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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170134
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】表示装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20221102BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20221102BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 611A
G09G3/20 670J
G09G3/20 622A
G09G3/20 623A
G09G3/20 621B
G09G3/20 612U
G09G3/20 612T
G09G3/20 631A
G09G3/20 641C
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076051
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 明
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZA02
2H193ZB03
2H193ZC03
5C006AA11
5C006AC25
5C006AC26
5C006AF44
5C006AF45
5C006AF68
5C006BB16
5C006BC03
5C006BC11
5C006BF05
5C006FA26
5C006FA36
5C006FA47
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD05
5C080DD26
5C080DD29
5C080EE29
5C080FF11
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ05
(57)【要約】
【課題】消費電力を低減しながら、薄膜トランジスタが劣化した場合でも表示品質を維持させることが可能な表示装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】表示装置100は、表示制御回路2を備える。表示制御回路2は、映像信号を取得して、取得した映像信号に基づいて、表示期間におけるソース信号の電圧値の平均値を取得する演算部23と、表示期間において、映像信号に基づくソース信号をソース駆動回路15から複数のソース線に供給し、休止期間において、平均値の電圧値を有するソース信号を、複数のソース線のそれぞれに対して、ソース駆動回路15から供給する制御部21及び信号合成部24と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゲート線と、
前記複数のゲート線に交差して配置された複数のソース線と、
前記複数のゲート線及び前記複数のソース線に接続された複数の薄膜トランジスタと、
前記複数の薄膜トランジスタに接続された複数の画素電極と、
前記複数のゲート線に順次、ゲート信号を供給するゲート駆動回路と、
前記複数のソース線にソース信号を供給するソース駆動回路であって、前記ソース信号の電圧の極性を1フレーム期間ごとに反転させるカラム反転駆動を行うソース駆動回路と、
前記ゲート駆動回路及び前記ソース駆動回路を制御する表示制御回路と、を備え、
前記1フレーム期間は、前記複数のゲート線に順次前記ゲート信号を供給する表示期間と、前記ゲート信号の供給を休止する休止期間と、を含み、
前記表示制御回路は、
映像信号を取得して、取得した前記映像信号に基づいて、前記表示期間における前記ソース信号の電圧値の平均値又は最頻値を、前記複数のソース線のそれぞれについて計算する演算部と、
前記表示期間において、前記映像信号に基づくソース信号を前記ソース駆動回路から前記複数のソース線に供給し、前記休止期間において、前記複数のソース線のそれぞれに対して、前記演算部で計算された前記平均値又は前記最頻値の電圧値を有するソース信号を、前記ソース駆動回路から供給するソース制御部と、を含む、表示装置。
【請求項2】
前記表示制御回路は、前記映像信号を記憶する記憶部をさらに備え、
前記ソース制御部は、前記表示期間において、前記記憶部に記憶された映像信号に基づくソース信号を前記ソース駆動回路から前記複数のソース線に供給し、前記休止期間において、前記複数のソース線のそれぞれに対して、前記演算部で計算された前記平均値又は前記最頻値の電圧値を有するソース信号を、前記ソース駆動回路から供給する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示制御回路は、前記映像信号の取得を開始した第1の時点よりも後の第2の時点から前記ゲート駆動回路により前記複数のゲート線に順次、前記ゲート信号を供給させるゲート制御部を、さらに備え、
前記記憶部は、前記第2の時点から、前記記憶部に記憶された映像信号に基づく第1出力信号を出力し、
前記演算部は、前記第2の時点以降に、前記演算部で計算された前記平均値又は前記最頻値の電圧値を有する第2出力信号を出力し、
前記ソース制御部は、前記第1出力信号と前記第2出力信号とを前記複数のソース線のそれぞれについて合成し、合成した信号であるソース制御信号を前記ソース駆動回路に出力する信号合成部を含む、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記演算部は、取得した前記映像信号に基づいて、前記複数のソース線のそれぞれについて前記平均値を計算し、
前記ソース制御部は、前記休止期間において、前記複数のソース線のそれぞれに対して、前記演算部で計算された前記平均値の電圧値を有するソース信号を、前記ソース駆動回路から供給する、請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
複数のゲート線と、前記複数のゲート線に交差して配置された複数のソース線と、前記複数のゲート線及び前記複数のソース線に接続された複数の薄膜トランジスタと、前記複数の薄膜トランジスタに接続された複数の画素電極と、を備えた、表示装置の制御方法であって、
前記複数のゲート線に順次、ゲート信号を供給するステップと、
前記複数のソース線にソース信号を供給するステップと、
前記ソース信号を供給するステップは、前記ソース信号の電圧の極性を1フレーム期間ごとに反転させるカラム反転駆動を行うステップを含み、
前記1フレーム期間は、前記複数のゲート線に順次前記ゲート信号を供給する表示期間と、前記ゲート信号の供給を休止する休止期間と、を含み、
映像信号を取得して、取得した前記映像信号に基づいて、前記表示期間における前記ソース信号の電圧値の平均値又は最頻値を、前記複数のソース線のそれぞれについて計算するステップと、
前記表示期間において、前記映像信号に基づくソース信号を前記複数のソース線に供給し、前記休止期間において、前記複数のソース線のそれぞれに対して、前記計算するステップで計算された前記平均値又は前記最頻値の電圧値を有するソース信号を供給するステップと、をさらに備える、表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の薄膜トランジスタを備えた表示装置及びその制御方法が知られている。このような表示装置及び制御方法は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
上記特許文献1の表示装置は、薄膜トランジスタに接続されたデータ信号線及びゲート信号線と、画素電極と、共通電極とを備える。また、この表示装置は、データ信号線にデータ信号を供給するソースドライバと、ゲート信号線にゲート信号を供給するゲートドライバと、ソースドライバ及びゲートドライバを制御するコントロールICとを含む。この表示装置では、ゲートドライバによりゲート信号線にゲート信号を供給する走査期間と、次にゲートドライバにゲートスタートパルス信号を入力するまでの期間である休止期間とがコントロールICによる制御によって繰り返される。そして、この表示装置は、1つの走査期間内において、データ信号線の電圧の極性が複数回反転されるドット反転駆動により動作する。そして、この表示装置では、休止期間を走査期間よりも長くすることにより、1フレーム当たりの期間が長い低周波駆動が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-182619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されている表示装置では、ドット反転駆動を行うために、ソース信号の電圧極性を、1水平期間ごとに反転する必要があるので、消費電力が増大してしまう。そこで、消費電力を低減するために、ソース信号の電圧の極性を、1フレーム期間ごとに反転させるカラム反転駆動を行うように表示装置を構成することが考えられる。カラム反転駆動によれば、ドット反転駆動に比べて、ソースドライバの極性反転の周波数が垂直画素数分の1になる。この結果、消費電力を低減することが可能となる。
【0006】
しかしながら、カラム反転駆動及び低周波駆動を行う表示装置を長期間使用した場合、表示装置の薄膜トランジスタが劣化することがある。この場合、劣化した薄膜トランジスタでは、オフの状態のリーク電流が大きくなる(オフ特性が悪化する)。そして、劣化した薄膜トランジスタを有する表示装置では、リーク電流に起因して画素電極の電位が変動し、輝度のばらつき、及び輝点の発生が起こり、表示品質が低下してしまうという問題点がある。
【0007】
そこで、本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、消費電力を低減しながら、薄膜トランジスタが劣化した場合でも表示品質を維持させることが可能な表示装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の第1の態様に係る表示装置は、複数のゲート線と、前記複数のゲート線に交差して配置された複数のソース線と、前記複数のゲート線及び前記複数のソース線に接続された複数の薄膜トランジスタと、前記複数の薄膜トランジスタに接続された複数の画素電極と、前記複数のゲート線に順次、ゲート信号を供給するゲート駆動回路と、前記複数のソース線にソース信号を供給するソース駆動回路であって、前記ソース信号の電圧の極性を1フレーム期間ごとに反転させるカラム反転駆動を行うソース駆動回路と、前記ゲート駆動回路及び前記ソース駆動回路を制御する表示制御回路と、を備え、前記1フレーム期間は、前記複数のゲート線に順次前記ゲート信号を供給する表示期間と、前記ゲート信号の供給を休止する休止期間と、を含み、前記表示制御回路は、映像信号を取得して、取得した前記映像信号に基づいて、前記表示期間における前記ソース信号の電圧値の平均値又は最頻値を、前記複数のソース線のそれぞれについて計算する演算部と、前記表示期間において、前記映像信号に基づくソース信号を前記ソース駆動回路から前記複数のソース線に供給し、前記休止期間において、前記複数のソース線のそれぞれに対して、前記演算部で計算された前記平均値又は前記最頻値の電圧値を有するソース信号を、前記ソース駆動回路から供給するソース制御部と、を含む。
【0009】
また、第2の態様に係る表示装置の制御方法は、複数のゲート線と、前記複数のゲート線に交差して配置された複数のソース線と、前記複数のゲート線及び前記複数のソース線に接続された複数の薄膜トランジスタと、前記複数の薄膜トランジスタに接続された複数の画素電極と、を備えた、表示装置の制御方法であって、前記複数のゲート線に順次、ゲート信号を供給するステップと、前記複数のソース線にソース信号を供給するステップと、前記ソース信号を供給するステップは、前記ソース信号の電圧の極性を1フレーム期間ごとに反転させるカラム反転駆動を行うステップを含み、前記1フレーム期間は、前記複数のゲート線に順次前記ゲート信号を供給する表示期間と、前記ゲート信号の供給を休止する休止期間と、を含み、映像信号を取得して、取得した前記映像信号に基づいて、前記表示期間における前記ソース信号の電圧値の平均値又は最頻値を、前記複数のソース線のそれぞれについて計算するステップと、前記表示期間において、前記映像信号に基づくソース信号を前記複数のソース線に供給し、前記休止期間において、前記複数のソース線のそれぞれに対して、前記計算するステップで計算された前記平均値又は前記最頻値の電圧値を有するソース信号を供給するステップと、をさらに備える。
【発明の効果】
【0010】
上記構成によれば、消費電力を低減しながら、薄膜トランジスタが劣化した場合でも表示品質を維持させることが可能な表示装置及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、表示パネルの一部の構成を説明するための図である。
図3図3は、表示制御回路において入出力される信号のタイミング図である。
図4図4は、第2実施形態に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図5図5は、第1実施形態、第2実施形態、第1比較例及び第2比較例による表示装置の各々の階調差の比較結果を説明するための図である。
図6図6は、比較結果を取得するために用いた画面例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0013】
[第1実施形態]
(表示装置の全体構成)
図1は、第1実施形態による表示装置100の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る表示装置100の機能的構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、表示装置100は、表示パネル1と、表示制御回路2とを備える。表示パネル1は、例えば、映像または画像を表示する液晶ディスプレイである。表示制御回路2は、表示パネル1の表示に関する制御処理を行う。表示装置100には、ホスト101から映像信号が入力する。
【0015】
図1に示すように、表示パネル1は、薄膜トランジスタ11と、画素電極12と、共通電極13と、ゲート駆動回路14と、ソース駆動回路15と、共通電極駆動回路16とを含む。図2は、表示パネル1の一部の構成を模式的に示した平面図である。図2に示すように、表示パネル1には、ゲート駆動回路14(図1参照)に接続された複数のゲート線14aと、ソース駆動回路15(図1参照)に接続された複数のソース線15aとが、格子状に形成されている。そして、ゲート線14aとソース線15aとにより区画される領域(画素)ごとに、薄膜トランジスタ11と、画素電極12とが設けられている。また、表示パネル1には、複数の画素電極12に対向して配置された共通電極13が配置されている。共通電極13は、複数の画素電極12に共通して設けられており、複数の画素電極12との各々との間で静電容量を形成する。また、表示パネル1には、液晶層17が設けられており、画素電極12と共通電極13とにより生じる電界によって、液晶層17が駆動して、表示パネル1上に映像又は画像が表示される。
【0016】
図1に示すように、表示制御回路2は、ゲート駆動回路14、ソース駆動回路15、及び共通電極駆動回路16の制御を行う。具体的には、ゲート駆動回路14は、表示制御回路2からの指令に基づいて、複数のゲート線14aの各々に順次、ゲート信号(走査信号)を供給する。また、ソース駆動回路15は、表示制御回路2からの指令に基づいて、ソース信号を、複数のソース線15aの各々に供給する。これにより、ゲート信号が供給された薄膜トランジスタ11がオンすることにより、ソース信号(データ)が画素電極12に書き込まれる。ここで、第1実施形態では、ソース駆動回路15は、ソース信号の電圧の極性を1フレームごとに反転させるカラム反転駆動(図3参照)を行う。これにより、第1実施形態では、カラム反転駆動を行うことにより、ドット反転駆動に比べて、表示装置100の消費電力を低減することができる。また、共通電極駆動回路16は、表示制御回路2の指令に基づいて、共通電極13に駆動信号を供給する。
【0017】
また、図1に示すように、表示制御回路2は、制御部21と、記憶部22と、演算部23と、信号合成部24とを含む。表示制御回路2は、1つの集積回路により構成されていてもよいし、複数の集積回路により構成されてもよい。制御部21は、ホスト101から入力された映像信号を記憶部22に少なくとも一時的に記憶する。また、制御部21は、表示制御回路2における各制御のタイミングを決定する。例えば、制御部21は、記憶部22から映像信号を読み出して、読み出した映像信号に基づく第1出力信号を信号合成部24に出力するタイミングと、演算部223から信号合成部24に第2出力信号が出力されるタイミングと、ゲート駆動回路14による走査が開始されるタイミングと、を同期させる。記憶部22は、映像信号を記憶するメモリ回路である。例えば、記憶部22は、各ソース信号に対応するデータごとに、データを入出力することが可能なラインメモリとして構成されている。演算部23は、入力されたデータの平均値を演算(計算)する。信号合成部24は、制御部21の指令に基づいて、第1出力信号と第2出力信号とを合成して、合成した信号(ソース制御信号)をソース駆動回路15に供給する。
【0018】
図3は、表示制御回路2における信号の入出力タイミングを説明するためのタイミング図である。なお、図3は、1つのソース信号を生成するための信号の入出力について説明しており、図示しないが複数のソース線15aのそれぞれに対して、個別にソース信号が出力される。ここで、図3に示すように、表示制御回路2は、1フレームごとに表示期間T1と休止期間T2とを繰り返す。表示期間T1とは、複数のゲート線14aに順次ゲート信号が供給される期間(走査期間)である。また、休止期間T2とは、複数のゲート線14aに順次ゲート信号が供給されない期間(走査期間)である。
【0019】
例えば、図3には、ホスト101から入力される映像信号の波形の一例が示されている。図3では、ホスト101から入力される映像信号に、表示期間T1aにおけるデータとして、時点t10から時点t11までの期間T11aには階調0の電圧値のデータが含まれ、時点t11から時点t12までの期間T12aには階調128の電圧値のデータが含まれ、時点t12から時点t20までの期間T13aには階調255の電圧値のデータが含まれる例を示している。また、ホスト101から入力される(受け取る)映像信号は、休止期間T2aにおけるデータとして、時点t20から時点t40までの期間には階調0の電圧値のデータが含まれる。なお、階調の例は、説明するために示したものであり、この例に限られない。
【0020】
また、図3には、記憶部22に入力する映像信号の波形の一例、及び記憶部22から出力する第1出力信号の波形の一例が示されている。また、図3には、演算部23に入力する映像信号の波形の一例、及び演算部23から出力する第2出力信号の波形の一例が示されている。また、図3には、信号合成部24により出力されるソース制御信号の波形の一例が示されている。
【0021】
図3に示すように、時点t10から時点t20までの表示期間T1aにおいて、制御部21は、ホスト101から映像信号を取得して、記憶部22に映像信号を入力する。また、時点t10から時点t20までの期間T1aにおいて、演算部23は、映像信号の表示期間T1aにおけるソース信号の電圧値(階調)の平均値(例えば、算術平均値)を各ソース線15aについて演算する。例えば、演算部23は、ゲート線14aの全段分のソース信号の階調値の合計値をゲート線14aのライン数で割ることにより、平均値をソース線15aごとに算出する。例えば、演算部23は、表示パネル1にソース線15aが1920本設けられている場合には、1920本のソース線15aに供給されるソース信号の各々の平均値を演算する。
【0022】
そして、図3に示すように、表示制御回路2は、時点t10よりも後の時点t20から複数のゲート線14a(図2参照)に順次ゲート信号の供給を開始することにより、表示期間T1を開始させる。すなわち、表示制御回路2は、ホスト101から供給される映像信号における表示期間T1aの開始時点t10よりも後に表示期間T1を開始させる。
【0023】
また、時点t20から時点t21までの期間T11において、階調0(V0)の電圧値に対応するソース信号を生成するための信号(第1出力信号)を、記憶部22から信号合成部24に出力する。時点t21から時点t22までの期間T12において、階調128(V128)の電圧値に対応する第1出力信号を、記憶部22から信号合成部24に出力する。時点t22から時点t30までの期間T13において、階調255(V255)の電圧値に対応する第1出力信号を、記憶部22から信号合成部24に出力する。
【0024】
演算終了時点t20から次回の演算終了時点t50までの期間において、演算部23は、演算した平均値の電圧値に対応するソース信号を生成するための信号(第2出力信号)を、演算部23から信号合成部24に出力する。
【0025】
信号合成部24は、時点t20から時点30までの表示期間T1においては、映像信号に基づくソース信号を生成するためソース制御信号であって第1出力信号と同一の波形を有するソース制御信号をソース駆動回路15に出力する。また、信号合成部24は、時点t30から時点t50までの休止期間T2においては、平均値の電圧値を有するソース信号を生成するためのソース制御信号であって第2出力信号と同一の波形を有するソース制御信号をソース駆動回路15に出力する。これにより、ソース駆動回路15は、表示期間T1においては、映像信号に基づくソース信号を複数の薄膜トランジスタ11に供給し、休止期間T2においては、平均値の電圧値を有するソース信号を複数の薄膜トランジスタ11に供給する。
【0026】
また、休止期間T2において、制御部21は、ホスト101から新たな映像信号を受け取り、記憶部22に映像信号を入力する。また、休止期間T2において、演算部23は、新たな映像信号の表示期間T1aにおけるソース信号の電圧値(階調)の平均値を演算する。なお、1フレームごとに階調の極性は反転されている。そして、上記の表示期間T1及び休止期間T2と同様の動作が繰り返される。
【0027】
ここで、複数の薄膜トランジスタがオンしない休止期間において、ソース電極が階調0に対応する電圧値や表示期間の最終の電圧値に設定された場合、画素電極は表示期間において書き込まれた電圧値を有するため、ソース電極とドレイン電極との間の電位差が大きくなる。そして、複数の薄膜トランジスタのうちの劣化した薄膜トランジスタでは、オフ特性が悪化(しきい値電圧が低下)し、オフの状態でも、ドレイン電極(画素電極)とソース電極との電位差の大きさに応じてドレイン電極(画素電極)とソース電極との間でリーク電流が流れる。この結果、休止期間において、ソース電極が階調0に対応する電圧値や表示期間の最終の電圧値に設定された場合、画素電極の電位が変化して、輝度のバラツキが大きくなること、及び輝点が発生する。これに対して、上記第1実施形態の構成によれば、休止期間T2では、平均値の電圧値を有するソース信号により各薄膜トランジスタ11のソース電極に電圧が印加されるので、ドレイン電極(画素電極12)とソース電極との電位差を小さくすることができる。この結果、複数の薄膜トランジスタ11の一部の薄膜トランジスタ11が劣化してオフ特性が悪化した場合でも、リーク電流を抑制することができ、画素電極12の電位が変化するのを防止することができる。これにより、表示装置100において、輝度のバラツキが大きくなること、及び輝点が発生するのを防止する。これらの結果、消費電力を低減しながら、薄膜トランジスタ11が劣化した場合でも表示品質を維持させることが可能な表示装置100を提供することが可能となる。
【0028】
また、上記の構成によれば、記憶部22に映像信号を記憶することができるので、記憶部22から映像信号に基づくソース信号をソース駆動回路15に供給する時点を時点t10から時点t20に遅らせることが可能となる。これにより、ソース信号の平均値の電圧値を演算するための期間を確保することが可能となる。そして、演算部23が映像信号の取得を開始した時点t10よりも後の時点t20から表示期間T1を開始することができるので、少なくとも時点t10から時点t20までの期間内に、演算部23により平均値の電圧値を演算することができる。そして、最頻値の電圧値と画素電極の電圧値との差(第2実施形態の構成)よりも、平均値の電圧値と画素電極12の電圧値との差の方がより小さいので、最頻値を演算する場合(第2実施形態の構成)よりも、表示品質を向上させることができる。
【0029】
[第2実施形態]
次に、図4を参照して、第2実施形態による表示装置200について説明する。第2実施形態の表示装置200では、演算部223は、最頻値の電圧値を演算し、ソース駆動回路215は、休止期間T2において、最頻値の電圧値を有するソース信号を各薄膜トランジスタ11に供給する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ符号を用いる場合、第1実施形態と同様の構成を示しており、特に説明がない限り先行する説明を参照する。
【0030】
図4は、第2実施形態による表示装置200の構成を示すブロック図である。図4に示すように、表示装置200は、ソース駆動回路215を有する表示パネル201と、演算部223を有する表示制御回路202とを含む。演算部223は、映像信号に基づいて、表示期間T1a(図3参照)におけるソース信号の電圧値の最頻値を取得する。ここで、「最頻値」とは、表示期間T1aにおける階調(電圧値)のうちの最も出現回数の多い値である。例えば、演算部223は、表示パネル201に1080本のゲート線14aが設けられている場合、表示期間T1aの1080個のデータのうち、最も出現回数の多い値を取得(抽出)する。例えば、演算部223は、階調128(V128)のデータの出現回数が最も多い場合、第2出力信号を階調128(V128)の電圧値に設定する。そして、ソース駆動回路215は、休止期間T2においては、最頻値の電圧値を有するソース信号を各薄膜トランジスタ11に供給する。
【0031】
上記第2実施形態の構成によれば、休止期間T2では、最頻値の電圧値を有するソース信号により各薄膜トランジスタ11のソース電極に電圧が印加されるので、ドレイン電極(画素電極12)とソース電極との電位差を小さくすることができる。この結果、複数の薄膜トランジスタ11の一部の薄膜トランジスタ11が劣化してオフ特性が悪化した場合でも、リーク電流を抑制することができ、画素電極12の電位が変化するのを防止することができる。これにより、輝度のバラツキが大きくなること、及び輝点が発生するのを防止することができる。これらの結果、消費電力を低減しながら、薄膜トランジスタが劣化した場合でも表示品質を維持させることができる。なお、第2実施形態のその他の構成及び効果は、第1実施形態と同様である。
【0032】
[比較結果]
次に、図5及び図6を参照して、第1実施形態による表示装置100と、第2実施形態による表示装置200と、第1比較例による表示装置と、第2比較例による表示装置との比較結果について説明する。図5は、比較結果(階調差の結果)を示す図である。図6は、比較結果を得るために用いた画面の例を示す図である。第1実施形態による表示装置100は、図6の画面に対して表示期間におけるソース信号の電圧値の平均値を、休止期間において薄膜トランジスタに出力する。第2実施形態による表示装置200は、図6の画面に対して表示期間におけるソース信号の電圧値の最頻値を、休止期間において薄膜トランジスタに出力する。第1比較例による表示装置は、図6の画面に対して休止期間において階調0(V0)に対応する電圧値のソース信号を薄膜トランジスタに出力する。第2比較例による表示装置は、図6の画面に対して表示期間における最終に出力されたソース信号を、休止期間においても薄膜トランジスタに出力する。
【0033】
そして、休止期間における、第1実施形態による表示装置100と、第2実施形態による表示装置200と、第1比較例による表示装置と、第2比較例による表示装置との各々について、各画素電極における階調(電圧値)と、ソース信号(ソース電極)の階調(電圧値)との差分値(階調差)を取得した。
【0034】
図5に示すように、第1比較例による表示装置と第2比較例による表示装置とは共に、階調差が121以上となる頻度が最も多くなった。これにより、第1比較例による表示装置及び第2比較例による表示装置では、薄膜トランジスタにおいて、ドレイン電極に接続された画素電極とソース電極との電位差が生じていることが判明した。この結果、第1比較例による表示装置及び第2比較例による表示装置では、薄膜トランジスタが劣化してオフ特性が悪化した場合には、上記電位差に起因して薄膜トランジスタのドレイン電極とソース電極との間でリーク電流が流れ、画素電極の電位が変化して、輝度のバラツキや輝点が発生してしまう。
【0035】
これに対して、第1実施形態による表示装置100及び第2実施形態による表示装置200では、121以上の階調差はなく、第1実施形態による表示装置100及び第2実施形態による表示装置200では、薄膜トランジスタにおいて、ドレイン電極に接続された画素電極とソース電極との電位差が小さくなることが判明した。特に、第1実施形態の表示装置100では、階調差が0以上20以下となる頻度が最も多く、階調差が21以上40以下となる頻度が最も多い第2実施形態の表示装置200に比べて、薄膜トランジスタにおいて、ドレイン電極に接続された画素電極とソース電極との電位差がさらに小さくなることが判明した。この結果、薄膜トランジスタ11が劣化してオフ特性が悪化した場合でも、薄膜トランジスタ11のドレイン電極とソース電極との間でリーク電流が流れることを防止することができるので、輝度のバラツキや輝点が発生するのを防止することができる。
【0036】
[変形等]
以上、上述した実施形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。よって、本開示は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0037】
例えば、上記第1及び第2実施形態では、記憶部を表示制御回路に設ける例を示したが、本開示はこれに限らない。すなわち、演算部の処理速度がゲート信号の走査に比べて、十分速い場合、必ずしも記憶部を設けなくてもよい。また、上記第1及び第2実施形態では、記憶部を表示制御回路内に設ける例を示したが、本開示はこれに限らない。例えば、表示装置の外部に記憶部を設けてもよい。
【0038】
また、上記第1及び第2実施形態では、表示期間T1を開始するタイミングt20を、表示期間T1aの終了時点t20と一致させる例を示したが、本開示はこれに限らない。例えば、表示期間T1を開始するタイミングは、表示期間T1aの終了時点t20よりも前であってもよいし、後であってもよい。
【0039】
上述した表示装置及び表示装置の制御方法は、以下のように説明することができる。
【0040】
第1の構成に係る表示装置は、複数のゲート線と、複数のゲート線に交差して配置された複数のソース線と、複数のゲート線及び複数のソース線に接続された複数の薄膜トランジスタと、複数の薄膜トランジスタに接続された複数の画素電極と、複数のゲート線に順次、ゲート信号を供給するゲート駆動回路と、複数のソース線にソース信号を供給するソース駆動回路であって、ソース信号の電圧の極性を1フレーム期間ごとに反転させるカラム反転駆動を行うソース駆動回路と、ゲート駆動回路及びソース駆動回路を制御する表示制御回路と、を備え、1フレーム期間は、複数のゲート線に順次ゲート信号を供給する表示期間と、ゲート信号の供給を休止する休止期間と、を含み、表示制御回路は、映像信号を取得して、取得した映像信号に基づいて、表示期間におけるソース信号の電圧値の平均値又は最頻値を、複数のソース線のそれぞれについて計算する演算部と、表示期間において、映像信号に基づくソース信号をソース駆動回路から複数のソース線に供給し、休止期間において、複数のソース線のそれぞれに対して、演算部で計算された平均値又は最頻値の電圧値を有するソース信号を、ソース駆動回路から供給するソース制御部と、を含む(第1の構成)。
【0041】
上記第1の構成によれば、カラム反転駆動を行うことにより、ドット反転駆動に比べて、表示装置の消費電力を低減することができる。ここで、複数の薄膜トランジスタがオンしない休止期間において、ソース電極が階調0に対応する電圧値や表示期間の最終の電圧値に設定された場合、画素電極は表示期間において書き込まれた電圧値を有するため、ソース電極とドレイン電極との間の電位差が大きくなる。そして、複数の薄膜トランジスタのうちの劣化した薄膜トランジスタでは、オフ特性が悪化(しきい値電圧が低下)し、オフの状態でも、ドレイン電極(画素電極)とソース電極との電位差の大きさに応じてドレイン電極(画素電極)とソース電極との間でリーク電流が流れる。この結果、休止期間において、ソース電極が階調0に対応する電圧値や表示期間の最終の電圧値に設定された場合、画素電極の電位が変化して、輝度のバラツキが大きくなること、及び輝点が発生する。これに対して、上記第1の構成によれば、休止期間では、平均値又は最頻値の電圧値を有するソース信号により各薄膜トランジスタのソース電極に電圧が印加されるので、ドレイン電極(画素電極)とソース電極との電位差を小さくすることができる。この結果、複数の薄膜トランジスタの一部の薄膜トランジスタが劣化してオフ特性が悪化した場合でも、リーク電流を抑制することができ、画素電極の電位が変化するのを防止することができる。これにより、輝度のバラツキが大きくなること、及び輝点が発生するのを防止することができる。これらの結果、消費電力を低減しながら、薄膜トランジスタが劣化した場合でも表示品質を維持させることができる。
【0042】
第1の構成において、表示制御回路は、映像信号を取得して、取得した映像信号を記憶する記憶部をさらに備えてもよく、ソース制御部は、表示期間において、記憶部に記憶された映像信号に基づくソース信号をソース駆動回路から複数のソース線に供給し、休止期間において、複数のソース線のそれぞれに対して、平均値又は最頻値の電圧値を有するソース信号を、ソース駆動回路から供給するように構成されていてもよい(第2の構成)
【0043】
上記第2の構成によれば、記憶部に映像信号を記憶することができるので、記憶部から映像信号に基づくソース信号をソース駆動回路に供給する時点を遅らせることが可能となる。これにより、ソース信号の平均値又は最頻値の電圧値を演算するための期間を容易に確保することが可能となる。
【0044】
第2の構成において、表示制御回路は、映像信号の取得を開始した第1の時点よりも後の第2の時点からゲート駆動回路によりゲート線に順次、ゲート信号を供給させるゲート制御部を、さらに備えてもよく、記憶部は、第2の時点から、記憶部に記憶された映像信号に基づく第1出力信号を出力するように構成されてもよく、演算部は、第2の時点以降に、平均値又は最頻値の電圧値を有する第2出力信号を出力するように構成されてもよく、ソース制御部は、第1出力信号と第2出力信号とを合成し、合成したソース制御信号をソース駆動回路に出力する信号合成部を含んでもよい(第3の構成)。
【0045】
上記第3の構成によれば、映像信号の取得を開始した第1の時点よりも後の第2の時点から表示期間を開始することができるので、少なくとも第1の時点から第2の時点までの期間内に、演算部により平均値又は最頻値の電圧値を演算することができる。
【0046】
第1~第3の構成のいずれか1つにおいて、演算部は、記憶部に記憶された映像信号に基づいて、平均値を取得するように構成されてもよく、ソース制御部は、休止期間において、平均値の電圧値を有するソース信号を、ソース駆動回路からソース線に供給するように構成されてもよい(第4の構成)。
【0047】
上記第4の構成によれば、最頻値の電圧値と画素電極の電圧値との差よりも、平均値の電圧値と画素電極の電圧値との差の方がより小さいので、最頻値を演算する場合よりも、表示品質を向上させることができる。
【0048】
第5の構成に係る表示装置の制御方法は、複数のゲート線と、複数のゲート線に交差して配置された複数のソース線と、複数のゲート線及び複数のソース線に接続された複数の薄膜トランジスタと、複数の薄膜トランジスタに接続された複数の画素電極と、を備えた、表示装置の制御方法であって、複数のゲート線に順次、ゲート信号を供給するステップと、複数のソース線にソース信号を供給するステップと、ソース信号を供給するステップは、ソース信号の電圧の極性を1フレーム期間ごとに反転させるカラム反転駆動を行うステップを含み、1フレーム期間は、複数のゲート線に順次ゲート信号を供給する表示期間と、ゲート信号の供給を休止する休止期間と、を含み、映像信号を取得して、取得した映像信号に基づいて、表示期間におけるソース信号の電圧値の平均値又は最頻値を、複数のソース線のそれぞれについて計算するステップと、表示期間において、映像信号に基づくソース信号を複数のソース線に供給し、休止期間において、複数のソース線のそれぞれに対して、計算するステップで計算された平均値又は最頻値の電圧値を有するソース信号を供給するステップと、をさらに備える(第5の構成)。
【0049】
第5の構成によれば、上記第1の構成と同様に、消費電力を低減しながら、薄膜トランジスタが劣化した場合でも表示品質を維持させることができる。
【符号の説明】
【0050】
1,201…表示パネル、2,202…表示制御回路、11…薄膜トランジスタ、12…画素電極、13…共通(対向)電極、14…ゲート駆動回路、14a…ゲート線、15,215…ソース駆動回路、15a…ソース線、16…共通電極駆動回路、17…液晶層、21…制御部、22…記憶部、23,223…演算部、24…信号合成部、100,200…表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6