(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170276
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】充電制御システム及び充電制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20221102BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221102BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H02J7/02 G
H02J7/00 P
H02J7/02 J
H02J3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076310
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】712005920
【氏名又は名称】新明和パークテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤川 淳
(72)【発明者】
【氏名】松田 理子
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066AA05
5G066LA03
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503CC02
5G503GD03
(57)【要約】
【課題】駐車装置の充電パレットの増設に対応しつつ、車両の充電時の電力量を抑制する。
【解決手段】充電制御システム10は、一次側電源60に接続される受電部12と、複数の充電パレットに設置される複数の充電コンセント14と、受電部12からの電力の供給先を複数の充電コンセント14の中で切り替える切替部20と、受電部12から切替部20へ至る電力量を計測する電力量計30と、制御部34とを含み、制御部34は、充電対象として選定された1台の車両に電力が供給されるように、且つ、充電対象の車両が切り替わるように、切替部20を制御する。これにより、充電コンセント14の数に関わらず、一次側電源60から常に1台の車両へのみ電力が供給されるため、車両の充電時の電力量を抑制することができ、充電パレット84の増設に容易に対応することが可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を収容する複数のパレットを備えた駐車装置において、車両の充電に利用される充電制御システムであって、
一次側の電源に接続される受電部と、
前記複数のパレットのうち、車両の充電に対応する複数の充電パレットの各々に設置され、充電ケーブルを介して車両と接続される複数の充電コンセントと、
前記受電部と前記複数の充電コンセントとに接続され、前記受電部からの電力の供給先を前記複数の充電コンセントの中で切り替えるための切替部と、
前記受電部から前記切替部へ至る電力量を計測するための電力量計と、
システム全体を制御する制御部と、を含み、
該制御部は、前記複数の充電コンセントに接続された車両の中で、充電対象として選定された1台の車両に電力が供給されるように、且つ、前記充電対象の車両が切り替わるように、前記切替部を制御するものであることを特徴とする充電制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記充電対象の車両を切り替える際に、現在電力が供給されている車両の充電が完了したことをトリガとして、前記充電対象の車両を切り替えることを特徴とする請求項1記載の充電制御システム。
【請求項3】
前記駐車装置は、地下に造成されたピットと地上との間を、支柱を介して上下に連接された複数の昇降パレットが昇降するピット式の駐車装置であって、前記複数の昇降パレットのうち、2つ以上の昇降パレットが前記充電パレットに相当し、
更に、前記切替部と前記複数の充電コンセントとの間に介在し、前記複数の充電コンセントへ至る電力供給配線の分岐の基点となる中継端子台を含み、
該中継端子台は、前記複数の昇降パレットのうち、最上段の昇降パレットに設置されることを特徴とする請求項1又は2記載の充電制御システム。
【請求項4】
更に、前記ピット内に設置される冠水センサを含み、
前記制御部は、前記冠水センサにより前記ピット内の冠水が検知された場合に、全ての前記複数の充電コンセントに対する電力供給が遮断されるように、前記切替部を制御することを特徴とする請求項3記載の充電制御システム。
【請求項5】
前記複数の充電コンセントが、前記支柱に設けられていることを特徴とする請求項3又は4記載の充電制御システム。
【請求項6】
更に、前記受電部に接続され、車両へ急速充電を行うための急速充電器と、前記充電パレットの各々に設置され、急速充電のために車両へ接続される複数の急速充電接続手段とを含み、
前記切替部は、前記受電部と前記複数の充電コンセントとに接続された普通用切替部と、前記急速充電器と前記複数の急速充電接続手段とに接続された急速用切替部とを有し、
前記制御部は、前記充電対象の車両の残りの充電量に応じて、前記充電対象の車両に接続された前記充電コンセントと前記急速充電接続手段とのいずれか一方に電力が供給されるように、前記普通用切替部及び前記急速用切替部を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の充電制御システム。
【請求項7】
更に、前記受電部へ互いに並列に接続され、車両へ急速充電を行うための小容量及び大容量の2つの急速充電器と、前記充電パレットの各々に設置され、急速充電のために車両へ接続される複数の急速充電接続手段とを含み、
前記切替部は、前記小容量の急速充電器と前記複数の急速充電接続手段とに接続された第1切替部と、前記大容量の急速充電器と前記複数の急速充電接続手段とに、前記第1切替部と並列に接続された第2切替部とを有し、
前記制御部は、前記充電対象の車両の残りの充電量に応じて、前記充電対象の車両に接続された前記急速充電接続手段に対して、前記小容量の急速充電器と前記大容量の急速充電器とのいずれか一方から電力が供給されるように、前記第1切替部及び前記第2切替部を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の充電制御システム。
【請求項8】
更に、前記電力量計により計測された電力量に基づいて、利用者へクラウドサービスを介して充電料金を請求するための料金請求部を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の充電制御システム。
【請求項9】
車両を収容する複数のパレットを備えた駐車装置において、車両の充電に利用する充電制御方法であって、
一次側の電源に受電部を接続し、
前記複数のパレットのうち、車両の充電に対応させる複数の充電パレットの各々に、充電ケーブルを介して車両と接続される複数の充電コンセントを設置し、
前記受電部と前記複数の充電コンセントとに、前記受電部からの電力の供給先を前記複数の充電コンセントの中で切り替えるための切替部を接続し、
前記受電部から前記切替部へ至る電力量を計測するように電力量計を設置し、
前記複数の充電コンセントに接続された車両の中で、充電対象として選定した1台の車両に電力を供給するように、且つ、前記充電対象の車両を切り替えるように、前記切替部を制御することを特徴とする充電制御方法。
【請求項10】
前記充電対象の車両を切り替える際に、現在電力が供給されている車両の充電が完了したことをトリガとして、前記充電対象の車両を切り替えることを特徴とする請求項9記載の充電制御方法。
【請求項11】
前記駐車装置は、地下に造成されたピットと地上との間を、支柱を介して上下に連接された複数の昇降パレットが昇降するピット式の駐車装置であって、前記複数の昇降パレットのうち、2つ以上の昇降パレットが前記充電パレットに相当し、
前記切替部と前記複数の充電コンセントとの間に、前記複数の充電コンセントへ至る電力供給配線の分岐の基点となる中継端子台を介在させ、
該中継端子台を、前記複数の昇降パレットのうち、最上段の昇降パレットに設置することを特徴とする請求項9又は10記載の充電制御方法。
【請求項12】
前記ピット内に冠水センサを設置し、
該冠水センサにより前記ピット内の冠水を検知した場合に、全ての前記複数の充電コンセントに対する電力供給を遮断するように、前記切替部を制御することを特徴とする請求項11記載の充電制御方法。
【請求項13】
前記複数の充電コンセントを、前記支柱に設けることを特徴とする請求項11又は12記載の充電制御方法。
【請求項14】
前記受電部に、車両へ急速充電を行うための急速充電器を接続し、
急速充電のために車両へ接続する複数の急速充電接続手段を、前記充電パレットの各々に設置し、
前記切替部として、前記受電部と前記複数の充電コンセントとに接続した普通用切替部と、前記急速充電器と複数の前記急速充電接続手段とに接続した急速用切替部とを設置し、
前記充電対象の車両の残りの充電量に応じて、前記充電対象の車両に接続された前記充電コンセントと前記急速充電接続手段とのいずれか一方に電力を供給するように、前記普通用切替部及び前記急速用切替部を制御することを特徴とする請求項9から13のいずれか1項記載の充電制御方法。
【請求項15】
前記受電部に、車両へ急速充電を行うための小容量及び大容量の2つの急速充電器を互いに並列に接続し、
急速充電のために車両へ接続する複数の急速充電接続手段を、前記充電パレットの各々に設置し、
前記切替部として、前記小容量の急速充電器と前記複数の急速充電接続手段とに接続した第1切替部と、前記大容量の急速充電器と前記複数の急速充電接続手段とに、前記第1切替部と並列に接続した第2切替部とを設置し、
前記充電対象の車両の残りの充電量に応じて、前記充電対象の車両に接続された前記急速充電接続手段に対して、前記小容量の急速充電器と前記大容量の急速充電器とのいずれか一方から電力を供給するように、前記第1切替部及び前記第2切替部を制御することを特徴とする請求項9から13のいずれか1項記載の充電制御方法。
【請求項16】
前記電力量計により計測された電力量に基づいて、利用者へクラウドサービスを介して充電料金を請求することを特徴とする請求項9から15のいずれか1項記載の充電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を収容する複数のパレットを備えた駐車装置において、車両の充電に利用される充電制御システム及び充電制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への配慮などから、電気自動車やハイブリッド車の需要が益々高まり、それに伴って、電気自動車やプラグインハイブリッド車へ充電するための充電設備の需要も高まっている。このため、平面駐車場や機械式の立体駐車装置などでも、車両の充電に対応した充電駐車スペースの確保や、そのような充電駐車スペースの増設が求められている。例えば、特許文献1には、集合住宅の平面駐車場に駐車されている車両へ電力を供給するための電力供給システムが開示されており、このシステムでは、充電駐車スペースを設置する際の課題の1つである、導入コストの低減が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した電力供給システムは、駐車スペースへ設置される複数の充電器を複数のグループに分け、電力を供給する充電器をそのグループ単位で切り替えているため、同じグループに含まれる複数の充電器に対して同時に電力が供給されることになる。このため、このような電力の供給方法を、車両を収容する複数のパレットの移動にも電力を使用し、車両の充電に使用可能な電力量などの制約を受ける駐車装置へ、そのまま転用することはできない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、駐車装置の充電パレットの増設に対応しつつ、車両の充電時の電力量を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)車両を収容する複数のパレットを備えた駐車装置において、車両の充電に利用される充電制御システムであって、一次側の電源に接続される受電部と、前記複数のパレットのうち、車両の充電に対応する複数の充電パレットの各々に設置され、充電ケーブルを介して車両と接続される複数の充電コンセントと、前記受電部と前記複数の充電コンセントとに接続され、前記受電部からの電力の供給先を前記複数の充電コンセントの中で切り替えるための切替部と、前記受電部から前記切替部へ至る電力量を計測するための電力量計と、システム全体を制御する制御部と、を含み、該制御部は、前記複数の充電コンセントに接続された車両の中で、充電対象として選定された1台の車両に電力が供給されるように、且つ、前記充電対象の車両が切り替わるように、前記切替部を制御するものである充電制御システム(請求項1)。
【0007】
本項に記載の充電制御システムは、受電部、複数の充電コンセント、切替部、電力量計、及び制御部を含み、受電部には、車両の充電に使用される電力の供給元である一次側の電源が接続される。複数の充電コンセントは、車両が収容される駐車装置の複数のパレットのうち、車両の充電に対応する複数の充電パレットの各々に設置され、充電パレットに収容されている車両に対して、充電ケーブルを介して接続される。切替部は、受電部と複数の充電コンセントとの間に介在してそれらの双方に接続され、受電部からの電力の供給先を複数の充電コンセントの中で切り替えるものである。すなわち、一次側の電源から供給される電力は、まず受電部によって本システムに取り込まれ、そこから切替部へと達し、切替部によって複数の充電コンセントの中で供給先が切り替えられる。
【0008】
電力量計は、上記のようにして受電部から切替部へ至る電力量を計測するものであり、制御部は、本システム全体の制御を担うものである。そして、制御部は、システム制御の一環として切替部を制御し、このとき、複数の充電コンセントに接続された車両の中で、充電対象として選定された1台の車両に電力が供給されるように、且つ、その充電対象の車両が切り替わるように、切替部を制御する。すなわち、受電部を介して取り込まれた電力は、常に、充電対象として選定された1台の車両へのみ供給され、更に、その電力の供給先となる1台の充電対象の車両が切り替わるものである。
【0009】
これにより、複数の充電コンセントの中で車両に接続されている充電コンセントの数に関わらず、一次側の電源から常に1台の車両へのみ電力が供給されるため、車両の充電時の電力量が抑制されるものである。しかも、駐車装置の充電パレットの数が増えても、充電時の電力量は常に車両1台分であるため、充電パレットの増設に容易に対応するものとなる。更に、一次側の電源からの電力の供給先が、切替部によって複数の充電コンセントの中で切り替えられる単純な構成であるため、設備コストも抑制されるものである。なお、充電コンセントに車両が接続されているか否かの把握方法は、例えば、電力量計を監視して各充電コンセントに電力が流れるか否かで把握する方法や、接続を物理的に検知する信号を利用する方法など、任意である。
【0010】
(2)上記(1)項において、前記制御部は、前記充電対象の車両を切り替える際に、現在電力が供給されている車両の充電が完了したことをトリガとして、前記充電対象の車両を切り替える充電制御システム(請求項2)。
本項に記載の充電制御システムは、制御部により切替部を制御して充電対象の車両を切り替える際に、現在の充電対象であって現在電力が供給されている車両の充電が完了したことをトリガとして、充電対象の車両を切り替えるものである。このとき、車両の充電が完了したことの把握は、電力量計によって計測される現在の充電対象の車両に接続された充電コンセントへ流れる電力量を監視し、その電力量がゼロに近くなったら充電が完了したと判定すればよい。これにより、充電コンセントに接続されている車両が複数台あったとしても、現在の充電対象の車両の充電が完了してから充電対象の車両が切り替わるため、いずれは全ての車両が満充電まで充電されることとなり、効率的に全車両の充電が行われるものとなる。
【0011】
(3)上記(1)(2)項において、前記駐車装置は、地下に造成されたピットと地上との間を、支柱を介して上下に連接された複数の昇降パレットが昇降するピット式の駐車装置であって、前記複数の昇降パレットのうち、2つ以上の昇降パレットが前記充電パレットに相当し、更に、前記切替部と前記複数の充電コンセントとの間に介在し、前記複数の充電コンセントへ至る電力供給配線の分岐の基点となる中継端子台を含み、該中継端子台は、前記複数の昇降パレットのうち、最上段の昇降パレットに設置される充電制御システム(請求項3)。
【0012】
本項に記載の充電制御システムは、ピット式の駐車装置に適用されるものであり、このピット式の駐車装置では、地下に造成されたピットと地上との間を、支柱を介して上下に連接された複数の昇降パレットが昇降する。そして、それら複数の昇降パレットのうち、2つ以上の昇降パレットが、車両の充電に対応した充電パレットになっている。また、本項に記載の充電制御システムは、切替部と複数の充電コンセントとの間に介在する中継端子台を更に含んでいる。この中継端子台は、複数の充電コンセントへ至る電力供給配線の分岐の基点となっており、複数の昇降パレットのうちの最上段の昇降パレットに設置される。
【0013】
すなわち、切替部から複数の充電コンセントまでの複数の電力供給配線は、最上段の昇降パレットに設置された中継端子台まで纏められた状態で至り、その中継端子台で分岐された後、各充電パレットまで延びている。ここで、ピット式の駐車装置の最上段の昇降パレットは、連接された複数の昇降パレットが昇降しても、地下のピット内に配置されることはなく、常に地上側に配置されているため、最上段の昇降パレットに設置された中継端子台も、常に地上側に配置されることになる。これにより、例えば天候の影響などで地下のピット内が冠水したとしても、常に地上側にある中継端子台が水没することはないため、安全対策により一層配慮したものとなる。
【0014】
(4)上記(3)項において、更に、前記ピット内に設置される冠水センサを含み、前記制御部は、前記冠水センサにより前記ピット内の冠水が検知された場合に、全ての前記複数の充電コンセントに対するされるように、前記切替部を制御する充電制御システム(請求項4)。
本項に記載の充電制御システムは、ピット式の駐車装置のピット内に設置される冠水センサを更に含んでいる。そして、この冠水センサによって、例えば天候の影響などによるピット内の冠水が検知された場合に、全ての複数の充電コンセントに対する電力供給が遮断されるように、制御部により切替部を制御するものである。すなわち、ピット内が冠水した状態では、ピット内に配置されている充電パレットが水没している虞があるため、そのような充電パレットの充電コンセントを含む全ての充電コンセントへの電力供給が遮断されることで、より万全に安全性が確保されるものである。
【0015】
(5)上記(3)(4)項において、前記複数の充電コンセントが、前記支柱に設けられている充電制御システム(請求項5)。
本項に記載の充電制御システムは、複数の昇降パレットのうちの充電に対応した充電パレットに設置される複数の充電コンセントが、複数の昇降パレットを接続している支柱に設けられたものである。これにより、充電コンセントのための専用のスタンドなどが不要になるため、外観が向上されると共に、複数の充電コンセントへ至る電力供給配線が、支柱に沿ってコンパクトに纏まるため、そのような配線への引っ掛かりのリスクが最小化されるものとなる。
【0016】
(6)上記(1)から(5)項において、更に、前記受電部に接続され、車両へ急速充電を行うための急速充電器と、前記充電パレットの各々に設置され、急速充電のために車両へ接続される複数の急速充電接続手段とを含み、前記切替部は、前記受電部と前記複数の充電コンセントとに接続された普通用切替部と、前記急速充電器と前記複数の急速充電接続手段とに接続された急速用切替部とを有し、前記制御部は、前記充電対象の車両の残りの充電量に応じて、前記充電対象の車両に接続された前記充電コンセントと前記急速充電接続手段とのいずれか一方に電力が供給されるように、前記普通用切替部及び前記急速用切替部を制御する充電制御システム(請求項6)。
【0017】
本項に記載の充電制御システムは、車両へ急速充電を行うための急速充電器を更に含み、この急速充電器は受電部に接続される。また、本項に記載の充電制御システムは、急速充電のために車両へ接続される複数の急速充電接続手段を更に含み、これら複数の急速充電接続手段の各々は、充電パレットに設置される。このため、充電パレットの各々には、普通充電のために車両に接続される充電コンセントと、急速充電のために車両に接続される急速充電接続手段との双方が設置される。そして、充電コンセントが充電ケーブルを介して車両の普通充電用のジャックへ、急速充電接続手段が車両の急速充電用のジャックへと、別々に且つ同時に接続される。急速充電接続手段は、充電ケーブルなどを介して車両へ接続されるコンセントタイプであってもよく、コンセントを介さずに直接車両へ接続されるケーブルタイプなどであってもよい。更に、切替部は、受電部と複数の充電コンセントとの間に介在してそれらの双方に接続された普通用切替部と、急速充電器と複数の急速充電接続手段との間に介在してそれらの双方に接続された急速用切替部とを有している。すなわち、普通用切替部は、電力の供給先を複数の充電コンセントの中で切り替えるものであり、急速用切替部は、電力の供給先を複数の急速充電接続手段の中で切り替えるものである。
【0018】
上記のような構成により、受電部から普通用切替部を介して複数の充電コンセントへ至る普通充電用の電力供給ルートと、受電部から急速充電器を経て、更に急速用切替部を介して複数の急速充電接続手段へ至る急速充電用の電力供給ルートとが、並列に存在することになる。そして、制御部は、充電対象の車両の残りの充電量に応じて、充電対象の車両に接続された充電コンセントと急速充電接続手段とのいずれか一方に電力が供給されるように、普通用切替部及び急速用切替部を制御する。このとき、充電中の車両の残りの充電量は、例えば、電力量計で計測される現在流れている電流量などに基づいて判定される。より具体的には、充電対象の各車両の充電中に、計測される電流量が予め設定された閾値以上である間は、急速充電接続手段に電力が供給されるように制御し、計測される電流量が予め設定された閾値を下回った時点で、充電コンセントへの電力供給に移行してもよい。このように、普通充電と急速充電との双方に対応することで、普通充電のみで充電が行われる場合と比較して、各車両の満充電までの充電時間が短くなり、複数台の車両が効率よく充電されるものとなる。
【0019】
(7)上記(1)から(5)項において、更に、前記受電部へ互いに並列に接続され、車両へ急速充電を行うための小容量及び大容量の2つの急速充電器と、前記充電パレットの各々に設置され、急速充電のために車両へ接続される複数の急速充電接続手段とを含み、前記切替部は、前記小容量の急速充電器と前記複数の急速充電接続手段とに接続された第1切替部と、前記大容量の急速充電器と前記複数の急速充電接続手段とに、前記第1切替部と並列に接続された第2切替部とを有し、前記制御部は、前記充電対象の車両の残りの充電量に応じて、前記充電対象の車両に接続された前記急速充電接続手段に対して、前記小容量の急速充電器と前記大容量の急速充電器とのいずれか一方から電力が供給されるように、前記第1切替部及び前記第2切替部を制御する充電制御システム(請求項7)。
【0020】
本項に記載の充電制御システムは、車両へ急速充電を行うための小容量及び大容量の2つの急速充電器を更に含み、これらの急速充電器が受電部へ互いに並列に接続される。加えて、本項に記載の充電制御システムは、急速充電のために車両へ接続される複数の急速充電接続手段を更に含み、これら複数の急速充電接続手段の各々は、充電パレットに設置され、車両の急速充電用のジャックへと接続される。急速充電接続手段は、充電ケーブルなどを介して車両へ接続されるコンセントタイプであってもよく、コンセントを介さずに直接車両へ接続されるケーブルタイプなどであってもよい。また、切替部は、小容量の急速充電器と複数の急速充電接続手段との間に介在してそれらの双方に接続された第1切替部と、大容量の急速充電器と複数の急速充電接続手段との間に介在してそれらの双方に、第1切替部と並列に接続された第2切替部とを有している。すなわち、第1切替部は、小容量の急速充電器からの電力の供給先を、複数の急速充電接続手段の中で切り替えるものであり、第2切替部は、大容量の急速充電器からの電力の供給先を、複数の急速充電接続手段の中で切り替えるものである。
【0021】
上記のような構成により、受電部から小容量の急速充電器を経て、更に第1切替部を介して複数の急速充電接続手段へ至る小容量急速充電用の電力供給ルートと、受電部から大容量の急速充電器を経て、更に第2切替部を介して複数の急速充電接続手段へ至る大容量急速充電用の電力供給ルートとが、並列に存在することになる。そして、制御部は、充電対象の車両の残りの充電量に応じて、充電対象の車両に接続された急速充電接続手段に対して、小容量の急速充電器と大容量の急速充電器とのいずれか一方から電力が供給されるように、第1切替部及び第2切替部を制御する。
【0022】
また、上記(6)項にも記載したように、充電中の車両の残りの充電量は、例えば、電力量計で計測される現在流れている電流量などに基づいて判定される。より具体的には、充電対象の各車両の充電中に、計測される電流量が予め設定された閾値以上である間は、大容量の急速充電器から電力が供給されるように制御し、計測される電流量が予め設定された閾値を下回った時点で、小容量の急速充電器からの電力供給に移行してもよい。このように、大容量及び小容量の充電器が利用された急速充電に特化することで、車両への電源供給系統が急速充電用の1つに抑えられつつ、大容量の充電器のみが使用される場合よりも、電力量が抑制されるものとなる。更に、普通充電で車両の充電が行われる場合と比較して、各車両の満充電までの充電時間が大幅に短くなり、複数台の車両がより効率よく充電されるものとなる。
【0023】
(8)上記(1)から(7)項において、更に、前記電力量計により計測された電力量に基づいて、利用者へクラウドサービスを介して充電料金を請求するための料金請求部を含む充電制御システム(請求項8)。
本項に記載の充電制御システムは、このシステムを利用して車両の充電を行った利用者に対して、充電料金を請求するための料金請求部を更に含むものである。この料金請求部は、インターネットなどの外部ネットワークを介して通信可能になっており、例えば利用者が所持するスマートフォンなどの機器に対して、クラウドサービスを介して充電料金を請求する。すなわち、料金請求部は、電力量計により計測される電力量を、充電対象として選定された車両毎に把握し、予め取得している各車両の利用者の連絡先に対して、車両毎に把握された電力量から算出される充電料金を請求する。これにより、専用の精算機の設置や現金の直接的なやり取りを行う必要もなく、充電料金が円滑に徴収されるものとなる。
【0024】
(9)車両を収容する複数のパレットを備えた駐車装置において、車両の充電に利用する充電制御方法であって、一次側の電源に受電部を接続し、前記複数のパレットのうち、車両の充電に対応させる複数の充電パレットの各々に、充電ケーブルを介して車両と接続される複数の充電コンセントを設置し、前記受電部と前記複数の充電コンセントとに、前記受電部からの電力の供給先を前記複数の充電コンセントの中で切り替えるための切替部を接続し、前記受電部から前記切替部へ至る電力量を計測するように電力量計を設置し、前記複数の充電コンセントに接続された車両の中で、充電対象として選定した1台の車両に電力を供給するように、且つ、前記充電対象の車両を切り替えるように、前記切替部を制御する充電制御方法(請求項9)。
【0025】
(10)上記(9)項において、前記充電対象の車両を切り替える際に、現在電力が供給されている車両の充電が完了したことをトリガとして、前記充電対象の車両を切り替える充電制御方法(請求項10)。
(11)上記(9)(10)項において、前記駐車装置は、地下に造成されたピットと地上との間を、支柱を介して上下に連接された複数の昇降パレットが昇降するピット式の駐車装置であって、前記複数の昇降パレットのうち、2つ以上の昇降パレットが前記充電パレットに相当し、前記切替部と前記複数の充電コンセントとの間に、前記複数の充電コンセントへ至る電力供給配線の分岐の基点となる中継端子台を介在させ、該中継端子台を、前記複数の昇降パレットのうち、最上段の昇降パレットに設置する充電制御方法(請求項11)。
【0026】
(12)上記(11)項において、前記ピット内に冠水センサを設置し、該冠水センサにより前記ピット内の冠水を検知した場合に、全ての前記複数の充電コンセントに対する電力供給を遮断するように、前記切替部を制御する充電制御方法(請求項12)。
(13)上記(11)(12)項において、前記複数の充電コンセントを、前記支柱に設ける充電制御方法(請求項13)。
【0027】
(14)上記(9)から(13)項において、前記受電部に、車両へ急速充電を行うための急速充電器を接続し、急速充電のために車両へ接続する複数の急速充電接続手段を、前記充電パレットの各々に設置し、前記切替部として、前記受電部と前記複数の充電コンセントとに接続した普通用切替部と、前記急速充電器と複数の前記急速充電接続手段とに接続した急速用切替部とを設置し、前記充電対象の車両の残りの充電量に応じて、前記充電対象の車両に接続された前記充電コンセントと前記急速充電接続手段とのいずれか一方に電力を供給するように、前記普通用切替部及び前記急速用切替部を制御する充電制御方法(請求項14)。
【0028】
(15)上記(9)から(13)項において、前記受電部に、車両へ急速充電を行うための小容量及び大容量の2つの急速充電器を互いに並列に接続し、急速充電のために車両へ接続する複数の急速充電接続手段を、前記充電パレットの各々に設置し、前記切替部として、前記小容量の急速充電器と前記複数の急速充電接続手段とに接続した第1切替部と、前記大容量の急速充電器と前記複数の急速充電接続手段とに、前記第1切替部と並列に接続した第2切替部とを設置し、前記充電対象の車両の残りの充電量に応じて、前記充電対象の車両に接続された前記急速充電接続手段に対して、前記小容量の急速充電器と前記大容量の急速充電器とのいずれか一方から電力を供給するように、前記第1切替部及び前記第2切替部を制御する充電制御方法(請求項15)。
【0029】
(16)上記(9)から(15)項において、前記電力量計により計測された電力量に基づいて、利用者へクラウドサービスを介して充電料金を請求する充電制御方法(請求項16)。
そして、(9)項から(16)項に記載の充電制御方法は、各々、上記(1)から(8)項の充電制御システムを用いて実行されることで、上記(1)から(8)項の充電制御システムと同様の作用を奏するものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明はこのように構成したので、駐車装置の充電パレットの増設に対応しながらも、車両の充電時の電力量を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施の形態に係る充電制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1の充電制御システムが適用されたピット式の駐車装置を側方から示すイメージ図である。
【
図3】
図1の充電制御システムの電気回路の概略構成を示す回路図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る充電制御システムの、車両の急速充電に対応した形態を示す電気回路の概略構成図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る充電制御システムの、車両の急速充電に対応した
図4と異なる形態を示す電気回路の概略構成図である。
【
図6】ピット式の駐車装置に適用された本発明の実施の形態に係る充電制御システムの、
図2と異なる形態を側方から示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。また、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略するものとする。
まず、本発明の実施の形態に係る充電制御システム10は、例えば集合住宅などに設置される、車両を収容する複数のパレットを備えた駐車装置で利用されるものである。そして、そのような駐車装置に駐車される車両のうち、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの、内蔵するバッテリが充電ケーブルを介して充電可能なあらゆる車両を、充電の対象とするものである。
【0033】
図1は、本発明の実施の形態に係る充電制御システム10の構成の一例を示し、
図2は、その充電制御システム10が適用された駐車装置80を側方から示している。
図2の駐車装置80は、地下に造成されたピット86を利用した所謂ピット式の駐車装置であって、複数の支柱88を介して上下に連接された複数(
図2の実施形態では3つ)の昇降パレット82を有している。そして、これら複数の昇降パレット82は、最上段の昇降パレット82が地上と同じ高さになる最下位置と、最下段の昇降パレット82が地上と同じ高さになる最上位置との間を、連接された状態で昇降移動するようになっている。このような複数の昇降パレット82が、
図2における紙面と直交する方向に、1列~複数列設置されている。なお、
図2では、図中の右側が車両の出庫方向前方である。
【0034】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施の形態に係る充電制御システム10は、受電部12、複数の充電コンセント14、切替部20、電力量計30、制御部34、中継端子台38、冠水センサ40、及び料金請求部50を含んでいる。受電部12は、電力会社から電力が供給される一次側電源60に、一次側電源接続ケーブル62を介して接続され、この受電部12が、本システム10から車両へ供給される充電用の電力の供給元となる。複数の充電コンセント14は、充電ケーブルを介して車両の普通充電用のジャックに接続されるものであって、駐車装置80が備える複数のパレット82のうち、車両の充電に対応した充電パレット84の各々に設置される。
図2の実施形態では、図示されている3つのパレット82の全てが充電パレット84になっており、各充電パレット84の後方側(図中左側)に立設された充電スタンド70に、充電コンセント14が設置されている。
【0035】
切替部20は、受電部12から供給される電力の供給先を、複数の充電コンセント14の中で切り替えるものであり、後述するように、制御部34からの制御を受けて電力の供給先が切り替えられる。このため、切替部20からは、充電コンセント14の数と等しい系統数の電力供給配線が、各充電コンセント14まで延びており、そのような電力供給配線の途中に、中継端子台38が設置されている。中継端子台38は、上記の複数系統の電力供給配線の分岐の基点となるものであって、複数系統の電力供給配線は、切替部20から中継端子台38まで纏められた状態(例えば多芯の1本のケーブル)で至り、中継端子台38において分岐して、系統毎のケーブルで各充電コンセント14へ至っている。
図2に示すように、中継端子台38は、駐車装置80の複数のパレット82のうち、最上段のパレット82に立設された充電スタンド70に設置されている。
【0036】
電力量計30は、受電部12から切替部20へ至る電力量を計測、換言すれば、車両の充電に現在使用されている電力量を計測するものであり、その計測結果が制御部34や料金請求部50に送信される。冠水センサ40は、ピット式の駐車装置80のピット86内の冠水を検知するものであって、
図2に示すように、ピット86の底部近傍に設置されている。冠水センサ40の検知結果は、常に制御部34によって把握されるようになっている。制御部34は、本システム10全体を制御するものであって、詳しくは後述するが、上述した電力量計30の計測結果や冠水センサ40の検知結果以外にも様々な情報を把握し、それらの情報に基づいてシステム10全体の制御を行う。
【0037】
料金請求部50は、充電制御システム10を利用して車両の充電を行った駐車装置80の利用者に対して、充電料金を請求するものである。その請求の方法は、例えば、クラウドサービス64を介して、スマートフォンやその他の携帯機器といった、利用者が所有する利用者所有機器66と通信を行い、それによって請求を行う。なお、利用者毎の充電料金の算出方法については後述する。
ここで、充電制御システム10の上述した構成要素のうち、受電部12、切替部20、電力量計30、及び制御部34の一部は、後述する電気回路に実装された状態で、
図2に示す制御盤72内に設置されている。また、料金請求部50が、制御盤72内に設置されていてもよい。制御盤72は、複数のパレット82の昇降移動の影響を受けない固定位置、例えば駐車装置80の地上枠90などに設置される。また、
図2には、制御盤72内の受電部12から一次側電源60へ延びる、一次側電源接続ケーブル62が図示されている。
【0038】
次に、
図3には、上述した受電部12、切替部20、電力量計30、及び制御部34の一部が実装された、電気回路の構成の一例を示している。なお、
図3の電気回路は、
図2に示した3つの充電パレット84へ電力を供給するものであるが、電力の供給先の充電パレット84の数は3つに限定されるものではなく、任意の数であってよい。
図3に示すように、受電部12は、R相及びT相で電力を受け、その受電部12から延びるR相及びT相の電力線が、漏電遮断器ELB及びサーマルリレーTHを経て、切替部20へと至っている。
【0039】
図3の実施形態の切替部20は、3つのマグネットスイッチMS11、MS12、MS13を含んでいる。マグネットスイッチMS11は、3つの充電パレット84のうち、
図2における下段の充電パレット84に設置された充電コンセント14へ至る電力線をオン/オフするものである。同様に、マグネットスイッチMS12は、中段の充電パレット84に設置された充電コンセント14へ至る電力線をオン/オフするものであり、マグネットスイッチMS13は、上段の充電パレット84に設置された充電コンセント14へ至る電力線をオン/オフするものである。これら3つのマグネットスイッチMS11、MS12、MS13は、制御部34によって制御されるリレーTF11、TF12、TF13によって開閉される。
【0040】
PLC(プログラマブルロジックコントローラ)は、制御部34の一部を構成するものであり、受電部12から切替部20へ流れる電力量を計測するように設置された電力量計30から、電力量の計測結果を取得する。また、PLC(制御部34)は、漏電遮断器ELBの遮断動作の有無を、漏電遮断器ELBに連動して動作するブレーカ警報スイッチBSWを介して取り込み、冠水センサ40の冠水検知の有無を、冠水センサ40に連動して動作する冠水警報スイッチFSWを介して取り込む。更に、PLCは、図示しない他の情報も取り込み、取り込んだ情報を利用して、様々な信号を出力する。例えば、PLCは、漏電遮断器ELBの遮断情報などに基づいて、駐車装置80で何らかの異常が発生していることを示す立駐異常信号を生成し、それを駐車装置80の制御を行う部位などに送信する。
【0041】
また、PLCは、充電対象選択信号によって、上述したようにリレーTF11、TF12、TF13を制御して、切替部20のマグネットスイッチMS11、MS12、MS13のオン/オフを制御することで、3つの充電コンセント14の中で電力の供給先を切り替える。例えば、PLCは、充電コンセント14毎に内部で生成する充電許可信号がオンであり、且つ、上述したような立駐異常信号がオフであり、且つ、冠水センサ40から取り込んだ冠水検知信号がオフである場合に限り、その充電コンセント14へ電力が供給されるように充電対象選択信号を出力する。すなわち、制御部34は、駐車装置80で何らかの異常が発生している場合や、駐車装置80のピット86内の冠水が検知された場合は、いずれの充電コンセント14へも電力が供給されないように、切替部20を制御する。
【0042】
また、上述した充電許可信号を充電コンセント14毎に内部で生成するにあたり、PLCは、所定の方法に従って充電対象として選定された1台の車両に電力を供給するために、その充電対象の車両に接続された充電コンセント14へのみ電力が供給されるように、充電許可信号を生成する。更にPLCは、例えば、電力量計30から取り込んだ電力量に基づいて、その電力量がゼロに近くなったことなどから、現在充電中の車両の充電が完了したことを把握する。そして、その充電が完了したことをトリガとして、所定の方法で選定された次の充電対象の車両に電力が供給されるように、その車両に接続された充電コンセント14へのみ電力が供給されるような充電許可信号を生成する。なお、現在充電中の車両の充電が完了したことは、充電量に関する情報を車両から直接取得することで把握してもよい。
【0043】
ここで、充電対象の車両を選定する所定の方法とは、制御部34において予め定められた方法であり、例えば、充電制御システム10に対応した専用の充電予約システムを構築し、その充電予約システムから取得した充電の順序に関する情報に従って、充電対象の車両を順次選定してもよい。或いは、各充電コンセント14が車両に接続された順序を把握し、その順序に従って充電対象の車両を順次選定してもよい。いずれの場合も、制御部34は、充電対象の車両に電力が供給されるような充電許可信号を生成したにも関わらず、電力量計30などからその車両に電力が供給されていないことを把握したときは、その車両が充電コンセント14に接続されていない、或いは既に十分に充電されているものとして、次の車両へ充電対象を切り替えればよい。結果として、充電対象の車両は、充電コンセント14に接続された車両の中から選定されることになる。
【0044】
更に、制御部34は、充電コンセント14に対して車両が接続されていることを、電気的や物理的な何らかの検知信号を用いて把握してもよく、或いは、車両と直接通信を行って把握してもよい。また、制御部34は、上述した充電予約システム経由や車両との直接通信などにより、各車両のバッテリの残量を予め把握し、そこから満充電までの所要充電時間を算出して、それを利用して充電のタイミングの調整を行ってもよい。例えば、制御部34は、充電の予約がない空き時間に、所要充電時間が短い車両の充電が先行して実施されるように、切替部20を制御するなど、充電の順序に柔軟に対応してもよい。
【0045】
図3を確認すると、制御部34を構成するPLCは、更に消費電力値を示す信号を、
図1に示した料金請求部50へ送信する。この消費電力値を示す信号は、充電のための電力が供給された充電対象の車両毎に生成される。すなわち、PLCは、上述したように切替部20を制御しているため、現在の選定されている充電対象の車両を常に把握しており、その充電対象の車両毎に、電力量計30から得られた電力量を積算して、車両毎の消費電力値として算出している。この消費電力値を示す信号を受信した料金請求部50は、各車両の消費電力値から充電料金を算出し、予め把握している各車両に紐付けられた利用者の情報に基づいて、各車両の充電料金を利用者が所有する利用者所有機器66へ送信して、充電料金を請求する。なお、このような料金請求部50の少なくとも一部の機能を、上述した充電予約システムなどに実装してもよい。
【0046】
続いて、
図4及び
図5には、本発明の実施の形態に係る充電制御システム10の、車両の急速充電に対応した形態の電気回路を示している。これらの電気回路について、
図3に示した電気回路との相違点を中心に説明する。まず、
図4を参照すると、この電気回路は、普通充電用と急速充電用との2つの電力出力系統を有しており、急速充電のための急速充電器44を備えている。受電部12は、R相、S相、及びT相で電力を受け、漏電遮断器ELBを経たそれらの電力線のうち、R相及びS相の電力線が2つに分岐している。切替部20は、3つのマグネットスイッチMS11-A、MS12-A、MS13-Aを備えた普通用切替部22と、3つのマグネットスイッチMS11-B、MS12-B、MS13-Bを備えた急速用切替部24とを有している。また、充電パレット84の各々には、車両の普通充電用のジャックに接続される充電コンセント14に加えて、図示は控えるが、車両の急速充電用のジャックに接続される急速充電接続手段16が設置されている。この急速充電接続手段16は、充電コンセント14と同様に、充電ケーブルを介して車両へ接続されるコンセントタイプのものが、
図2に示したような充電スタンド70に設置されてなるものであってもよい。或いは、急速充電接続手段16は、
図4の電気回路から充電スタンド70などを経て各充電パレット84へ延び、そのまま車両へ直接接続されるケーブルタイプのものであってもよい。
【0047】
図4の上方へ延びるR相及びS相の分岐した一方の電力線は、サーマルリレーTHを経て、普通用切替部22へと至っている。普通用切替部22のマグネットスイッチMS11-Aは、
図2に示した3つの充電パレット84のうち、
図2における下段の充電パレット84に設置された充電コンセント14へ至る電力線をオン/オフするものである。同様に、マグネットスイッチMS12-Aは、中段の充電パレット84に設置された充電コンセント14へ至る電力線をオン/オフするものであり、マグネットスイッチMS13-Aは、上段の充電パレット84に設置された充電コンセント14へ至る電力線をオン/オフするものである。これら3つのマグネットスイッチMS11-A、MS12-A、MS13-Aは、制御部34(PLC)によって制御されるリレーTF11-A、TF12-A、TF13-Aによって開閉される。
【0048】
漏電遮断器ELBから
図4の右側へ延びる、R相及びT相の分岐した他方の電力線とS相の電力線とは、サーマルリレーTHを経て、急速充電器44へと至っている。この急速充電器44において、受電部12から受けた電力が、車両の急速充電に対応した形式に変換され、急速充電器44から急速用切替部24へ供給される。急速用切替部24のマグネットスイッチMS11-Bは、
図2に示した3つの充電パレット84のうち、
図2における下段の充電パレット84に設置された急速充電接続手段16へ至る電力線をオン/オフするものである。同様に、マグネットスイッチMS12-Bは、中段の充電パレット84に設置された急速充電接続手段16へ至る電力線をオン/オフするものであり、マグネットスイッチMS13-Bは、上段の充電パレット84に設置された急速充電接続手段16へ至る電力線をオン/オフするものである。これら3つのマグネットスイッチMS11-B、MS12-B、MS13-Bは、制御部34(PLC)によって制御されるリレーTF11-B、TF12-B、TF13-Bによって開閉される。
【0049】
PLC(制御部34)は、受電部12から普通用切替部22へ流れる電力量を計測するように設置された電力量計30と、受電部12から急速充電器44へ流れる電力量を計測するように設置された電力量計30との双方から、電力量の計測結果を取得する。また、PLCは、充電対象として選定された1台の車両に接続された、充電コンセント14と急速充電接続手段16とのいずれか一方にのみ電力が供給されるように、普通用切替部22及び急速用切替部24を制御する。すなわち、PLCは、充電対象だけでなく、普通充電或いは急速充電の充電内容も示す信号を出力し、それによってリレーTF11-A、TF12-A、TF13-A、TF11-B、TF12-B、TF13-Bを制御する。例えば、PLCは、各車両の普通充電を許可する信号と急速充電を許可する信号との生成条件に、互いの信号がオフであることを入れることで、排他的に制御する。
【0050】
また、本実施形態のPLCは、充電対象として選定された車両の残りの充電量に応じて、その車両への普通充電と急速充電とを切り替えるようになっている。例えば、PLCは、充電対象の車両のバッテリの充電量が8割未満の間は、急速充電器44から急速充電が行われるように切替部20を制御し、充電対象の車両のバッテリの充電量が8割を超えたら、普通充電に切り替わるように切替部20を制御してもよい。車両の残りの充電量を把握する方法は、電力量計30の計測結果を利用して把握する方法や、車両との通信で直接取得する方法など、任意の方法であってよい。また、PLCは、普通充電で使用した電力量を計測する一方の電力量計30と、急速充電で使用した電力量を計測する他方の電力量計30との、双方の計測結果を利用して、料金請求部50へ送信するための消費電力値を示す信号を生成する。すなわち、充電対象の車両毎に、一方の電力量計30から得られた電力量と、他方の電力量計30から得られた電力量とを積算して、車両毎の消費電力値として算出する。
【0051】
次に、
図5を参照すると、この電気回路は、急速充電用の電力出力系統を1つ有しており、小容量の急速充電器46と大容量の急速充電器48とを備えている。このため、
図4の実施形態と同様に、充電パレット84の各々には、車両の急速充電用のジャックに接続される急速充電接続手段16が設置されている。受電部12は、R相、S相、及びT相で電力を受け、漏電遮断器ELBを経たそれら3つの電力線が2つに分岐している。切替部20は、3つのマグネットスイッチMS11-A、MS12-A、MS13-Aを備えた第1切替部26と、3つのマグネットスイッチMS11-B、MS12-B、MS13-Bを備えた第2切替部28とを有している。
【0052】
図5の上方へ延びる分岐した一方の電力線は、サーマルリレーTHを経て、小容量の急速充電器46へと至っている。この小容量の急速充電器46において、受電部12から受けた電力が、車両の急速充電に対応した形式に変換され、小容量の急速充電器46から第1切替部26へ供給される。第1切替部26のマグネットスイッチMS11-Aは、小容量の急速充電器46から、
図2に示した3つの充電パレット84のうち、
図2における下段の充電パレット84に設置された急速充電接続手段16へ至る電力線をオン/オフするものである。同様に、マグネットスイッチMS12-Aは、小容量の急速充電器46から、中段の充電パレット84に設置された急速充電接続手段16へ至る電力線をオン/オフするものであり、マグネットスイッチMS13-Aは、小容量の急速充電器46から、上段の充電パレット84に設置された急速充電接続手段16へ至る電力線をオン/オフするものである。これら3つのマグネットスイッチMS11-A、MS12-A、MS13-Aは、制御部34(PLC)によって制御されるリレーTF11-A、TF12-A、TF13-Aによって開閉される。
【0053】
漏電遮断器ELBから
図5の右側へ延びる他方の電力線は、サーマルリレーTHを経て、大容量の急速充電器48へと至っている。この大容量の急速充電器48において、受電部12から受けた電力が、車両の急速充電に対応した形式に変換され、大容量の急速充電器48から第2切替部28へ供給される。第2切替部28のマグネットスイッチMS11-Bは、大容量の急速充電器48から、
図2に示した3つの充電パレット84のうち、
図2における下段の充電パレット84に設置された急速充電接続手段16へ至る電力線をオン/オフするものである。同様に、マグネットスイッチMS12-Bは、大容量の急速充電器48から、中段の充電パレット84に設置された急速充電接続手段16へ至る電力線をオン/オフするものであり、マグネットスイッチMS13-Bは、大容量の急速充電器48から、上段の充電パレット84に設置された急速充電接続手段16へ至る電力線をオン/オフするものである。これら3つのマグネットスイッチMS11-B、MS12-B、MS13-Bは、制御部34(PLC)によって制御されるリレーTF11-B、TF12-B、TF13-Bによって開閉される。
【0054】
PLC(制御部34)は、受電部12から小容量の急速充電器46へ流れる電力量を計測するように設置された電力量計30と、受電部12から大容量の急速充電器48へ流れる電力量を計測するように設置された電力量計30との双方から、電力量の計測結果を取得する。また、PLCは、充電対象として選定された1台の車両に接続された急速充電接続手段16に対して、小容量の急速充電器46と大容量の急速充電器48とのいずれか一方から電力が供給されるように、第1切替部26及び第2切替部28を制御する。すなわち、PLCは、充電対象だけでなく、小容量の急速充電か或いは大容量の急速充電かの、充電内容も示す信号を出力し、それによってリレーTF11-A、TF12-A、TF13-A、TF11-B、TF12-B、TF13-Bを制御する。例えば、PLCは、各車両の小容量の急速充電を許可する信号と大容量の急速充電を許可する信号との生成条件に、互いの信号がオフであることを入れることで、排他的に制御する。
【0055】
また、本実施形態のPLCは、充電対象として選定された車両の残りの充電量に応じて、その車両への小容量の急速充電と大容量の急速充電とを切り替えるようになっている。例えば、PLCは、充電対象の車両のバッテリの充電量が8割未満の間は、大容量の急速充電器48から急速充電が行われるように切替部20を制御し、充電対象の車両のバッテリの充電量が8割を超えたら、小容量の急速充電器46からの急速充電に切り替わるように切替部20を制御してもよい。また、PLCは、小容量の急速充電で使用した電力量を計測する一方の電力量計30と、大容量の急速充電で使用した電力量を計測する他方の電力量計30との、双方の計測結果を利用して、料金請求部50へ送信するための消費電力値を示す信号を生成する。すなわち、充電対象の車両毎に、一方の電力量計30から得られた電力量と、他方の電力量計30から得られた電力量とを積算して、車両毎の消費電力値として算出する。
【0056】
一方、
図6には、ピット式の駐車装置80に適用された本発明の実施の形態に係る充電制御システム10の、
図2と異なる形態を示している。すなわち、
図6の実施形態では、複数の昇降パレット82を支える複数の支柱88のうちの、後方側の1本の支柱88Aに、各充電パレット84用の充電コンセント14と、中継端子台38とが取り付けられている。その支柱88Aは、最上段の充電パレット84よりも上方に突出しており、その上端近傍に最上段の充電パレット84用の充電コンセント14が設置され、それよりも下方に中継端子台38が設置されている。更に、支柱88Aの、中段の充電パレット84よりも上方の位置に、その充電パレット84用の充電コンセント14が設置され、支柱88Aの、下段の充電パレット84よりも上方の位置に、その充電パレット84用の充電コンセント14が設置されている。このため、支柱88Aは、その長尺方向と直交する断面の形状がハット状などの、溝を有した形状であることで、その溝の内部に充電コンセント14や中継端子台38が格納され、更に車両と充電コンセント14とを接続する充電ケーブルなども格納される。ここで、充電コンセント14や中継端子台38は、1本ではなく複数の支柱88に分散されて設置されていてもよい。
【0057】
なお、本発明の実施の形態に係る充電制御システム10は、
図1~
図6に示した構成に限定されるものではなく、適用される駐車装置80の構成などに合わせて、様々な形態を取り得るものである。例えば、電力量計30を、切替部20から各充電コンセント14へ至る電力線上に配置して、予め車両毎に電力量が計測されるようになっていてもよい。また、充電制御システム10で使用する電気回路も、
図3~
図5に示した構成に限定されず、
図1に示した各構成要素の機能を満たし得る範囲で、任意の部品を使用した任意の回路構成であってよい。例えば、
図4の下半分に示すような、車両の急速充電に対応した出力系統を1系統備えた電気回路であってもよい。更に、充電パレット84の数に応じて、
図3~
図5で示したような系統を複数備えていてもよい。
【0058】
また、本発明の実施の形態に係る充電制御システム10が適用される駐車装置80は、
図2や
図6の構成に限定されるものではなく、昇降パレット82の数量、充電パレット84の数量などが、図示の構成と異なっていてもよい。例えば、昇降パレット82の収容可能位置を、上下方向に関してピット86よりも上に2段以上、側方向に関して2列以上、及び/又は、奥行方向に関して2列以上備えた駐車装置であってもよい。更に、駐車装置80は、ピット式の駐車装置に限定されるものではなく、横行移動や昇降を行うパレット82を含む駐車装置であってもよい。
【0059】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る充電制御システム10は、
図1~
図3に示すように、受電部12、複数の充電コンセント14、切替部20、電力量計30、及び制御部34を含み、受電部12には、車両の充電に使用される電力の供給元である一次側電源60が接続される。複数の充電コンセント14は、車両が収容される駐車装置80の複数のパレット82のうち、車両の充電に対応する複数の充電パレット84の各々に設置され、充電パレット84に収容されている車両に対して、充電ケーブルを介して接続される。切替部20は、受電部12と複数の充電コンセント14との間に介在してそれらの双方に接続され、受電部12からの電力の供給先を複数の充電コンセント14の中で切り替えるものである。すなわち、一次側電源60から供給される電力は、まず受電部12によって本システム10に取り込まれ、そこから切替部20へと達し、切替部20によって複数の充電コンセント14の中で供給先が切り替えられる。
【0060】
電力量計30は、上記のようにして受電部12から切替部20へ至る電力量を計測するものであり、制御部34は、本システム10全体の制御を担うものである。そして、制御部34は、システム制御の一環として切替部20を制御し、このとき、複数の充電コンセント14に接続された車両の中で、充電対象として選定された1台の車両に電力が供給されるように、且つ、その充電対象の車両が切り替わるように、切替部20を制御する。すなわち、受電部12を介して取り込まれた電力は、常に、充電対象として選定された1台の車両へのみ供給され、更に、その電力の供給先となる1台の充電対象の車両が切り替わるものである。
【0061】
これにより、複数の充電コンセント14の中で車両に接続されている充電コンセント14の数に関わらず、一次側電源60から常に1台の車両へのみ電力が供給されるため、車両の充電時の電力量を抑制することができる。しかも、駐車装置80の充電パレット84の数が増えても、充電時の電力量は常に車両1台分であるため、充電パレット84の増設に容易に対応することが可能となる。更に、一次側電源60からの電力の供給先が、切替部20によって複数の充電コンセント14の中で切り替えられる単純な構成であるため、設備コストも抑制することができる。
【0062】
また、本発明の実施の形態に係る充電制御システム10は、制御部34により切替部20を制御して充電対象の車両を切り替える際に、現在の充電対象であって現在電力が供給されている車両の充電が完了したことをトリガとして、充電対象の車両を切り替えるものである。このとき、車両の充電が完了したことの把握は、電力量計30によって計測される現在の充電対象の車両に接続された充電コンセント14へ流れる電力量を監視し、その電力量がゼロに近くなったら充電が完了したと判定すればよい。これにより、充電コンセント14に接続されている車両が複数台あったとしても、現在の充電対象の車両の充電が完了してから充電対象の車両が切り替わるため、いずれは全ての車両を満充電まで充電させることができ、効率的に全車両の充電を行うことが可能となる。
【0063】
更に、本発明の実施の形態に係る充電制御システム10は、
図2に示すように、ピット式の駐車装置80に適用されるものであり、このピット式の駐車装置80では、地下に造成されたピット86と地上との間を、支柱88を介して上下に連接された複数の昇降パレット82が昇降する。そして、それら複数の昇降パレット82のうち、2つ以上の昇降パレット82が、車両の充電に対応した充電パレット84になっている。また、充電制御システム10は、切替部20と複数の充電コンセント14との間に介在する中継端子台38を更に含んでいる。この中継端子台38は、複数の充電コンセント14へ至る電力供給配線の分岐の基点となっており、複数の昇降パレット82のうちの最上段の昇降パレット82に設置される。
【0064】
すなわち、切替部20から複数の充電コンセント14までの複数の電力供給配線は、最上段の昇降パレット82に設置された中継端子台38まで纏められた状態で至り、その中継端子台38で分岐された後、各充電パレット84まで延びている。ここで、ピット式の駐車装置80の最上段の昇降パレット82は、連接された複数の昇降パレット82が昇降しても、地下のピット86内に配置されることはなく、常に地上側に配置されているため、最上段の昇降パレット82に設置された中継端子台38も、常に地上側に配置されることになる。これにより、例えば天候の影響などで地下のピット86内が冠水したとしても、常に地上側にある中継端子台38が水没することはないため、安全対策により一層配慮することができる。
【0065】
また、本発明の実施の形態に係る充電制御システム10は、ピット式の駐車装置80のピット86内に設置される冠水センサ40を更に含んでいる。そして、この冠水センサ40によって、例えば天候の影響などによるピット86内の冠水が検知された場合に、全ての複数の充電コンセント14に対する電力供給が遮断されるように、制御部34により切替部20を制御するものである。すなわち、ピット86内が冠水した状態では、ピット86内に配置された充電パレット84が水没している虞があるため、そのような充電パレット84の充電コンセント14を含む全ての充電コンセント14への電力供給を遮断することで、より万全に安全性を確保することができる。
【0066】
また、本発明の実施の形態に係る充電制御システム10は、
図1に示すように、このシステム10を利用して車両の充電を行った利用者に対して、充電料金を請求するための料金請求部50を更に含むものである。この料金請求部50は、インターネットなどの外部ネットワークを介して通信可能になっており、例えば利用者が所持するスマートフォンなどの機器66に対して、クラウドサービス64を介して充電料金を請求する。すなわち、料金請求部50は、電力量計30により計測される電力量を、充電対象として選定された車両毎に把握し、予め取得している各車両の利用者の連絡先に対して、車両毎に把握された電力量から算出される充電料金を請求する。これにより、専用の精算機の設置や現金の直接的なやり取りを行う必要もなく、充電料金を円滑に徴収することができる。
【0067】
更に、本発明の実施の形態に係る充電制御システム10は、
図4に示すように、車両へ急速充電を行うための急速充電器44を更に含んでいてもよく、この急速充電器44は受電部12に接続される。また、本実施形態の充電制御システム10は、急速充電のために車両へ接続される複数の急速充電接続手段16を更に含み、これら複数の急速充電接続手段16の各々は、充電パレット84に設置される。このため、充電パレット84の各々には、普通充電のために車両に接続される充電コンセント14と、急速充電のために車両に接続される急速充電接続手段16との双方が設置される。そして、充電コンセント14が充電ケーブルを介して車両の普通充電用のジャックへ、急速充電接続手段16が車両の急速充電用のジャックへと、別々に且つ同時に接続される。更に、切替部20は、受電部12と複数の充電コンセント14との間に介在してそれらの双方に接続された普通用切替部22と、急速充電器44と複数の急速充電接続手段16との間に介在してそれらの双方に接続された急速用切替部24とを有している。すなわち、普通用切替部22は、電力の供給先を複数の充電コンセント14の中で切り替えるものであり、急速用切替部24は、電力の供給先を複数の急速充電接続手段16の中で切り替えるものである。
【0068】
上記のような構成により、受電部12から普通用切替部22を介して複数の充電コンセント14へ至る普通充電用の電力供給ルートと、受電部12から急速充電器44を経て、更に急速用切替部24を介して複数の急速充電接続手段16へ至る急速充電用の電力供給ルートとが、並列に存在することになる。そして、制御部34は、充電対象の車両の残りの充電量に応じて、充電対象の車両に接続された充電コンセント14と急速充電接続手段16とのいずれか一方に電力が供給されるように、普通用切替部22及び急速用切替部24を制御する。このとき、充電中の車両の残りの充電量は、例えば、電力量計30で計測される現在流れている電流量などに基づいて判定される。より具体的には、充電対象の各車両の充電中に、計測される電流量が予め設定された閾値以上である間は、急速充電接続手段16に電力が供給されるように制御し、計測される電流量が予め設定された閾値を下回った時点で、充電コンセント14への電力供給に移行してもよい。このように、普通充電と急速充電との双方に対応することで、普通充電のみで充電を行う場合と比較して、各車両の満充電までの充電時間を短くすることができ、複数台の車両を効率よく充電することが可能となる。
【0069】
また、本発明の実施の形態に係る充電制御システム10は、
図5に示すように、車両へ急速充電を行うための小容量及び大容量の2つの急速充電器46、48を含んでもよく、これらの急速充電器46、48が受電部12へ互いに並列に接続される。加えて、本実施形態の充電制御システム10は、
図4の実施形態と同様に、急速充電のために車両へ接続される複数の急速充電接続手段16を更に含み、これら複数の急速充電接続手段16の各々は、充電パレット84に設置され、車両の急速充電用のジャックへと接続される。また、切替部20は、小容量の急速充電器46と複数の急速充電接続手段16との間に介在してそれらの双方に接続された第1切替部26と、大容量の急速充電器48と複数の急速充電接続手段16との間に介在してそれらの双方に、第1切替部26と並列に接続された第2切替部28とを有している。すなわち、第1切替部26は、小容量の急速充電器46からの電力の供給先を、複数の急速充電接続手段16の中で切り替えるものであり、第2切替部28は、大容量の急速充電器48からの電力の供給先を、複数の急速充電接続手段16の中で切り替えるものである。
【0070】
上記のような構成により、受電部12から小容量の急速充電器46を経て、更に第1切替部26を介して複数の急速充電接続手段16へ至る小容量急速充電用の電力供給ルートと、受電部12から大容量の急速充電器48を経て、更に第2切替部28を介して複数の急速充電接続手段16へ至る大容量急速充電用の電力供給ルートとが、並列に存在することになる。そして、制御部34は、充電対象の車両の残りの充電量に応じて、充電対象の車両に接続された急速充電接続手段16に対して、小容量の急速充電器46と大容量の急速充電器48とのいずれか一方から電力が供給されるように、第1切替部26及び第2切替部28を制御する。
【0071】
また、充電中の車両の残りの充電量は、例えば、電力量計30で計測される現在流れている電流量などに基づいて判定される。より具体的には、充電対象の各車両の充電中に、計測される電流量が予め設定された閾値以上である間は、大容量の急速充電器48から電力が供給されるように制御し、計測される電流量が予め設定された閾値を下回った時点で、小容量の急速充電器46からの電力供給に移行してもよい。このように、大容量及び小容量の充電器46、48が利用された急速充電に特化することで、車両への電源供給系統を急速充電用の1つに抑えつつ、大容量の充電器48のみを使用する場合よりも、電力量を抑制することができる。更に、普通充電で車両の充電を行う場合と比較して、各車両の満充電までの充電時間を大幅に短くすることができ、複数台の車両をより効率よく充電することが可能となる。
【0072】
更に、本発明の実施の形態に係る充電制御システム10は、
図6に示すように、複数の昇降パレット82のうちの充電に対応した充電パレット84に設置される複数の充電コンセント14が、複数の昇降パレット82を接続している支柱88(
図6の実施形態では1本の支柱88A)に設けられてもよい。これにより、充電コンセント14のための専用のスタンド70(
図2参照)などが不要になるため、外観を向上することができると共に、複数の充電コンセント14へ至る電力供給配線や充電ケーブルなどを、支柱88Aに沿ってコンパクトに纏めることができるため、そのような配線への引っ掛かりのリスクを最小化することができる。
【0073】
上述したような本発明の実施の形態に係る充電制御システム10は、受電部12が接続される一次側電源60は従来のものから変わらないため、新設の駐車装置80だけでなく、入替時などに既存の駐車装置80に適用することもできる。
他方、本発明の実施の形態に係る充電制御方法は、上述したような本発明の実施の形態に係る充電制御システム10を用いて実行されることで、充電制御システム10と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0074】
10:充電制御システム、12:受電部、14:充電コンセント、16:急速充電接続手段、20:切替部、22:普通用切替部、24:急速用切替部、26:第1切替部、28:第2切替部、30:電力量計、34:制御部、38:中継端子台、40:冠水センサ、44:急速充電器、46:小容量の急速充電器、48:大容量の急速充電器、50:料金請求部、60:一次側電源、64:クラウドサービス、80:駐車装置、82:パレット(昇降パレット)、84:充電パレット、86:ピット、88(88A):支柱