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2022-17021風車ブレードの誘雷装置および風力発電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017021
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】風車ブレードの誘雷装置および風力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/30 20160101AFI20220118BHJP
【FI】
F03D80/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120074
(22)【出願日】2020-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500433225
【氏名又は名称】学校法人中部大学
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】塩田 和則
(72)【発明者】
【氏名】山本 和男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 則雄
(72)【発明者】
【氏名】谷山 賀浩
(72)【発明者】
【氏名】大迫 俊樹
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB43
3H178CC02
3H178DD70X
(57)【要約】      (修正有)
【課題】落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレードの破損を抑制することができる風車ブレードの誘雷装置を提供する。
【解決手段】実施の形態による風車ブレード12の誘雷装置30は、風力発電装置の風車ブレード12に設置される。風車ブレード12は、受雷部14と、受雷部14を電気的に接地する金属導線15と、受雷部14よりも先端側に設けられた水抜き穴16と、を含んでいる。風車ブレード12の誘雷装置30は、受雷部14に落雷電流を誘導する。風車ブレード12の誘雷装置30は、風車ブレード12の圧力面および負圧面13bのうちの少なくとも一方に設けられ、落雷電流の誘導経路を形成する第1導電帯31を備えている。第1導電帯31は、受雷部14の側から水抜き穴16に向かって延びている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受雷部と、前記受雷部を電気的に接地する金属導線と、前記受雷部よりも先端側に設けられた水抜き穴と、を含む、風力発電装置の風車ブレードに設置され、前記受雷部に落雷電流を誘導する風車ブレードの誘雷装置であって、
前記風車ブレードの圧力面および負圧面のうちの少なくとも一方に設けられ、前記落雷電流の誘導経路を形成する第1導電帯を備え、
前記第1導電帯は、前記受雷部の側から前記水抜き穴に向かって延びている、風車ブレードの誘雷装置。
【請求項2】
前記第1導電帯の先端は、前記水抜き穴よりも前記受雷部の側に位置する、請求項1に記載の風車ブレードの誘雷装置。
【請求項3】
前記第1導電帯は、前記第1導電帯の延びる方向に隙間を介して配列された複数の導電片を含む、請求項1に記載の風車ブレードの誘雷装置。
【請求項4】
前記風車ブレードの前記圧力面および前記負圧面のうちの前記第1導電帯が設けられた面に設けられ、前記落雷電流の誘導経路を形成する第2導電帯および第3導電帯を更に備え、
前記第2導電帯は、前記受雷部よりも前記風車ブレードの先端とは反対側で前記風車ブレードの前縁に沿うように、前記受雷部の側から延び、
前記第3導電帯は、前記受雷部よりも前記風車ブレードの先端とは反対側で前記風車ブレードの後縁に沿うように、前記受雷部の側から延びる、請求項1~3のいずれか一項に記載の風車ブレードの誘雷装置。
【請求項5】
前記風車ブレードの中空部のうち前記風車ブレードの前記後縁の側の部分に充填部が設けられ、
前記充填部は、前記風車ブレードの前記前縁の側に位置する充填部前縁を含み、
前記第3導電帯は、前記充填部前縁に沿うように位置する、請求項4に記載の風車ブレードの誘雷装置。
【請求項6】
前記風車ブレードは、互いに異なる構造材料で形成された2つの部分を区分けする異種材料境界を含み、
前記第3導電帯は、前記異種材料境界に沿うように位置する、請求項4に記載の風車ブレードの誘雷装置。
【請求項7】
前記風車ブレードは、前記風車ブレードを構成する構造材料の厚みが変化する構造材料厚み境界を含み、
前記第3導電帯は、前記構造材料厚み境界に沿うように位置する、請求項4に記載の風車ブレードの誘雷装置。
【請求項8】
前記風車ブレードの前記圧力面および前記負圧面のうちの前記第3導電帯が設けられた面に設けられ、前記落雷電流の誘導経路を形成する第4導電帯を更に備え、
前記第4導電帯は、前記受雷部よりも前記風車ブレードの先端とは反対側で、前記風力発電装置の前方から見たときに前記金属導線と前記第3導電帯との間に位置する、請求項4~7のいずれか一項に記載の風車ブレードの誘雷装置。
【請求項9】
前記第2導電帯は、前記風力発電装置の前方から見たときに前記金属導線と前記風車ブレードの前記前縁との中間位置に位置する、請求項4~8のいずれか一項に記載の風車ブレードの誘雷装置。
【請求項10】
前記第2導電帯から前記風車ブレードの前記後縁に向かって延びる第1補助導電帯を更に備え、
前記第1補助導電帯の先端は、前記風力発電装置の前方から見たときに、前記金属導線よりも前記風車ブレードの前記前縁の側に位置する、請求項4~9のいずれか一項に記載の風車ブレードの誘雷装置。
【請求項11】
前記第3導電帯から前記風車ブレードの前記前縁に向かって延びる第2補助導電帯を更に備え、
前記第2補助導電帯の先端は、前記風力発電装置の前方から見たときに、前記金属導線よりも前記風車ブレードの前記後縁の側に位置する、請求項4~10のいずれか一項に記載の風車ブレードの誘雷装置。
【請求項12】
前記第2導電帯から前記風車ブレードの前記前縁に向かって延びる第1補助導電帯を更に備えた、請求項4~9のいずれか一項に記載の風車ブレードの誘雷装置。
【請求項13】
前記第3導電帯から前記風車ブレードの前記後縁に向かって延びる第2補助導電帯を更に備えた、請求項4~9および12のいずれか一項に記載の風車ブレードの誘雷装置。
【請求項14】
受雷部と、前記受雷部を電気的に接地する金属導線と、前記受雷部よりも先端側に設けられた水抜き穴と、を含む、複数の風車ブレードと、
前記風車ブレードに設置された請求項1~13のいずれか一項に記載の風車ブレードの誘雷装置であって、前記受雷部に落雷電流を誘導する風車ブレードの誘雷装置と、を備えた、風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、風車ブレードの誘雷装置および風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギを利用した発電方式のうち風力発電は、比較的大きな発電容量を有しており、地球温暖化対策に貢献できる発電方式の一つとして注目されている。現在では、集合型風力発電所(ウィンドファーム)が建設されおり、大型の風力発電装置が主流となりつつある。例えば、風車ブレードの先端の地上高さが180mを超える風力発電装置も知られている。風車ブレードは、軽量化の観点から、ガラス繊維強化プラスチックなどの材料を用いて、中空構造を有するように形成されている。
【0003】
風車ブレードの破損原因としては、落雷を原因とした破損が最も多い。具体的には、風況が良好な地点では、落雷被害を受けやすい。このため、風力発電装置の大型化につれて風車ブレードが破損する被害が増加している。
【0004】
風車ブレードが雷撃を受けた場合、風力発電装置の発電を停止するだけでなく、風車ブレードの破損箇所の修理が必要な場合は長期の運転停止を余儀なくされる。このため、風車ブレードの耐雷性能の向上が問題となっている。雷撃により、送配電線若しくは通信線への直撃雷という被害、または落雷電流から生じる電磁波による誘導雷という被害が想定されるが、最も深刻な被害は、風車ブレードへの直撃雷による被害である。
【0005】
従来の風車ブレードの表面には、雷撃保護装置として、風車ブレードに金属製の受雷部が設けられている。受雷部は、金属導線を介して大地に電気的に接地されている。金属導線は、風車ブレードの中空部に位置しており、風車ブレードに固定されている。受雷部に落雷させることにより、風車ブレードに着雷させないようにしている。
【0006】
しかしながら、風車ブレードの軽量化のために、受雷部は、風車ブレードに多く設けることができない。このため、落雷を受雷部で受けることができない場合があり、落雷の捕捉率が低いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-100658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレードの破損を抑制することができる風車ブレードの誘雷装置および風力発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施の形態による風車ブレードの誘雷装置は、風力発電装置の風車ブレードに設置される。風車ブレードは、受雷部と、受雷部を電気的に接地する金属導線と、受雷部よりも先端側に設けられた水抜き穴と、を含んでいる。風車ブレードの誘雷装置は、受雷部に落雷電流を誘導する。風車ブレードの誘雷装置は、風車ブレードの圧力面および負圧面のうちの少なくとも一方に設けられ、落雷電流の誘導経路を形成する第1導電帯を備えている。第1導電帯は、受雷部の側から水抜き穴に向かって延びている。
【0010】
また、実施の形態による風力発電装置は、複数の風車ブレードと、風車ブレードに設置された上述の風車ブレードの誘雷装置と、を備えている。風車ブレードは、受雷部と、受雷部を電気的に接地する金属導線と、受雷部よりも先端側に設けられた水抜き穴と、を含んでいる。風車ブレードの誘雷装置は、受雷部に落雷電流を誘導する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレードの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1の実施の形態における風力発電装置を示す側面図である。
図2図2は、図1の正面図である。
図3図3は、図2の風車ブレードに設けられた誘雷装置を示す部分拡大正面図である。
図4図4は、図3のA-A線断面図である。
図5図5は、図3の導電帯を示す拡大平面図である。
図6図6は、図5のB-B線断面図である。
図7図7は、図5の導電帯に落雷した落雷電流の流れを説明するための図である。
図8図8は、第2の実施の形態における誘雷装置を示す図であって、図3のC-C線断面に相当する断面図である。
図9図9は、第3の実施の形態における誘雷装置を示す図であって、図3のC-C線断面に相当する断面図である。
図10図10(a)は、図9の異種材料境界の一例を示す部分拡大断面図であり、図10(b)は、図9の異種材料境界の他の一例を示す部分拡大断面図である。
図11図11は、第4の実施の形態における誘雷装置を示す正面図である。
図12図12(a)は、第4導電帯が設けられていない場合における落雷の様子を示す正面図であり、図12(b)は、第4導電帯が設けられている場合における落雷の様子を示す正面図である。
図13図13は、図11の誘雷装置における落雷電流の通電経路を説明するための図であって、図3のA-A線断面に相当する断面図である。
図14図14は、落雷電流の時間波形の一例を示すグラフである。
図15図15は、図13の通電経路に対応する等価回路図である。
図16図16は、第5の実施の形態における誘雷装置を示す正面図である。
図17図17は、第6の実施の形態における誘雷装置を示す正面図である。
図18図18は、第7の実施の形態における誘雷装置を示す正面図である。
図19図19(a)は、補助導電帯が設けられていない場合における落雷の様子を示す正面図であり、図19(b)は、補助導電帯が設けられている場合における落雷の様子を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態による風車ブレードの誘雷装置および風力発電装置について説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1図7を用いて、本実施の形態における風車ブレードの誘雷装置および風力発電装置について説明する。ここではまず、図1および図2を用いて、本実施の形態における風力発電装置の一例について説明する。
【0015】
図1および図2に示すように、風力発電装置1は、風車用回転翼10と、ナセル2と、避雷針3と、タワー4と、を備えている。
【0016】
風車用回転翼10は、ナセル2の水平方向に延びる中心軸線を中心にして回転可能になっている。風車用回転翼10は、風を受けると回転する。風車用回転翼10は、図2に示すように、前方から見たときに時計回りの方向に回転するように構成されているが、風車用回転翼10の回転方向はこれに限られることはない。
【0017】
ナセル2には、図示しない発電機が収納されており、風車用回転翼10の回転によって発電を行う。また、図示しないが、ナセル2には、風車用回転翼10の回転を停止させるブレーキと、風車用回転翼10の回転角(または回転位置)を検出する回転センサが収納されている。
【0018】
図1に示すように、避雷針3は、ナセル2の上面に取り付けられている。避雷針3は、ナセル2およびナセル2内の発電機を落雷から保護することを意図しているが、風車用回転翼10の後述する風車ブレード12を落雷から保護することは意図していない。
【0019】
タワー4は、地面から起立してナセル2を支持している。ナセル2は、タワー4に対して、鉛直方向に延びる軸を中心に回転可能になっている。風車用回転翼10は、ナセル2を介してタワー4に支持されている。
【0020】
図1および図2に示すように、風車用回転翼10は、発電機に連結されたハブ11と、ハブ11に連結された3つの風車ブレード12と、を含んでいる。ハブ11と各風車ブレード12は一体に回転するように形成されている。なお、風車ブレード12の個数は3つに限られることはなく、任意である。
【0021】
図3および図4に示すように、風車ブレード12は、ブレード本体13と、受雷部14と、金属導線15と、水抜き穴16と、を含んでいる。
【0022】
ブレード本体13は翼型形状を有している。ブレード本体13の一方の面は圧力面13aとして構成され、他方の面は負圧面13bとして構成されている。図3においては、負圧面13bが示されている。図4においては、圧力面13aが下側に示され、負圧面13bが上側に示されている。
【0023】
図3に示すように、ブレード本体13は、前縁17と、後縁18と、を含んでいる。前縁17は、図2に示すように、風車用回転翼10の回転方向の進行側に位置しており、後縁18は、回転方向とは反対側に位置している。図4に示すように、ブレード本体13は、中空部19を有しており、ガラス繊維強化プラスチックなどの絶縁性を有する材料で形成されている。
【0024】
ブレード本体13は、圧力面13aの側に位置する圧力面側ブレード部分13cと、負圧面13bの側に位置する負圧面側ブレード部分13dとが突き合わされることにより形成されている。上述したブレード本体13の前縁17および後縁18は、圧力面側ブレード部分13cと負圧面側ブレード部分13dとが突き合わされた箇所に相当している。圧力面側ブレード部分13cと負圧面側ブレード部分13dとは、接着剤で貼り合わされている。中空部19には梁材13e(図8参照)が設けられており、梁材13eが、圧力面側ブレード部分13cと負圧面側ブレード部分13dとに接続されている。
【0025】
受雷部14は、ブレード本体13のうち先端側領域に設けられている。図4に示すように、受雷部14は、圧力面側ブレード部分13cおよび負圧面側ブレード部分13dにそれぞれ埋設されている。圧力面側ブレード部分13cに埋設された受雷部14は、圧力面13aから露出している。圧力面13aと受雷部14の表面とは実質的に連続した面をなしている。同様に、負圧面側ブレード部分13dに埋設された受雷部14は、負圧面13bから露出している。負圧面13bと受雷部14の表面とは実質的に連続した面をなしている。受雷部14は、導電性を有する金属材料を用いて円板状に形成されている。受雷部14は、レセプターと呼ばれることもある。
【0026】
ここで、受雷部の種類について説明する。一般に、受雷部には、複数のタイプがある。例えば、チップタイプとロッドタイプとディスクタイプとが挙げられる。チップタイプの受電部は、風車ブレード12の先端部の表面なす中実状の金属材料で形成された部材として構成されている。チップタイプの受電部は、風車ブレード12の先端を含む比較的広い領域で、金属材料を露出させている。ロッドタイプでは、後述する金属導線15の先端に、金属材料で形成されたロッドのような部材が風車ブレード12の先端まで延びており、この部材が風車ブレード12の先端で外部に露出されている。本実施の形態における受雷部14は、ディスクタイプのレセプターである。ディスクタイプでは、金属導線15の先端に、後述する接続部材20を介して円板状の受雷部14が接続されており、受雷部14が外部に露出されている。
【0027】
圧力面側ブレード部分13cに設けられた受雷部14と、負圧面側ブレード部分13dに設けられた受雷部14とは、接続部材20で接続されている。接続部材20は、導電性を有する金属材料を用いて形成されている。
【0028】
金属導線15は、接続部材20に接続されている。金属導線15は、地面に電気的に接地されており、接続部材20を介して受雷部14を電気的に接地している。金属導線15は、ブレード本体13の中空部19に位置している。図3に示すように、風力発電装置1の前方から見たときには、金属導線15は、ブレード本体13の前縁17と後縁18との中間位置に位置しており、梁材13e(図8参照)に固定されている。金属導線15は、ダウンコンダクタと称する場合もある。
【0029】
水抜き穴16は、ブレード本体13のうち受雷部14よりも先端13tの側に設けられている。すなわち、水抜き穴16は、ブレード本体13の先端13tの近傍に位置している。水抜き穴16は、圧力面側ブレード部分13cおよび負圧面側ブレード部分13dにそれぞれ形成されている。水抜き穴16から中空部19内の水が外部に排出可能になっている。水抜き穴16の平面形状は、円形であってもよい。
【0030】
次に、本実施の形態による風車ブレードの誘雷装置(以下、単に誘雷装置30と記す)について、図3図6を用いて説明する。誘雷装置30は、風車ブレード12に設置され、受雷部14に落雷電流を誘導するための装置である。
【0031】
図3および図4に示すように、本実施の形態による誘雷装置30は、第1導電帯31と、第2導電帯32と、第3導電帯33と、を備えている。第1導電帯31、第2導電帯32および第3導電帯33は、ブレード本体13の圧力面13aおよび負圧面13bのそれぞれに設けられている。各導電帯31~33は、受雷部14への落雷電流の誘導経路を形成している。圧力面13aに設けられた各導電帯31~33と、負圧面13bに設けられた各導電帯31~33は、実質的に同一に構成されている。ここでは代表的に、負圧面13bに設けられた各導電帯31~33について説明し、圧力面13aに設けられた各導電帯31~33についての説明は省略する。
【0032】
図3に示すように、第1導電帯31は、受雷部14の側から水抜き穴16に向かって延びている。第1導電帯31は、水抜き穴16の近傍から受雷部14への落雷電流の誘導経路を形成している。本実施の形態においては、第1導電帯31の先端は、水抜き穴16よりも受雷部14の側に位置している。すなわち、第1導電帯31の先端は、水抜き穴16の近傍に位置しており、第1導電帯31の先端と水抜き穴16とは離間している。
【0033】
第2導電帯32は、受雷部14よりもブレード本体13の先端13tとは反対側(または基端側)でブレード本体13の前縁17に沿うように、受雷部14の側から延びている。本実施の形態では、第2導電帯32は、前縁17の近傍から受雷部14への落雷電流の誘導経路を形成している。
【0034】
より具体的には、第2導電帯32は、ブレード本体13の前縁17に沿うように位置する第2導電帯本体部32aと、第2導電帯本体部32aから受雷部14に向かって延びる第2導電帯接続部32bと、を含んでいる。第2導電帯本体部32aは、受雷部14よりもハブ11の側に位置している。本実施の形態による第2導電帯本体部32aは、前縁17の近傍に位置している。第2導電帯本体部32aと第2導電帯接続部32bは、後述する絶縁層41が連続状に一体に形成されている。この絶縁層41上に、後述する導電片40が隙間を介して配列されている。第2導電帯接続部32bは、湾曲状に形成されており、落雷電流の滑らかな誘導経路を形成している。
【0035】
第3導電帯33は、受雷部14よりもブレード本体13の先端13tとは反対側でブレード本体13の後縁18に沿うように、受雷部14の側から延びている。本実施の形態では、第3導電帯33は、後縁18の近傍から受雷部14への落雷電流の誘導経路を形成している。
【0036】
より具体的には、第3導電帯33は、ブレード本体13の後縁18に沿うように位置する第3導電帯本体部33aと、第3導電帯本体部33aから受雷部14に向かって延びる第3導電帯接続部33bと、を含んでいる。第3導電帯本体部33aは、受雷部14よりもハブ11の側に位置している。本実施の形態による第3導電帯本体部33aは、後縁18の近傍に位置している。第3導電帯本体部33aと第3導電帯接続部33bは、後述する絶縁層41が連続状に一体に形成されている。この絶縁層41上に、後述する導電片40が隙間を介して配列されている。第3導電帯接続部33bは、湾曲状に形成されており、落雷電流の滑らかな誘導経路を形成している。
【0037】
図5および図6に示すように、第1導電帯31、第2導電帯32および第3導電帯33はそれぞれ、複数の導電片40と、絶縁層41と、を含んでいる。絶縁層41上に、複数の導電片40が固定されている。導電片40は、高融点の金属材料で形成されていてもよい。導電片40は、板状に形成されていてもよい。導電片40の平面形状は、図5に示すように矩形状であってもよいが、これに限られることはなく、任意である。導電片40は、例えば接着剤を用いて絶縁層41に接着されていてもよい。複数の導電片40は、対応する導電帯31~33の延びる方向に隙間g1を介して配列されている。絶縁層41上に、複数の導電片40が配列されて固定されていることにより、各導電帯31~33が構成されている。各導電帯31~33の絶縁層41は、例えば接着剤を用いてブレード本体13に接着されていてもよい。絶縁層41上に複数の導電片40を予め接着しておき、その後に絶縁層41をブレード本体13に接着してもよい。隙間g1は、互いに隣り合う導電片40の間でアーク放電しやすくするために、小さいことが好ましい。一方、導電片40同士がアーク放電によって溶着することを避けるために、ある程度大きいことが好ましい。例えば、隙間g1は、1mm以上5mm以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下であることがより好ましい。
【0038】
図5に示すように、第1導電帯31の複数の導電片40のうち最も受雷部14の側に位置する導電片40は、受雷部14に対して所定の隙間g2を介して配置されている。この隙間g2は、例えば、上述した隙間g1と等しくてもよい。第2導電帯32および第3導電帯33についても同様である。
【0039】
第1導電帯31を構成する絶縁層41のうち受雷部14の側に位置する基端は、受雷部14と接していてもよく、あるいは離間していてもよい。第2導電帯32および第3導電帯33についても同様である。
【0040】
第1導電帯31を構成する複数の導電片40のうち最も水抜き穴16の側に位置する導電片40は、水抜き穴16に対して所定の隙間g3を介して配置されている。隙間g3は、上述した隙間g1より大きくてもよい。隙間g3は、落雷の捕捉率を高めるために、小さいことが好ましい。一方、水抜き穴16から排出される水によって腐食することを防止するためには、ある程度大きいことが好ましい。例えば、隙間g3は、10mm以上100mm以下であることが好ましく、10mm以上50mm以下であることがより好ましい。また、第1導電帯31を構成する絶縁層41のうち水抜き穴16の側に位置する端は、水抜き穴16に対して所定の隙間g4を介して配置されている。隙間g4は、隙間g3よりも小さくてもよい。
【0041】
次に、このような構成からなる本実施の形態による誘雷装置30が設置された風車ブレード12に落雷が発生した場合について説明する。
【0042】
一般的に、雷雲から風車ブレード12に向かって落雷ストリーマは、ブレード本体13の先端側領域に着雷しやすい。この先端側領域は曲率が大きく、先端側領域で電気力線が集中しやすくなっているためである。本実施の形態では、ブレード本体13の先端側領域に位置する受雷部14の周辺に、誘雷装置30を構成する第1導電帯31、第2導電帯32および第3導電帯33が設けられている。ブレード本体13の先端側領域に向かって落雷ストリーマが進展すると、導電帯31~33のいずれかが落雷を捕捉し得る。
【0043】
例えば、図7に示すように、第1導電帯31に落雷ストリーマSが着雷すると、第1導電帯31内で落雷電流Iが受雷部14に向かって誘導される。この場合、落雷電流Iは、互いに隣り合う導電片40の間に形成された隙間g1でアーク放電する。このことにより、落雷電流Iは、エネルギを減衰させながら受雷部14に向かって誘導される。また、最も受雷部14の側に位置する導電片40と受雷部14との間の隙間g2(図5参照)でも落雷電流Iはアーク放電する。落雷電流Iは、受雷部14から接続部材20および金属導線15を通って地面に流れる(後述する図13参照)。第2導電帯32および第3導電帯33についても同様である。
【0044】
ここで、従来では、ブレード本体13の先端側領域のうち先端13tに落雷ストリーマが着雷しやすいと考えられていた。今般、発明者らは、ブレード本体13の先端側領域のうちブレード本体13の先端13tの近傍に位置する水抜き穴16も着雷しやすく、落雷が受雷部14では捕捉されずに水抜き穴16に着雷する事象が多いことを実験によって明らかにした。本実施の形態による第1導電帯31は、水抜き穴16に向かって延びており、第1導電帯31の先端は、水抜き穴16の近傍に位置している。このことにより、水抜き穴16に到達する落雷は、第1導電帯31で捕捉され得る。捕捉された落雷は、第1導電帯31によって受雷部14に誘導される。
【0045】
また、ブレード本体13の先端側領域のうち、前縁17および後縁18も着雷しやすい。本実施の形態による第2導電帯32は、前縁17に沿う位置まで受雷部14の側から延びている。このことにより、前縁17に到達する落雷は、第2導電帯32で捕捉され得る。落雷電流は、第2導電帯32によって受雷部14に誘導される。また、本実施の形態による第3導電帯33は、後縁18に沿う位置まで受雷部14の側から延びている。このことにより、後縁18に到達する落雷は、第3導電帯33で捕捉され得る。落雷電流は、第3導電帯33によって受雷部14に誘導される。
【0046】
このように本実施の形態によれば、誘雷装置30の第1導電帯31は、受雷部14の側から水抜き穴16に向かって延びている。このことにより、着雷しやすい風車ブレード12の水抜き穴16に向かって落雷ストリーマが進展した場合においても、落雷を第1導電帯31で捕捉することができる。この場合、落雷電流を第1導電帯31から受雷部14に誘導することができ、安全に地面に流すことができる。このため、落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレード12の破損(例えば、水抜き穴16の破損)を抑制することができる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、第1導電帯31の先端は、水抜き穴16よりも受雷部14の側に位置している。このことにより、第1導電帯31の先端と水抜き穴16との間に隙間を形成することができる。この場合、水抜き穴16から排出される水によって、第1導電帯31が腐食することを抑制することができる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、第1導電帯31は、隙間を介して配列された複数の導電片40を含んでいる。このことにより、落雷電流が第1導電帯31で誘導されている間に、隙間でアーク放電することができる。このため、落雷電流のエネルギを減衰させることができ、落雷電流を安全に地面に流すことができる。すなわち、落雷電流が受雷部14へ誘導されずにブレード本体13を透過した場合、落雷電流は、中空部19内でアーク放電して金属導線15に到達する。この場合、中空部19内の空気圧がアーク放電の熱によって上昇し、ブレード本体13が破損し得る。しかしながら、本実施の形態によれば、導電片40間の隙間でアーク放電を発生させることにより、落雷電流のエネルギを減衰させることができる。このため、中空部19内でアーク放電が発生することを抑制でき、ブレード本体13が破損することを抑制できる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、第2導電帯32が、受雷部14よりもブレード本体13の先端13tとは反対側で、風車ブレード12の前縁17に沿うように、受雷部14の側から延びている。このことにより、風車ブレード12の前縁17に向かって落雷ストリーマが進展した場合においても、落雷を第2導電帯32で捕捉することができる。この場合、落雷電流を第2導電帯32から受雷部14に誘導することができ、安全に地面に流すことができる。このため、落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレード12の破損を抑制することができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、第3導電帯33が、受雷部14よりもブレード本体13の先端13tとは反対側で、風車ブレード12の後縁18に沿うように、受雷部14の側から延びている。このことにより、風車ブレード12の後縁18に向かって落雷ストリーマが進展した場合においても、落雷を第3導電帯33で捕捉することができる。この場合、落雷電流を第3導電帯33から受雷部14に誘導することができ、安全に地面に流すことができる。このため、落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレード12の破損を抑制することができる。
【0051】
なお、上述した本実施の形態においては、第1導電帯31、第2導電帯32および第3導電帯33が、ブレード本体13の圧力面13aおよび負圧面13bのそれぞれに設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、各導電帯31~33は、ブレード本体13の圧力面13aおよび負圧面13bのいずれか一方に設けられて、他方に設けられていなくてもよい。この場合、第2導電帯32および第3導電帯33は、ブレード本体13の圧力面13aおよび負圧面13bのうちの第1導電帯31が設けられた面に設けられるようにしてもよい。すなわち、第2導電帯32および第3導電帯33は、第1導電帯31が設けられた面と同じ面に設けられる。
【0052】
また、上述した本実施の形態においては、各導電帯31~33が、隙間を介して複数の導電片40を含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、想定される落雷のエネルギによっては、導電帯31~33は、1つの導電片40で連続状に形成されていてもよい。
【0053】
また、上述した本実施の形態においては、第1導電帯31の先端は、水抜き穴16よりも受雷部14の側に位置している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1導電帯31の先端は、水抜き穴16に接していてもよい。あるいは、第1導電帯31は、水抜き穴16を越えて延びて、第1導電帯31の先端が、水抜き穴16よりもブレード本体13の先端13tの側に位置していてもよい。
【0054】
(第2の実施の形態)
次に、図8を用いて、第2の実施の形態による風車ブレードの誘雷装置および風力発電装置について説明する。
【0055】
図8に示す第2の実施の形態においては、第3導電帯が、風車ブレードの中空部に設けられた充填部の前縁に沿うように位置している点が主に異なり、他の構成は、図1図7に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図8において、図1図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0056】
図8に示すように、本実施の形態においては、ブレード本体13の中空部19に充填部50が設けられている。充填部50は、中空部19のうちブレード本体13の後縁18の側の部分に位置している。充填部50は、ブレード本体13の長手方向に延びている。ブレード本体13の長手方向は、図8の紙面に垂直な方向に相当しており、風車用回転翼10の半径方向に相当している。充填部50は、圧力面側ブレード部分13cと負圧面側ブレード部分13dとを貼り合わせるために用いた接着剤が、中空部19内にはみ出すことにより形成されている。充填部50は、ブレード本体13の前縁17の側に位置する充填部前縁51を含んでいる。充填部前縁51も、ブレード本体13の長手方向に延びている。
【0057】
本実施の形態による第3導電帯33は、充填部前縁51に沿うように位置している。言い換えると、ブレード本体13の圧力面13aおよび負圧面13bから見て充填部50と中空部19で示す空間との境界に沿うように位置している。例えば、圧力面側ブレード部分13cに設けられた第3導電帯33は、風力発電装置1の前方から見たときに、充填部前縁51に重なっていてもよい。また、負圧面側ブレード部分13dに設けられた第3導電帯33は、風力発電装置1の前方から見たときに、充填部前縁51に重なっていてもよい。
【0058】
上述したように、ブレード本体13の前縁17および後縁18も着雷しやすい傾向にあるが、前縁17よりも後縁18においてブレード本体13の曲率が大きくなっている。このため、後縁18で、前縁17よりも電気力線が集中しやすく、落雷しやすくなっている。そして、中空部19のうち後縁18の側の部分には、上述した充填部50が設けられているため、充填部前縁51では、落雷しやすい傾向にある。
【0059】
本実施の形態による第3導電帯33は、充填部前縁51に沿うように位置している。このことにより、充填部前縁51に到達する落雷は、第3導電帯33で捕捉され得る。落雷電流は、第3導電帯33によって受雷部14に誘導される。第3導電帯33が、充填部前縁51に重なっている場合には、充填部前縁51に到達する落雷の捕捉率を向上させることができる。
【0060】
このように本実施の形態によれば、第3導電帯33は、充填部前縁51に沿うように位置している。このことにより、充填部前縁51に向かって落雷ストリーマが進展した場合においても、落雷を第3導電帯33で捕捉することができる。この場合、落雷電流を第3導電帯33から受雷部14に誘導することができ、安全に地面に流すことができる。このため、落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレード12の破損を抑制することができる。
【0061】
(第3の実施の形態)
次に、図9および図10を用いて、第3の実施の形態による風車ブレードの誘雷装置および風力発電装置について説明する。
【0062】
図9および図10に示す第3の実施の形態においては、互いに異なる構造材料で形成された2つの部分を区分けする異種材料境界に沿うように第3導電帯が位置している点が主に異なり、他の構成は、図8に示す第2の実施の形態と略同一である。なお、図9および図10において、図8に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0063】
図9に示すように、本実施の形態においては、ブレード本体13は、互いに異なる構造材料で形成された2つの部分を区分けする異種材料境界60を含んでいる。例えば、ブレード本体13のうち機械的強度が必要な部位に、高強度材料が用いられ、それ以外の部位に、軽量化を優先するための構造材料が用いられる場合がある。このため、ブレード本体13が、互いに異なる構造材料で形成される場合がある。
【0064】
より具体的には、図10(a)および図10(b)に示すように、負圧面側ブレード部分13dは、第1の構造材料で形成された第1材料部分61と、第1の構造材料とは異なる第2の構造材料で形成された第2材料部分62と、を含んでいる。第1材料部分61と第2材料部分62との境界が、異種材料境界60に相当している。図10(a)には、一例として、後縁18の側に位置する第1材料部分61と、前縁17の側に位置する第2材料部分62とが突き合わされている例が示されている。その付き合わせ面が異種材料境界60を構成しており、異種材料境界60で電気力線が集中しやすくなっている。図10(b)には、他の例として、第1材料部分61内に、第2材料部分62が埋設されている例が示されている。第2材料部分62の後縁18の側の縁が異種材料境界60を構成しており、異種材料境界60で電気力線が集中しやすくなっている。図10(a)および図10(b)は、負圧面側ブレード部分13dに設けられた異種材料境界60の例を示しているが、圧力面側ブレード部分13cにも、同様な異種材料境界60が形成される。異種材料境界60は、ブレード本体13の長手方向に延びている。
【0065】
本実施の形態による第3導電帯33は、異種材料境界60に沿うように位置している。例えば、圧力面側ブレード部分13cに設けられた第3導電帯33は、風力発電装置1の前方から見たときに、圧力面側ブレード部分13cに設けられた異種材料境界60に重なっていてもよい。また、負圧面側ブレード部分13dに設けられた第3導電帯33は、風力発電装置1の前方から見たときに、負圧面側ブレード部分13dに設けられた異種材料境界60に重なっていてもよい。
【0066】
上述したように、異種材料境界60で電気力線が集中しやすく、落雷しやすい傾向にある。
【0067】
本実施の形態による第3導電帯33は、異種材料境界60に沿うように位置している。このことにより、異種材料境界60に到達する落雷は、第3導電帯33で捕捉され得る。落雷電流は、第3導電帯33によって受雷部14に誘導される。第3導電帯33が、異種材料境界60に重なっている場合には、異種材料境界60に到達する落雷の捕捉率を向上させることができる。このように第3導電帯33で落雷を捕捉することにより、落雷電流が、ブレード本体13からアーク放電して金属導線15に到達することを抑制できる。このため、中空部19内の空気圧の上昇によってブレード本体13が破損することを抑制できる。
【0068】
このように本実施の形態によれば、第3導電帯33は、異種材料境界60に沿うように位置している。このことにより、異種材料境界60に向かって落雷ストリーマが進展した場合においても、落雷を第3導電帯33で捕捉することができる。この場合、落雷電流を第3導電帯33から受雷部14に誘導することができ、安全に地面に流すことができる。このため、落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレード12の破損を抑制することができる。
【0069】
なお、上述した本実施の形態においては、互いに異なる構造材料で形成された2つの部分を区分けする異種材料境界60に沿うように第3導電帯33が位置している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、軽量化のために、上述した第2材料部分62に代えて、ブレード中空部63がブレード本体13に形成される場合が考えられる。この場合、異種材料境界60に代えて、ブレード本体13を構成する構造材料の厚みが変化する境界(構造材料厚み境界64)が、ブレード本体13に形成される。負圧面側ブレード部分13dのうちブレード中空部63が形成された部分では、中空になっているために、ブレード中空部63が形成されていない部分よりも構造材料の厚みが小さくなる。第3導電帯33は、この構造材料厚み境界64に沿うように位置していてもよい。構造材料厚み境界64に向かって落雷ストリーマが進展した場合においても、落雷を第3導電帯33で捕捉することができる。
【0070】
(第4の実施の形態)
次に、図11図15を用いて、第4の実施の形態による風車ブレードの誘雷装置および風力発電装置について説明する。
【0071】
図11図15に示す第4の実施の形態においては、風力発電装置の前方から見たときに金属導線と第3導電帯との間に第4導電帯が設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1図7に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図11図15において、図1図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0072】
図11に示すように、本実施の形態における誘雷装置30は、第4導電帯70を更に備えている。第4導電帯70は、ブレード本体13の圧力面13aおよび負圧面13bのうちの第3導電帯33が設けられた面に設けられている。本実施の形態では、第4導電帯70は、ブレード本体13の圧力面13aおよび負圧面13bのそれぞれに設けられている。第4導電帯70は、受雷部14への落雷電流の誘導経路を形成している。第4導電帯70は、落雷電流を受雷部14に誘導するように形成されている。第4導電帯70は、第1~第3導電帯33と同様に、絶縁層41と、隙間g1を介して配列された複数の導電片40と、を含んでいる。なお、図11では、第4導電帯70は、ブレード本体13の長手方向において、第2導電帯32および第3導電帯33と概ね同等の長さで図示している。しかしながら、第4導電帯70は、第2導電帯32および第3導電帯33よりも短くてもよい。
【0073】
第4導電帯70は、受雷部14よりもブレード本体13の先端とは反対側に位置するとともに、風力発電装置1の前方から見たときに金属導線15と第3導電帯33との間に位置している。
【0074】
より具体的には、第4導電帯70は、金属導線15に沿うように位置する第4導電帯本体部70aと、第4導電帯本体部70aから受雷部14に向かって延びる第4導電帯接続部70bと、を含んでいる。第4導電帯本体部70aは、風力発電装置1の前方から見たときに第3導電帯33と金属導線15との間に位置している。第4導電帯本体部70aと第4導電帯接続部70bは、絶縁層41が連続状に一体に形成されている。この絶縁層41上に、導電片40が隙間を介して配列されている。第4導電帯接続部70bは、湾曲状に形成されており、落雷電流の滑らかな誘導経路を形成している。
【0075】
ここで、図12(a)に示すように、ブレード本体13の負圧面13bに、上述した第4導電帯70が設けられていない場合、ブレード本体13のうち前縁17と後縁18との間に位置する中央領域に向かって進展した落雷ストリーマSが、ブレード本体13の中央領域に着雷する。この場合、落雷電流は、ブレード本体13の負圧面側ブレード部分13dを透過してアーク放電し、中空部19内に位置する金属導線15に到達し得る。
【0076】
より具体的には、図13に示すように、落雷ストリーマSが点Eに着雷した場合、落雷電流Iは、負圧面13b側ブレード部分を透過して、中空部19に侵入する。そして、落雷電流Iは、中空部19内でアーク放電して金属導線15に到達する。この際、このアーク放電の熱により中空部19内の空気圧が上昇する。これにより、ブレード本体13が破損し得る。
【0077】
これに対して本実施の形態では、図12(b)に示すように、負圧面13bに第4導電帯70が設けられている場合、ブレード本体13の中央領域に到達する落雷ストリーマSは、第4導電帯70に着雷する。落雷電流Iは、図13に示すように、第4導電帯70によって受雷部14に誘導される。そして、落雷電流Iは、受雷部14から接続部材20を通って金属導線15に到達し、地面に向かって流れる。
【0078】
図14は、落雷電流の電流値の時間波形の一例を示すグラフである。電流値Iは、時間tの関数として式(1)のように表される。通常の電流値Iの立ち上がり時間は、数マイクロ秒から数十マイクロ秒であり、比較的短い。一方、最大電流値Imを越えた後の電流値Iは、比較的ゆるやかに下降していく。
【数1】
【0079】
図15は、図13の通電経路に対応する等価回路図である。第4導電帯70の電気抵抗をR、受雷部14から点Fまでの金属導線15の電気抵抗をR、回路インダクタンスをLとすると、点Eと点Fとの間に発生する電圧VEFは、以下の式(2)によって与えられる。Rは、点Fから地面までの金属導線15の電気抵抗を示している。
【数2】
【0080】
図14に示したように、電流値Iの立ち上がり時では、落雷電流の時間変化が特に急激になっている。この場合、回路インダクタンスLの影響を受けて、式(2)の右辺の第1項の値が大きくなる。このため、図15に示すように、第4導電帯70、受雷部14、接続部材20および金属導線15によって構成される通電経路Pを流れにくくなる。そして、式(2)の左辺に示すVEFが、中空部19内の絶縁破壊電圧を超える場合には、通電経路Pを落雷電流は流れず、中空部19内でアーク放電して金属導線15に到達する。例えば、第4導電帯70と金属導線15との位置関係、および落雷ストリーマに含まれる落雷電流の時間特性によっては、落雷電流は、意図した通電経路Pを流れずに、通電経路Pを流れる。
【0081】
落雷電流を点Eから受雷部14に誘導するためには、式(2)で示すVEFが、想定される落雷電流で、中空部19内の絶縁破壊電圧を超えないように等価回路を設計すればよい。このことを満たすかどうかは、第4導電帯70と金属導線15との距離が大きく影響し得る。すなわち、式(2)で示すVEFが、中空部19内の絶縁破壊電圧を超えないように、第4導電帯70と金属導線15との距離を設定すればよい。このことにより、落雷電流を第4導電帯70で受雷部14に誘導することができ、中空部19内でアーク放電が発生することを抑制できる。
【0082】
なお、ブレード本体13の材料には、軽量化の観点から、ガラス繊維強化プラスチック(以下、GFRPと記す)を用いることが多い。軽量化だけでなく高強度化を図るために、炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRPと記す)を、梁材13e(図8参照)の材料に用いる場合がある。GFRPは電気絶縁性を有しているが、CFRPは導電性を有している。このため、第4導電帯70の配置は、金属導線15との距離だけでなく、CFRPで形成された梁材13eとの距離を考慮してもよい。
【0083】
このように本実施の形態によれば、第4導電帯70は、風力発電装置1の前方から見たときに金属導線15と第3導電帯33との間に位置している。このことにより、風車ブレード12の前縁17と後縁18との間の中央領域に落雷ストリーマが進展した場合においても、落雷を第4導電帯70で捕捉することができる。このため、落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレード12の破損を抑制することができる。
【0084】
また、本実施の形態によれば、第4導電帯70を金属導線15から遠ざけることができる。このため、第4導電帯70に落雷した場合であっても、落雷電流が、ブレード本体13からアーク放電して金属導線15に到達することを抑制できる。この結果、中空部19内の空気圧の上昇によってブレード本体13が破損することを抑制できる。
【0085】
(第5の実施の形態)
次に、図16を用いて、第5の実施の形態による風車ブレードの誘雷装置および風力発電装置について説明する。
【0086】
図16に示す第5の実施の形態においては、第2導電帯が、風力発電装置の前方から見たときに金属導線と前縁との中間位置に位置している点が主に異なり、他の構成は、図1図7に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図16において、図1図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0087】
図16に示すように、本実施の形態による第2導電帯32は、風力発電装置1の前方から見たときに金属導線15と前縁17との中間位置に位置している。この場合、第2導電帯32と前縁17との距離rが、第2導電帯32と金属導線15との距離rと等しくてもよい。
【0088】
このように本実施の形態によれば、第2導電帯32が、風力発電装置1の前方から見たときに金属導線15と前縁17との中間位置に位置している。このことにより、風車ブレード12の前縁17だけでなく、前縁17と後縁18との間の中央領域に落雷ストリーマが進展した場合においても、落雷を第2導電帯32で捕捉することができる。このため、落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレード12の破損を抑制することができる。
【0089】
また、本実施の形態によれば、第2導電帯32が金属導線15に近づくことを抑制できる。このため、第2導電帯32に落雷した場合であっても、落雷電流が、ブレード本体13からアーク放電して金属導線15に到達することを抑制できる。この結果、中空部19内の空気圧の上昇によってブレード本体13が破損することを抑制できる。
【0090】
(第6の実施の形態)
次に、図17を用いて、第6の実施の形態による風車ブレードの誘雷装置および風力発電装置について説明する。
【0091】
図17に示す第6の実施の形態においては、第2導電帯から風車ブレードの後縁に向かって第1補助導電帯が延びているとともに、第3導電帯から風車ブレードの前縁に向かって第2補助導電帯が延びている点が主に異なり、他の構成は、図1図7に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図17において、図1図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0092】
図17に示すように、本実施の形態による誘雷装置30は、第1補助導電帯81と、第2補助導電帯82と、を更に備えている。
【0093】
第1補助導電帯81は、第2導電帯32から風車ブレード12の後縁18に向かって延びている。本実施の形態においては、第2導電帯32から複数の第1補助導電帯81が延びている。複数の第1補助導電帯81は、ブレード本体13の長手方向に配列されており、互いに隣り合う第1補助導電帯81同士は離間している。
【0094】
第1補助導電帯81の先端は、風力発電装置1の前方から見たときに、金属導線15よりも前縁17の側に位置している。すなわち、第1補助導電帯81の先端と金属導線15とは離間している。第1補助導電帯81は、第2導電帯32と同様にして、所定の隙間g1を介して配列された複数の導電片40と、絶縁層41と、を含んでいる。
【0095】
第2補助導電帯82は、第3導電帯33から風車ブレード12の前縁17に向かって延びている。本実施の形態においては、第3導電帯33から複数の第2補助導電帯82が延びている。複数の第2補助導電帯82は、ブレード本体13の長手方向に配列されており、互いに隣り合う第2補助導電帯82同士は離間している。
【0096】
第2補助導電帯82の先端は、風力発電装置1の前方から見たときに、金属導線15よりも後縁18の側に位置している。すなわち、第2補助導電帯82の先端と金属導線15とは離間している。第2補助導電帯82は、第3導電帯33と同様にして、所定の隙間g1を介して配列された複数の導電片40と、絶縁層41と、を含んでいる。
【0097】
このように本実施の形態によれば、第2導電帯32から風車ブレード12の後縁18に向かって第1補助導電帯81が延びている。このことにより、風車ブレード12の前縁17だけでなく、前縁17と後縁18との間に位置する中央領域に落雷ストリーマが進展した場合においても、落雷を第1補助導電帯81で捕捉することができる。この場合、落雷電流を第1補助導電帯81から第2導電帯32を通って受雷部14に誘導することができ、安全に地面に流すことができる。このため、落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレード12の破損を抑制することができる。
【0098】
また、本実施の形態によれば、第1補助導電帯81の先端は、風力発電装置1の前方から見たときに、金属導線15よりも前縁17の側に位置している。このことにより、第1補助導電帯81の先端を金属導線15から遠ざけることができる。このため、第1補助導電帯81の先端に落雷した場合であっても、落雷電流が、ブレード本体13からアーク放電して金属導線15に到達することを抑制できる。この結果、中空部19内の空気圧の上昇によってブレード本体13が破損することを抑制できる。
【0099】
また、本実施の形態によれば、第3導電帯33から風車ブレード12の前縁17に向かって第2補助導電帯82が延びている。このことにより、風車ブレード12の後縁18だけでなく、前縁17と後縁18との間に位置する中央領域に落雷ストリーマが進展した場合においても、落雷を第2補助導電帯82で捕捉することができる。この場合、落雷電流を第2補助導電帯82から第3導電帯33を通って受雷部14に誘導することができ、安全に地面に流すことができる。このため、落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレード12の破損を抑制することができる。
【0100】
また、本実施の形態によれば、第2補助導電帯82の先端は、風力発電装置1の前方から見たときに、金属導線15よりも後縁18の側に位置している。このことにより、第2補助導電帯82の先端を金属導線15から遠ざけることができる。このため、第2補助導電帯82の先端に落雷した場合であっても、落雷電流が、ブレード本体13からアーク放電して金属導線15に到達することを抑制できる。この結果、中空部19内の空気圧の上昇によってブレード本体13が破損することを抑制できる。
【0101】
(第7の実施の形態)
次に、図18および図19を用いて、第7の実施の形態による風車ブレードの誘雷装置および風力発電装置について説明する。
【0102】
図18および図19に示す第7の実施の形態においては、第2導電帯から風車ブレードの前縁に向かって第1補助導電帯が延びているとともに、第3導電帯から風車ブレードの後縁に向かって第2補助導電帯が延びている点が主に異なり、他の構成は、図1図7に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図18および図19において、図1図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0103】
図18に示すように、本実施の形態による誘雷装置30は、第1補助導電帯91と、第2補助導電帯92と、を更に備えている。
【0104】
第1補助導電帯91は、第2導電帯32から風車ブレード12の前縁17に向かって延びている。本実施の形態においては、第2導電帯32から複数の第1補助導電帯91が延びている。複数の第1補助導電帯91は、ブレード本体13の長手方向に配列されており、互いに隣り合う第1補助導電帯91同士は離間している。
【0105】
第1補助導電帯91の先端は、前縁17に達していてもよい。第1補助導電帯91は、第2導電帯32と同様にして、所定の隙間g1を介して配列された複数の導電片40と、絶縁層41と、を含んでいる。
【0106】
第2補助導電帯92は、第3導電帯33から風車ブレード12の後縁18に向かって延びている。本実施の形態においては、第3導電帯33から複数の第2補助導電帯92が延びている。複数の第2補助導電帯92は、ブレード本体13の長手方向に配列されており、互いに隣り合う第2補助導電帯92同士は離間している。
【0107】
第2補助導電帯92の先端は、後縁18に達していてもよい。第2補助導電帯92は、第3導電帯33と同様にして、所定の隙間g1を介して配列された複数の導電片40と、絶縁層41と、を含んでいる。
【0108】
風車ブレード12への雷撃を回避するためには、落雷ストリーマを導電帯に着雷させることが好ましい。一般に、雷雲は負電荷を蓄積している。このため、雷雲から風車ブレード12に向かって進展する落雷ストリーマは、負に帯電している。しかしながら、風車ブレード12に大きな雷害をもたらす雷雲は正電荷を蓄積している。この落雷から風車ブレード12に向かって進展する落雷ストリーマは、正に帯電している。正の落雷ストリーマがブレード本体13に着雷すると、落雷電流は、ブレード本体13を透過して、アーク放電して金属導線15に到達しやすい。
【0109】
図19(a)には、第1補助導電帯91および第2補助導電帯92が設けられていない場合における落雷の様子を示している。この場合、正に帯電した落雷ストリーマS1が、ブレード本体13の後縁18に進展すると、後縁18から電子が電界放出され、負に帯電した前駆放電S2が形成される。前駆放電S2は、導電帯などの金属部材だけでなく絶縁部材からも発生し得る。そして、後縁18などのブレード本体13の曲率が大きい部位から発生しやすい。
【0110】
正に帯電した落雷ストリーマS1と、負に帯電した前駆放電S2は、大気中で結合する。このことにより、雷雲と風車ブレード12とが通電し、雷雲から風車ブレード12に大量の電荷とエネルギが送り込まれる。このようにして、風車ブレード12が雷撃を受けて、破損し得る。
【0111】
図19(b)には、第1補助導電帯91および第2補助導電帯92が設けられている場合における落雷の様子を示している。この場合、第2補助導電帯92から電子が電界放出されて前駆放電S2が形成される。このため、正に帯電した落雷ストリーマS1と、負に帯電した前駆放電S2が結合し、雷雲と第2補助導電帯92とが通電する。このため、ブレード本体13が雷撃を受けることを抑制できる。
【0112】
ブレード本体13の前縁17においても、正に帯電した落雷ストリーマに対して負に帯電した前駆放電が形成され得る。この場合においても、第1補助導電帯91が設けられていることにより、雷雲と第1補助導電帯91とが通電し、ブレード本体13が雷撃を受けることを抑制できる。
【0113】
このように本実施の形態によれば、第2導電帯32から風車ブレード12の前縁17に向かって第1補助導電帯91が延びている。このことにより、風車ブレード12の前縁17に向かって落雷ストリーマが進展した場合においても、落雷を第1補助導電帯91で捕捉することができる。この場合、落雷電流を第1補助導電帯91から第2導電帯32を通って受雷部14に誘導することができ、安全に地面に流すことができる。このため、落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレード12の破損を抑制することができる。とりわけ、正に帯電した落雷ストリーマが前縁17に進展した場合であっても、第1補助導電帯91に着雷させることができ、風車ブレード12の破損を抑制することができる。
【0114】
また、本実施の形態によれば、第3導電帯33から風車ブレード12の後縁18に向かって第2補助導電帯92が延びている。このことにより、風車ブレード12の後縁18に向かって落雷ストリーマが進展した場合においても、落雷を第2補助導電帯92で捕捉することができる。この場合、落雷電流を第2補助導電帯92から第3導電帯33を通って受雷部14に誘導することができ、安全に地面に流すことができる。このため、落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレード12の破損を抑制することができる。とりわけ、正に帯電した落雷ストリーマが後縁18に進展した場合であっても、第2補助導電帯92に着雷させることができ、風車ブレード12の破損を抑制することができる。
【0115】
以上述べた実施の形態によれば、落雷の捕捉率を向上させることができ、雷撃による風車ブレードの破損を抑制することができる。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0117】
1:風力発電装置、12:風車ブレード、13a:圧力面、13b:負圧面、13t:先端、14:受雷部、15:金属導線、16:水抜き穴、17:前縁、18:後縁、19:中空部、30:誘雷装置、31:第1導電帯、32:第2導電帯、33:第3導電帯、40:導電片、50:充填部、51:充填部前縁、60:異種材料境界、61:第1材料部分、62:第2材料部分、64:構造材料厚み境界、70:第4導電帯、81:第1補助導電帯、82:第2補助導電帯、91:第1補助導電帯、92:第2補助導電帯
図1
図2
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図5
図6
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