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特開2022-170065圃場における防霜ファン(防霜ファン、又はその他の稼働防霜ファンを含む)の操作方法と防霜ファン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170065
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】圃場における防霜ファン(防霜ファン、又はその他の稼働防霜ファンを含む)の操作方法と防霜ファン
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/08 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
A01G13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075944
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】土屋 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 幸政
(57)【要約】      (修正有)
【課題】圃場における茶樹等の作物の栽培に関して、圃場の状況を検知する画像センサを利用する手段を採用し、防霜ファンを有効活用する方法を提供する。
【解決手段】茶樹、果樹、植物の何れかの作物を栽培する圃場には、防霜ファンとその他の稼働防霜ファン、及び画像センサを設置し、圃場の地形、及び/又は、画像センサの設置を基に、圃場、又は圃場域を設け、画像センサの検知による画像を解析し、圃場域の中で着霜危険圃場域を把握し、着霜危険圃場域に対し、着霜危険圃場域外のその他の稼働防霜ファンの制御、及び援助動作を介し、着霜危険圃場域の着霜回避を図る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶樹、果樹、植物の何れかの作物を栽培する圃場には、
防霜ファンとその他の稼働防霜ファン、及び画像センサを設置し、
前記圃場の地形、及び/又は、前記画像センサの設置を基に、前記圃場、又は圃場域を設け、
この画像センサの検知による画像を解析し、前記圃場域の中で着霜危険圃場域を把握し、
この着霜危険圃場域に対し、着霜危険圃場域外の前記その他の稼働防霜ファンの制御、及び援助動作を介し、
前記着霜危険圃場域の着霜回避を図る構成とした防霜ファンの操作方法。
【請求項2】
前記その他の稼働防霜ファンの制御は、
このその他の稼働防霜ファンの回動位置を定め、
この回動位置で、
前記その他の稼働防霜ファンの俯角調整、
又は前記その他の稼働防霜ファンの首振り角度調整、
或いは前記その他の稼働防霜ファンの首振りスピード調整、
を選択する構成とした請求項1に記載の防霜ファンの操作方法。
【請求項3】
前記着霜危険圃場域が発生した場合は、前記着霜危険圃場域外に設置された前記その他の稼働防霜ファンの前記回動位置、前記俯角調整、前記首振り角度調整、前記首振りスピード調整の何れかを調整し、前記着霜危険圃場域に向けて集中的に送風することを特徴とする請求項2に記載の防霜ファンの操作方法。
【請求項4】
前記その他の稼働防霜ファンの前記回動位置は、前記着霜危険圃場域に向けた送風位置を示すことを特徴とする請求項2に記載の防霜ファンの操作方法。
【請求項5】
前記その他の稼働防霜ファンの前記俯角調整は、
その他の稼働防霜ファンに備えたモータ制御と、前記その他の稼働防霜ファンと架台の間に載置するベースの回動により操作する構成とした請求項2に記載の防霜ファンの操作方法。
【請求項6】
前記その他の稼働防霜ファンの首振り角度調整、及び/又は、首振りスピード調整は、
前記その他の稼働防霜ファンに備えたモータ制御と、前記その他の稼働防霜ファンの架台の制御、及び/又は、前記その他の稼働防霜ファンと前記架台の間に載置するベースの制御で操作する構成とした請求項2に記載の防霜ファンの操作方法。
【請求項7】
前記圃場に設置した前記防霜ファンと前記その他の稼働防霜ファンの制御は、
前記画像センサによる判定で、前記防霜ファンと前記その他の稼働防霜ファンとに分けて制御し、
前記圃場の着霜危険発生が無くなる迄、前記その他の稼働防霜ファンの前記回動位置の調整、及び/又は、前記俯角調整、及び/又は、前記首振り角度調整、及び/又は、前記首振りスピード調整を行う構成とした請求項2に記載の防霜ファンの操作方法。
【請求項8】
前記その他の稼働防霜ファンの前記俯角調整は、
前記その他の稼働防霜ファンの初期位置を0°とし、30°から80°とする構成とした請求項2、又は請求項5のいずれか一項に記載の防霜ファンの操作方法。
【請求項9】
前記その他の稼働防霜ファンの前記首振り角度調整は、
60°から120°とし、
前記防霜ファンの周速は、
一往復を2分制御とする構成とした請求項2、又は請求項6のいずれか一項に記載の防霜ファンの操作方法。
【請求項10】
前記画像センサは、前記圃場に、一基設置する構成とした請求項1、又は請求項2に記載の防霜ファンの操作方法。
【請求項11】
前記その他の稼働防霜ファンは、多数基であって、
この多数基で、前記着霜危険圃場域に向けて集中的に送風することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の防霜ファンの操作方法。
【請求項12】
請求項1、又は請求項2に記載の防霜ファンの操作方法を採用する前記防霜ファンと前記その他の稼働防霜ファンは、
前記圃場に立設した建柱と、
この建柱に取付けられる架台と、
この架台に設けた俯角調整装置と、
この俯角調整装置に設けた前記防霜ファンと前記その他の稼働防霜ファンの俯角調整手段、及びモータ支持用のベースと、
を備える構成とした防霜ファン。
【請求項13】
前記圃場に設置され、この圃場の状況を検知する前記画像センサによる検知結果、及び/又は、前記圃場における着霜発生状況の検知結果を、第1の蓄積学習情報として捉え、かつ蓄積し、
前記第1の蓄積学習情報と異なる日時における、前記画像センサによる検知結果、及び/又は、前記圃場における着霜発生状況の検知結果を、第2の蓄積学習情報として捉え、
前記第1の蓄積学習情報と、この第2の蓄積学習情報を比較検討し、
この比較検討に基づいて、前記防霜ファンの稼動、及び、前記その他の稼働防霜ファンの回動位置の調整、及び/又は、俯角調整、及び/又は、首振り角度調整、及び/又は、首振りスピード調整を図る構成とした請求項1、又は請求項2のいずれか一項に記載の防霜ファンの操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場における着霜危険性に応じた防霜ファン(防霜ファン、又はその他の稼働防霜ファンを含む)の操作方法と防霜ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
圃場における茶樹の栽培に関しては、防霜ファンを有効利用し、かつ低コストで防霜を図ることが主流である。着霜に関する考えとしては、例えば、茶樹等の作物の葉面付近において、セ氏0度を下回る温度になると、過冷却状態になって氷ができはじめ、着霜に至る。圃場における作物の栽培においては、この着霜を防ぐ、防霜を図る必要がある。しかしながら、一部の地域、時間帯や圃場の一部分において、防霜ができない、又は防霜効果が少ないことがあることから、種々の防霜システム、防霜方法、並びに防霜装置が研究、かつ提案されているが、大掛かりな装置やシステムとなり、効果が伴わないことがある。また、昨今の気象変動や、地形にそぐわない問題が発生している。
【0003】
通常、防霜ファンは、ファンの風の当らない所に温度センサを設置し、この温度センサの検知温度を基に運転する方法が一般的である。これは、圃場の中に温度センサを設置した場合、防霜ファンの風があたると、この風の効果により温度センサの値が昇温し、判定ができなくなるからである。また、圃場内部は地形や気流による温度差とか、温度斑とかがある。例えば、温度斑のある圃場における防霜効果を確実にする手段として、一般的には、2℃程度高めに温度設定をする。そして、葉面温度は、一般的には気温より2℃程度低いとされているため、3℃から5℃程度のサーモ設定になる。従って、温度センサによる防霜ファン管理方法、即ち、従来の一般的な防霜ファンによる管理方法では、十分とは云えない。
【0004】
そこで、関連する茶葉を含む農作物に関する文献を検討すると、次のような発明が挙げられる。
【0005】
例えば、農作物の育成と、そのシステム、かつ装置である。例えば、文献1は、農家に設けた農家側コンピューターと、農地の農作物の情報を電気通信回線で送信する検知装置と、検知装置からの情報を受信し、この情報を解析し、農作物を育成する。この育成過程で、生育に必要な農作業の実施・そのタイミング等の有益情報を析出し、有益情報を、農家側コンピューターに送信する為の解析サーバーを備える農作物生産管理システムである。この解析サーバーからの情報を基に、農作物における、例えば、全有効積算温度を算出し、全有効積算温度に基本とし、農作業を進める手法である。しかし、現実は、解析サーバーに全権を委ねるには、問題がある。
【0006】
また、文献2は、露地農作物の凍霜害防除方法、及び装置に関する。農業気象災害の1つである凍霜害(霜害)の防除技術である。霜害発生は、茶樹、果樹、野菜等の作物に発生する。その対策として、温風(逆転層の温風)により作物表面の温度を上昇し、霜害の原因となる結霜、及び/又は、凍露の発生を防止し、霜害を効率良く防除する方法である。しかしながら、この文献2においても、文献1の問題を抱えている。
【0007】
尚、文献3には、防霜ファンのモータベースを首振り手段(防霜ファンの首振り動作)として、ギヤ機構が開示されている。首振り軌跡変化を意図した特殊な仕様に対応する機構であり、一般的な機構(装置)・手法には、採用できないと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006-212002号公報
【特許文献2】特開平7-115855号公報
【特許文献3】特開昭59-166022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記文献1~3には、開示されていない、稼働中防霜ファン(その他の稼働防霜ファン)の稼働操作を制御する(例えば、着霜の蓋然性がある圃場域に、稼働中防霜ファンの回転位置を決めた後に、その他の稼働防霜ファンによる温かい空気(逆転層の空気)を、集中送風し、着霜回避を積極的に行い、かつ圃場全体の健全な成育環境を確保する)ことを意図する。また、防霜ファンとその他の稼働防霜ファンを活用することにある。
【0010】
また、本発明では、既存の位置に設置されている防霜ファンを、活用しつつ、茶葉(茶樹)等の作物が霜に侵されず、かつ品質向上と、茶樹の健全な成育を達成することを主眼とする。例えば、一般的な機構(装置)・手法に適する防霜ファン活用による防霜ファンとその他の稼働防霜ファンの操作方法と、防霜ファンとその他の稼働防霜ファンの構造を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記に鑑み、本発明の目的は、圃場における茶樹等の作物の栽培に関して、圃場の状況を検知する画像センサを利用する手段を採用し、防霜ファンを有効活用する。これにより、茶葉が霜に侵されることを回避し、茶樹の品質向上と健全な成育を達成することを意図する。その為の手段として、請求項1~13を提供する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1では、
茶樹、果樹、植物の何れかの作物を栽培する圃場には、
(例えば、複数基の)防霜ファンとその他の稼働防霜ファン、及び(例えば、一基の)画像センサを設置し、
圃場の地形、及び/又は、画像センサの設置を基に、圃場、又は圃場域を設け、
画像センサの検知結果を画像解析し、圃場域の中で着霜危険圃場域を把握し、
その他の稼働防霜ファンは、結果として、着霜危険圃場域に、それぞれ立設した建柱に取付けられており(尚、防霜ファンも、それぞれ立設した建柱に取付けられており、同じ)、その他の稼働防霜ファンを、それぞれ制御しつつ、この中で、着霜危険圃場域外のその他の稼働防霜ファンは、着霜危険圃場域に対し、援助動作を図る構成であって、所謂、着霜危険圃場域の着霜回避を図ることを意図する防霜ファンの操作方法とする。
【0013】
これにより、防霜ファン(以降、原則として、防霜ファンには、その他の稼働防霜ファンを含む)と画像センサを設置した圃場において、着霜危険圃場域の着霜回避を図りつつ、茶葉等の作物の生育を確保できる。さらに、少なくとも、画像センサによる検知/検知解析によって、圃場域毎に着霜危険圃場域が判別することを利用し、この着霜危険圃場域へ向けて送風するようにその他の稼働防霜ファンを回動し、この回動位置を決めてその他の稼働防霜ファンの稼働制御をすることが可能であり、かつその他の稼働防霜ファンの有効利用と、着霜危険圃場域の解消が図れる。併せて、画像センサ(又はサーモグラフィー)を利用することで適切な情報を得て、防霜ファンとその他の稼働防霜ファンの独特の回動位置決め、その他の稼働防霜ファンの制御操作を行い、温度の偏り(温度斑)を少なくしつつ、着霜危険圃場域の解消に努める。また、温度斑の解消に役立てる。かつ圃場全体の防霜効果を高め得る。
【0014】
また、防霜ファンとその他の稼働防霜ファンの操作を制御(稼働方向性・時間続行、或いは俯角調整等)すること、或いは、基材の節約化の面において有益性を備える。また、圃場の地形(窪み、周辺環境)に基づく防霜ファン等の有効利用に寄与できる。
【0015】
請求項2では、
その他の稼働防霜ファンの制御は、
その他の稼働防霜ファンの回動位置(着霜危険圃場域の防霜ファンを補助するその他の稼働防霜ファンの送風方向を定める位置を云う)を定め、
回動位置で、
その他の稼働防霜ファンの俯角調整、
又はその他の稼働防霜ファンの首振り角度調整、
或いはその他の稼働防霜ファンの首振りスピード調整、
を選択する構成とした防霜ファンの操作方法とする。
【0016】
これにより、請求項1と同じ効果が期待できる。
【0017】
請求項3では、
着霜危険圃場域が発生した場合は、着霜危険圃場域の外に設置されたその他の稼働防霜ファンの回動位置、俯角調整、首振り角度調整、首振りスピード調整の何れかを調整し、着霜危険圃場域に向けて集中的に送風することを特徴とする防霜ファンの操作方法とする。
【0018】
これにより、請求項2と同じ効果が期待できる。さらに、着霜危険圃場域に向けて逆転層の空気を集中的に送風して防霜を図ることができ、基材の節約化の面において有益性を備える。
【0019】
請求項4では、
その他の稼働防霜ファンの回動位置は、着霜危険圃場域に向けた送風位置を示すことを特徴とする防霜ファンの操作方法とする。
【0020】
これにより、請求項2と同じ効果が期待できる。
【0021】
請求項5では
その他の稼働防霜ファンの俯角調整は、
その他の稼働防霜ファンに備えたモータ制御と、その他の稼働防霜ファンと架台の間に載置するベースの回動により操作する構成とした防霜ファンの操作方法とする。
【0022】
これにより、請求項2と同じ効果が期待できる。
【0023】
請求項6では、
その他の稼働防霜ファンの首振り角度調整、及び/又は、首振りスピード調整は、
その他の稼働防霜ファンに備えたモータ制御と、その他の稼働防霜ファンの架台の制御、及び/又は、その他の稼働防霜ファンと架台の間に載置するベースの制御で操作する構成とした防霜ファンの操作方法とする。
【0024】
これにより、請求項2と同じ効果が期待できる。
【0025】
請求項7では、
圃場に設置した防霜ファンとその他の稼働防霜ファンの制御は、
画像センサによる判定で、防霜ファンとその他の稼働防霜ファンとに分けて制御し、
圃場の着霜危険発生が無くなる迄、その他の稼働防霜ファンの回動位置の調整、及び/又は、俯角調整、及び/又は、首振り角度調整、及び/又は、首振りスピード調整を行う構成とした防霜ファンの操作方法とする。
【0026】
これにより、請求項2と同じ効果が期待できる。さらに、複数基の防霜ファンとその他の稼働防霜ファンとを1台ずつ制御することにより、基材の節約化の面において有益性を備える。
【0027】
請求項8では、
その他の稼働防霜ファンの俯角調整は、
その他の稼働防霜ファンの初期位置を0°(例えば、図1の角度)とし、30°から80°とする構成とした防霜ファンの操作方法とする。
【0028】
これにより、請求項2と同じ効果が期待できる。また、防霜ファンの初期位置を0°とした際の、防霜に有効なその他の稼働防霜ファンの俯角調整を提供できる。
【0029】
請求項9では、
その他の稼働防霜ファンの首振り角度調整は、
60°から120°とし、
その他の稼働防霜ファンの周速は、
一往復を2分制御とする構成とした防霜ファンの操作方法とする。
【0030】
これにより、請求項2と同じ効果が期待できる。また、その他の稼働防霜ファンの首振り角度調整を提供できる。
【0031】
請求項10では、
画像センサは、圃場に、一基設置する構成とした防霜ファンの操作方法とする。
【0032】
これにより、請求項1、又は請求項2と同じ効果が期待できる。さらに、基材の節約化の面において有益性を備える。
【0033】
請求項11では、
その他の稼働防霜ファンは、多数基であって、
多数基で、着霜危険圃場域に向けて集中的に送風する防霜ファンの操作方法とする。
【0034】
これにより、請求項1、又は請求項2と同じ効果が期待できる。さらに、着霜危険圃場域を無くすことができる。
【0035】
請求項12では、
請求項1、又は請求項2に記載の防霜ファンの操作方法を採用する防霜ファンとその他の稼働防霜ファンは、
圃場に立設した建柱と、
建柱に取付けられる架台と、
架台に設けた俯角調整装置と、
俯角調整装置に設けた防霜ファンとその他の稼働防霜ファンの俯角調整手段、及びモータ支持用のベースと、
を備える構成とした防霜ファンとその他の稼働防霜ファンとする。
【0036】
これにより、着霜防止に最適な防霜ファンとその他の稼働防霜ファンを提供できる。
【0037】
請求項13では、
圃場に設置され、圃場の状況を検知する画像センサによる検知結果、及び/又は、圃場における着霜発生状況の検知結果を、第1の蓄積学習情報として捉え、かつ(過去の学習情報として)蓄積し、
第1の蓄積学習情報と異なる日時における、画像センサによる検知結果、及び/又は、圃場における着霜発生状況の検知結果を、第2の蓄積学習情報として捉え
第1の蓄積学習情報と、第2の蓄積学習情報を比較検討し、
比較検討に基づいて、防霜ファンの稼動、及び、その他の稼働防霜ファンの回動位置の調整、及び/又は、俯角調整、及び/又は、首振り角度調整、及び/又は、首振りスピード調整を図る構成とした防霜ファンの操作方法とする。
【0038】
これにより、請求項1、又は請求項2と同じ効果が期待できる。さらに、取得した画像センサのデータ、気象情報、圃場情報、及び防霜ファン、又はその他の稼働防霜ファンの稼動情報等を学習情報として蓄積することで、翌年以降の制御に有効利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】防霜ファン(その他の稼働防霜ファン等を含む)の一例を示した拡大側面図
図2】圃場の好ましい、一例であって、画像センサの設置状況の一例を示した側面模式図
図3】圃場の一例であって、(イ)ある圃場域の平常運転時における、三基の防霜ファンの首振り範囲の一例を示した平面模式図、(ロ)特定の領域が着霜危険圃場域と判定された場合に、周辺領域の二基(一例であり、図示しないが、多数基でなる、その他の稼働防霜ファンのその他の例も有り得る)のその他の稼働防霜ファンを制御し、着霜危険圃場域を集中的に制御する状況を示した平面模式図
図4】防霜ファンの稼働状態を司る操作システムの構成の一例を示すブロック図
図5】ある箇所の一つ、又は複数の圃場域が、着霜危険圃場域になった際の防霜ファン、又はその他の稼働防霜ファンの操作システムの流れを示すフローチャート
図6】(イ)圃場の一例であって、ある一圃場域が、着霜危険圃場域になった際の対応であり、最初に、その他の稼働防霜ファンの回動位置を定めて、次に、その他の稼働防霜ファンの俯角調整、及び/又は、首振り角度調整、及び/又は、首振りスピード調整を行う一例の模式図、(ロ)は(イ)のその他の稼働防霜ファンの俯角調整を想定した側面模式図
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の各実施例を説明する。各実施例は、好ましい一例であり、各実施例の説明、及び/又は、図面に限定されない。
【0041】
先ず、図1及び図2に示した防霜ファンA1(原則として、その他の稼働防霜ファンA2、A3等を含む)の一例を説明する。この防霜ファンA1を、圃場Bに配備するには、例えば、複数の圃場域B1~Bnに立設した複数の建柱1に、各一基(一例であり、数基もあり得る)ずつ防霜ファンA1を設置する。各建柱1(以下、単独で説明する)には水平方向に首振り自在な架台50及び首振り装置2と、第3モータ9を設け、さらに首振り装置2に差渡し、垂直方向にファン5の俯角調整を行う俯角調整装置4が設けられている。この俯角調整装置4には防霜用のファン5の俯角調整手段の第2モータ8、第1モータ6、第1モータ6のモータ基台3、及びモータ基台3支持用としてのベース7が設けられている。また、ベース7は俯角調整が可能である。
【0042】
この防霜ファンA1の稼働は、第1モータ6により、防霜用のファン5を動かし、逆転層Dの暖気を圃場Bの茶樹C(果樹、植物等の農作物)に向かって吹き降ろす。この際に、俯角調整装置4は当該首振り装置2に設けた第2モータ8等の駆動装置、及び第3モータ9(防霜ファンA1の回動用のモータである)による水平方向に回動可能な架台50に設けられている。また、俯角調整装置4でファン5の俯角を調整した状態においても、ファン5の首振り動作は可能である。また、各モータ6、8、9には、ファン5の作動時の衝撃と振動を吸収できるように、ショックアブソーバー(図示せず)を設けることも可能である。これらの首振り動作、及び/又は、首振りスピードと防霜用のファン5の回転により、暖気は圃場Bに向かって、90°の扇形形状(一例である。その他の首振り角度としては、例えば局所的に防霜を行うために、各60°、75°、120°等の首振り角度にも対応できる。)に、狭い領域から広い領域に、それぞれ吹き降ろす構造となっている。そして、前述の如く、この首振り動作の過程で所定の位置において、首振り動作を、場合により、制御する。例えば、遅速等の調整や送風時間の調整をする構成も有り得る。
【0043】
また、首振り装置2の制御機構は、図示しないが、ストッパー、ギヤ機構とか、停止装置等の機械的な機構、又はタイマー及びセンサとの組合せ機構、制御回路機構、AI制御機構、等の各種機構を採用できる。その他としては、例えば、電気的な制御方法であり、例えば、リミットスイッチ、ワンショットタイマー、その他のタイマーとの組合せも有り得る。
【0044】
そして、図2に示す如く、建柱1の圃場B上側、及び/又は、圃場B下側とかの適宜箇所には、圃場画像や葉面画像を取得する画像センサHを備える。この画像センサHは、例えば、葉面等の温度、及び/又は、画像(映像)等を検知する。尚、画像センサHはカメラ10aを備えており、例えば、圃場画像や葉面画像を取得する。画像センサHの代替として、他の手段による航空画像の取得や、その他の手段を利用した画像等の利用も考えられる。この圃場Bの下側には、防霜ファンA1の制御を行う制御装置12を設ける。この場合、圃場Bの茶樹Cから茶葉を収穫する茶刈機や、その他の機械の走行の妨げにならないように設置する。画像センサHは、図示の如く、原則として、圃場Bを一望できる箇所とするが、例外も有り得る。
【0045】
そして、この画像センサH等から取得される各データは、例えば、多数の撮影画像、及び/又は、葉面の表裏面の色彩、萎凋化とか、着霜・降雨の痕跡の有無でもよい。さらに、図示しないが、その他の画像を取得してもよい。また、近年はCMOS型イメージセンサにより、夜間でも少しの照明で撮像できるため、昼夜問わず、画像センサHによる解析・管理が可能である。またこの解析で、区分け圃場域Bnの中において、着霜危険圃場域Bn’が有るか否かを判定する。
【0046】
葉面の表裏面の色彩を検知する場合、茶樹Cの葉面に着霜した霜は、画像センサHでは、白っぽく確認できる。従って、画像センサHによる着霜判定(着霜危険性の判定を含む)は、圃場B等の雰囲気、気候による、一般的な温度センサのみによる管理と比較して正確である。また、着霜を検知する接触センサ(図示しない)を葉面に設置し、画像センサHと併用することで、着霜の有無と、葉面の凍結を同時に測定しても良い。
【0047】
図3に防霜ファンA1を設置した圃場Bの一例を示す。この圃場Bの風向きや、温度(圃場の雰囲気温度)、湿度、及び風速等の気候情報とか、近辺の地形(池、窪み、小山等が存在する地形)に関するデータは、原則として、圃場Bに設けた画像センサHを参照する。さらに、過去の圃場Bの状況を学習情報として得た学習データや、過去の経験則のデータを含めた、必要な全てのAI情報や経験則に基づいて、圃場Bの着霜危険を判定する(着霜危険圃場域Bn’(救援防霜を行う箇所)を、速やかに定める)。そして、これらのデータを第1蓄積学習情報として蓄積することで、翌年以降に、この学習データを着霜危険圃場域Bn’が有るか否かの判定に利用できる。また、設置した一基の画像センサHの検知に基づいて、後述する圃場域Bnを決定する。尚、一基の画像センサHで圃場Bの画像を捉えきれない状況では、図示しないが、別に設置する。その状況の一例は、地形、その他の環境関係(窪地、周辺環境とか、採光、風の流れ、又は樹木等の大小等である)と考えられる。
【0048】
図3(イ)は、三基の防霜ファンA1~A3が設置された圃場域B1~B3における、これらの防霜ファンA1~A3の平常運転時の首振り範囲の一例を示した平面模式図である。例えば、着霜危険圃場域Bn’がないような平常運転時の模式図であり、(ロ)は特定の領域が着霜危険圃場域B1’と判定された場合に、防霜ファンA1の周辺領域の二基のその他の稼働防霜ファンA2、A3等を集中的に制御する状況を示した平面模式図であって、それぞれ示している。この圃場Bの中を区画する圃場域B1~Bnは、風の流れ(気流)、地形、地面の凹凸、池の有無とか、この種の画像センサHと、その設置箇所、台数等と、経験則で決定することが望ましい。
【0049】
以下、前記図3(イ)と(ロ)の一例に関して、詳細に説明する(図面の対比による説明は、一例である)。
【0050】
先ず、図3(イ)は、圃場Bのある領域(箇所)における防霜ファンA1の平常運転時の防霜ファン効果エリアYを示す例であって、俯瞰視した状態では、例えば、略扇型を呈する。この平常運転時には、例えば、全ての防霜ファンA1~A3は、同じ回動位置で、同じ俯角、首振り角度、及び首振りスピードで運転しているものとする。一例として、この状態において、この領域を画像センサHが付設された圃場域(圃場の地形、及び/又は、複数基の防霜ファンの位置に基づいて、圃場を区分けした領域のことで、以下、圃場域Bnとする)として、画像判定を行う。前提として、逆転層Dの発生が確認されたものとする。
【0051】
この状態において、画像センサHにより、例えば、区分け圃場域B1は、極めて、危険な領域(以下、着霜危険圃場域B1’)と判定され、かつ区分け圃場域B1外は、着霜危険性が低い領域(以下、着霜危険圃場域外B1”とする)であり、所謂、防霜効果が達成されている場合を次に説明する図3(ロ)に示す。
【0052】
図3(ロ)では、画像センサHの判定で、網掛け領域が、極めて、危険な領域(着霜危険圃場域B1’)と判定される。この判定に対して、着霜危険圃場域外B2”、B3”に設置されている稼動中のその他の稼働防霜ファンA2、A3等を制御し、この着霜危険圃場域B1’の着霜回避を図る。最初に回動位置(回動位置とは、着霜危険圃場域B1’の防霜ファンA1の防霜領域を補助する、その他の稼働防霜ファンA2、A3等の送風方向を定める位置であり、回転位置調整Xとして示す。理由は、図3(ロ)に示す網掛け領域の位置に向かって速やかに送風する為である)を決定し、この回転位置を決定後は、その他の稼働防霜ファンA2、A3等の首振り角度を、例えば120°程度と広範囲に首振りすることで、図示の如く、着霜危険性のない着霜危険圃場域外B2”、B3”の稼働中のその他の稼働防霜ファンA2、A3等の送風により、逆転層Dの暖気を、この着霜危険圃場域B1’に向けて集中的に吹き降ろし、着霜危険圃場域B1’の茶樹、葉面等を暖め、着霜を回避する。即ち、まずはおおまかに防霜したい方向に向けて防霜ファンA1の回動位置を定めた後、詳細な調整により、防霜ファンA1の首振り、及び送風を図り、着霜回避をする。例えば、稼働中のその他の稼働防霜ファンA2、A3(応援防霜ファンである)の、回動位置の変更と、首振り調整(方向調整)、俯角調整(図3(イ)の初期位置を基礎として、順次、俯角調整をする)、又は首振りスピード調整(首振り角度範囲制御、以下同じ)であって、この各種の調整を個別に行うか、又は組合せた総合調整等により、着霜危険圃場域B1’に集中的に送風し、着霜回避を図る(一例であり、他の応援防霜ファンも同じ)。尚、その他の稼働防霜ファンA2、A3の援助として、首振り範囲が、異なることから(回動位置の変更により)、このその他の稼働防霜ファンA2、A3等の首振りスピードを速めて(又は首振り角度を拡充し)、このその他の稼働防霜ファンA2、A3の本来のエリアの送風確保を図る(着霜危険圃場域B1’の着霜を無くす)。これにより、着霜危険圃場域B1’に向けて逆転層の暖気を送り、防霜回避を図ることと、防霜効率を高める。前述の如く、回動位置を定めることで、防霜効果と、防霜対応を迅速に、かつ間違いなく行い、着霜被害の回避ができ、かつ、茶葉の品質を保護できる。尚、着霜危険圃場域外B2”、B3”の他の、図示しない補助する着霜危険圃場域外B4”等のその他の稼働防霜ファンA4等を利用することも有り得る。
【0053】
また、圃場Bに設置した画像センサHにより、着霜危険性がないと判定された圃場域B1等では、逆転層Dの有無とは関係なく、圃場域B1の防霜ファンA1は稼働を継続することと、併せて、圃場域B2及び圃場域B3のそれぞれのその他の稼働中の防霜ファン(その他の稼働防霜ファン)A2、A3を元に戻すか否かを検討する。即ち、図3(イ)のような平常運転時の回動位置や首振り角度に戻す。そして、場合により、この稼働を継続するか、或いは間欠稼動等を行うことも有り得る。また、防霜ファンA1の戻し動作(平常運転時の回動位置等に戻す動作)は、制御装置12等の機器に委ねる。また、機器は、この例に限らず、その他として、他のセンサ(図示しない)を活用することも可能である。尚、防霜ファンA1、その他の稼働防霜ファンA2、A3等は、原則として、稼働を継続する。
【0054】
例えば、色彩判定を行う画像センサHにより、防霜ファンA1使用中、及び/又は、防霜ファンA1停止中の何れかにおいて、シーズンの霜状態を検知、及びデータ化し、例えば、サーモデータと比較することにより、圃場B内の温度を測定し、温度斑を検知し、この温度斑の解消と、望ましくは、圃場B全体の温度管理と、着霜危険圃場域B1’~Bn’を無くす。例えば、本発明では、画像センサHによる色変化、葉面の枯、萎凋化とかを検知し、防霜有無を正確に判断できるため、正確に防霜ファンA1、及び/又は、その他の稼働防霜ファンA2~Anの運転操作等の継続稼動操作を選択できる。例えば、圃場Bに風のある場合、温度が低下しても着霜しない場合があるので、画像センサHの色変化による検知がないと考えられる。換言すると、設定温度以下でも着霜しないと判断できるためであり、防霜ファンA1の運転(援護制御)を行わない。逆に、防霜ファンA1の制御と、その他の稼働防霜ファンA2等の制御(援護)を意図した制御操作を行わない。一方で、防霜ファンA1、及び/又は、その他の稼働防霜ファンA2等が通常運転していても、気温の低下が大きい場合には、着霜が発生する危険性があり、これは画像センサHが色変化等を検知した場合であって、首振り速度の変更や、俯角調整を行い、着霜箇所への送風量を増加させ、着霜部の温度低下を抑えるよう、防霜ファンA1、及び/又は、その他の稼働防霜ファンA2~Anの送風方向の調整を、制御を頼りとすることで行うことができる。一方、着霜箇所が限定されている場合には、その着霜箇所に関するその他の稼働防霜ファンA2~Anの送風、及び/又は、送風操作(送風制御)でよく、人手と機器の有効利用ができる。
【0055】
そして、圃場Bは、図示しないが、複数基の防霜ファンA1、その他の稼働防霜ファンA2(防霜ファンA1とも成り得る。他の例も同じ)………Anを設置した大規模な構造が通常であるが、前述したように、画像センサHは、原則として、一基とする。しかし、例外も有り得る。圃場域B1………Bnにおいては、一基の画像センサHを設置するが、学習情報、圃場Bのデータ等に起因し、ある一箇所が着霜危険圃場域Bn’等と判断された時は、この着霜危険圃場域Bn’内のその他の稼働防霜ファンA2に加え、周辺の着霜危険圃場域外Bn”等の、複数基のその他の稼働防霜ファンA3等を着霜危険領域Bn’に向けて、集中的かつ効率的に稼動する。この時、例えば、その他の稼働防霜ファンA2とその他の稼働防霜ファンA3の稼動時間、送風量等の拡充とか、首振り範囲、首振りスピード等の拡充、及び/又は俯角調整により確実に送風し、茶樹Cの着霜回避を図る。その際の条件は、常時、画像センサHにより各データを取得し、的確に判断するが、防霜ファンA1(その他の稼働防霜ファンA2等を含む。以下、省略)の首振り角度は、60°から120°の間で調整を行うが、例えば、防霜ファンA1等の一往復を、例えば、2分に制御することが好ましいが、随時変更はできる。また、防霜ファンA1の俯角調整は、防霜ファンの初期位置を0°(例えば、図1の角度)として、30°から80°が好ましい。これらの各値は好ましい一例であり、この範囲に限定するものではない。また、防霜ファンA1の稼働停止は、原則として行わず、前述の理由で、稼働を継続することが望ましい。
【0056】
前述の如く、画像センサHは、基本的には、圃場B(圃場域B1~Bn全体で)に一基(一例である)である。この圃場Bをもとに圃場域B1~Bn全体を管理する。但し、その他の必要圃場域Bn(着霜危険圃場域Bn’)に対応して防霜ファンA1を稼動することができる。また例えば、ある一圃場域B1に着霜危険圃場域B1’があり、この着霜危険圃場域B1’内の防霜ファンA1を、俯角、首振り角度、又は首振りスピード等を調整し、集中的に管理するとともに、この着霜危険圃場域B1’周辺の着霜危険圃場域外B2”等のその他の稼働防霜ファンA2等においても、必要に応じて、着霜危険圃場域B1’に向けて送風を行うことにより、効率よく着霜防止を図ることができる。
【0057】
画像センサH等により、着霜危険圃場域Bn’の発生と判定された際、この着霜危険圃場域Bn’は、着霜危険圃場域外Bn”の一基又は複数基の防霜ファンA1等の制御(稼働継続とか、稼働開始等を行う制御)、及び着霜危険圃場域外Bn”のその他の稼働防霜ファンA2等の制御による援助制御等の操作を実行する。
【0058】
この防霜ファンA1の制御と、或いは、着霜危険圃場域外のその他の稼働防霜ファンA2等による援助制御を利用し、着霜危険圃場域Bn’の着霜回避を図る構成とした防霜ファンA1の操作システムを説明すると、下記の一例が挙げられる。
【0059】
図4は防霜ファンA1の操作システムの一例を示す図であり、この操作システムは、圃場Bの気象条件や逆転層の有無等に応じて、防霜ファンA1を高効率に稼動、及び/又は停止を判定するシステムである。このシステムは、圃場Bに備えた、複数基の防霜ファンA1等の制御に関する複数の検知用センサ、即ち、画像センサHと、制御装置12、記録装置13、端末通信装置14、及び操作司令部30を備える。これらの各装置は、例えば、ネットワーク20の採用も可能である。また、場合により、逆転層Dを検知した圃場Bの各圃場域B1~Bnにおいて、画像センサHによるデータを、制御装置12で管理する。各圃場域B1~Bnの各制御装置12の各管理データを、圃場B全体における複数基の防霜ファンA1等の管理データを記録する記録装置13で管理し、複数の異なる圃場域Bnにおける各管理データの比較、及び検討を、防霜ファンA1等毎に個別に制御する。
【0060】
画像センサHは、一例として、圃場域B1………Bnを、区画形成する目的で設置し、撮像情報の取得も有り得る。
【0061】
制御装置12は、受信したこれらの各管理データと、圃場域番号や取得日時を紐づけて、圃場Bの全圃場域B1~Bnにおける全データを記録装置13に記録する。記録装置13には、受信したこれらの各データと、圃場域番号や取得日時を紐づけられた画像センサHが取得した各データと、この圃場Bの過去の気候情報等が蓄積保存される。
【0062】
本発明の防霜ファン操作システムによれば、圃場における茶樹等の作物の栽培に関して、圃場Bの状況を検知する図示しないセンサ等を、圃場域B1………Bnに設置し、その情報を一括管理することで、防霜ファンA1等を有効利用し、かつ防霜を図ることが可能となる。
【0063】
また、画像センサH、及び/又は、俯角、首振り角度、必要により、スピード等を調整するセンサ(図示しない)は、併用、及び/又は、単独で採用、及び/又は、作動させ(検知し)、防霜効果精度の向上と、基材の節約化の面において有益性がある。
【0064】
図5は防霜ファンA1の操作システムの流れの一例であり、画像センサHにより、圃場Bの着霜危険領域の有無を検知/判定「解析」し(ST-1、2)、この判定結果により、着霜危険圃場域B1’等が確認された場合(YESの場合)には、着霜危険圃場域B1’に送風できる位置に、防霜ファンA1(その他の稼働防霜ファンA2、及び/又は、周辺の着霜危険圃場域外B3”のその他の稼働防霜ファンA3等を含む)を回動する(ST-3)。この防霜ファンA1の回動位置の決定後、これらのその他の稼働防霜ファンA2、A3等の俯角調整(ST-4-1)、及び/又は、首振り角度調整(ST-4-2)、及び/又は、首振りスピード調整(ST-4-3)を、必要に応じて、選択的に調整し、防霜ファンA1、及び、その他の稼働防霜ファンA2、A3等を稼動する(ST-5)。これらの制御を繰り返し行うことにより、効率的に防霜効率を高めることができる。
【0065】
尚、図6は、(イ)は圃場の一例であって、ある一圃場域Bnが、着霜危険圃場域Bn’になった際に、防霜が必要な圃場域Bn(着霜危険圃場域Bn’)に対応して複数基の防霜ファンA1を稼動する制御方法の一例である。例えば、図示しないが、圃場域B2が着霜危険圃場域外B2”であり、最初に、着霜危険圃場域外B2”のその他の稼働防霜ファンA2の回動位置を変更し、集中的に管理する。さらに、その他の稼働防霜ファンA2の俯角、首振り角度、首振り時間(首振り時の滞留・スピード)等を調整するとともに、この着霜危険圃場域Bn’周辺の着霜危険圃場域外B3”のその他の稼働防霜ファンA3においても、必要に応じて、着霜危険圃場域Bn’方向に、その他の稼働防霜ファンA3の回動位置の決定後に、俯角、首振り角度、首振り時間等を調整するとともに、着霜危険圃場域Bn’に向けて送風を行うことにより、効率よく着霜防止を図ることができる。(ロ)は、(イ)のその他の稼働防霜ファンA2の俯角調整の一例を想定した側面模式図である。
【0066】
前述した、各実施例は、好ましい一例である。この各実施例の趣旨の範囲において、構成の一部を変更する構造、又は同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0067】
A1 防霜ファン
A2~An その他の稼働防霜ファン
B 圃場
B1~Bn 圃場域
B1’~Bn’ 着霜危険圃場域
B1”~Bn” 着霜危険圃場域外
C 茶樹
D 逆転層
H 画像センサ
X 回転位置調整
Y 防霜ファン効果エリア
1 建柱
2 首振り装置
3 モータ基台
4 俯角調整装置
5 ファン
6 第1モータ
7 ベース
8 第2モータ
9 第3モータ
10a カメラ
12 制御装置
13 記録装置
14 端末通信装置
20 ネットワーク
30 操作司令部
50 架台
図1
図2
図3
図4
図5
図6