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特開2022-170181マッピング機構、ロードポート、マッピング処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170181
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】マッピング機構、ロードポート、マッピング処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
H01L21/68 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076120
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳志
(72)【発明者】
【氏名】深江 兼一
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131DA05
5F131GA14
5F131GA33
5F131GA52
5F131GA92
5F131JA12
5F131JA24
5F131JA33
5F131KA22
(57)【要約】
【課題】パージ用ポートを有しない搬送容器に対してもその内部空間の環境雰囲気(気体状況)を検出することが可能であり、パージ用ポートを有する搬送容器に対しても排出用ポートに搬送容器内の気体が流通することを必須の条件とすることなくその内部空間の環境雰囲気(気体状況)を検出することが可能なマッピング機構を提供する。
【解決手段】複数枚の搬送対象物Wを多段状に収容可能な搬送容器3の内部空間3Sにおける搬送対象物Wの載置状態に関する情報をマッピングするマッピング機構Mであって、当該マッピング機構Mのうち搬送容器3の内部空間3Sに進入可能な部位に、当該搬送容器内3Sの環境雰囲気に関する情報を検知可能なセンサSを設けた構成にした。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の搬送対象物を多段状に収容可能な搬送容器の内部空間における前記搬送対象物の載置状態に関する情報をマッピングするマッピング機構であり、
当該マッピング機構のうち前記搬送容器の内部空間に進入可能な部位に、当該搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知可能なセンサを設けていることを特徴とするマッピング機構。
【請求項2】
内部に搬送ロボットを備えた搬送室と共にEFEMを構成するロードポートであって、
起立姿勢で設けられ前記搬送室に併設され且つ搬送対象物が通過可能な開口部を有する平板状のフレームと、
複数枚の前記搬送対象物を多段状に収容可能な搬送容器を載置可能な載置テーブルと、
前記搬送容器が有するドアと係合可能であり且つ前記フレームの前記開口部を開閉可能なロードポートドアと、
前記ロードポートドアを前記搬送室側に後退したドア開放位置に移動させることにより前記フレームの前記開口部を開状態にするドア開閉機構と、
前記ドア開閉機構によって前記開口部を開状態にした状態において前記搬送対象物の載置状態に関する情報をマッピングするマッピング機構とを備え、
前記マッピング機構のうち前記搬送容器の内部空間に進入可能な部位に、当該搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知可能なセンサを設けていることを特徴とするロードポート。
【請求項3】
前記載置テーブル上に載置された前記搬送容器内の気体雰囲気を環境ガスに置換可能なボトムパージ部と、
少なくとも前記ボトムパージ部によるボトムパージ処理を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記ドア開閉機構によって前記開口部を開状態にした時点又は前記開状態にした直後における前記センサによるセンシング情報に基づいて、前記ボトムパージ処理を実行する時間を決定するものである請求項2に記載のロードポート。
【請求項4】
複数枚の搬送対象物を多段状に収容可能な搬送容器の内部空間における前記搬送対象物の載置状態に関する情報をマッピングするマッピング機構を用いたマッピング処理方法であり、
前記マッピング機構は、先端部にマッピングセンサを有するマッパーと、前記マッパーを支持し且つ前記搬送容器に前記搬送対象物が収容されていることをマッピングセンサで検知可能なマッピング位置に前記マッパーを移動させるマッピング移動部とを備えたものであり、
前記マッパーを前記マッピング位置に位置付けた前記マッピング機構によるマッピング処理と、
前記マッピング機構のうち前記搬送容器の内部空間に進入可能な部位に設けられ且つ当該搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知可能なセンサによるセンシング処理とを、同時にまたは時間差で実行することを特徴とするマッピング処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば多段式スロットに複数枚のウェーハ等の搬送対象物を収納可能な搬送容器であるFOUPに対して、FOUPの各スロットにおける搬送対象物の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構、及びマッピング機構を備えたロードポート、さらには、マッピング機構を用いたマッピング処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の材料となるウェーハを収容するFOUP(Front-Opening Unified Pod)等の搬送容器に関して、その内部空間の環境雰囲気(温度、湿度(水分濃度)、各種含有ガス濃度等の気体状況)を把握することはウェーハの汚染防止や品質保持、タクトタイムの向上という観点において重要である。例えば、特許文献1には、ガス流通路が形成されたパージノズルを搬送容器の底面に当接させ、ガス流通路が搬送容器の底面に形成された開口(ポート)に連通した状態でパージ処理を実行するパージ装置において、搬送容器の内部状態を検出する構成として、パージノズルを通じてガスが搬送容器の内部に供給された際に搬送容器の排気用のポートから排気される排気ガスの組成に基づいて搬送容器の内部状態を検出する構成が開示されている。より具体的には、排気用ノズルとパージガスの排気経路(ガス排気)とを接続する配管にセンサを設け、このセンサによって排気ガスにおける水分または酸素の濃度を検出し、その検出結果に基づいて、搬送容器の内部状態を検出する構成が同特許文献に開示されている。このような構成であれば、検出した排気ガスにおける水分または酸素の濃度によって、搬送容器に供給すべきパージガスの量を判別することで、適切なパージ処理を行う上で無駄なパージガスを減らしてパージガスを節約しつつ適切なパージ処理を行うことが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6562078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の構成は、FOUP等の搬送容器の底面にパージ用のポートを有することが必須の条件であるため、パージ用ポートを有しない搬送容器に対してその内部状態を検出することは不可能である。また、パージ用ポートを有する搬送容器に対して上述の構成によって内部状態を検出する場合であっても、パージ処理を実施して排出用ポートに搬送容器内の気体が流通しない限り、その内部状態を検出することはできない。したがって、排気用ポートを通じて搬送容器内を負圧にすることが搬送容器内に悪影響を及ぼすことから自然排気を優先せざるを得ない状況化において、搬送容器内の気体が搬送容器の容器ドア付近から外部に流出され易い一方、排気用ポートから排気され難いことから、排出用ポートに関連付けて設けたセンサによって搬送容器の内部状態を適切に検出することできないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、パージ用ポートを有しない搬送容器に対してもその内部空間の環境雰囲気(気体状況)を検出することが可能であり、パージ用ポートを有する搬送容器に対しても排出用ポートに搬送容器内の気体が流通することを必須の条件とすることなくその内部空間の環境雰囲気(気体状況)を検出することが可能なマッピング機構、及びマッピング機構を備えたロードポート、またマッピング方法を提供することである。なお、本発明は、FOUP以外の搬送容器や、ロードポート以外の搬送容器載置装置、搬送容器に対する専用のストッカ装置等の搬送容器内の搬送対象物に対するマッピングを要する各種の装置であっても対応可能な技術である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係るマッピング機構は、複数枚の搬送対象物を多段状に収容可能な搬送容器の内部空間における搬送対象物の載置状態に関する情報をマッピングするものであり、マッピング機構のうち搬送容器の内部空間に進入可能な部位に、当該搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知可能なセンサを設けていることを特徴としている。
【0007】
ここで、本発明における「環境雰囲気に関する情報」としては、温度、湿度、酸素濃度、窒素濃度、その他特定の汚染物質の濃度、パーティクル等を挙げることができる。環境雰囲気に関する情報を検知可能なセンサの個数は特に限定されず、センサの種類(例えば、温度計、湿度計、酸素濃度計等)も1種類に限らず、複数種類であってもよい。
【0008】
このような本発明に係るマッピング機構であれば、マッピング機構のうち搬送容器内に進入可能な部位に設けたセンサによって搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知することができ、底面にパージ用ポートを備えていない搬送容器に対してもその容器内の環境雰囲気に関する情報を検知することが可能になる。さらに、底面にパージ用ポートを備えた搬送容器に対しても、パージ処理の実施・不実施を問わず、搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知することができ、例えばパージ処理を実施しなくても搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を測定することで、タクトタイムの短縮化を図ることが可能である。パージ処理を実施する場合であっても本発明のマッピング機構であれば、排気効率が比較的低い排気用ポートを利用するよりも、環境雰囲気に関する情報を的確に測定することができる
【0009】
また、本発明に係るロードポートは、起立姿勢で設けられ且つ搬送対象物が通過可能な開口部を有する平板状のフレームと、複数枚の搬送対象物を多段状に収容可能な搬送容器を載置可能な載置テーブルと、搬送容器が有するドアと係合可能であり且つフレームの開口部を開閉可能なロードポートドアと、ロードポートドアをドア開放位置に移動させることによりフレームの開口部を開状態にするドア開閉機構と、ドア開閉機構によって開口部を開状態にした状態において搬送対象物の載置状態に関する情報をマッピングするマッピング機構とを備え、マッピング機構のうち搬送容器の内部空間に進入可能な部位に、当該搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知可能なセンサを設けていることを特徴としている。
【0010】
このような本発明に係るロードポートであれば、マッピング機構のうち搬送容器内に進入可能な部位に設けたセンサによって搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知することができ、底面にパージ用ポートを備えていない搬送容器に対してもその容器内の環境雰囲気に関する情報を検知することが可能になる。さらに、本発明に係るロードポートであれば、底面にパージ用ポートを備えた搬送容器に対してもパージ処理の実施・不実施を問わず、搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知することができ、例えばパージ処理を実施しなくても搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を測定することで、タクトタイムの短縮化を図ることが可能である。
【0011】
特に、本発明に係るロードポートは、載置テーブル上に載置された搬送容器内の気体雰囲気を環境ガスに置換可能なボトムパージ部と、少なくともボトムパージ部によるボトムパージ処理を制御する制御部とを備え、制御部が、ドア開閉機構によって搬送容器の開口部を開状態にした時点(搬送容器が有するドアを開放した時点)又は開状態にした直後(搬送容器が有するドアを開放した直後)におけるセンサ(搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知可能なセンサ)によるセンシング情報に基づいて、ボトムパージ処理を実行する時間を決定するものである。このような構成であれば、搬送容器のドアを開放した時点またはドアを開放した直後のセンシング情報に基づいてボトムパージ処理実行時間を制御部が調整・変更することによって、搬送容器内の環境雰囲気の状況に応じた適切な時間分だけボトムパージ処理を実行することができ、例えばボトムパージ処理を過度に実行し続けることによる環境ガス(パージ用気体)の無駄使いを回避することができる。
【0012】
また、本発明に係るマッピング処理方法は、複数枚の搬送対象物を多段状に収容可能な搬送容器の内部空間における搬送対象物の載置状態に関する情報をマッピングするマッピング機構を用いたマッピング処理方法であり、マッピング機構が、先端部にマッピングセンサを有するマッパーと、マッパーを支持し且つ搬送容器に搬送対象物が収容されていることをマッピングセンサで検知可能なマッピング位置にマッパーを移動させるマッピング移動部とを備えたものであり、マッパーをマッピング位置に位置付けたマッピング機構によるマッピング処理と、マッピング機構のうちマッパーをマッピング位置に位置付けた状態において搬送容器の内部空間に進入可能な部位に設けられ且つ当該搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知可能なセンサによるセンシング処理とを、同時にまたは時間差で実行することを特徴としている。
【0013】
このような本発明に係るマッピング処理方法であれば、マッパーをマッピング位置に位置付けた状態で行うマッピング処理と同時または時間差で搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知するセンシング処理を実行することで、排気用ポートの有無に左右されることなく搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を測定することができるとともに、タクトタイムの短縮化も実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マッピング機構のうち搬送容器内に進入可能な部位に設けたセンサによってパージ用ポートを有しない搬送容器に対してもその内部状態(搬送容器内の環境雰囲気に関する情報)を検出することが可能であり、パージ用ポートを有する搬送容器に対しても排出用ポートに搬送容器内の気体が流通することを必須の条件とすることなくその内部状態を検出することが可能なマッピング機構、及びマッピング機構を備えたロードポート、またマッピング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るロードポートを備えたEFEMとその周辺装置の相対位置関係を示す模式的に示す側面図。
図2図1に示す相対位置関係を簡略化した平面図。
図3】同実施形態に係るロードポートを一部省略して示す斜視図。
図4】同実施形態に係るロードポートを一部省略して示す正面図。
図5】本実施形態におけるロードポートの処理手順を模式的に示す図。
図6】本実施形態におけるロードポートの処理手順を模式的に示す図。
図7】本実施形態におけるロードポートの処理手順を模式的に示す図。
図8】FOUP内のスロットに収容した搬送対象物に対するマッピング機構のマッピング処理動作及びセンサの取付位置を模式的に示す図。
図9】本実施形態におけるロードポートの動作手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態に係るマッピング機構Mは、図1に示すように、ロードポート1に適用可能なものである。ロードポート1は、例えば半導体の製造工程において用いられ、図1及び図2に示すように、クリーンルーム内において、搬送室2の壁面の一部を構成し、搬送室2とFOUP等の搬送容器3との間でウェーハW等の搬送対象物の出し入れを行うためのものである。ロードポート1は、搬送室2と共にEFEM(Equipment Front End Module)の一部を構成し、搬送容器3と搬送室2のインターフェース部分として機能するものである。
【0018】
本実施形態におけるFOUP3は、図1に模式的に示すように、搬出入口31を通じて内部空間3Sを後方にのみ開放可能なFOUP本体32と、搬出入口31を開閉可能なFOUPドア33を備えている。FOUP3は、内部に多段式スロット34を設け、各スロット34に搬送対象物であるウェーハWを収容可能に構成され、搬出入口31を介してこれらウェーハWを出し入れ可能に構成された既知のものである。FOUP3内のスロット34にウェーハWを収容した状態を後出の図8に模式的に示す。FOUP本体32の上向面には、搬送容器3を自動で搬送する装置(例えばOHT:Over Head Transport)等に把持されるフランジ部35を設けている。
【0019】
ロードポート1は、図1乃至図5等に示すように、搬送室2の壁面の一部を構成し、且つ搬送室2の内部空間2Sを開放するための開口部41が形成された板状をなすフレーム4と、フレーム4に対して前方に突出させた略水平姿勢で設けた載置テーブル5と、外部から搬送されてきたFOUP3を載置テーブル5上に保持する着座保持機構6と、載置テーブル5上でFOUP3を着座位置と搬送対象物受渡位置との間で前後方向Dに移動させる牽引機構7と、フレーム4の開口部41を開閉するロードポートドア8と、ロードポートドア8を搬送室2側に後退したドア開放位置に移動させることによりフレーム4の開口部41を開状態にするドア開閉機構9と、ドア開閉機構9によってフレーム4の開口部41を開状態にした状態において、搬送対象物受渡位置にあるFOUP3内の各スロット34におけるウェーハWの有無を含むウェーハWの載置状態に関する情報をマッピングするマッピング機構Mとを備えている。
【0020】
フレーム4は、起立姿勢で配置され、載置テーブル5上に載置したFOUP3の搬出入口と連通し得る大きさの開口部41を有する略矩形板状のものである。図1にフレーム4の開口部41を模式的に示している。本実施形態のロードポート1は、フレーム4によって搬送室2の壁面の一部を構成している。フレーム4の下端には、キャスタ及び設置脚を有する脚部42を設けている。
【0021】
載置テーブル5は、フレーム4のうち高さ方向中央よりもやや上方寄りの位置に略水平姿勢で配置される水平基台50(支持台)の上部に設けられ、FOUP本体32がフレーム4に対向する向きでFOUP3を載置可能なものである。図4に示すように、載置テーブル5には、上向きに突出させた複数の突起51を設け、これらの突起51をFOUP3の底面に形成された穴(図示省略)に係合させることで、載置テーブル5上におけるFOUP3の位置決めを図っている。
【0022】
着座保持機構6は、載置テーブル5に設けたロック爪61(図6(b)参照)を、FOUP3の底面に設けた被ロック部(図示省略)に引っ掛けて固定したロック状態にすることで、FOUP3を載置テーブル5上に保持するものである。また、本実施形態のロードポート1では、被ロック部に対するロック爪61のロック状態を解除することで、FOUP3を載置テーブル5から離間可能な状態にすることができる。
【0023】
牽引機構7は、載置テーブル5上でFOUP3を、FOUP本体32がロードポートドア8から所定距離離間した位置である着座位置と、FOUP本体32をロードポートドア8に密着させる位置である搬送対象物受渡位置との間で前後方向Dに移動させるものである。牽引機構7は、載置テーブル5を前後移動させる図示しないスライドレール等を用いて構成されている。着座保持機構6及び牽引機構7は、載置テーブル5が備える機構として捉えることもできる。
【0024】
なお、図1では、載置テーブル5上におけるFOUP3の載置状態として、載置テーブル5の上面にFOUP3の底面が接触している状態として簡略化して示している。しかしながら、実際には、載置テーブル5の上面よりも上方に突出している複数の突起51が、FOUP3の底面に形成された有底の穴に係合することでFOUP3を支持しており、載置テーブル5の上面とFOUP3の底面は相互に接触せず、載置テーブル5の上面とFOUP3の底面の間に所定の隙間が形成されるように規定されている。
【0025】
本実施形態では、載置テーブル5に載置したFOUP3とフレーム4が並ぶ前後方向D(図1等参照)において、FOUP3側を前方と定義し、フレーム4側を後方と定義する。
【0026】
ロードポートドア8は、フレーム4の開口部41を密閉する全閉位置(図1参照)と、全閉位置よりも搬送室2側に後退したドア開放位置(図6参照)と、開口部41の開口スペースを後方に全開放させる全開位置(図7(i)参照)との間で移動可能なものである。ロードポートドア8は、FOUPドア33を吸着して保持可能な係合部81を備え(図4参照)、FOUPドア33との係合状態を維持したままFOUPドア33と一体的に全閉位置、ドア開放位置及び全開位置の間で移動可能に構成されている。本実施形態では、全閉位置及びドア開放位置位置付けたロードポートドア8の姿勢を同じ姿勢に設定している。そして、全開位置と全閉位置との間におけるロードポートドア8の移動経路は、全閉位置にあるロードポートドア8をその高さ位置を維持したままドア開放位置まで搬送室2側へ移動させた経路(水平経路)と、ドア開放位置にあるロードポートドア8をその前後位置を維持したまま全開位置まで下方へ移動させた経路(鉛直経路)とからなる。ドア開放位置に位置付けたロードポートドア8が鉛直方向及び水平方向の何れにも移動できるように、ドア開放位置に位置付けたロードポートドア8に保持されるFOUPドア33は、ロードポートドア8と共にフレーム4よりも後方の位置(FOUP本体32から完全に離間し、搬送室2の内部空間2Sに配置される位置)に位置付けられる。
【0027】
このようなロードポートドア8の移動は、ロードポート1に設けたドア開閉機構9によって実現している。ドア開閉機構9は、ロードポートドア8をドア開放位置や全開位置に移動させることによって、開状態にしたフレーム4の開口部41を介してFOUP3の内部空間3Sを搬送室2に連通させるものである。ドア開閉機構9は、例えばロードポートドア8を支持する支持フレーム80を前後方向Dに移動可能に支持する可動ブロック(図示省略)や、可動ブロックを上下方向Hに移動可能に支持するスライドレール(図示省略)を用いて構成され、アクチュエータ等の駆動源(図示省略)を作動させて、ロードポートドア8を前後方向D及び上下方向Hに移動させるものである。なお、前後移動用のアクチュエータと、上下移動用のアクチュエータとを別々に備えた態様であってもよいが、部品点数の削減という点では、共通のアクチュエータを駆動源としてロードポートドア8の前後移動及び上下移動を行う態様が優れている。
【0028】
本実施形態のロードポートドア8は、FOUPドア33とFOUP本体32との係合状態(ラッチ状態)を解除してFOUPドア33をFOUP本体32から取り外し可能な状態(アンラッチ状態)にする連結切替機構82を備えている(図4参照)。
【0029】
マッピング機構Mは、図1図3及び図8等に示すように、FOUP3内に設けた多段式スロット34により高さ方向Hに多段状に収納された搬送対象物Wの有無を検出可能なマッピングセンサM1(送信器M11、受信器M12)を先端部に有するマッパーM2と、マッパーM2を支持するマッピングアームM3(マッピング移動部)とを備え、FOUP3内における搬送対象物Wの有無や収納姿勢を検出可能なものである。図8に、FOUP3内においてスロット34に載置されているウェーハWの収容状態を模式的に示す。
【0030】
マッパーM2は、図8に示すように、マッピングアームM3の所定箇所から前方に突出する形態で幅方向に所定距離隔てて左右一対に並設され、先端部にマッピングセンサM1を取り付けたものである。マッピングセンサM1は、信号であるビーム(線光)を発する送信器M11(発光センサ)と、送信器M11から発せられた信号を受信する受信器M12(受光センサ)とから構成される。なお、マッピングセンサM1を送信器と、送信器から発せられた線光を送信器に向かって反射する反射部とによって構成することも可能である。この場合、送信機は、受信器としての機能も有する。図8に示すように、光軸MLを左右の水平方向へ向けたマッピングセンサM1(M11、M12)がマッピング処理時に検知対象である搬送対象物Wに干渉しないように、マッピングセンサM1(M11、M12)同士の左右のスパンを搬送対象物Wの平面寸法に応じて適宜の値に設定している。
【0031】
マッピングアームM3は、前後方向DにおけるマッパーM2の位置を、図6(f)及び図7(g)に示す位置、すなわち、開状態にある開口部41を通じてFOUP3にウェーハWが収容されていることをマッピングセンサM1で検知可能なマッピング位置(P1)と、図3及び図5に示す位置、すなわち、FOUP3にウェーハWが収容されていることをマッピングセンサM1で検知不能なウェーハマッピング不能位置(P2)との間で移動させるものである。本実施形態のマッピングアームM3は、図3に示すように、上枠部M31と、上枠部M31の両端からそれぞれ下方に延在する左右一対の側枠部M32と、両側枠部M32の下端部間に設けた下枠部M33とを一体又は一体的に有する枠状をなし、これら上枠部M31、両側枠部M32及び下枠部M33によって囲まれた前後方向Dに開口するマッピングアームM3の内部空間MSに、ロードポートドア8自体、さらにはロードポートドア8の周辺パーツを搬送室2側から被覆するドアカバー83を収容できるように構成している。
【0032】
本実施形態では、図3に示すように、マッピングアームM3の上枠部M31にマッパーM2を前方に突出させた姿勢で支持している。したがって、マッパーM2の先端部に設けたマッピングセンサM1は、マッピングアームM3よりも前方に突出した位置に配置される。本実施形態のロードポート1は、ドア開閉機構9を構成するパーツにマッピングアームM3の下枠部M33を取り付けている。具体的には、ロードポートドア8を支持する支持フレーム80に下枠部M33を取り付けている。したがって、ドア開閉機構9によるロードポートドア8の昇降作動に伴ってマッピングアームM3も一体に作動する。その結果、マッピング機構M全体がロードポートドア8と同じ方向に昇降移動する。なお、本実施形態では、マッピング機構Mとドア8とが一体に作動する構成を採用したが、マッピング機構Mに専用の昇降機構(マッピング機構Mのみを単独で昇降させる機構)を設けることで、ドア8に対してマッピング機構Mが独立して昇降する構成としても良い。
【0033】
本実施形態のマッピング機構Mは、マッピングアームM3とドア開閉機構9との取付部における枢支点を中心にマッピングアームM3全体を傾動させる傾動機構M4を備えている。傾動機構M4は、図3に示すように、下枠部M33に連結した傾動クランクM41と、長手方向と一致する軸方向をロードポート1の幅方向に一致させた姿勢で配置され、且つ傾動クランクM41及びドア支持フレーム80を相互に連結する連結軸M42(枢支点に相当)と、フレーム4に形成したスリット状の挿通孔を前後方向Dに貫通する姿勢で配置されて前後方向Dに進退動作可能な進退可動部M43と、傾動クランクM41の下端部を進退可動部M43の後端部に枢着する枢支軸M44とを備えている。
【0034】
このような傾動機構M4は、図3に示すマッパーM2をウェーハマッピング不能位置(P2)に位置付けた状態において、図示しない駆動源により進退可動部M43を後方(搬送室2側)へ移動させることで、傾動クランクM41の下端部を後方へ押して傾動クランクM41全体を枢支軸M44回りに回転(傾動)させる。これにより、傾動クランクM41は、上端部を前方(FOUP3側)に移動させる方向に回動し、傾動クランクM41に連結しているマッピングアームM3が、傾動クランクM41と同一方向へ傾動する。その結果、マッピングアームM3のうち両側枠部M32の上端部側領域及び上枠部M31全体が、開口部41を通じてフレーム4の最後面4Bよりも前方の空間(FOUP3側の空間)に突出する。以上により、マッパーM2は、図6(f)に示すように、開口部41を通じてフレーム4の最後面4Bよりも前方の空間にマッピングセンサM1を突出させたマッピング位置(P1)に位置付けられる。
【0035】
マッピング機構Mは、マッパーM2の前後方向における位置をマッピング位置(P1)やウェーハマッピング不能位置(P2)に維持したまま上述のドア開閉機構9の昇降移動と一体に昇降可能に構成されている。このように、本実施形態におけるマッピングアームM3は、ドア開閉機構9によりロードポートドア8と共に前後方向及び上下方向に動作するものであり、且つドア開閉機構9とは独立に傾動機構M4によって動作するものである。
【0036】
そして、本実施形態に係るマッピング機構Mは、図3及び図8に示すように、当該マッピング機構Mのうち搬送容器であるFOUP3の内部空間3Sに進入可能な部位、換言すれば、フレーム4の開口部41を通じてフレーム4の最後面4Bよりも前方の空間(FOUP3側の空間)に突出可能な部位に、FOUP3の内部空間3Sの環境雰囲気に関する情報を検知可能なセンサSを設けている。なお、図5乃至図7ではセンサSを省略している。
【0037】
本実施形態では、マッピング機構MのうちマッピングアームM3の上枠部M31にセンサSを設けている。上述のように、マッパーM2をマッピング位置(P1)に位置付けた状態では、マッピングアームM3の上枠部M31全体が開口部41を通じてフレーム4の最後面4Bよりも前方の空間(FOUP3側の空間)に進入することになり、センサSもFOUP3の内部空間3Sに進入することになる。センサを上枠部M31に取り付けて固定する手段は、ネジ止めであってもよいし、専用のセンサホルダを用いる等、適宜の手段を選択することができる。本実施形態では、上枠部M31のうち幅方向に離間した所定の2箇所にそれぞれセンサSを設けている。2つのセンサは、同じ種類のセンサであってもよいし、異なる種類のセンサであってもよい。本実施形態では、一方のセンサSとして酸素濃度計を適用し、他方のセンサSとして温度計を適用している。したがって、マッパーM2をマッピング位置(P1)に位置付けることで、これら2つのセンサSによってFOUP3の内部空間3Sの酸素濃度と温度を同時に計測することが可能である。なお、1つのセンサSに複数種類の計測ができる機能があるものを採用してもよい。
【0038】
本実施形態のロードポート1は、載置テーブル5に設けられFOUP3の底面側から当該FOUP3内に窒素ガスや不活性ガス又はドライエア等の適宜選択された気体である環境ガス(パージガスとも称され、本実施形態では主に窒素ガスやドライエアを用いている)を注入し、FOUP3内の気体雰囲気を環境ガスに置換可能なボトムパージ部を備えることができる。ボトムパージ部は、載置テーブル5上の所定箇所に複数設けた図示しないノズルを主体としてなり、複数のノズルを、所定の環境ガスを注入するボトムパージ注入用ノズルや、FOUP3内の気体雰囲気を排出するボトムパージ排出用ノズルとして機能させている。これら複数のノズルは、FOUP3の底部に設けた図示しない注入口(注入用ポート)及び排出口(排気用ポート)に嵌合した状態で連結可能なものである。注入口を介してボトムパージ注入用ノズルからFOUP3の内部空間3Sに環境ガスを供給し、排出口を介してボトムパージ排出用ノズルからFOUP3の内部空間3Sの気体雰囲気(この気体雰囲気は、パージ処理実行開始から所定時間までは空気や空気以外の清浄度が低い環境ガスであり、当該所定時間経過後はFOUP3の内部空間3Sに充填された清浄度の高い環境ガスである)を排出することで、パージ処理を行うことが可能である。
【0039】
このようなロードポート1は、内部に搬送ロボット21を備えた搬送室2と共にEFEMを構成する。本実施形態では、図2に示すように、搬送室2の前面(前壁面)2Fにロードポート1を複数(例えば3台)並べて配置している。EFEMの作動は、ロードポート1のコントローラ(図2に示す制御部1C)や、EFEM全体のコントローラ(図1に示す制御部C)によって制御される。
【0040】
搬送室2の内部空間2Sには、ウェーハW等の搬送対象物をロードポート1上のFOUP3と処理室Rとの間で搬送可能な搬送ロボット21が設けられている。搬送ロボット21は、図1及び図2に示すように、例えば複数のリンク要素を相互に水平旋回可能に連結し、先端部に搬送対象物把持部211(ハンド)を設けたアーム212と、アーム212の基端部を構成するアームベースを旋回可能に支持し且つ搬送室2の幅方向(ロードポート1の並列方向)に走行する走行部とを備えたものである。搬送ロボット21は、アーム長が最小になる折畳状態と、アーム長が折畳状態時よりも長くなる伸長状態との間で形状が変わるリンク構造(多関節構造)を有する。アーム212の先端に、個別に制御可能な複数のハンド211を高さ方向に多段状に設けた搬送ロボット21を適用することができる。
【0041】
搬送室2は、ロードポート1及び処理室Rが接続されることによって、内部空間2Sが略密閉された状態となるように構成している。搬送室2の内部空間2Sには、図1に示すように、上方から下方に向かう気流であるダウンフローを形成している。したがって、搬送室2の内部空間2SにウェーハWの表面を汚染するパーティクルが存在した場合であっても、ダウンフローによってパーティクルを下方に押し下げ、搬送中のウェーハWの表面へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。図1には、ダウンフローを形成している搬送室2内の気体の流れを矢印で模式的に示している。搬送室2の側面や搬送室2の内部空間2Sにバッファステーション、アライナ等の適宜のステーションを配置したEFEMを構成することも可能である。
【0042】
本実施形態では、搬送室2のうちロードポート1を配置した壁面2F(前壁面)に対向する壁面2B(後壁面)に、処理室R(半導体処理装置)を幅方向に複数(図示例では3室)並べて配置し、各処理室R内でそれぞれ異なる適宜の処理が施されるように構成している。半導体製造工程の中間工程や後工程で行う処理例として、バックラップ処理工程、ウェーハ積層処理工程、ダイシング処理工程等を挙げることができる。なお、処理室Rの作動は、処理室Rのコントローラ(図1に示す制御部RC)によって制御される。ここで、処理室R全体のコントローラ(制御部RC)や、EFEM全体のコントローラ(制御部C)は、ロードポート1の制御部1Cの上位コントローラである。
【0043】
各処理室Rの内部空間RS、搬送室2の内部空間2S及び各ロードポート1上に載置されるFOUP3の内部空間3Sは高清浄度に維持される。一方、ロードポート1を配置した空間、換言すれば処理室外、EFEM外は比較的低清浄度となる。なお、図1及び図2は、ロードポート1及び搬送室2の相対位置関係、及びこれらロードポート1及び搬送室2を備えたEFEMと、処理室Rとの相対位置関係を模式的に示した図である。
【0044】
そして、本実施形態に係るロードポート1は、制御部1Cが、開状態にある開口部41を通じてマッパーM2をマッピング位置(P1)に位置付けた状態で行うマッピング機構Mによるマッピング処理と、マッピング機構Mに設けたセンサSによるセンシング処理とを実行可能であり、マッピング処理及びセンシング処理を同時または時間差で実行することを特徴としている。本実施形態におけるマッピング処理は、マッパーM2をマッピング位置(P1)に位置付けた状態でマッピングアームM3を昇降動作させることにより、搬送容器内のスロット34毎(FOUP内のスロット34毎)に搬送対象物に関する情報を取得する処理である。
【0045】
ここで、マッピングセンサM1は、信号であるビーム(線光)を発して、その信号を受信するか否かで搬送対象物Wの有無を検知するものであり、ビームの軌跡(線光ライン)を検出ラインMLと捉えることができる。すなわち、マッパーM2を第1マッピング位置(P1)に位置付けた状態で行うマッピング処理時の検出ラインMLは、FOUP3に収容されているウェーハWを横切るラインである(図8(ii)参照)。
【0046】
マッピング処理時において、送信器M11から受信器M12に向かって信号を発することで送信器M11と受信器M12との間に形成されている信号経路は、ウェーハWの存在しているところでは遮られ、ウェーハWの存在していないところでは遮られずに受信器M12に達する。これにより、高さ方向Hに並んで収納されているウェーハWの有無や収納姿勢(ウェーハWが左右で異なる高さのスロット34に保持されて傾いていないか否か)を順次検出することができる。こうして、FOUP3内の全てのスロット34に関して、ウェーハWの有無や収納姿勢に関する情報(搬送対象物検出情報)を得ることができる。
【0047】
また、本実施形態におけるセンシング処理は、マッパーM2をマッピング位置(P1)に位置付けた状態でセンサSにより、FOUP3の内部空間3Sの環境雰囲気に関する情報を検知(測定、取得)する処理である。
【0048】
本実施形態に係るロードポート1は、制御部1Cから各部、各機構に駆動指令を与えることで所定の動作を実行する。制御部1Cは、記憶部と、ROMと、RAMと、I/Oポートと、CPUと、外部の表示装置(不図示)等との間でのデータの入出力を行う入出力インタフェース(IF)と、これらを相互に接続して各部の間で情報を伝達するバスとを備えた構成を有する。
【0049】
記憶部には、このロードポート1で実行される処理の種類に応じて、制御手順(動作シーケンス)が記憶されている。つまり、この記憶部には、所定の動作プログラムが格納されている。本実施形態におけるプログラムは、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体(ハードディスク等)に実行可能なプログラムとして格納されているものである。
【0050】
ROMは、ハードディスク、EEPROM、フラッシュメモリなどから構成され、CPUの動作プログラムなどを記憶する記録媒体である。RAMは、CPUのワークエリアなどとして機能する。I/Oポートは、例えば、CPUが出力する制御信号を各部、各機構へ出力したり、センサからの情報をCPUに供給する。
【0051】
CPUは、制御部1Cの中枢を構成し、ROMに記憶された動作プログラムを実行する。CPUは、記憶部に記憶されているプログラムに沿ってロードポート1の動作を制御する。
【0052】
次に、本実施形態に係るロードポート1の使用方法(特にマッピング処理方法)及び作用について、動作フローを示す図9等を参照しながら説明する。
【0053】
先ず、搬送室2のうちロードポート1を配置した共通の壁面3Aに沿って延伸する直線上の搬送ライン(動線)で作動するOHT等の搬送容器自動搬送装置によりFOUP3がロードポート1の上方まで搬送され、載置テーブル5上に載置されると、本実施形態に係るロードポート1では、制御部1Cが、着座保持機構6により載置テーブル5上に保持する着座保持処理St1を実行する(図9参照)。本実施形態における着座保持処理St1の具体的な処理は、載置テーブル5上のロック爪61をFOUP3の底面に設けた被ロック部(図示省略)に引っ掛けてロック状態にする処理である。これにより、FOUP3を載置テーブル5上の所定の着座位置に載置して固定することができる。FOUP3が載置テーブル5上に載置された場合、載置テーブル5に設けた位置決め用突起51がFOUP3の位置決め用凹部に嵌まる。載置テーブル5上にFOUP3が載置された直後の状態を図5(a)に示し、着座保持処理St1実行直後の状態を同図(b)に模式的に示す。なお、本実施形態では、搬送室2の幅方向に3台並べて配置したロードポート1の載置テーブル5にそれぞれFOUP3を載置することが可能であり、載置テーブル5上の所定位置にFOUP3が載置されているか否かを検出する着座センサ(図示省略)を設けることもできる。
【0054】
着座保持処理St1に続いて、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、牽引機構7により載置テーブル5を着座位置から搬送対象物受渡位置までフレーム4に向かって後退させる(後方牽引処理St2)。この後方牽引処理St2により、予め全閉位置で待機させているロードポートドア8にFOUPドア33を連結(ドッキング)して密着状態で保持することができる。本実施形態では、上述のロードポートドア8に設けた係合部81を用いて当該ロードポートドア8にFOUPドア33を連結(吸着)して密着状態で保持するように構成している。後方牽引処理St2実行直後の状態を図5(c)に模式的に示す。なお、図5(b),(c)では、それぞれ図5(a),(b)と比較して変化のあったパーツにのみ符号を付しており、その他のパーツには符号を付していない。しかしながら、図5(b),(c)において符号を付していないパーツであっても図5(a)に基づいて省略されている符号を容易に特定することができる。
【0055】
本実施形態のロードポート1では、載置テーブル5上の着座位置にFOUP3が載置された時点で、制御部1Cが、載置テーブル5に設けた例えば加圧センサをFOUP3の底面部が押圧したことを検出し、これをきっかけに、制御部1Cが、載置テーブル5に設けたボトムパージ注入用ノズル及びボトムパージ排出用ノズルを載置テーブル5の上面よりも上方へ進出させる駆動命令(信号)を与える。その結果、これら各ノズル(ボトムパージ注入用ノズル、ボトムパージ排出用ノズル)をFOUP3の注入口(注入用ポート)と排出口(排気用ポート)にそれぞれ連結し、パージ処理を実行可能な状態になる。
【0056】
そして、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが駆動命令を発して、FOUP3の内部空間3Sに対してパージ処理St3を実行する。このパージ処理St3は、注入口を介してボトムパージ注入用ノズルからFOUP3の内部空間3Sに所定の環境ガスを供給し、それまでFOUP3の内部空間3Sに滞留していた気体を、排出口を介してボトムパージ排出用ノズルから排出する処理である。このパージ処理St3によって、FOUP3の内部空間3Sを環境ガスで満たして、FOUP3内の水分濃度及び酸素濃度をそれぞれ所定値以下にまで短時間で低下させてFOUP3内における搬送対象物Wの周囲環境を低湿度環境及び低酸素環境にすることができる。
【0057】
なお、載置テーブル5上に載置されるよりも前の時点で予めパージ処理が施されているFOUP3を適用することが可能であり、このようなFOUP3に対してパージ処理St3を実行してもよいし、パージ処理St3を実行しないという選択も可能である。
【0058】
引き続いて、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、連結切替機構82により、FOUPドア33とFOUP本体32との係合状態を解除してFOUPドア33をFOUP本体32から取り外し可能なアンラッチ状態にする処理(アンラッチ処理St4)を行う。
【0059】
アンラッチ処理St4に続いて、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、ドア開閉機構9によりロードポートドア8を全閉位置からドア開放位置まで後方へ移動させて、フレーム4の開口部41を開状態にする処理(ドア開放処理St5)を実行する。具体的には、制御部1Cが、ドア開閉機構9によりロードポートドア8を全閉位置からドア開放位置まで上述の水平経路に沿って所定距離移動させる。この際、ロードポートドア8は、係合部81によってFOUPドア33を一体的に保持したまま移動する。したがって、ドア開放処理St5により、FOUP3の搬出入口31もフレーム4の開口部41と同様に開状態になる。ドア開放処理St5実行直後の状態を図6(d)に模式的に示す。
【0060】
次いで、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、マッピング機構Mによりマッピング処理St6を行う。本実施形態におけるマッピング処理St6は、ドア開閉機構9によりロードポートドア8をドア開放位置から所定距離下方へ移動させて(図6(e)参照)、引き続き、マッピング不能位置(P2)にあるマッパーM2を傾動機構M4によりマッピング位置(P1)に移動させて、マッピングセンサM1がFOUP3内における最上段のスロット34の少し上側に配置される高さ位置(マッピング開始高さ位置)にマッパーM2を位置付け(図6(f)参照)、ドア開閉機構9によりロードポートドア8をドア開放位置から全開位置に向かって下方へ移動させると、マッピング機構M全体も下方へ移動する(図7(g)参照)。これにより、マッパーM2は、前後位置をマッピング位置(P1)に維持したまま第1マッピング開始高さ位置から最下段のスロット34よりも低い位置(マッピング終了高さ位置)まで移動する。制御部1Cは、以上の手順を経て、マッピングセンサM1同士の間に形成されている信号経路が遮られるか否かを検出し、スロット34ごとにウェーハWの有無や収納姿勢に関する情報(搬送対象物検出情報)を得るマッピング処理St6を実行する。マッピング処理St6によって得られる搬送対象物検出情報の結果によって、FOUP3内における搬送対象物であるウェーハ3の収容状況、具体的には、スロット34にはウェーハWが収容されているか否か、収容されているウェーハが正常姿勢であるか否かという状況を特定することができる。
【0061】
そして、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、マッピング機構Mによるマッピング処理St6と同時にまたは時間差でセンサSによるセンシング処理St7を行う。具体的には、マッパーM2をマッピング位置(P1)に移動させた時点以降、マッピングアームM3の上枠部M31に設けたセンサSは、FOUP3の内部空間3Sに位置付けられ(図6(f)参照)、このセンサ1によって、FOUP3の内部空間3Sの環境雰囲気に関する情報を検出することができる。本実施形態では、センサSとして、酸素濃度計と温度計を適用しているため、センシング処理St7によってFOUP3の内部空間3Sの酸素濃度と温度を測定することができる。
【0062】
本実施形態に係るロードポート1では、マッパーM2をマッピング終了高さ位置まで下降させた時点で、制御部1CがマッパーM2をマッピング位置(P1)からマッピング不能位置(P2)に移動させて(図7(h)参照)、引き続き、ドア開閉機構9によりロードポートドア8を全開位置まで下降させる処理を実行する。これにより、マッピング機構Mは、全開位置へ移動するロードポートドア8と共に下方へ移動する(図7(i)参照)。本実施形態に係るロードポート1では、制御部1Cが、マッピング処理の検知結果に基づいてウェーハWが正常に収容されていることを特定した場合、載置テーブル5上のFOUP3から搬送対象物(ウェーハW)を搬送ロボット21によって順次所定の搬送先(処理室R(具体的にはロードロック室)、バッファステーション、アライナ等)へ搬送する処理を実行する。
【0063】
一方、マッピング処理St6の検知結果に基づいてウェーハWが正常に収容されていないことを特定した場合、載置テーブル5上のFOUP3は、搬送容器自動搬送装置によって載置テーブル5から他のスペースへ移載され、新たなFOUP3が搬送容器自動搬送装置によって載置テーブル5上に載置され、上述の動作シーケンスを経る。
【0064】
以上に述べた本実施形態に係るロードポート1によれば、FOUP3内の各スロット34における搬送対象物(ウェーハW)の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構Mを用いて、FOUP3の内部空間3Sの環境雰囲気に関する情報を検知するセンシング処理St7を実行することが可能である。特に、本実施形態に係るロードポート1によれば、底部にパージ用ポート(注入用ポート、排気用ポート)を備えたFOUP3に対してパージ処理の実施・不実施を問わず、FOUP3の内部空間3Sの環境雰囲気に関する情報を測定することができ、パージ処理を実施しなくてもよいFOUP3に対してもマッピング機構Mに設けたセンサSによって内部空間3Sの環境雰囲気に関する情報を測定することで、タクトタイムの短縮化を図ることが可能である。
【0065】
さらに、本実施形態に係るロードポート1によれば、底部にパージ用ポートを備えていないFOUP(図示省略)に対してもその内部空間の環境雰囲気に関する情報をマッピング機構Mに設けたセンサSによって検知することが可能になる。
【0066】
加えて、本実施形態に係るマッピング処理方法であれば、マッパーM2をマッピング位置(P1)に位置付けた状態で行うマッピング処理St6と同時または時間差でFOUP3の内部空間3Sの環境雰囲気に関する情報を検知するセンシング処理St7を実行することで、パージ用ポート(注入用ポート、排気用ポート)の有無に左右されることなくFOUP3の内部空間3Sの環境雰囲気に関する情報を測定することができるとともに、マッピング処理St6と同時にセンシング処理St7を実行することで、パージ処理を実施しなくてもよいFOUP3に関して、当該FOUP3の内部空間3Sの環境雰囲気に関する情報を測定するためにパージ処理を敢えて実施しなければならない態様と比較してタクトタイムの短縮化を実現することができ、半導体製造における稼働率向上を図ることができる。
【0067】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、センサとして、酸素濃度計、温度計を例示したが、湿度計を適用することもできる。また、センサの個数や種類は適宜選択・変更することができる。
【0068】
センサは、マッピングセンサのうち搬送容器の内部空間に進入可能な部位に設けられたものであればよく、マッピングアームの上枠部M31とは異なる箇所、例えば上枠部M31の両端からそれぞれ下方に延在する左右一対の側枠部M32のうち上端部側の箇所や、マッパーに設けられたものであってもよい。
【0069】
また、センサによるセンシング処理を、搬送容器の開口部が開状態になった時点から搬送容器の開口部が閉状態になる時点までの間において、所定時間(例えば搬送容器の開口部を開状態にした直後から閉状態にする直前までの間)継続して実行したり、適宜のタイミングで断続的に実行することも可能である。
【0070】
センサが酸素濃度計である場合、パージ処理実行中に酸素濃度計による測定値が閾値以下になったことをきっかけにパージ処理を終了するように構成することも可能である。
【0071】
センサによって、ウェーハからのアウトガスを測定するように設定してもよい。あるいは、センサによって、アンモニア、シラン、臭素等を測定するように設定することもできる。
【0072】
マッパーをマッピング位置に位置付けて実行するマッピング処理と、センサによるセンシング処理の順番は適宜変更することができる。
【0073】
上述の実施形態では、マッピング機構のマッピング移動部(マッピングアーム)が、ドア開閉機構によりロードポートドアと共に前後方向及び上下方向に動作し、且つドア開閉機構とは独立に動作する条件を満たすものを例示したが、これら何れか一方の条件を満たすものであってもよい。例えば、マッピング移動部を前後方向へ水平移動させるスライド機構を備え、スライド機構によってマッパーをマッピング位置とマッピング不能位置の間で前後移動させるように構成したマッピング機構を適用したり、ドア開閉機構とは別の移動機構によってマッピング機構を高さ方向に移動させる構成を採用することすることができる。また、マッピング機構は、ドア開閉機構によってフレームの開口部を開状態にした状態においてマッピング処理を実施可能なものであればよく、本発明における「フレームの開口部を開状態にした状態」とは、上述の実施形態においてロードポートドアをドア開放位置に位置付けた状態と、全開位置に位置付けた状態の両方を包含する概念である。
【0074】
また、本発明では、マッピング機構として、先端部にマッピングセンサを有するマッパーと、マッパーの基端部または基端部近傍を水平または略水平に旋回可能に支持し且つ開状態にあるフレームの開口部を通じて搬送容器(FOUP)に搬送対象物が収容されていることをマッピングセンサで検知可能なマッピング位置にマッパーを移動させるマッピング移動部とを備えたものを適用することができる。この場合、例えばマッピング移動部は、マッピングセンサの旋回中心となる左右一対の旋回軸と、旋回軸を適宜正逆方向に同期回転させる駆動部と、旋回軸及び駆動部の少なくとも一部または全部を収容するハウジングとを備え、ハウジングをロードポートドアの適宜箇所に取り付けた構成にして、マッパーを、マッピング位置とマッピング不能位置の間で旋回軸周りに移動可能に設定することができる。このような構成であれば、上述の実施形態におけるマッピングアームや傾動機構が不要であり、センサをマッピング機構のうち搬送容器の内部空間に進入可能な適宜の位置に設けることで上述と同様の作用効果を得ることができる。
【0075】
また、ロードポートがマッピング機構を備えていない構成である場合、例えば搬送容器内にアクセス可能となるように搬送室に本発明に係るマッピング機構を設け、このマッピング機構のうち搬送容器の内部空間に進入可能な適宜の位置にセンサ(搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知可能なセンサ)を設けたり、搬送室に設けられたロボットがマッピング機構を備えたものである場合に当該ロボットの適宜の位置にセンサ(搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知可能なセンサ)を設けることもできる。
【0076】
本発明であれば、マッピング機構によるマッピング処理を実施しながら搬送容器内の環境雰囲気に関する情報をセンサで検知することで、搬送容器内における温度や酸素濃度の分布を調べる(把握、特定)ことも可能である。さらには、搬送容器の内部空間が開放された時点(搬送容器が有するドアを開放した時点)または搬送容器の内部空間が開放された直後(搬送容器が有するドアを開放した直後)におけるセンサ(搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知可能なセンサ)によるセンシング情報に応じて、搬送容器の内部空間を開放した状態で行うボトムパージ処理時間を制御部が決定するように構成することもできる。このように、搬送容器が有するドアを開放した時点又は開放した直後の搬送用器内の環境雰囲気の状況に応じてボトムパージ処理時間を調整・変更することができ、ボトムパージ処理に要する環境ガス(パージ用気体)を効率良く使用して、例えば搬送容器内の環境雰囲気の状態に悪影響を与えない範囲でボトムパージ処理時間を所定時間よりも短縮することで環境ガスの無駄使いを回避することが可能である。
【0077】
また搬送容器をストックすることを主目的とするストッカ台や、搬送容器の入替を主目的とするソータ装置等の搬送容器載置装置にマッピング機構を設け、このマッピング機構のうち搬送容器の内部空間に進入可能な適宜の位置にセンサ(搬送容器内の環境雰囲気に関する情報を検知可能なセンサ)を設けることもできる。
【0078】
本発明における「搬送容器」は、FOUPに限定されず、FOUP以外の容器、例えばカセット等も本発明の搬送容器に含まれる。
【0079】
本発明に係るロードポートは、EFEMの一部を構成するものとして使用可能であることは上述した通りであり、EFEM以外の搬送装置に適用することもできる。
【0080】
上述した実施形態では、搬送対象物としてウェーハを例示したが、搬送対象物が、レティクル、液晶搬送対象物、ガラス搬送対象物、カルチャープレート、培養容器、ディッシュ、或いはシャーレ等であってもよい。
【0081】
上述の実施形態では、ロードポートが制御部を備え、ロードポートドアの移動等、各部の作動を制御部が司る態様を例示したが、ロードポートの上位の装置(上述の実施形態であればEFEM、あるいは処理室)の作動を司る制御部(上位コントローラである上述のEFEM全体の制御部や処理室の制御部)によって、ロードポートの作動も司るように構成することも可能である。
【0082】
また、上述の制御部は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(フレキシブルディスク、CD-ROMなど)から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する制御部を構成することができる。そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS)に当該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。
そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
【0083】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1…ロードポート
1C…制御部
4…フレーム
41…開口部
3…FOUP
5…載置テーブル
8…ロードポートドア
9…ドア開閉機構
M…マッピング機構
W…搬送対象物(ウェーハ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9