(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170075
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】運転評価システム、運転評価方法、運転評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20221102BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20221102BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20221102BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G09B19/00 H
G09B29/00 A
G09B29/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075958
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】520130580
【氏名又は名称】ミナミホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516264082
【氏名又は名称】株式会社ティアフォー
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】江上 喜朗
(72)【発明者】
【氏名】村木 友哉
【テーマコード(参考)】
2C032
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HB05
2C032HC08
2C032HC26
2C032HC27
2C032HD07
2C032HD16
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181FF40
5H181MB02
(57)【要約】
【課題】運転を評価することができ、かつ、運転中において的確にアドバイスや運転補助を行うことができ、さらに、運転者にとってわかりやすい振り返りを行うことができる運転評価システム、運転評価方法、運転評価プログラムを提供する。
【解決手段】運転評価システム1は、車両の運転技術を評価する運転評価システムであって、運転中の状態を運転データとして記憶する記憶部202と、運転状況を評価する評価部211と、運転中において評価部211の評価結果に応じてイベントを検出し、記憶部202が記憶する前記運転データに見出しを付与、又は、対応する記憶を抽出してイベントとして管理するイベント管理部212と、運転終了後に記憶部202に記憶された前記運転データを再生する再生部218と、を備え、再生部218は、前記運転データを再生中にイベント管理部212が管理するイベントに関連するコンテンツを再生可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転技術を評価する運転評価システムであって、
運転中の状態を運転データとして記憶する記憶部と、
運転状況を評価する評価部と、
運転中において前記評価部の評価結果に応じてイベントを検出し、前記記憶部が記憶する前記運転データに見出しを付与、又は、対応する記憶を抽出してイベントとして管理するイベント管理部と、
運転終了後に前記記憶部に記憶された前記運転データを再生する再生部と、
を備え、
前記再生部は、前記運転データを再生中に前記イベント管理部が管理する前記イベントに関連するコンテンツを再生可能である運転評価システム。
【請求項2】
請求項1に記載の運転評価システムにおいて、
前記イベント管理部は、前記評価部の評価結果が所定の基準を満たしていない評価が生じた場合にイベントとして管理を行うこと、
を特徴とする運転評価システム。
【請求項3】
請求項2に記載の運転評価システムにおいて、
前記イベント管理部がイベントとして管理を行う運転状況が生じた時点で、運転者にその旨を告知する告知部を有すること、
を特徴とする運転評価システム。
【請求項4】
請求項3に記載の運転評価システムにおいて、
前記イベント管理部がイベントとして管理を行う運転状況が生じた時点で、運転者にアドバイスを伝えるアドバイス部を有すること、
を特徴とする運転評価システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載の運転評価システムにおいて、
前記イベント管理部がイベントとして管理を行う運転状況が生じた時点で、ブレーキの補助が必要か否かを判断する補助ブレーキ判断部と、
前記補助ブレーキ判断部が補助ブレーキを必要と判断したときに補助ブレーキを作動させる補助ブレーキ駆動部と、をさらに備えること、
を特徴とする運転評価システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の運転評価システムにおいて、
前記イベント管理部がイベントとして管理を行う運転状況が生じた時点で、ハンドル操作の補助が必要か否かを判断する補助ハンドル判断部と、
前記補助ハンドル判断部が補助ハンドル操作を必要と判断したときにハンドル操作の補助を行う補助ハンドル駆動部と、をさらに備えること、
を特徴とする運転評価システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかに記載の運転評価システムにおいて、
前記イベント管理部が運転経路の誤りをイベントとして検出した場合に、その後の運転経路を案内する運転経路案内部を備えること、
を特徴とする運転評価システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の運転評価システムにおいて、
前記再生部が再生する前記運転データは、
運転時の実際の走行経路をコース地図と重ねて表示する動画と、
運転時の車両前方を撮影した動画と、
運転時の運転者の顔を撮影した動画と、
運転中の評価と、
運転中に発生したイベントと、
の内の少なくとも1つを含むこと、
を特徴とする運転評価システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれかに記載の運転評価システムにおいて、
前記コンテンツは、
イベント検出時の近傍における実際の走行経路をコース地図と重ねて表示する動画と、
イベント検出時の近傍における車両前方を撮影した動画と、
イベント検出時の近傍における運転者の顔を撮影した動画と、
検出されたイベントに対応したアドバイスに関する情報と、
の内の少なくとも1つを含むこと、
を特徴とする運転評価システム。
【請求項10】
車両の運転技術を評価する運転評価方法であって、
記憶部が運転中の状態を記憶するステップと、
評価部が運転状況を評価するステップと、
イベント管理部が運転中において前記評価部の評価結果に応じてイベントを検出し、前記記憶部が記憶する記憶データに見出しを付与、又は、対応する記憶を抽出してイベントとして管理するステップと、
運転終了後に再生部が前記記憶部に記憶されたデータを再生するステップと、
前記再生部が、前記記憶データを再生中に前記イベント管理部が管理する前記イベントに関連するコンテンツを再生可能とするステップと、
を備える運転評価方法。
【請求項11】
コンピュータに、
記憶部が運転中の状態を記憶するステップと、
評価部が運転状況を評価するステップと、
イベント管理部が運転中において前記評価部の評価結果に応じてイベントを検出し、前記記憶部が記憶する記憶データに見出しを付与、又は、対応する記憶を抽出してイベントとして管理するステップと、
運転終了後に再生部が前記記憶部に記憶されたデータを再生するステップと、
前記再生部が、前記記憶データを再生中に前記イベント管理部が管理する前記イベントに関連するコンテンツを再生可能とするステップと、
を実行させるための運転評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転評価システム、運転評価方法、運転評価プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の運転支援技術の発展が著しいが、基本的には運転者の技能が担保されていることが前提であり、運転者の運転技術の維持、及び、向上、また運転免許取得のための教育(教習)は重要である。また、近年の高齢化社会においては、高齢者の再教育といったニーズも高まっている。
現状、運転技術の評価は、自動車教習所の教官が車両に同乗して行われている。教官が同乗していれば、運転者の問題点をリアルタイムで的確にアドバイスを行うことができ、また、危険な場合には補助ブレーキを掛けることも可能である。
しかし、教官の人数には限りがあり、労働時間の管理厳格化といった背景により、教習ニーズに十分に応えることができないケースが出てきている。
【0003】
運転技能評価システムが特許文献1に開示されている。特許文献1の運転技能評価システムでは、運転技能評価の結果表示を行うことができる。
しかし、特許文献1の運転技能評価の結果表示では、走行ルートと共に問題箇所とその問題箇所での評価結果が運転終了後に表示されるのみであった。問題箇所の提示が運転終了後であることから、運転中に不適切な運転を行っていても、運転者がその不適切な運転に気が付くことができず、修正することができないだけでなく、危険な状態となるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、運転を適切に評価することができ、かつ、運転中において的確にアドバイスや運転補助を行うことができ、さらに、運転者にとってわかりやすい振り返りを行うことができる運転評価システム、運転評価方法、運転評価プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
第1の発明は、車両の運転技術を評価する運転評価システム(1)であって、運転中の状態を運転データとして記憶する記憶部(202)と、運転状況を評価する評価部(211)と、運転中において前記評価部(211)の評価結果に応じてイベントを検出し、前記記憶部(202)が記憶する前記運転データに見出しを付与、又は、対応する記憶を抽出してイベントとして管理するイベント管理部(212)と、運転終了後に前記記憶部(202)に記憶された前記運転データを再生する再生部(218)と、を備え、前記再生部(218)は、前記運転データを再生中に前記イベント管理部(212)が管理する前記イベントに関連するコンテンツを再生可能である運転評価システム(1)である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に記載の運転評価システム(1)において、前記イベント管理部(212)は、前記評価部(211)の評価結果が所定の基準を満たしていない評価が生じた場合にイベントとして管理を行うこと、を特徴とする運転評価システム(1)である。
【0009】
第3の発明は、第2の発明に記載の運転評価システム(1)において、前記イベント管理部(212)がイベントとして管理を行う運転状況が生じた時点で、運転者にその旨を告知する告知部(213)を有すること、を特徴とする運転評価システム(1)である。
【0010】
第4の発明は、第3の発明に記載の運転評価システム(1)において、前記イベント管理部(212)がイベントとして管理を行う運転状況が生じた時点で、運転者にアドバイスを伝えるアドバイス部(214)を有すること、を特徴とする運転評価システム(1)である。
【0011】
第5の発明は、第1の発明から第4の発明までのいずれかに記載の運転評価システム(1)において、前記イベント管理部(212)がイベントとして管理を行う運転状況が生じた時点で、ブレーキの補助が必要か否かを判断する補助ブレーキ判断部(216)と、前記補助ブレーキ判断部(216)が補助ブレーキを必要と判断したときに補助ブレーキを作動させる補助ブレーキ駆動部(110)と、をさらに備えること、を特徴とする運転評価システム(1)である。
【0012】
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかに記載の運転評価システム(1)において、前記イベント管理部(212)がイベントとして管理を行う運転状況が生じた時点で、ハンドル操作の補助が必要か否かを判断する補助ハンドル判断部(217)と、前記補助ハンドル判断部(217)が補助ハンドル操作を必要と判断したときにハンドル操作の補助を行う補助ハンドル駆動部(111)と、をさらに備えること、を特徴とする運転評価システム(1)である。
【0013】
第7の発明は、第1の発明から第6の発明までのいずれかに記載の運転評価システム(1)において、前記イベント管理部(212)が運転経路の誤りをイベントとして検出した場合に、その後の運転経路を案内する運転経路案内部(215)を備えること、を特徴とする運転評価システム(1)である。
【0014】
第8の発明は、第1の発明から第7の発明までのいずれかに記載の運転評価システム(1)において、前記再生部(218)が再生する前記運転データは、運転時の実際の走行経路をコース地図と重ねて表示する動画と、運転時の車両前方を撮影した動画と、運転時の運転者の顔を撮影した動画と、運転中の評価と、運転中に発生したイベントと、の内の少なくとも1つを含むこと、を特徴とする運転評価システム(1)である。
【0015】
第9の発明は、第1の発明から第8の発明までのいずれかに記載の運転評価システム(1)において、前記コンテンツは、イベント検出時の近傍における実際の走行経路をコース地図と重ねて表示する動画と、イベント検出時の近傍における車両前方を撮影した動画と、イベント検出時の近傍における運転者の顔を撮影した動画と、検出されたイベントに対応したアドバイスに関する情報と、の内の少なくとも1つを含むこと、を特徴とする運転評価システム(1)である。
【0016】
第10の発明は、車両の運転技術を評価する運転評価方法であって、記憶部(202)が運転中の状態を記憶するステップと、評価部(211)が運転状況を評価するステップと、イベント管理部(212)が運転中において前記評価部(211)の評価結果に応じてイベントを検出し、前記記憶部(202)が記憶する記憶データに見出しを付与、又は、対応する記憶を抽出してイベントとして管理するステップと、運転終了後に再生部(218)が前記記憶部(202)に記憶されたデータを再生するステップと、前記再生部(218)が、前記記憶データを再生中に前記イベント管理部(212)が管理する前記イベントに関連するコンテンツを再生可能とするステップと、を備える運転評価方法である。
【0017】
第11の発明は、コンピュータ(200)に、記憶部(202)が運転中の状態を記憶するステップと、評価部(211)が運転状況を評価するステップと、イベント管理部(212)が運転中において前記評価部(211)の評価結果に応じてイベントを検出し、前記記憶部(202)が記憶する記憶データに見出しを付与、又は、対応する記憶を抽出してイベントとして管理するステップと、運転終了後に再生部(218)が前記記憶部(202)に記憶されたデータを再生するステップと、前記再生部(218)が、前記記憶データを再生中に前記イベント管理部(212)が管理する前記イベントに関連するコンテンツを再生可能とするステップと、を実行させるための運転評価プログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、運転を適切に評価することができ、かつ、運転中において的確にアドバイスや運転補助を行うことができ、さらに、運転者にとってわかりやすい振り返りを行うことができる運転評価システム、運転評価方法、運転評価プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による運転評価システム1の概要を示す図である。
【
図4】本実施形態の運転評価システム1の評価に関する動作の流れを示すフローチャートである。
【
図5】運転中の表示部107の表示例を示す図である。
【
図6】運転中の表示部107の表示例を示す図である。
【
図7】運転経路案内部215が運転経路の案内を表示する例を示す図である。
【
図8】運転終了後に再生部218が再生する記憶部202に記憶されたデータの再生表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0021】
(実施形態)
図1は、本発明による運転評価システム1の概要を示す図である。
なお、以下の説明では、具体的な構成を例示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
本実施形態の運転評価システム1は、車両100とサーバ200とが協働して1つのシステムとして機能するように構成されている。また、必要に応じて端末装置300を運転評価システム1に含めることができる。
なお、車両100とサーバ200と端末装置300とには、それぞれに本運転評価システム1の動作を制御するコンピュータが設けられている。本発明でいうコンピュータとは、制御部、記憶装置等を備えた情報処理装置をいい、特に、サーバ200は、サーバ側制御部210と、記憶部202等を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれ、運転評価プログラムを実行し、本実施形態の運転評価方法を実施可能とする。なお、ここでいう制御部は、運転評価システム1を制御する中央処理装置(CPU)である。サーバ側制御部210は、記憶部202等に記憶されているオペレーティングシステム(OS)や、各種のアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
【0022】
運転評価システム1は、例えば、自動車教習所の所内に設けられた教習専用の教習ルートにおける教習や検定に用いたり、一般公道における教習(いわゆる路上教習)や検定の教習ルートにおける教習や検定に用いたりすることができる。また、車両100には、教官が同乗してもよいし、教官が同乗せずに教習を受ける運転者のみが乗車してもよい。教官が同乗している場合には、教官が気づけない点を評価結果によって補うことができ、教官の補助をすることができる。なお、以下の説明において、「教習」を行う場合の運転技術評価を主として説明を行うが、「検定」を行う場合の評価についても同様である。
【0023】
図2は、車両100の構成を示す図である。
車両100は、通信部101と、車両側制御部102と、位置データ取得部103と、スピーカ106と、表示部107と、運転者カメラ108と、ECUデータ取得部109と、補助ブレーキ駆動部110と、補助ハンドル駆動部111とを備えた自動車である。
【0024】
通信部101は、サーバ200の通信部201と通信を行う。本実施形態では、通信部101と通信部201との間は、無線通信を行う。この無線通信の種類は、専用の無線回線であってもよいし、携帯電話等の公衆通信回線を利用してもよく、必要な通信速度を安定して得られるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0025】
車両側制御部102は、運転評価システムとして車両100において必要な各種動作を統括制御するコンピュータであり、不図示の演算部及び記憶部等を備えている。車両側制御部102は、位置データ取得部103と、スピーカ106と、表示部107と、運転者カメラ108と、ECUデータ取得部109と、補助ブレーキ駆動部110と、補助ハンドル駆動部111とを制御する。
【0026】
位置データ取得部103は、教習ルート(運転ルート)における車両100の位置データを取得する。位置データ取得部103は、位置センサ部104と、周囲カメラ105とを備えている。
【0027】
位置センサ部104は、車両から発信される光又は電波を受信することにより、車両から対象物、すなわち教習ルートの周辺にある様々な物体、及び、地形等までの相対距離を瞬時に計測するセンサ装置である。
【0028】
位置センサ部104としては、例えば、公知のLIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)を利用することができる。
LIDARでは、LIDARのレーザー照射部から短波長の赤外線レーザー光を自車の周囲(略全周)に照射し、自車周辺の地面や物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測し、地面や物体までの距離や方向を計測データとして逐次取得することができる。
また、教習ルートについては、予めLIDARを搭載した車両で教習ルート全てを走行しておき、教習ルートをLIDARによってスキャンして得られた点群データを教習ルートの点群地図として取得しておく。この点群地図は、車両側制御部102の記憶部又はサーバ200の記憶部202に記憶しておく。
そして、教習ルートにおける車両100の位置データを取得する時には、LIDARによって得られた計測データを、点群地図と照合して自車位置の特定、すなわち、自車が点群地図上のどの位置にあるのかの特定を行う。
LIDARを用いる場合には、自車位置を誤差が数cm以内の高精度で特定することができる。また、LIDARを用いる場合には、路上に存在する他車両や人物、障害物といった刻々と変化する周辺環境についても自車との関係で正確に把握することが可能となる。
【0029】
また、位置センサ部104としては、例えば、公知のGPS(Global Positioning System)やGLONASS(Global Navigation Satellite System)、RTK(Real Time Kinematic)等の衛星測位システムを用いて位置データを演算する構成としてもよい。特にRTKを用いれば、LIDARと同様に高精度で自車位置の特定を行うことが可能である。
本実施形態では、他車両等の情報も正確に得られる点でより優れたLIDARを用いており、以下の説明では、LIDARを用いていることを前提として説明を行う。
【0030】
周囲カメラ105は、車両100に固定されており、車両周辺を常時撮影している。周囲カメラ105が撮影する範囲は、車両100の前方のみであってもよいし、前方と後方であってもよいし、車両100の全周であってもよい。
【0031】
本実施形態の位置データ取得部103は、位置センサ部104の情報から特定される車両の位置データを用いて車両100の位置を特定するが、さらに、周囲カメラ105から得られる情報も参照して車両の位置や進行方向等を特定してもよい。また、本実施形態では、位置データ取得部103を車両100に設けているが、最終的な位置の特定をサーバ200側で行うようにしてもよい。位置データ取得部103が取得した位置データは、通信部101を介してサーバ200へ送られる。
【0032】
スピーカ106は、運転者(教官が同乗する場合には、教官も含む)に対して各種情報を音声で伝達する。より具体的には、後述する告知部213が生成したアドバイスや運転経路案内等の内容をリアルタイムで音声により運転者へ伝達する。
【0033】
表示部107は、運転者(教官が同乗する場合には、教官も含む)に対して各種情報を表示により伝達する。より具体的には、後述する告知部213が生成したアドバイスや運転経路案内等の内容やイベント管理部212が管理するイベントに関する情報等の内容をリアルタイムで表示により運転者へ伝達する。表示部107は、例えば、タブレット端末を利用することができ、その場合には、運転者(教官が同乗する場合には、教官も含む)からの入力操作も可能とすることができる。
【0034】
運転者カメラ108は、運転中の運転者の主に顔を撮影する。運転者カメラ108が撮影した撮影データは、通信部101を介してサーバ200へ送られる。
【0035】
ECUデータ取得部109は、車両100に搭載されている不図示のECU(Electronic Control Unit)の各種データを例えば、CAN(Controller Area Network)を利用してリアルタイムで取得する。
ここで、「リアルタイム」とは、運転の継続中にデータの取得や処理等が順次行われ、また、データの送受信等も順次行われて、略時間差がなく同期されていることを意味している。略時間差がなくとは、例えば、時間差が0.05秒以下を例示することができるが、これよりさらに時間差が少ないことがより望ましい。以下の説明における「リアルタイム」の文言についても同様である。
ECUデータ取得部109が取得するECUデータとしては、運転速度、アクセル開度、ブレーキ操作量、ハンドル操作量等である。また、車両100に先進運転支援システム等が装着されている場合には、先進運転支援システムの制御に用いられるECUデータを含めて取得してもよい。ECUデータ取得部109が取得したECUデータは、通信部101を介してサーバ200へ送られる。
【0036】
補助ブレーキ駆動部110は、後述する補助ブレーキ判断部216が補助ブレーキが必要と判断したときにその指示に従い運転者の操作に関わらずにブレーキを掛ける駆動部である。
【0037】
補助ハンドル駆動部111は、後述する補助ハンドル判断部217が補助ハンドル操作が必要と判断したときにその指示に従い運転者の操作に関わらずにハンドル操作の補助(介入)を行う駆動部である。
【0038】
図3は、サーバ200の構成を示す図である。
サーバ200は、通信部201と、記憶部202と、サーバ側制御部210とを備えている。
【0039】
通信部201は、車両100の通信部101、及び、端末装置300と通信を行う。
【0040】
記憶部202は、サーバ200の動作に必要な各種プログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。また、記憶部202は、運転中の状態を運転データとして記憶する。ここで、運転中の状態とは、位置データ取得部103から得られる車両100の位置情報、言い換えると、刻々と変化する走行軌跡に加えて、周囲カメラ105によって撮影された周辺動画と、運転者カメラによって撮影された運転者動画も含まれる。また、後述する評価部211による評価ポイントや、イベント管理部により管理されるイベント情報も併せて記憶する。
【0041】
サーバ側制御部210は、評価部211と、イベント管理部212と、告知部213と、アドバイス部214と、運転経路案内部215と、補助ブレーキ判断部216と、補助ハンドル判断部217と、再生部218とを備えている。
【0042】
評価部211は、位置データ取得部103、運転者カメラ108、ECUデータ取得部109等から得られた各種データを総合的に判断して、運転状況の評価を行う。
先に説明したように、本実施形態では、LIDARを用いて点群地図を作成し、LIDARによって得られた計測データを、点群地図と照合して自車位置の特定を行うことにより、非常に精度の高い位置特定を行う。しかし、点群地図は、多数の座標点集合体であり、位置の特定には適している一方で、運転に必須の交通情報が含まれていない。ここで、交通情報とは、路面にある白線や表示、交通標識、信号、踏切等の情報である。これら交通情報を考慮した評価を行うことにより、より実用的な評価を行うことが可能となる。
【0043】
そこで、本実施形態では、点群地図に加えて、高精度地図をさらに記憶部202に記憶している。高精度地図は、点群地図に基づいて作成されたベクターマップであり、教習ルートにおける路面にある白線や表示、交通標識、信号、踏切等の交通情報を詳細に含んだものとして作成されている。
本実施形態では、点群地図を用いて高精度で車両の位置特定を行い、さらに、詳細地図を用いることにより、停止線との距離を評価したり、側方の距離を評価したりすることが可能である。例えば、側方の白線を踏んだことや、停止線を越えたこと、停止位置が不適切であること、踏切で適切に一時停止をできなかったこと等、実際の交通情報に基づいた適切な評価を行うことができる。
【0044】
また、本実施形態では、模範的な運転の走行パターンを記憶部202に記憶しておき、その走行パターンとの比較によって運転状況を評価する。模範的な運転の走行パターンを記憶するには、LIDARを搭載した車両によって、教官等が模範的な運転を行い、その時の走行パターンを模範的な走行パターンとして記憶する。なお、教官等が行う模範的な運転の走行パターンの記憶は、ミスをしなければ、1回行うだけで十分であるが、複数回繰り返して機械学習した走行パターンを用いてもよい。繰り返す場合には同一人物であってもよいし、複数の教官等によって行われてもよい。
【0045】
本実施形態では、上述した模範的な運転の走行パターンとの比較評価に加えて、LIDARを用いることにより、より高度な運転状況の評価及び対応が可能である。例えば、路上に他車両や人物、障害物等が存在する場合には、LIDARから得られる情報により、評価部211は、これら障害物等の存在を認識することができる。そして評価部211は、障害物等の存在を加味した評価を行うことができる。LIDARから得られる情報を加味した評価・対応の例について、以下に具体例を例示する。
【0046】
(評価・対応例1:前方車両との距離を加味した評価・対応-1)
LIDARを用いることにより、前方車両との距離を認知することが可能なので、一定の条件(走行スピードと前方車両の距離から算出される閾値となった場合)で、その評価と、補助ブレーキの発動を行うことができる。
【0047】
(評価・対応例2:前方車両との距離を加味した評価・対応-2)
LIDARを用いることにより、前方車両との距離を認知することが可能なので、前方車両との安全間隔(間隔、徐行)の評価が行える。
【0048】
(評価・対応例3:周辺車両との距離を加味した評価・対応-1)
LIDARを用いることにより、周辺車両との距離を認知することが可能なので、後車妨害(妨害・時機)の評価が行える。
【0049】
(評価・対応例4:周辺車両との距離を加味した評価・対応-2)
LIDARを用いることにより、周辺車両との距離を認知することが可能なので、進行妨害(左方・優先路・広路・右折・一時停止)の評価が行える。
【0050】
(評価・対応例5:周辺車両との距離を加味した評価・対応-3)
LIDARを用いることにより、周辺車両との距離を認知することが可能なので、後車妨害、進行妨害により衝突の危険が生じた際に、その評価と、補助ブレーキ、補助ハンドルの発動を行うことができる。
【0051】
(評価・対応例6:車両周辺の障害物検知を加味した評価・対応-1)
LIDARを用いることにより、車両周辺にある障害物を検知することが可能なので、コース内に歩行者等がいた場合の危険回避運転(急ブレーキ、急ハンドル)の評価と、補助ブレーキ、補助ハンドルの発動を行うことができる。
【0052】
(評価・対応例7:車両周辺の障害物検知を加味した評価・対応-2)
LIDARを用いることにより、車両周辺にある障害物を検知することが可能なので、コース内に障害物があった場合の危険回避運転(急ブレーキ、急ハンドル)の評価と、補助ブレーキ、補助ハンドルの発動を行うことができる。
【0053】
また、近年発達の著しい自律運転の技術を本発明に応用することもできる。例えば、自律運転の技術を応用して、リアルタイムでプログラムにより生成された望ましい運転の走行パターンと実際の走行パターンとを比較して、評価を行うようにしてもよい。この場合、模範的な運転の走行パターンの記憶が不要となる。また、他車両や障害物によって走行ルートの変更が余儀なくされても評価を継続することができる。
なお、評価部211が行う具体的な評価方法は、本実施形態のようなLIDARを用いる手法や自律運転の技術を応用することの他、GPSを用いてより簡単に行う構成としてもよく、様々な手法を採用することができる。
【0054】
また、本実施形態では、周囲カメラ105から得られる情報も評価部211における評価に利用する。評価部211は、周囲カメラ105によって信号機の状態(赤、黄色、青のいずれに点灯しているか、点滅しているか等)を認識し、信号に従った走行ができているか、より具体的には、赤信号での交差点進入、黄色信号での不適切時機侵入の評価が可能である。
【0055】
イベント管理部212は、運転中において評価部211の評価結果に応じてイベントを検出し、記憶部202が記憶する記憶データに見出しを付与、又は、対応する記憶を抽出してイベントとして管理する。イベントとしては、例えば、車両100のいずれかの車輪が白線を踏んだとか、S字コースで脱輪してしまったとか、後述する補助ブレーキが実施された等、運転中の失敗点や評価が下がる行為等、評価部211の評価結果が所定の基準を満たしていない評価が生じた出来事を例示することができる。ここで、イベントは、運転状況の評価として減点対象となる行為等を主とするが、良好な運転が行われた場合についても、イベントとして取り扱うようにしてもよい。
【0056】
上述したようなイベントが検出された場合、イベント管理部212は、車両100の運転中に記憶している記憶部202が記憶している運転中の状態に見出しを付与する。また、イベントが検出された場合、イベント管理部212は、イベントに対応する記憶を抽出して管理するようにしてもよい。ここで、上述した見出し、及び、イベントに対応する記憶として抽出する記憶内容は、イベントが発生した時点から所定時間としてもよいが、イベントが発生した時点よりも若干前の時点からとすることが望ましい。運転は継続的に行われるものであることから、イベント発生直前の状況も重要な情報の場合が多いからである。イベント管理部212は、イベントを検出した場合には、告知部213、アドバイス部、運転経路案内部215、補助ブレーキ判断部216、補助ハンドル判断部217にイベント内容を送る。
【0057】
告知部213は、イベント管理部212がイベントとして管理を行う運転状況が生じた時点で、運転者にその旨を告知する。具体的には、告知部213は、検出したイベント内容を表示部107に表示し、かつ、スピーカ106から音声を発して、運転者に伝える。例えば、「制限速度をオーバーしています」といった内容を表示と音声で伝える。
【0058】
アドバイス部214は、イベント管理部212がイベントとして管理を行う運転状況が生じた時点で、運転者にアドバイスを伝える。具体的には、アドバイス部214は、検出したイベント内容に対応したアドバイスを表示部107に表示し、かつ、スピーカ106から音声を発して、運転者に伝える。例えば、「アクセルをゆっくり戻して減速してください」といった内容を表示と音声で伝える。
【0059】
運転経路案内部215は、イベント管理部212が運転経路の誤りをイベントとして検出した場合に、その後の運転経路を案内する。具体的には、運転経路案内部215は、教習ルートへ復帰するための道順を表示部107に表示し、かつ、スピーカ106から音声を発して、運転者に伝える。例えば、「次の信号を左折してください」といった内容を表示と音声で伝える。
【0060】
補助ブレーキ判断部216は、イベント管理部212がイベントとして管理を行う運転状況が生じた時点で、ブレーキの補助が必要か否かを判断する。そして、補助ブレーキ判断部216は、ブレーキの補助が必要と判断した場合には、補助ブレーキ駆動部110へ補助ブレーキを作動させる指示を行う。なお、このとき、適切なブレーキの加減についても指示を行う。
【0061】
補助ハンドル判断部217は、イベント管理部212がイベントとして管理を行う運転状況が生じた時点で、ハンドル操作の補助が必要か否かを判断する。そして、補助ハンドル判断部217は、補助ハンドル操作を必要と判断した場合には、補助ハンドル駆動部111へハンドル操作の補助を行わせる指示を行う。なお、このとき、適切なハンドル操作量についても指示を行う。
【0062】
再生部218は、運転終了後に記憶部202に記憶された運転データの再生を行う。再生部218が再生するデータの具体的な説明は、後述する。
【0063】
図4は、本実施形態の運転評価システム1の評価に関する動作の流れを示すフローチャートである。
図4に基づいて、運転評価システム1の評価に関する動作を説明する。
【0064】
ステップ(以下、Sとする)11では、評価部211が、運転データを取得する。ここで、運転データとは、位置データ取得部103から得られるデータと、運転者カメラ108が撮影する動画データと、ECUデータ取得部から得られるECUの各種データとを含む。
【0065】
S12では、評価部211が、運転の評価を行い、記憶部202が、運転データの記憶を行う。
【0066】
S13では、評価部211の評価結果に応じてイベントが発生しているか否かの判断をイベント管理部212が行う。イベントが発生している場合には、S14へ進み、イベントが発生していない場合には、S11へ戻る。
【0067】
S14では、運転補助が必要か否かを判断する。
図4では、運転補助とまとめて記載しているが、運転補助とは、補助ブレーキと、補助ハンドルとを指している。よって、このステップでは、補助ブレーキ判断部216が補助ブレーキの要否を判断し、かつ、補助ハンドル判断部217が補助ハンドルの要否を判断する。補助ブレーキと補助ハンドルとの少なくとも一方が必要と判断された場合には、S15へ進み、補助ブレーキ、及び、補助ハンドルのいずれも不要と判断された場合には、S16へ進む。
【0068】
S15では、S14の判断内容に従って、補助ブレーキと補助ハンドルとの少なくとも一方の動作が、補助ブレーキ駆動部110、又は、補助ハンドル駆動部111によって行われる。
【0069】
S16では、告知部213が、イベントについて運転者に告知を行う。また、必要に応じて、アドバイス部214によるアドバイス、及び、運転経路案内部215による経路案内もこのステップで行われる。
【0070】
S17では、イベント管理部212が、イベントの管理を行う。ここで行うイベントの管理とは、先に説明したように、記憶部202が記憶する記憶データに見出しを付与、又は、対応する記憶を抽出してイベントとして管理することである。
【0071】
S18では、運転を終了したか否かを判断し、運転が継続されている場合には、S11へ戻り、運転終了の場合には、S19へ進む。
【0072】
S19では、利用者による操作に応じて、再生部218が、振り返り再生を行い、その後、評価に関する動作を終了する。
【0073】
次に、運転中に表示部107を用いて行われる運転者への告知、アドバイス、運転経路の案内の表示例について説明する。
図5及び
図6は、運転中の表示部107の表示例を示す図である。
図5には、教習開始の告知107aから補助ブレーキ作動の告知107fまでの例を示している。
図6には、
図5の状態からさらに運転が進んだ状態を示しており、
図5と重複する告知107c~107fが表示されているが、脱輪しそうである旨の告知107gとアドバイス107hが新たに追加表示されている。また、一定数は古い告知やアドバイスが表示されているが、表示しきれなくなると、古い告知が順次表示画面内から消える。
図5及び
図6に示す告知やアドバイスの内容は、一例であって、より多くの内容が用意されている。また、
図5及び
図6に示す告知やアドバイスが表示されるとともに、スピーカ106から音声による告知やアドバイスも行われる。
【0074】
図7は、運転経路案内部215が運転経路の案内を表示する例を示す図である。
図7に示すように、運転経路案内部215は、教習ルートを示す地図上に自車位置と進むべき経路を示すとともに文字表示及び音声による案内を行い、正しい教習ルートへの復帰を支援する。
【0075】
図8は、運転終了後に再生部218が再生する記憶部202に記憶されたデータの再生表示例を示す図である。
再生部218による運転終了後の運転状況の再生は、例えば、端末装置300により行うことができる。また、車両100の表示部107によって行うこともできる。
図8では、端末装置300を用いて再生を行っている例を例示している。端末装置300の表示面には、教習ルートの地
図301と、車両前方動画302と、運転者動画303と、テキスト表示304とが配置されている。
教習ルートの地
図301には、運転時の実際の走行経路をコース地図と重ねて表示する動画が表示される。
車両前方動画302には、周囲カメラ105によって運転時の車両前方を撮影した動画が表示される。
運転者動画303には、運転者カメラ108によって運転時の運転者の顔を撮影した動画が表示される。
テキスト表示304には、運転中の評価や発生したイベント等が時系列で文字表示される。また、テキスト表示304の表示を上下にスクロールすることにより、再生位置を移動させることができる。
また、特に図示しないが、上記表示の他に、再生位置をコントロールするための再生ボタン、早送りボタン、巻き戻しボタン、一時停止ボタン等を配置してもよい。また、走行速度やウインカーの点灯、ブレーキの作動状況、アクセルの開度等をさらに表示してもよい。
【0076】
再生部218による運転終了後の運転データの再生(以下、振り返り再生と呼ぶ)では、運転の開始から終了までの状況を上記各表示と動画、音声の全てを同期させて再生を行うことができる。運転後の利用者は、再生部218による振り返り再生によって、運転を詳細に振り返ることができ、必要に応じて再確認したい位置に巻き戻して複数回再生することも可能である。
さらに、再生部218は、記憶データを再生中にイベント管理部212が管理するイベントに関連するコンテンツを再生可能である。ここで、再生部218が再生可能なコンテンツは、以下のようなものを例示できる。
コンテンツ1:イベント検出時の近傍における実際の走行経路をコース地図と重ねて表示する動画。
コンテンツ2:イベント検出時の近傍における車両前方を撮影した動画。
コンテンツ3:イベント検出時の近傍における運転者の顔を撮影した動画。
コンテンツ4:検出されたイベントに対応したアドバイスに関する情報。このコンテンツ4のアドバイスとは、運転中に行われる簡単なアドバイスだけでなく、より詳しい説明動画、教育動画等としてもよい。
【0077】
上記コンテンツ1からコンテンツ4については、
図8の例と同様にして同時に表示可能である。また、上記イベントに関連するコンテンツの選択は、
図8中のテキスト表示304に表示されているイベントを選択することにより簡単にそのイベントに関するコンテンツを再生可能である。
【0078】
このように、本実施形態では、利用者は自己の運転を様々な視点から簡単に振り返ることができる。特に運転に不慣れな場合等には、運転中は緊張していることもあり、どの行動が悪いとか、どう行動すればよかったかとかいったことを冷静に思考する余裕がないことが多い。しかし、本実施形態の運転評価システム1では、運転後に冷静になって運転を振り返ることが可能である。しかも、イベント管理部212によって適切にイベントが管理されていることから、振り返るべきイベントが整理された状態で振り返る(再生する)ことができ、簡単に振り返りたいイベントに関連するコンテンツを再生可能である。よって、本実施形態の運転評価システム1は、非常に利便性が高く、教育効果も期待できる。また、本実施形態の運転評価システム1は、教官が同乗していなくても、十分に運転技能の評価とその後の振り返りが可能である。特に、振り返り再生に関しては、従来の教官が同乗しての教習や検定と比べて、格段に高い教育効果を期待できる。
【0079】
図9は、総合評価の結果の提示例を示す図である。
本実施形態の運転評価システム1では、運転終了後に総合評価を行うことができる。この総合評価とは、様々な評価項目を個々に評価した結果をまとめて行われるものである。
図9に示す例は、画面上で表示する他、利用者にデータとして送信したり、印刷したりして、運転技能の向上に利用することができる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態の運転評価システム1によれば、精度の高い運転評価を行うことができ、また、運転中において的確にアドバイスや運転補助を行うことができ、さらに、運転者にとってわかりやすい振り返りを行うことができる。
【0081】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
【0082】
(1)各実施形態において、サーバ側と車両側とに主要な各構成を分散して配置する例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、全てを車両に搭載する構成としてもよい。
この場合において、記憶部が記憶する運転データをクラウド等の他の記憶装置に複製して、端末装置によって運転データを再生可能としてもよい。
【0083】
(2)各実施形態において、ECUデータ取得部109を備え、ECUデータを評価等に用いる例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、ECUデータ取得部109を省略してECUデータを評価等に用いない構成としてもよい。
【0084】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0085】
1 運転評価システム
100 車両
101 通信部
102 車両側制御部
103 位置データ取得部
104 位置センサ部
105 周囲カメラ
106 スピーカ
107 表示部
107a~107g 告知
107h アドバイス
108 運転者カメラ
109 ECUデータ取得部
110 補助ブレーキ駆動部
111 補助ハンドル駆動部
200 サーバ
201 通信部
202 記憶部
210 サーバ側制御部
211 評価部
212 イベント管理部
213 告知部
214 アドバイス部
215 運転経路案内部
216 補助ブレーキ判断部
217 補助ハンドル判断部
218 再生部
300 端末装置
301 地図
302 車両前方動画
303 運転者動画
304 テキスト表示