(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170283
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】屋根用支持具及び二層折板屋根
(51)【国際特許分類】
E04D 3/36 20060101AFI20221102BHJP
E04D 3/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
E04D3/36 C
E04D3/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076327
(22)【出願日】2021-04-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000175973
【氏名又は名称】三晃金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】北村 雄
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AS02
2E108AZ01
2E108BB04
2E108BN06
2E108CC01
2E108DF07
2E108ER13
2E108GG03
2E108GG05
2E108GG06
2E108GG15
(57)【要約】
【目的】二層タイプの折板屋根において、下層折板屋根と上層折板屋根との間に設置され、下層折板屋根に簡易且つ迅速に装着することができるともに、上層折板屋根板を極めて強固に支持することができる屋根用支持具及び二層折板屋根を提供すること。
【構成】長方形状のベース板状部1と該ベース板状部1上に形成され且つ段差立上り面部21の一方側に低位頂部22が形成され他方側に高位頂部23が形成された膨出部2とを備えると共にベース板状部1の長手方向両端は嵌合端部11としてなる嵌合取付部材A1と、2つの支持脚部52と両該支持脚部52の下端に内方に向かって突出する嵌合突起片53と両支持脚部52を幅方向に近接させる締付具55とを有する挟持脚部材5とを備えること。嵌合取付部材A1の下方側に延在するように支持脚部52が設けられなること。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状のベース板状部と該ベース板状部上に形成され且つ段差立上り面部の一方側に低位頂部が形成され他方側に高位頂部が形成された膨出部とを備えると共に前記ベース板状部の長手方向両端は、嵌合端部としてなる嵌合取付部材と、2つの支持脚部と両該支持脚部の下端に内方に向かって突出する嵌合突起片と両前記支持脚部を幅方向に近接させる締付具とを有する挟持脚部材とを備え、前記嵌合取付部材の下方側に延在するように前記支持脚部が設けられてなることを特徴とする屋根用支持具。
【請求項2】
請求項1に記載の屋根用支持具において、前記嵌合取付部における前記ベース板状部の両前記嵌合端部には下方に折り返し状の屈曲片が形成されてなることを特徴とする屋根用支持具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の屋根用支持具において、前記挟持脚部材の両前記嵌合突起片及び両前記支持脚部の下方且つ一部には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられてなることを特徴とする屋根用支持具。
【請求項4】
請求項1,2又は3の何れか1項に記載の屋根用支持具において、前記嵌合取付部の少なくとも一部には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられてなることを特徴とする屋根用支持具。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載の屋根用支持具において、前記挟持脚部材の頂部には挟持頂部が設けられ、前記嵌合取付部材の前記ベース板状部が固着されてなることを特徴とする屋根用支持具。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載の屋根用支持具において、前記挟持脚部材の両前記支持脚部には、垂下状脚片が形成され、両該垂下状脚片の下端には外方に拡がる平坦状脚片が形成され、両該平坦状脚片の外端より外方下向きに傾斜する傾斜脚片が形成されてなることを特徴とする屋根用支持具。
【請求項7】
主板の幅方向両側に立上り部が形成され、両該立上り部の高さ方向中間箇所に被嵌合屈曲部が形成され、両前記立上り部の一方側の山形頂部には、下馳部が形成され、他方側の前記山形頂部には上馳部を有する折板屋根板材が複数並設され、隣接する両該折板屋根板材同士の前記下馳部と前記上馳部とが馳締連結されてなる下層折板屋根と、該下層折板屋根と同等の折板屋根板材によって前記下層折板屋根と同等の構成とした上層折板屋根とからなる二層折板屋根と、長方形状のベース板状部と該ベース板状部上に形成され且つ段差立上り面部の一方側に低位頂部が形成され他方側に高位頂部が形成された膨出部とを備えると共に前記ベース板状部の長手方向両端は、嵌合端部としてなる嵌合取付部材と、2つの支持脚部と、両該支持脚部の下端に内方に向かって突出する嵌合突起片と、両前記支持脚部を幅方向に近接させる締付具とを有する挟持脚部材とを備え、前記嵌合取付部材の下方側に延在するように前記支持脚部が設けられてなる屋根用支持具とを備え、前記下層折板屋根における隣接する両前記折板屋根板の対向する両前記立上り部上に前記屋根用支持具が配置され、両前記支持脚部は前記締付具にて隣接する両前記折板屋根板の対向する両前記被嵌合屈曲部を挟持固定されると共に、両前記被嵌合屈曲部に、両前記嵌合突起が嵌合され、前記嵌合取付部材にて前記上層折板屋根が支持されてなることを特徴とする二層折板屋根。
【請求項8】
請求項7に記載の二層折板屋根において、前記嵌合取付部における前記ベース板状部の両前記嵌合端部には下方に折り返し状の屈曲片が形成されてなることを特徴とする二層折板屋根。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の二層折板屋根において、前記嵌合取付部材と前記挟持脚部材の少なくとも何れか一方で、且つ少なくとも前記折板屋根板と接触する箇所には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられてなることを特徴とする二層折板屋根。
【請求項10】
請求項7,8又は9の何れか1項に記載の二層折板屋根において、前記挟持脚部材の頂部には挟持頂部が設けられ、前記嵌合取付部材の前記ベース板状部が固着されてなることを特徴とする二層折板屋根。
【請求項11】
請求項7,8,9又は10の何れか1項に記載の二層折板屋根において、前記挟持脚部材の両前記支持脚部には、垂下状脚片が形成され、両該垂下状脚片の下端には外方に拡がる平坦状脚片が形成され、両該平坦状脚片の外端より外方下向きに傾斜する傾斜脚片が形成されてなることを特徴とする二層折板屋根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二層タイプの折板屋根において、下層折板屋根と上層折板屋根との間に設置され、下層折板屋根に簡易且つ迅速に装着することができると共に、上層折板屋根板を極めて強固に支持することができる屋根用支持具及び二層折板屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下層折板屋根と上層折板屋根とからなる二層タイプの折板屋根が多く存在している。特に、昨今の気象状況や、地球温暖化への対策・省エネ対策の強化として、金属屋根においても、建物の用途によっては、二層折板屋根の要求が高まっている。これらの屋根には、新設の二層タイプの屋根(又は壁)及び既設の屋根(壁も含む)の上に新たに屋根を新設した改修屋根が存在する。その下層折板屋根は、金属製の折板タイプの屋根板材によって施工されている。
【0003】
この種の二層タイプの屋根において、下馳部と上馳部とを有する折板屋根板材から構成されるものが多く使用されており、隣接する折板屋根板材同士の下馳部と上馳部とが馳締されて、折板屋根板材同士が連結されて折板屋根等が施工されるものが存在する。上層折板屋根と下層折板屋根との間には支持具が設けられており、該支持具は下層折板屋根上に装着され、前記支持具によって上層折板屋根が下層折板屋根上に支持されるものである。
【0004】
この馳締タイプの折板屋根では、屋根用支持具が下層の折板屋根の馳締部を利用して下層折板屋根上に設置されるものが多かった。つまり、馳締タイプの折板屋根は、吊子と、折板屋根板の馳締部同士との連結のみで、折板屋根板が屋根用支持具に固定される構成となっている。
【0005】
ところが、馳締部は断面形状が比較的小さな部分であり、該馳締部を利用して、屋根用支持具を装着する構成では、屋根用支持具の構造も複雑になり易いものであった。また、それぞれの折板屋根板に風による負圧が作用したときに、その平坦面が広ければ広いほど、大きな負圧外力が作用し、折板屋根板は上方に持ち上げられるような力がかかる。そして、近年では、自然環境の変化により大型且つ強力な台風が増加し、その規模も強大となる傾向にある。
【0006】
そのために、二層タイプの折板屋根では折板屋根板同士の馳締連結部が屋根用支持具から折板屋根板が外れて飛ばされてしまうという状況が以前よりも増加する傾向にあり、折板屋根の耐久性を向上させることがより一層強く求められることになった。そこで、受金具には、吊子と共に折板屋根板を強固に固定するために工夫が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
屋根,壁等の外囲体を構成する折板屋根板が強風による負圧にて破損することを防止するための具体的な対策の一例として、馳締部等の連結箇所以外の部分で屋根用支持具に折板屋根板を固定する構造としたものが存在する。その具体例として特許文献1を挙げる。特許文献1を概説する。なお、符号は特許文献1に使用されたものをそのまま使用する。
【0009】
特許文献1には、屋根材取付部(3)と脚部(1)が開示されている。折板屋根材(10)の側部の上下方向中間に係止部(12)が形成されている。また、タイトフレーム(T)には、折板同
士の馳締部を支持固定するハゼ受部(6)が具備されている。この特許文献1に見られるよ
うに近年では、馳締タイプの折板屋根板には、馳締部以外に被係止部が形成され、タイトフレーム(屋根用支持具)は、馳締連結部と共に被係止部でも折板屋根板が固定される構成としたもの多く使用されている。
【0010】
ところで、特許文献1では、屋根材取付部(3)は、立方体状の箱の開口を下向きにした
ような形状であり、該屋根材取付部(3)の外周の対向する一辺を係止受部(5)としたものである。そして、前述したように、近年気象環境が大きく変化し、台風も発生も増加し、しかも大型化している状況にある。そのため、特許文献1における屋根材取付部(3)の係止受部(5)の領域は小さく、折板屋根材(10)の係止部(12)との係止範囲も狭くなり、その係止状態は必ずしも万全とは言えず、強風によって係止受部(5)と係止部(12)とが外れてしまうおそれは十分にある。
【0011】
また、多くの馳締タイプの屋根は、丸馳タイプのものが多くなっている。そのために、折板屋根板同士の馳締連結箇所を屋根受具に固定するために、屋根施工用の吊子が必要であり、したがって、屋根受具に吊子を配置するためのスペースが必要となる。このような吊子のスペースが特許文献1には存在しておらず、多種の馳締タイプの折板屋根板を設置することができない。そこで、本発明の目的は、強風によって折板屋根板が極めて外れ難く、優れた耐久性を有し、しかも施工を簡単にできる屋根用支持具及びその二層折板屋根を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、長方形状のベース板状部と該ベース板状部上に形成され且つ段差立上り面部の一方側に低位頂部が形成され他方側に高位頂部が形成された膨出部とを備えると共に前記ベース板状部の長手方向両端は、嵌合端部としてなる嵌合取付部材と、2つの支持脚部と両該支持脚部の下端に内方に向かって突出する嵌合突起片と両前記支持脚部を幅方向に近接させる締付具とを有する挟持脚部材とを備え、前記嵌合取付部材の下方側に延在するように前記支持脚部が設けられてなる屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。
【0013】
請求項2の発明を、請求項1に記載の屋根用支持具において、前記嵌合取付部における前記ベース板状部の両前記嵌合端部には下方に折り返し状の屈曲片が形成されてなる屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2に記載の屋根用支持具において、前記挟持脚部材の両前記嵌合突起片及び両前記支持脚部の下方且つ一部には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられてなる屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。請求項4の発明を、請求項1,2又は3の何れか1項に記載の屋根用支持具において、前記嵌合取付部の少なくとも一部には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられてなる屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。
【0014】
請求項5の発明を、請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載の屋根用支持具において、前記挟持脚部材の頂部には挟持頂部が設けられ、前記嵌合取付部材の前記ベース板状部が固着されてなる屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。請求項6の発明を、請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載の屋根用支持具において、前記挟持脚部材の両前記支持脚部には、垂下状脚片が形成され、両該垂下状脚片の下端には外方に拡がる平坦状脚片が形成され、両該平坦状脚片の外端より外方下向きに傾斜する傾斜脚片が形成されてなる屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。
【0015】
請求項7の発明を、主板の幅方向両側に立上り部が形成され、両該立上り部の高さ方向中間箇所に被嵌合屈曲部が形成され、両前記立上り部の一方側の山形頂部には、下馳部が形成され、他方側の前記山形頂部には上馳部を有する折板屋根板材が複数並設され、隣接する両該折板屋根板材同士の前記下馳部と前記上馳部とが馳締連結されてなる下層折板屋根と、該下層折板屋根と同等の折板屋根板材によって前記下層折板屋根と同等の構成とした上層折板屋根とからなる二層折板屋根と、長方形状のベース板状部と該ベース板状部上に形成され且つ段差立上り面部の一方側に低位頂部が形成され他方側に高位頂部が形成された膨出部とを備えると共に前記ベース板状部の長手方向両端は、嵌合端部としてなる嵌合取付部材と、2つの支持脚部と、両該支持脚部の下端に内方に向かって突出する嵌合突起片と、両前記支持脚部を幅方向に近接させる締付具とを有する挟持脚部材とを備え、前記嵌合取付部材の下方側に延在するように前記支持脚部が設けられてなる屋根用支持具とを備え、前記下層折板屋根における隣接する両前記折板屋根板の対向する両前記立上り部上に前記屋根用支持具が配置され、両前記支持脚部は前記締付具にて隣接する両前記折板屋根板の対向する両前記被嵌合屈曲部を挟持固定されると共に、両前記被嵌合屈曲部に、両前記嵌合突起が嵌合され、前記嵌合取付部材にて前記上層折板屋根が支持されてなる二層折板屋根としたことにより、上記課題を解決した。
【0016】
請求項8の発明を、請求項7に記載の二層折板屋根において、前記嵌合取付部における前記ベース板状部の両前記嵌合端部には下方に折り返し状の屈曲片が形成されてなる二層折板屋根としたことにより、上記課題を解決した。請求項9の発明を、請求項7又は8に記載の二層折板屋根において、前記嵌合取付部材と前記挟持脚部材の少なくとも何れか一方で、且つ少なくとも前記折板屋根板と接触する箇所には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられてなる二層折板屋根としたことにより、上記課題を解決した。
【0017】
請求項10の発明を、請求項7,8又は9の何れか1項に記載の二層折板屋根において、前記挟持脚部材の頂部には挟持頂部が設けられ、前記嵌合取付部材の前記ベース板状部が固着されてなる二層折板屋根としたことにより、上記課題を解決した。請求項11の発明を、請求項7,8,9又は10の何れか1項に記載の二層折板屋根において、前記挟持脚部材の両前記支持脚部には、垂下状脚片が形成され、両該垂下状脚片の下端には外方に拡がる平坦状脚片が形成され、両該平坦状脚片の外端より外方下向きに傾斜する傾斜脚片が形成されてなる二層折板屋根としたことにより、上記課題を解決した。
としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明では、挟持脚部材は、嵌合取付部材と挟持脚部材とを備えたものであり、嵌合取付部材は、ベース板状部と膨出部とを有している。挟持脚部材は、2つの支持脚部を有し、両支持脚部の下端には幅方向(Y方向)の内方に向かって突出する嵌合突起片を有している。本発明における屋根用支持具は、特に二層折板屋根における下層の折板屋根上に配置され、上層の折板屋根を支持するものとして極めて好適である。
【0019】
特に、二層折板屋根を構成する折板屋根板の立上り部に形成された被嵌合屈曲に対して屋根用支持具の支持脚部の下端から幅方向(Y方向)の内方に向かって形成された嵌合突起片が嵌合され、両支持脚部を締付具にて締め付けることで、屋根用支持具は下層の折板屋根に対して極めて強固に固定することができる。
【0020】
さらに、ベース板状部は長方形状であり、そのY方向つまり長手方向の両端部分を嵌合端部としたものである。つまり、長方形状のベース板状部のY方向両端を嵌合端部としたことにより、折板屋根板の被嵌合屈曲部に嵌合された場合では、嵌合端部は直線状で嵌合範囲を大きく且つ有効的に確保することができる。
【0021】
嵌合取付部材において膨出部は、ベース板状部をベースとして上方に向かって膨出する構造としたものであり、そのため膨出部は、略シェル的な構造或いは略モノコック的な構造となる。したがって、ベース板状部と膨出部とが相互に他方を補強することができ、嵌合取付部材は、力学的強度に優れたものにできる。
【0022】
また、膨出部は、段差立上り面部の一方側に低位頂部が形成され他方側に高位頂部が形成された構造であり、特に馳締タイプの折板屋根板による折板タイプの屋根,壁面の施工に好適となる。つまり、膨出部に低位頂部及び高位頂部が設けられており、折板屋根板を装着するための吊子を前記低位頂部に設置することで、馳締タイプの折板屋根板同士の馳締連結部を安定した状態で配置することができる。
【0023】
さらに、請求項1では、支持脚部と両該支持脚部の下端に内方に向かって突出する嵌合突起片と両前記支持脚部を幅方向に近接させる締付具とを有する挟持脚部材とを備えており、二層折板屋根を施工するときに、前記支持脚部の嵌合突起片が嵌合係止可能な被嵌合屈曲部を有する折板屋根板からなる下層折板屋根に対して、締付具を緩めたり締め付けたりすることで、屋根用支持具を下層折板屋根に簡易且つ迅速に設置することができる。
【0024】
請求項2の発明では、前記ベース板状部の両前記嵌合端部には下方に折り返し状の屈曲片が形成されたことにより、ベース板状部のY方向両端の嵌合端部の力学的強度をより一層向上させることができる。なお、上記構成に前記膨出部のY方向両端面と前記高位頂部及び前記低位頂部との角部は丸みを有してなる構成を加えれば、嵌合取付部材の嵌合端部に折板屋根板の被嵌合屈曲部を嵌合するときに、前記丸みによって、嵌合し易く、且つ被嵌合屈曲部側には傷が付き難くなる。
【0025】
請求項3の発明では、前記挟持脚部材の両前記嵌合突起片及び両前記支持脚部の下方且つ一部には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられる構成としたもので、前記挟持脚部材の両前記嵌合突起片及び両前記支持脚部の下方且つ一部には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられた構成としたものである。そして、本発明における屋根用支持具を二層折板屋根の構成に使用した場合において、上層折板屋根から屋根用支持具に高温又は低温における熱が屋根用支持具に伝達されたとしても、屋根用支持具の挟持脚部材の両支持脚部の下方且つ一部に被覆された樹脂被覆部によって、熱が下層折板屋根に伝達されることを遮断し、下層の折板屋根及びその室内に低温或いは高温が伝達されることを防止できる。
【0026】
請求項4の発明では、前記嵌合取付部の少なくとも一部には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられた構成により、上層折板屋根が夏季等の高温により上層折板屋根を構成する折板屋根板が長手方向(X方向)に沿って熱伸縮って屋根用支持具に対する位置ずれが生じ、振動及び騒音を発生することがある。このようなときに、嵌合取付部材の樹脂被覆部が、上層折板屋根との位置ずれ時による振動及び騒音の発生を最小限に低減し、板鳴り現象を抑制することができる。
【0027】
請求項5の発明では、前記挟持脚部材の頂部には挟持頂部が設けられ、前記嵌合取付部材の前記ベース板状部が固着される構成により、嵌合取付部材は、挟持頂部に対して固着手段として溶接が好適となり、屋根用支持具の製造を簡単にでき、量産性に向いたものにできる。請求項6の発明では、前記挟持脚部材の両前記支持脚部には、垂下状脚片が形成され、両該垂下状脚片の下端には外方に拡がる平坦状脚片が形成され、両該平坦状脚片の外端より外方下向きに傾斜する傾斜脚片が形成されてなる構成により、被嵌合屈曲部を有する折板屋根板に対してより一層好適なものとなる。
【0028】
請求項7の発明では、極めて強固な馳締タイプの二層折板屋根を施工することができる。請求項8の発明では、前記ベース板状部の両前記嵌合端部には下方に折り返し状の屈曲片が形成されたことにより、ベース板状部のY方向両端の嵌合端部の力学的強度をより一層向上させることができる。なお、上記構成に前記膨出部のY方向両端面と前記高位頂部及び前記低位頂部との角部は丸みを有してなる構成を加えれば、嵌合取付部材の嵌合端部に折板屋根板の被嵌合屈曲部を嵌合するときに、前記丸みによって、嵌合し易く、且つ被嵌合屈曲部側には傷が付き難くなる。
【0029】
請求項9の発明では、前記挟持脚部材の両前記嵌合突起片及び両前記支持脚部の下方且つ一部には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられた構成としたものである。そして、本発明における屋根用支持具を二層折板屋根の構成に使用した場合において、上層の折板屋根から屋根用支持具に高温又は低温における熱が屋根用支持具に伝達されたとしても、屋根用支持具の挟持脚部材の両支持脚部の下方且つ一部に被覆された樹脂被覆部によって、熱が下層の折板屋根に伝達されることを遮断し、下層の折板屋根及びその室内に低温或いは高温が伝達されることを防止できる。
【0030】
また、前記嵌合取付部の少なくとも一部には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられ場合では、上層折板屋根が夏季等の高温により上層折板屋根を構成する折板屋根板が長手方向(X方向)に沿って熱伸縮って屋根用支持具に対する位置ずれが生じ、振動及び騒音を発生することがある。このようなときに、嵌合取付部材の樹脂被覆部が、上層折板屋根との位置ずれ時による振動及び騒音の発生を最小限に低減し、板鳴り現象を抑制することができる。
【0031】
請求項10の発明では、前記挟持脚部材の頂部には挟持頂部が設けられ、前記嵌合取付部材の前記ベース板状部が固着される構成により、嵌合取付部材は、挟持頂部に対して固着手段として溶接が好適となり、屋根用支持具の製造を簡単にでき、量産性に向いたものにできる。請求項11の発明では、前記挟持脚部材の両前記支持脚部には、垂下状脚片が形成され、両該垂下状脚片の下端には外方に拡がる平坦状脚片が形成され、両該平坦状脚片の外端より外方下向きに傾斜する傾斜脚片が形成されてなる構成により、被嵌合屈曲部を有する折板屋根板に対してより一層好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】(A)は本発明における第1実施形態の屋根用支持具を使用した馳締タイプの二層折板屋根、(B)は(A)の(α)部拡大図である。
【
図2】(A)は本発明における吊子を分離した状態の屋根支持具の第1実施形態の正面図、(B)は(A)のY1-Y1矢視断面図、(C)は(A)のY2-Y2矢視断面図である。
【
図3】(A)は本発明における第1実施形態の要部の分離斜視図、(B)は嵌合取付部材の平面図である。
【
図4】(A)は本発明における第2実施形態の屋根用支持具を使用した馳締タイプの二層折板屋根の要部拡大図、(B)は第2実施形態の屋根用支持具の断面図、(C)は(B)のY2-Y2矢視端面図である。
【
図5】(A)は角馳タイプの折板屋根板を使用した二層折板屋根の要部縦断正面図、(B)は立馳タイプの折板屋根板を使用した二層折板屋根の要部縦断正面図。
【
図6】(A)は本発明における屋根用支持具を使用した馳締タイプの三層折板屋根、(B)は(A)の(β)部拡大図である。
【
図7】(A)は嵌合取付部材の第1変形例を有する屋根用支持具の要部縦断側面図、(B)は嵌合取付部材の第2変形例を有する屋根用支持具の要部縦断側面図。
【
図8】本発明における二層折板屋根に使用される折板屋根板の断面略示図、(B)は(A)の(γ)部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の屋根用支持具A及び該屋根用支持具Aを使用した二層折板屋根Bの実施形態を図面に基づいて説明する。まず、本発明における屋根用支持具Aの説明を行い、次に該屋根用支持具Aを用いた二層折板屋根Bについて説明する。屋根用支持具Aは、主に折板タイプの金属屋根板から構成される二層折板屋根Bの使用に好適とされる。特に、屋根用支持具Aは、馳締タイプの折板屋根の使用に対して好適である。
【0034】
本発明では、方向を示す文言としてX方向及びY方向を使用する。本発明の屋根用支持具Aによって施工される二層折板屋根Bは、該二層折板屋根Bを構成する複数の折板屋根板8,8,…の並列される方向をY方向としている〔
図1(A)参照〕。また、各折板屋根板8の長手方向となる方向をX方向とする。したがって、本発明の屋根用支持具が装着される構造材の長手方向はY方向となる〔
図1(A)参照〕。このX方向及びY方向は、屋根用支持具Aにも適用され、二層折板屋根Bに組込まれた状態で、二層折板屋根BのX方向及びY方向にならうものとする。X方向及びY方向については、図中に記載した。
【0035】
本発明には、複数の実施形態が存在し、何れも金属製の嵌合取付部材A1と、金属製の
挟持脚部材5とによって構成される。嵌合取付部材A1は、ベース板状部1と膨出部2と
から構成される〔
図1(A)参照〕。ベース板状部1は、Y方向を長手方向とした長方形の板状に形成されたものである〔
図2(A),
図3(B)等参照〕。ベース板状部1の板厚寸法は、参考として通常、約2乃至2.5ミリ程度である。
【0036】
膨出部2は、前記ベース板状部1の上方から見ると凸状の膨らみ状で且つ下方から見ると凹状の窪みとなる部位であり、ベース板状部1を土台として、四方及び上方が全て閉鎖状となった構造である〔
図1(B),
図2(A),(B),
図3等参照〕。具体的には、カプセルを半割にした略方形状容器のような形状である。膨出部2は、上面から見ると略長方形状であり、その4つの角部は丸みつまり円弧状に形成されている〔
図1(B),
図2(A),(B),
図3等参照〕。
【0037】
また、膨出部2は、ベース板状部1に対して、その内部に収まるようにして、最大限の面積を有するように形成されている〔
図2(A),(B),
図3参照〕。つまり、膨出部2の平面形状は、ベース板状部1の平面形状の範囲内において占める割合が大きく設定されている〔
図2(A),
図3(A),(B)参照〕。膨出部2の4個の角は円弧状であり、そのためにベース板状部1の4個の隅は、平坦状の部位として残されている。さらに、ベース板状部1の長辺付近は僅かに略平坦となる部位が残されている〔
図1(B),
図2(A),(B),
図3等参照〕。
【0038】
膨出部2には、Y方向の中間箇所に段差立上り面部21が設けられている〔
図1(B),
図2(A),
図3等参照〕。該段差立上り面部21は、膨出部2のY方向或いは長手方向に直交且つ略垂直状の面である。該段差立上り面部21を境にしてY方向における一方側の部分を低位頂部22であり、Y方向における他方側の部分を高位頂部23である。低位頂部22は、高位頂部23よりも低い位置となっている〔
図1(B),
図2(A),
図3等参照〕。低位頂部22には、後述する吊子87が装着される部位となる〔
図1(B),
図2(A),
図3参照〕。
【0039】
膨出部2のY方向(長手方向)の両側面、つまり、低位頂部22及び高位頂部23の外方に面する側面は、上方から下方に向かって外方に傾斜する傾斜状の面として形成されている。そして、低位頂部22側に連続する傾斜面を低位傾斜面24と称し、高位頂部23側に連続する傾斜面を高位傾斜面25と称する〔
図1(B),
図2(A),
図3等参照〕。前記低位頂部22と低位傾斜面24との角部22tは、円弧状の丸みを有している。
【0040】
同様に、高位頂部23と高位傾斜面25との角部23tも円弧状の丸みを有している〔
図1(B),
図2(A),(B),
図3等参照〕。また、嵌合取付部材A1のX方向に沿う両側には、側面部26,26が形成されている。側面部26は、低位頂部22及び高位頂部23,低位傾斜面24及び高位傾斜面25に亘って、Y方向に連続する側面である〔
図2(A),(B)及び
図3参照〕。
【0041】
前記ベース板状部1の長手方向つまりY方向の両端の位置は、嵌合端部11,11となっている〔
図1(B),
図2(A),
図3等参照〕。両該嵌合端部11,11は、長方形状の前記ベース板状部1の対向する両短辺部分で、直線の縁となっている。両該嵌合端部11,11は、後述する二層折板屋根Bを構成する下層折板屋根B1における折板屋根板8の被嵌合屈曲部86,86に嵌合して、下層折板屋根B1に屋根用支持具Aを固定する役目をなす(
図1参照)。つまり、ベース板状部1の嵌合端部11は、その全体が折板屋根板8の被嵌合屈曲部86に当接することができる。また、嵌合端部11は、前記膨出部2の低位傾斜面24及び高位傾斜面25の下端と同一位置となっている。
【0042】
両前記嵌合端部11,11には、ベース板状部1の下面側に向かって折り返し状の屈曲片11aが形成されている〔
図2(A),
図3参照〕〕。両屈曲片11aは、それぞれの屈曲片11aは、断面略横「U」字形状に形成される〔
図1(B),
図2(A),
図3等参照〕。又は、略逆「ハ」字形状となるように屈曲形成される(
図7参照)。
【0043】
両該屈曲片11aがベース板状部1の両嵌合端部11,11に形成されることにより、両嵌合端部11,11部分の力学的強度を向上させると共に、折板屋根板8の被嵌合屈曲部86との当接状態をより確実なものにできる。さらに、折板屋根板8の被嵌合屈曲部86を、嵌合取付部材A1の嵌合端部11と嵌合させるときに、折板屋根板8の内面側に傷が付くことを防止することができる。
【0044】
膨出部2の低位頂部22に形成された連結用固定孔22aの位置で且つ前記低位頂部22の下面側には内ネジ部4が設けられる〔
図1(B),
図2(A)参照〕。該内ネジ部4は、低位頂部22の下面側に溶接等にて固着されている。或いは、内ネジ部4は、嵌合取付部材A1には固着されず、嵌合取付部材A1と吊子87とを連結するときに固定用ボルト88と共に別部材として使用される。
【0045】
内ネジ部4は、内部に内ネジ41を有する円筒状の部材としたものであり、該内ネジ41には前記固定用ボルト88の螺子軸部分が螺合する〔
図2(A)参照〕。内ネジ部4は、単にナットを代用品として使用しても構わない。嵌合取付部材A1は、ベース板状部1に対して膨出部2が成形型からなるプレス機を使用してプレス加工により形成される。
【0046】
嵌合取付部材A1の第1変形例では、前記ベース板状部1に対して膨出部2が占有する
面積を少なくしたものである(
図7参照)。この実施形態では、ベース板状部1の平坦状部が多く現われる。つまり、第1変形例における嵌合取付部材A1では、ベース板状部1に
は、膨出部2が形成されていない部位が広く存在することになり、ベース板状部1のY方向の両側部分のみならず、X方向の両側部分にも平坦状の部位が存在することになる。
【0047】
また、嵌合取付部材A1の第2変形例として、膨出部2の低位傾斜面24及び高位傾斜
面25を、略垂直状にすることもある〔
図7(B)参照〕。これによって、嵌合取付部材A1は、膨出部2の成形範囲をより一層狭くし、ベース板状部1の平坦状部分を大きくす
ることができる。
【0048】
嵌合取付部材A1の第2変形例のように、ベース板状部1に対して膨出部2の形成領域
を小さくすることにより、ベース板状部1の嵌合端部11,11の形状がより一層、突出し且つ嵌合端部11における屈曲片11a部分の角度がより一層鋭角となり、折板屋根板の被嵌合屈曲部に食い込み易くすることができ、折板屋根板8の屋根用支持具に対する固定状態をより一層強固なるものにすることができる。
【0049】
第1変形例及び第2変形例の嵌合取付部材A1についても、前述したように、ベース板
状部1に膨出部2が膨出形成されることにより、膨出部2はカプセルを半割にした容器のような形状となる。したがって、膨出部2は、略シェル的な構造或いは略モノコック的な構造となり、ベース板状部1と膨出部2とが相互に他方を補強することができ、嵌合取付部材A1は、相乗的に力学的強度に優れたものにできる。
【0050】
次に、挟持脚部材5は、挟持頂部51と支持脚部52,52と嵌合突起片53,53及び締付具55等から構成されている〔
図1(B),
図2(A),
図3(A)参照〕。前記挟持頂部51は、平坦(フラット)状の面として形成されている〔
図1(B),
図2(A),
図3(A)参照〕。挟持頂部51と両支持脚部52,52と両嵌合突起片53,53は、1つの金属帯板材からプレス加工等により一体形成されたものである〔
図1(B),
図2(A),
図3(A)等参照〕。
【0051】
挟持頂部51上には、前記嵌合取付部材A1が載置固着される部位となる。具体的には、挟持頂部51上に嵌合取付部材A1が溶接によって固着されることが好適である。そのために、挟持頂部51は、平坦状面であることが好適である。また、嵌合取付部材A1と挟持頂部51は、ボルト・ナット等の固着手段を採用しても構わない。
【0052】
挟持頂部51の幅方向(Y方向)の両端から下方に向かって支持脚部52,52が形成され、該支持脚部52,52の下端から、幅方向(Y方向)の内方に向かって突出する嵌合突起片53,53が形成されている〔
図1(B),
図2(A),
図3(A)参照〕。そして、両支持脚部52,52は、さらに、垂下状脚片521,521が形成され、該垂下状脚片521,521の下端から幅方向(Y方向)の外方に拡がる平坦状脚片522,522が形成され、両該平坦状脚片522,522の外端より幅方向(Y方向)外方下向きに傾斜する傾斜脚片523,523が形成されている。
【0053】
両支持脚部52,52をさらに詳細に説明すると、上下方向に略垂直状の両垂下状脚片521,521は、略平行状であり、両垂下状脚片521,521の下端から幅方向(Y
方向)の外方に向かって平坦状脚片522,522が形成される。両該平坦状脚片522
,522は、略水平状であり、具体的には幅方向(Y方向)の外方下向きに僅かに傾斜している。両該平坦状脚片522,522の外端から幅方向(Y方向)の外方下向きに傾斜脚片523,523が形成されている。そして、両該傾斜脚片523,523の下端から幅方向(Y方向)の内方に向かって嵌合突起片53,53が形成される〔
図1(B),
図2(A),
図3(A)参照〕。
【0054】
両支持脚部52,52の垂下状脚片521,521には、締付具55が設けられる〔
図1(B),
図2(A),
図3(A)参照〕。締付具55は、ボルト551とナット552及び座金(ワッシャー)553から構成される。ボルト頭部551aには、方形状の回り止め部551bが隣接して形成されている。両前記垂下状脚片521,521には、ボルト551のネジ軸が挿通する挿通孔54,54が形成されている。
【0055】
一方の挿通孔54は、前記回り止め部551よりも僅かに大きい方形状の孔であり、該回り止め部551が挿通孔54に挿通する。これによって、ボルト551は、挿通孔54に対して空転(空回り)することなく、座金(ワッシャー)553を介してナット552で両垂下状脚片521,521を締め付けることができ、両支持脚部52,52同士の間隔を狭くしたり、拡げたりすることができ、同時に両嵌合突起片53,53同士の間隔を狭くしたり、拡げたりすることができる。
【0056】
ここで、挟持脚部材5の両垂下状脚片521,両平坦状脚片522,両傾斜脚片523は、二層折板屋根Bにおける下層折板屋根B1を構成する並列配置された折板屋根板8,
8,…において、その隣接する折板屋根板8,8同士の馳締連結箇所を中心とする山形部上方の形状と略同一形状又は、その山形部上方の形状に略倣う形状となる〔
図1(B)参照〕。また、特に図示しないが、両支持脚部52,52は、両垂下状脚片521,両平坦状脚片522,両傾斜脚片523を備えず、単に直線傾斜状の脚部としてもかまわない。
【0057】
また、挟持脚部材5における両支持脚部52,52及び嵌合突起片53,53は、奥行方向つまりX方向において、所定の長さを有している。具体的には、前記挟持頂部51を長方形状としたときに、そのX方向を長辺とすると、支持脚部52及び嵌合突起片53のX方向における長さ寸法は、挟持頂部51の長辺に等しい〔
図3(A)参照〕。
【0058】
つまり、二層折板屋根Bにおける下層折板屋根B1を構成する折板屋根板8の被嵌合屈
曲部86に対して支持脚部52及び嵌合突起片53は、線接触状態に接触(当接)する。これによって、下層折板屋根B1に装着された屋根用支持具Aは、X方向に沿って倒れ難い
構造にすることができ、強固な装着にすることができる。
【0059】
挟持頂部51,支持脚部52及び嵌合突起片53には、それぞれリブ51r,リブ52r及び53rが形成されることもある〔
図1(B),
図2(A),
図3(A)参照〕。挟持頂部51におけるリブ51rは、挟持頂部51から上下何れか一方に膨出形成されたものであり、断面略半円状であり、X方向において2列で且つY方向に沿って直線状に形成されたものである〔
図3(A)参照〕。
【0060】
ここで、並列されたリブ51r,51rの間隔は、嵌合取付部材A1のX方向における両側面部26,26の内面側の近接して収まる間隔としている〔
図2(B)参〕。これによって、2つのリブ51r,51rは、挟持頂部51に嵌合取付部材A1を溶接等の固着手段
により固着する場合の位置決めとしての役目をなすものである。
【0061】
支持脚部52のリブ52rについては、支持脚部52の上下方向に亘って連続形成されている。リブ52rは、支持脚部52から幅方向(Y方向)の外方側に膨出形成されたものであり、断面略半円状であり、X方向において平行状の2列で上下方向に直線状に形成されたものである。そして、支持脚部52を構成する両垂下状脚片521,両平坦状脚片522,両傾斜脚片523に亘って、連続的且つ直線状に形成されたものである〔
図3(A)参照〕。嵌合突起片53におけるリブ53rは、嵌合突起片53から下方に膨出形成されたものであり、断面略半円状であり、X方向において2列で且つY方向に沿って直線状に形成されたものである〔
図2(A),
図3(A)参照〕。
【0062】
次に、本発明における屋根用支持具Aの第2実施形態として、挟持脚部材5の両嵌合突起片53,53及び両支持脚部52,52の下方且つ一部には樹脂が被覆、換言するならばコーティングされる樹脂被覆部56が設けられている。具体的には、該樹脂被覆部56とは、挟持脚部材5が二層折板屋根Bにおける下層折板屋根B1を構成する複数の折板屋
根板8,8,…において、その隣接する折板屋根板8,8同士の馳締連結箇所を中心とする山形部に適正に装着された状態で、挟持脚部材5の両支持脚部52,52及び両嵌合突起片53,53が下層折板屋根B1と直接、接触する部分に樹脂による被覆が行われてい
る部分のことである(
図4参照)。
【0063】
樹脂被覆部56は、挟持脚部材5の全体に設けられるものではなく、少なくとも一部の部分のみでよく、この一部とは、具体的には、前述したように、下層折板屋根B1と屋根
用支持具Aとの接触(当接)箇所のことである。挟持脚部材5に設けられた樹脂被覆部56は、二層折板屋根Bにおける上層折板屋根B2からの温度の流れを遮断する断熱としての
役目をなすものである〔
図4(A),(B)参照〕。
【0064】
樹脂被覆部56によって、低温又は高温等の外気温が二層折板屋根Bの上層折板屋根B2から屋根用支持具Aに伝達されたとしても、該屋根用支持具Aから下層折板屋根B1には熱の伝達をほとんど遮断し、熱伝達熱を防止するとともに、下層折板屋根B1下の室内の
温度を略一定にすることができるものである。
【0065】
ここで、樹脂被覆部56は、流動浸漬式ポリエチレンにより行われ、さらに具体的には、紛体樹脂塗料が収容されている槽に挟持脚部材5の一部を漬け込むことにより、被覆(コーティング)が行われ、樹脂被覆部56が形成されるものである〔
図4(C)参照〕。
前述したように、該樹脂被覆部56は、挟持脚部材5を構成する嵌合突起片53と、支持脚部52において、垂下状脚片521の下方の一部(つまり下端付近)と、平坦状脚片522と、傾斜脚片523に設けられる。
【0066】
すなわち、下層折板屋根B1を構成する隣接する折板屋根板8,8同士の連結箇所に構成される山形部と接触する挟持脚部材5には樹脂被覆部56が設けられるものである。また、樹脂被覆部56は、挟持頂部51を含む挟持脚部材5の全体に設けても構わない。
【0067】
次に、本発明の第2実施形態において、嵌合取付部材A1の少なくとも一部には樹脂が被覆、換言するならばコーティングされる樹脂被覆部56が設けられている。具体的には、嵌合取付部材A1に、上層折板屋根B2を構成する複数の折板屋根板8,8,…において、その隣接する折板屋根板8,8同士の馳締連結箇所を中心とする山形部がその下面から適正に支持された状態で、嵌合取付部材A1と上層折板屋根B2とが直接、接触する部分に樹脂による被覆が行われている部分のことである〔
図4(A)参照〕。
【0068】
樹脂被覆部56は、嵌合取付部材A1の全体に設けられるものではなく、少なくとも一
部の部分のみでよく、この一部とは、具体的には、前述したように、上層折板屋根B2と
嵌合取付部材A1との接触(当接)箇所のことである。したがって、嵌合取付部材A1におけるベース板状部1の両嵌合端部11,11及び両屈曲片11a,11aに樹脂コーティングされた樹脂被覆部56が設けられる。さらに、膨出部2における段差立上り面部21,低位頂部22の一部,高位頂部23の一部及び高位傾斜面25に樹脂コーティングされた樹脂被覆部56が設けられる。また、樹脂被覆部56は、嵌合取付部材A1の全体に設け
ても構わない。
【0069】
屋根用支持具Aに設けられる樹脂被覆部56については、以下に示す3パターンが存在する。まず、第1のパターンでは、屋根用支持具Aの嵌合取付部材A1及び挟持脚部材5
には、樹脂被覆部56が設けられないパターンである。このパターンでは、二層折板屋根Bにおいて断熱の必要性が無い場合である。
【0070】
次に、第2のパターンとしては、樹脂被覆部56が嵌合取付部材A1の挟持脚部材5側
のみに設けられるパターンである。このパターンでは、直接外気温を受ける上層折板屋根B2から屋根用支持具Aを介して下層折板屋根B1側に温度の伝達を遮断するものであり、樹脂被覆部56は断熱としての役目をなす。
【0071】
次に、第3のパターンとして、樹脂被覆部56が嵌合取付部材A1の挟持脚部材5側及
び嵌合取付部材A1の両方に設けられるパターンである。このパターンでは、樹脂被覆部
56は、前述した上層折板屋根B2から屋根用支持具Aを介して下層折板屋根B1側に温度の伝達を遮断する断熱としての役目と共に、上層折板屋根B2における板鳴り現象を低減
させる役目をなすものである。
【0072】
このパターンにおいて、上層折板屋根B2は、外気温の影響を受けて、特に夏季では高温により上層折板屋根B2を構成する折板屋根板8は長手方向(X方向)に沿って熱伸縮を行う。この場合、上層折板屋根B2と該上層折板屋根B2を支持する屋根用支持具Aの嵌合取付部材A1との間で位置ずれが生じ、振動及び騒音を発生する。そして、このとき嵌合取付部材A1の樹脂被覆部56は、上層折板屋根B2との位置ずれ時による振動及び騒音の発生を最小限に低減し、板鳴り現象を抑制する役目をなすものである。なお、樹脂被覆部56は、嵌合取付部材A1にのみ設けられ、挟持脚部材5には設けられないこともある。
【0073】
次に、二層折板屋根Bについて説明する。二層折板屋根Bは下層折板屋根B1と上層折板屋根B2とから構成される〔
図1,
図2(A),
図7(A)参照〕。なお下層折板屋根は下弦屋根と称することがあり、上層折板屋根は上弦屋根と称することもある。下層折板屋根B1と上層折板屋根B2の構成は同一又は略同一であり、下層折板屋根B1と上層折板屋根B2を構成するそれぞれの折板屋根板8についても同一又は略同一である。下層折板屋根B1及び上層折板屋根B2は、同一の馳締タイプの折板屋根板8により構成される。
【0074】
下層折板屋根B1及び上層折板屋根B2を構成する折板屋根板8は同一なので、同一符号を付与する。そして、折板屋根板8については、下層折板屋根B1を構成する折板屋根板8及び上層折板屋根B2を構成する折板屋根板8と称する。下層折板屋根B1及び上層折板屋根B2を構成するそれぞれの折板屋根板8の構成は、平坦状の主板81が設けられ、該
主板81の幅方向両側に立上り部82,82が形成され、該立上り部82,82の上端から山形頂部83,83が形成されている。
【0075】
折板屋根板8の幅方向一方側の山形頂部83には、下馳部84が形成され、他方側の山形頂部83には上馳部85が形成されている。下馳部84及び上馳部85は、その断面形状に円弧形状の部分が存在する丸馳形状に形成されたものであるが、その他に形状を略方形状とした角馳タイプのものや〔
図5(A)参照〕、形状を略逆L字形状とした立馳タイプのもの〔
図5(B)参照〕が存在する。
【0076】
また、前記主板81の幅方向(Y方向)の中心箇所には断面略扁平V字形状としたV字状底部811が形成されている(
図1参照)。該V字状底部811は、主板81の中でも特に最も深い部分であり〔
図1(A)参照〕、主板81の長手方向(X方向)に連続して形成されている。V字状底部811は、その最深部811aは折板建築用板8の長手方向(X方向)に沿って連続する折線となっている〔
図1(A)参照〕。
【0077】
主板81にV字状底部811が設けられることにより、折板建築用板8全体の断面係数が向上して力学的強度に優れたものとなる。特に、V字状底部811は、最深部811aを中心とする略逆三角形状をなしており、V字状底部811は、上方に向かって極めて反り返り難い構造となっている。したがって、本発明の建築用受具にて構造材9上に装着された折板建築用板8は、特に強風による負圧に対して強く、優れた耐久性を有するものである。
【0078】
次に、両前記立上り部82には、被嵌合屈曲部86がそれぞれ形成されている。該被嵌合屈曲部86は、両前記立上り部82の高さ方向の中間箇所に段状部として形成されたものであり、該立上り部82において、前記段状部の上方側が下方側よりも外方に突出するように形成された部位である〔
図1(B),
図8参照〕。或いは、換言するならば、立上り部82において、前記段状部の下側が上方側よりも内方側に凹むように突出するように形成された部位である。折板屋根板8における被嵌合屈曲部86は、屋根用支持具Aの嵌合取付部材A1の嵌合端部11と嵌合する役目をなす部位である〔
図1(B),
図8参照〕。
【0079】
次に、二層折板屋根Bにおいて、下層折板屋根B1上に屋根用支持具Aが設置され、該
屋根用支持具A上に層折板屋根B2が施工される工程を説明する。まず、下層屋根Bにつ
いて説明する。下層折板屋根B1は、折板屋根板8と屋根受具7と構造材9にて屋根(壁
も含む)により構成される。下層折板屋根B1を支持する屋根受具7は、屋根用支持具A
の嵌合取付部材A1と同様の嵌合取付部材A1を有している。
【0080】
下層折板屋根B1を支持する構造材9上に複数の屋根受具7,7,…が配置される。そ
して下層折板屋根B1を構成する複数の折板屋根板8,8,…は、下馳部84と上馳部8
5とが馳締連結され、隣接する折板屋根板8,8の連結箇所の対向する被嵌合屈曲部86,86が屋根受具7の嵌合取付部材A1の両嵌合端部11,11に嵌合されて、折板屋根板8が屋根受具7に固定される。嵌合取付部材A1によって複数の折板屋根板8,8,…を支持する工程については、屋根用支持具Aの嵌合取付部材A1によって上層折板屋根B2を構成する複数の折板屋根板8,8,…を支持する構成と同様であるので、後述する上層折板屋根B2の施工の説明を参照されたい。
【0081】
まず、下層折板屋根B1を構成する複数の折板屋根板8,8,…の下馳部84と上馳部
85とによる連結箇所を中心とする山形部上に、屋根用支持具Aが設置される。屋根用支持具Aは、下層折板屋根B1を構成する複数の並列された折板屋根板8,8,…のY方向及びX方向に沿って行列状態で設置される。
【0082】
屋根用支持具Aの下層折板屋根B1への設置は、挟持脚部材5の両支持脚部52,52
の下端の嵌合突起片53,53を下層折板屋根B1の隣接する折板屋根板8,8の両被嵌合屈曲部86,86を挟持するように配置し、締付具55を締め付けることによって、両嵌合突起片53,53を両被嵌合屈曲部86,86に嵌合係止させる。屋根用支持具Aを下層折板屋根B1に設置する。
【0083】
次に、上層折板屋根B2を構成する折板屋根板8を隣接する屋根用支持具A,A間に配
置し両被嵌合屈曲部86,86に対して、隣接する嵌合取付部材A1,A1のそれぞれの嵌
合端部11,11が適正に嵌合することができるように設定される〔
図1(A)参照〕。そして、下層折板屋根B1上で隣接する屋根用支持具A,Aの嵌合取付部材A1,A1間に
折板屋根板8が配置され、該折板屋根板8を押し込むようにして、その両被嵌合屈曲部86,86と、隣接する屋根用支持具の嵌合取付部材A1,A1の対向する嵌合端部11,11とを嵌合させる。
【0084】
そして、折板屋根板8の下馳部84を吊子87の舌片87bを馳締し、屋根用支持具Aの嵌合取付部材A1の低位頂部22に、吊子87を固定用ボルト88と内ネジ部(ナット等)4によって固着する。舌片87bには、取付孔87cが形成され、該取付孔87cには、前記固定用ボルト88が挿通する構成となっている。次いで、隣接する折板屋根板8,8同士の下馳部84と上馳部85とを馳締して二層折板屋根Bにおける上層折板屋根B2を施工するものである(
図1参照)。
【0085】
前記吊子87は、座金部87aと舌片87bとを備えており、前記座金部87aが嵌合取付部材A1の低位頂部22上に載置され、固定用ボルト88と内ネジ部(ナット等)4に
よって座金部87aが固着されるものである(
図5参照)。また、隣接する折板屋根板8,8の下馳部84と上馳部85とは、吊子87の舌片87bを挟むようにして馳締される〔
図1(B)参照〕。また、吊子87は、舌片87bと固定用ボルト88のみで構成される実施形態も存在する〔
図1(B),
図2(A)等参照〕。
【0086】
このように、折板屋根板8は、吊子87を介して、本発明の屋根用支持具の嵌合取付部材A1の低位頂部22に固定支持されると共に、屋根用支持具の両嵌合端部11,11に
よって、折板屋根板8の被嵌合屈曲部86,86が嵌合部固定されるものである。つまり、本発明の屋根用支持具は、折板屋根板8を嵌合取付部材A1の低位頂部22に装着された吊子87及び嵌合端部11,11の複数個所で固定することができるものである。これによって、本発明の屋根用支持具は、折板屋根板8,8,…によって施工された屋根,壁等の外囲体を極めて強固に支持固定し、特に強風による負圧に対して優れた耐久性を発揮できるものである。
【0087】
二層折板屋根Bに、さらに、折板屋根を1つ加えて三層折板屋根とすることもある(
図6参照)。この場合、上層折板屋根B2に、さらに三層目となる、最上層折板屋根B3が設置され、三層の折板屋根となる。下層折板屋根B1と上層折板屋根B2との間及び上層折板屋根B2と最上層折板屋根B3との間に屋根用支持具Aが設けられる。また、下層折板屋根B1,上層折板屋根B2及び最上層折板屋根B3のそれぞれの馳締部の位置は全て一致(略一致も含む)し、馳締部が上中下に揃う支持箇所において屋根用支持具Aは、上下2個使用
される(
図6参照)。
【0088】
次に、上層折板屋根B2は、
図1,
図2(A)に示すように、前記下層折板屋根B1と同等の構成であり、同様の折板屋根板8が使用される。折板屋根板8は、下層折板屋根B1
を構成する折板屋根板8と同等又は略同等の構造を有するものであり、上層折板屋根B2を構成する折板屋根板8の説明は下層折板屋根B1を構成する折板屋根板8の説明を参照
されたい。二層折板屋根Bにおける下層折板屋根B1と上層折板屋根B2との間には、グラスウール等の断熱材mが充填されることもある(
図6参照)。
【符号の説明】
【0089】
A…屋根用支持具、A1…嵌合取付部材、1…ベース板状部、11…嵌合端部、
11a…屈曲片、2…膨出部、21…段差立上り面部、22…低位頂部、
23…高位頂部、5…挟持脚部材、51…挟持頂部、52…支持脚部、
53…嵌合突起片、52…支持脚部、52a…垂下状脚片、52b…平坦状脚片、
52c…傾斜脚片、55…締付具、56…樹脂被覆部、B…二層折板屋根、
B1…下層折板屋根、B2…上層折板屋根、折板屋根板8。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
長方形状のベース板状部と該ベース板状部上に形成され且つ段差立上り面部の一方側に低位頂部が形成され他方側に高位頂部が形成された膨出部とを備えると共に前記ベース板状部の長手方向両端は、嵌合端部としてなる嵌合取付部材と、2つの支持脚部と両該支持脚部の下端に内方に向かって突出する嵌合突起片と両前記支持脚部を幅方向に近接させる締付具とを有する挟持脚部材とを備え、前記嵌合取付部材の下方側に延在するように前記支持脚部が設けられ、挟持脚部材の挟持頂部は、平坦状の面として形成され、該挟持頂部上に前記嵌合取付部材が溶接によって固着されてなることを特徴とする屋根用支持具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
請求項1に記載の屋根用支持具において、前記嵌合取付部材における前記ベース板状部の両前記嵌合端部には下方に折り返し状の屈曲片が形成されてなることを特徴とする屋根用支持具。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
請求項1,2又は3の何れか1項に記載の屋根用支持具において、前記嵌合取付部材の少なくとも一部には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられてなることを特徴とする屋根用支持具。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項7】
主板の幅方向両側に立上り部が形成され、両該立上り部の高さ方向中間箇所に被嵌合屈曲部が形成され、両前記立上り部の一方側の山形頂部には、下馳部が形成され、他方側の前記山形頂部には上馳部を有する折板屋根板材が複数並設され、隣接する両該折板屋根板材同士の前記下馳部と前記上馳部とが馳締連結されてなる下層折板屋根と、該下層折板屋根と同等の折板屋根板材によって前記下層折板屋根と同等の構成とした上層折板屋根とからなる二層折板屋根と、長方形状のベース板状部と該ベース板状部上に形成され且つ段差立上り面部の一方側に低位頂部が形成され他方側に高位頂部が形成された膨出部とを備えると共に前記ベース板状部の長手方向両端は、嵌合端部としてなる嵌合取付部材と、2つの支持脚部と、両該支持脚部の下端に内方に向かって突出する嵌合突起片と、両前記支持脚部を幅方向に近接させる締付具とを有する挟持脚部材とを備え、前記嵌合取付部材の下方側に延在するように前記支持脚部が設けられ、挟持脚部材の挟持頂部は、平坦状の面として形成され、該挟持頂部上に前記嵌合取付部材が溶接によって固着されてなる屋根用支持具とを備え、前記下層折板屋根における隣接する両前記折板屋根板の対向する両前記立上り部上に前記屋根用支持具が配置され、両前記支持脚部は前記締付具にて隣接する両前記折板屋根板の対向する両前記被嵌合屈曲部を挟持固定されると共に、両前記被嵌合屈曲部に、両前記嵌合突起片が嵌合され、前記嵌合取付部材にて前記上層折板屋根が支持されてなることを特徴とする二層折板屋根。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項8】
請求項7に記載の二層折板屋根において、前記嵌合取付部材における前記ベース板状部の両前記嵌合端部には下方に折り返し状の屈曲片が形成されてなることを特徴とする二層折板屋根。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、長方形状のベース板状部と該ベース板状部上に形成され且つ段差立上り面部の一方側に低位頂部が形成され他方側に高位頂部が形成された膨出部とを備えると共に前記ベース板状部の長手方向両端は、嵌合端部としてなる嵌合取付部材と、2つの支持脚部と両該支持脚部の下端に内方に向かって突出する嵌合突起片と両前記支持脚部を幅方向に近接させる締付具とを有する挟持脚部材とを備え、前記嵌合取付部材の下方側に延在するように前記支持脚部が設けられ、挟持脚部材の挟持頂部は、平坦状の面として形成され、該挟持頂部上に前記嵌合取付部材が溶接によって固着されてなる屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項2の発明を、請求項1に記載の屋根用支持具において、前記嵌合取付部材における前記ベース板状部の両前記嵌合端部には下方に折り返し状の屈曲片が形成されてなる屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2に記載の屋根用支持具において、前記挟持脚部材の両前記嵌合突起片及び両前記支持脚部の下方且つ一部には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられてなる屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。請求項4の発明を、請求項1,2又は3の何れか1項に記載の屋根用支持具において、前記嵌合取付部材の少なくとも一部には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられてなる屋根用支持具としたことにより、上記課題を解決した。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項7の発明を、主板の幅方向両側に立上り部が形成され、両該立上り部の高さ方向中間箇所に被嵌合屈曲部が形成され、両前記立上り部の一方側の山形頂部には、下馳部が形成され、他方側の前記山形頂部には上馳部を有する折板屋根板材が複数並設され、隣接する両該折板屋根板材同士の前記下馳部と前記上馳部とが馳締連結されてなる下層折板屋根と、該下層折板屋根と同等の折板屋根板材によって前記下層折板屋根と同等の構成とした上層折板屋根とからなる二層折板屋根と、長方形状のベース板状部と該ベース板状部上に形成され且つ段差立上り面部の一方側に低位頂部が形成され他方側に高位頂部が形成された膨出部とを備えると共に前記ベース板状部の長手方向両端は、嵌合端部としてなる嵌合取付部材と、2つの支持脚部と、両該支持脚部の下端に内方に向かって突出する嵌合突起片と、両前記支持脚部を幅方向に近接させる締付具とを有する挟持脚部材とを備え、前記嵌合取付部材の下方側に延在するように前記支持脚部が設けられ、挟持脚部材の挟持頂部は、平坦状の面として形成され、該挟持頂部上に前記嵌合取付部材が溶接によって固着されてなる屋根用支持具とを備え、前記下層折板屋根における隣接する両前記折板屋根板の対向する両前記立上り部上に前記屋根用支持具が配置され、両前記支持脚部は前記締付具にて隣接する両前記折板屋根板の対向する両前記被嵌合屈曲部を挟持固定されると共に、両前記被嵌合屈曲部に、両前記嵌合突起片が嵌合され、前記嵌合取付部材にて前記上層折板屋根が支持されてなる二層折板屋根としたことにより、上記課題を解決した。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項8の発明を、請求項7に記載の二層折板屋根において、前記嵌合取付部材における前記ベース板状部の両前記嵌合端部には下方に折り返し状の屈曲片が形成されてなる二層折板屋根としたことにより、上記課題を解決した。請求項9の発明を、請求項7又は8に記載の二層折板屋根において、前記嵌合取付部材と前記挟持脚部材の少なくとも何れか一方で、且つ少なくとも前記折板屋根板と接触する箇所には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられてなる二層折板屋根としたことにより、上記課題を解決した。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
請求項4の発明では、前記嵌合取付部材の少なくとも一部には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられた構成により、上層折板屋根が夏季等の高温により上層折板屋根を構成する折板屋根板が長手方向(X方向)に沿って熱伸縮って屋根用支持具に対する位置ずれが生じ、振動及び騒音を発生することがある。このようなときに、嵌合取付部材の樹脂被覆部が、上層折板屋根との位置ずれ時による振動及び騒音の発生を最小限に低減し、板鳴り現象を抑制することができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
また、前記嵌合取付部材の少なくとも一部には樹脂が被覆される樹脂被覆部が設けられ場合では、上層折板屋根が夏季等の高温により上層折板屋根を構成する折板屋根板が長手方向(X方向)に沿って熱伸縮って屋根用支持具に対する位置ずれが生じ、振動及び騒音を発生することがある。このようなときに、嵌合取付部材の樹脂被覆部が、上層折板屋根との位置ずれ時による振動及び騒音の発生を最小限に低減し、板鳴り現象を抑制することができる。