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特開2022-170060生育状況評価システム、生育状況評価装置、生育状況評価方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170060
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】生育状況評価システム、生育状況評価装置、生育状況評価方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075936
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】519314722
【氏名又は名称】株式会社天地人
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】百束 泰俊
(72)【発明者】
【氏名】櫻庭 康人
(57)【要約】
【課題】 農業従事者に対して安価にかつタイムリーに特定の農地における農作物の生育状況を提供する。
【解決手段】 人工衛星において撮影された、農地を囲むように配置されたマーカを含む地表の画像を取得する取得部と、取得された前記画像から前記マーカの光点を検出し、前記光点によって囲まれる領域を前記画像から切り出す切出部と、切り出された前記画像に基づいて、前記農地に植生された農作物の成長段階を評価する評価部と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工衛星において撮影された、農地を囲むように配置されたマーカを含む地表の画像を取得する取得部と、
取得された前記画像から前記マーカの光点を検出し、前記光点によって囲まれる領域を前記画像から切り出す切出部と、
切り出された前記画像に基づいて、前記農地に植生された農作物の成長段階を評価する評価部と、
を含むことを特徴とする生育状況評価装置。
【請求項2】
前記地表の画像は、前記人工衛星に搭載された能動型マイクロ波センサによって撮影された画像であること、
を特徴とする請求項1に記載の生育状況評価装置。
【請求項3】
前記評価部は、切り出された前記画像と、前記農作物の成長段階に対応する参照画像と、を比較し、比較結果に基づいて前記成長段階を評価すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の生育状況評価装置。
【請求項4】
前記成長段階の評価結果を、温度履歴及び降水量履歴のいずれかを少なくとも含む天候情報とともに表示する表示部を更に含むこと、
を特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の生育状況評価装置。
【請求項5】
生育状況評価装置に対して、
人工衛星において撮影された、農地を囲むように配置されたマーカを含む地表の画像を取得する手順と、
取得された前記画像から前記マーカの光点を検出し、前記光点によって囲まれる領域を前記画像から切り出す手順と、
切り出された前記画像に基づいて、前記農地に植生された農作物の成長段階を評価する手順と、
を含む手順を実行させることを特徴とする生育状況評価方法。
【請求項6】
生育状況評価装置に対して、
人工衛星において撮影された、農地を囲むように配置されたマーカを含む地表の画像を取得する手順と、
取得された前記画像から前記マーカの光点を検出し、前記光点によって囲まれる領域を前記画像から切り出す手順と、
切り出された前記画像に基づいて、前記農地に植生された農作物の成長段階を評価する手順と、
を含む手順を実行させるためのプログラム。
【請求項7】
地表を撮影する人工衛星と、前記地表中の農地を囲むように配置されたマーカと、生育状況評価装置と、を含む生育状況評価システムであって、
前記生育状況評価装置は、
人工衛星において撮影された前記地表の画像を取得する取得部と、
取得された前記画像から前記マーカの光点を検出し、前記光点によって囲まれる領域を前記画像から切り出す切出部と、
切り出された前記画像に基づいて、前記農地に植生された農作物の成長段階を評価する評価部と、
を含むことを特徴とする生育状況評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生育状況評価システム、生育状況評価装置、生育状況評価方法及びプログラムに関し、特に、衛星画像に基づいて農作物の生育状況を評価する生育状況評価システム、生育状況評価装置、生育状況評価方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、人工衛星等の飛翔体に搭載され、撮影対象地域の地表面を広範囲にわたり撮影して地表の状況を取得するレーダ装置により得られるレーダ画像データを利用して、植生の生育状況を解析する技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-117327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある農地における農作物の生育状況を知るためには、レーダ画像データからその農地に対応する領域を指定ないし抽出する必要があるところ、かかる作業は、幾何補正、緯度経度による画像指定といった手間・コストの掛かる作業である。それゆえ、この種のサービスは、コスト面でもスピード面でも、農業従事者が気軽に利用できるものではなかった。
【0005】
そこで、本発明は、農業従事者に対して安価にかつタイムリーに特定の農地における農作物の生育状況を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決すべく、本発明の第1の態様は、
人工衛星において撮影された、農地を囲むように配置されたマーカを含む地表の画像を取得する取得部と、
取得された前記画像から前記マーカの光点を検出し、前記光点によって囲まれる領域を前記画像から切り出す切出部と、
切り出された前記画像に基づいて、前記農地に植生された農作物の成長段階を評価する評価部と、
を含むことを特徴とする生育状況評価装置
を提供する。
【0007】
本発明の生育状況評価装置では、
前記地表の画像が、前記人工衛星に搭載された能動型マイクロ波センサによって撮影された画像であること、
が好ましい。
【0008】
また、本発明の生育状況評価装置では、
前記評価部が、切り出された前記画像と、前記農作物の成長段階に対応する参照画像と、を比較し、比較結果に基づいて前記成長段階を評価すること、
が好ましい。
【0009】
また、本発明の生育状況評価装置は、
前記成長段階の評価結果を、温度履歴及び降水量履歴のいずれかを少なくとも含む天候情報とともに表示する表示部を更に含むこと、
が好ましい。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、
生育状況評価装置に対して、
人工衛星において撮影された、農地を囲むように配置されたマーカを含む地表の画像を取得する手順と、
取得された前記画像から前記マーカの光点を検出し、前記光点によって囲まれる領域を前記画像から切り出す手順と、
切り出された前記画像に基づいて、前記農地に植生された農作物の成長段階を評価する手順と、
を含む手順を実行させることを特徴とする生育状況評価方法
を提供する。
【0011】
また、本発明の第3の態様は、
生育状況評価装置に対して、
人工衛星において撮影された、農地を囲むように配置されたマーカを含む地表の画像を取得する手順と、
取得された前記画像から前記マーカの光点を検出し、前記光点によって囲まれる領域を前記画像から切り出す手順と、
切り出された前記画像に基づいて、前記農地に植生された農作物の成長段階を評価する手順と、
を含む手順を実行させるためのプログラム
を提供する。
【0012】
また、本発明の第4の態様は、
地表を撮影する人工衛星と、前記地表中の農地を囲むように配置されたマーカと、生育状況評価装置と、を含む生育状況評価システムであって、
前記生育状況評価装置は、
人工衛星において撮影された前記地表の画像を取得する取得部と、
取得された前記画像から前記マーカの光点を検出し、前記光点によって囲まれる領域を前記画像から切り出す切出部と、
切り出された前記画像に基づいて、前記農地に植生された農作物の成長段階を評価する評価部と、
を含むことを特徴とする生育状況評価システム
を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、農業従事者に対して安価にかつタイムリーに特定の農地における農作物の生育状況を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の代表的な実施形態に係る生育状況評価システム1の概略図である。
図2】農作物Gの成長段階と各成長段階に対応する衛星画像Pとの関係の一例を示す図である。
図3】生育状況評価システム1に含まれる人工衛星10、ターゲットマーカ20及び生育状況評価装置30の模式図である。
図4】ターゲットマーカ20の一例を示す概略図である。
図5】衛星画像Pから、図1の農地Aに対応する領域AAを切り取る手法の概略を示す図である。
図6】評価結果の表示の一例を示す図である。
図7】生育状況評価システム1の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の代表的な実施形態に係る生育状況評価システム、生育状況評価装置、生育状況評価方法及びプログラムを、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本発明はこれら図面に限定されるものではない。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。
【0016】
1.生育状況評価システムの全体像
本実施形態は、農業従事者(特に農家及び農業法人)に向けた生育状況の提供、収穫時期の予測を提供するべく、ターゲットマーカ(以下、マーカと略す。)を通じて簡易的に農地単位の衛星画像を自動的・継続的に取得し、それら画像を活用した営農支援ソリューションを提供する。
【0017】
図1に示すように、生育状況評価システム1は、人工衛星10、マーカ20及び生育状況評価装置30を含んで構成されている。なお、ユーザ端末40は、農家や農業法人の利用する複数の端末を一括して表したものである(図3参照)。
【0018】
マーカ20は、地表S中の農地Aを囲むように配置される、電波的な「鏡」のようなハードウェアである。あるいは、マーカ20は、農地Aの頂点をなす位置に配置されると言ってもよい。マーカ20の詳細については追って述べる。
【0019】
人工衛星10は、地表Sに向けて電波を照射し、地表Sからの反射波を受信し、受信した反射波に基づいて画像、すなわち衛星画像Pを生成する(図5参照)。衛星画像Pにはマーカ20の光点Qが現れることになる。人工衛星10の詳細については追って述べる。
【0020】
生育状況評価装置30は、衛星画像Pから、マーカ20の光点Qによって囲まれた領域AAを農地Aの画像として切り出し、切出した画像に基づいて農作物Gの生育状況を評価する。生育状況評価装置30の詳細は追って述べる。
【0021】
2.人工衛星
人工衛星10は、観測センサとして能動型のマイクロ波センサを搭載している。従って、人工衛星10は、そのアンテナよりマイクロ波を地表Sに照射し、その電波の反射強度を計測することにより、地表面の画像化を行うことができる。本実施形態では、観測センサとして合成開口レーダ(SAR: Synthetic Aperture Radar)を想定しているが、本発明はこれに限られない。
【0022】
SARセンサにより得られる画像データは、「触覚」と称され、例えば農地の場合は、稲の穂が実ればザラザラして見えたり、果樹の葉が据えればパラパラして見えたりするため、農作物Gの変化の継続的な把握、つまり生育状況の把握に好適である。
【0023】
マイクロ波は、波長の長い順に、Pバンド、Lバンド、Cバンド、Xバンド等に分類されるところ、合成開口レーダでは、周波数の比較的高いLバンド、Cバンド、Xバンドがマイクロ波リモートセンシングのために利用されている。低い周波数のマイクロ波ほど透過能力が高く、雲だけでなく植生の中にも浸透することができ、しかも高い分解能を有する。
【0024】
したがって、SARセンサを用いることで、対象物の有無及び変化、対象物の材質(人工物か自然物か水か)、土壌水分といった情報を得ることができる。また、SARセンサには、地表Sが雲で覆われていても、また夜間でも撮影できるといった利点があり、同じ条件(同じ日時)で撮影するので比較しやすい。それゆえ、図2に示すように、SARセンサで継続的に繰り返し撮影して、生長に伴う散乱パターンの違い(反射強度の違い)に基づいて農作物Gの生育状況を把握することができる。
【0025】
3.ターゲットマーカ(マーカ)
マーカ20は、人工衛星10から送信された電波を反射させて、電波の来た方向にそのまま折り返す機能を待つ。マーカ20としては、四角形タイプ、三角形タイプを想定するが、これに限られない。
【0026】
マーカ20の寸法は、電波特性の評価及び衛星との回線設計に応じて適宜設定することができるが、可搬性の観点からは、外形150cm~50cmが好ましく、中でも100cm~60cm程度が好ましい。
【0027】
マーカ20には、軽量化や屋外利用(雨がたまるのを防いだり、風の影響を軽減したりするため)の観点から、図4のように穴21Aを形成することが好ましい。穴21Aの径としては、電波を逃さず反射させるために波長の1/5~1/10が好ましい。例えばSAR衛星では、QPS衛星の周波数帯がXバンド(2.4cm~3.75cm)であり、ALOS衛星の周波数帯がLバンド(15cm~30cm)であることを考慮し、穴21Aの径を、それぞれ2.4mm~7.5mm程度、15mm~100mm程度とすることが好ましい。中でも、穴21Aの径は、Xバンドに対して4mm~6mm、Lバンドに対して30mm~50mmであることが好ましい。
【0028】
マーカ20の本体21は、地表Sに設置されてもよいし、図4に示すように台座22(三脚などを含む)上に載置されてもよい。台座22を利用することで、マーカ20の本体21が、人工衛星10から見て、生長した農作物Gに隠されることを防止することができる。
【0029】
マーカ20は、1つの農地Aを面方向において特定できる個数であればよく、少なくとも3個以上、好ましくは4個以上であればよく、例えば、農地Aの形状(頂点の数)に応じた数のマーカ20が使用されてよい。また、農地Aの1つの頂点に設置されるマーカ20については、1ユニット形態での使用を想定する。もっとも、将来SAR衛星の数が増え、地上から見たときに衛星が様々な方角から飛来することを考慮して、複数ユニット(例えば4ユニット)を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
マーカ20の素材は、人工衛星10からの電波を反射するものであれば何でもよいが、ステンレス鋼が好適である。また、可搬性を考慮し、マーカ20は組立式とすることが望ましい。
【0031】
4.生育状況評価装置
生育状況評価装置30は、CPU、RAM、ROM、通信ユニットを含む、1台又は複数台のコンピュータとして構成される。かかる生育状況評価装置30は、取得部31、切出部32、評価部33、表示部34及び記憶部35の各機能部を含む。生育状況評価装置30では、CPUが、ROMに記憶されたプログラム及び各種データをRAMに読み出して実行することで、後述する各種機能が実現される。
以下、各機能部を詳細に説明する。
【0032】
取得部31は、人工衛星10において撮影された衛星画像Pを、人工衛星10から直接に又はサーバ等の他の機器を経由して取得する。図5に示すように、衛星画像Pには、マーカ20に由来する明るい点(光点Q)が映し出されている。取得部31は、一定の時間間隔(例えば1日ごと、数日ごと、一週間ごと)で衛星画像を取得することが好ましい。
【0033】
切出部32は、衛星画像Pから光点Qで囲まれた領域AAを切り出し、切り出した画像を記憶部35に記憶する。切り出された画像は、農地Aに対応している。
【0034】
評価部33は、切り出された画像を参照画像と比較し、農作物Gの成長段階を評価する。参照画像は、各成長段階で撮影された農作物Gの画像であり(図2参照)、予め記憶部35に記憶されている。切り出された画像と参照画像との比較は、例えば、両画像のスペクトル、ヒストグラム、明度、輝度などの特徴量が許容誤差の範囲内かどうかにより行われてよい。
【0035】
したがって、評価部33は、切り出された画像を参照画像と比較することで、農作物Gの成長段階を把握することができるとともに、農作物Gの収穫時期を予測することができる。なお、農作物Gの成長段階は、例えば、収穫時期を迎えた農作物のステージを100%とする成長割合として表されてもよいし、5段階、10段階のような段階表示でもよい(図6参照)。
【0036】
評価部33はまた、所定の時間間隔ごとの農作物Gの成長段階を踏まえ、農作物Gの生育の早さ(通常のペースと同程度、進んでいる、遅れているなど)を評価してもよい。かかる評価に際し、評価部33は、過去の気象データ(気温、日射量、雨量など)及び気象予測を参照してもよい。
【0037】
表示部34は、評価部33の評価結果を表示するべく出力する。表示部34は、自らのディスプレイに評価結果を表示させてもよいし、他の端末(例えば農家や農業法人に設置されているユーザ端末40)のディスプレイに評価結果を表示させてもよい。したがって、ユーザ(農家や農業法人)は、農作物Gの生育状況や収穫時期を把握することができる。
【0038】
表示部34は、例えば図6のように、評価結果を温度履歴、降水量履歴等と一括表示してもよい。表示部34はまた、例えば農作物Gの生長が遅れている場合には、肥料や水の量を増やす等の方策を表示してもよい。
【0039】
記憶部35は、各種データ及びプログラムを記憶している。各種データには、例えば、切出部32において切り出された画像、農作物の種類ごとの参照画像、評価部33の評価結果、農地Aの気象データが含まれる。
【0040】
5.生育状況評価システムの動作
図7を参照して、生育状況評価システム1の動作を、生育状況評価装置30の処理手順を中心に説明する。
【0041】
ステップS1において、マーカ20が農地Aの周囲(頂点)に設置される。
【0042】
ステップS2において、人工衛星10は、マイクロ波センサ等を用いて、農地A及びマーカ20を含む地表Sを撮影し、衛星画像Pを得る。衛星画像Pの撮影は、例えば1日ごと、数日ごと、1週間ごとのように、定期的に行われ、衛星画像Pのデータは、撮影のたびに生育状況評価装置30又は他の装置(サーバなど)に送信される。
【0043】
ステップS3において、生育状況評価装置30は、人工衛星10から直接的に又は間接的に衛星画像Pを受信(取得)する。
【0044】
ステップS4において、生育状況評価装置30は、衛星画像Pにおいてマーカ20の光点を検出し、検出結果に基づいて、衛星画像Pから農地Aに対応する領域AAを切り出す。切り出された画像は記憶部35に記憶される。
【0045】
ステップS5において、切り出された画像を参照画像と比較し、農地Aにおける農作物Gの生育状況を評価する。生育状況には、生育段階、生長の早さ、収穫時期の予想などが含まれる。
【0046】
ステップS6において、評価結果を表示するべく出力する。出力先は、生育状況評価装置30の表示装置でもよいし、他の端末40の表示装置でもよい。評価結果とともに、気象履歴、気象予測等が表示されてもよい。
【0047】
ステップS7において、農作物Gが収穫されたかどうかが確認され、農作物Gが収穫済みの場合には、一連の手順を終了する。農作物Gが未収穫である場合には、ステップS2に戻って上述した手順を繰り返す。これにより、ユーザは、農地Aにおける作付から収穫までの農作物Gの生育状況を適時に把握し、肥料の追加や収穫準備など、必要な対応を実施することができる。つまり、客観的なテータに基づく生産性の向上を期待できる。
【0048】
上述したように、本実施形態では、衛星画像Pから必要な領域AAを切り出す作業をマーカ20の光点に基づいて行うこととしている。したがって、幾何補正、緯度経度による画像指定といった手間・コストの掛かる作業を省略することができる。そして、衛星画像の一枚毎に必要となるこれらの作業コストを下げることにより、複数画像により経過を把握する必要がある分析営農支援ソリューションを安価に実現できる。
【0049】
また、マーカ20に基づいて農地単位で画像切り出しを迅速に行うことができるから、エンドユーザである農業従事者への価値提供のスピードが向上する。また、保存される画像は領域AAの部分のみで足りるから(つまり衛星画像Pの全体の分析・保存の必要性はない)、サーバ負荷の面でも優位性がある。
【0050】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それらも本発明に含まれる。
【0051】
1枚の衛星画像Pから切り出される農地Aの画像は1枚に限られず、複数枚でもよい。例えば、1枚の衛星画像Pに、複数の農地の画像が含まれる場合がある。この場合、マーカ20の光点Qの数、光点Qのなす領域AAの形状・寸法などに基づいて、ここの農地を特定すればよい。
【符号の説明】
【0052】
1 生育状況評価システム
10 人工衛星
20 ターゲットマーカ
30 生育状況評価装置
31 取得部
32 切出部
33 評価部
34 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7