は、-1以上+1以下の値によって表され、正の相関を有する場合に正数、負の相関を有する場合に負数、相関がない場合にゼロとなる。目標テーブルは、複数の成長目標候補と特性データとの関係を表す関数の一例である。
【0020】
第1~第4活動テーブルは、複数の活動候補ごとに、当該活動候補によって実現が見込まれる成長目標と、活動候補のレコメンドスコアとを関連付けて格納する。レコメンドスコアは、設定した成長目標の実現に対する活動候補の好ましさを表す値である。レコメンドスコアが高いほどその活動候補が好ましい可能性が高いことを示す。
第1活動テーブルに係るレコメンドスコアは、成長目標と活動候補の組み合わせごとに、当該成長目標に対して当該活動候補が選択された回数に基づく重回帰分析によって求められた値である。
第2活動テーブルに係るレコメンドスコアは、成長目標と活動候補の組み合わせごとに、当該組み合わせに係るIEPに係る対象者が成長目標に向けて取り組んでいる度合いを示す毎日の評価値の平均値に基づく重回帰分析によって求められた値である。
第3活動テーブルに係るレコメンドスコアは、成長目標と活動候補の組み合わせごとに、当該組み合わせに係るIEPに係る対象者が成長目標に向けて取り組んだ結果による、成長目標に対する対象者の状態の変化度合いを表す。具体的には、第3活動テーブルに係るレコメンドスコアは、例えば前年の評価値と今年の評価値の差の平均値に基づく重回帰分析によって求められた値である。なお、評価値の差は、今年の評価値が前年の評価値より高い場合に正の値をとり、今年の評価値が前年の評価値より低い場合に負の値をとる。
第4活動テーブルに係るレコメンドスコアは、成長目標と活動候補の組み合わせごとに、当該組み合わせに係るIEPに係る対象者が成長目標に向けての活動に対する達成感を示す学期の評価値の平均値に基づく重回帰分析によって求められた値である。
第1~第4活動テーブルは、それぞれ複数の活動候補とレコメンドスコアとの関係を示す関数の一例である。
【0021】
支援テーブルは、支援手段候補ごとに、当該支援手段に係る活動と、相関係数とを格納する。支援テーブルには、一の支援手段候補について、複数の活動が関連付けられていてもよい。相関係数は、活動と、対象者に対する支援手段候補の適正の組み合わせに基づく重回帰分析によって求められる。
【0022】
履歴テーブルは、対象者のID、成長目標、活動、実行条件及び支援手段の組み合わせと、設定した成長目標についての適性を示す評価値、設定した成長目標の不適合事由、設定した活動についての適性を示す評価値、設定した活動の不適合事由、設定した支援手段についての適性を示す評価値、及び設定した支援手段の不適合事由を、記憶する。履歴テーブルに格納される評価値は、IEPの適切さを評価する評価値である。
【0023】
成果テーブルは、対象者のID、評価期間、成長目標に対する対象者の達成度合いを示す評価値の組み合わせを記憶する。成果テーブルに格納される評価値は、対象者の成長を評価する評価値である。
【0024】
未評価テーブルは、新たに追加された選択肢を含む成長目標、活動、実行条件の選択肢及び支援手段の選択肢と、成長目標、活動、及び支援手段のそれぞれについての適性を示す評価値を格納する。具体的には、未評価テーブルは、対象者のID、成長目標、活動、実行条件、支援手段及び評価値の組み合わせを記憶する。未評価テーブルに係る成長目標、活動、実行条件及び支援手段の少なくとも1つは、新たに追加された選択肢である。
【0025】
目標決定部106は、特性取得部104が生成した特性データと、データベース105の目標テーブルとに基づいて、成長目標候補別のレコメンドスコアを算出する。ここで、特性データの項目数をAとおき、成長目標候補の数をBとおく場合、特性データはA次元のベクトル、すなわち1×Aの行列として表すことができ、特性データと成長目標候補との相関関係はA×Bの行列として表すことができる。そのため、目標決定部106は、特性データを表すベクトルと、目標テーブルの相関係数を表す行列との乗算を行うことで、成長目標候補別のレコメンドスコアを表すベクトルを得ることができる。
【0026】
目標決定部106は、算出されたレコメンドスコアの降順に成長目標候補を並べた選択画面をクライアント端末に送信する。目標決定部106は、クライアント端末から成長目標候補の選択を受け付け、選択された成長目標候補を成長目標に決定する。なお、目標決定部106は、1つの成長目標候補のみの選択を受け付けてもよいし、複数の成長目標候補の選択を受け付けてもよい。複数の成長目標候補の選択を受け付ける場合、目標決定部106は、1つの成長目標について、活動、条件、及び支援手段を決定した後に、次の成長目標の選択を受け付けてもよい。目標決定部106は、成長目標として成長目標候補に含まれない新たな選択肢の追加を受け付けてもよい。
【0027】
活動決定部107は、データベース105の第1~第4活動テーブルから目標決定部106が決定した成長目標に関連付けられた活動候補を読み出す。活動決定部107は、読み出した活動候補に関連付けられたレコメンドスコアの降順に活動候補を並べた選択画面をクライアント端末に送信する。活動決定部107は、クライアント端末から1つの活動候補の選択を受け付け、選択された活動候補を対象者に取り組ませる活動に決定する。なお、成長目標が複数選択された場合、活動決定部107は、成長目標別に1つずつ活動候補の選択を受け付ける。活動決定部107は、対象者に取り組ませる活動として活動候補に含まれない新たな選択肢の追加を受け付けてもよい。
【0028】
条件決定部108は、データベース105の活動テーブルから活動決定部107が決定した活動に関連付けられた実行条件別の選択肢を読み出す。条件決定部108は、読み出した実行条件別の選択肢に基づいて、実行条件の設定画面をクライアント端末に送信する。実行条件の設定画面には、実行条件ごとに、1つ以上の選択肢の入力を受け付けるチェックボックスが表示され、クライアント端末の操作によって選択肢の選択を受け付ける。条件決定部108は、クライアント端末から実行条件別の選択肢の選択を受け付けることで、活動の実行条件を決定する。条件決定部108は、実行条件として新たな選択肢の追加を受け付けてもよい。
【0029】
支援決定部109は、データベース105の支援テーブルから活動決定部107が決定した活動と、読み出した支援手段候補に係る相関係数とに基づいて、支援手段候補別のレコメンドスコアを算出する。ここで、活動の項目数をCとおき、支援手段候補の数をDとおく場合、活動はC次元のベクトル、すなわち1×Cの行列として表すことができ、活動と支援手段候補との相関係数はC×Dの行列として表すことができる。そのため、支援決定部109は、活動を表すベクトルと、支援テーブルの相関係数を表す行列との乗算を行うことで、支援手段候補別のレコメンドスコアを表すベクトルを得ることができる。
【0030】
支援決定部109は、算出されたレコメンドスコアの降順に支援手段候補を並べた選択画面をクライアント端末に送信する。支援決定部109は、クライアント端末から1つの支援手段候補の選択を受け付け、選択された支援手段候補を支援手段に決定する。なお、成長目標が複数選択された場合、支援決定部109は、成長目標別に支援手段候補の選択を受け付ける。支援決定部109は、支援手段として支援手段候補に含まれない新たな選択肢の追加を受け付けてもよい。
【0031】
出力部110は、目標決定部106が決定した成長目標、活動決定部107が決定した活動、条件決定部108が決定した実行条件、及び支援決定部109が決定した支援手段を含むIEPを、クライアント端末に出力する。また出力部110は、IEPに係る成長目標、活動、実行条件及び支援手段のすべてが選択肢から選択された場合、成長目標、活動、実行条件及び支援手段と対象者のIDとを関連付けてデータベース105の履歴テーブルに記録する。他方、出力部110は、IEPに係る成長目標、活動、実行条件及び支援手段の少なくとも1つが新たに追加された選択肢を示す場合、成長目標、活動、実行条件及び支援手段と対象者のIDとを関連付けてデータベース105の未評価テーブルに記録する。
【0032】
成果入力部111は、IEPの策定後の所定の評価タイミング(例えば、期末など)において、クライアント端末からIEPで設定した成長目標の適性、活動の適性、及び支援手段の適性のそれぞれについて評価値及び不適合事由の入力を受け付ける。不適合事由は、例えばドロップダウンリストやチェックボックスなどによって提示される選択肢から選択される。不適合事由は、評価値が低い場合に入力されればよく、評価値が高い場合には入力されなくてよい。成果入力部111は、履歴テーブルまたは未評価テーブルのうち当該IEPに係るデータに、評価タイミングにおいて入力された評価値を追加する。
【0033】
また、成果入力部111は、例えば、毎日、毎学期に設定される振り返りタイミングにおいて、クライアント端末から対象者の活動の成果報告の入力を受け付ける。具体的には、成果入力部111は、毎日の振り返りタイミングにおいて、対象者がその日に成長目標に向けた取り組めたか否かを表す評価値の入力を受け付ける。また、成果入力部111は、学期の振り返りタイミングにおいて、対象者がその期間において成長目標に向けた取り組めたか否かを表す評価値の入力を受け付ける。なお、学期の振り返りのタイミングにおいて、対象者から、IEPにおいて設定された目標を達成することができたか否かか、目標の達成に対する回答の理由、自分自身の変化を感じたか否かなどの聞き取りを行う。成果入力部111は、当該聞き取り結果を成果テーブルに記録する。また、成果入力部111は、期末の振り返りタイミングにおいて、対象者がその期間において成長目標に向けた取り組めたか否かを表す評価値の入力を受け付ける。成果入力部111は、振り返りタイミングにおいて入力された評価値を、対象者のID及び評価期間に関連付けて成果テーブルに追加する。評価値は、対象者の支援の成果の一例である。
【0034】
更新部112は、成果入力部111への入力によって更新された履歴テーブルのデータに基づいて、目標テーブル、活動テーブル、実行条件テーブル及び支援テーブルを更新する。具体的には、更新部112は、履歴テーブルが保持する評価値をレコメンドスコアに換算することで、特性データ、成長目標、活動、実行条件及び支援手段と、レコメンドスコアとの関係を特定する。なお特性データは、対象者のIDに関連付けて対象者テーブルに記録されている。更新部112は、特性データと、成長目標とに基づく重回帰分析により、特性データと成長目標との相関係数を算出することで、目標テーブルを更新する。具体的には、更新部112は、成長目標を説明変数とし、特性データを目的変数とする重回帰分析により、特性ごとの回帰係数を求めることで、目標テーブルを更新する。更新部112は、、活動と、支援手段とに基づく重回帰分析により、活動と支援手段との相関係数を算出することで、支援テーブルを更新する。
【0035】
更新部112は、成長目標と活動候補の組み合わせごとに、当該成長目標に対して当該活動候補が選択された回数に基づく重回帰分析を行ってレコメンドスコアを求めることで、第1活動テーブルを更新する。更新部112は、成果テーブルに格納された評価期間の長さが1日であるデータに基づいて、成長目標と活動候補の組み合わせごとの、成長目標に向けて取り組んでいる度合いを示す評価値の平均値に基づく重回帰分析によりレコメンドスコアを求め、第2活動テーブルを更新する。更新部112は、成果テーブルのデータに含まれる対象者IDを用いて、履歴テーブルから当該対象者IDが示す対象者の成長目標と活動候補を読み出すことができる。更新部112は、成果テーブルに格納された評価期間の長さが学期であるデータに基づいて、同一の対象者の前年の成長目標に対する対象者の状態を示す評価値と今年の成長目標に対する対象者の状態を示す評価値の差を求め、成長目標と活動候補の組み合わせごとの評価値の差の平均値に基づく重回帰分析によりレコメンドスコアを求めることで、第3活動テーブルを更新する。更新部112は、成果テーブルに格納された評価期間の長さが学期であるデータに基づいて、成長目標と活動候補の組み合わせごとの、成長目標に向けての活動に対する達成感を示す評価値の平均値に基づく重回帰分析によりレコメンドスコアを求め、第4活動テーブルを更新する。
【0036】
《IEP策定時の動作》
図2は、第1の実施形態に係るIEP策定システム100のIEP策定時の動作を示すフローチャートである。
支援者は、クライアント端末を操作し、IEP策定システム100にアクセスを試みる。IEP策定システム100がクライアント端末からのアクセスを受け、IEPの作成リクエストを受け付ける。IEP策定システム100の対象者入力部101は、IEPの作成リクエストに応じてクライアント端末から対象者の情報の入力を受け付ける(ステップS1)。例えば、対象者入力部101は、対象者の情報の入力フォームを生成し、クライアント端末に表示させ、入力された情報を受信する。対象者入力部101は、例えばCSV(Comma Separated Value)などのリストデータによって複数の対象者の情報を一括で受け付けてもよい。対象者入力部101は、クライアント端末から対象者の情報の入力を受け付け、対象者にIDを割り振る。対象者入力部101は、データベース105の対象者テーブルにID及び入力された情報を記録する(ステップS2)。
【0037】
IEP策定システム100は、データベース105の対象者テーブルに記録された複数の対象者の中から、IEPの作成対象となる対象者の選択を受け付ける(ステップS3)。IEP策定システム100の検査結果入力部102は、選択された対象者について、心理検査の結果の入力を受け付ける。なお、必ずしもすべての対象者が心理検査を受検しているとは限らないため、支援者は対象者が心理検査を受検していない場合に心理検査の結果の入力をスキップすることができる。検査結果入力部102は、心理検査の結果の入力がなされたか否かを判定する(ステップS4)。
【0038】
心理検査の結果の入力がある場合(ステップS4:YES)、検査結果入力部102は、クライアント端末から心理検査の結果を取得する(ステップS5)。他方、検査結果入力部102は、心理検査の結果の入力がない場合(ステップS4:NO)、検査結果入力部102は、心理検査の結果を取得せずに処理を進める。
次に、観察結果入力部103は、対象者の観察結果の入力を受け付ける(ステップS6)。
【0039】
特性取得部104は、ステップS5で取得した心理検査の結果とステップS6で取得した観察結果とを、所定の関数に入力することで特性データの初期値を計算し、クライアント端末に表示させる(ステップS7)。なお、心理検査の結果の入力がない場合、特性取得部104は、心理検査の結果の代わりに平均値を用いて特性データの初期値を計算してもよい。また、特性取得部104は、観察結果から心理検査の結果を予測するモデルによって観察結果から予測された心理検査の結果を用いて特性データの初期値を計算してもよい。観察結果から心理検査の結果を予測するモデルは、例えば観察結果のサンプルと心理検査の結果のサンプルとを用いた機械学習によって学習されたものであってよい。
特性取得部104は、クライアント端末から特性データの修正を受け付ける(ステップS8)。これにより特性取得部104は、特性データを決定する。特性取得部104は、決定した特性データをデータベース105の対象者テーブルのうち、当該対象者のIDに関連付けられたタプルに追加する。
【0040】
次に、目標決定部106は、ステップS8で決定した特性データと、データベース105の目標テーブルとに基づいて、成長目標候補別のレコメンドスコアを算出する(ステップS9)。目標決定部106は、算出されたレコメンドスコアの降順に成長目標候補を並べた選択画面をクライアント端末に送信する(ステップS10)。
図3は、第1の実施形態に係る成長目標の選択画面の例を示す図である。成長目標の選択画面には、成長目標を選択するためのプルダウンメニューが表示され、プルダウンメニューにレコメンドスコアの降順に成長目標候補が表示される。また、目標決定部106は、前回の期末の振り返りにおいて、対象者にとって必要であると回答された成長目標については、レコメンドスコアによらず、成長目標候補の上位に表示させる。また、プルダウンメニューは、自由入力によって新規な成長目標候補の入力を受け付けることができる。目標決定部106は、クライアント端末から成長目標候補の選択を受け付け、選択された成長目標候補を成長目標に決定する(ステップS11)。
【0041】
次に、活動決定部107は、データベース105の第1~第4活動テーブルからステップS11で決定した成長目標に関連付けられた活動候補を読み出す(ステップS12)。活動決定部107は、第1~第4活動テーブルのそれぞれについて、読み出した活動候補に関連付けられたレコメンドスコアの降順に活動候補を並べた選択画面をクライアント端末に送信する(ステップS13)。
図4は、第1の実施形態に係る活動の選択画面の例を示す図である。活動決定部107は、各活動テーブルに基づく活動候補を、それぞれ提示する。
図4において、第1活動テーブルに基づく活動候補は、重回帰分析によるレコメンドというラベルが付されたドロップダウンリストに表示される。第2活動テーブルに基づく活動候補は、毎日評価平均というラベルが付されたドロップダウンリストに表示される。第3活動テーブルに基づく活動候補は、変化値というラベルが付されたドロップダウンリストに表示される。第4活動テーブルに基づく活動候補は、期末振り返りというラベルが付されたドロップダウンリストに表示される。なお、第2~第4活動テーブルに基づく活動候補の提示は、対象者または支援者の実感に則した提示となる。活動決定部107は、クライアント端末から1つの活動候補の選択を受け付け、選択された活動候補を対象者に取り組ませる活動に決定する(ステップS14)。具体的には、支援者は、4つのドロップダウンリストを参照して活動候補を選択し、表示された活動候補を採用するドロップダウンリストに関連付けられたチェックボックスにチェックを入れることで、1つの活動候補を選択する。また、活動候補を並べた選択画面には、活動の内容を自由入力可能なテキストボックスが含まれ、当該テキストボックスへの入力によって新規な活動の入力を受け付けることができる。
【0042】
次に、条件決定部108は、データベース105の活動テーブルからステップS14で決定した活動に関連付けられた実行条件別の選択肢を読み出す(ステップS15)。条件決定部108は、クライアント端末から実行条件の修正を受け付け、活動の実行条件を決定する(ステップS16)。
【0043】
支援決定部109は、データベース105の支援テーブルから活動決定部107が決定した活動に関連付けられた支援手段候補を読み出す(ステップS17)。支援決定部109は、活動決定部107が決定した活動と、読み出した支援手段候補に係る相関係数とに基づいて、支援手段候補別のレコメンドスコアを算出する(ステップS18)。支援決定部109は、算出されたレコメンドスコアの降順に支援手段候補を並べた選択画面をクライアント端末に送信する(ステップS19)。
図5は、第1の実施形態に係る支援手段の選択画面の例を示す図である。
図5に示すように、支援手段候補を並べた選択画面には、チェックボックスを伴う支援手段候補のリストが表示される。支援手段候補には、当該支援手段が不適合であったIEPにおける不適合事由が表示される。これにより、支援者は、レコメンドスコア順に並べられた支援手段候補を、不適合事由と共に確認することができる。また、支援決定部109は、支援者から心理検査に基づく支援の指針の表示要求を受け付けると、データベース105から当該対象者の心理検査の結果を読み出し、心理検査の結果に基づく支援手段の策定指針を提示する。支援手段の策定指針として、例えばWISCのアセスメントなどが挙げられる。このとき、支援決定部109は、対象者のWISCの結果そのものは表示させない。支援決定部109は、クライアント端末から1つ以上の支援手段候補の選択を受け付け、選択された支援手段候補を支援手段に決定する(ステップS20)。また、支援決定部109は、選択された支援手段候補ごとに、支援条件の設定を受け付けることができる。
【0044】
出力部110は、IEPに係る成長目標、活動、実行条件及び支援手段の少なくとも1つについて、既存の選択肢にない新規の選択肢が入力されたか否かを判定する(ステップS21)。すべての項目が既存の選択肢から選択された場合(ステップS21:NO)、出力部110は、成長目標、活動、実行条件及び支援手段と対象者のIDとを関連付けてデータベース105の履歴テーブルに記録する(ステップS22)。他方、少なくとも1つの項目について既存の選択肢にない値が入力された場合(ステップS21:YES)、出力部110は、成長目標、活動、実行条件及び支援手段と対象者のIDとを関連付けてデータベース105の未評価テーブルに記録する(ステップS23)。
【0045】
出力部110は、目標決定部106が決定した成長目標、活動決定部107が決定した活動、条件決定部108が決定した実行条件、及び支援決定部109が決定した支援手段を含むIEPを、クライアント端末に出力する(ステップS24)。
これにより、支援者は対象者の特性に応じた適切なIEPを容易に作成することができる。これは、IEPを構成する成長目標、活動、実行条件及び支援手段がそれぞれ対象者の特性に適した順に提示されるため、支援者は提示された選択肢の上位のものを選択することで、経験やセンスによらず、適切なIEPを作成することができる。他方、IEP策定システム100は、選択肢の上位のものを自動的に選択せず、支援者からの選択を受け付けることによって、経験豊富な支援者のセンスを織り込んだIEPの策定を妨げない。
【0046】
《評価時の動作》
図6は、第1の実施形態に係るIEP策定システム100の評価時の動作を示すフローチャートである。
支援者は、策定したIEPに基づいて対象者の支援を行う。IEPの策定後の所定の評価タイミングにおいて、支援者は、IEPにおいて設定した成長目標に対する対象者の状況を評価する。支援者は、クライアント端末を操作し、IEP策定システム100にアクセスを試みる。IEP策定システム100がクライアント端末からのアクセスを受け、評価リクエストを受け付ける。IEP策定システム100は、データベース105の対象者テーブルに記録された複数の対象者の中から、評価対象となる対象者の選択を受け付ける(ステップS51)。IEP策定システム100の成果入力部111は、クライアント端末からIEPで設定した成長目標に対する対象者の成長度合いを示す評価値の入力を受け付ける(ステップS52)。評価値は、例えば10点満点で、成長目標を達成した場合に5、成長目標を上回った場合に6~10、成長目標に到達しない場合に0~4を設定する。成果入力部111は、履歴テーブル又は未評価テーブルにおいてステップS51で受け付けた対象者のIDに関連付けられたタプルに、入力された評価値を記録する(ステップS53)。
【0047】
更新部112は、履歴テーブルが保持する対象者の成長度合い、活動の実施状況、及び支援手段の有効性についての評価値をそれぞれレコメンドスコアに換算する(ステップS54)。更新部112は、特定した成長度合いに係るレコメンドスコアと、特性データと、成長目標とに基づく重回帰分析により、特性データと成長目標との相関係数を算出することで、目標テーブルを更新する(ステップS55)。更新部112は、活動ごとに、活動の実施状況に係るレコメンドスコアの平均値を求めることで、活動テーブルを更新する(ステップS56)。更新部112は、特定した支援手段の有効性に係るレコメンドスコアと、活動と、支援手段とに基づく重回帰分析により、活動と支援手段との相関係数を算出することで、支援テーブルを更新する(ステップS57)。
【0048】
これにより、IEP策定システム100は、支援者によって評価の入力がなされるたびに、データベース105が記憶するデータテーブルを更新することができる。つまり、IEP策定システム100は、支援者による評価の入力によって、IEPの各項目のレコメンドの精度を向上させることができる。
第1の実施形態に係るIEP策定システム100は、成長目標の適切さ、活動の適切さ、及び支援手段の適切さのそれぞれについての評価値の入力を受け付ける。一方で、他の実施形態に係るIEP策定システム100は、成長目標の適切さ、活動の適切さ、実行条件の適切さ、及び支援手段の適切さのそれぞれを評価させるのではなく、成長目標に対する対象者の成長度合いを評価させてもよい。例えば対象者がIEPで設定した成長目標に達しなかった場合に、成長目標、活動、実行条件及び支援手段の何れが不適切であったかを判断することは支援者にとって困難であり、また支援者の経験とセンスに依存する可能性がある。一方で、成長目標に対する対象者の成長度合いは、対象者の特性と、成長目標、活動、実行条件及び支援手段との関係によって表れることから、支援者にとって比較的定量化しやすい成長目標に対する対象者の成長度合いを評価値に取り、各項目の相関性を解析することで、支援者の経験とセンスによらずにデータベース105を更新することができる。
【0049】
支援者は、評価値が低い場合に、
図2に示すフローチャートの処理により、再度IEPの策定を行ってもよい。
【0050】
なお、未評価テーブルに記録されたデータは、データベース105に自動的に反映させず、まず専門家による検証がなされる。その後、専門家によって新たに追加された選択した尤もらしいものであると判断された場合に、未評価テーブルに一定量のデータが蓄積された後に、未評価テーブルに蓄積されたデータに基づいてレコメンドスコア及び相関係数を算出し、データベース105の各データテーブルに追加される。
【0051】
また、第1の実施形態に係るIEP策定システム100の目標決定部106は、前回の期末の振り返りにおいて、対象者にとって必要であると回答された成長目標については、レコメンドスコアによらず、成長目標候補の上位に表示させる。重回帰分析の結果、IEP策定システム100によって対象者に必要な成長目標でない(例えば、既に対象者が所定の成長程度に達している)と判断されたとしても、対象者にとっては、当該成長目標が設定されていることにより安心感を持つことができる重要な成長目標である可能性がある。そのため、目標決定部106は、前回の期末の振り返りにおいて、対象者にとって必要であると回答された成長目標について、レコメンドスコアによらずに提示することで、対象者にとって重要である可能性のある成長目標が選択肢から除外されることを防ぐことができる。なお、IEP策定システム100は、成長目標に限らず、活動や支援手段についても、同様に対象者が必要であると認識しているものを、レコメンドスコアによらずに提示してよい。
【0052】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0053】
上述した実施形態に係るIEP策定システム100は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、IEP策定システム100の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することでIEP策定システム100として機能するものであってもよい。また上述した実施形態に係るIEP策定システム100は、サーバ装置として機能するが、これに限られず、ローカルコンピュータにインストールされるソフトウェアによって実現されるものであってもよい。
【0054】
上述した実施形態に係る多変量解析手法の例として重回帰分析を挙げたが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るIEP策定システム100は、多変量解析において因子分析や回帰モデルに係る教師あり機械学習を用いてもよい。
【0055】
上述した実施形態に係る活動テーブルおよび実行条件テーブルは、レコメンドスコアを直接格納するが、これに限られない。例えば他の実施形態に係る活動テーブルおよび実行条件テーブルは、目標テーブルのように特性データとの関係を表す相関係数を格納するものであってもよい。
【0056】
上述した実施形態に係るIEP策定システム100は、決定した活動に基づいて支援手段の候補を決定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るIEP策定システム100は、支援手段を活動及び特性データの両方に基づいて決定してもよい。具体的には、支援テーブルが、支援手段候補ごとに、当該支援手段に係る活動と、特性データの項目別の相関係数とを格納するものであってよい。この場合、相関係数は、特性データと、当該特性データに係る対象者に対する支援手段候補の適正の組み合わせに基づく重回帰分析によって求められる。また、この場合、支援決定部109は、データベース105の支援テーブルから活動決定部107が決定した活動に関連付けられた支援手段候補を読み出す。支援決定部109は、特性取得部104が生成した特性データと、読み出した支援手段候補に係る相関係数とに基づいて、支援手段候補別のレコメンドスコアを算出する。また例えば、他の実施形態に係るIEP策定システム100は、検査結果入力部102に入力された心理検査の結果に基づいて一義的に支援手段を決定してもよい。
【0057】
上述した実施形態に係る特性取得部104は、特性データとしてTRUE/FALSEの1ビットの値を項目ごとに格納したデータを用いるがこれに限られない。例えば、他の実施形態に係る特性データは、各項目に整数値や小数値を保持するものであってよい。このとき、特性データは予め意味を設定された複数の項目を表すものではなく、例えば心理検査の結果及び観察結果に主成分分析によって次元削減処理を施したデータであってもよい。
【0058】
上述した実施形態に係るIEP策定システム100は、評価値として10点満点評価に係る値の入力を受け付けるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るIEP策定システム100は、対象者の成長度合いに係る複数の項目の質問事項を含むアンケートへの回答によって計算されるものであってもよいし、パーセンテージによるものであってもよいし、前回の成長度合いに対する相対評価によるものであってもよい。
【0059】
〈コンピュータ構成〉
IEP策定システム100は、バスで接続されたプロセッサ、メモリ、補助記憶装置などを備え、プログラムを実行することによって各処理部の機能を備える装置として機能する。プロセッサの例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
なお、IEP策定システム100の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)等のカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を用いて実現されてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
100…IEP策定システム 101…対象者入力部 102…検査結果入力部 103…観察結果入力部 104…特性取得部 105…データベース 106…目標決定部 107…活動決定部 108…条件決定部 109…支援決定部 110…出力部 111…成果入力部 112…更新部