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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170155
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】検査装置およびプリンタ
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/191 20060101AFI20221102BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20221102BHJP
   G01N 21/894 20060101ALI20221102BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20221102BHJP
   H04N 1/40 20060101ALI20221102BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H04N1/191
B41J29/393 101
G01N21/894 A
H04N1/12 Z
H04N1/40 006
G06T1/00 460D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076076
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏門
【テーマコード(参考)】
2C061
2G051
5B047
5C072
5C077
【Fターム(参考)】
2C061AP10
2C061AQ05
2C061AS08
2C061BB08
2C061CM08
2C061CM17
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061HK13
2C061HV33
2C061KK35
2G051AA34
2G051AB11
2G051AB20
2G051EA24
5B047AA01
5B047AB02
5B047BA01
5B047BB02
5B047BC05
5B047BC11
5B047BC18
5B047BC20
5B047BC23
5B047CA19
5B047DA04
5B047DC01
5B047DC09
5C072AA01
5C072BA08
5C072BA20
5C072CA02
5C072DA03
5C072DA25
5C072EA07
5C072FB12
5C072FB16
5C072FB25
5C072NA01
5C072NA04
5C072RA16
5C072RA18
5C072UA02
5C072UA06
5C072UA11
5C072UA13
5C072UA17
5C072XA01
5C072XA05
5C077LL04
5C077LL19
5C077MM05
5C077MM21
5C077MM27
5C077PP06
5C077PP07
5C077PP44
5C077PP45
5C077PP46
5C077PQ18
5C077PQ20
5C077PQ22
5C077RR13
5C077SS01
5C077SS02
5C077SS05
5C077SS06
5C077TT02
5C077TT06
(57)【要約】
【課題】画像を精度よく検査できる、検査装置およびプリンタを提供する。
【解決手段】ROMには、白画素値の基準を示す基準データが記憶されている。CISユニット22により白黒基準部24が読み取られて、この読み取りにより得られた1ライン分の画像データの中から白黒基準部24の白基準部を読み取った画像データが現状データとされる。そして、基準データの画素値に対する現状データの画素値の低下率が求められて、低下率が閾値X%以上である場合には、CISユニット22の清掃の指示に関する清掃指示報知信号が出力される。清掃指示報知信号に応じた清掃の指示の報知がなされ、その清掃の指示に従って、CISユニット22が清掃されることにより、CISユニット22に汚れが付着している場合には、その汚れが除去される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を読取対象に照射し、前記読取対象で反射された光を受光素子で受光して、前記受光素子での受光量に応じた画素値に関する画素信号を出力する読取部と、
前記光源からの光が照射可能な白基準部と、
メモリと、
コントローラと、を備え、
前記メモリは、白画素値の基準を示す基準データを記憶しており、
前記コントローラは、
前記光源から前記白基準部に光を照射させて、前記白基準部で反射された光を前記受光素子が受光したときの受光量に応じて前記読取部から出力される前記画素信号を受信して、前記画素信号に基づいて前記基準データに対する画素値の低下率を求め、
前記低下率が第1閾値以上である場合に、前記読取部の清掃の指示に関する指示信号を出力し、
前記指示信号の出力後、前記読取部の清掃の完了に関する完了信号が入力されたことに応じて、前記低下率を再度求め、
再度求めた前記低下率を用いて、前記基準データを更新する、検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置であって、
前記コントローラは、
再度求めた前記低下率が前記第1閾値以上である場合には、前記指示信号を再度出力し、
再度求めた前記低下率が前記第1閾値未満である場合には、前記基準データを更新する、検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検査装置であって、
前記コントローラは、
再度求めた前記低下率が第2閾値以上である場合には、前記指示信号を再度出力し、
再度求めた前記低下率が前記第2閾値未満である場合には、前記基準データを更新する、検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検査装置であって、
前記コントローラは、前記指示信号を第1所定回数出力した後、再度求めた前記低下率が前記第2閾値以上である場合には、前記基準データを更新する、検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検査装置であって、
前記コントローラは、
前記低下率が前記第1閾値以上であり、かつ、前記基準データの最後の更新からの経過期間が第1所定期間以上である場合に、前記指示信号を出力した後、前記完了信号が入力されたことに応じて、前記低下率を再度求め、再度求めた前記低下率が第2閾値以上であれば、前記指示信号を再度出力する処理を繰り返し、
前記指示信号の出力回数が前記第1所定回数に達するまでに、再度求めた前記低下率が前記第2閾値未満になった場合には、前記基準データを更新し、
前記指示信号の出力回数が前記第1所定回数に達した後、再度求めた前記低下率が前記第2閾値以上であっても、前記基準データを更新し、
前記低下率が前記第1閾値以上であり、かつ、前記基準データの最後の更新からの経過期間が前記第1所定期間未満である場合、前記基準データを更新しない、検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検査装置であって、
前記メモリは、汚れフラグの状態を記憶し、
前記コントローラは、
前記低下率が前記第1閾値以上であり、かつ、前記基準データの最後の更新からの経過期間が前記第1所定期間未満である場合において、
前記汚れフラグの状態がオフである場合、前記指示信号を出力した後、前記完了信号が入力されたことに応じて、前記低下率を再度求め、再度求めた前記低下率が第3閾値以上であれば、前記指示信号を再度出力する処理を繰り返し、
前記指示信号の出力回数が第2所定回数に達するまでに、再度求めた前記低下率が前記第3閾値未満に低下すれば、その再度求めた前記低下率を第4閾値として前記メモリに記憶させて、前記汚れフラグをオンにし、
前記汚れフラグの状態がオンである場合、前記指示信号を出力した後、前記完了信号が入力されたことに応じて、前記低下率を再度求め、再度求めた前記低下率が前記第4閾値以上であれば、前記指示信号を再度出力する処理を繰り返し、
前記指示信号の出力回数が第3所定回数に達するまでに、再度求めた前記低下率が前記第4閾値未満に低下すれば、その再度求めた前記低下率を第4閾値として前記メモリに記憶させる、検査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の検査装置であって、
前記コントローラは、
前記汚れフラグの状態がオフである場合に、前記指示信号の出力回数が前記第2所定回数に達するまでに、再度求めた前記低下率が前記第3閾値未満に低下しなかった場合、前記読取部の交換の報知に関する報知信号を出力し、
前記汚れフラグの状態がオンである場合に、前記指示信号の出力回数が前記第3所定回数に達するまでに、再度求めた前記低下率が前記第4閾値未満に低下しなかった場合、前記報知信号を出力する、検査装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の検査装置であって、
前記コントローラは、前記汚れフラグをオンにしてからの経過期間が第2所定期間以上になった場合、前記汚れフラグをオフにする、検査装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の検査装置であって、
前記コントローラは、
前記基準データの更新後、更新後の前記基準データに応じて前記読取部の光量を調整し、その調整幅に基づいて、前記読取部の交換の要否を判断し、
前記読取部の交換が必要と判断した場合に、前記読取部の交換の報知に関する報知信号を出力する、検査装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の検査装置と、
前記読取対象である媒体を送り出し方向に送り出す搬送機構と、
前記検査装置よりも前記送り出し方向の上流に位置し、前記媒体に印刷をする印刷部と、を備える、プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を検査する検査装置およびそれを備えるプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタの一種として、長尺の連続紙をロール状に巻回したロール紙を使用し、連続紙上にその長手方向に並んで設けられた印刷領域に画像を印刷するプリンタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この種のプリンタにおいて、印刷領域に印刷された画像を検査する構成のものがある。そのプリンタでは、印刷部に対する連続紙の送り出し方向の下流に、読取部が設けられている。そして、印刷部により印刷された画像が読取部で読み取られ、その読み取られた画像データから印刷結果の良否が判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-320148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる構成では、読取部が汚れることがある。たとえば、インクジェット記録方式の印刷部が採用されている場合、インクの乾ききっていない印刷領域が読取部に接触して、インクが読取部に移ったり、インクミストが読取部に付着したりすることにより、読取部が汚れることがある。読取部が汚れていると、印刷された画像を良好に読み取ることができず、その画像を精度よく検査することができない。
【0006】
本発明の目的は、画像を精度よく検査できる、検査装置およびプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る検査装置は、光源からの光を読取対象に照射し、読取対象で反射された光を受光素子で受光して、受光素子での受光量に応じた画素値に関する画素信号を出力する読取部と、光源からの光が照射可能な白基準部と、メモリと、コントローラとを備え、メモリは、白画素値の基準を示す基準データを記憶しており、コントローラは、光源から白基準部に光を照射させて、白基準部で反射された光を受光素子が受光したときの受光量に応じて読取部から出力される画素信号を受信して、画素信号に基づいて基準データに対する画素値の低下率を求め、低下率が第1閾値以上である場合に、読取部の清掃の指示に関する指示信号を出力し、指示信号の出力後、読取部の清掃の完了に関する完了信号が入力されたことに応じて、低下率を再度求め、再度求めた低下率を用いて、基準データを更新する。
【0008】
この構成によれば、メモリには、白画素値の基準を示す基準データが記憶されている。光源から白基準部に光が照射され、白基準部で反射された光が受光素子に受光されると、読取部から受光素子での受光量に応じた画素信号が出力される。コントローラでは、その画素信号に基づいて、基準データに対する受光素子の受光量に応じた画素値の低下率が求められる。そして、低下率が第1閾値以上である場合には、制御部から読取部の清掃の指示に関する指示信号が出力される。指示信号に応じた清掃の指示がなされ、その清掃の指示に従って、読取部が清掃されることにより、読取部に汚れが付着している場合には、その汚れが除去される。そのため、読取部により読取対象の画像を良好に読み取ることができ、その読み取った画素値を用いて読取対象の画像の検査が行われる場合に、画像を精度よく検査することができる。
【0009】
本発明は、検査装置の形態に限らず、その検査装置を備えるプリンタの形態で実施することもできる。すなわち、本発明の他の局面に係るプリンタは、検査装置と、読取対象である媒体を送り出し方向に送り出す搬送機構と、検査装置よりも送り出し方向の上流に位置し、媒体に印刷をする印刷部とを備え、検査装置は、光源からの光を読取対象に照射し、読取対象で反射された光を受光素子で受光して、受光素子での受光量に応じた画素値に関する画素信号を出力する読取部と、光源からの光が照射可能な白基準部と、メモリと、コントローラとを備え、メモリは、白画素値の基準を示す基準データを記憶しており、コントローラは、光源から白基準部に光を照射させて、白基準部で反射された光を受光素子が受光したときの受光量に応じて読取部から出力される画素信号を受信して、画素信号に基づいて基準データに対する画素値の低下率を求め、低下率が第1閾値以上である場合に、読取部の清掃の指示に関する指示信号を出力し、指示信号の出力後、読取部の清掃の完了に関する完了信号が入力されたことに応じて、低下率を再度求め、再度求めた低下率を用いて、基準データを更新する。
【0010】
このプリンタにおいても、前述の検査装置と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、読取部により読取対象の画像を良好に読み取ることができ、その読み取った画素値を用いて読取対象の画像の検査が行われる場合に、画像を精度よく検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るラベルプリンタの構成を図解的に示す断面図である。
図2】ラベルプリンタの電気的構成の要部を示すブロック図である。
図3】事前準備処理の流れを示すフローチャートである。
図4A】デバイス調整処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
図4B】デバイス調整処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
図4C】デバイス調整処理の流れを示すフローチャート(その3)である。
図4D】デバイス調整処理の流れを示すフローチャート(その4)である。
図4E】デバイス調整処理の流れを示すフローチャート(その5)である。
図5】基準データ、読取データおよび閾値の関係を示す図である。
図6】デバイス調整処理の変形例について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
<ラベルプリンタの全体構成>
ラベルプリンタ1は、図1に示されるように、長尺の連続紙P(媒体の一例)に画像を印刷する装置である。印刷済みの連続紙Pは、ラベルプリンタ1の外殻をなす筐体11の側面に形成された排出口12から排出される。
【0015】
なお、以下の説明で使用するため、ラベルプリンタ1の前後左右については、排出口12が形成されている側面を正面として、その正面側をラベルプリンタ1の前側と規定し、背面側をラベルプリンタ1の後側と規定し、ラベルプリンタ1を正面側から見たときの左右をそれぞれラベルプリンタ1の左右と状態を基準に規定する。また、上下については、ラベルプリンタ1が水平面上に設置された状態で規定する。図1に示される断面図は、ラベルプリンタ1を前後方向に延びる切断面線で切断した断面を右側から見た図である。
【0016】
連続紙Pは、長尺の台紙上にラベルL(印刷領域の一例)がその長手方向に並べて貼られたダイカット紙であってもよいし、長尺の普通紙の印刷面に印刷領域を一定間隔で設定する下地画像が既に印刷された無定長紙(連続紙)であってもよいし、かかる下地画像が印刷されていない普通紙からなる無定長紙であってもよい。ダイカット紙では、各ラベルLの粘着面と反対側の印刷面が印刷領域である。以下では、連続紙Pがダイカット紙である場合を例にとる。
【0017】
排出口12は、左右方向に延びる矩形状の開口であり、筐体11の内外を連通している。
【0018】
筐体11内には、連続紙PをロールRの状態で保持するロールホルダ13が設けられている。連続紙Pは、ロールRの状態において、印刷面を外側に向けてロール芯に巻回されている。ロールホルダ13は、略円筒状をなし、ロールRは、ロール芯がロールホルダ13に外嵌されることによりロールホルダ13に保持される。
【0019】
また、筐体11内には、ロールホルダ13の後上方に、方向変更ローラ14が設けられている。方向変更ローラ14の前側には、連続紙Pが搬送される搬送路15が設けられている。搬送路15は、方向変更ローラ14の上側の位置から前側に向かって延び、その前端が排出口12に接続されている。連続紙Pは、ロールRから方向変更ローラ14の後側に向けて引き出され、方向変更ローラ14の周面に沿わせることにより前側に方向を変えられて、搬送路15を排出口12に向けて通される。
【0020】
搬送路15上には、連続紙Pを搬送する搬送ローラ16(搬送機構の一例)が設けられている。搬送ローラ16は、方向変更ローラ14に対して前側に間隔を空けて配置されている。また、排出口12の後側であって、搬送ローラ16に対して前側に間隔を空けた位置には、搬送ローラ17(搬送機構の一例)が配置されている。さらに、搬送ローラ16,17間には、搬送ベルト18(搬送機構の一例)が設けられている。搬送ベルト18は、前後方向に間隔を空けて配置された駆動ローラ19(搬送機構の一例)および従動ローラ20(搬送機構の一例)に巻き掛けられて、搬送路15の下側で上面が搬送路15に沿って延びるように配置されている。
【0021】
搬送ローラ16のローラ間に連続紙Pが通された状態で、モータM(図2参照)の正転による動力が搬送ローラ16および駆動ローラ19に伝達されて、搬送ローラ16および駆動ローラ19が回転し、駆動ローラ19の回転により搬送ベルト18が回転することにより、ラベルLの並び方向の一方であって、連続紙Pが搬送路15に沿って排出口12に向かう送り出し方向に搬送される。また、モータMの駆動力の伝達経路は、ロールホルダ13(搬送部の一例)にも接続されている。モータMの逆転による動力がロールホルダ13に伝達されて、ロールホルダ13が連続紙Pの送り出し方向への搬送時と逆方向に回転され、ロールRがロールホルダ13と一体に回転することにより、連続紙Pが送り出し方向と逆方向の引き戻し方向に搬送される。
【0022】
また、搬送ローラ16により搬送される連続紙Pの減速時および停止時に、ロールホルダ13は、ロールRに作用する慣性力を調整するように、モータMの駆動力により正転または逆転駆動される。方向変更ローラ14は、ロールホルダ13と搬送ローラ16との間で連続紙Pにテンションを付与するように構成されており、方向変更ローラ14に付随して、連続紙Pのテンションの大きさを検出する機構が設けられている。
【0023】
搬送ローラ16,17間には、印刷ヘッド21(印刷部の一例)およびCIS(Contact Image Sensor)ユニット22(読取部の一例)が送り出し方向にこの順に並んで設けられている。
【0024】
印刷ヘッド21は、搬送路15を挟んで搬送ベルト18の上面に対向して配置されている。印刷ヘッド21は、たとえば、搬送路15を搬送される連続紙Pの印刷面にインクジェット記録方式により画像を印刷する。印刷ヘッド21における送り出し方向(引き戻し方向)の上流端から下流に所定間隔を空けた位置が印刷ヘッド21による印刷位置であり、印刷ヘッド21は、印刷位置において連続紙Pの印刷面に画像を印刷する。
【0025】
CISユニット22は、印刷ヘッド21に対して送り出し方向の下流において、搬送路15に上側から臨んで配置されている。CISユニット22は、読取位置において、読取対象を読み取る。具体的には、CISユニット22には、図示されていないが、光源36(図2参照)、ロッドレンズアレイおよびリニアイメージセンサが内蔵されており、光源36から読取位置に位置する読取対象にライン状の光が照射され、読取対象で反射された光がロッドレンズアレイを通してリニアイメージセンサに入射する。これにより、CISユニット22の読取位置において、読取対象が幅方向に1ライン分読み取られる。リニアイメージセンサは、複数の受光素子37が幅方向に1列に並べられた構成であり、各受光素子37に読み取られる画像データが1画素の画像データ(画素値)となる。幅方向は、搬送路15における連続紙Pの送り出し方向(引き戻し方向)に直交して、搬送路15と平行に延びる方向、つまり左右方向である。
【0026】
また、CISユニット22に搬送路15を挟んで対向する位置に、連続紙PをCISユニット22に押し付ける押さえ部材23が設けられている。押さえ部材23の上面には、白黒基準部24が設けられている。白黒基準部24は、矩形状のテープとして形成され、CISユニット22の読取位置で幅方向に延びるように、押さえ部材23の上面に貼着されている。白黒基準部24では、幅方向の両端部が黒色の領域である黒基準部とされ、残余の領域(黒基準部に挟まれる領域)が白色の領域である白基準部とされている。
【0027】
<電気的構成の要部>
ラベルプリンタ1は、図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32およびRAM(Random Access Memory)33を備えている。
【0028】
CPU31(コントローラの一例)は、各種の処理のためのプログラムを実行することにより、印刷ヘッド21、CISユニット22およびモータMの動作を制御する。また、CISユニット22には、CISユニット22のリニアイメージセンサから出力されるアナログ信号を増幅してデジタル信号に変換するAFE(Analog Front End)が備えられており、CPU31には、AFEによる変換後のデジタル信号である画像データが入力される。
【0029】
ROM32(メモリの一例)は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリである。からなる。ROM32には、CPU31によって実行されるプログラムおよび各種のデータなどが記憶されている。
【0030】
RAM33は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリであり、CPU31がプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。
【0031】
また、モータMに付随してエンコーダが設けられており、CPU31には、そのエンコーダからモータMの回転に同期したパルス信号であるエンコーダ信号が入力される。RAM33は、CPU31により、ステップ数カウンタとして利用される。CPU31は、モータMの正転駆動時にエンコーダから入力されるエンコーダ信号のパルス数およびモータMの逆転駆動時にエンコーダから入力されるエンコーダ信号のパルス数をそれぞれステップ数カウンタでカウントすることにより、連続紙Pの位置を把握することができる。
【0032】
ラベルプリンタ1は、USBインタフェース34を備えている。USBインタフェース34は、USBメモリなどのUSBデバイスとのデータ通信のためのインタフェースであり、USBケーブルが接続されるUSBコネクタおよびUSBデバイスとのUSB接続を制御するUSBコントローラなどを備えている。
【0033】
また、ラベルプリンタ1には、操作パネル35が備えられている。操作パネル35には、各種の設定のために操作される操作部と、情報の表示のための表示部とが含まれる。操作部と表示部とは、別々に設けられていてもよいし、液晶ディスプレイなどの表示部上に感圧式または静電容量式の透明フィルムスイッチなどの操作部を重ねて構成されるタッチパネルの形態であってもよい。
【0034】
<事前準備処理>
ラベルプリンタ1の工場出荷前に、CPU31は、図3に示される事前準備処理を行う。
【0035】
事前準備処理では、CPU31は、AFE調整を行う(S11)。AFE調整では、CPU31は、CISユニット22を制御して、CISユニット22に白黒基準部24の黒基準部を読み取らせる。そして、CPU31は、その読み取りにより得られる画像データ(画素値)の最小値が規定値(たとえば、1)になるように、CISユニット22の各受光素子37から出力されるアナログ信号(電圧)をA/D変換して得られるデジタル信号の値のオフセット量を調整する調整値を設定する。
【0036】
また、CPU31は、光量調整を行う(S12)。この光量調整では、CPU31は、CISユニット22を制御して、CISユニット22に白黒基準部24の白基準部を読み取らせる。そして、CPU31は、その読み取りにより得られる画像データ(画素値)の最大値が所定値(たとえば、254)になるように、CISユニット22の光源36に供給される電流値、光源36の点灯時間のデューティ比およびリニアイメージセンサのゲインを調整する。
【0037】
そして、CPU31は、AFE調整および光量調整された状態のCISユニット22に白黒基準部24を読み取らせる(S13:汚れ検知用1ライン読取)。この読み取りにより、白黒基準部24を読み取った1ライン分の画像データが得られる。CPU31は、その1ライン分の画像データの中から白黒基準部24の白基準部を読み取った画像データを抽出し、その抽出した画像データを基準データとして、AFE調整および光量調整の各調整値と対応づけてROM32に保存する(S14)。
【0038】
<デバイス調整処理>
ラベルプリンタ1では、たとえば、印刷データを記憶したUSBメモリがUSBインタフェース34(USBコネクタ)に接続されて、操作パネル35に設けられた印刷開始ボタンが押下されると、USBメモリに記憶されている印刷データに係る画像の印刷が行われる。また、ラベルプリンタ1では、ラベルLに印刷された画像の検査が行われる。その検査では、ラベルLに印刷された画像がCISユニット22に読み取られ、その読み取られた画像データから印刷結果の良否が判定される。
【0039】
印刷の開始に際しては、ユーザによって、先頭のラベルLが印刷ヘッド21に対して送り出し方向の上流に位置するように、連続紙Pがセットされる。このとき、CISユニット22の読取位置に連続紙Pが存在せず、CISユニット22が白基準部24を読み取ることができる。
【0040】
印刷の開始前に、CPU31は、図4A図4B図4C図4Dおよび図4Eに示されるデバイス調整処理を行う。
【0041】
デバイス調整処理では、CPU31は、ROM32に設定されている汚れフラグの状態がオンであるか否かを判断する(図4AのS101)。汚れフラグは、後述する低下率判定に用いられる閾値を更新したことを示すフラグである。
【0042】
汚れフラグの状態がオフであり、CPU31は、汚れフラグの状態がオンではないと判断した場合(S101:NO)、ROM32に保存されているAFE調整および光量調整の各調整値をCISユニット22に設定する(S102)。
【0043】
汚れフラグの状態がオンである場合(S101:YES)、CPU31は、汚れフラグの状態がオンになってから所定の期間P(第2所定期間の一例)以上経過しているか否かを判断する(S103)。汚れフラグの状態がオフからオンに切り替えられるときには、その時点の日付および時刻がROM32に保存される(タイムスタンプ記録)。期間Pは、たとえば、1週間に設定されている。
【0044】
汚れフラグの状態がオンになってから期間P以上経過していない場合には(S103:NO)、CPU31は、汚れフラグの状態をオンから変更せずに、ROM32に保存されているAFE調整および光量調整の各調整値をCISユニット22に設定する(S102)。一方、汚れフラグの状態がオンになってから期間P以上が経過している場合には(S103:YES)、CPU31は、汚れフラグの状態をオンからオフに切り替え(S104)、ROM32に保存されているAFE調整および光量調整の各調整値をCISユニット22に設定する(S102)。
【0045】
AFE調整および光量調整の各設定値の設定後、CPU31は、CISユニット22に白黒基準部24を読み取らせる(S105:汚れ検知用1ライン読取)。この読み取りにより、白黒基準部24を読み取った1ライン分の画像データが得られる。CPU31は、その1ライン分の画像データの中から白黒基準部24の白基準部を読み取った画像データを現状データとして抽出する。そして、CPU31は、その現状データとROM32に保存されている基準データとを比較し(S106)、低下率判定を行う。すなわち、基準データの画素値に対する現状データの画素値の低下率を求めて、低下率が閾値X%(第1閾値の一例)以上であるか否かを判定する(S107)。閾値Xは、たとえば、10%に設定されている。
【0046】
低下率は、基準データの画素値に対する基準データの画素値からの現状データの画素値の低下量の割合(百分率)である。すなわち、低下率は、図5に示されるように、基準データの画素値をαとし、現状データの画素値をα’とした場合、画素値αから画素値α’を引いて得られる値を画素値αで割り、その除算値に100を乗じることにより算出される。低下率は、現状データおよび基準データに含まれる全画素について画素ごとに求められてもよいし、現状データおよび基準データに含まれる画素から特定の画素について求められてもよいし、基準データに含まれる全画素値の平均値に対する現状データに含まれる全画素値の平均値の低下率として求められてもよい。
【0047】
CPU31は、低下率が閾値X%以上ではないと判定した場合(S107:NO)、AFE調整を行う(図4BのS108)。また、CPU31は、光量調整を行う(S109)。AFE調整および光量調整の内容は、事前準備処理におけるAFE調整および光量調整で説明したとおりである。
【0048】
光量調整後、CPU31は、CISユニット22の交換時期の判定を行う(S110)。具体的には、光量調整の各調整値(電流値、デューティ比、ゲイン)がそれぞれの最大値に設定されているか否か、言い換えれば、光量調整値の各調整値による調整幅がそれぞれで最大であるか否かを判断する。そして、CPU31は、各調整値がそれぞれの最大値に設定されている場合、CISユニット22の交換時期であると判定し、調整値のいずれか1つでも最大値に設定されていない場合、CISユニット22の交換時期ではないと判定する。
【0049】
CPU31は、CISユニット22の交換時期でないと判定した場合(S111:NO)、AFE調整および光量調整された状態のCISユニット22に白黒基準部24を読み取らせる。そして、その読み取りにより得られた画像データから白黒基準部24の黒基準部を読み取った画像データである黒レベルデータを読み込み、その黒レベルデータから黒補正値を作成する(S112)。また、CPU31は、白黒基準部24の白基準部を読み取った画像データである白レベルデータを読み込み、その白レベルデータからシェーディング補正値を作成する(S113)。その後、CPU31は、ラベルLに印刷された画像をCISユニット22に読み取らせる本読取を行い(S114)、デバイス調整処理を終了する。
【0050】
CPU31は、CISユニット22の交換時期であると判定した場合(S111:YES)、CISユニット22の交換を指示する報知に関する交換指示報知信号を出力する(S115)。交換指示報知信号の出力により、たとえば、操作パネル35の表示部に、CISユニット22の交換を指示する表示が出力される。この場合、本読取は行われずに、デバイス調整処理が終了される。
【0051】
一方、CPU31は、低下率が閾値X%以上であると判定した場合(S107:YES)、RAM33に設定されている試行回数カウンタのカウント値Nを0にリセットする(S116)。また、CPU31は、基準データの更新から所定の期間Q(第1所定期間の一例)以上経過しているか否かを判断する(図4CのS117)。期間Qは、期間Pよりも長い期間、たとえば、1年間に設定されている。基準データの更新が一度も行われていない場合、事前準備処理で基準データがROM32に保存されてから期間Q以上経過しているか否かが判断される。
【0052】
そして、基準データの更新からの経過期間が期間Q未満であり、CPU31は、基準データの更新から期間Q以上が経過していないと判断した場合(S117:NO)、汚れフラグの状態がオンであるか否かを判断する(S118)。
【0053】
汚れフラグの状態がオフであり、CPU31は、汚れフラグの状態がオンではないと判断した場合(S118:NO)、RAM33に設定されている試行回数カウンタのカウント値Nをインクリメント(+1)する(S119)。試行回数カウンタのカウント値Nは、デバイス調整処理の開始時に0にリセットされている。
【0054】
CPU31は、インクリメント後の試行回数カウンタのカウント値Nが第2所定回数(たとえば、5)よりも大きいか否かを判断する(S120)。カウント値Nが第2所定回数以下であり、CPU31は、カウント値Nが第2所定回数よりも大きくないと判断した場合(S120:NO)、CISユニット22のコンタクトガラスの清掃(汚れの拭き取り)を指示する報知に関する第1清掃指示報知信号(指示信号の一例)を出力する(S121)。第1清掃指示報知信号の出力により、たとえば、操作パネル35の表示部に、「読取機構が汚れています。拭き取ってください」などのメッセージが表示されることにより、Aパターンの報知がなされる。また、操作パネル35の表示部には、清掃を完了したことを入力するために押操作される清掃完了ボタンが表示される。
【0055】
CPU31は、第1清掃指示報知信号の出力後、CISユニット22の清掃が完了したか否かを判断する(S122)。CISユニット22の清掃が行われて、清掃完了ボタンが押操作されると、操作パネル35からCPU31に、CISユニット22の清掃の完了に関する完了信号が入力される。CPU31は、完了信号が入力されると、CISユニット22の清掃が完了したと判断する。CPU31によりCISユニット22の清掃が完了したと判断されるまで、処理は先に進まない。
【0056】
CPU31は、CISユニット22の清掃が完了したと判断した場合(S122:YES)、CISユニット22に白黒基準部24を読み取らせる(S123:汚れ検知用1ライン読取)。そして、CPU31は、白黒基準部24を読み取った1ライン分の画像データの中から白黒基準部24の白基準部を読み取った画像データを改善確認データとして抽出する。そして、CPU31は、その改善確認データとROM32に保存されている基準データとを比較し(S124)、基準データの画素値に対する改善確認データの画素値の低下率を求めて、低下率が閾値X%(第3閾値の一例)以上であるか否かを判定する(S125)。
【0057】
CPU31は、低下率が閾値X%以上であると判定した場合(S125:YES)、試行回数カウンタのカウント値Nをインクリメントした後(S119)、カウント値Nが第2所定回数よりも大きいか否かを再び判断する(S120)。カウント値Nが第2所定回数以下であり、CPU31は、カウント値Nが第2所定回数よりも大きくないと判断した場合(S120:NO)、第1清掃指示報知信号を再び出力する(S121)。その後、CPU31は、CISユニット22の清掃が完了したと判断した場合(S122:YES)、CISユニット22に白黒基準部24を読み取らせて(S123)、基準データの画素値に対する改善確認データの画素値の低下率を求め、低下率が閾値X%以上であるか否かを再び判定する(S125)。
【0058】
こうして、試行回数カウンタのカウント値Nが第2所定回数を超えるまで、第1清掃指示報知信号の出力および低下率判定が繰り返される。そして、試行回数カウンタのカウント値Nが第2所定回数を超え、CPU31は、カウント値Nが第2所定回数よりも大きいと判断した場合(S120:YES)、CISユニット22の交換を指示する報知に関する交換指示報知信号を出力して(図4BのS115)、デバイス調整処理を終了する。
【0059】
CPU31は、試行回数カウンタのカウント値Nが第2所定回数を超える前に、低下率判定により低下率が閾値X%以上ではないと判定した場合(図4CのS125:NO)、汚れフラグの状態をオフからオンに切り替える(S126)。また、CPU31は、汚れフラグの状態をオンに切り替えた時点の日付および時刻をROM32に保存する(タイムスタンプ記録)。
【0060】
さらに、CPU31は、最後に求めた基準データの画素値に対する改善確認データの画素値の低下率を閾値Y%としてROM32に保存する(S127)。
【0061】
そして、CPU31は、AFE調整(図4BのS108)および光量調整(S109)を行った後、前述した交換時期判定以降の処理(S110~S114)を行う。その処理が進み、本読取が行われると(S114)、デバイス調整処理が終了される。その後、新たに印刷が行われる場合、デバイス調整処理が新たに開始されて、CPU31により、汚れフラグの状態がオンであるか否かが判断される(図4AのS101)。この場合、汚れフラグの状態がオンであるので、CPU31は、汚れフラグの状態がオンになってから期間P以上経過しているか否かを判断し(S103)、期間P以上が経過していなければ(S103:NO)、汚れフラグの状態をオンから変更せずに、AFE調整および光量調整の各設定値の設定後、CPU31は、CISユニット22に白黒基準部24を読み取らせる(S105)。その後、CPU31は、低下率判定を行い(S106,S107)、低下率が閾値X%以上であると判定した場合(S107:YES)、基準データの更新から所定の期間Q以上経過しているか否かを判断する(図4CのS117)。
【0062】
基準データの更新からの経過期間が期間Q未満である場合(S117:NO)、CPU31は、汚れフラグの状態がオンであるか否かを判断する(S118)。このとき、汚れフラグの状態がオンであるので、CPU31は、汚れフラグの状態がオンであると判断し(S118:YES)、RAM33に設定されている試行回数カウンタのカウント値Nをインクリメント(+1)する(図4DのS128)。そして、CPU31は、インクリメント後の試行回数カウンタのカウント値Nが第3所定回数(たとえば、5)よりも大きいか否かを判断する(S129)。
【0063】
カウント値Nが第3所定回数以下であり、CPU31は、カウント値Nが第3所定回数よりも大きくないと判断した場合(S129:NO)、CISユニット22のコンタクトガラスの清掃(汚れの拭き取り)を指示する報知に関する第2清掃指示報知信号(指示信号の一例)を出力する(S130)。第2清掃指示報知信号の出力により、たとえば、操作パネル35の表示部に、「読取機構の汚れで正しい判定ができない可能性があります。丁寧に拭き取ってください。」などのメッセージが表示されることにより、Bパターンの報知がなされる。また、操作パネル35の表示部には、清掃完了ボタンが表示される。
【0064】
CPU31は、第2清掃指示報知信号の出力後、CISユニット22の清掃が完了したか否かを判断する(S131)。CPU31は、CISユニット22の清掃が完了したと判断するまで、処理を先に進めない。
【0065】
CPU31は、CISユニット22の清掃が完了したと判断した場合(S131:YES)、CISユニット22に白黒基準部24を読み取らせる(S132:汚れ検知用1ライン読取)。そして、CPU31は、白黒基準部24を読み取った1ライン分の画像データの中から白黒基準部24の白基準部を読み取った画像データを改善確認データとして抽出する。そして、CPU31は、その改善確認データとROM32に保存されている基準データとを比較し(S133)、基準データの画素値に対する改善確認データの画素値の低下率を求めて、低下率が閾値Y%(第4閾値の一例)以上であるか否かを判定する(S134)。閾値Yは、ステップS127でROM32に保存された値(低下率)であり、閾値Xよりも小さく、たとえば7%に設定されている。
【0066】
CPU31は、低下率が閾値Y%以上であると判定した場合(S134:YES)、試行回数カウンタのカウント値Nをインクリメントした後(S128)、カウント値Nが第3所定回数よりも大きいか否かを再び判断する(S129)。カウント値Nが第3所定回数以下であり、CPU31は、カウント値Nが第3所定回数よりも大きくないと判断した場合(S129:NO)、第2清掃指示報知信号を再び出力する(S130)。その後、CPU31は、CISユニット22の清掃が完了したと判断した場合(S131:YES)、CISユニット22に白黒基準部24を読み取らせて(S132)、基準データの画素値に対する改善確認データの画素値の低下率を求め、低下率が閾値Y%以上であるか否かを再び判定する(S133,S134)。
【0067】
こうして、試行回数カウンタのカウント値Nが第3所定回数を超えるまで、第2清掃指示報知信号の出力および低下率判定が繰り返される。そして、試行回数カウンタのカウント値Nが第3所定回数を超え、CPU31は、カウント値Nが第3所定回数よりも大きいと判断した場合(S129:YES)、CISユニット22の交換を指示する報知に関する交換指示報知信号を出力して(図4BのS115)、デバイス調整処理を終了する。
【0068】
CPU31は、試行回数カウンタのカウント値Nが第3所定回数を超える前に、低下率判定により低下率が閾値Y%以上ではないと判定した場合(図4DのS134:NO)、汚れフラグの状態をオンにしたまま(図4CのS126)、現在の日付および時刻をROM32に保存する(タイムスタンプ記録)。さらに、CPU31は、最後に求めた基準データの画素値に対する改善確認データの画素値の低下率Y%をROM32に保存する(S127)。そして、CPU31は、AFE調整(図4BのS108)および光量調整(S109)を行った後、前述した交換時期判定以降の処理(S110~S114)を行う。
【0069】
デバイス調整処理が新たに開始されて、CPU31は、現状データと基準データとの比較による低下率判定を行い、低下率判定で低下率が閾値X%以上であると判定した場合であって(図4AのS107:YES)、基準データの更新から期間Q以上経過していると判断した場合(図4CのS117:YES)、RAM33に設定されている試行回数カウンタのカウント値Nをインクリメント(+1)する(図4EのS135)。そして、CPU31は、インクリメント後の試行回数カウンタのカウント値Nが第1所定回数(たとえば、5)よりも大きいか否かを判断する(S136)。
【0070】
カウント値Nが第1所定回数以下であり、CPU31は、カウント値Nが第1所定回数よりも大きくないと判断した場合(S136:NO)、CISユニット22のコンタクトガラスの清掃(汚れの拭き取り)を指示する報知に関する第3清掃指示報知信号(指示信号の一例)を出力する(S137)。第3清掃指示報知信号の出力により、たとえば、操作パネル35の表示部に、「読取機構の交換が必要な可能性がありますが、読取機構を拭き取ってみてください。」などのメッセージが表示されることにより、Cパターンの報知がなされる。また、操作パネル35の表示部には、清掃完了ボタンが表示される。
【0071】
CPU31は、第3清掃指示報知信号の出力後、CISユニット22の清掃が完了したか否かを判断する(S138)。CPU31は、CISユニット22の清掃が完了したと判断するまで、処理を先に進めない。
【0072】
CPU31は、CISユニット22の清掃が完了したと判断した場合(S138:YES)、CISユニット22に白黒基準部24を読み取らせる(S139:汚れ検知用1ライン読取)。そして、CPU31は、白黒基準部24を読み取った1ライン分の画像データの中から白黒基準部24の白基準部を読み取った画像データを改善確認データとして抽出する。そして、CPU31は、その改善確認データとROM32に保存されている基準データとを比較し(S140)、基準データの画素値に対する改善確認データの画素値の低下率を求めて、低下率が閾値Z%(第2閾値の一例)以上であるか否かを判定する(S141)。閾値Zは、閾値Xおよび閾値Yよりも小さい値、たとえば、5%に設定されている。
【0073】
CPU31は、低下率が閾値Z%以上であると判定した場合(S141:YES)、試行回数カウンタのカウント値Nをインクリメントした後(S135)、カウント値Nが第1所定回数よりも大きいか否かを再び判断する(S136)。カウント値Nが第1所定回数以下であり、CPU31は、カウント値Nが第1所定回数よりも大きくないと判断した場合(S136:NO)、第3清掃指示報知信号を再び出力する(S137)。その後、CPU31は、CISユニット22の清掃が完了したと判断した場合(S138:YES)、CISユニット22に白黒基準部24を読み取らせて(S139)、基準データの画素値に対する改善確認データの画素値の低下率を求め、低下率が閾値Z%以上であるか否かを再び判定する(S140,S141)。
【0074】
こうして、試行回数カウンタのカウント値Nが第1所定回数を超えるまで、第3清掃指示報知信号の出力および低下率判定が繰り返される。そして、試行回数カウンタのカウント値Nが第1所定回数を超え、CPU31は、カウント値Nが第1所定回数よりも大きいと判断した場合(S136:YES)、最後に取得された改善確認データを新たな基準データとしてROM32に保存することにより、基準データを新基準データに更新する(S142)。
【0075】
また、CPU31は、試行回数カウンタのカウント値Nが第1所定回数を超える前に、低下率判定により低下率が閾値Z%以上ではないと判定した場合にも(S141:NO)、最後に取得された改善確認データを新たな基準データとしてROM32に保存することにより、基準データを新基準データに更新する(S142)。
【0076】
その後、CPU31は、AFE調整(図4BのS108)および光量調整(S109)を行った後、前述した交換時期判定以降の処理(S110~S114)を行う。
【0077】
<作用効果>
この構成によれば、ROM32には、白画素値の基準を示す基準データが記憶されている。AFE調整および光量調整の各調整値の設定後、CISユニット22により白黒基準部24が読み取られて、この読み取りにより得られた1ライン分の画像データの中から白黒基準部24の白基準部を読み取った画像データが現状データとされる。そして、基準データの画素値に対する現状データの画素値の低下率が求められて、低下率が閾値X%以上である場合には、CISユニット22の清掃の指示に関する第1~第3清掃指示報知信号が出力される。第1~第3清掃指示報知信号に応じた清掃の指示の報知がなされ、その清掃の指示に従って、CISユニット22が清掃されることにより、CISユニット22に汚れが付着している場合には、その汚れが除去される。そのため、CISユニット22により読取対象の画像を良好に読み取ることができ、その読み取った画素値を用いて読取対象の画像の検査が行われる場合に、画像を精度よく検査(印刷結果の良否を良好に判定)することができる。
【0078】
低下率が閾値X%以上であり、基準データの更新からの経過期間が期間Q未満である場合において、汚れフラグの状態がオフである場合、CPU31から第1清掃指示報知信号が出力される。第1清掃指示報知信号の出力後、CISユニット22の清掃の完了に関する完了信号がCPU31に入力されると、低下率が再度求められる。そして、再度求められた低下率が閾値X%以上であれば、第1清掃指示報知信号が再び出力される。第1清掃指示報知信号の出力回数が第2所定回数を超えるまでに、再度求められた低下率が閾値X%未満になった場合には、最後に求められた低下率が閾値Y%としてROM32に保存され、汚れフラグの状態がオフからオンに切り替えられる。
【0079】
低下率が閾値X%以上であり、基準データの更新からの経過期間が期間Q未満である場合において、汚れフラグの状態がオンである場合、CPU31から第2清掃指示報知信号が出力される。第2清掃指示報知信号の出力後、CISユニット22の清掃の完了に関する完了信号がCPU31に入力されると、低下率が再度求められる。そして、再度求められた低下率が閾値Y%以上であれば、第2清掃指示報知信号が再び出力される。第2清掃指示報知信号の出力回数が第3所定回数を超えるまでに、再度求められた低下率が閾値Y%未満になった場合には、汚れフラグの状態がオンにされたまま、最後に求められた低下率が閾値Y%としてROM32に保存される。
【0080】
これにより、CISユニット22に汚れが付着している場合に、その汚れをユーザに拭き取らせることにより、CISユニット22に読取対象の画像を良好に読み取らせることができる。また、CISユニット22に付着している汚れが拭き取られて、低下率が閾値X%未満の値Y%に改善された場合に、その低下率が閾値Y%として設定されることにより、第2清掃支持報知信号の出力の頻度が増し、ユーザにCISユニット22の清掃をこまめに行わせることができる。その結果、CISユニット22により読取対象の画像を一層良好に読み取ることができ、画像をより精度よく検査することができる。
【0081】
また、第1清掃指示報知信号の出力回数が第2所定回数を超えた場合、または、第2清掃指示報知信号の出力回数が第3所定回数を超えた場合には、CPU31から交換指示報知信号が出力されて、たとえば、操作パネル35の表示部にCISユニット22の交換を指示する表示が出力される。これにより、ユーザにCISユニット22の交換を指示することができる。また、第1清掃指示報知信号または第2清掃指示報知信号の出力が無限に繰り返されることを防止でき、清掃の指示の報知が無限に繰り返されることを防止できる。
【0082】
低下率が閾値X%以上であり、基準データの更新から期間Q以上経過している場合に、CPU31から第3清掃指示報知信号が出力され、第3清掃指示報知信号の出力後、CISユニット22の清掃の完了に関する完了信号がCPU31に入力されると、低下率が再度求められる。そして、再度求められた低下率が閾値Z%以上であれば、第3清掃指示報知信号が再び出力される。第3清掃指示報知信号の出力回数が第1所定回数に達するまでに、再度求められた低下率が閾値Z%未満になった場合には、基準データが最後に取得された改善確認データに更新される。また、第3清掃指示報知信号の出力回数が第1所定回数に達した後、再度求められた低下率が閾値Z%以上であった場合にも、基準データが最後に取得された改善確認データに更新される。
【0083】
基準データが更新されることにより、基準データの画素値に対する現状データの画素値の低下の原因が経年劣化による場合に、CISユニット22が汚れていないにもかかわらず、CISユニット22の清掃の指示の報知が行われることを抑制できる。
【0084】
また、第3清掃指示報知信号の出力回数が第1所定回数に達した場合にも、基準データが改善確認データで更新されることにより第3清掃指示報知信号の出力が無限に繰り返されることを防止でき、第3清掃指示報知信号に応じた清掃の指示の報知が無限に繰り返されることを防止できる。
【0085】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0086】
たとえば、デバイス調整処理において、図4C図4Dおよび図4Eに示されるステップS117~S142に代えて、図6に示されるステップS151~S158が行われてもよい。
【0087】
すなわち、CPU31は、現状データと基準データとの比較による低下率判定を行い、低下率判定で低下率が閾値X%(第1閾値の一例)以上であると判定した場合に(図4AのS107:YES)、RAM33に設定されている試行回数カウンタのカウント値Nをインクリメント(+1)する(図6のS151)。そして、CPU31は、インクリメント後の試行回数カウンタのカウント値Nが第1所定回数(たとえば、5)よりも大きいか否かを判断する(S152)。
【0088】
カウント値Nが第1所定回数以下であり、CPU31は、カウント値Nが第1所定回数よりも大きくないと判断した場合(S152:NO)、CISユニット22のコンタクトガラスの清掃(汚れの拭き取り)を指示する報知に関する清掃指示報知信号(指示信号の一例)を出力する(S153)。清掃指示報知信号の出力により、たとえば、操作パネル35の表示部に、「読取機構を拭き取ってみてください。」などのメッセージが表示される。また、操作パネル35の表示部には、清掃完了ボタンが表示される。
【0089】
CPU31は、清掃指示報知信号の出力後、CISユニット22の清掃が完了したか否かを判断する(S547)。CPU31は、CISユニット22の清掃が完了したと判断するまで、処理を先に進めない。
【0090】
CPU31は、CISユニット22の清掃が完了したと判断した場合(S154:YES)、CISユニット22に白黒基準部24を読み取らせる(S155:汚れ検知用1ライン読取)。そして、CPU31は、白黒基準部24を読み取った1ライン分の画像データの中から白黒基準部24の白基準部を読み取った画像データを改善確認データとして抽出する。そして、CPU31は、その改善確認データとROM32に保存されている基準データとを比較し(S156)、基準データの画素値に対する改善確認データの画素値の低下率を求めて、低下率が閾値X%(第1閾値の一例)以上であるか否かを判定する(S157)。
【0091】
CPU31は、低下率が閾値X%以上であると判定した場合(S157:YES)、試行回数カウンタのカウント値Nをインクリメントした後(S151)、カウント値Nが第1所定回数よりも大きいか否かを再び判断する(S152)。カウント値Nが第1所定回数以下であり、CPU31は、カウント値Nが第1所定回数よりも大きくないと判断した場合(S152:NO)、清掃指示報知信号を再び出力する(S153)。その後、CPU31は、CISユニット22の清掃が完了したと判断した場合(S154:YES)、CISユニット22に白黒基準部24を読み取らせて(S155)、基準データの画素値に対する改善確認データの画素値の低下率を求め、低下率が閾値X%以上であるか否かを再び判定する(S156,S157)。
【0092】
こうして、試行回数カウンタのカウント値Nが第1所定回数を超えるまで、清掃指示報知信号の出力および低下率判定が繰り返される。そして、試行回数カウンタのカウント値Nが第1所定回数を超え、CPU31は、カウント値Nが第1所定回数よりも大きいと判断した場合(S152:YES)、最後に取得された改善確認データを新たな基準データとしてROM32に保存することにより、基準データを新基準データに更新する(S158)。
【0093】
また、CPU31は、試行回数カウンタのカウント値Nが第1所定回数を超える前に、低下率判定により低下率が閾値X%以上ではないと判定した場合にも(S157:NO)、最後に取得された改善確認データを新たな基準データとしてROM32に保存することにより、基準データを新基準データに更新する(S158)。
【0094】
図4C図4Dおよび図4Eに示されるステップS117~S142に代えて、図6に示されるステップS151~S158が行われることにより、デバイス調整処理を簡素化することができる。
【0095】
印刷ヘッド21は、インクジェット記録方式により画像を印刷する構成に限らず、連続紙Pの印刷面に熱転写方式により画像を印刷する構成であってもよいし、電子写真方式により画像を印刷する構成であってもよい。
【0096】
また、CISユニット22およびCPU31の機能と同様の機能を有する制御部(CPUを含む。)を備える検査装置がラベルプリンタ1に外付けされてもよい。
【0097】
また、白黒基準部24は、押さえ部材23の上面に設けられる構成に限らず、可動式の部材に取り付けられた構成でもよい。
【0098】
前述の実施形態では、CPU31が各処理を実行するとした。しかしながら、ラベルプリンタ1に複数のCPUが設けられて、複数のCPUが協働して各処理を実行してもよい。
【0099】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0100】
1:ラベルプリンタ
16,17:搬送ローラ
18:搬送ベルト
19:駆動ローラ
20:従動ローラ
21:印刷ヘッド
22:CISユニット
24:白黒基準部
31:CPU
32:ROM
36:光源
37:受光素子
P:連続紙
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6