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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170288
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/10 20060101AFI20221102BHJP
   G05G 1/01 20080401ALI20221102BHJP
   B62D 1/04 20060101ALI20221102BHJP
   H01H 25/04 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G05G1/10 A
G05G1/01 Z
B62D1/04
H01H25/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076332
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 圭司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 敏仁
(72)【発明者】
【氏名】野畑 直樹
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 仁紀
(72)【発明者】
【氏名】片桐 寿治
(72)【発明者】
【氏名】妻鹿 晋
(72)【発明者】
【氏名】野津 眞貴
【テーマコード(参考)】
3D030
3J070
5G031
【Fターム(参考)】
3D030DA11
3D030DB13
3D030DB16
3J070AA07
3J070AA13
3J070AA24
3J070BA32
3J070BA51
3J070BA62
3J070CA22
3J070CA44
3J070CA47
3J070CB01
3J070CC71
3J070DA01
3J070DA07
3J070DA11
3J070DA61
3J070EA32
5G031AS31H
5G031GS24
5G031HU13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】動作制御装置に搭載されるとともに環形状でない把持部を備える入力装置の利便性を高める。
【解決手段】右把持部12は、移動経路Mに沿って移動することにより軸部23を第一の軸A1を中心として回動させるように構成されている。右把持部12は、運転者の右手42により把持可能かつ移動経路Mを横切る右手42の動きを許容する形状を有している。右把持部12は、第一の軸A1に沿う方向から見て第一の軸A1と非平行な方向に延びる第二の軸A2を中心として回動可能である。入力受付部13は、軸部23の回動に対応する第一被制御動作と異なる第二被制御動作を実行するための運転者の第一操作入力を受け付ける。標識14は、第二被制御動作に対応付けられている。標識14は、右把持部12の回動状態に依らず、第一の軸A1に沿う方向から見て運転者が視認可能な領域に位置するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の軸を中心として回動可能に構成された軸部を備えている動作制御装置に搭載される入力装置であって、
移動経路に沿って移動することにより前記軸部を前記第一の軸を中心として回動させるように構成されており、ユーザの手により把持可能かつ前記移動経路を横切る当該手の動きを許容する形状を有しており、前記第一の軸に沿う方向から見て前記第一の軸と非平行な方向に延びる第二の軸を中心として回動可能である把持部と、
前記軸部の回動に対応する第一被制御動作と異なる第二被制御動作を実行するための前記ユーザの操作入力を受け付け可能である入力受付部と、
前記第二被制御動作に対応付けられた標識と、
を備えており、
前記標識は、前記把持部の回動状態に依らず、前記第一の軸に沿う方向から見て前記ユーザが視認可能な領域に位置するように構成されている、入力装置。
【請求項2】
前記入力受付部は、前記把持部の回動に伴い変位可能に構成されており、
前記標識は、前記前記入力受付部の変位の方向に不動である、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
初期状態において、前記標識と前記入力受付部は、前記第一の軸に沿う方向から見て前記第一の軸と交差する方向に沿って並ぶように配置されている、請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
初期状態において、前記標識と前記入力受付部は、前記第一の軸に沿う方向から重なって見えるように配置されている、請求項2に記載の入力装置。
【請求項5】
前記標識および前記入力受付部を覆うように前記把持部に設けられている透光性の可動部材を備えており、
前記入力受付部は、前記可動部材に対する前記ユーザの手の接触または接近を、前記第二被制御動作を実行するための前記ユーザの操作入力として検出可能である検出領域を有しているタッチセンサであり、
前記タッチセンサの検出領域は、前記第一の軸に沿う方向から見て前記標識と重なっており、かつ前記把持部の回動の方向において前記標識よりも広範囲に延在している、
請求項1に記載の入力装置。
【請求項6】
前記標識は、前記把持部の回動の方向に不動である、請求項5に記載の入力装置。
【請求項7】
前記標識を画像として表示する画像表示装置を備えており、
前記画像表示装置は、前記把持部の回動に伴い前記把持部の回動の方向に移動可能であるとともに、当該移動に応じて前記標識が表示される位置を変更する、請求項5に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸部を備える動作制御装置に搭載される入力装置に関連する。軸部は、軸を中心として回動が可能であり、当該回動が被制御動作に対応付けられている。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、被制御動作として車両の進行方向を変更する操舵装置を開示している。当該操舵装置は、回転軸を中心として回転可能な軸部と、運転者の手による把持が可能かつ当該回転軸を中心とする環形状を有する把持部とを備えている。当該操舵装置には、当該車両における操舵以外の被制御動作を実現するための操作入力を運転者から受け付ける入力装置が搭載されている。
【0003】
特許文献2または特許文献3に記載されているように、把持部の形状が軸部の回転軸を中心とする環形状でない操舵装置もまた知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-206692号公報
【特許文献2】特開2005-161922号公報
【特許文献3】特開2005-246987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、動作制御装置に搭載されるとともに環形状でない把持部を備える入力装置の利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための第一態様は、第一の軸を中心として回動可能に構成された軸部を備えている動作制御装置に搭載される入力装置であって、
移動経路に沿って移動することにより前記軸部を前記第一の軸を中心として回動させるように構成されており、ユーザの手により把持可能かつ前記移動経路を横切る当該手の動きを許容する形状を有しており、前記第一の軸に沿う方向から見て前記第一の軸と非平行な方向に延びる第二の軸を中心として回動可能である把持部と、
前記軸部の回動に対応する第一被制御動作と異なる第二被制御動作を実行するための前記ユーザの操作入力を受け付け可能である入力受付部と、
前記第二被制御動作に対応付けられた標識と、
を備えており、
前記標識は、前記把持部の回動状態に依らず、前記第一の軸に沿う方向から見て前記ユーザが視認可能な領域に位置するように構成されている。
【0007】
ユーザの手が移動経路を横切る動きを許容する形状を把持部が有している場合、把持部の移動経路に沿った移動に伴って把持部上の手の姿勢が変化しやすい。上記の構成によれば、手の姿勢変化に追随するように把持部を第二の軸を中心として回動させることができるので、ユーザが手の姿勢を直す必要性を抑制できる。加えて、ユーザは把持部の回動状態に依らず標識を視認できるので、把持部の回動に伴う標識の視認性の低下を抑制できる。したがって、動作制御装置に搭載される入力装置の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一実施形態に係る入力装置の構成の一例を示している。
図2図1の入力装置が搭載される車両を例示している。
図3図1の入力装置の動作を例示している。
図4図1の入力装置の構成の別例を示している。
図5図4の入力装置の動作を例示している。
図6図1の入力装置の構成の別例を示している。
図7図6の入力装置の構成を例示している。
図8図6の入力装置の構成を例示している。
図9図6の入力装置の動作を例示している。
図10図6の入力装置の構成の別例を示している。
図11】第二実施形態に係る入力装置の構成の一例を示している。
図12図11の入力装置の構成を例示している。
図13図11の入力装置の構成の別例を示している。
図14図13の入力装置の構成の別例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。以降の説明に用いられる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0010】
図1は、第一実施形態に係る入力装置10を例示している。入力装置10は、操舵装置20に搭載されている。操舵装置20は、図2に例示される車両30に搭載されて車両30の進行方向を変更する動作を行なうための装置である。操舵装置20は、動作制御装置の一例である。車両30は、移動体の一例である。車両30の進行方向を変更する動作は、第一被制御動作の一例である。
【0011】
図1図2に例示されるように、入力装置10は、左把持部11と右把持部12を備えている。図1に二点鎖線で例示されるように、左把持部11と右把持部12は、移動経路Mに沿って移動可能である。第一の軸A1に沿う方向から見た移動経路Mは、第一の軸A1を中心とした円形状を有している。
【0012】
左把持部11は、運転者の左手41により把持可能かつ移動経路Mを横切る左手41の動きを許容する形状を有している。右把持部12は、運転者の右手42により把持可能かつ移動経路Mを横切る右手42の動きを許容する形状を有している。本例においては、左把持部11と右把持部12の各々は、球形状を呈している。すなわち、入力装置10は、環形状でない把持部を有している。運転者は、ユーザの一例である。
【0013】
操舵装置20は、軸部23、左腕部24、および右腕部25を備えている。左腕部24と右腕部25は、軸部23に接続されている。左把持部11は、左腕部24に装着されている。右把持部12は、右腕部25に装着されている。軸部23は、左把持部11と右把持部12の移動経路Mに沿った移動に応じて第一の軸A1を中心として回動可能である。第一の軸A1を中心とする軸部23の反時計回り方向の回動は、車両30の進路を左方へ変更する動作に対応付けられている。第一の軸A1を中心とする軸部23の時計回り方向の回動は、車両30の進路を右方へ変更する動作に対応付けられている。
【0014】
図1に例示されるように、右把持部12は、第二の軸A2を中心として回動可能に構成されている。第二の軸A2は、第一の軸A1に沿う方向から見て第一の軸A1と交差する方向に延びている。第一の軸A1と交差する方向は、第一の軸A1に非平行な方向の一例である。左把持部11は、第三の軸A3を中心として回動可能に構成されている。第三の軸A3は、第一の軸A1に沿う方向から見て第一の軸A1と交差する方向に延びている。第一の軸A1と交差する方向は、第一の軸A1に非平行な方向の一例である。
【0015】
入力装置10は、入力受付部13を備えている。入力受付部13は、操舵装置20の右腕部25に配置されている。入力受付部13は、車両30に搭載された照明装置の動作モードを切り替えるための運転者の操作入力を受け付けるスイッチとして構成されている。当該スイッチは、運転者の手指による押下操作を伴う機械式スイッチであってもよいし、運転者の手指の接触または接近を操作として検出する静電式スイッチであってもよい。
【0016】
例えば、図3に示されるように入力受付部13が運転者の右手42による操作入力を受け付ける度に、消灯、自動点灯モード、スモールランプ点灯モード、ヘッドランプ点灯モードの順に動作モードが切り替わる。自動点灯モードにおいては、車両30の周囲の明るさに応じて各種ランプが自動的に点灯される。スモールランプ点灯モードにおいては、車幅灯と尾灯のみが点灯される。ヘッドランプ点灯モードにおいては、車幅灯と尾灯に加えてヘッドランプが点灯される。照明装置の動作モードの切り替えは、第二被制御動作の一例である。
【0017】
入力装置10は、標識14を備えている。標識14もまた、操舵装置20の右腕部25に配置されている。標識14は、入力受付部13の機能をユーザに認識させる外観を呈している。すなわち、標識14は、入力受付部13の操作により照明装置の動作モードの切り替えが可能であることをユーザに認識させうる外観を呈している。標識14は、第一の軸A1に沿う方向から見て運転者が視認可能な領域に位置している。
【0018】
標識14は、右腕部25の外周面に印刷された標識であってもよいし、右腕部25に設けられた表示灯により形成される標識であってもよい。表示灯は、右腕部25内に配置された光源と、右腕部25の外周面に標識14に対応する形状を有する透明部とを含みうる。
【0019】
図4に例示されるように、入力受付部13は、右把持部12の回動に伴い第二の軸A2を中心として回動可能に構成されている。入力受付部13の第二の軸A2を中心とする回動は、入力受付部13の変位の一例である。
【0020】
具体的には、操舵装置20の右腕部25は、可動部251と不動部252を備えている。可動部251は、右把持部12に接続されている。可動部251は、右把持部12の回動に伴い第二の軸A2を中心として回動する。入力受付部13は、可動部251に配置されている。不動部252は、軸部23に固定されている。不動部252は、右把持部12の回動に対して不動である。標識14は、不動部252に配置されている。
【0021】
例えば、図5に示されるように右把持部12が右方から見て第二の軸A2を中心として時計回り方向に回動されると、可動部251も回動する。すなわち、可動部251に配置された入力受付部13は、第二の軸A2を中心として時計回り方向に変位する。一方、標識14が配置された不動部252は、右把持部12の回動に対して不動である。すなわち、標識14は、右把持部12が回動されても入力受付部13の変位方向に不動である。したがって、標識14は、右把持部12の回動状態に依らず、第一の軸A1に沿う方向から見て運転者から視認可能な領域に位置し続ける。
【0022】
運転者の右手42が移動経路Mを横切る動きを許容する形状を右把持部12が有している場合、右把持部12の移動経路Mに沿った移動に伴って右把持部12上の右手42の姿勢が変化しやすい。上記の構成によれば、右手42の姿勢変化に追随するように右把持部12を第二の軸A2を中心として回動させることができるので、運転者が右手42の姿勢を直す必要性を抑制できる。加えて、運転者は右把持部12の回動状態に依らず標識14を視認できるので、右把持部12の回動に伴う標識14の視認性の低下を抑制できる。したがって、操舵装置20に搭載される入力装置10の利便性を高めることができる。
【0023】
さらに、入力受付部13が右把持部12の回動に追従するように回動するので、入力受付部13の操作のために運転者が右手42の姿勢を直す必要性を抑制できる。
【0024】
本例において、入力受付部13と標識14は、図4に例示されるように、初期状態において、第一の軸A1に沿う方向から見て第二の軸A2に沿って並ぶように配置されている。具体的には、入力受付部13と標識14が第一の軸A1に沿う方向から見て第一の軸A1と交差する方向に並ぶように入力受付部13の初期位置が定められている。本明細書における「第一の軸A1と交差する方向に並ぶ」という表現は、第一の軸A1に沿う方向から見て複数の部材が重なって見えないように配置されている構成を描写するために用いられる。このような構成によれば、簡単な構成で入力受付部13と標識14の相対変位を実現できる。
【0025】
図6に例示されるように、入力受付部13と標識14は、初期状態において、第一の軸A1に沿う方向から重なって見えるように初期配置が定められうる。
【0026】
例えば、図7に示されるように、入力受付部13は、運転者の手指による押下操作を伴う機械式スイッチとして構成されうる。具体的には、入力受付部13は、操作部131、可動接点132、および固定接点133を備えている。固定接点133は、右腕部25の内側空間に配置された配線基板253に設けられている。操作部131が運転者の右手42により押下操作されることにより可動接点132が固定接点133に接触すると、配線基板253に搭載された制御回路から照明装置の動作モードを切り替えるための制御信号が出力される。入力受付部13は、右把持部12の回動に伴って可動部251と共に回動する。配線基板253もまた、右把持部12の回動に伴って回動するように構成されている。
【0027】
標識14は、右腕部25の内部空間に配置された複数の光源141、ライトガイド142、およびマスク143により形成される。光源141は、発光ダイオードなどの半導体発光素子でもよいし、ランプ光源でもよい。複数の光源141は、配線基板253に配置されている。
【0028】
ライトガイド142は、光源141からの光をマスク143へ導くように構成されている。マスク143は、標識14の外観に対応する形状の透光部を有している。本例においては、操作部131と可動部251は、透光部を通過した光の少なくとも一部を透過させるように構成されている。したがって、透光部を通過した光は、運転者により標識14として視認される。前述の通り、初期状態においては、標識14は、第一の軸A1に沿う方向から見て操作部131と重なって見える。
【0029】
ライトガイド142とマスク143は、不動部252に固定されている。すなわち、ライトガイド142とマスク143は、可動部251の変位方向に不動である。複数の光源141は、配線基板253の回動状態に依らず少なくとも一つの光源141からの光がライトガイド142に入射するように構成されている。例えば、図8に示されるように、複数の光源141は、環形状を有する配線基板253の周方向に沿って等間隔に配置されうる。これにより、配線基板253が可動部251とともに回動しても、少なくとも一つの光源141からの光をライトガイド142に入射させることができる。
【0030】
例えば、図9に示されるように右把持部12が右方から見て第二の軸A2を中心として時計回り方向に回動されると、可動部251も回動する。すなわち、可動部251に配置された入力受付部13も第二の軸A2を中心として時計回り方向に変位する。他方、ライトガイド142とマスク143は入力受付部13の変位方向に不動であるので、標識14は、第一の軸A1に沿う方向から見て可動部251と重なって見える。すなわち、標識14は、右把持部12の回動状態に依らず、第一の軸A1に沿う方向から見て運転者から視認可能な領域に位置し続ける。
【0031】
このような構成によれば、入力受付部13と標識14を第一の軸A1に沿う方向に並ぶように配置する必要がないので、右腕部25における入力受付部13と標識14による専有面積を低減できる。これにより、右腕部25に配置されうる他の部品要素のレイアウト自由度を高めることができる。
【0032】
あるいは、図10に例示されるように、単一の光源141を用いて標識14を形成する構成を採用しうる。例えば、板状の配線基板253に配置された光源141が環状のライトガイド142の内側に配置される。光源141の光は、ライトガイド142によりマスク143へ導かれる。このような構成によれば、右把持部12の回動に伴う配線基板253の姿勢変化に関わらず光源141からの光がライトガイド142に入射されるので、標識14を形成するための部品の点数を削減できる。
【0033】
図7に示される入力受付部13は、運転者の手指による押下操作を伴う機械式スイッチとして構成されている。しかしながら、入力受付部13は、運転者の手指の接触または接近を操作として検出する静電式スイッチとして構成されうる。入力受付部13は、右腕部25の外面に露出するように配置されてもよく、右腕部25の内部空間において可動部251と隣接するように配置されてもよい。
【0034】
次に図11を参照しつつ、第二実施形態に係る入力装置10の構成について説明する。図1を参照して説明した構成と実質的に同一の要素には同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0035】
図11図12に例示されるように、入力受付部13は、右腕部25の内部空間に配置されている。入力受付部13は、タッチセンサである。図11図12に二点鎖線で例示されるように、入力受付部13は、運転者の手の接触または接近を、車両30の右方への進路変更を報知するランプを点灯させるための運転者の操作入力として検出可能である検出領域134を有している。検出領域134が運転者の右手42による操作入力を検出すると、右方進路変更報知ランプが点灯する。右方進路変更報知ランプの点灯は、第二被制御動作の一例である。
【0036】
標識14もまた、右腕部25の内部空間に配置されている。標識14は、車両30の右方への進路変更を車両30の周囲に報知するランプの点灯機能に対応した外観を呈している。
【0037】
標識14は、図12に例示されるライトガイド144とマスク145により形成される。ライトガイド144とマスク145の各々は、管形状を有している。ライトガイド144は、右腕部25の芯金254を覆うように配置されている。マスク145は、ライトガイド144を覆うように配置されている。
【0038】
入力装置10は、可動部材15を備えている。可動部材15は、標識14および入力受付部13を覆うように右把持部12に設けられている。本例においては、可動部材15は、右把持部12から右腕部25まで延びている。
【0039】
ライトガイド144は、光源(不図示)からの光をマスク145へ導くように構成されている。マスク145は、標識14の外観に対応する形状の透光部を有している。本例においては、入力受付部13と可動部材15は、マスク145を覆う管形状を有しており、透光部を通過した光の少なくとも一部を透過させるように構成されている。したがって、透光部を通過した光は、運転者により標識14として視認される。
【0040】
標識14は、第一の軸A1に沿う方向から見て運転者の視認可能な領域に位置している。本例においては、入力受付部13、ライトガイド144、およびマスク145は、右腕部25の内部空間に配置された芯金254に固定されている。芯金254は、軸部23に固定されている。したがって、入力受付部13と標識14は、右把持部12の回動方向に不動である。すなわち、標識14は、右把持部12の回動状態に依らず、第一の軸A1に沿う方向から見て運転者の視認可能領域に位置し続ける。
【0041】
図11に例示されるように、入力受付部13の検出領域134は、第一の軸A1に沿う方向から見て、標識14と重なっている。また、検出領域134は、右把持部12の回動方向において標識14よりも広範囲に延在している。本例においては、検出領域134は、環形状を有している。
【0042】
このような構成によれば、運転者は可動部材15の回動状態に依らず標識14を視認できるので、右把持部12の回動に伴う標識14の視認性の低下を抑制できる。また、入力受付部13の検出領域134が右把持部12の回動方向において標識14よりも広範囲に延在しているので、右把持部12の回動に伴い右手42の姿勢が変化しても、入力受付部13の操作のために運転者が右手42の姿勢を直す必要性を抑制できる。すなわち、車両30の右方への進路変更報知ランプ点灯を実行するために許容される操作入力の自由度が高められる。したがって、操舵装置20に搭載される入力装置10の利便性を高めることができる。
【0043】
本実施形態においては、ライトガイド144、マスク145、および入力受付部13は、右把持部12の回動方向に不動である。しかしながら、右把持部12の回動状態に依らず標識14を運転者が視認可能な領域内に位置し続けさせることができるのであれば、ライトガイド144、マスク145、および入力受付部13の少なくとも一つは、右把持部12の回動に伴って回動方向に変位可能とされうる。
【0044】
本例においては、入力受付部13の検出領域134は、環形状を有している。しかしながら、右把持部12の回動方向において標識14よりも広範囲に延在しうるのであれば、検出領域134の形状は適宜に定められうる。
【0045】
本例においては、ライトガイド144とマスク145の各々は、管形状を有している。しかしながら、右把持部12の回動状態に依らず標識14を運転者が視認可能な領域内に位置し続けさせることができるのであれば、ライトガイド144とマスク145の形状および位置関係は、適宜に定められうる。
【0046】
図13に例示されるように、入力装置10は、標識14を画像として表示する画像表示装置16を備えうる。例えば、画像表示装置16は、管形状を有しており、右腕部25の芯金254を覆うように配置されうる。このような構成によれば、表示される画像を変更することにより、異なる被制御動作に対応した複数の標識14を表示させうる。
【0047】
画像表示装置16は、入力受付部13の検出領域134に対応する領域161を、標識14とは識別可能な画像として表示するように構成されうる。例えば、領域161は標識14とは異なる色の画像として表示されうる。この場合、運転者は、入力受付部13の検出領域134の位置を認識できる。
【0048】
図14に例示されるように、入力受付部13は、異なる被制御動作を実行するための運転者の操作入力を検出可能である複数の検出領域134a,134bを有しうる。他方、画像表示装置16は、当該検出領域134a,134bの各々に対応する複数の標識14a,14bを画像として表示するように構成されうる。
【0049】
この場合、画像表示装置16は、入力受付部13の検出領域134a,134bに対応する領域161a,161bを互いに識別可能な画像として表示するように構成されうる。例えば、領域161aと領域161bは互いに異なる色の画像として表示されうる。これにより、運転者は、入力受付部13の検出領域134a,134bの各々を識別できる。
【0050】
また、図14に破線の矢印で示すように、画像表示装置16は、右把持部12の回動に伴い、当該回動の方向へ第二の軸A2を中心として移動可能に構成されうる。この場合、画像表示装置16は、当該移動に応じて標識14a、14bが表示される位置を変更するように構成されうる。具体的には、標識14a、14bが表示される位置を、右把持部12の回動方向と逆の方向へ移動させる。このような構成によれば、右把持部12の回動状態に依らず、第一の軸A1に沿う方向から見て運転者が視認可能な領域に標識14a、14bが位置し続ける。
【0051】
右把持部12の回動に伴って画像表示装置16が移動し、標識14の画像が表示される位置が変更される構成は、図13に示された例にも適用可能である。
【0052】
これまで説明した各実施形態の構成は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。本実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0053】
上記の各実施形態例においては、標識14は、シンボルや図形により構成されている。しかしながら、標識14は、文字等により構成されうる。
【0054】
上記の各実施形態例においては、操舵装置20の右把持部12を把持する運転者の右手42による操作を受け付け可能な位置に入力受付部13と標識14が配置されている。しかしながら、入力受付部13と標識14は、操舵装置20の左把持部11を把持する運転者の左手41による操作を受け付け可能な位置に配置されてもよい。あるいは、上記の入力受付部13と標識14に加えて、別の被制御動作を実行するための操作入力を受け付ける別の入力受付部および表示部が、左把持部11を把持する運転者の左手41による操作を受け付け可能な位置に配置されてもよい。
【0055】
上記の各実施形態例においては、左把持部11と右把持部12の各々は、球形状を呈している。しかしながら、運転者の手が移動経路Mを横切る形状を有するのであれば、左把持部11と右把持部12の各々の形状は適宜に変更されうる。運転者の手が移動経路Mを横切ることのできない環形状を呈しないのであれば、運転者の左手41によって把持される部分と運転者の右手42によって把持される部分を有する単一の把持部が提供されてもよい。
【0056】
上記の各実施形態例においては、移動経路Mは第一の軸A1を中心とした円形状を有している。しかしながら、移動経路Mの形状は円形に限定されることなく、適宜に定められうる。
【0057】
入力装置10は、車両30以外の移動体の進路を変更するための操舵装置にも搭載されうる。そのような移動体の例としては、鉄道、船舶、航空機などが挙げられる。
【0058】
入力装置10は、移動体の操舵装置に搭載されることを要しない。例えば、入力装置10は、アミューズメント施設におけるシューティングゲーム装置のディスプレイに表示されるオブジェクトの動きを制御するためのコントローラに搭載されうる。入力受付部13は、当該オブジェクトから射出される武器を選択するためのスイッチとして使用されうる。この場合、当該コントローラは、動作制御装置の一例である。当該オブジェクトの動きは、第一被制御動作の一例である。当該オブジェクトに武器を射出させる動作は、第二被制御動作の一例である。
【符号の説明】
【0059】
10:入力装置、11:左把持部、12:右把持部、13:入力受付部、14,14a,14b:標識、15:可動部材、16:画像表示装置、20:操舵装置、23:軸部、24:左腕部、25:右腕部、30:車両、41:左手、42:右手、134,134a,134b:検出領域、A1:第一の軸、A2:第二の軸、M:移動経路
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