(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170064
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】住宅および施解錠システム
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20221102BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20221102BHJP
E04H 1/04 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
E04H1/02
E05B65/00 D
E05B65/00 B
E04H1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075943
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】井村 理恵
(72)【発明者】
【氏名】下川 美代子
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA01
2E025AA22
(57)【要約】
【課題】立地条件や室内計画に影響されずに配達者が外部から荷物を収納できるスペースを設けることができる住宅および施解錠システムを提供する。
【解決手段】玄関スペース5と、玄関スペース5と隣接する居住スペース4(第1居住スペース)と、玄関スペース5に設けられ、外部11との往来に使用される玄関扉21と、玄関スペース5と居住スペース4との間に設けられる室内扉42(第1室内扉)と、玄関扉21に設けられる玄関扉錠22と、室内扉42に設けられる室内扉錠(第1室内扉錠)43と、玄関扉錠22および室内扉錠43を解錠可能な第1鍵と、玄関扉錠22を解錠可能で室内扉錠43を解錠不可能である第2鍵と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関スペースと、
前記玄関スペースと隣接する第1居住スペースと、
前記玄関スペースに設けられ、外部との往来に使用される玄関扉と、
前記玄関スペースと前記第1居住スペースとの間に設けられる第1室内扉と、
前記玄関扉に設けられる玄関扉錠と、
前記第1室内扉に設けられる第1室内扉錠と、
前記玄関扉錠および前記第1室内扉錠を解錠可能な第1鍵と、
前記玄関扉錠を解錠可能で前記第1室内扉錠を解錠不可能である第2鍵と、を有する住宅。
【請求項2】
前記住宅に設けられ、前記外部との往来面に接する壁面に対して、設置可能な扉位置が、前記玄関扉の位置のみである請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
前記住宅の隣地境界線に面する外壁には、出入口が設けられていない請求項2に記載の住宅。
【請求項4】
前記玄関スペースに設けられた収納庫と、
前記収納庫に設けられた収納庫錠と、をさらに有し、
前記収納庫錠は、前記第1鍵で解錠可能であり、前記第2鍵で解錠不可能である請求項1~3のいずれか一項に記載の住宅。
【請求項5】
前記玄関スペースからの前記第1室内扉錠の解錠は、前記第1鍵が必要となり、
前記第1居住スペースからの前記第1室内扉錠の解錠は、前記第1鍵が不要である請求項1~4のいずれか一項に記載の住宅。
【請求項6】
前記玄関扉錠が前記第1鍵で解錠されると、前記第1室内扉錠も解錠される請求項1~5のいずれか一項に記載の住宅。
【請求項7】
前記玄関スペースは、
前記外部と往来可能な玄関と、
前記玄関と隣接するとともに前記第1室内扉を介して前記第1居住スペースと隣接する玄関ホールと、を有する請求項1~5のいずれか一項に記載の住宅。
【請求項8】
前記第1居住スペースとは別に設けられ前記玄関スペースと隣接する第2居住スペースと、
前記玄関スペースと前記第2居住スペースとの間に設けられる第2室内扉と、
前記第2室内扉に設けられる第2室内扉錠と、を有し、
前記第1鍵は、第2室内扉錠を解錠可能であり、
前記第2鍵は、第2室内扉錠を解錠不可能である請求項1~7のいずれか一項に記載の住宅。
【請求項9】
前記玄関扉錠を解錠可能であるとともに、前記第1室内扉錠および前記第2室内扉錠のいずれか一方を解錠可能であり、他方を解錠不可能な第3鍵を有する請求項8に記載の住宅。
【請求項10】
前記第1居住スペースとは別に設けられ前記玄関スペースと隣接する第2居住スペースと、
前記玄関スペースと前記第2居住スペースとの間に設けられる第2室内扉と、
前記第2室内扉に設けられる第2室内扉錠と、
前記玄関扉錠および前記第2室内扉錠を解錠可能で第1室内扉錠を解錠不可能な第4鍵と、を有し、
前記第1鍵は、第2室内扉錠を解錠不可能である請求項1~7のいずれか一項に記載の住宅。
【請求項11】
前記玄関スペースに設けられた収納庫と、
前記収納庫に設けられた収納庫錠と、をさらに有し、
前記収納庫錠は、前記第1鍵および前記第4鍵で解錠可能であり、前記第2鍵で解錠不可能である請求項10に記載の住宅。
【請求項12】
前記玄関扉錠が前記第2鍵で解錠されると、前記玄関扉錠以外の錠が施錠される請求項1~11のいずれか一項に記載の住宅。
【請求項13】
玄関扉を介して外部と往来可能な玄関スペースと、
前記玄関スペースと室内扉を介して隣接する居住スペースと、を有する住宅に設置され、
前記玄関扉に設けられる玄関扉錠と、
前記室内扉に設けられる室内扉錠と、
前記玄関扉錠および前記室内扉錠の両方の施解錠を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記玄関扉錠および前記室内扉錠をともに解錠状態とする制御と、
前記玄関扉錠を解錠状態とし前記室内扉錠を施錠状態とする制御と、が可能である施解錠システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅および施解錠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
玄関脇などに配達業者など(配達者とする)が荷物を直接収納できる宅配ボックスを設置した住宅が普及している。特許文献1には、住宅の内外からアクセス可能なパントリーが設けられ、パントリーに収納庫を備える、あるいは兼ねる住宅が開示されている。この住宅では、外部からパントリーに出入りする出入口の扉、およびパントリーと住宅の内部(居住空間)との間の扉それぞれに電子錠が設けられ、各扉の施解錠が制御されるように構成されている。外部からパントリーに出入りする出入口の扉の電子錠を解錠状態とし、パントリーと住宅の内部との間の扉の電子錠を施錠状態となるように制御することで、外部からパントリーには進入できるが、パントリーから住宅の内部には進入できない状態となる。このような状態とすることにより、居住者が直接立ち会うことなく、配達者が外部からパントリーに進入し、収納庫に荷物を収納することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された住宅では、外部に面してパントリーを設ける必要があり、パントリーまでの屋外通路が必要となる。しかしながら、狭小地など立地条件によっては、外部に面してパントリーを設けることが困難な場合や外部に面して設けたパントリーまでの通路を確保することが困難な場合がある。また、パントリーを設けることにより、他の部屋が狭くなったり、動線が複雑になったりするなど、室内計画(プランニング)に支障が生じることがある。
【0005】
そこで、本発明は、居住者が直接立ち会うことなく配達者が進入して荷物を納品・回収できるスペース(荷物納品・回収スペース)を、立地条件に影響されたり、室内計画に支障が生じたりすることなく設けることができる住宅および施解錠システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る住宅は、玄関スペースと、前記玄関スペースと隣接する第1居住スペースと、前記玄関スペースに設けられ、外部との往来に使用される玄関扉と、前記玄関スペースと前記第1居住スペースとの間に設けられる第1室内扉と、前記玄関扉に設けられる玄関扉錠と、前記第1室内扉に設けられる第1室内扉錠と、前記玄関扉錠および前記第1室内扉錠を解錠可能な第1鍵と、前記玄関扉錠を解錠可能で前記第1室内扉錠を解錠不可能である第2鍵と、を有する。
【0007】
本発明に係る施解錠システムは、玄関扉を介して外部と往来可能な玄関スペースと、前記玄関スペースと室内扉を介して隣接する居住スペースと、を有する住宅に設置され、前記玄関扉に設けられる玄関扉錠と、前記室内扉に設けられる室内扉錠と、前記玄関扉錠および前記室内扉錠の両方の施解錠を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記玄関扉錠および前記室内扉錠をともに解錠状態とする制御と、前記玄関扉錠を解錠状態とし前記室内扉錠を施錠状態とする制御と、が可能である。
【0008】
本発明では、第1鍵の使用者は、玄関扉錠および第1室内扉錠の両方を解錠でき、外部から玄関スペースを通って第1居住スペースに進入できる。このため、住宅の居住者が第1鍵を使用することが想定される。第2鍵の使用者は、玄関扉錠を解錠できるが第1室内扉錠は解錠できず、外部から玄関スペースに進入できるが第1居住スペースには進入できない。すなわち、第2鍵の使用者は、玄関扉を開けて外部から玄関スペースのみに進入することができる。これにより、配達業者など(配達者)が第2鍵を使用できるようにすれば、居住者が直接立ち会うことなく玄関スペースに進入して荷物を納品・回収することが可能となり、利便性がよい。そして、このようにすることにより、玄関スペースを居住者が直接立ち会うことなく配達者が進入して荷物を納品・回収できるスペース(以下、荷物納品・回収スペースとする)として利用することができる。このため、荷物納品・回収スペースを玄関スペースとは別に設ける場合と比べて、本発明では、荷物納品・回収スペースを立地条件に影響されたり、室内計画に支障が生じたりすることなく設けることができる。
【0009】
また、本発明に係る住宅では、前記住宅に設けられ、前記外部との往来面に接する壁面に対して、設置可能な扉位置が、前記玄関扉の位置のみであってもよい。
【0010】
本発明では、玄関スペースを荷物納品・回収スペースとして利用するため、荷物納品・回収スペースを設けるために玄関扉以外に外部と往来するための扉を設ける必要が無い。このため、外部との往来面に接する壁面に対して設置可能な扉が玄関扉のみであり、玄関扉のみが外部との往来に使用される扉であっても、荷物納品・回収スペースを立地条件に影響されたり、室内計画に支障が生じたりすることなく設けることができる。例えば、外部との往来面に接する壁面に沿って設置可能なスペースが玄関と水回りスペース、若しくは玄関と居住スペースのみであり、玄関扉以外の出入口用の扉を設けることができない住宅であっても、その玄関スペースを荷物納品・回収スペースとして利用することができる。
【0011】
また、本発明に係る住宅では、前記住宅の隣地境界線に面する外壁には、出入口が設けられていなくてもよい。
【0012】
本発明では、玄関スペースとは別に、住宅の隣地境界線に面する外壁に設けられた出入口から進入する荷物納品・回収スペースを設ける必要がない。このため、住宅の隣地境界線に面する外壁に出入口が設けられていない場合でも、玄関スペースを荷物納品・回収スペースとして利用することができる。
【0013】
また、本発明に係る住宅では、前記玄関スペースに設けられた収納庫と、前記収納庫に設けられた収納庫錠と、をさらに有し、前記収納庫錠は、前記第1鍵で解錠可能であり、前記第2鍵で解錠不可能であってもよい。
【0014】
このような構成とすることにより、玄関スペースに例えば靴などを収納する収納庫が設けられている場合に、配達者などの第2鍵の使用者が外部から玄関スペースに進入しても収納庫の扉を開けることを防止できる。
【0015】
また、本発明に係る住宅では、前記玄関スペースからの前記第1室内扉錠の解錠は、前記第1鍵が必要となり、前記第1居住スペースからの前記第1室内扉錠の解錠は、前記第1鍵が不要であってもよい。
【0016】
このような構成とすることにより、居住者などの第1鍵の使用者は、玄関スペースから第1居住スペースに進入する場合には、第1室内扉錠を1鍵で解錠するが、居住スペースから玄関スペースに進入する場合には、第1鍵を使用せずに解錠することができる。
【0017】
また、本発明に係る住宅では、前記玄関扉錠が前記第1鍵で解錠されると、前記第1室内扉錠も解錠されるように構成されていてもよい。
【0018】
このような構成とすることにより、居住者などの第1鍵の使用者は、外部から住宅内に入る場合に、玄関扉錠を第1鍵で解錠すれば、室内扉錠も解錠されるため、玄関扉錠の解錠する操作とは別の室内扉錠を解錠するための操作が不要となり、使い勝手がよい。
【0019】
また、本発明に係る住宅では、前記玄関スペースは、前記外部と往来可能な玄関と、前記玄関と隣接するとともに前記第1室内扉を介して前記第1居住スペースと隣接する玄関ホールと、を有していてもよい。
【0020】
このような構成とすることにより、玄関および玄関ホールを荷物納品・回収スペースとして利用することができる。
【0021】
また、本発明に係る住宅では、前記第1居住スペースとは別に設けられ前記玄関スペースと隣接する第2居住スペースと、前記玄関スペースと前記第2居住スペースとの間に設けられる第2室内扉と、前記第2室内扉に設けられる第2室内扉錠と、を有し、前記第1鍵は、第2室内扉錠を解錠可能であり、前記第2鍵は、第2室内扉錠を解錠不可能であってもよい。
【0022】
このような構成とすることにより、玄関スペースと隣接して例えばLDKと個室などのように、第1居住スペースと第2居住スペースとが配置されている場合に、居住者などの第1鍵の使用者は、玄関スペース、第1居住スペースおよび第2居住スペースに進入でき、配達者などの第2鍵の使用者は、玄関スペースに進入できるが第1居住スペースおよび第2居住スペースには進入できない。これにより、上記のような場合でも玄関スペースを荷物納品・回収スペースとして利用することができる。
【0023】
また、本発明に係る住宅では、前記玄関扉錠を解錠可能であるとともに、前記第1室内扉錠および前記第2室内扉錠のいずれか一方を解錠可能であり、他方を解錠不可能な第3鍵を有していてもよい。
【0024】
このような構成とすることにより、居住者が第1居住スペースおよび第2居住スペースのいずれか一方において家事代行サービスや介護サービスなどを受ける場合に、サービスの提供者は第3鍵を使用することにより、外部から玄関スペースを介して第1居住スペースおよび第2居住スペースのいずれか一方のスペースに進入することができる。また、サービスの提供者は他方のスペースには進入することができない。
【0025】
また、本発明に係る住宅では、前記第1居住スペースとは別に設けられ前記玄関スペースと隣接する第2居住スペースと、前記玄関スペースと前記第2居住スペースとの間に設けられる第2室内扉と、前記第2室内扉に設けられる第2室内扉錠と、前記玄関扉錠および前記第2室内扉錠を解錠可能で第1室内扉錠を解錠不可能な第4鍵と、を有し、前記第1鍵は、第2室内扉錠を解錠不可能であってもよい。
【0026】
このような構成は、例えば同一の玄関スペースを使用する2世帯住宅などで、玄関スペースと隣接して一方の世帯の第1居住スペースと、他方の世帯の第2居住スペースとが配置されている場合を想定している。第1鍵の使用者(例えば、第1居住スペースの居住者)は、玄関スペース、第1居住スペースに進入できるが、第2居住スペースに進入ない。第4鍵の使用者(例えば、第2居住スペースの居住者)は、玄関スペース、第2居住スペースに進入できるが、第1居住スペースに進入ない。そして、配達者などの第2鍵の使用者は、玄関スペースに進入できるが第1居住スペースおよび第2居住スペースには進入できない。これにより、上記のような場合でも玄関スペースを荷物納品・回収スペースとして利用することができる。
【0027】
また、本発明に係る住宅では、前記玄関スペースに設けられた収納庫と、前記収納庫に設けられた収納庫錠と、をさらに有し、前記収納庫錠は、前記第1鍵および前記第4鍵で解錠可能であり、前記第2鍵で解錠不可能であってもよい。
【0028】
このような構成とすることにより、玄関スペースに例えば靴などを収納する収納庫が設けられている場合に、配達者などの第2鍵の使用者が外部から玄関スペースに進入しても収納庫の扉を開けることを防止できる。
【0029】
また、本発明に係る住宅では、前記玄関扉錠が前記第2鍵で解錠されると、前記玄関扉錠以外の錠が施錠されてもよい。
【0030】
このような構成とすることにより、配達者などの第2鍵の使用者が玄関扉錠を解錠して外部から玄関スペースに進入すると、第1室内扉錠や、第2室内扉錠、収納庫錠などが施錠される。これにより、第2鍵の使用者は、第1居住スペースや第2居住スペースに立ち入ったり、収納庫を開けたりすることができないようにすることができる。第2鍵は、例えば、居住者が指定する時限付きの解錠コードなどである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、荷物納品・回収スペースを、立地条件に影響されたり、室内計画に支障が生じたりすることなく設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1実施形態による住宅の一例を示す図である。
【
図2】本発明の第2実施形態による住宅の一例を示す図である。
【
図3】本発明の第3実施形態による住宅の一例を示す図である。
【
図4】本発明の第4実施形態による住宅の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による住宅および施解錠システムについて、
図1に基づいて説明する。
図1に示す第1実施形態による住宅1は、集合住宅の1室であり、共用廊下11(外部)から玄関扉を開放して室内にアクセスするように構成されている。住宅1は、玄関2と、玄関ホール3と、居住スペース4(第1居住スペース)と、を有している。
【0034】
玄関2は、玄関扉21が設けられたスペースで、玄関扉21を開放することで共用廊下11と往来可能となる。玄関扉21には、玄関扉錠22が設けられている。
【0035】
本実施形態では、住宅1の内部と外部との往来に使用される扉は、玄関扉21のみである。また、住宅1の往来面に接する側面は、外部と行き来可能な扉の設置ができない。ここで、往来面とは、外部から住宅1の内部に人が進入するための扉が設置される面である。往来面以外の面は、駐車場スペース付近の面や戸境面であり、外部と行き来可能な扉の設置ができない。なお、住宅1には、ベランダ12が設けられているが、通常時にはベランダ12を介して外部から住宅1の内部に人が進入しないように設定されている。住宅1における共用廊下11に面する往来面には、玄関2および水回りスペースが設けられている。
【0036】
玄関ホール3は、玄関2に隣接して設けられている。玄関2と玄関ホール3とは、間には壁が無く、連通した空間である。玄関2と玄関ホール3とを合わせた空間を玄関スペース5とする。玄関2は、玄関ホール3よりも床が低く、玄関2と玄関ホール3との間には框31が設けられている。
【0037】
玄関スペース5には、例えば靴などを収納する玄関収納51(収納庫)が設けられている。玄関収納51の扉52には、収納庫錠53が設けられている。玄関スペース5には、玄関スペース5の内部を撮影可能なカメラ54が設けられている。
【0038】
居住スペース4は、玄関ホール3と隣接している。居住スペース4と玄関ホール3との間には、出入口を有する壁41が設けられている。出入口には、室内扉42(第1室内扉)が設けられている。室内扉42には、室内扉錠43(第1室内扉錠)が設けられている。居住スペース4と玄関ホール3とは、室内扉42を開放することで往来可能となる。本実施形態では、居住スペース4は、玄関ホール3と室内扉42を介して隣接する空間を示し、居間や寝室のような部屋のみでなく、廊下や水回りスペースなども含む。
【0039】
本実施形態の住宅1は、玄関扉錠22、室内扉錠43および収納庫錠53を施解錠可能な第1鍵と、玄関扉錠22を解錠可能であるが、室内扉錠43および収納庫錠53を施解錠不可能な第2鍵と、を備えている。第1鍵は、住宅の居住者が使用可能な鍵である。第2鍵は、住宅の居住者が許可した人が使用可能な鍵である。玄関扉錠22、室内扉錠43および収納庫錠53それぞれについて、解錠された状態を解錠状態と表記し、施錠された状態を施錠状態と表記する。
【0040】
居住者は、第1鍵を使用して玄関扉錠22および室内扉錠43を解錠することで共用廊下11、玄関ホール3および居住スペース4の往来が可能となる。また、居住者は、第1鍵を使用して収納庫錠53の施解錠が可能である。第2鍵の使用者は、例えば、荷物の配達や引き取りをする配達業者など(配達者)である。第2鍵の使用者は、第2鍵を使用して玄関扉錠22を解錠すれば、共用廊下11から玄関ホール3に進入することができる。玄関ホール3を配達された荷物や、引き取られる荷物を置くスペースとすれば、第2鍵の使用者は、第2鍵を使用して玄関扉錠22を解錠することで共用廊下11から玄関ホール3に入り、荷物を配達したり、引き取ったりすることができる。
【0041】
このように、本実施形態の住宅1では、玄関スペース5を、居住者が直接立ち会うことなく、配達業者など(配達者)が荷物を置いたり、置かれた荷物を引き取ったりするスペース(荷物納品・回収スペース)として利用することができる。このとき、室内扉錠43を施錠状態とすることにより、居住者以外が居住スペース4内への進入することを防止することができる。
【0042】
上述しているように、本実施形態では、玄関スペース5の玄関収納51の扉52には、居住者の第1鍵で施解錠できる収納庫錠53が設けられている。このため、収納庫錠53を施錠状態とすることにより、配達者など居住者以外が玄関スペース5に進入した場合も、居住者以外が玄関収納51の扉52を開けることを防止できる。また、上述しているように、本実施形態では、玄関スペース5には、玄関スペース5の内部を撮影可能なカメラ54が設けられている。このため、居住者が直接立ち会うことなく、居住者以外が玄関スペース5に進入した際に、その様子を撮影することができる。
【0043】
第1鍵、第2鍵、玄関扉錠22、室内扉錠43および収納庫錠53は、それぞれ手動で操作する物理鍵や錠であってもよいし、電気錠や電子錠であってもよい。また、テンキーなどであってもよい。玄関扉錠22、室内扉錠43および収納庫錠53が電気錠や電子錠の場合は、物理鍵やカードキーなどのみでなく、電気錠や電子錠を解錠するために使用者が行う操作も第1鍵、第2鍵に相当する。
【0044】
次に、玄関扉錠22および室内扉錠43の施解錠を制御する施解錠システムについて説明する。施解錠システム6は、各錠が鍵で操作されたことを信号として受信し、玄関扉錠22および室内扉錠43の施解錠を制御する制御部61と、制御部61の制御モードを操作する操作部62と、を有している。
【0045】
操作部62は居住者もしくは居住者に事前に許可された者のみが操作可能に設定されている。居住者に事前に許可された者とは、例えば、別居している家族等である。
操作部62は、玄関スペース5および居住スペース4のいずれかまたは両方に設けられている。また、操作部62は、居住者が住宅1の外部から操作できるように携帯可能であってもよい。
施解錠システム6では、居住者が行う玄関扉錠22、室内扉錠43および収納庫錠53を施解錠する操作が本発明の第1鍵に相当し、住宅の居住者が許可した配達者などが行う玄関扉錠22を解錠する操作が本発明の第2鍵に相当する。住宅の居住者が許可した配達者は、室内扉錠43および収納庫錠53を解錠する操作ができないように設定されている。
【0046】
以下では、玄関扉錠22および室内扉錠43がともに解錠されている状態を、玄関扉錠解錠・室内扉錠解錠状態とする。玄関扉錠22および室内扉錠43がともに施錠されている状態を、玄関扉錠施錠・室内扉錠施錠状態とする。玄関扉錠22が解錠され、室内扉錠43が施錠されている状態を、玄関扉錠解錠・室内扉錠施錠状態とする。玄関扉錠22が施錠され、室内扉錠43が解錠されている状態を、玄関扉錠施錠・室内扉錠解錠状態とする。
【0047】
本実施形態の施解錠システム6では、玄関扉錠22の施解錠と室内扉錠43の施解錠とを連動させることが可能である。玄関扉錠22の施解錠と室内扉錠43の施解錠とを連動させるモードでは、以下の(1)~(4)のような制御が行われる。
【0048】
(1)第1鍵によって玄関扉錠22を解錠する操作が行われ、制御部61が第1鍵による玄関扉錠22を解錠状態とする信号を受信すると、制御部61は、玄関扉錠解錠・室内扉錠解錠状態とする制御を行う。これにより、居住者などの第1鍵の使用者は、第1鍵で玄関扉錠22を解錠すると、室内扉錠43も連動して解錠することができる。
【0049】
(2)第2鍵によって玄関扉錠22を解錠する操作が行われ、制御部61が第2鍵による玄関扉錠22を解錠状態とする信号を受信すると、制御部61は、玄関扉錠解錠・室内扉錠施錠状態とする制御を行う。すなわち、配達者などの第2鍵の使用者が第2鍵で玄関扉錠22を解錠した際に、室内扉錠43が解錠状態であると室内扉錠43が施錠される。これにより、第2鍵の使用者は、第2鍵を使用して玄関スペース5には進入できるが、居住スペース4には進入できない状態となる。なお、制御部61は、玄関扉錠22の解錠と室内扉錠43の施錠を同時に行う、または室内扉錠43は施錠してから玄関扉錠22を解錠する制御を行うことが好ましい。
【0050】
なお、上記(2)の制御において、第2鍵によって玄関扉錠22を解錠する操作が行われ、制御部61が第2鍵による玄関扉錠22を解錠状態とする信号を受信すると、制御部61は、玄関扉錠解錠・室内扉錠施錠状態とするとともに、収納庫錠53も施錠する制御を行うようにしてもよい。また、室内扉錠43および収納庫錠53以外にも玄関扉錠22以外の錠がある場合は、第2鍵によって玄関扉錠22を解錠する操作が行われると、制御部は玄関扉錠22以外の錠を施錠するように制御してもよい。
【0051】
(3)室内扉錠43を解錠する操作が行われ、制御部61が室内扉錠43を解錠状態とする信号を受信すると、制御部61は、玄関扉錠施錠・室内扉錠解錠状態とする制御を行う。これにより、居住者が玄関スペース5と居住スペース4とを往来する際に、外部から居住者以外の人(第1鍵を持たない人)が玄関スペース5へ進入することを防止できる。
【0052】
(4)室内扉錠43を施錠する操作が行われ、制御部61が室内扉錠43を施錠状態とする信号を受信すると、制御部61は、玄関扉錠施錠・室内扉錠施錠状態とする制御を行う。これにより、居住スペース4に進入した居住者が玄関扉錠22および室内扉錠43の両方を施錠することができる。
【0053】
また、本実施形態の施解錠システム6では、玄関扉錠22の施解錠と室内扉錠43の施解錠とを連動させずに単独に制御するモードも可能である。施解錠システム6では、玄関扉錠22の施解錠と室内扉錠43の施解錠とを連動させるモードと、単独に制御するモードとを居住者が操作部62を操作することで選択可能である。
【0054】
室内扉錠43の解錠は、玄関スペース5側からは第1鍵を使用して解錠し、居住スペース4側からは第1鍵が無くても解錠できるように設定されていてもよい。このような場合、第1鍵を携帯せずに居住スペース4から玄関スペース5に入った居住者が、室内扉錠43が施錠状態となることで居住スペース4に戻れなくなることを防止するために、以下のように設定されていてもよい。居住スペース4側から第1鍵を使用せずに室内扉錠43が解錠された後に、単独制御、連動制御に関わらず、室内扉錠43を施錠状態とする信号を受信した場合には、室内扉錠43を施錠状態とせずに警告音などで警告を発して、居住スペース4から玄関スペース5に入った居住者が玄関スペース5から居住スペース4に戻れなくなることを防止するようにしてもよい。
【0055】
次に、上述した第1実施形態による住宅1および施解錠システム6の作用・効果について図面を用いて説明する。
第1実施形態による住宅1では、第1鍵を使用する居住者は、玄関扉錠22および室内扉錠43の両方を解錠でき、外部から玄関スペース5を通って居住スペース4に進入できる。第2鍵の使用者は、玄関扉錠22を解錠できるが室内扉錠43は解錠できず、外部から玄関スペース5に進入できるが居住スペース4には進入できない。すなわち、第2鍵の使用者は、玄関扉21を開けて外部から玄関スペース5のみに進入することができる。これにより、配達業者など(配達者)が第2鍵を使用できるようにすれば、居住者が直接立ち会うことなく玄関スペース5に進入して荷物を納品・回収することが可能となり、利便性がよい。そして、このようにすることにより、玄関スペース5を居住者が直接立ち会うことなく配達者が進入して荷物を納品・回収できるスペース(荷物納品・回収スペースとする)として利用することができる。このため、荷物納品・回収スペースを玄関スペースとは別に設ける場合と比べて、本発明では、荷物納品・回収スペースを立地条件に影響されたり、室内計画に支障が生じたりすることなく設けることができる。
【0056】
第1実施形態による住宅1では、住宅1に設けられ、外部との往来面に接する壁面に対して、設置可能な扉位置が、玄関扉21の位置のみである。第1実施形態による住宅1では、玄関スペース5を荷物納品・回収スペースとして利用するため、荷物納品・回収スペースを設けるために玄関扉21以外に外部と往来するための扉を設ける必要が無い。このため、外部との往来面に接する壁面に対して設置可能な扉が玄関扉21のみであり、玄関扉21のみが外部との往来に使用される扉であっても、荷物納品・回収スペースを立地条件に影響されたり、室内計画に支障が生じたりすることなく設けることができる。本実施形態のように、外部との往来面に接する壁面に沿って設置可能なスペースが玄関2と水回りスペースのみであり、玄関扉21以外の出入口用の扉を設けることができない住宅であっても、その玄関スペースを荷物納品・回収スペースとして利用することができる。
【0057】
第1実施形態による住宅1では、玄関スペース5に玄関収納51が設けられ、玄関収納51の扉52には収納庫錠53が設けられている。このような構成とすることにより、配達者などの第2鍵の使用者が外部から玄関スペースに進入しても玄関収納51の扉52を開けることを防止できる。
【0058】
第1実施形態による住宅1では、玄関スペース5からの室内扉錠43の解錠は、第1鍵が必要となり、居住スペース4からの室内扉錠43の解錠は、第1鍵が不要である。このような構成とすることにより、居住者などの第1鍵の使用者は、玄関スペース5から居住スペース4に進入する場合には、室内扉錠43を1鍵を使用して解錠するが、居住スペース4から玄関スペース5に進入する場合には、第1鍵を使用せずに解錠することができる。
【0059】
第1実施形態による住宅1では、玄関扉錠22が第1鍵で解錠されると、室内扉錠43も解錠される。このような構成とすることにより、居住者などの第1鍵の使用者は、外部から住宅1内に入る場合に、玄関扉錠22を第1鍵で解錠すれば、室内扉錠43も解錠されるため、玄関扉錠22の解錠する操作とは別の室内扉錠43を解錠するための操作が不要となり、使い勝手がよい。
【0060】
第1実施形態による住宅1では、玄関扉錠22が第2鍵で解錠されると、室内扉錠43が施錠される。このような構成とすることにより、配達者などの第2鍵の使用者は、第2鍵で玄関扉錠22を解錠した際に、室内扉錠43が解錠状態であっても、室内扉錠43が施錠されため、玄関スペース5には進入できるが、居住スペース4には進入できない状態とすることができる。
【0061】
第1実施形態による住宅1では、玄関スペース5は、外部と往来可能な玄関2と、玄関ホール3と、を有している。このような構成とすることにより、玄関2および玄関ホール3を荷物納品・回収スペースとして利用することができる。
【0062】
次に、本発明の他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0063】
(第2実施形態)
図2に示すように、第2実施形態による住宅1Bは、戸建住宅であり、外部13から玄関扉21を開放して室内にアクセスするように構成されている。玄関扉21は、道路14に面する外壁に設けられている。第2実施形態の住宅1では、隣地境界線15と隣地境界線15に面する外壁16との間隔が狭く、隣地境界線15と外壁16との間は、人が通行しにくい寸法に想定されている。このため、隣地境界線15に面する外壁16には、勝手口などの出入口が設けられていない。第2実施形態においても、住宅1の内部と外部との往来に使用される扉は、玄関扉21のみである。住宅1Bにおける道路14に面する往来面には、玄関2および居住スペース4が設けられている。ここで、往来面とは、外部から住宅1Bの内部に人が進入するための扉が設置される面である。往来面以外の面は、駐車場スペースや隣地境界線15付近の面であり、外部と行き来可能な扉の設置ができない。
【0064】
第2実施形態による住宅1Bも、第1実施形態と同様に、玄関2と、玄関ホール3と、居住スペース4と、を有している。玄関スペース5には、例えば靴などを収納する玄関収納51(収納庫)が設けられ、玄関収納51の扉52には居住者の玄関収納用鍵(第2鍵)で施解錠できる収納庫錠53が設けられている。第2実施形態による住宅1Bも、第1実施形態と同様に、玄関扉錠22、室内扉錠43および収納庫錠53を施解錠可能な第1鍵と、玄関扉錠22を解錠可能であるが、室内扉錠43および収納庫錠53を施解錠不可能な第2鍵と、を備えている。
【0065】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の玄関扉錠22および室内扉錠43の施解錠を制御する施解錠システム6Bが設けられている。
【0066】
第2実施形態による住宅1および施解錠システム6では、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0067】
(第3実施形態)
図3に示すように、第3実施形態による住宅1Cは、第1実施形態の居住スペース4(
図1参照)に代わって、前記玄関スペース5と隣接して2つの居住スペースが設けられている。2つの居住スペースを第1居住スペース71、第2居住スペース72とする。第1居住スペース71と第2居住スペースとは、壁73で区画されている。本実施形態では、第1居住スペース71をLDKとし、第2居住スペース72をLDKとは別の個室と想定する。
【0068】
第1居住スペース71と玄関スペース5との間の出入口には、第1室内扉711が設けられている。第1室内扉711には、第1室内扉錠712が設けられている。第2居住スペース72と玄関スペース5との間の出入口には、第2室内扉721が設けられている。第2室内扉721には、第2室内扉錠722が設けられている。第1居住スペースと第2居住スペースとの間の壁73には、第1居住スペースと第2居住スペースとを往来できる出入口が設けられ、この出入口に第3室内扉731が設けられている。第3室内扉731には、第3室内扉錠732が設けられている。
【0069】
第3実施形態においても、玄関スペース5の玄関扉21には玄関扉錠22が設けられ、玄関収納51の扉52には収納庫錠53が設けられている。第3実施形態の住宅1Cも、外部13との往来に使用される扉は、玄関扉21のみである。
【0070】
第3実施形態の住宅1Cは、玄関扉錠22、第1室内扉錠712、第2室内扉錠722、第3室内扉錠732および収納庫錠53を施解錠可能な第1鍵と、玄関扉錠22を解錠可能であるが、第1室内扉錠712、第2室内扉錠722、第3室内扉錠732および収納庫錠53を施解錠不可能な第2鍵と、玄関扉錠22および第2室内扉錠722を解錠可能であるが、第1室内扉錠712、第3室内扉錠732および収納庫錠53を施解錠不可能な第3鍵と、を備えている。第1鍵は、住宅の居住者が使用可能な鍵である。第2鍵および第3鍵は、住宅の居住者が許可した人が使用可能な鍵である。第2鍵は、上記の第1実施形態と同様に使用される。
【0071】
第3鍵は、例えば、居住者が第2居住スペース72において家事代行サービスや介護サービスなどを受ける場合に、サービスの提供者が使用するように想定されている。サービスの提供者は、第3鍵を使用することにより、外部13から玄関スペース5を介して第2居住スペース72に進入することができる。なお、サービスの提供者は、第1室内扉錠712を解錠して玄関スペース5から第1居住スペース71には進入することができないとともに、第3室内扉錠732を解錠して第2居住スペース72から第1居住スペース71に進入できないように設定されている。
【0072】
第1鍵、第2鍵、第3鍵、玄関扉錠22、第1室内扉錠712、第2室内扉錠722、第3室内扉錠732および収納庫錠53は、それぞれ手動で操作する物理鍵や錠であってもよいし、電気錠や電子錠であってもよい。また、テンキーなどであってもよい。玄関扉錠22、第1室内扉錠712、第2室内扉錠722、第3室内扉錠732および収納庫錠53が電気錠や電子錠の場合は、物理鍵やカードキーなどのみでなく、電気錠や電子錠を解錠するために使用者が行う操作も第1鍵、第2鍵および第3鍵に相当する。
【0073】
第3実施形態の住宅1Cにおいても、玄関扉錠22の施解錠、第1室内扉錠712の施解錠、第2室内扉錠722の施解錠を以下の(1)~(3)のように連動させる施解錠システムが設けられていてもよい。
【0074】
(1)第1鍵によって玄関扉錠22を解錠する操作が行われると、玄関扉錠22、第1室内扉錠712、第2室内扉錠722すべてを解錠状態とする。
(2)第2鍵によって玄関扉錠22を解錠する操作が行われると、玄関扉錠22は解錠状態とし、第1室内扉錠712、第2室内扉錠722は施錠状態とする。
(3)第3鍵によって玄関扉錠22を解錠する操作が行われると、玄関扉錠22および第2室内扉錠722は解錠状態し、第1室内扉錠712は施錠状態とする。
【0075】
第3実施形態による住宅1Cによれば、上記の第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、家事代行サービスや介護サービスなどのサービス提供者が、居住者が立ち会うことなく外部から玄関ホールを介して特定の部屋(本実施形態では第2居住スペース)に進入することができる。
【0076】
(第4実施形態)
図4に示すように、第4実施形態による住宅1Dは、第1実施形態の居住スペース4(
図1参照)に代わって、前記玄関スペース5と隣接して2つの居住スペースが設けられている。2つの居住スペースを第1居住スペース81、第2居住スペース82とする。第1居住スペース81と第2居住スペースとは、壁83で区画されている。本実施形態の住宅1Dは、玄関スペース5を共有する2世帯住宅であり、第1居住スペースを2世帯のうちの一方の世帯(第1世帯)の居住スペースとし、第2居住スペースを他方の世帯(第2世帯)の居住スペースと想定している。
【0077】
第1居住スペース81と玄関スペース5との間の出入口には、第1室内扉811が設けられている。第1室内扉811には、第1室内扉錠812が設けられている。第2居住スペース82と玄関スペース5との間の出入口には、第2室内扉821が設けられている。第2室内扉821には、第2室内扉錠822が設けられている。第1居住スペースと第2居住スペースとの間の壁83には、出入口が設けられていない。
【0078】
第4実施形態においても、玄関スペース5の玄関扉21には玄関扉錠22が設けられ、玄関収納51の扉52には収納庫錠53が設けられている。第3実施形態の住宅1Cも、外部13との往来に使用される扉は、玄関扉21のみである。
【0079】
第4実施形態の住宅1Dは、玄関扉錠22、第1室内扉錠712および収納庫錠53を施解錠可能であるが、第2室内扉錠722を解錠不可能な第1鍵と、玄関扉錠22を解錠可能であるが、第1室内扉錠712、第2室内扉錠722および収納庫錠53を施解錠不可能な第2鍵と、玄関扉錠22、第2室内扉錠722および収納庫錠53を施解錠可能であるが、第1室内扉錠712を解錠不可能な第4鍵と、玄関扉錠22、第1室内扉錠712、第2室内扉錠722および収納庫錠53を施解錠可能な第5鍵とを備えている。第1鍵は、第1居住スペースの居住者が使用可能な鍵である。第2鍵は、住宅の居住者が許可した人が使用可能な鍵である。第2鍵は、上記の第1実施形態と同様に使用される。第4鍵は、第2居住スペースの居住者が使用可能な鍵である。第5鍵は、通常は第1世帯および第2世帯の一方または両方に管理され、居住している居住スペースとは異なる居住スペースに立ち入る必要がある際に使用されるように想定されている。
【0080】
第1鍵、第2鍵、第4鍵、第5鍵、玄関扉錠22、第1室内扉錠812、第2室内扉錠822、および収納庫錠53は、それぞれ手動で操作する物理鍵や錠であってもよいし、電気錠や電子錠であってもよい。また、テンキーなどであってもよい。玄関扉錠22、第1室内扉錠812、第2室内扉錠822および収納庫錠53が電気錠や電子錠の場合は、物理鍵やカードキーなどのみでなく、電気錠や電子錠を解錠するために使用者が行う操作も第1鍵、第2鍵、第4鍵および第5鍵に相当する。
【0081】
第4実施形態の住宅1Dにおいても、玄関扉錠22の施解錠、第1室内扉錠812の施解錠、第2室内扉錠822の施解錠を以下の(1)~(3)のように連動させる施解錠システムが設けられていてもよい。
【0082】
(1)第1鍵によって玄関扉錠22を解錠する操作が行われると、玄関扉錠22、第1室内扉錠712は解錠状態とし、第2室内扉錠722は解錠状態とする。
(2)第2鍵によって玄関扉錠22を解錠する操作が行われると、玄関扉錠22は解錠し、第1室内扉錠712、第2室内扉錠722は施錠状態とする。
(3)第4鍵によって玄関扉錠22を解錠する操作が行われると、玄関扉錠22および第2室内扉錠722は解錠し、第1室内扉錠712は施錠状態とする。
【0083】
第4実施形態による住宅1Dによれば、2世帯住宅であっても上記の第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0084】
以上、本発明による住宅および施解錠システムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0085】
上記の実施形態では、住宅1、1B-1Dに設けられ、外部との往来に使用される扉は、玄関扉21のみであるが、玄関扉21以外に勝手口の扉など外部との往来に使用される扉が設けられていてもよい。
【0086】
上記の実施形態の住宅1、1B-1Dには、玄関扉錠22および室内扉錠(室内扉錠43、第1室内扉錠712,812、第2室内扉錠722,822)の施解錠を制御する施解錠システムが設けられているが、各鍵が解錠可能な錠を設定されていることで、設置された錠の施解錠を全体的に制御するシステムが設けられていなくてもよい。
【0087】
上記の実施形態では、室内扉錠(室内扉錠43、第1室内扉錠712,812、第2室内扉錠722,822)の解錠は、鍵(第1鍵、第3鍵、第4鍵、第5鍵)が必要であるが、玄関スペース5からの室内扉錠の解錠には鍵を使用し、居住スペース(居住スペース4、第1居住スペース71,81、第2居住スペース72,82)からの室内扉錠の解錠には、鍵が不要であってもよい。このような構成とすることにより、居住者のみがいる居住スペースから玄関スペース5に行く場合には、鍵を使用せずに室内扉錠を解錠することができる。
【0088】
上記の実施形態では、玄関スペース5に玄関収納51が設けられ、玄関収納51には居住者の第1鍵、第4鍵で施解錠可能な収納庫錠53が設けられている。これに対して、玄関スペース5に玄関収納51が設けられていなくてもよいし、収納庫錠53が設けられた玄関収納51に代わって、錠の無い玄関収納が設けられていてもよい。
【0089】
上記の第3実施形態では、第3鍵は、玄関収納51の収納庫錠53を解錠不可能に設定されているが、収納庫錠53を解錠できるように設定されていてもよい。
【0090】
上記の第1実施形態では、玄関扉錠22が第1鍵で解錠されると、室内扉錠43も解錠される。また、玄関扉錠22が第2鍵で解錠されると、室内扉錠43が施錠される。これに対して、玄関扉錠22の施解錠と、室内扉錠43の施解錠とが連動していなくてもよい。
【0091】
上記の第3実施形態では、第1居住スペース71と第2居住スペース72との間に出入口が設けられているが、出入口が設けられていなくてもよい。
【0092】
上記の第1実施形態や第2実施形態において、玄関スペース5に隣接して複数の居住スペースが設けられ、各居住スペースと玄関ホールとの間の出入口にそれぞれ設けられた室内扉の室内扉錠が、第1鍵では解錠可能で、第2鍵では解錠不可能に設定されていてもよい。
【0093】
上記の第3実施形態において、玄関スペース5に隣接して3以上の居住スペースが設けられ、各居住スペースと玄関ホールとの間の出入口にそれぞれ設けられた室内扉の室内扉錠が、第1鍵では解錠可能で、第2鍵では解錠不可能に設定されていてもよい。このような場合に、第3鍵は、3以上の居住スペースのうちの1つまたは設定された複数の室内扉錠を解錠可能に構成されていてもよい。
【0094】
上記の実施形態では、玄関スペース5は、玄関2および玄関ホール3であり、玄関2および玄関ホール3を荷物納品・回収スペースとして利用している。これに対し、玄関のみに荷物納品・回収スペースを設けるようにしてもよい。この場合は、荷物納品・回収スペースが設けられる部分が本発明の玄関スペースに相当する。
【0095】
上記の実施形態では、玄関スペース5にカメラ54が設けられているが、設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1,1B,1C,1D 住宅
2 玄関
3 玄関ホール
4 居住スペース(第1居住スペース)
5 玄関スペース
6,6B 施解錠システム
11 共用廊下(外部)
13 外部
21 玄関扉
22 玄関扉錠
42 室内扉(第1室内扉)
43 室内扉錠(第1室内扉錠)
51 玄関収納(収納庫)
52 扉
53 収納庫錠
61 制御部
71,81 第1居住スペース
72,82 第2居住スペース
711,811 第1室内扉
712,812 第1室内扉錠
721,821 第2室内扉
722,822 第2室内扉錠