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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170174
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】冷却システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 27/02 20060101AFI20221102BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
F25B27/02 N
F25B1/00 399Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076109
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】特許業務法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 健
(72)【発明者】
【氏名】安嶋 賢哲
(72)【発明者】
【氏名】横山 康弘
(72)【発明者】
【氏名】大西 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】吉田 時空
(72)【発明者】
【氏名】川崎 祐司
(57)【要約】
【課題】従来よりも消費電力の低い冷却システムを提供する。
【解決手段】エジェクタ冷凍機13Aと熱交換器3とを有する冷却システム1Aを提供する。エジェクタ冷凍機13Aは、冷水C1を用いて冷却対象物6を冷却することにより発生する温水Q1の一部である温水Q2を利用してエジェクタ21の駆動流を発生させる。エジェクタ冷凍機13Aは、エジェクタ21による吸引を利用して温水Q2を冷却する。熱交換器3は、温水Q1の一部である温水Q3を冷却水W3との間の熱交換により冷却する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱源流体を第2熱源流体と第3熱源流体とに分岐させる分岐点と、
前記第2熱源流体の熱又は外部熱源流体の熱を用いて発生させた駆動流により駆動されるエジェクタを含み、前記第1熱源流体の少なくとも一部である被冷却流体を前記エジェクタの吸引を利用して冷却するエジェクタ冷凍機と、
前記第3熱源流体を第1冷却流体との間の熱交換により冷却する第1熱交換器と、
を具備する冷却システム。
【請求項2】
前記被冷却流体は、前記駆動流と熱交換後の前記第2熱源流体である、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記被冷却流体は、前記第3熱源流体である、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記被冷却流体は、前記第1冷却流体と熱交換後の前記第3熱源流体である、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項5】
冷却対象物から供給される前記第1熱源流体が流れ込む第1流入口から前記エジェクタ冷凍機へ至る第1管と、
前記分岐点において前記第1管から分岐して前記第1熱交換器に至る第2管と、を有し、
前記第1管及び前記第2管により、前記第1熱源流体は前記第2熱源流体と前記第3熱源流体とに分流する、
請求項1乃至4のうちの何れか1項に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記第2熱源流体と前記外部熱源流体とのうちの一方を選択し、選択した熱源流体を、前記駆動流を発生させるために前記エジェクタ冷凍機へ供給する切替機構を更に有する、請求項1乃至5のうちの何れか1項に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記エジェクタ冷凍機は、
第1冷媒を第2冷媒と第3冷媒とに分流して得られる前記第2冷媒を、前記第2熱源流体との間の熱交換により蒸発させ、前記駆動流として前記エジェクタに供給する蒸気発生器と、
前記被冷却流体との間の熱交換により前記第3冷媒を蒸発させ、吸引流として前記エジェクタに供給する蒸発器と、
前記エジェクタから吐出される流体を、第2冷却流体との間の熱交換により冷却することによって、前記第1冷媒に凝縮させる凝縮器と、
を備える請求項1乃至5のうちの何れか1項に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記蒸気発生器から吐出された前記第2熱源流体と、前記第1熱交換器から吐出された前記第3熱源流体とを合流させ、前記冷却対象物に供給することを特徴とする、請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記第2熱源流体の温度は前記外部熱源流体の温度よりも低く、
前記外部熱源流体との熱交換により前記第2熱源流体を昇温させる第2熱交換器を備え、
前記蒸気発生器には、前記第2熱交換器を経由した前記第2熱源流体が与えられる、
請求項7又は請求項8に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記エジェクタ冷凍機により冷却された前記第2熱源流体である第3冷却流体の温度を計測する第1温度センサと、
前記第1熱交換器により冷却された前記第3熱源流体である第4冷却流体の温度を計測する第2温度センサと、
前記第3冷却流体と前記第4冷却流体とを混合して得られる第5冷却流体の温度を計測する第3温度センサと、
前記第3温度センサにより計測される温度が所定の温度範囲内の温度となるように、前記第1冷却流体の流量及び前記第2冷却流体の流量を、前記第1温度センサにより計測される温度及び前記第2温度センサにより計測される温度に応じて制御する制御装置と、
を具備する請求項7乃至9のうちの何れか1項に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷水を用いて冷却対象物を冷却する冷却システムの発明が開示されている。この冷却システムは、複数の機械設備に各々設けられる個別温調器を備える。各個別温調器は、貯留タンク、冷却水循環ポンプ、温度検知器、及び熱交換器を備える。熱交換器には、冷却対象物を冷却することにより温度の上がった冷水が供給される。以下では、冷却対象物を冷却することにより温度の上がった冷水は温水と呼ばれる場合がある。熱交換喚器には、冷却装置から冷却流体が供給される。熱交換器では、温水と冷却流体との間の熱交換により温水が冷却される。温水は熱交換器において冷却されることで冷水に戻る。冷却装置は、冷却塔及びチラーユニットを備える。外気温度が低い場合、冷却装置は、熱交換喚器における熱交換により温度の上がった冷却流体を冷却塔のみで冷却する。外気温度が高い場合、冷却装置は、冷却塔及びチラーユニットを用いて冷却流体を冷却する。熱交換器に流れ込む冷却流体の流量はインバータ制御可能な冷却流体循環ポンプで制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-192088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、成型機の金型が冷却対象物である場合、金型の冷却後の温水の温度には、金型の冷却箇所に応じて約40~60℃程度の幅がある。従来、複数の異なる温度帯の温水を合流させた上で冷却流体との熱交換により冷却することが通常であった。しかし、高温系統の温水の流量は低温系統の温水の流量に比べて少ない場合が多い。高温系統の温水の流量が低温系統の温水の流量に比べて少ないと、合流後の温水の温度は高温系統の温水の温度よりも低くなる。温水と冷却流体との温度差が小さいという条件で熱交換器において温水から同量の熱量を放熱させようとすると、熱交換器へ供給する冷却流体の流量を増加させることが必要となる。熱交換器へ供給する冷却流体の流量を増加させると、冷却流体循環ポンプの消費電力が増加する。また、冷却塔だけでは十分な温度まで冷却流体を冷やすことができない場合にはチラーユニットが併用される。チラーユニットが併用されると、冷却システムの消費電力は更に増加する。
【0005】
本開示は、以上の事情を考慮して為されたものであり、従来よりも消費電力の低い冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る冷却システムは、分岐点と、エジェクタ冷凍機と、第1熱交換器とを有する。分岐点は、第1熱源流体を第2熱源流体と第3熱源流体とに分岐させる。エジェクタ冷凍機は、前記第2熱源流体の熱又は外部熱源流体の熱を用いて発生させた駆動流により駆動されるエジェクタを含む。エジェクタ冷凍機は、前記第1熱源流体の少なくとも一部である被冷却流体を前記エジェクタの吸引を利用して冷却する。第1熱交換器は、第1熱源流体の一部である第3熱源流体を第1冷却流体との間の熱交換により冷却する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態による冷却システム1Aの構成図である。
図2】第2実施形態による冷却システム1Bの構成図である。
図3】第3実施形態による冷却システム1Cの構成図である。
図4】変形例に係る冷却システム1Dの構成図である。
図5】変形例に係る冷却システム1Eの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A:第1実施形態
図1は、本開示の冷却システムの第1実施形態による冷却システム1Aの構成図である。冷却システム1Aは、冷水C1を用いて冷却対象物6を冷却する。本実施形態における冷却対象物6は、例えば成型機の金型である。本実施形態では、冷却対象物6を冷却する冷却流体として水を用いるが、冷却対象物6を冷却するための冷却流体は油又は空気であってもよい。本実施形態における冷水C1の温度は約20~40℃である。冷水C1を用いて冷却対象物6を冷却することにより、冷却対象物6の温度は下がる。一方、冷却対象物6を冷却することにより冷水C1の温度は上昇する。このため、冷水C1は温水Q1となる。本実施形態における温水Q1の温度は約60~70℃である。冷却システム1Aは、冷却対象物6から供給される温水Q1を、冷却水W1を用いて冷却する。本実施形態では、冷却水W1の温度は10~30℃である。温水Q1は、冷却水W1を用いた冷却により温度が下がる。このため、温水Q1は冷水C1に戻る。図1に示されるように、冷却システム1Aは、冷却塔2、熱交換器3、制御装置5、ポンプ10、ポンプ11、ポンプ12、エジェクタ冷凍機13A、温度センサ14、温度センサ15、及び温度センサ16を有する。
【0009】
冷却システム1Aは、供給口8から冷却対象物6へ冷水C1を供給する。冷却システム1Aの流入口7には冷却対象物6から供給される温水Q1が流れ込む。図1に示されるように、冷却システム1Aは、第1管L1と第2管L2とを有する。第1管L1は、流入口7からエジェクタ冷凍機13Aへ至る。第2管L2は、分岐点N1において第1管L1から分岐して熱交換器3へ至る。流入口7に流れ込んだ温水Q1は、第1管L1及び第2管L2により、温水Q2と温水Q3とに分流する。流入口7から分岐点N1に至るまでの温水Q1の温度の低下を無視すると、温水Q2の温度は温水Q1の温度と同じである。同様に、温水Q3の温度も温水Q1の温度と同じである。本実施形態では、温水Q2の温度と温水Q3の温度は同じであるとする。図1に示されるように、温水Q2はエジェクタ冷凍機13Aへ供給される。温水Q3は熱交換器3へ供給される。冷却システム1Aにおいて冷却水W1は分岐点N2において冷却水W2と冷却水W3とに分流する。冷却水W2はエジェクタ冷凍機13Aへ供給される。冷却水W3は熱交換器3へ供給される。
【0010】
冷却システム1Aでは、熱交換器3、冷却塔2、及びポンプ10を環状に接続して冷却水W3の循環路が構成される。ポンプ10は冷却水W3を吸い上げて熱交換器3へ供給する。熱交換器3は、冷却水W3との間の熱交換により温水Q3を冷却する。熱交換器3により冷却されることで温水Q3の温度が下がる。このため、温水Q3は冷水C3になる。熱交換器3は冷水C3を排出する。温度センサ14は、熱交換器3から排出される冷水C3の温度を計測する。
【0011】
また、冷却システム1Aでは、エジェクタ冷凍機13A、冷却塔2、及びポンプ11を環状に接続して冷却水W2の循環路が構成される。ポンプ11は冷却水W2を吸い上げてエジェクタ冷凍機13Aへ供給する。エジェクタ冷凍機13Aは、温水Q2を蒸気発生器24を流通する冷媒Z2との熱交換により冷却し、蒸発器26を流通する冷媒Z3との熱交換により更に冷却する。エジェクタ冷凍機13Aにより冷却されることで温水Q2の温度が下がる。このため、温水Q2は、冷水C2になる。エジェクタ冷凍機13Aは、冷水C2を排出する。温度センサ15は、エジェクタ冷凍機13Aから排出される冷水C2の温度を計測する。
【0012】
エジェクタ冷凍機13Aから排出される冷水C2と熱交換器3から排出される冷水C3とは合流点N4において合流して冷水C1となる。合流点N4には、エジェクタ冷凍機13Aから排出される冷水C2と熱交換器3から排出される冷水C3とを貯留するタンクが設けられてもよい。ポンプ12は、冷水C1を供給口8から冷却対象物6へ供給する。温度センサ16は、冷却対象物6へ供給される冷水C1の温度を計測する。
【0013】
エジェクタ冷凍機13Aは、温水Q2を冷却する過程で温度の上がった冷却水W2を排出する。同様に、熱交換器3は、温水Q3を冷却することによって温度の上がった冷却水W3を排出する。エジェクタ冷凍機13Aから排出された冷却水W2と熱交換器3から排出された冷却水W3とは合流点N5において合流する。合流点N5において合流した冷却水W2と冷却水W3とは、温水Q1を冷却に利用されることで温度の上がった冷却水W1になる。温度の上がった冷却水W1は冷却塔2に流れ込む。冷却塔2は、温度の上がった冷却水W1を冷却して排出する。
【0014】
エジェクタ冷凍機13Aの構成は次の通りである。
図1に示されるように、エジェクタ冷凍機13Aは、エジェクタ21、凝縮器22、ポンプ23、蒸気発生器24、膨張弁25、及び蒸発器26を有する。エジェクタ21に駆動流を導入する導入口21aには蒸気発生器24を介してポンプ23が接続される。エジェクタ21に吸引流を導入する吸引口21bには蒸発器26を介して膨張弁25が接続される。エジェクタ冷凍機13Aは、駆動流と吸引流とを混合した流体を吐出する。エジェクタ21の吐出口21cには、凝縮器22が接続される。エジェクタ冷凍機13Aは、例えば液相の冷媒Z1を用いて温水Q2を冷却する装置である。本実施形態における冷媒Z1が液相から気相に変化する温度は60℃よりも低い。冷媒Z1の具体例としては、ハイドロフルオロカーボン又はハイドロフルオロオレフィン等のフロン類が挙げられる。エジェクタ冷凍機13Aにおいて、冷却水W2は、温水Q2からの吸熱により気相となった冷媒Z1の凝縮に利用される。
【0015】
図1に示されるように、冷媒Z1は、凝縮器22からポンプ23へ至る流路上の分岐点N3において液相の冷媒Z2と液相の冷媒Z3とに分流する。ポンプ23は、冷媒Z2を昇圧して蒸気発生器24へ送り出す。蒸気発生器24は、温水Q2と冷媒Z2との間の熱交換により冷媒Z2を蒸発させて気相の冷媒A1を生成する熱交換器である。蒸気発生器24における圧力下で冷媒Z2が液相から気相に変化する温度は60℃よりも低く、温水Q2の温度は60~70℃であるから、温水Q2と冷媒Z2との間の熱交換により冷媒Z2を蒸発させることができる。冷媒A1はエジェクタ21の導入口21aへ導入される。導入口21aへ導入された冷媒A1は、エジェクタ21における駆動流となる。つまり、本実施形態におけるエジェクタ冷凍機13Aでは、冷却対象である温水Q2の熱を利用してエジェクタ21の駆動流が生成される。蒸気発生器24における熱交換を経た温水Q2は蒸発器26へ供給される。
【0016】
膨張弁25には冷媒Z3が供給される。膨張弁25は、供給される冷媒Z3を減圧することで膨張させる。例えば電子膨張弁、手動膨張弁、定圧膨張弁、オリフィス又はキャピラリー等の任意の形式の減圧機構が膨張弁25として利用される。冷媒Z3は、膨張弁25により減圧され、駆動流により発生するエジェクタ21内の静圧低下による吸引作用によって、蒸発器26に送られる。
【0017】
蒸発器26は、蒸気発生器24を経由した温水Q2と膨張弁25により減圧された冷媒Z3との間の熱交換により冷媒Z3を蒸発させて気相の冷媒A2を生成する熱交換器である。換言すれば、蒸発器26は、エジェクタ21の吸引作用によって圧力が低下した冷媒Z3の潜熱を利用して、蒸気発生器24を経由した温水Q2を冷却する。蒸気発生器24を経由して蒸発器26へ供給される温水Q2は、蒸発器26において冷却されることで冷水C2になる。
【0018】
冷媒A2は、エジェクタ21の吸引口21bを介してエジェクタ21に導入される。吸引口21bを介してエジェクタ21に導入された冷媒A2は、エジェクタ21の吸引流となる。エジェクタ21では、吸引流と駆動流とが混合される。吸引流と駆動流とを混合することで得られた流体、即ち気相の冷媒A3は、ディフューザにより昇圧されたうえで吐出口21cから吐出される。凝縮器22には、エジェクタ21から吐出される冷媒A3が導入される。凝縮器22へ導入された冷媒A3は、冷却水W2との間の熱交換により冷却される。凝縮器22において冷却された冷媒A3は液相の冷媒Z1に凝縮する。
【0019】
制御装置5は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のコンピュータである。制御装置5は、図示せぬ記憶装置に記憶されているプログラムに従って作動することによって、ポンプ10、ポンプ11、及びポンプ12の作動制御を行う。より詳細に説明すると、制御装置5は、温度センサ16により計測される温度が目標温度範囲(例えば、T0±tの温度範囲)内の温度である冷水C1が一定の流量で冷却対象物6に供給されるように、ポンプ10、ポンプ11、及びポンプ12の作動制御を行う。目標温度範囲は、冷却対象物6の温度を一定に保つための冷水C1の温度範囲である。本実施形態における目標温度範囲は20~40℃である。
【0020】
制御装置5を用いたポンプ10、ポンプ11、及びポンプ12の作動制御の基本的な考え方は次の通りである。冷却対象物6へ供給する冷水C1の流量を一定にするため、制御装置5は、回転速度が一定となるようにポンプ12を制御する。一方、ポンプ10及びポンプ11については、制御装置5は、温度センサ14により計測された温度、温度センサ15により計測された温度、及び温度センサ16により計測された温度に応じて各々の回転速度を制御する。ポンプ10の回転速度を制御することで、熱交換器3に流れ込む冷却水W3の流量が制御される。同様に、ポンプ11の回転速度を制御することで、エジェクタ冷凍機13Aに流れ込む冷却水W2の流量が制御される。制御装置5は、温度センサ16により計測された温度が目標温度範囲内の温度となるように、温度センサ15により計測された温度及び温度センサ14により計測された温度に応じて冷却水W2の流量及び冷却水W3の流量を制御する。本実施形態において、冷却水W2の流量及び冷却水W3の流量を制御することは、冷却水W1を冷却水W2と冷却水W3とに分流する際の分配を制御することを意味する。
【0021】
温度センサ16により計測された温度が目標温度範囲内の温度となるように、温度センサ15により計測された温度及び温度センサ14により計測された温度に応じた冷却水W2の流量及び冷却水W3の流量の制御を制御装置5に実行させる理由は次の通りである。冷水C3と冷水C2とを混合する時の熱損失を無視すると、冷水C3と冷水C2とを混合して得られる冷水C1の温度T3は以下の式(1)により表される。式(1)におけるT1は、温度センサ15により計測される冷水C2の温度である。式(1)におけるT2は、温度センサ14により計測される冷水C3の温度である。式(1)におけるG1は、エジェクタ冷凍機13Aから排出される冷水C2の流量である。式(1)におけるG2は、熱交換器3から排出される冷水C3の流量である。なお、本実施形態ではG1及びG2は定数である。
T3=(G1×T1+G2×T2)/(G1+G2)…(1)
【0022】
G1及びG2は定数であるから、冷水C1の温度T3は、冷水C2の温度T1及び冷水C3の温度T2に応じて定まる。冷水C3の温度T2は、熱交換器3の冷却能力が高いほど低くなる。つまり、温度センサ14により計測される温度は熱交換器3の冷却能力を表す。熱交換器3の冷却能力は、熱交換器3に供給する冷却水W3の流量に応じて定まる。熱交換器3に供給する冷却水W3の流量が多いほど、冷却水W3との間の熱交換により温水Q3から吸熱できる熱量が増えるからである。同様に、温度センサ15により計測される温度はエジェクタ冷凍機13Aの冷却能力を表し、エジェクタ冷凍機13Aの冷却能力はエジェクタ冷凍機13Aに供給する冷却水W2の流量に応じて定まる。エジェクタ冷凍機13Aに供給する冷却水W2の流量が多いほど、冷却水W2との間の熱交換により凝縮する冷媒Z1の温度を引き下げ、温水Q2から吸熱できる熱量が増えるからである。
【0023】
温度センサ16により計測される温度が目標温度範囲よりも高い温度の場合、制御装置5は、冷却水W2の流量を増加させ、冷却水W3の流量を減少させる。冷却水W2の流量を増加させることで冷水C2の温度を引き下げ、冷水C2の温度を引き下げることにより冷水C1の温度を引き下げることができるからである。本実施形態では、制御装置5は、熱交換器3へ供給する冷却水W3の流量が最小となるように、冷却水W2の流量及び冷却水W3の流量を制御する。これにより、温水Q1の冷却に対する熱交換器3の寄与が最小限となり、エジェクタ冷凍機13Aの冷却能力を最大限に利用して温水Q1が冷却される。
【0024】
本実施形態の冷却システム1Aでは、エジェクタ21の駆動流は温水Q2の熱を利用して生成されるので、駆動流の生成に圧縮機は不要である。本実施形態におけるエジェクタ冷凍機13Aは、圧縮機を用いない分だけ、駆動流の生成に圧縮機を用いるエジェクタ冷凍機よりも少ない消費電力で温水Q2を冷却することができる。また、熱交換器のみで温水Q1全体を冷却する冷却システムであれば、温水Q1の熱は全て廃棄されていた。これに対して、本実施形態の冷却システム1Aでは、温水Q1の一部である温水Q2の熱を利用して当該温水Q2の冷却が行われる。このため、本実施形態によれば、熱交換器のみで温水Q1全体を冷却する態様に比較して、温水Q1の冷却に要する消費電力を低く抑えることができる。また、本実施形態によれば、圧縮器を用いて駆動流を発生されるエジェクタ冷凍機と熱交換器とを併用する態様と比較しても、温水Q1の冷却に要する消費電力を低く抑えることができる。
【0025】
B:第2実施形態
第1実施形態では、エジェクタ冷凍機13Aによる冷却対象の温水Q2の熱を利用してエジェクタ21の駆動流が生成された。しかし、冷却対象物6とは異なる熱源が存在し、当該熱源の冷却により発生した温水Q4を冷却して河川等に排水する必要がある場合、温水Q4の熱を利用してエジェクタ21の駆動流が生成されてもよい。
【0026】
図2に示される冷却システム1Bは、エジェクタ冷凍機13Aに代えてエジェクタ冷凍機13Bを有し、更に温度センサ17を有する。エジェクタ冷凍機13Bは、温水Q2に代えて温水Q4が蒸気発生器24に供給される点、及び蒸気発生器24を経由せずに温水Q2が蒸発器26に供給される点においてエジェクタ冷凍機13Aと異なる。温水Q4の熱を利用してエジェクタ21の駆動流を発生させることにより温水Q4は冷却される。このため、エジェクタ冷凍機13Bにおいて温水Q4は冷水C4になる。エジェクタ冷凍機13Bは冷水C4を排出する。温度センサ17は、エジェクタ冷凍機13Bから排出される冷水C4の温度を計測するセンサである。
【0027】
冷却システム1Bにおける制御装置5は、第1実施形態と同様に、回転速度が一定になるようにポンプ12を制御する。また、冷却システム1Bにおける制御装置5は、第1実施形態と同様に、温度センサ16により計測された温度が目標温度範囲内の温度となるように、温度センサ15により計測された温度及び温度センサ14により計測された温度に応じてポンプ10の回転速度及びポンプ11の回転速度を制御する。なお、制御装置5は、温度センサ17に計測される温度が自治体等により定められた基準値以下となるように、エジェクタ冷凍機13Bに流れ込む温水Q4の流量を制御してもよい。
【0028】
本実施形態においても、エジェクタ21の駆動流の発生に圧縮機が用いられない点は、第1実施形態と同一である。このため、本実施形態によっても、熱交換器のみで温水Q1を冷却する態様、及び圧縮器を用いて駆動流を発生されるエジェクタ冷凍機と熱交換器とを併用する態様と比較して、温水Q1の冷却に要する消費電力を低く抑えることができる。また、本実施形態によれば、冷却して河川等に排水する必要がある温水Q4の熱、即ち単に温水Q4を冷却する態様では廃棄される熱を有効利用することが可能になるといった効果も奏される。
【0029】
C:第3実施形態
図3は、本開示の第3実施形態による冷却システム1Cの構成例を示す図である。図3に示される冷却システム1Cは、エジェクタ冷凍機13Bを有する点において冷却システム1Bと同一である。本実施形態の冷却システム1Cは、温水Q4の供給を受けない点、温度センサ17を有さない点、エジェクタ冷凍機13Bの蒸気発生器24に温水Q2が供給される点、及び熱交換器3による冷却を経た温水Q3がエジェクタ冷凍機13Bの蒸発器26に供給される点において冷却システム1Bと異なる。冷却システム1Cでは、温水Q2の熱を利用してエジェクタ21の駆動流を発生させることにより温水Q2は冷却される。このため、エジェクタ冷凍機13Bにおいて温水Q2は冷水C2になる。また、冷却システム1Cでは、温水Q3は熱交換器3における冷却水W3との熱交換及び蒸発器26における冷媒Z3との熱交換により冷却される。このため、エジェクタ冷凍機13Bにおいて温水Q3は冷水C3になる。
【0030】
本実施形態においても、エジェクタ21の駆動流の発生に圧縮機が用いられない点は、第1及び第2実施形態と同一である。このため、本実施形態によっても、圧縮器を用いて駆動流を発生されるエジェクタ冷凍機と熱交換器とを併用する態様と比較して、温水Q1の冷却に要する消費電力を低く抑えることができる。また、本実施形態の冷却システム1Cでは、温水Q1の一部である温水Q2の熱を利用して温水Q1の一部である温水Q3の冷却が行われる。このため、本実施形態によれば、熱交換器のみで温水Q1全体を冷却する態様に比較して、温水Q1の冷却に要する消費電力を低く抑えることができる。なお、本実施形態では、熱交換器3による冷却を経た温水Q3が蒸発器26に与えられたが、分岐点N1において温水Q2から分流された温水Q3が蒸発器26に与えられ、エジェクタ冷凍機13Bによる冷却を経た温水Q3が熱交換器3に与えられてもよい。
【0031】
D:変形
以上説明した各実施形態は以下のように変形されてもよい。
(1)冷却システム1Aは熱交換器3を有したが、冷却対象物6の冷却負荷がエジェクタ冷凍機13Aの冷却能力を下回る場合、即ちエジェクタ冷凍機13Aのみで冷却対象物6の温度を一定に保つことができる場合には、冷却塔2、熱交換器3、温度センサ14、及びポンプ10は省略されてもよい。冷却システム1Bについても同様に、冷却塔2、熱交換器3、温度センサ14、及びポンプ10は省略されてもよい。
【0032】
(2)第1実施形態の冷却システム1Aでは、冷却水W2の流量及び冷却水W3の流量の制御により、冷水C1の温度が制御された。式(1)を参照すれば明らかなように、冷水C2の流量及び冷水C3の流量を制御することによっても、冷水C1の温度の制御は可能である。冷水C2の流量は温水Q2の流量と等しく、冷水C3の流量は温水Q3の流量と等しい。そこで、温水Q2の流量と温水Q3の流量とを、制御装置5による制御の下で制御する分配器が、図1における分岐点N1に設けられてもよい。本態様によれば、制御装置5は、温度センサ14、温度センサ15及び温度センサ16の各々により計測される温度に応じて分配器を制御することで、冷水C1の温度を制御することができる。
【0033】
(3)温水Q4の利用が可能である場合、本開示の冷却システムは、温水Q2と温水Q4とのうちの一方を選択し、選択した温水を、エジェクタ21の駆動流を発生させるためにエジェクタ冷凍機へ供給する切替機構を有してもよい。図4に示す冷却システム1Dは、エジェクタ冷凍機13Bに代えてエジェクタ冷凍機13Cを有する。エジェクタ冷凍機13Cは、上記切替機構として、切替弁310、切替弁320及び切替弁330を有する。切替弁310は、温水Q2の流路と温水Q4の流路の何れか一方を蒸気発生器24における温水の流入口に接続する。切替弁320は、蒸気発生器24における温水の排出口を、冷水C4の排水路と切替弁330との何れか一方に接続する。そして、切替弁330は、蒸発器26における温水の流入口を、温水Q2の流路と切替弁320の何れか一方に接続する。
【0034】
例えば、温水Q2の熱を利用してエジェクタ21の駆動流を発生させる場合、冷却システム1Dでは、温水Q2の流路と蒸気発生器24における温水の流入口とが接続し、蒸気発生器24における温水の排出口と切替弁330とが接続し、切替弁320と蒸発器26の温水の流入口とが接続するように、切替弁310、切替弁320、及び切替弁330が切り替えられる。また、温水Q4の熱を利用してエジェクタ21の駆動流を発生させる場合には、温水Q4の流路と蒸気発生器24における温水の流入口とが接続し、蒸気発生器24における温水の排出口と冷水C4の排水路とが接続し、温水Q2の流路と蒸発器26における温水の流入口とが接続するように、切替弁310、切替弁320、及び切替弁330が切り替えられる。また、温水Q4の利用が可能であり、且つ、温水Q2の温度が温水Q4の温度よりも低く、駆動流の発生には温水Q2の温度が十分に高くないとする。なお、駆動流の発生には温水Q2の温度が十分に高くないとは、温水Q2の温度が、蒸気発生器24における圧力下で冷媒Z2が液相から気相に変化する温度よりも低いことをいう。この場合、図5に示す冷却システム1Eのように、温水Q4との間の熱交換により温水Q2を昇温させる熱交換器27を設け、エジェクタ冷凍機13Aには、熱交換器27により昇温させた温水Q2が与えられてもよい。
【0035】
(4)冷却システム1A~1Eは、成型機の金型等の製造機械の冷却に使用された温水Q1を冷却したが、例えば牛乳、清涼飲料、或いはアルコール飲料等の飲料の殺菌に使用された温水の冷却に使用されてもよい。
【0036】
E:各実施形態及び変形例から把握される態様
本開示は、上述した実施形態及び変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実現することができる。例えば、本開示は、以下の態様によっても実現可能である。以下に記載した各態様中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、或いは本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0037】
本開示の一態様である冷却システムは、分岐点N1と、熱交換器3と、エジェクタ冷凍機と、を有する。分岐点N1は、温水Q1を温水Q2と温水Q3とに分岐させる。エジェクタ冷凍機は、温水Q2の熱又は温水Q4の熱を用いて発生させた駆動流により駆動されるエジェクタ21を含む。エジェクタ冷凍機は、エジェクタ21の吸引を利用して温水Q1の少なくとも一部である被冷却流体を冷却する。温水Q1は本開示における第1熱源流体の一例である。温水Q2は本開示における第2熱源流体の一例である。温水Q4は本開示における外部熱源流体の一例である。エジェクタ冷凍機13A及び冷却システム1Cにおけるエジェクタ冷凍機13Bは第2熱源流体の熱を用いて駆動流を発生させるエジェクタ冷凍機の一例である。冷却システム1Bにおけるエジェクタ冷凍機13Bは外部熱源流体を用いて駆動流を発生させるエジェクタ冷凍機の一例である。つまり、冷却システム1A及び冷却システム1Cは、第2熱源流体の熱を用いて駆動流を発生させるエジェクタ冷凍機を含む冷却システムの一例である。冷却システム1Aにおけるエジェクタ冷凍機13Aは、第2熱源流体の熱を用いて発生させた駆動流の吸引を利用して、駆動流の発生に用いられた温水Q2、即ち駆動流との熱交換後の温水Q2、を冷却する。つまり、冷却システム1Aにおける被冷却流体は、駆動流との熱交換後の温水Q2である。冷却システム1Cにおけるエジェクタ冷凍機13Bは、第2熱源流体の熱を用いて発生させた駆動流の吸引を利用して、熱交換器3による冷却を経た温水Q3、即ち冷却水W3との熱交換後の温水Q3、を冷却する。つまり、つまり、冷却システム1Cにおける被冷却流体は、冷却水W3との熱交換後の温水Q3である。なお、冷却システム1Cは、温水Q3をエジェクタ冷凍機13Bにより冷却し、エジェクタ冷凍機13Bによる冷却後の温水Q3を熱交換器3により冷却する態様に変形されてもよい。つまり、被冷却流体は、温水Q3であってもよい。冷却システム1Bは、外部熱源流体の熱を用いて駆動流を発生させるエジェクタ冷凍機を含む冷却システムの一例である。冷却システム1Bでは、エジェクタ冷凍機13Bは、外部熱源流体である温水Q4の熱を用いて発生させた駆動流の吸引を利用して温水Q2を冷却する。
【0038】
熱交換器3は、温水Q1の一部である温水Q3を冷却水W3との間の熱交換により冷却する。温水Q3は本開示における第3熱源流体の一例である。冷却水W3は本開示における第1冷却流体の一例である。熱交換器3は本開示における第1熱交換器の一例であり、エジェクタ冷凍機の外部に設けられる。
【0039】
冷却システム1A又は1Cによれば、温水Q2の熱を利用して温水Q1の少なくとも一部である被冷却流体の冷却が行われる。このため、冷却システム1A又は1Cによれば、温水Q1を全て熱交換器で冷却する態様及び圧縮器を用いて駆動流を発生させるエジェクタ冷凍機と熱交換器とを併用して温水Q1を冷却する態様と比較して、温水Q1の冷却に要する消費電力を低く抑えることができる。また、冷却システム1Bによれば、温水Q4の熱を利用して温水Q1の少なくとも一部である被冷却流体の冷却が行われる。このため、冷却システム1Bによれば、温水Q1を全て熱交換器で冷却する態様及び圧縮器を用いて駆動流を発生させるエジェクタ冷凍機と熱交換器とを併用して温水Q1を冷却する態様と比較して、温水Q1及び温水Q4の冷却に要する消費電力を低く抑えることができる。
【0040】
より好ましい態様の冷却システムは、冷却対象物6から供給される温水Q1が流れ込む流入口7からエジェクタ冷凍機13Aに至る第1管L1と、分岐点N1において第1管L1から分岐して熱交換器3に至る第2管L2と、を有してもよい。流入口7は本開示における第1流入口の一例である。冷却システム1Aは本態様の冷却システムの一例である。本態様の冷却システムでは、第1管L1及び第2管L2により、温水Q1は温水Q2と温水Q3とに分流する。本態様の冷却システムによれば、冷却対象物6から排出される温水Q1を温水Q2と温水Q3とに分流し、温水Q3を熱交換器3で冷却し、温水Q2をエジェクタ冷凍機13Aで冷却することが可能になる。
【0041】
より好ましい態様の冷却システム1Dは、切替弁310、切替弁320、及び切替弁330を有してもよい。切替弁310、切替弁320、及び切替弁330の各々を切り替えることで、温水Q2と温水Q4とのうちの一方を選択し、選択した熱源流体が、駆動流を発生させるためにエジェクタ冷凍機へ供給される。切替弁310、切替弁320、及び切替弁330は本開示における切替機構の一例である。本態様によれば、温水Q2の熱を利用してエジェクタ21の駆動流を発生させる態様と温水Q4の熱を利用してエジェクタ21の駆動流を発生させる態様とを、温水Q2の温度及び温水Q4の温度に応じて切り替えることが可能になる。
【0042】
別の好ましい態様の冷却システムにおいてエジェクタ冷凍機は、エジェクタ21の他に、蒸気発生器24、蒸発器26、及び凝縮器22を備える。蒸気発生器24は、冷媒Z1を冷媒Z2と冷媒Z3とに分流して得られる冷媒Z2を、温水Q2との間の熱交換により蒸発させる。蒸気発生器24は、蒸発させた冷媒Z2を駆動流としてエジェクタ21に供給する。冷媒Z1は本開示における第1冷媒の一例である。冷媒Z2は本開示における第2冷媒の一例である。冷媒Z3は本開示における第3冷媒の一例である。蒸発器26は、冷媒Z3を、被冷却流体との間の熱交換により蒸発させ、吸引流を発生させる。エジェクタ21は、蒸気発生器24において蒸発させた冷媒Z2を駆動流とし、吸引口から導入される吸引流と駆動流とを混合した流体を吐出する。凝縮器22は、エジェクタ21から吐出される流体を、冷却水W2との間の熱交換により冷却して冷媒Z1に凝縮させる。冷却水W2は本開示における第2冷却流体の一例である。エジェクタ冷凍機13Aは本態様のエジェクタ冷凍機の一例である。本態様によれば、温水Q2の熱を利用してエジェクタ21の駆動流を発生させることができる。更に好ましい態様の冷却システムは、蒸気発生器24から吐出された冷水C2と、熱交換器3から吐出された冷水C3とを合流させた冷水C1を、冷却対象物6に供給してもよい。冷水C2は、蒸気発生器24により冷却され、蒸気発生器24から吐出される第2熱源流体の一例である。冷水C3は、熱交換器3により冷却され、熱交換器3から吐出される第3熱源流体の一例である。
【0043】
更に好ましい態様の冷却システムは、温水Q2の温度は温水Q4の温度よりも低く、温水Q4との間の熱交換により温水Q2を昇温させる熱交換器27を備えてもよい。熱交換器27は本開示における第2熱交換器の一例である。冷却システム1Eは本開示の冷却システムの一例である。本態様によれば、熱交換器27により昇温された温水Q2を熱源としてエジェクタ21の駆動流が生成されるので、温水Q2の温度が十分に高くない場合であっても、温水Q2の温度が十分に高くないことに起因する冷却性能の低下を回避できる。
【0044】
別の好ましい態様の冷却システムにおいてエジェクタ冷凍機は、エジェクタ21の他に、蒸気発生器24、蒸発器26、及び凝縮器22を備える。蒸気発生器24は、冷媒Z1を冷媒Z2と冷媒Z3とに分流して得られる冷媒Z2を、温水Q4との間の熱交換により蒸発させる。蒸気発生器24は、蒸発させた冷媒Z2を駆動流としてエジェクタ21に供給する。エジェクタ21は、蒸気発生器24において蒸発させた冷媒Z2を駆動流とし、吸引口から導入される吸引流と駆動流とを混合した流体を吐出する。蒸発器26は、冷媒Z3を、被冷却流体との間の熱交換により蒸発させることで、吸引流を発生させる。凝縮器22は、エジェクタ21から吐出される流体を、冷却水W2との間の熱交換により冷却して冷媒Z1に凝縮させる。エジェクタ冷凍機13Bは本態様のエジェクタ冷凍機の一例である。本態様によれば、温水Q4の熱を利用してエジェクタ21の駆動流を発生させることができる。
【0045】
より好ましい態様の冷却システムは、温度センサ14、温度センサ15、温度センサ14、及び制御装置5を有してもよい。温度センサ15は、エジェクタ冷凍機により冷却された温水Q2、即ち冷水C2の温度を計測する。冷水C2は本開示における第3冷却流体の一例である。温度センサ15は本開示における第1温度センサの一例である。温度センサ14は、熱交換器3により冷却された温水Q3、即ち冷水C3の温度を計測する。冷水C3は本開示における第4冷却流体の一例である。温度センサ14は本開示における第2温度センサの一例である。温度センサ16は、冷水C2と冷水C3とを混合して得られる冷水C1の温度を計測する。冷水C1は本開示における第5冷却流体の一例である。温度センサ16は本開示における第3温度センサの一例である。
【0046】
制御装置5は、温度センサ16により計測される温度が所定の温度範囲内の温度となるように、冷却水W2の流量及び冷却水W3の流量を、温度センサ15により計測される温度及び温度センサ14により計測される温度に応じて制御する。より具体的には、制御装置5は、温度センサ16により計測される温度が所定の温度範囲内の温度となり、且つ熱交換器3へ供給される冷却水W3の流量が最小となるように、温度センサ15により計測される温度及び温度センサ14により計測される温度に応じて冷却水W2及び冷却水W3の流量を制御する。本態様によれば、エジェクタ冷凍機の冷却能力を最大限に利用しつつ、冷水C1の温度を所定の温度範囲内の温度に維持することが可能になる。
【符号の説明】
【0047】
1A、1B、1C、1D、1E…冷却システム、2…冷却塔、3…熱交換器、5…制御装置、10,11,12…ポンプ、13A,13B,13C…エジェクタ冷凍機、14,15,16,17…温度センサ。
図1
図2
図3
図4
図5