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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170287
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/10 20060101AFI20221102BHJP
   G05G 1/01 20080401ALI20221102BHJP
   B62D 1/04 20060101ALI20221102BHJP
   H01H 25/00 20060101ALI20221102BHJP
   H01H 25/04 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G05G1/10 A
G05G1/01 Z
B62D1/04
H01H25/00 E
H01H25/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076331
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 圭司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 敏仁
(72)【発明者】
【氏名】野畑 直樹
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 仁紀
(72)【発明者】
【氏名】片桐 寿治
(72)【発明者】
【氏名】妻鹿 晋
(72)【発明者】
【氏名】野津 眞貴
【テーマコード(参考)】
3D030
3J070
5G031
【Fターム(参考)】
3D030DA11
3D030DB13
3D030DB19
3J070AA07
3J070AA13
3J070AA24
3J070BA32
3J070BA51
3J070CA22
3J070CA44
3J070CA47
3J070CB01
3J070CB37
3J070CC71
3J070DA01
3J070DA07
3J070DA11
3J070DA61
3J070EA32
5G031AS33H
5G031GS24
5G031HU12
5G031HU97
(57)【要約】
【課題】動作制御装置に搭載される入力装置の利便性を高める。
【解決手段】
入力装置10は、操舵装置20に搭載される。操舵装置20は、軸部23と右腕部25を備えている。軸部23は、第一の軸A1を中心とする回動可能に構成されている。右腕部25は、移動経路Mに沿って移動することにより軸部23を第一の軸A1を中心として回動させる。右把持部22は、移動経路Mに沿って移動可能であり、運転者の右手42により把持可能である。入力受付部11は、軸部23の回動に対応する第一被制御動作と異なる第二被制御動作を実行するための運転者の操作入力を受け付ける。入力受付部11は、軸部23と右手42との位置関係に応じて変位可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の軸を中心として回動可能に構成された軸部と、移動経路に沿って移動することにより前記軸部を前記第一の軸を中心として回動させる腕部とを備えている動作制御装置に搭載される入力装置であって、
前記移動経路に沿って移動可能であり、ユーザの手により把持可能である把持部と、
前記軸部の回動に対応する第一被制御動作と異なる第二被制御動作を制御するための前記ユーザの操作入力を受け付けるとともに、前記軸部と前記手との位置関係に応じて変位可能な入力受付部を備えている、
入力装置。
【請求項2】
前記把持部上の前記ユーザの手の位置に対応した検出信号を受け付ける検出受付部と、
前記検出信号に基づいて前記把持部に対する前記入力受付部の位置を変更する処理部と、
を備えている、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記把持部の移動に対応した検出信号を受け付ける検出受付部と、
前記検出信号に基づいて前記把持部に対する前記入力受付部の位置を変更する処理部と、
を備えている、請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記把持部は、前記第一の軸に沿う方向から見て前記第一の軸と非平行な方向に延びる第二の軸を中心として回動可能であり、
前記把持部の回動に応じて前記把持部に対する前記入力受付部の位置を変更する処理部と、
を備えている、請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
前記把持部は、前記第一の軸に沿う方向から見て前記第一の軸と非平行な方向に延びる第二の軸を中心として回動可能であり、
前記把持部は、前記ユーザの手により把持可能な第一部分と、前記第一部分の回動と共に回動する第二部分を有しており、
前記入力受付部は、前記把持部の第二部分に設けられている、請求項1に記載の入力装置。
【請求項6】
前記入力受付部は、前記ユーザの手の接触または接近を前記操作入力として検出可能な検出領域を有するタッチセンサであり、
前記処理部は、前記検出信号に基づいて前記検出領域の位置を変更する、請求項2から4のいずれか一項に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸部と腕部を備える動作制御装置に搭載される入力装置に関連する。軸部は、軸を中心として回動が可能であり、当該回動が被制御動作に対応付けられている。腕部は、移動経路に沿って移動することにより軸を中心として軸部を回動させる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、被制御動作として車両の進行方向を変更する操舵装置を開示している。当該操舵装置は、回転軸を中心として回転可能な軸部と、運転者の手による把持が可能かつ当該回転軸を中心とする環形状を有する把持部とを備えている。当該操舵装置には、当該車両における操舵以外の被制御動作を実現するための操作入力を運転者から受け付ける入力装置が搭載されている。
【0003】
特許文献2または特許文献3に記載されているように、把持部の形状が軸部の回転軸を中心とする環形状でない操舵装置もまた知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-206692号公報
【特許文献2】特開2003-161922号公報
【特許文献3】特開2005-246987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、動作制御装置に搭載される入力装置の利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、第一の軸を中心として回動可能に構成された軸部と、移動経路に沿って移動することにより前記軸部を前記第一の軸を中心として回動させる腕部とを備えている動作制御装置に搭載される入力装置であって、
前記移動経路に沿って移動可能であり、ユーザの手により把持可能である把持部と、
前記軸部の回動に対応する第一被制御動作と異なる第二被制御動作を制御するための前記ユーザの操作入力を受け付けるとともに、前記軸部と前記手との位置関係に応じて変位可能な入力受付部を備えている。
【0007】
上記の構成によれば、例えばユーザにより異なる把持部上の手の姿勢や位置に対応する軸部と手の位置関係に応じて、把持部に対して入力受付部が適切な位置へ変位する。これにより、入力受付部の操作性の低下を抑制できる。したがって、動作制御装置に搭載される入力装置の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一実施形態に係る入力装置の構成の一例を示している。
図2図1の入力装置が搭載される車両を例示している。
図3図1の入力装置の動作を例示している。
図4図1の入力装置の内部構成を例示している。
図5図1の入力装置の動作を例示している。
図6図1の入力装置の動作を例示している。
図7図1の入力装置の入力受付部を移動させる構成の一例を示している。
図8図1の入力装置の入力受付部を移動させる構成の別例を示している。
図9図1の入力装置の構成の別例を示している。
図10図9の入力装置の動作を例示している。
図11】第二実施形態に係る入力装置の構成の一例を示している。
図12】第三実施形態に係る入力装置の構成の一例を示している。
図13図12の入力装置の内部構成を例示している。
図14図12の入力装置の動作を例示している。
図15図12の入力装置の動作を例示している。
図16図1の入力装置の構成の別例を示している。
図17図1の入力装置の構成の別例を示している。
図18図1の入力装置の構成の別例を示している。
図19図12の入力装置の構成の別例を示している。
図20図1の入力装置の構成の別例を示している。
図21図1の入力装置の構成の別例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。以降の説明に用いられる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0010】
図1は、第一実施形態に係る入力装置10を例示している。入力装置10は、操舵装置20に搭載されている。操舵装置20は、図2に例示される車両30に搭載されて車両30の進行方向を変更する動作を行なうための装置である。操舵装置20は、動作制御装置の一例である。車両30は、移動体の一例である。車両30の進行方向を変更する動作は、第一被制御動作の一例である。
【0011】
図1図2に例示されるように、操舵装置20は、左把持部21と右把持部22を備えている。図1に二点鎖線で例示されるように、左把持部21と右把持部22は、第一の軸A1を中心とした移動経路Mに沿って移動可能である。第一の軸A1に沿う方向から見た移動経路Mは、第一の軸A1を中心とした円形状を有している。
【0012】
左把持部21は、運転者の左手41により把持可能かつ移動経路Mを横切る左手41の動きを許容する形状を有している。右把持部22は、運転者の右手42により把持可能かつ移動経路Mを横切る右手42の動きを許容する形状を有している。本例においては、左把持部21と右把持部22の各々は、球形状を呈している。すなわち、操舵装置20は、環形状でない把持部を有している。運転者は、ユーザの一例である。
【0013】
操舵装置20は、軸部23、左腕部24、および右腕部25を備えている。左腕部24は、左把持部21と軸部23を連結している。右腕部25は、右把持部22と軸部23を連結している。したがって、左腕部24と右腕部25の各々もまた、移動経路Mに沿って移動可能である。軸部23は、左把持部21と右把持部22の移動に応じて第一の軸A1を中心として回動可能である。第一の軸A1を中心とする軸部23の反時計回り方向の回動は、車両30の進路を左方へ変更する動作に対応付けられている。第一の軸A1を中心とする軸部23の時計回り方向の回動は、車両30の進路を右方へ変更する動作に対応付けられている。
【0014】
入力装置10は、入力受付部11を備えている。入力受付部11は、操舵装置20の右腕部25に配置されている。入力受付部11は、車両30に搭載された照明装置の動作モードを切り替えるための運転者の操作入力を受け付けるスイッチとして構成されている。当該スイッチは、運転者の手指による押下操作を伴う機械式スイッチであってもよいし、運転者の手指の接触または接近を操作として検出する静電式スイッチであってもよい。
【0015】
例えば、図3に示されるように入力受付部11が運転者の右手42による操作入力を受け付ける度に、消灯、自動点灯モード、スモールランプ点灯モード、ヘッドランプ点灯モードの順に動作モードが切り替わる。自動点灯モードにおいては、車両30の周囲の明るさに応じて各種ランプが自動的に点灯される。スモールランプ点灯モードにおいては、車幅灯と尾灯のみが点灯される。ヘッドランプ点灯モードにおいては、車幅灯と尾灯に加えてヘッドランプが点灯される。照明装置の動作モードの切り替えは、第二被制御動作の一例である。
【0016】
図4に例示されるように、入力装置10は、制御装置12を備えている。制御装置12は、検出受付部121と、処理部122と、出力部123とを備えている。
【0017】
検出受付部121は、右把持部22上の運転者の右手42の位置に対応した検出信号S1を受け付けるインターフェースとして構成されている。検出信号S1がアナログ信号である場合、検出受付部121は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0018】
例えば、図4に示されるように、右把持部22の内面には静電センサ31が固定されうる。静電センサ31は、運転者の右手42が右把持部22に接触または接近することにより変化する静電容量に対応する検出信号S1を出力する。すなわち、検出信号S1は、右把持部22上におけるいずれの箇所に運転者の右手42が位置しているかを表している。検出受付部121は、静電センサ31から出力された検出信号S1を受け付ける。
【0019】
処理部122は、検出信号S1に基づいて右把持部22に対する入力受付部11の位置を変更するように構成されている。具体的には、処理部122は、右把持部22上の運転者の右手42の位置に基づいて出力部123から入力受付部11の位置を変更するための制御信号S2を出力する。
【0020】
例えば、図5に示されるように、初期状態において、入力受付部11は、図5に二点鎖線で示される運転者の右手42の位置に対応して配置されている。初期状態とは、右把持部22が運転者の右手42により把持されていない状態を意味する。すなわち、図5に二点鎖線で示される運転者の右手42の位置は、初期状態における入力受付部11の位置を決めるための右手42の基準位置である。当該右手42の基準位置は、予め決められている固定位置でもよいし、前回に右把持部22が把持されていた際の右手の42の位置でもよい。すなわち、入力受付部11は、運転者が基準位置における右手42で右把持部22を把持しながら親指Fにより入力受付部11への操作入力が可能であると想定される位置に配置されている。
【0021】
図6に例示されるように右把持部22が運転者の右手42により把持されると、入力受付部11は、右把持部22上の右手42の位置に応じて移動される。具体的には、図5に二点鎖線で示される位置よりも第一の軸A1に沿う方向から見て上方の位置に運転者の親指Fが右把持部22上に配置されるので、入力受付部11は、第一の軸A1に沿う方向から見て上方に移動される。すなわち、入力受付部11の位置は、運転者が右把持部22上の右手42の姿勢を変えずに親指Fにより入力受付部11への操作入力が可能であると想定される位置に変更される。
【0022】
一例として、図7に示されるように、入力受付部11は、第一の軸A1に沿う方向から見て第一の軸A1と交差する方向に延びている第二の軸A2を中心として回動可能な可動部13により支持されるように構成されうる。可動部13は、右腕部25の一部を構成している。可動部13の回動は、周知の駆動機構により実現されうる。当該駆動機構が制御信号S2に基づいて可動部13を回動させることにより、入力受付部11の位置が変更される。
【0023】
別例として、図8に示されるように、入力受付部11を支持する可動部13が、第二の軸A2と交差する方向へ摺動可能とされうる。可動部13の摺動は、周知の駆動機構により実現されうる。当該駆動機構が制御信号S2に基づいて可動部13を摺動させることにより、入力受付部11の位置が変更される。
【0024】
上記のような構成によれば、例えば運転者により異なる右把持部22上の右手42の姿勢や位置に対応する軸部23と右手42の位置関係に応じて、右把持部22に対して入力受付部11が適切な位置へ変位する。これにより、入力受付部11の操作性の低下を抑制できる。したがって、操舵装置20に搭載される入力装置10の利便性を高めることができる。
【0025】
本実施形態においては、検出受付部121は、静電センサ31から出力された検出信号S1を受け付けている。しかしながら、検出受付部121は、感圧センサから出力された検出信号S1を受け付けるように構成されうる。例えば、右把持部22には感圧センサが固定される。感圧センサは、運転者の右手42により右把持部22へ加えられた圧力に対応する検出信号S1を出力する。すなわち、検出信号S1は、右把持部22上におけるいずれの箇所に運転者の右手42が位置しているかを表している。
【0026】
あるいは、検出受付部121は、車両30の室内に配置されたカメラから出力された右把持部22上の運転者の右手42の位置が写り込んだ画像データを含む検出信号S1を受け付けるように構成されうる。
【0027】
また、本実施形態においては、運転者が右把持部22を把持する際に、右把持部22上に配置される右手42の位置に基づいて入力受付部11の位置が変更されている。しかしながら、運転者が右把持部22を把持している状況下において右把持部22上に配置された右手42が右把持部22上を滑ることにより右把持部22における右手42の位置が変化した場合に、入力受付部11の位置が変更されるように構成されうる。このような構成によれば、例えば右把持部22の移動に伴って右手42が右把持部22上を滑ることにより右把持部22上の右手42の姿勢が変化し、軸部23と右手42との位置関係が変化しても、その変化に応じて右把持部22に対する入力受付部11の位置が変更されるので、右手42と入力受付部11の位置関係の変化が抑制される。したがって、入力受付部11の操作性の低下を抑制できる。
【0028】
図9に例示されるように、入力受付部11は、運転者の右手42の接触または接近を操作入力として検出可能な検出領域111Aを有するタッチセンサ111として構成されうる。検出領域111Aは、変位可能に構成されている。本例において、タッチセンサ111は、第一の軸A1に沿う方向から見て第一の軸A1と交差する方向に延びる第二の軸A2を中心とする環形状を有している。検出領域111Aは、第二の軸A2を中心とする周方向に変位可能に構成されている。第一の軸A1と交差する方向は、第一の軸A1と非平行な方向の一例である。
【0029】
処理部122は、検出信号S1に基づいて検出領域111Aの位置を変更するように構成されている。具体的には、処理部122は、右把持部22上の運転者の右手42の位置に基づいて出力部123から検出領域111Aの位置を変更するための制御信号S2を出力する。検出領域111Aの位置は、制御信号S2に応じて変更される。
【0030】
例えば、図10に示されるように右把持部22上に運転者の右手42が配置されると、検出領域111Aは、第二の軸A2に沿う方向から見て時計回りに方向に移動される。すなわち、検出領域111Aの位置は、運転者が右把持部22上の右手42の姿勢を変えずに親指Fにより検出領域111Aへの操作入力が可能であると想定される位置に変更される。
【0031】
このような構成によれば、検出領域111Aの位置が変更されれば入力受付部11自体の位置を変更する必要がないので、入力受付部11を変位させるための機械的機構が不要となり、入力装置10の構成の大型化を抑制できる。
【0032】
次に図11を参照しつつ、第二実施形態に係る入力装置10の構成について説明する。図1から図10を参照して説明した構成と実質的に同一の要素には同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0033】
本実施形態においては、検出受付部121は、右把持部22の移動に対応した検出信号S3を受け付けるインターフェースとして構成されている。
【0034】
例えば、図11に示されるように、軸部23には回動角検出部32が取り付けられている。回動角検出部32は、右把持部22が一点鎖線で示される基準位置P0から位置P1まで移動した場合における軸部23の回動角度θに対応する検出信号S3を出力する。検出受付部121は、回動角検出部32から出力された検出信号S3を受け付ける。回動角検出部32の例としては、光学式、機械式、あるいは磁気式のロータリーエンコーダを備えた舵角検出器などが挙げられる。
【0035】
処理部122は、検出信号S3に基づいて右把持部22に対する入力受付部11の位置を変更するように構成されている。具体的には、処理部122は、軸部23の回動角度θに基づいて出力部123から入力受付部11の位置を変更するための制御信号S4を出力する。入力受付部11の位置は、制御信号S4に応じて機械的に変更されてもよいし、電気的に変更されてもよい。
【0036】
例えば、図11に示されるように基準位置P0から位置P1まで右把持部22が移動されると、入力受付部11は、回動角度θに基づいて移動経路Mの径方向に沿う方向から見て反時計回り方向に移動される。
【0037】
入力受付部11を移動させる量は、右把持部22が移動する際に想定される右手42の姿勢の変化に基づいて設定される。すなわち、入力受付部11の位置は、運転者が右把持部22上の右手42の姿勢を変えずに親指Fにより入力受付部11への操作入力が可能であると想定される位置に変更される。
【0038】
運転者の右手42が移動経路Mを横切る動きを許容する形状を右把持部22が有している場合、右把持部22の移動に伴って右把持部22上の右手42の姿勢が変化しやすい。例えば、右把持部22が右腕部25に固定されている場合、右把持部22の移動に伴って運転者の右手42は右把持部22上を滑る傾向にある。あるいは、右把持部22が右腕部25に対して回動可能に構成されている場合、右把持部22の移動に伴って運転者の右手42は右把持部22と共に右腕部25に対して回動する傾向にある。
【0039】
上記のような構成によれば、例えば右把持部22上の右手42の姿勢が移動に伴って変化し、軸部23と右手42との位置関係が変化しても、右把持部22の移動に対応して右把持部22に対する入力受付部11の位置が変更されるので、右手42と入力受付部53の位置関係の変化が抑制される。これにより、入力受付部11の操作性の低下を抑制できる。したがって、操舵装置20に搭載される入力装置10の利便性を高めることができる。
【0040】
本実施形態においては、検出受付部121は、回動角検出部32から出力された検出信号S3を受け付ける。しかしながら、検出受付部121は、車両30の室内に配置されたカメラから出力された移動経路M上における右把持部22の位置が写り込んだ画像データを含む検出信号S3を受け付けるように構成されうる。処理部122は、右把持部22の基準位置P0からの移動経路M上における移動距離に基づいて出力部123から入力受付部11の位置を変更するための制御信号S4を出力するように構成されうる。
【0041】
あるいは、入力受付部11は、図9に例示される運転者の右手42の接触または接近を操作入力として検出可能な検出領域111Aを有するタッチセンサ111として構成されうる。処理部122は、検出信号S3に基づいて検出領域111Aの位置を変更するように構成されうる。
【0042】
次に図12を参照しつつ、第三実施形態に係る入力装置50の構成について説明する。図1から図9を参照して説明した構成と実質的に同一の要素には同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0043】
本実施形態においては、図12に例示されるように、入力装置50は、左把持部51と右把持部52を備えている。図12に二点鎖線で例示されるように、左把持部51と右把持部52は、第一の軸A1を中心とした移動経路Mに沿って移動可能である。第一の軸A1に沿う方向から見た移動経路Mは、第一の軸A1を中心とした円形状を有している。軸部23は、左把持部51と右把持部52の移動に応じて第一の軸A1を中心として回動可能である。
【0044】
左把持部51は、運転者の左手41により把持可能かつ移動経路Mを横切る左手41の動きを許容する形状を有している。右把持部52は、運転者の右手42により把持可能かつ移動経路Mを横切る右手42の動きを許容する形状を有している。本例においては、左把持部51と右把持部52の各々は、球形状を呈している。すなわち、入力装置50は、環形状でない把持部を有している。
【0045】
操舵装置20は、軸部23、左腕部24、および右腕部25を備えている。左腕部24と右腕部25は、軸部23に接続されている。左把持部51は、左腕部24に装着されている。右把持部52は、右腕部25に装着されている。軸部23は、左把持部51と右把持部52の移動に応じて第一の軸A1を中心として回動可能である。換言すると、左把持部51と右把持部52は、移動経路Mに沿って移動することによって、第一の軸A1を中心として軸部23を回動させるように構成されている。
【0046】
図12に例示されるように、右把持部52は、第一の軸A1に沿う方向から見て第一の軸A1と交差する方向に延びている第二の軸A2を中心として回動可能に構成されている。左把持部51は、第一の軸A1に沿う方向から見て第一の軸A1と交差する方向に延びている第三の軸A3を中心として回動可能に構成されている。第一の軸A1と交差する方向は、第一の軸A1と非平行な方向の一例である。
【0047】
入力装置50は、入力受付部53を備えている。入力受付部53は、操舵装置20の右腕部25に配置されている。入力受付部53は、図2に例示される車両30に搭載された照明装置の動作モードを切り替えるための運転者の操作入力を受け付けるスイッチとして構成されている。当該スイッチは、運転者の手指による押下操作を伴う機械式スイッチであってもよいし、運転者の手指の接触または接近を操作として検出する静電式スイッチであってもよい。照明装置の動作モードの切り替えは、第二被制御動作の一例である。
【0048】
図13に例示されるように、入力装置50は、制御装置54を備えている。制御装置54は、検出受付部541と、処理部542と、出力部543とを備えている。
【0049】
検出受付部541は、第二の軸A2を中心として右把持部52を回動させる運転者の操作入力に対応した検出信号S5を受け付けるインターフェースとして構成されている。検出信号S5がアナログ信号である場合、検出受付部541は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0050】
処理部542は、検出信号S5に基づいて右把持部52に対する入力受付部53の位置を変更するように構成されている。具体的には、処理部542は、第二の軸A2を中心とした右把持部52の回動に基づいて出力部543から入力受付部53の位置を変更するための制御信号S6を出力する。入力受付部53の位置は、制御信号S6に応じて機械的に変更されてもよいし、電気的に変更されてもよい。
【0051】
例えば、運転者の右手42が、図14に示される右把持部52を、図15に示されるように第二の軸A2に沿う方向から見て時計周り方向へ所定の角度だけ回動させると、入力受付部53は、図15に例示されるように第二の軸A2に沿う方向から見て時計周り方向へ移動される。入力受付部53の移動は、図7図8を参照して説明した構成により実現されうる。
【0052】
入力受付部53を移動させる量は、右把持部52が回動する際に想定される右手42の姿勢の変化に基づいて設定される。すなわち、入力受付部53の位置は、運転者が右把持部52上の右手42の姿勢を変えずに右手42の親指Fにより入力受付部53への操作入力が可能であると想定される位置に変更される。
【0053】
運転者の右手42が移動経路Mを横切る動きを許容する形状を右把持部22が有している場合、右把持部22の移動に伴って右把持部52上の右手42の姿勢が変化しやすい。具体的には、右把持部52の移動に伴って運転者の右手42は右把持部52と共に右腕部25に対して回動する。
【0054】
上記の構成によれば、例えば右把持部52上の右手42の姿勢が右把持部52の回動に伴って変化し、軸部23と右手42との位置関係が変化しても、右把持部52の回動に対応して右把持部52に対する入力受付部53の位置が変更されるので、右手42と入力受付部53の位置関係の変化が抑制される。これにより、入力受付部53の操作性の低下を抑制できる。したがって、操舵装置20に搭載される入力装置50の利便性を高めることができる。
【0055】
なお、入力受付部53は、図9に例示される運転者の右手42の接触または接近を操作入力として検出可能な検出領域111Aを有するタッチセンサ111として構成されうる。処理部542は、検出信号S3に基づいて検出領域111Aの位置を変更するように構成されうる。
【0056】
これまで説明した各機能を有する処理部122および処理部542は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。プロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、無線通信ネットワークを介して外部サーバ装置からダウンロードされて汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバ装置は、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。
【0057】
処理部122および処理部542は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。処理部122および処理部542は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0058】
これまで説明した各実施形態の構成は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。本実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0059】
上記の第一実施形態例において、入力受付部11は、図6に例示されるように第一の軸A1に沿う方向から見て上方に移動されている。しかしながら、入力受付部11は、様々な方向に移動可能に構成されうる。例えば、図16に示されるように、入力受付部11は、右把持部22に近づく方向または右把持部22から離れる方向に変位されうる。同様に、第二実施形態に係る入力受付部11と第三実施形態に係る入力受付部53の各々は、右把持部22に近づく方向または右把持部22から離れる方向に変位可能に構成されうる。
【0060】
このような構成によれば、運転者の右手42の大きさにより異なる親指Fの位置に応じて入力受付部11の位置を変更できるので、運転者の右手42の大きさの相違による入力受付部11の操作性の低下が抑制されうる。また、右把持部22の移動時において操作が不要な入力受付部11を右把持部22に対して離れる方向に変位させることにより、右手42による意図しない入力受付部11の操作を防げる。したがって、操舵装置20に搭載される入力装置10の利便性を高めることができる。
【0061】
上記の第一および第二実施形態例において、入力受付部11は、操舵装置20の右把持部22と軸部23の間に配置されている。しかしながら、入力受付部11は、右把持部22と軸部23の間に配置されることを要しない。
【0062】
例えば、図17に示されるように、入力受付部11は、操舵装置20の右腕部25から延びる支持部14によって支持されたタッチパッド装置として実現されうる。このようなタッチパッド装置は、車両30に搭載された音響映像装置、ナビゲーション装置、空調装置などの被制御動作を制御するための運転者の操作入力を受け付ける。当該被制御動作は、第二被制御動作の一例である。
【0063】
当該タッチパッド装置は、右把持部22と軸部23との間には位置していないが、運転者が右把持部22を右手42で把持しながら入力受付部11への操作入力が可能な位置に配置されている。タッチパッド装置においては、図17に例示されるように支持部14が変位することにより、右把持部22に対するタッチパッド装置の位置が変更されうる。
【0064】
あるいは、図18に例示されるように、入力受付部11は、操舵装置20の右腕部25から延びるパドル式スイッチ装置として実現されうる。当該スイッチ装置は、運転者の手指による変位操作を伴う機械式スイッチである。例えば、当該スイッチ装置は、車両30の進路変更を周囲に報知する車載ランプを点灯させるための運転者の操作入力を受け付ける。この場合、図18に例示されるように、当該スイッチ装置が取り付けられたベース部15が変位することにより、右把持部22に対する入力受付部11の位置が変更されうる。
【0065】
同様に、上記の第三実施形態例の入力受付部53は、図17に例示される操舵装置20の右腕部25から延びる支持部14によって支持されたタッチパッド装置、または、図18に例示される操舵装置20の右腕部25から延びるパドル式スイッチ装置として実現されうる。
【0066】
図19に例示されるように、右把持部52は、ユーザの手により把持可能な第一部分521と、操舵装置20の右腕部25に沿って延びる第二部分522を有しうる。第二部分522は、第一部分521の回動とともに回動する。この場合、入力受付部53は、第二部分522に設けられる。上記の第三実施形態において、入力受付部53は、右把持部52とは独立して移動可能とされている。しかしながら、本例においては、入力受付部53は、右把持部52とともに第二の軸A2を中心として回動する。
【0067】
このような構成によれば、例えば右把持部52上の右手42の姿勢が右把持部52の回動に伴って変化し、軸部23と右手42との位置関係が変化しても、右把持部52の回動に追随して入力受付部53が変位するので、右手42と入力受付部53の位置関係の変化が抑制される。これにより、入力受付部53の操作性の低下を抑制できる。したがって、操舵装置20に搭載される入力装置50の利便性を高めることができる。
【0068】
なお、右把持部52の第二部分522は、操舵装置20の右腕部25に沿って延びているが、さらに図17に例示されるタッチパッド装置を支持する支持部14を有しうる。この場合でも、右把持部52の回動に追随して入力受付部53が変位するので、右手42と入力受付部53の位置関係の変化が抑制される。
【0069】
上記の第一および第二実施形態例においては、操舵装置20の右把持部22を把持する運転者の右手42による操作を受け付け可能な位置に入力受付部11が配置されている。上記の第三実施形態例においては、入力装置50の右把持部52を把持する運転者の右手42による操作を受け付け可能な位置に入力受付部53が配置されている。しかしながら、入力受付部11は、操舵装置20の左把持部21を把持する運転者の左手41による操作を受け付け可能な位置に配置されてもよい。あるいは、上記の入力受付部11に加えて、別の被制御動作を実行するための操作入力を受け付ける別の入力受付部が、左把持部21を把持する運転者の左手41による操作を受け付け可能な位置に配置されてもよい。
【0070】
同様に、入力受付部53は、入力装置50の左把持部51を把持する運転者の左手41による操作を受け付け可能な位置に配置されてもよい。あるいは、上記の入力受付部53に加えて、別の被制御動作を実行するための操作入力を受け付ける別の入力受付部が、左把持部51を把持する運転者の左手41による操作を受け付け可能な位置に配置されてもよい。
【0071】
上記の第一および第二実施形態例においては、左把持部21と右把持部22の各々は、球形状を呈している。しかしながら、運転者の手が移動経路Mを横切る形状を有するのであれば、左把持部21と右把持部22の各々の形状は適宜に変更されうる。例えば、図20に示されるように、左把持部21と右把持部22の各々は、桿形状を呈するように構成されうる。
【0072】
また、運転者の手が移動経路Mを横切ることのできない環形状を呈しないのであれば、運転者の左手41によって把持される部分と運転者の右手42によって把持される部分を有する単一の把持部が提供されてもよい。
【0073】
上記の第三実施形態例においては、同様に、運転者の手が移動経路Mを横切る形状を有するのであれば、左把持部51と右把持部52の各々の形状は適宜に変更されうる。
【0074】
上記の第一および第二実施形態例において、操舵装置20は、環形状でない把持部を有している。しかしながら、操舵装置20は、環形状である把持部を有してもよい。例えば、図21に示されるように、把持部26は、矩形の環形状を有するように構成されてもよい。把持部26は、腕部27により軸部23に連結されている。例えば、軸部23から延びたタッチパッド装置である入力受付部11は、把持部26上の運転者の右手42の位置に応じて、第一の軸A1に沿う方向から見て軸部23を中心として回動するように構成されうる。
【0075】
入力装置10および入力装置50は各々、車両30以外の移動体の進路を変更するための操舵装置にも搭載されうる。そのような移動体の例としては、鉄道、船舶、航空機などが挙げられる。
【0076】
入力装置10および入力装置50は各々、移動体の操舵装置に搭載されることを要しない。例えば、入力装置10および入力装置50は各々、アミューズメント施設におけるシューティングゲーム装置のディスプレイに表示されるオブジェクトの動きを制御するためのコントローラに搭載されうる。入力受付部11および入力受付部53は各々、当該オブジェクトから射出される武器を選択するためのスイッチとして使用されうる。この場合、当該コントローラは、動作制御装置の一例である。当該オブジェクトの動きは、第一被制御動作の一例である。当該オブジェクトに武器を射出させる動作は、第二被制御動作の一例である。
【符号の説明】
【0077】
10,50:入力装置、11,53:入力受付部、12,54:制御装置、13:可動部、14:支持部、15:ベース部、20:操舵装置、21,51:左把持部、22,52:右把持部、23:軸部、24:左腕部、25:右腕部、26:把持部、27:腕部、30:車両、31:静電センサ、32:回動角検出部、41:左手、42:右手、111:タッチセンサ、111A:検出領域、121,541:検出受付部、122,542:処理部、123,543:出力部、A1:第一の軸、A2:第二の軸、A3:第三の軸、F:親指、M:移動経路、P0:基準位置、P1:位置、S1,S3,S5:検出信号、S2,S4,S6:制御信号、θ:回動角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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