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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170083
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】ラジオコントロール送信機
(51)【国際特許分類】
   A63H 30/04 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
A63H30/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021075971
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】北澤 秀郎
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA12
2C150DK02
2C150DK18
(57)【要約】
【課題】操作性の低下を抑制しながら、操作部の増強を可能とすることができるラジオコントロール送信機を提供する。
【解決手段】ラジオコントロール送信機1において、一端にヘッド部4が設けられ、他端にベース部3が設けられる柱状のグリップ部2と、グリップ部2に近接するヘッド部4に設けられてグリップ部2を把持した手の指で操作されるトリガー6と、ベース部3に近接するグリップ部2の他端側においてトリガー操作に用いる手の指以外の指Fの腹側が当たる面にノブ16が配置され、ノブ16が複数の位置に移動して接点を開閉する多段スイッチ15と、を設けた。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にヘッド部が設けられ、他端にベース部が設けられる柱状のグリップ部と、
前記グリップ部に近接する前記ヘッド部に設けられて前記グリップ部を把持した手の指で操作されるトリガーと、
前記ベース部に近接する前記グリップ部の他端側においてトリガー操作に用いる前記手の指以外の指の腹側が当たる面にノブが配置され、前記ノブが複数の位置に移動して接点を開閉する多段スイッチと、
を具備することを特徴とするラジオコントロール送信機。
【請求項2】
請求項1に記載のラジオコントロール送信機であって、
前記ノブには、突起が接続されており、前記ノブの移動に伴って前記突起が、前記グリップ部の内側に設けられた複数の凹部の一つに選択的に係止することを特徴とするラジオコントロール送信機。
【請求項3】
請求項2に記載のラジオコントロール送信機であって、
前記グリップ部の内部に設けられて前記ノブと一体に移動するスライド部材を有し、
前記突起が、前記スライド部材と前記突起との間に設けられた片持ち梁状のばね部材により前記凹部に接近する方向に付勢されることを特徴とするラジオコントロール送信機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載のラジオコントロール送信機であって、
前記多段スイッチは、前記ノブが前記グリップ部の長手方向に沿って移動することを特徴とするラジオコントロール送信機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載のラジオコントロール送信機であって、
前記ノブは、移動方向の両端側に、前記指の腹側が配置される距離で離間した一対の凸部よりなる指掛け部を有することを特徴とするラジオコントロール送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種模型体(自動車、オートバイ、航空機、船舶など)や、クレーンなどの産業機械を被操縦体とし、無線通信により被操縦体を遠隔操作するラジオコントロール送信機に関し、特に、操作性の低下を抑制しながら、操作部の増強を可能とする多段スイッチを備えたラジオコントロール送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラジコン模型自動車などをはじめとする各種のラジコン模型に制御信号を送信する送信機において、アクセル操作用スイッチとブレーキ操作用スイッチとを別体に構成し、各スイッチを自由に独立して操作できるようにしたラジコン模型用の送信機が知られている(特許文献1参照)。このラジコン模型用の送信機は、グリップ部を握る側の手の指が届く範囲内の位置にアクセルスイッチとブレーキスイッチをそれぞれ別個に設置し、両スイッチは独立して操作可能となるように取り付けられている。スイッチは、スライド式、揺動式、押し込み式、あるいは転動式でもよいとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-110191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示のラジオコントロール送信機は、各図を参照するとアクセルスイッチとブレーキスイッチがグリップ部を握る側の手の人差し指または親指の届く範囲に配置されている。「アクセルスイッチとブレーキスイッチの設置位置はグリップ部を握る側の手の指が届く範囲内であれば、その位置は自由に選択でき、特定されることはない」との記載はあるが、アクセルスイッチとブレーキスイッチ以外のスイッチを、人差し指または親指以外の指が届く位置でかつ、これらの指の邪魔にならない位置に設けることの図示、示唆がない。近年、ラジオコントロール送信機においては、チャンネル数が増え、例えば10ch送信機など、これまで無かった操作部の増強が必要となりつつある。また、片手で握られるグリップ部に多くのスイッチが接近して配置されれば、混乱を招き、かえって操作性の低下につながる虞もある。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、操作性の低下を抑制しながら、操作部の増強を可能とすることができるラジオコントロール送信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のラジオコントロール送信機1は、一端にヘッド部4が設けられ、他端にベース部3が設けられる柱状のグリップ部2と、
前記グリップ部2に近接する前記ヘッド部4に設けられて前記グリップ部2を把持した手の指で操作されるトリガー6と、
前記ベース部3に近接する前記グリップ部2の他端側においてトリガー操作に用いる前記手の指以外の指の腹側が当たる面にノブ16が配置され、前記ノブ16が複数の位置に移動して接点を開閉する多段スイッチ15と、
を具備することを特徴とする。
【0007】
このラジオコントロール送信機では、多段スイッチ15が、ベース部3に近接する前記グリップ部2の他端側に配置される。ラジオコントロール送信機1は、スロットル(アクセル)と、ブレーキとの制御を行うトリガー6が、グリップ部2に近接するヘッド部4に設けられている。つまり、グリップ部2には、ベース部3に近接する位置で多段スイッチ15のみが設けられている。トリガー6は、一般的にグリップ部2を把持した手の人差し指で操作される。一方、多段スイッチ15は、トリガー操作に用いる手の指以外の指、すなわち、薬指や小指で操作される。
ラジオコントロール送信機1では、トリガー6と多段スイッチ15とが、ヘッド部4と、グリップ部2の他端とに離間して配置されることにより、片手で握られるグリップ部2に複数のスイッチが接近して配置されなくなる。これにより、限られたグリップ部2の表面積において、複数のスイッチが近接して配置されることによる混乱を防止し、グリップ性を高め、操作性の低下を抑制している。
薬指と小指は、操作用としては使用頻度が低い。つまり、操縦操作としては、あまり使われていない。そこでラジオコントロール送信機1では、これらの空いた指を使って、操作機能をさらに付加している。ただし、多段スイッチ15は、必ず使われるわけではなく、煩わしいユーザには使わなくてもよい機能とされる。そのため、多段スイッチ15は、使わない人にとっては邪魔にならないグリップ部2の下端位置、すなわち、ベース部3に近接した位置に割り当てられている。
多段スイッチ15は、ノブ16が複数の位置に移動して接点を開閉する。近年、ラジオコントロール送信機1において、例えば車用では操作部の増強が必要となる傾向にある。このラジオコントロール送信機1によれば、これまで無かった複数ポジション、例えば3ポジションスイッチの配置が、多段スイッチ15を設けることにより可能となる。これにより、操作部の増強が実現でき、操作性の良好な例えば10ch送信機への対応が容易に可能となる。
【0008】
本発明の請求項2記載のラジオコントロール送信機は、請求項1に記載のラジオコントロール送信機1であって、
前記ノブ16には、突起29が接続されており、ノブ16の移動に伴ってこの突起29が、前記グリップ部2の内側に設けられた複数の凹部30の一つに選択的に係止することを特徴とする。
【0009】
このラジオコントロール送信機1では、ノブ16の移動に伴って、ノブ16に設けられた突起29がグリップ部2の内側で移動する。ノブ16は、グリップ部2の内側に固定される例えばスライド式のスイッチ本体21の作動子23に連結される。移動する突起29は、グリップ部2の内側に設けられた複数の凹部30の一つに選択的に係止する。つまり、弾性により接近離反(弾接)しながら係止する。突起29は、凹部30から後退と進入を繰り返す際に衝撃が発生する。この衝撃は、節度感、所謂クリック感としてノブ16に伝わる。多段スイッチ15は、人差し指または親指以外の操作力の小さい薬指や小指により操作される。この場合、多段スイッチ15の各ポジションが知覚しにくい虞がある。多段スイッチ15では、突起29を凹部30に進退させてクリック感を発生させることにより、例えば3ポジションスイッチの特に中間位置での操作、つまり両端ではない位置に止める操作を分かりやすくできる。
従来、小さい多段スイッチ15の場合、操作感が得にくく、動かした(スライドさせた)かが分かりにくいことがある。特に多段であることで、各段の操作位置に混乱が生じやすい。すなわち、2ポジションのオンオフスイッチであれば、移動位置が両端2箇所のどちらかであるが、3段などの多段の場合では、中間位置が分かりにくくなる。
これに対し、ラジオコントロール送信機1によれば、突起29と凹部30とにより振動、衝撃を発生させ、クリック感として指に伝えることができる。これにより、中間ポジションを知覚しやすくでき、操作性を向上させることができる。
なお、上記した2ポジションのスイッチであっても、その操作にクリック感を発生させることができるものであり、その操作性の向上が得られるものである。
【0010】
本発明の請求項3記載のラジオコントロール送信機は、請求項2に記載のラジオコントロール送信機1であって、
前記グリップ部2の内部に設けられて前記ノブ16と一体に移動するスライド部材24を有し、
前記突起29が、前記スライド部材24と前記突起29との間に設けられた片持ち梁状のばね部材32により前記凹部30に接近する方向に付勢されることを特徴とする。
【0011】
このラジオコントロール送信機1では、ノブ16が、グリップ部2の内側に設けたスライド部材24と接続される。スライド部材24には、片持ち梁状のばね部材32を介してその先端に突起29が設けられる。突起29は、ばね部材32に付勢されて凹部30に対して進退される。つまり、凹部30に対する突起29の進退により生じる衝撃が、長尺に形成される片持ち梁状のばね部材32により増幅される。これにより、ノブ16から指に伝わるクリック感がより明確となり、多段スイッチ15の操作性,操作感をさらに向上させることができる。
【0012】
本発明の請求項4記載のラジオコントロール送信機は、請求項1~3のいずれか1つに記載のラジオコントロール送信機1であって、
前記多段スイッチ15は、前記ノブ16が前記グリップ部2の長手方向に沿って移動することを特徴とする。
【0013】
このラジオコントロール送信機1では、多段スイッチ15のノブ16が、グリップ部2の長手方向に沿って移動する。すなわち、多段スイッチ15は、例えば、スライドスイッチとなる。多段スイッチ15は、ラジオコントロール送信機1を持ったときに、薬指か小指でグリップ部2の長手方向に沿ってなぞる、或いは擦るような操作としてポジションの切り替えができる。ラジオコントロール送信機1は、多段スイッチ15が、グリップ部2の下部における指の腹側が当たる面に配置され、グリップ部2の長手方向に沿う方向でノブ16が操作できることにより、左利き右利きの関係がなくなり、左右両用とすることができる。
【0014】
本発明の請求項5記載のラジオコントロール送信機は、請求項1~4のいずれか1つに記載のラジオコントロール送信機1であって、
前記ノブ16は、移動方向の両端側に、前記指の腹側が配置される距離で離間した一対の凸部19よりなる指掛け部20を有することを特徴とする。
【0015】
このラジオコントロール送信機1では、ノブ16が、指掛け部20を有する。指掛け部20は、指の腹側が配置される距離で離間した一対の凸部19よりなる。ノブ16を操作する指は、指掛け部20の一対の凸部19の間に腹を配置することにより、一方の方向への移動には一方の凸部19を押し、他方の方向への移動には他方の凸部19を押して操作が行える。指掛け部20は、これら一対の凸部19の距離が指の幅、すなわち、直径とほぼ同じとなるので、指掛け部20に指が嵌まるような位置となり、一方から他方への方向転換時に、瞬時に移動が可能となる。すなわち、指が凸部19に当たるまでの無駄な移動が生じない。そのため、ポジションの切り替え操作が明確に行えるようになる。これにより、操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る請求項1記載のラジオコントロール送信機によれば、操作性の低下を抑制しながら、操作部の増強を可能とすることができる。
【0017】
本発明に係る請求項2記載のラジオコントロール送信機によれば、多段スイッチの各ポジション移動時のクリック感が確実に得られ、操作性を向上させることができる。
【0018】
本発明に係る請求項3記載のラジオコントロール送信機によれば、クリック感を発生させる突起をばね部材により付勢して凹部に係合させるので、より明確なクリック感が得られるようになり、さらに操作性を向上させることができる。
【0019】
本発明に係る請求項4記載のラジオコントロール送信機によれば、通常、グリップ部を握る以外には使用しない薬指や小指であっても、ノブをなぞるように直線運動させることができ、操作を容易にできる。
【0020】
本発明に係る請求項5記載のラジオコントロール送信機によれば、操作力が小さい薬指や小指を確実にホールドでき、多段スイッチの場合であっても操作感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るラジオコントロール送信機の全体構成を示す斜視図である。
図2図1に示した多段スイッチ近傍の要部拡大斜視図である。
図3】多段スイッチの近傍を切り欠いて内部構造を表したラジオコントロール送信機の側面図である。
図4図3の多段スイッチを分解した要部拡大図である。
図5】(a)は多段スイッチ近傍の拡大斜視図、(b)は多段スイッチ近傍の拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明に係るラジオコントロール送信機(以下、送信機1という)は、例えば各種模型体(自動車、オートバイ、航空機、船舶など)や、クレーンなどの産業機械を被操縦体とし、予め決められた周波数帯(例えば2.4GHz帯)を使用し、その周波数帯の中から空きバンドを自動的に選択する周波数ホッピング方式によって送信周波数を決定し、筐体に設けられるトリガー6やスティックなどの操作部材の操作に応じた操縦信号(無線電波)を被操縦体に送信することにより被操縦体を遠隔操作するものである。
【0023】
なお、本例では、送信機1によって遠隔操作される被操縦体が模型自動車の場合を例にとって説明する。また、被操縦体の動力源としては、エンジンを用いることを想定して説明するが、モーターを動力源として用いることもできる。
【0024】
図1は、本発明に係るラジオコントロール送信機の全体構成を示す斜視図である。
送信機1は、図1に示すように、グリップ部2、ベース部3、ヘッド部4を備えて大略構成され、各部の筐体は可撓性を有する熱可塑性樹脂(例えば汎用プラスチック)で形成されている。
【0025】
グリップ部2は、一端(上側)がヘッド部4と一体をなし、他端(下側)がベース部3と一体をなしており、外形がベース部3からヘッド部4に向かって細く楕円柱状に形成される。グリップ部2は、被操縦体を遠隔操作するときに操縦者が把持する把持部として機能する。
【0026】
ベース部3は、グリップ部2の他端(下側)に設けられ、矩形状に形成される。ベース部3は、グリップ部2を把持する手の下限位置を規制して手がグリップ部2から抜け落ちるのを防ぐとともに、送信機1を使用していないときに例えば地面などに立てて置く際の所定の設置面積を底面に有する脚部としても機能する。
【0027】
また、ベース部3には、操縦者が両手を使ってホイール5やトリガー6を操作している際に操作するためのスイッチ機構7が設けられていてもよい。図1では、このスイッチ機構7を操縦者がグリップ部2を把持したときの操縦者側の端部に設けた例である。スイッチ機構7は、両手操作中の操縦者が両手の指以外の身体の一部(例えば、胸、腹、肩、股、膝など)や近辺の物(例えば、競技場の手摺りなど)に送信機1を引き寄せてスイッチをオン・オフさせることにより、スイッチ機構7に割り当てられた機能を働かせることができる。
【0028】
スイッチ機構7に割り当てる機能としては、例えばターボ機能のオン・オフ、ミキシング、ジャイロ操作、ラップ計測、急ブレーキ、カメラなど任意であるが、特に操縦者が両手操作中に並行して操作したい機能を割り当てておけば、緊急事態の際に咄嗟の判断でスイッチ機構7を瞬時に操作でき、スイッチ機構7に割り当てた機能を即座にオン・オフさせることができる。
【0029】
ヘッド部4は、グリップ部2の一端(上側)に設けられ、第一操作部材としてのホイール5と、第二操作部材としてのトリガー6とを備えている。
【0030】
ホイール5は、被操縦体の進行方向を制御するためのステアリングとしての操作部材である。ホイール5は、略円板形状の面の中心と軸心を一致させて、略円板状の面と垂直に送信機1のヘッド部4の方向に延在する回転軸によって支持される。ホイール5は、所定の基準位置から左および右回りに回動して被操縦体の進行方向を制御するためのステアリングとして操作される。
【0031】
トリガー6は、グリップ部2に近接するヘッド部4に設けられてグリップ部2を把持した手の指で操作される。
【0032】
トリガー6は、被操縦体の動力源を制御し、被操縦体の移動速度を制御するための操作部材である。トリガー6は、引き金形状をなし、第一のレバーとしてのスロットルレバー8と、第二のレバーとしてのブレーキレバー9とに分割された構成であり、矢印Aおよび矢印Bの方向に回動可能にヘッド部4に取り付けられる。
【0033】
トリガー6は、スロットルレバー8がヘッド部4の当接面(不図示)に当接する位置まで矢印Aの方向に回動可能とされ、ブレーキレバー9がヘッド部4の他端の当接面(不図示)に当接する位置まで矢印Bの方向に回動可能とされている。
【0034】
トリガー6は、一般的にグリップ部2を把持した手の人差し指をスロットルレバー8にかけて矢印Aの方向に引いて操作され、ブレーキレバー9をスロットルレバー8にかけた指の背で押して矢印Bの方向に操作される。
【0035】
トリガー6は、スロットルレバー8にかけている指を離すと、予め設定している初期位置に自動復帰するようになっている。この初期位置のことをニュートラル位置という。ニュートラル位置では、被操縦体のエンジンは回転しているが、クラッチが切れており、被操縦体は走行しない状態となっている。
【0036】
なお、被操縦体の動力源がモーターである場合は、ニュートラル位置ではモーターは回転していない。
【0037】
トリガー6は、スロットルレバー8を矢印Aの方向に引くことで被操縦体のエンジンのスロットルの制御を行い、被操縦体の移動速度を制御する。トリガー6は、スロットルレバー8を矢印Aの方向に操作するほど被操縦体が加速する。
【0038】
また、トリガー6は、ブレーキレバー9を矢印Bの方向に操作することでブレーキの制御を行うようにすることができる。そして、トリガー6は、ブレーキレバー9を矢印Bの方向に操作するほど強力なブレーキとなる。
【0039】
なお、送信機1の設定によっては、トリガー6のブレーキレバー9を矢印Bの方向に操作すると被操縦体を後進させるものもある。また、被操縦体の動力にモーターを用いた場合も、トリガー6のスロットルレバー8を矢印Aの方向に操作すると被操縦体を加速させることができる。
【0040】
さらに、送信機1には、ホイール5とトリガー以外にも多数のボタンなどの操作部材が設けられている。これらの操作部材には、被操縦体の動作に関わる特殊な操作を割り当てることができる。
【0041】
ヘッド部4には、表示部10と操縦用アンテナ11が設けられている。表示部10は、操縦者がグリップ部2を把持したときに、操縦者が表示画面を見やすいように所定角度傾斜して設けられる。表示部10は、送信機1の設定を表示するディスプレイであり、表示部10の周辺に設けられる操作ボタンやスライドスイッチなどの設定用操作部材の操作により、表示の内容を切り替えたり、送信機1の設定を変更している。
【0042】
本実施形態で示す送信機1の操縦用アンテナ11は、操縦者がグリップ部2を把持した状態で表示部10の反対側に位置するヘッド部4の一端部分(すなわち、操縦者がグリップ部2を把持した状態におけるヘッド部4の操縦者と対向する側の端部と反対側に位置する端部)に回転自在に軸支されている。操縦用アンテナ11は、被操縦体を遠隔操作するときに、ヘッド部4と一体に外形を形成する水平状態(図1の状態)から90°回転して垂直方向に向いた起立状態で使用される。操縦用アンテナ11は、起立状態で使用することにより、被操縦体の遠隔操作時における指向性を高めることができる。
【0043】
さらに、ヘッド部4には、上述した表示部10の他、不図示の送信部(通信モジュール)、記憶部、制御部を含む電子回路部が内蔵されている。
【0044】
なお、ベース部3には、電子回路部の各部(表示部10、通信モジュール、記憶部、制御部)に必要な駆動電力を供給するためのバッテリが交換可能に設けられる。
【0045】
通信モジュールは、制御部により生成された送信データを変調・増幅し、この変調・増幅した操縦信号を、制御部の制御により、操縦用アンテナ11を介して被操縦体に送信する。
【0046】
記憶部は、設定用操作部材の操作に基づく各種設定情報を、制御部の制御により記憶している。また、記憶部には、送信機1を構成する各部の駆動制御を行うための制御プログラムが記憶されている。
【0047】
制御部は、表示部10、通信モジュール、記憶部を統括制御しており、ホイール5やトリガー6の操作や設定に応じた送信データの生成、表示部10の表示制御、通信モジュールから操縦用アンテナ11を介しての操縦信号の出力制御、記憶部に対する設定情報の保存、記憶部に記憶される制御プログラムに基づく送信機1の各部の駆動制御などを行っている。
【0048】
ベース部3は、グリップ部2よりも大径で形成されて、グリップ部2の他端(下側)に設けられる。このベース部3は、バッテリを収容する。
【0049】
グリップ部2は、支持する手首側が後部12となり、指側が前部13となる。したがって、グリップ部2の軸線に直交する断面形状である楕円柱状は、長軸に沿う方向が前後方向となる。グリップ部2は、ヘッド部4との境が、他の部分よりも外径を小さくした括れ部14(図3参照)となる。括れ部14の後方には、親指と人差し指との指間部が接触する。指間部を括れ部14に当ててグリップ部2を握った手は、指間部が小径の括れ部14に接触することで、人差し指がトリガー6に容易に届くようになっている。
【0050】
図2は、図1に示した多段スイッチ近傍の要部拡大斜視図である。
本実施形態に係るラジオコントロール送信機1は、ベース部3に近接するグリップ部2の他端側に、多段スイッチ15を備える。多段スイッチ15は、トリガー操作に用いる手の指以外の指の腹側が当たる面に、ノブ16が配置される。多段スイッチ15は、ノブ16が複数の位置に移動して接点を開閉する。本実施形態において、多段スイッチ15は、3つの位置で接点を開閉する例えば3ポジションスイッチとなる。
【0051】
本実施形態において、多段スイッチ15は、ノブ16がグリップ部2の長手方向に沿って移動するスライドスイッチとなる。
【0052】
なお、多段スイッチ15は、直線状に作動子がスライド移動するスライドスイッチに限定されない。例えば多段スイッチ15は、ロータリースイッチであってもよい。ロータリースイッチとしては、回転中心軸をグリップ部2の長手方向と平行として、回転板の周縁をグリップ部2の外側面に表出させて、グリップ部外側面を周方向になぞるような操作で回転操作するものにできる。この場合においても複数の位置で接点を開閉する多段階操作を可能とする。また、このロータリースイッチにおいても、後述するクリック感を出す構造等を採用することにより操作感を向上させ、小指F(図5参照)や薬指でも操作しやすくできる。
【0053】
グリップ部2の表面には、グリップ部2の長手方向に沿って長い長方形のノブ16が配置される。グリップ部2には、ノブ16を挟む左右側部に、標示部が設けられる。標示部は、グリップ部2の長手方向に離間する平行な線、例えば刻印や赤色などに着色した線などのグリップ側目盛17で形成される。多段スイッチ15は、例えば3ポジションの場合、3つのグリップ側目盛17が操作方向に離間して標示部として設けられる。また、ノブ16の表面の略中央には、各ポジションの移動位置で標示部のグリップ側目盛17に一致する同じく線、例えば赤色の線などのノブ側目盛18が設けられている。これにより、多段スイッチ15は、ノブ16の位置が容易に視認可能となっている。
【0054】
ノブ16は、移動方向の両端側に、指の腹側が配置(図5参照)される距離で離間した一対の凸部19よりなる指掛け部20を有する。ノブ16を操作する指は、指掛け部20の一対の凸部19の間に腹を配置することにより、指が指掛け部20に嵌まるような位置となり、一方の方向への移動には一方の凸部19を押し、他方の方向への移動には他方の凸部19を押して操作が行える。
【0055】
図3は、多段スイッチ15の近傍を切り欠いて内部構造を表したラジオコントロール送信機の側面図である。
多段スイッチ15は、グリップ部2の内側に、スイッチ本体21が配置される。スイッチ本体21は、グリップ部2の内側に設けられている基板22に固定される。多段スイッチ15は、複数の端子が基板22に直接半田付けされて実装されてもよく、あるいは端子に接続されたリード線が基板22のパッド等に半田付けされてもよい。基板22は、グリップ部2から導出されるケーブル(不図示)によりヘッド部4やベース部3などと電気的に接続される。多段スイッチ15は、上述のように、グリップ部2の長手方向においては、ベース部3に近接するグリップ部2の他端側(下端側)に配置される。一方、多段スイッチ15は、グリップ部2の外周方向においては、グリップ部2の長軸上の前部13に配置される。
【0056】
図4は、図3の多段スイッチ15を分解した要部拡大図である。
スイッチ本体21は、グリップ部2の長手方向にスライド移動自在な作動子23を有する。多段スイッチ15は、この作動子23が移動方向の両端、および移動方向の中間位置の3ポジションで接点が開閉される。接点の開閉によって得られる信号は、基板22から導出されたケーブル等によって他の電子回路等に導かれる。
【0057】
3ポジションの割り当てとしては、例えばギアチェンジが挙げられる。被操縦体のギアチェンジ機構としては、例えば3速機構がある。ギアチェンジ機構は、ギアが移動されて、そのポジションが固定される。ギアチェンジ機構は、プッシュスイッチ機構では実現し難く、ギアチェンジ機構は、スライド構造で実現し易いものとなる。例えば、ギアチェンジに使われるロー、セカンド、サードのように、車と同じように段階的に切り替わる構成とすることができる。なお、3段は、一例であって、4段、5段、あるいは2段階であってもよい。
【0058】
多段スイッチ15は、作動子23が直線的に動くスライドスイッチであり、作動子23がグリップ部2の内方に配置される。このスライドスイッチは、所謂市販のスライドスイッチとした場合、作動子23は、スイッチ本体21からの突出長さが短く、内部の可動接点(不図示)の接触感としてカチカチとした感触が小さく、すなわちクリック感が極めて小さく、ほとんどない。このため、多段スイッチ15は、スイッチ本体21の作動子23に被せられるスライド部材24を有している。
【0059】
グリップ部2のフレーム25には、作動子23が移動する範囲で縦長の貫通穴26が形成される。スイッチ本体21と貫通穴26との間には、上記のスライド部材24が、作動子23に被せられた状態で、グリップ部2の長手方向に移動自在に支持される。作動子23とスライド部材24とは、相対的に移動しないように嵌合状態で固定される。スライド部材24は、作動子23を嵌入する連結凹部27を有している。スライド部材24は、例えばグリップ部2のフレーム25に設けられる不図示の係止レールに沿って作動子23の移動方向に案内される。スライド部材24は、係止レールにより、スイッチ本体21に接近離反する方向の移動が規制される。つまり、スライド部材24は、フレーム25に沿って、且つスイッチ本体21の作動子23と同方向で直線移動(スライド)される。
【0060】
グリップ部2の表面に配置されるノブ16は、グリップ部2の内部に設けられたこのスライド部材24に固定されて、スライド部材24と一体に移動する。ノブ16とスライド部材24とは、貫通穴26を貫通する連結杆28の両端にそれぞれが固定される。ノブ16と一体に固定されたスライド部材24には、突起29が接続されている。多段スイッチ15は、ノブ16の移動に伴ってこの突起29が、グリップ部2の内側に設けられた複数の凹部30の一つに選択的に係止する。複数の凹部30は、例えばフレーム25の内面に形成される。複数の凹部30は、スライド部材24の移動方向に、複数の山部31と交互に配置される。
【0061】
図5(a)は多段スイッチ近傍の拡大斜視図、(b)は多段スイッチ近傍の拡大側断面図である。
本実施形態において、凹部30は、例えば3つで形成される。凹部30の数は、多段スイッチ15のポジションの数に応じて設けられる。本実施形態では、3ポジションを例示するので、凹部30の数は3つとなる。
【0062】
多段スイッチ15は、突起29とスライド部材24との間に、片持ち梁状のばね部材32が設けられている。ばね部材32は、基端がスライド部材24に固定され、基端からベース部3と反対方向に延出した先端に突起29が設けられる。ばね部材32は、汎用プラスチックの他、ばね性の大きい金属であってもよい。突起29は、このばね部材32の自由先端に設けられることにより、凹部30に接近する方向に付勢されている。このため、多段スイッチ15は、グリップ部2の外部でノブ16がスライドされると、スライド部材24が一体にスライドし、スライド部材24にばね部材32を介して固定された突起29が、山部31を乗り越えて凹部30へ入り込むように作動する。多段スイッチ15は、ばね部材32を用いない場合に比べ、クリック感が増幅されるように構成されている。
【0063】
なお、突起29,ばね部材32,凹部30の各位置は、上記の位置に限定されない。多段スイッチ15の下方(ベース部側)にスペースがあれば、これらが下方に配置されてもよい。例えば、多段スイッチ15の位置を、やや上方にして、グリップ部2の下部、ベース部3との間に空間が確保できればそこに設けてもよい。さらに、突起29,ばね部材32,凹部30の各位置は、スイッチ本体21の側方、すなわちグリップ部2の短軸方向のいずれか一方側、すなわち上記グリップ側目盛17の内側に設けられもよい。
【0064】
また、上述の構成では、ばね部材32を用いてクリック感を増幅する例を説明したが、多段スイッチ15は、例えばグリップ部2の内側にバイブレーターモーターを内蔵し、ポジション操作ごとに、グリップ部2を振動させることによりクリック感をさらに得る構成としてもよい。
【0065】
また、多段スイッチ15は、被操縦体のギアチェンジ機構の他に、例えばサーボの回転をある角度、例えば20°ごとなどに区切って動かそうとする場合の操作信号の出力用に用いることができる。他には、ドローン(マルチコプター,無人航空機)の場合の高度設定などにも用いることができる。ドローンでは、ホバリングの際の高度を、例えば高、中、低などと設定して、航空法にしたがってその高度を保つような設定ができる。他にも、車などで速度制限を設けるなど、段階的な数値などの設定に、クリック感を利用して設定できるようにしてもよい。また、多段スイッチ15は、地上走行型の被操縦体の場合、例えば車高の設定などを行えるようにし、車高を上げて悪路や荒地を走行させることや、災害時に瓦礫を走行するなどの制御設定用としても利用が可能となる。
【0066】
次に、上記した構成の作用を説明する。
【0067】
本実施形態に係る送信機1では、多段スイッチ15が、ベース部3に近接するグリップ部2の他端側に配置される。送信機1は、スロットル(アクセル)と、ブレーキとの制御を行うトリガー6が、グリップ部2に近接するヘッド部4に設けられている。つまり、グリップ部2には、ベース部3に近接する位置で多段スイッチ15のみが設けられることになる。トリガー6は、一般的にグリップ部2を把持した手の人差し指で操作される。一方、多段スイッチ15は、トリガー操作に用いる手の指以外の指、すなわち、薬指や小指Fで操作される(図5(b)中矢線)。
【0068】
送信機1では、トリガー6と多段スイッチ15とが、グリップ部2の一端のヘッド部4と、グリップ部2の他端とに離間して配置されることにより、片手で握られるグリップ部2に、複数の操作部材であるスイッチ(トリガー6と多段スイッチ15)が接近して配置されなくなる。これにより、限られたグリップ部2の表面積において、複数のスイッチが近接して配置されることによる混乱を防止し、グリップ性を高めつつ、操作性の低下を抑制している。
【0069】
薬指と小指Fは、操縦操作用としては使用頻度が低く、従来では使用されていなかったが、この送信機1では、これらの空いた指を使って、操作機能をさらに付加することができる。ただし、この多段スイッチ15は、必ず使われるわけではなく、煩わしいユーザには使わなくてもよい機能とされる。そのため、多段スイッチ15は、使わない人にとっては邪魔にならないグリップ部2の下端位置、すなわち、ベース部3に近接した位置に割り当てられている。
【0070】
多段スイッチ15は、ノブ16が複数の位置に移動して接点を開閉する。例えば車用の送信機1としては、操作部の増強化が図られ、これまで無かった複数ポジション、例えば3ポジションスイッチの配置が、多段スイッチ15を設けることにより可能となる。これにより、操作部の増強が実現でき、操作性の良好な例えば10ch送信機への対応が容易に可能となる。
【0071】
また、この送信機1では、ノブ16の移動に伴って、ノブ16に設けられた突起29がグリップ部2の内側で移動する。ノブ16は、グリップ部2の内側に固定されるスライド式のスイッチ本体21の作動子23に連結される。移動する突起29は、グリップ部2の内側に設けられた複数の凹部30の一つに選択的に係止する。つまり、弾性により接近離反(弾接)しながら係止する。突起29は、凹部30から後退と進入を繰り返す際に衝撃が発生する。この衝撃は、節度感、所謂クリック感としてノブ16に伝わる。多段スイッチ15は、人差し指または親指以外の操作力の小さい薬指や小指Fにより操作される。この場合、多段スイッチ15の各ポジションが知覚しにくい虞がある。多段スイッチ15では、突起29を凹部30に進退させてクリック感を発生させることにより、3ポジションスイッチの特に中間位置での操作、つまり両端ではない位置に止める操作を分かりやすくできる。
【0072】
従来、小さい多段スイッチ15の場合、操作感が得られず、動かした(スライドさせた)かが分かりにくいことがある。特に多段であることで、各段の操作位置に混乱が生じやすい。すなわち、2ポジションのオンオフスイッチであれば、移動位置が両端2箇所のどちらかであるが、3段などの多段の場合では、中間位置が分かりにくくなる。
【0073】
これに対し、送信機1では、突起29と凹部30とにより振動、衝撃を発生させ、クリック感として指に伝えることができる。これにより、中間ポジションを知覚しやすくでき、操作性を向上させることができる。その結果、多段スイッチ15の各ポジション移動時の位置がそれぞれクリック感によって確実に知覚されるようになり、操作性を向上させることができる。
【0074】
また、この送信機1では、ノブ16が、グリップ部2の内側に設けたスライド部材24と接続される。スライド部材24には、片持ち梁状のばね部材32を介してその先端に突起29が設けられる。突起29は、ばね部材32に付勢されて凹部30に対して進退される。つまり、凹部30に対する突起29の進退により生じる衝撃が、長尺に形成される片持ち梁状のばね部材32により増幅される。すなわち、ばね部材32により長くなった部分に、弾むような感覚を発生させることができる。これにより、ノブ16から指に伝わるクリック感がより明確となり、多段スイッチ15の操作性(操作感)をさらに向上させることができる。その結果、振動、衝撃を増幅させるばね部材32によって突起29を付勢して凹部30に係合させるので、より明確なクリック感が得られるようになり、さらに操作性を向上させることができる。
【0075】
さらに、この送信機1では、多段スイッチ15のノブ16が、グリップ部2の長手方向に沿って移動する。すなわち、多段スイッチ15は、スライドスイッチとなる。多段スイッチ15は、送信機1を持ったときに、薬指か小指Fでグリップ部2の外側面を長手方向である上下になぞる、或いは擦るような操作にてポジションの切り替えができる。送信機1は、多段スイッチ15が、グリップ部2の下部における指の腹側が当たる面である前部13に配置され、グリップ部2の長手方向に沿う方向でノブ16が操作できることにより、左利き右利きの関係がなくなり、左右両用とすることができる。その結果、通常、グリップ部2を握る以外には操作として使用しない薬指や小指Fであっても、ノブ16を直線運動させることができ、操作を容易にできる。
【0076】
また、送信機1は、グリップ部2の下部における指の腹側が当たる面である前部13にノブ16を配置する構造は、例えばグリップ部2を組み立て容易な分割構造とした場合に、グリップ部2の前後方向(前部13と後部12の方向となる長軸方向)を中心に左右側部で分割する対となるフレーム25の対向する縁部分にて挟持する構造とすることができ、グリップ部2の下部側方にノブ16を配置する場合に比べ、多段スイッチ15のグリップ部2への組み立て性を良好にすることができる。
【0077】
また、この送信機1では、ノブ16が、指掛け部20を有しており、この指掛け部20は、指の腹側が配置される距離で離間した一対の凸部19よりなる。ノブ16を操作する指は、指掛け部20の一対の凸部19の間に腹を配置することにより、一方の方向への移動には一方の凸部19を押し、他方の方向への移動には他方の凸部19を押して操作が行える。指掛け部20は、これら一対の凸部19の距離が指の幅、すなわち、直径とほぼ同じとなるので、指掛け部20に指が嵌まるような位置となり、一方から他方への方向転換時に、瞬時に移動が可能となる。すなわち、指が凸部19に当たるまでの無駄な移動が生じない。そのため、ポジションの切り替え操作が明確に行えるようになる。これにより、操作性を向上させることができる。その結果、操作力が小さい薬指や小指Fを確実にホールドでき、多段スイッチ15の場合であっても操作感を高めることができる。
【0078】
したがって、本実施形態に係る送信機1によれば、操作性の低下を抑制しながら、操作部の増強を可能とすることができる。
【符号の説明】
【0079】
1…ラジオコントロール送信機(送信機)
2…グリップ部
3…ベース部
4…ヘッド部
6…トリガー
15…多段スイッチ
16…ノブ
19…凸部
20…指掛け部
24…スライド部材
29…突起
30…凹部
32…ばね部材
F…指(小指)
図1
図2
図3
図4
図5