(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170237
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/271 20210101AFI20221102BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20221102BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20221102BHJP
【FI】
H01M50/271 S
H01M50/209
H01M50/249
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076238
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 延言
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AS07
5H040AY06
5H040AY08
5H040CC01
5H040CC32
5H040CC36
(57)【要約】
【課題】外装体を備える蓄電装置であって、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置を提供すること。
【解決手段】蓄電装置1は、蓄電素子20を収容する外装体10を備える。外装体10は、外装体本体110と、外装体本体110に接合された蓋体120とを有する。外装体本体110は、蓋体120及び外装体本体110の一方に対する他方の取付方向である第一方向に沿って立設された第一壁部115を有する。蓋体120は、第一壁部115が第一方向に挿入され、かつ、第一壁部115と接着剤180で接合された溝部127を有する。第一壁部115及び溝部127の一方の、第一壁部115の厚み方向である第二方向において他方と対向する側面である対向面には、当該対向面からY軸方向に陥凹状に形成された、接着剤180を収容するための収容部116が設けられている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子を収容する外装体を備える蓄電装置であって、
前記外装体は、第一部材と、前記第一部材に接合された第二部材とを有し、
前記第一部材は、前記第二部材及び前記第一部材の一方に対する他方の取付方向である第一方向に沿って立設された壁部を有し、
前記第二部材は、前記壁部が前記第一方向に挿入され、かつ、前記壁部と接着剤で接合された溝部を有し、
前記壁部及び前記溝部の一方の、前記壁部の厚み方向である第二方向において他方と対向する側面である対向面には、前記対向面から前記第二方向に陥凹状に形成された、前記接着剤を収容するための収容部が設けられている、
蓄電装置。
【請求項2】
前記収容部は、前記接着剤の収容空間を形成する複数の内側面の内の1つ内側面であって、前記収容部が設けられた前記壁部及び前記溝部の一方の、他方からの取り外し方向に向けられた内側面を有し、
前記接着剤は、前記内側面に密着した状態で前記収容部に収容されている、
請求項1記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記第一部材及び前記第二部材は、前記外装体の内部と外部とを仕切る部材であり、
前記収容部は、前記壁部の、前記外装体の前記外部に向けられた前記対向面、または、前記溝部の、前記壁部よりも前記外装体の前記外部に近い位置にある前記対向面に設けられている、
請求項1または2記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記収容部は、前記壁部及び前記溝部の前記一方の前記対向面において、前記第一方向に複数並んで配置されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記壁部は、前記壁部の前記溝部への挿入方向の先端部に設けられた傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記壁部における、前記第二方向の一端から他端に行くに従って、前記溝部の内底面から離れるように傾けられている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
蓄電素子を収容する外装体を備える蓄電装置であって、
前記外装体は、第一部材と、前記第一部材に接合された第二部材とを有し、
前記第一部材は、前記第二部材及び前記第一部材の一方に対する他方の取付方向である第一方向に沿って立設された壁部を有し、
前記第二部材は、前記壁部が前記第一方向に挿入され、かつ、前記壁部と接着剤で接合された溝部を有し、
前記壁部は、前記壁部の前記溝部への挿入方向の先端部に設けられた傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記壁部における、前記壁部の厚み方向である第二方向の一端から他端に行くに従って、前記溝部の内底面から離れるように傾けられている、
蓄電装置。
【請求項7】
蓄電素子を収容する外装体を備える蓄電装置であって、
前記外装体は、第一部材と、前記第一部材に接合された第二部材とを有し、
前記第一部材は、前記第二部材及び前記第一部材の一方に対する他方の取付方向である第一方向に沿って立設された壁部を有し、
前記第二部材は、前記壁部が前記第一方向に挿入され、かつ、前記壁部と接着剤で接合された溝部を有し、
前記壁部には、前記溝部の内底面に対向する先端部から切欠き状に形成された、前記接着剤を収容するための収容部が設けられている、
蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装体を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筐体(外装体)を備える蓄電装置が開示されている。外装体は、開口を有する第1部材と、第2部材とを有し、第1及び第2部材は、開口の周縁に設けられた接合部分において接合されている。接合部分は、第1及び第2部材のうち一方に設けられた周溝部と、他方に設けられた凸縁部と、接着剤層とを有する。凸縁部の先端は、周溝部中に配置されかつ接着剤層により周溝部の内壁に接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電装置の外装体は、一般的に、本体部及び蓋体等の2つの部材が接合された部分(接合部分)を有している。例えば、上記従来の蓄電装置が備える外装体における接合部分では、2つの部材の一方の溝部に他方の凸部が挿入された状態で、接着剤によって凸部が溝部に固定される。このように形成された接合部分は、例えば外装体の気密性、水密性、または強度に大きく関与する。従って、蓄電装置の信頼性の向上のためには、接合部分には高い接合強度が求められる。そのため、上記従来の蓄電装置では、凸部に設けられた爪を、溝部の内面に形成された受け口に挿入する構造が採用されている。しかし、この場合、凸部及び溝部の形状が複雑になるという問題があり、また、爪及び受け口それぞれの位置及び形状についての高い精度も必要である。そこで、接着剤の量を増やすことで、接合部分の強度を向上させることが考えられるが、この場合は、接着剤の溝部からの溢れ出しが生じやすくなるという問題が生じる。接着剤が溝部から溢れ出した場合、その蓄電装置が不良品として扱われないために、接着剤のふき取り工程が必要となる。または、接着剤の溢れ出しを防ぐために、接着剤の量の厳密な管理及び制御が必要となる。つまり、蓄電装置の製造工程が煩雑化する。
【0005】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、外装体を備える蓄電装置であって、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子を収容する外装体を備える蓄電装置であって、前記外装体は、第一部材と、前記第一部材に接合された第二部材とを有し、前記第一部材は、前記第二部材及び前記第一部材の一方に対する他方の取付方向である第一方向に沿って立設された壁部を有し、前記第二部材は、前記壁部が前記第一方向に挿入され、かつ、前記壁部と接着剤で接合された溝部を有し、前記壁部及び前記溝部の一方の、前記壁部の厚み方向である第二方向において他方と対向する側面である対向面には、前記対向面から前記第二方向に陥凹状に形成された、前記接着剤を収容するための収容部が設けられている。
【0007】
この構成によれば、第一部材と第二部材とが、第一部材の壁部が第二部材の溝部に挿入された状態で、接着剤によって接合される。この接合構造において、第一部材及び第二部材の少なくとも一方には、陥凹状に形成された収容部が設けられている。従って、収容部がない場合よりも、当該一方における接着面積(接着剤に密着する面積)が増加し、その結果、第一部材と第二部材との接合強度が向上する。また、比較的に多い量の接着剤を溝部に流し入れた状態で、溝部に壁部を挿入した場合であっても、収容部に接着剤が収容されることで、溝部からの接着剤の溢れ出しが抑制される。そのため、例えば、比較的に多い量の接着剤によって第一部材と第二部材との接合強度を向上させることができ、かつ、接着剤の量の厳密な管理、及び、溢れ出した接着剤のふき取り作業等は不要である。このように、本態様に係る蓄電装置は、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置である。
【0008】
前記収容部は、前記接着剤の収容空間を形成する複数の内側面の内の1つ内側面であって、前記収容部が設けられた前記壁部及び前記溝部の一方の、他方からの取り外し方向に向けられた内側面を有し、前記接着剤は、前記内側面に密着した状態で前記収容部に収容されている、としてもよい。
【0009】
この構成によれば、溝部の中で固化した接着剤は、その一部が収容部に収容され、かつ、当該一部は、収容部の内側面の一つであって、収容部を有する壁部及び溝部の一方の、他方からの取り外し方向に向けられた内側面と密着している。つまり、例えば、壁部に収容部が設けられている場合において、壁部を溝部から抜き出そうとした場合、固化した接着剤における収容部に収容されている部分は、取り外し(抜き出し)方向における壁部の移動規制部として機能する。これにより、接着剤による第一部材と第二部材との接合強度がさらに向上する。
【0010】
前記第一部材及び前記第二部材は、前記外装体の内部と外部とを仕切る部材であり、前記収容部は、前記壁部の、前記外装体の前記外部に向けられた前記対向面、または、前記溝部の、前記壁部よりも前記外装体の前記外部に近い位置にある前記対向面に設けられている、としてもよい。
【0011】
この構成によれば、溝部に壁部を挿入する際に、溝部の中で壁部に押し出されて外装体の外部側に移動する接着剤を、その移動方向に位置する収容部に収容することができる。これにより、接着剤の外装体の外部側への溢れ出しをより確実に抑制することができる。
【0012】
前記収容部は、前記壁部及び前記溝部の前記一方の前記対向面において、前記第一方向に複数並んで配置されている、としてもよい。
【0013】
この構成によれば、陥凹状の収容部が、対向面において取付方向(第一方向)に複数並んで配置されていることで、対向面に凹凸形状が形成される。従って、接着剤がこの凹凸形状に密着した状態で固化することで、接着剤による第一部材と第二部材との接合強度がさらに向上する。
【0014】
前記壁部は、前記壁部の前記溝部への挿入方向の先端部に設けられた傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記壁部における、前記第二方向の一端から他端に行くに従って、前記溝部の内底面から離れるように傾けられている、としてもよい。
【0015】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子を収容する外装体を備える蓄電装置であって、前記外装体は、第一部材と、前記第一部材に接合された第二部材とを有し、前記第一部材は、前記第二部材及び前記第一部材の一方に対する他方の取付方向である第一方向に沿って立設された壁部を有し、前記第二部材は、前記壁部が前記第一方向に挿入され、かつ、前記壁部と接着剤で接合された溝部を有し、前記壁部は、前記壁部の前記溝部への挿入方向の先端部に設けられた傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記壁部における、前記壁部の厚み方向である第二方向の一端から他端に行くに従って、前記溝部の内底面から離れるように傾けられている、としてもよい。
【0016】
これらの、傾斜面を備える構成によれば、溝部に壁部を挿入する際に、溝部の中で壁部に押し出されて移動する接着剤の主たる移動方向を、傾斜面によって制御することができる。例えば、壁部の厚み方向(第二方向)の一方への接着剤の溢れ出しを防止したい場合を想定する。この場合、壁部の先端部に、厚み方向の当該一方から他方に行くに従って、溝部の内底面から離れるように傾いた傾斜面を形成する。この場合、傾斜面によって、接着剤は主として当該他方に押しやられる。その結果、第一部材及び第二部材の接合部分から当該一方側への接着剤の溢れ出しがより確実に抑制される。
【0017】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子を収容する外装体を備える蓄電装置であって、前記外装体は、第一部材と、前記第一部材に接合された第二部材とを有し、前記第一部材は、前記第二部材及び前記第一部材の一方に対する他方の取付方向である第一方向に沿って立設された壁部を有し、前記第二部材は、前記壁部が前記第一方向に挿入され、かつ、前記壁部と接着剤で接合された溝部を有し、前記壁部には、前記溝部の内底面に対向する先端部から切欠き状に形成された、前記接着剤を収容するための収容部が設けられている、としてもよい。
【0018】
この構成によれば、第一部材と第二部材とが、第一部材の壁部が第二部材の溝部に挿入された状態で、接着剤によって接合される。この接合構造において、第一部材の壁部に、先端部から切欠き状に形成された収容部が設けられている。従って、収容部がない場合よりも、壁部における接着面積(接着剤に密着する面積)が増加し、その結果、第一部材と第二部材との接合強度が向上する。また、比較的に多い量の接着剤を溝部に流し入れた状態で、溝部に壁部を挿入した場合であっても、収容部に接着剤が収容されることで、溝部からの接着剤の溢れ出しが抑制される。そのため、例えば、比較的に多い量の接着剤によって第一部材と第二部材との接合強度を向上させることができ、かつ、接着剤の量の厳密な管理、及び、溢れ出した接着剤のふき取り作業等は不要である。このように、本態様に係る蓄電装置は、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、外装体を備える蓄電装置であって、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電装置の分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る外装体本体の斜視図である。
【
図5】実施の形態に係る外装体本体と蓋体との構造上の関係を示す斜視断面図である。
【
図6】実施の形態に係る外装体本体及び蓋体が組み合わされた状態を示す斜視断面図である。
【
図7】実施の形態の変形例1に係る外装体における外装体本体及び蓋体の接合部分を示す斜視断面図である。
【
図8】実施の形態の変形例2に係る外装体本体の斜視図である。
【
図9】実施の形態の変形例2に係る外装体における外装体本体及び蓋体の接合部分を示す斜視断面図である。
【
図10】実施の形態の変形例3に係る外装体本体の斜視図である。
【
図11】実施の形態の変形例3に係る外装体における外装体本体及び蓋体の接合部分を示す斜視断面図である。
【
図12】実施の形態の変形例4に係る外装体における外装体本体及び蓋体の接合部分を示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。さらに、各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0022】
以下の説明及び図面中において、蓄電装置の外装体の長手方向、または、蓄電素子の短側面の対向方向を、X軸方向と定義する。蓄電装置の外装体の短手方向、または、複数の蓄電素子の並び方向を、Y軸方向と定義する。蓄電装置の外装体の本体と蓋体との並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0023】
また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。また、単に、「X軸方向」という場合は、X軸に平行な双方向またはいずれか一方の方向を意味する。Y軸及びZ軸に関する用語についても同様である。
【0024】
さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。さらに、単に、「X軸方向」という場合は、X軸に平行な双方向またはいずれか一方の方向を意味する。Y軸及びZ軸に関する用語についても同様である。以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。
【0025】
(実施の形態)
[1.蓄電装置の全般的な説明]
まず、
図1及び
図2を用いて、実施の形態に係る蓄電装置1の全般的な説明を行う。
図1は、実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電装置1の分解斜視図である。
図2では、外装体10の蓋体120を、外装体本体110から分離して、複数の蓄電素子20(蓄電素子ユニット24)を露出させた状態が図示されている。
【0026】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。蓄電装置1は、例えば、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置1は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及び化石燃料(ガソリン、軽油、液化天然ガス等)自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電装置1は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0027】
図1及び
図2に示すように、蓄電装置1は、蓄電素子20と、蓄電素子20を収容する外装体10とを備える。本実施の形態では、外装体10には4個の蓄電素子20が収容されている。なお、蓄電装置1が備える蓄電素子20の数は4には限定されない。蓄電装置1は、1以上の蓄電素子20を備えればよい。本実施の形態では、Y軸方向に並べられた4個の蓄電素子20により1つの蓄電素子ユニット24が構成されている。蓄電素子ユニット24は、図示しないスペーサ及び絶縁フィルム等を有してもよい。
【0028】
外装体10は、蓄電素子ユニット24を収容する外装体本体110と、外装体本体110の開口部(本体開口部111)を塞ぐ蓋体120とを有する。本実施の形態において、外装体本体110は第一部材の一例であり、蓋体120は第二部材の一例である。外装体10の内部において、蓄電素子ユニット24の上方には、複数の蓄電素子20に電気的に接続されるバスバー、バスバーを保持するバスバープレート、及び、制御回路等が配置されるが、これらの部材の図示及びその説明は省略する。
【0029】
外装体10は、蓄電装置1の外殻を構成する略直方体状(箱状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体10は、蓄電素子ユニット24及びバスバープレート等を所定の位置に固定し、これらを衝撃などから保護する部材である。外装体10は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装をした金属等により形成されている。
【0030】
外装体10が有する外装体本体110は、蓄電素子ユニット24を収容するための本体開口部111が形成された有底矩形筒状のハウジングである。蓋体120は、外装体本体110の本体開口部111を閉塞する矩形状の部材であり、正極側の外部端子91及び負極側の外部端子92を有している。外部端子91及び92は、複数の蓄電素子20と電気的に接続されており、蓄電装置1は、この外部端子91及び92を介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。外部端子91及び92は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されている。
【0031】
蓄電素子20は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子20は、扁平な直方体形状(角形)の形状を有しており、本実施の形態では、上述のように、4個の蓄電素子20がY軸方向に配列されている。
【0032】
なお、蓄電素子20は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子20は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子20は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。また、蓄電素子20の形状は、上記角形には限定されず、それ以外の多角柱形状、円柱形状、楕円柱形状、長円柱形状等であってもよい。
【0033】
本実施の形態では、蓄電素子20は、金属製の容器21を備える。容器21は、互いに対向する一対の長側面21aと、互いに対向する一対の短側面21bとを有する角形のケースである。容器21の内部には、電極体、集電体、及び電解液等が収容されている。本実施の形態では、複数の蓄電素子20のそれぞれは長側面21aがY軸方向に向く姿勢(短側面21bがY軸方向に平行な姿勢)で、Y軸方向に一列に並べられている。
【0034】
容器21の蓋板21cには、容器21の内部の電極体と電気的に接続された金属製の電極端子22(正極端子及び負極端子)が設けられている。電極端子22は、容器21の蓋板21cから、上方(Z軸プラス方向)に向けて突出して配置されている。容器21の蓋板21cにはさらに、容器21の内圧が過度に上昇した場合に内部のガスを外部に排出するためのガス排出弁23が設けられている。本実施の形態では、
図2に示すように、複数の蓄電素子20のそれぞれは、ガス排出弁23がZ軸プラス方向に向く姿勢で配置されている。
【0035】
このような基本構成を有する蓄電装置1において、外装体本体110の本体開口部111は、蓋体120によって密閉されている。具体的には、蓄電素子20のガス排出弁23が開放してガスが噴出した場合、例えば、蓄電素子20の使用者の安全確保のために、外装体10に設けられた排気口(図示せず)から所定の場所までガスを導く必要がある。しかし、仮に、外装体本体110と、蓋体120との接合部分に隙間がある場合、または、ガスの圧力で隙間ができた場合、予期せぬ位置からガスが漏れ出すことになり、このことは不安全事象の発生の要因となる。さらに、蓄電装置1は、例えば、風雨にさらされる状況で使用される場合、及び、自然災害などにより水没する場合等もある。そのため、外装体本体110と蓋体120との接合部分には高い気密性または水密性が求められる場合もある。
【0036】
従って、外装体本体110と蓋体120との接合部分は、蓄電装置1の信頼性の維持または向上の観点から重要な部分である。一方で、当該接合部分に複雑な構造を採用すること、及び、煩雑な作業を要する接合手法を採用すること等は、蓄電装置1の時間的または経済的な製造効率の観点からは採用し難い。
【0037】
そこで、本実施の形態では、簡易な構成であって、かつ、外装体本体110と蓋体120とをより確実に接合するための構成が採用されている。以下、
図3~
図6を参照しながら、本実施の形態に係る外装体本体110と蓋体120との接合部分の詳細について説明する。
【0038】
[2.外装体本体と蓋体との接合部分について]
図3は、実施の形態に係る外装体本体110の斜視図である。
図3では、本体開口部111の周縁に配置された第一壁部115の一部が拡大して図示されている。
図4は、実施の形態に係る蓋体120の斜視断面図である。
図4では、
図2のIV-IV線を通るYZ平面における蓋体120の断面が表されている。
図5は、実施の形態に係る外装体本体110と蓋体120との構造上の関係を示す斜視断面図である。
図6は、実施の形態に係る外装体本体110及び蓋体120が組み合わされた状態を示す斜視断面図である。
図5及び
図6における断面の位置は、
図4における断面の位置に準じている。
【0039】
上述の
図2、及び、
図3~
図6に示されるように、蓋体120は、外装体本体110の本体開口部111の開口方向(Z軸プラス方向)から外装体本体110に向けて取り付けられる部材である。外装体本体110は、本体開口部111の周縁に設けられた第一壁部115を有している。蓋体120は、外装体本体110の第一壁部115が挿入される溝部127を有している。具体的には、
図4~
図6に示すように、蓋体120に設けられた一対の第二壁部125及び128の間に溝部127が形成されている。
【0040】
外装体本体110の第一壁部115及び蓋体120の一対の第二壁部125及び128は、ともに、蓋体120及び外装体本体110の一方に対する他方の取付方向(Z軸方向)に沿って立設されている。この取付方向(Z軸方向)は第一方向の一例であり、当該取付方向と直交する、第一壁部115の厚み方向(
図5及び
図6におけるY軸方向)は第二方向の一例である。
【0041】
つまり、本実施の形態では、溝部127に第一壁部115が挿入された状態(
図6参照)では、第一壁部115は、第二方向において、溝部127の側面(内側面)である対向面127a及び127bの間に位置する。具体的には、第一壁部115の第二方向における一方の側面である対向面115aは、溝部127の対向面127aに対向する。第一壁部115の第二方向における他方の側面である対向面115bは、溝部127の対向面127bに対向する。すなわち、溝部127と第一壁部115との接合部分には、第二方向で対向する二組の対向面(対向面127a及び対向面115a、並びに、対向面127b及び対向面115b)が存在する。
【0042】
このように構成された蓋体120と外装体本体110とは、
図6に示すように、接着剤180によって接合されている。例えば、蓋体120の上下を反転させることで溝部127の開口を上向きにした状態で、溝部127に接着剤180を流し込む。さらに、溝部127の上方から、外装体本体110の第一壁部115を、蓋体120の溝部127に挿入する(
図5参照)。その後、接着剤180が固化することで、蓋体120と外装体本体110とが接合される。このような接合作業において、溝部127に第一壁部115が挿入された場合、固化する前の流動性を有する接着剤180が溝部127から溢れ出す場合がある。このとき、例えば外装体10の外部側(蓋体120の第二壁部125の外側)に接着剤180が溢れ出した場合、溶剤等を用いて接着剤180をふき取る必要が生じる。つまり、溢れ出した接着剤180をそのまま放置した場合、その接着剤180は外観上の不良等の要因となる。従って、溝部127からの接着剤180の溢れ出しを抑制することは必要である。もちろん、溝部127に収容する接着剤180の量を少なくすることで、接着剤180の溢れ出しの可能性は低減するが、この場合は、溝部127と第一壁部115との接合強度の低下の問題が生じる。また、溝部127に収容される接着剤180の量を厳密に管理及び制御することは蓄電装置1の製造工程の煩雑さを生じさせる。
【0043】
そこで、本実施の形態に係る外装体10には、蓋体120と外装体本体110との接合に比較的に多い量の接着剤180を用いつつ、接着剤180の溝部127からの溢れ出しを抑制するための収容部116が設けられている。より具体的には、第一壁部115及び溝部127において第二方向で対向する二組の対向面のうちの少なくとも1つ対向面に、第二方向に陥凹状に形成された収容部116が配置される。この収容部116に、溝部127に流し込まれた接着剤180の一部が収容されることで、接着剤180の溝部127からの溢れ出しが抑制される。
【0044】
このように、本実施の形態に係る蓄電装置1は、蓄電素子20を収容する外装体10を備える。外装体10は、第一部材の一例である外装体本体110と、外装体本体110に接合された、第二部材の一例である蓋体120とを有する。外装体本体110は、蓋体120及び外装体本体110の一方に対する他方の取付方向である第一方向(本実施の形態ではZ軸方向)に沿って立設された第一壁部115を有する。蓋体120は、第一壁部115がZ軸方向に挿入され、かつ、第一壁部115と接着剤180で接合された溝部127を有する。第一壁部115及び溝部127の一方の、第一壁部115の厚み方向である第二方向(
図6におけるY軸方向)において他方と対向する側面である対向面には、当該対向面からY軸方向に陥凹状に形成された、接着剤180を収容するための収容部116が設けられている。具体的には、本実施の形態に係る収容部116は、
図5及び
図6に示すように、第一壁部115の対向面115aに、対向面115aからY軸方向(
図6におけるY軸プラス方向)に陥凹状に形成されている。
【0045】
この構成によれば、外装体本体110と蓋体120とが、外装体本体110の第一壁部115が蓋体120の溝部127に挿入された状態で、接着剤180によって接合される。この接合構造において、外装体本体110及び蓋体120の少なくとも一方には、陥凹状に形成された収容部116が設けられている。従って、収容部116がない場合よりも、第一壁部115における接着面積(接着剤180に密着する面積)が増加し、その結果、外装体本体110と蓋体120との接合強度が向上する。また、比較的に多い量の接着剤180を溝部127に流し入れた状態で、溝部127に第一壁部115を挿入した場合であっても、収容部116に接着剤180が収容されることで、溝部127からの接着剤180の溢れ出しが抑制される。そのため、例えば、比較的に多い量の接着剤180によって外装体本体110と蓋体120との接合強度を向上させることができ、かつ、接着剤180の量の厳密な管理、及び、溢れ出した接着剤180のふき取り作業等は不要である。このように、本態様に係る蓄電装置1は、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置である。
【0046】
また、本実施の形態において、収容部116は、接着剤180の収容空間を形成する複数の内側面の内の1つ内側面であって、収容部116が設けられた第一壁部115及び溝部127の一方の、他方からの取り外し方向に向けられた内側面116aを有する。具体的には、収容部116が設けられた第一壁部115の、溝部127からの取り外し(抜き出し)方向は、Z軸マイナス方向である。収容部116は、例えば
図6に示すように、Z軸マイナス方向に向けられた内側面116aを有している。接着剤180は、内側面116aに密着した状態で収容部116に収容されている。
【0047】
この構成によれば、溝部127の中で固化した接着剤180は、その一部が収容部116に収容され、かつ、当該一部は、収容部116を有する第一壁部115及び溝部127の一方の、他方からの取り外し方向に向けられた内側面116aと密着している。つまり、第一壁部115に収容部116が設けられている場合において、第一壁部115を溝部127から抜き出そうとした場合、固化した接着剤180における収容部116に収容されている部分は、取り外し(抜き出し)方向における第一壁部115の移動規制部として機能する。これにより、接着剤180による外装体本体110と蓋体120との接合強度がさらに向上する。
【0048】
また、本実施の形態において外装体10が有する第一部材及び第二部材は、外装体本体110及び蓋体120であり、つまり、外装体10の内部と外部とを仕切る部材である。収容部116は、第一壁部115の、外装体10の外部に向けられた対向面115aに設けられている。
【0049】
この構成によれば、溝部127に第一壁部115を挿入する際に、溝部127の中で第一壁部115に押し出されて外装体10の外部側に移動する接着剤180を、その移動方向に位置する収容部116に収容することができる。つまり、溝部127から外装体10の外部側(
図6のY軸マイナス方向側)に溢れ出そうとする接着剤180を、効率よく収容部116に収容することができる。これにより、接着剤180の外装体10の外部側への溢れ出しをより確実に抑制することができる。
【0050】
以上、実施の形態に係る蓄電装置1について、外装体本体110と蓋体120との接合部分を中心に説明した。しかし、当該接合部分の構造は、
図3~
図6とは異なる構造であってもよい。そこで、以下に、外装体本体110と蓋体120との接合部分についての変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0051】
[3-1.変形例1]
図7は、実施の形態の変形例1に係る外装体10aにおける外装体本体110及び蓋体120aの接合部分を示す斜視断面図である。
図7、並びに、後述する
図9、
図11、及び
図12における断面の位置は、
図4における断面の位置に準じている。
【0052】
図7に示すように、本変形例に係る外装体10aは、外装体本体110及び蓋体120aを有し、外装体本体110の第一壁部115が、蓋体120aの溝部127に挿入された状態で、第一壁部115と溝部127とが接着剤180によって接合されている。この構成において、本変形例に係る外装体10aと実施の形態に係る外装体10とは共通する。
【0053】
本変形例では、溝部127に収容部129が設けられている点で、上記実施の形態とは異なる。具体的には、溝部127の、第一壁部115よりも外装体10aの外部に近い位置にある対向面127aに、対向面127aから第二方向(Y軸方向)に陥凹状に形成された収容部129が設けられている。
【0054】
つまり、溝部127の内部空間を、第一壁部115によって外装体10aの内部側と外部側とで分けた場合、収容部129は、実施の形態に係る収容部116と同じく、外装体10aの外部側に位置する。従って、本変形例に係る外装体10aによれば、溝部127に第一壁部115を挿入する際に、溝部127の中で第一壁部115に押し出されて外装体10aの外部側に移動する接着剤180を、その移動方向に位置する収容部129に収容することができる。つまり、溝部127から外装体10aの外部側に溢れ出そうとする接着剤180を、効率よく収容部129に収容することができる。これにより、接着剤180の外装体10aの外部側への溢れ出しをより確実に抑制することができる。
【0055】
なお、本変形例では、
図7に示すように、外装体本体110及び蓋体120aの接合部分には、第一壁部115に設けられた収容部116に加え、溝部127(第二壁部125)に設けられた収容部129も配置されている。これにより、当該接合部分における、外装体本体110及び蓋体120aそれぞれの接着面積(接着剤180に密着する面積)が増加し、その結果、外装体本体110と蓋体120aとの接合強度が向上する。しかし、当該接合部分に、2つの収容部(収容部116及び129)が配置されることは必須ではなく、溝部127に収容部129が配置される場合、第一壁部115に収容部116が配置されなくてもよい。
【0056】
[3-2.変形例2]
図8は、実施の形態の変形例2に係る外装体本体110bの斜視図である。
図8では、本体開口部111の周縁に配置された第一壁部115の一部が拡大して図示されている。
図9は、実施の形態の変形例2に係る外装体10bにおける外装体本体110b及び蓋体120の接合部分を示す斜視断面図である。
【0057】
図8及び
図9に示すように、本変形例に係る外装体10bは、外装体本体110b及び蓋体120を有し、外装体本体110bの第一壁部115が、蓋体120の溝部127に挿入された状態で、第一壁部115と溝部127とが接着剤180によって接合されている。この構成において、本変形例に係る外装体10bと実施の形態に係る外装体10とは共通する。
【0058】
本変形例では、第一壁部115に複数の収容部216が設けられている点で、上記実施の形態とは異なる。具体的には、収容部216は、第一壁部115の対向面115aにおいて、第一方向(Z軸方向)に複数並んで配置されている。
【0059】
この構成によれば、対向面115aにおいて、外装体本体110b及び蓋体120の一方に対する他方の取付方向(第一方向、Z軸方向)に、陥凹状の収容部216が複数並んで配置されていることで、対向面115aに凹凸形状が形成される。従って、
図9に示すように、接着剤180がこの凹凸形状に密着した状態で固化することで、接着剤180による外装体本体110bと蓋体120との接合強度がさらに向上する。
【0060】
なお、本変形例では、
図9に示すように、第一壁部115の対向面115aに、3つの陥凹状の収容部216がZ軸方向に並んで配置されているが、Z軸方向に並んで配置される収容部216の数は、2であってもよく、4以上であってもよい。また、Z軸方向に並ぶ複数の収容部216は、対向面115aに換えてまたは加えて、他の対向面(対向面115b、127a、127b)に設けられてもよい。
【0061】
[3-3.変形例3]
図10は、実施の形態の変形例3に係る外装体本体110cの斜視図である。
図10では、本体開口部111の周縁に配置された第一壁部115の一部が拡大して図示されている。
図11は、実施の形態の変形例3に係る外装体10cにおける外装体本体110c及び蓋体120の接合部分を示す斜視断面図である。
【0062】
図10及び
図11に示すように、本変形例に係る外装体10cは、外装体本体110c及び蓋体120を有し、外装体本体110cの第一壁部115が、蓋体120の溝部127に挿入された状態で、第一壁部115と溝部127とが接着剤180によって接合されている。この構成において、本変形例に係る外装体10cと実施の形態に係る外装体10とは共通する。
【0063】
本変形例では、第一壁部115に、Z軸プラス方向の先端部から切欠き状に形成された収容部217が設けられている点で、上記実施の形態とは異なる。つまり、本変形例に係る蓄電装置1は、以下のように説明される。
【0064】
蓄電装置1は、蓄電素子20を収容する外装体10cを備える。外装体10cは、外装体本体110cと、外装体本体110cに接合された蓋体120とを有する。外装体本体110cは、蓋体120及び外装体本体110cの一方に対する他方の取付方向である第一方向(本変形例ではZ軸方向)に沿って立設された第一壁部115を有する。蓋体120は、第一壁部115がZ軸方向に挿入され、かつ、第一壁部115と接着剤180で接合された溝部127を有する。第一壁部115には、溝部127の内底面127cに対向する先端部から切欠き状に形成された、接着剤180を収容するための収容部217が設けられている。
【0065】
この構成によれば、外装体本体110cと蓋体120とが、外装体本体110cの第一壁部115が蓋体120の溝部127に挿入された状態で、接着剤180によって接合される。この接合構造において、外装体本体110cの第一壁部115に、先端部から切欠き状に形成された収容部217が設けられている。従って、収容部217がない場合よりも、第一壁部115における接着面積(接着剤180に密着する面積)が増加し、その結果、外装体本体110cと蓋体120との接合強度が向上する。また、比較的に多い量の接着剤180を溝部127に流し入れた状態で、溝部127に第一壁部115を挿入した場合であっても、収容部217に接着剤180が収容されることで、溝部127からの接着剤180の溢れ出しが抑制される。そのため、例えば、比較的に多い量の接着剤180によって外装体本体110cと蓋体120との接合強度を向上させることができ、かつ、接着剤180の量の厳密な管理、及び、溢れ出した接着剤180のふき取り作業等は不要である。さらに、収容部217が、第一壁部115の溝部127への挿入方向(Z軸プラス方向)の先端部から切欠き状に設けられていることで、接着剤180は、収容部217に収容されやすい。つまり、第一壁部115の溝部127への挿入時に、収容部217は接着剤180を効率よく収容することができる。このことも、接着剤180の溝部127からの溢れ出しの抑制に寄与する。このように、本変形例に係る蓄電装置1は、簡易な構成で信頼性が向上された蓄電装置である。
【0066】
また、収容部217は、第一壁部115の先端部から切欠き状に設けられているため、例えば、外装体本体110cの成形に用いる金型によって、外装体本体110cの全体とともに、収容部217を有する第一壁部115を成形することができる。
【0067】
なお、
図10及び
図11では、収容部217の、第二方向(
図11におけるY軸方向)から見た場合の形状は、Z軸方向に長尺状の単純な矩形状である。しかし、収容部217は、第二方向から見た場合の形状として、U字状またはV字状など各種の形状を採用し得る。また、収容部217は、第一壁部115を、厚み方向(第二方向)に貫通せずに設けられてもよい。例えば、収容部217は、対向面115aから陥凹状に設けられ、かつ、第一壁部115のZ軸プラス方向の先端部に開口する溝として設けられてもよい。
【0068】
[3-4.変形例4]
図12は、実施の形態の変形例4に係る外装体10dにおける外装体本体110d及び蓋体120の接合部分を示す斜視断面図である。
図12に示すように、本変形例に係る外装体10dは、外装体本体110d及び蓋体120を有し、外装体本体110dの第一壁部115が、蓋体120の溝部127に挿入された状態で、第一壁部115と溝部127とが接着剤180によって接合されている。この構成において、本変形例に係る外装体10dと実施の形態に係る外装体10とは共通する。
【0069】
本変形例では、第一壁部115の、Z軸プラス方向の先端部に傾斜面118が形成されている点で、上記実施の形態とは異なる。具体的には、本変形例に係る蓄電装置1は、以下のように説明される。
【0070】
蓄電装置1は、蓄電素子20を収容する外装体10dを備える。外装体10dは、外装体本体110dと、外装体本体110dに接合された蓋体120とを有する。外装体本体110dは、蓋体120及び外装体本体110dの一方に対する他方の取付方向である第一方向(本変形例ではZ軸方向)に沿って立設された第一壁部115を有する。蓋体120は、第一壁部115がZ軸方向に挿入され、かつ、第一壁部115と接着剤180で接合された溝部127を有する。第一壁部115は、第一壁部115の溝部127への挿入方向(Z軸プラス方向)の先端部に設けられた傾斜面118を有する。傾斜面118は、第一壁部115における、第一壁部115の厚み方向である第二方向(
図12におけるY軸方向)の一端から他端に行くに従って、溝部127の内底面127cから離れるように傾けられている。
【0071】
この構成によれば、溝部127に第一壁部115を挿入する際に、溝部127の中で第一壁部115に押し出されて移動する接着剤180の主たる移動方向を、傾斜面118によって制御することができる。本変形例では、外装体10dの外部側、つまり、第一壁部115の厚み方向(第二方向)の一方である、Y軸マイナス方向への接着剤180の溢れ出しを抑制する必要がある。この場合、
図12に示すように、第一壁部115の先端部に、Y軸マイナス方向からY軸プラス方向に行くに従って、溝部127の内底面127cから離れるように傾いた傾斜面118を形成する。この場合、傾斜面118によって、接着剤180は主としてY軸プラス方向側、つまり、外装体10dの内部側に押しやられる。その結果、外装体本体110d及び蓋体120の接合部分から外装体10dの外部側への接着剤180の溢れ出しがより確実に抑制される。
【0072】
なお、傾斜面118は、平坦な面である必要はなく、湾曲面であってもよい。また、本変形例に係る外装体10dは、さらに、第一壁部115の対向面115a及び115b、並びに、溝部127の対向面127a及び127bの内の少なくとも1つの対向面に、当該対向面から陥凹状に形成された収容部(収容部116、129、216等)を備えてもよい。例えば、外装体10dの外部に近い、対向面127a及び115aの少なくとも一方に収容部が設けられていることで、溝部127内において外装体10dの外部側に向かう接着剤180を収容部に収容することができる。そのため、外装体10dの外部への接着剤180の溢れ出しをより確実に抑制することができる。また、例えば、外装体10dの内部に近い、対向面115b及び127bの少なくとも一方に収容部が設けられていることで、傾斜面118によって溝部127内における外装体10dの内部側に案内された接着剤180を、収容部に収容することができる。つまり、傾斜面118によって、外装体10dの外部への接着剤180の溢れ出しを抑制しつつ、収容部によって、外装体10dの内部への接着剤180の溢れ出しも抑制することができる。
【0073】
(他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、この実施の形態及び変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0074】
例えば、実施の形態に係る外装体本体110では、
図3に示すように、第一壁部115の延在方向(X軸方向及びY軸方向)の全域に連続して収容部116が設けられているが、収容部116は、当該延在方向に断続的に形成されてもよい。つまり、収容部116は、第一方向及び第二方向に直交する第三方向(例えば
図6におけるX軸方向)に、分散して複数配置されていてもよい。この場合、例えば、収容部116の1つあたりの収容可能な接着剤180の容積等に応じて、収容部116の数及び位置等が決定されてもよい。
【0075】
また、収容部116の断面形状及びサイズは、
図5及び
図6に示される断面形状及びサイズである必要はない。例えば、断面がV字状の溝が収容部116として対向面115a等の対向面に設けられてもよい。
【0076】
また、
図6等に示される接合構造で接合される第一部材及び第二部材は、外装体本体110と蓋体120との組み合わせには限定されない。例えば、外装体本体110が、蓄電素子ユニット24(
図2参照)が収容される空間と、他の空間とを隔てる部材(例えば「中蓋」という。)を備える場合、第一部材である外装体本体110と、第二部材である中蓋との接合に例えば、
図6等に示される接合構造が採用されてもよい。
【0077】
また、外装体10の形状は略直方体状(箱状)である必要はない。例えば、一端が閉じられた円筒状の外装体本体と、円形の開口部を塞ぐ、平面視で円形状の蓋体で構成された外装体との接合に、例えば
図6等に示される接合構造が採用されてもよい。
【0078】
また、上記説明された複数の構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、
図9に示す、Z軸方向に並ぶ複数の収容部216が、
図7に示す収容部116に換えて、第一壁部115に配置されてもよい。また、
図11に示す、第一壁部115の先端部から切欠き状に形成された収容部217が、
図12に示す、傾斜面118を有する第一壁部115に設けられてもよい。つまり、実施の形態および変形例1~4のそれぞれで説明された収容部等の構成が2以上選択されて組み合わされてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置に適用できる。
【符号の説明】
【0080】
1 蓄電装置
10、10a、10b、10c、10d 外装体
20 蓄電素子
110、110b、110c、110d 外装体本体
111 本体開口部
115 第一壁部
115a、115b、127a、127b 対向面
116、129、216、217 収容部
116a 内側面
118 傾斜面
120、120a 蓋体
125、128 第二壁部
127 溝部
127c 内底面
180 接着剤