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特開2022-170295電子装置、表示部、及び電子装置の情報読取方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170295
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】電子装置、表示部、及び電子装置の情報読取方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/06 20060101AFI20221102BHJP
   G06K 7/12 20060101ALI20221102BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20221102BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20221102BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G06K19/06 140
G06K7/12
H05K5/02 J
G09F3/00 M
G06K19/06 112
G06K7/10 464
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076339
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 邦彦
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB12
4E360BA08
4E360BC05
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA03
4E360EA18
4E360EA24
4E360ED02
4E360ED07
4E360EE13
4E360GA11
4E360GA46
4E360GA51
4E360GB99
4E360GC03
4E360GC04
4E360GC08
4E360GC12
4E360GC20
(57)【要約】
【課題】電子部品等の情報を表示する表示部に対して、情報の読み取りを容易に行うことができる技術を提供すること。
【解決手段】電子制御装置1は、筐体3の内部に電子部品5が配置されている。筐体3は、全体又は一部が、それぞれ波長の異なる、紫外光、可視光、赤外光のうち、少なくとも1種の光を透過する選択透過部材7を備えている。筐体3の内部には、電子制御装置1に関する情報が表示された表示部11を備えている。表示部11は、前記光のうち筐体3の外部から選択透過部材7を透過した光によって、情報の読み取りが可能なように構成されている。選択透過部材7は、前記光の種類に応じて光の透過率が異なる選択透過性を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(3)の内部に電子部品(5)が配置された電子装置(1)であって、
前記筐体の全体又は一部が、それぞれ波長の異なる、紫外光、可視光、赤外光のうち、少なくとも1種の光を透過する透過部材(9)で構成され、
前記筐体の内部には、前記電子装置に関する情報が表示された表示部(11)を備え、
前記表示部は、前記光のうち前記筐体の外部から前記透過部材を透過した光によって、前記情報の読み取りが可能なように構成されており、
前記透過部材は、前記光の種類に応じて前記光の透過率が異なる選択透過性を有する部材である、
電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置であって、
前記表示部は、前記筐体から空間を開けて、前記電子部品又は当該電子部品の周囲の部品に配置されるとともに、前記筐体の外部から前記情報の読み取りが可能な位置に配置された、
電子装置。
【請求項3】
筐体(3)の内部に電子部品(5)が配置された電子装置(1)であって、
前記筐体の全体又は一部が、それぞれ波長の異なる、紫外光、可視光、赤外光のうち、少なくとも1種の光を透過する透過部材(9)で構成され、
前記筐体の内部には、前記電子装置に関する情報が表示された表示部(11)を備え、
前記表示部は、前記光のうち前記筐体の外部から前記透過部材を透過した光によって、前記情報の読み取りが可能なように構成されており、
且つ、前記表示部は、前記筐体から空間を開けて、前記電子部品又は当該電子部品の周囲の部品(33、35、37)に配置されるとともに、前記筐体の外部から前記情報の読み取りが可能な位置に配置された、
電子装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電子装置であって、
前記透過部材は、前記光の種類に応じて前記光の透過率が異なる選択透過性を有する部材である、
電子装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記表示部は、前記光のうち前記筐体の外部から前記透過部材を透過した光によって、反射する時の反射率が少なくとも2種以上に分かれるように構成された、
電子装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記透過部材は、前記光のうち、前記情報の読み取りに用いる光の透過率が、当該情報の読み取りに用いる光以外の他の光の透過率より大きい特性を有する、
電子装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記電子装置は、車両に搭載される車載用である、
電子装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記透過部材は、前記赤外光又は前記紫外光の透過率が、前記可視光の透過率よりも大きい特性を有する、
電子装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記電子装置は、光を用いて周囲の状況を探査する電子装置(21)であり、
前記透過部材は、前記探査のための光の透過率と、前記情報を読み取るための光の透過率とは、前記可視光の透過率よりも高く設定されている、
電子装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記透過部材は、ガラス及びプラスチックの少なくとも一方により構成されている、
電子装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記表示部は、ラベル、刻印、印刷、レーザマークのうち、少なくとも1種から構成されている、
電子装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記表示部に表示されている情報は、前記電子装置または電子装置を構成する部品の、メーカ名、品番、製造時期、各種法規認証に必要な情報のうち、少なくとも1種である、
電子装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記表示部は、文字、記号、バーコード、2次元コードのうち、少なくとも1種を用いて表示されている、
電子装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13でのいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記表示部は、前記筐体の外部から読取装置を用いて前記情報の読み取りが可能な角度に配置されている、
電子装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の電子装置に用いられる表示部であって、
前記表示部は、自身の表面に設けられた画像によって前記情報を表示するように構成されるとともに、前記筐体の外部から、前記透過部材を透過した光によって前記情報を読み取ることができるように、前記画像が構成されている、
表示部。
【請求項16】
請求項15に記載の表示部であって、
前記表示部の前記画像は、前記透過部材を透過した光によって前記情報を読み取ることができるように、色彩、色の濃淡、周囲とのコントラストのうち、少なくとも1種が調整されている、
表示部。
【請求項17】
請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の電子装置の前記表示部に表示された情報を読み取る、前記電子装置の情報読取方法であって、
前記筐体の外部から、前記表示部に対して、前記透過部材を透過する光を当該透過部材を介して照射して、前記表示部に表示された情報を読み取る、
電子装置の情報読取方法。
【請求項18】
請求項17に記載の電子装置の情報読取方法であって、
前記光のうち、前記表示部に表示された情報を読み取るための光として、前記透過部材における光の透過率が他の光に比べて大きな光を用いる、
電子装置の情報読取方法。
【請求項19】
請求項17または請求項18に記載の電子装置の情報読取方法であって、
前記筐体の外部に配置した読取装置から、前記透過部材を介して、前記表示部に対して前記透過部材を透過する光を照射し、当該照射した光の前記表示部にて反射した反射光を前記読取装置にて受光し、当該受光した光を用いて、前記表示部に表示された情報を読み取る、
電子装置の情報読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば車載用などの電子装置、電子装置の表示部、及び電子装置に表示された情報の情報読取方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の中には、車載部品として、電子回路を含む電子部品が多く使用されている。これらの電子部品の情報、例えば、メーカ名、品名、品番、製造時期、各種法規に則った情報等は、作業者等その情報を見る必要がある人に明瞭に分かるように記載する必要がある。
【0003】
従来は、筐体の外側(例えば、特許文献1参照)やブラケット等に、ラベル貼り、刻印、印刷、レーザマーキング等によって、情報の内容に応じた表示部分(即ち、表示部)を設けることにより、情報が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-69566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、従来の技術について、下記のような課題が見出された。
上述した従来の手法で、筐体の外側に表示部を設ける場合には、表示部の表面の汚れや傷などにより、情報を読み取れない恐れがある。
【0006】
本開示の一局面は、電子部品等の情報を表示する表示部に対して、情報の読み取りを容易に行うことができる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
a)本開示の一態様の電子装置(1)は、筐体(3)の内部に電子部品(5)が配置された電子装置である。
この電子装置は、筐体の全体又は一部が、それぞれ波長の異なる、紫外光、可視光、赤外光のうち、少なくとも1種の光を透過する透過部材(9)で構成され、筐体の内部には、電子装置に関する情報(例えば、電子部品やアッセンブリに関する情報)が表示された表示部(11)を備えている。
【0008】
さらに、表示部は、前記光のうち筐体の外部から透過部材を透過した光によって、情報の読み取りが可能なように構成されており、透過部材は、光の種類に応じて光の透過率が異なる選択透過性を有する部材である。
【0009】
このような構成によって、電子部品等の情報を表示する表示部に対して、情報の読み取りを容易に(例えば、従来に比べて精度良く)行うことができる。
つまり、表示部は、筐体の内部に配置されているので、表面に汚れや傷などがつきにくい。そのため、表示部に表示された情報を、透過部材を透過した光を用いて、従来に比べて、より確実に読み取ることができる。
【0010】
しかも、透過部材は、光の種類に応じて光の透過率が異なる選択透過性を有する部材であるので、透過率の大きな(即ち、高い)光を情報の読み取りを行う光として採用することにより、精度良く情報を読み取ることができる。また、読み取りを行う光以外は、透過率が低いので、その光による表示部の劣化等の不具合を抑制することができる。
【0011】
b)本開示の他の一態様の電子装置(1)は、筐体(3)の内部に電子部品(5)が配置された電子装置である。
この電子装置は、筐体の全体又は一部が、それぞれ波長の異なる、紫外光、可視光、赤外光のうち、少なくとも1種の光を透過する透過部材(9)で構成され、筐体の内部には、電子装置に関する情報(例えば、電子部品やアッセンブリに関する情報)が表示された表示部(11)を備えている。
【0012】
表示部は、前記光のうち筐体の外部から透過部材を透過した光によって、情報の読み取りが可能なように構成されている。さらに、表示部は、筐体から空間を開けて、電子部品又は当該電子部品の周囲の部品(33、35、37)に配置されるとともに、筐体の外部から情報の読み取りが可能な位置に配置されている。
【0013】
このような構成によって、電子部品等の情報を表示する表示部に対して、情報の読み取りを容易に行うこと(例えば、従来に比べて精度良く)行うことができる。
つまり、電子部品やその周囲の部品は、筐体の内部に配置されており、表示部は、その電子部品や周囲の部材に、筐体から空間を空けて配置されている。そして、表示部は、筐体の外部から透過部材を透過した光によって、情報の読み取りが可能である。
【0014】
従って、筐体の内部に配置された表示部の表面に、汚れや傷などがつきにくい。そのため、表示部に表示された情報を、透過部材を透過した光を用いて、容易に読み取ることができる。
【0015】
なお、この欄及び特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1Aは第1実施形態の電子制御装置の筐体を示す斜視図、図1Bは電子制御装置における情報の読み取り方法を示す説明図、図1Cはラベルの説明図である。
図2】選択透過部材における紫外線、可視光、赤外線の透過の特性を示す説明図である。
図3】選択透過部材における紫外線、可視光、赤外線の透過の特性を示す説明図である。
図4】第2実施形態の電子制御装置における情報の読取方法を示す説明図である。
図5】第3実施形態のライダ装置の外観図である。
図6】第3実施形態のライダ装置の前側カバーを外してライダ装置の内部を示す斜視図である。
図7】第3実施形態のライダ装置の筐体の一部(即ち、上側部分)を破断し、ライダ装置の内部を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.全体構成]
本第1実施形態では、電子装置として、車載の電子制御装置を例に挙げて説明する。なお、車載のセンサ等についても同様である。
【0018】
図1に示すように、電子制御装置1は、筐体3の内部に車両の制御等を行う電子部品5を収容した電子装置である。なお、ここで、電子部品5としては、単体の電子部品以外に、電子回路や、単体の電子部品を組み合わせたアッセンブリ等も含む。
【0019】
以下、図1Bにおいて、左右方向をZ軸方向、上下方向をY軸方向、Z軸及びY軸に垂直な方向をX軸方向とする。また、Z軸方向の左側を前側、右側を後側とし、Y軸の上側を上側、下側を下側とし、前側から見た場合に、X軸方向の左側を左側、右側を右側とする。
【0020】
筐体3は、電子部品5の周囲を囲む例えば直方体の箱状の容器であり、選択透過部材(即ち、透過部材)7と遮光部材9とを備えている。
遮光部材9は、Z軸方向の前方が開放された直方体の箱状の容器である。選択透過部材7は、遮光部材9の前側の長方形の開口部9aを覆うように配置された略長方形の蓋である。なお、選択透過部材7は、長方形の正面部7aと、正面部7aの外周に沿って立設された帯状の枠部7bと、を備えている。
【0021】
なお、筐体3の全体が、選択透過部材7で構成されていてもよい。また、筐体3において、遮光部材9や選択透過部材7は、それぞれ複数個から構成されていてもよい。
電子部品5の前方の表面5a、即ち、選択透過部材7側の表面5aには、電子制御装置1に関する情報(例えば、電子部品5に関する情報)が表示された表示部11が設けられている。具体的には、表示部11として、例えばラベル11Lが貼り付けられている。
【0022】
従って、後述するように、読取装置(即ち、スキャナ)13から、選択透過部材7を介して、表示部11に光を照射し、その反射光を用いて、表示部11に表示された数字やコード等の画像を読み取ることができる。つまり、表示部11に表示された画像が示す情報を読み取ることができる。
【0023】
以下、詳細に説明する。
[1-2.遮光部材]
まず、遮光部材9について説明する。
【0024】
遮光部材9としては、選択透過部材7に比べて、それぞれ波長の異なる、紫外光、可視光、及び赤外光の3種の光について、透過率が小さい部材を採用できる。なお、以下では、紫外光を紫外線、赤外光を赤外線と記すことがある。
【0025】
ここでは、紫外光は、波長が約1nm~約380nm(例えば1nm以上380nm未満)の光を示し、可視光は、波長が約380nm~約780nm(例えば380nm以上780nm未満)の光を示し、赤外光は、波長が約780nm~約1mm(例えば780nm以上1mm以下)の光を示す。なお、赤外光として、波長が約780nm~約2500nm(例えば780nm以上2500nm以下)の近赤外光を採用できる。
【0026】
遮光部材9の材料としては、樹脂(例えば、色素等を添加した樹脂)や金属等の遮光性の高い材料、即ち、光の透過率が小さい(即ち、低い)材料が挙げられる。
a)樹脂としては、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m・PPE)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、芳香族ポリアミド(PPA)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ホリサルホン(PSU)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリル(PMMA)などを採用できる。
【0027】
また、このような樹脂を用いる場合には、遮光性を高めるために、適当な添加物が使用される。
例えば、PET(基本は透明)やPBT(基本は白色)などの樹脂に、各種の色素を添加することにより、光が吸収され易くなるので、高い遮光特性が得られる。色素の例としては、黒色であれば黒鉛(カーボン)が挙げられる。
【0028】
b)金属としては、アルミニウムおよびその合金(例えば、ジュラルミンなど)、銅およびその合金(例えば、真鍮など)、鉄およびその合金(例えば、ステンレスなど)、チタニウムおよびその合金、ニッケル合金などが挙げられる。
【0029】
[1-3.選択透過部材]
選択透過部材7は、それぞれ波長の異なる、紫外光、可視光、赤外光のうち、少なくとも1種の光を透過する部材であって、これらの光の種類に応じて光の透過率が異なる選択透過性を有する。例えば、後述するように、紫外光や可視光よりも赤外光の方が透過率が大きな性質を有する選択透過部材7を採用できる。
【0030】
また、選択透過部材7は、前記光のうち、情報の読み取りに用いる光の透過率が、当該情報の読み取りに用いる光以外の他の光の透過率より大きい特性を有する。
つまり、選択透過部材7が、例えば、可視光よりも赤外光の方が透過率が大きな性質を有する場合には、情報の読み取りに用いる光として、赤外光を採用できる。例えば、選択透過部材7として、可視光の透過率が10%以下、赤外光の透過率が75%以上の部材を採用できる。
【0031】
選択透過部材7の材料としては、ガラス及び樹脂(即ち、プラスチック)の少なくとも一方を採用できる。
例えば、後述するように、ポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)、各種のガラス等を採用できる。
【0032】
なお、遮光部材9を使用せずに、筐体3の全体が選択透過部材7によって構成されていてもよい。
<光の透過率の違い>
次に、選択透過部材7において、各光の透過率の違いについて、図2及び図3に基づいて説明する。
【0033】
図2及び図3において、(A)~(F)は、紫外光(紫外線)、可視光、赤外光(赤外線)において、選択透過部材7における透過率の違いを示したものである。なお、各図における不等号は、透過率の大小を示す。
【0034】
(A)図2Aに示すように、「(A)紫外線、可視光<赤外線」の場合は、紫外線や可視光よりも、赤外線の透過率が大きい(即ち、高い)。従って、この透過率が大きな赤外線(例えば近赤外線:以下同様)を用いて、表示部11の表示を読み取るようにする。
【0035】
前記透過率は、例えば、樹脂(例えば、ポリカーボネート)に、可視光の透過を阻害する緑色系染料及び/又は青色系染料と赤色系染料とを配合した材料を添加することにより実現できる(例えば、特許第2514232号公報参照)。
【0036】
これにより、紫外線が効果的に(即ち、十分に)遮蔽されるため、ラベル11L等の表示部11の劣化が抑制できる。また、可視光を十分に遮蔽することで、太陽光等の日常の環境光の中では、表示部11が見えにくいため、意匠性が増すという効果もある。
【0037】
(B)図2Bに示すように、「(B)紫外線<可視光、赤外線」の場合は、紫外線よりも可視光や赤外線の透過率が大きい。従って、この透過率が大きい可視光や赤外線を用いて、表示部11の表示を読み取るようにする。
【0038】
前記透過率は、例えば、平均粒径が0.1μm以下の燐酸チタンからなる紫外線遮蔽剤(例えば、特開平10-46135公報参照)を用いて、選択透過部材7の表面をコーティングすること等により、紫外線の透過率を可視光や赤外線の透過率よりも低下させることにより実現できる。
【0039】
これによって、紫外線が十分に遮蔽されるため、表示部11の劣化が抑制できる。
(C)図2Cに示すように、「(C)紫外線>可視光、赤外線」の場合は、可視光や赤外線よりも紫外線の透過率が大きい。従って、この透過率が大きな紫外線を用いて、表示部11の表示を読み取るようにする。
【0040】
前記透過率は、例えば、光学的に異方性な高分子材料をその光学軸に対して斜めに切り出して形成した高分子光学ローパスフィルタ等を用いて、紫外線の透過率を大きくすることにより実現できる(例えば、特開2012-27493号公報参照)。
【0041】
このように、可視光を十分に遮蔽することで、表示部11が見えにくいため、意匠性が増す。また、赤外線を十分に遮蔽することで、表示部11の温度が上がりにくくなるので、温度による表示部11の劣化を抑制できる。
【0042】
(D)図3Aに示すように、「(D)紫外線、可視光>赤外線」の場合は、赤外線よりも紫外線や可視光の透過率が大きい。従って、この透過率が大きな紫外線や可視光を用いて、表示部11の表示を読み取るようにする。
【0043】
前記透過率は、例えば、平均粒径100nm以下のホウ化ランタン微粒子を0.001~0.1重量%含有する板厚0.2~10.0mmのポリカーボネート樹脂シートの少なくとも片面を、紫外線吸収剤を0.1~10.0重量%含有する10~100μmの厚みの透明樹脂層によって被覆した熱線遮蔽ポリカーボネート樹脂シートを用いて、赤外線の透過を抑制することによって実現できる(例えば、特開2005-47179号公報参照)。
【0044】
このように、赤外線を十分に遮蔽することで、表示部11の温度が上がりにくいので、温度による表示部11の劣化を抑制できる。
(E)図3Bに示すように、「(E)紫外線、赤外線<可視光」の場合は、紫外線や赤外線よりも可視光の透過率が大きい。従って、この透過率が大きな可視光を用いて、表示部11の表示を読み取るようにする。
【0045】
前記透過率は、例えば前記(B)と(D)の技術を組み合わせることにより実現可能である。
この場合には、紫外線が十分に遮蔽されるため、表示部11の劣化が抑制できる。また、赤外線を十分に遮蔽することで、表示部11の温度が上がりにくいので、温度による表示部11の劣化を抑制できる。
【0046】
(F)図3Cに示すように、「(F)紫外線、赤外線>可視光」の場合は、可視光よりも紫外線や赤外線の透過率が大きい。従って、この透過率が大きな紫外線や赤外線を用いて、表示部11の表示を読み取るようにする。
【0047】
前記透過率は、例えば前記(A)と(C)の技術を組み合わせることにより実現可能である。
この場合には、可視光を十分に遮蔽することで、表示部11が見えにくい為、意匠性が増すという効果がある。
【0048】
[1-4.表示部]
次に、表示部11について説明する。
前記図1(B)に示すように、表示部11は、筐体3から空間を開けて、電子部品5又は当該電子部品5の周囲の部品に配置されている。
【0049】
また、表示部11は、筐体3の外部の読取装置13から照射されて、選択透過部材7を透過した光によって、情報の読み取りが可能な位置に配置されている。
例えば、表示部11(即ち、ラベル11L)は、選択透過部材7に正対する位置、即ち、選択透過部材の正面部7a(即ち、Z-X平面上の表面)に対向するとともに、正面部7aと平行となる位置に配置されている。
【0050】
さらに、表示部11は、自身の表面に設けられた文字やコード等の画像によって情報を表示するように構成されるとともに、選択透過部材7を透過した光によって前記情報を読み取ることができるように、画像が構成されている。
【0051】
つまり、この表示部11の画像は、選択透過部材7を透過した光によって情報を読み取ることができるように、色彩、色の濃淡、周囲とのコントラストのうち、少なくとも1種が調整されている。
【0052】
例えば、本第1実施形態では、表示部11は、選択透過部材7を透過した光が反射する時の反射率が少なくとも2種以上に分かれるように構成されているので、この反射率の違いを利用して情報の読み取りが可能である。
【0053】
前記表示部11としては、例えば、図1Cに記載のような、ラベル11Lが挙げられる。なお、ラベル11Lの表面には、文字、記号、バーコード、2次元コード(例えば、QRコード:登録商標、DMCコード等)のうち、少なくとも1種を用いて必要な表示がされている。なお、記号としては、文字、バーコード、2次元コード以外の記号(例えば、マーク等の記号)が挙げられる。
【0054】
なお、ラベル11L以外に、刻印、印刷、レーザマークのうち、少なくとも1種を用いて表示を行ってもよい。
また、表示部11に表示されている情報としては、電子制御装置1や電子制御装置1を構成する電子部品5等の部品について、メーカ名、品番、製造時期、各種法規認証に必要な情報のうち、少なくとも1種が挙げられる。
【0055】
[1-5.読取装置]
次に、読取装置13について説明する。
読取装置13は、表示部11の情報を読み取るために、上述したように、他の光より選択透過部材7の透過率の大きな光を、選択透過部材7を介して表示部11を照射する。
【0056】
読取装置13では、表示部11にて反射した反射光を選択透過部材7を介して受光し、受光した光に基づいて、表示部11に表示された情報を読み取ることができる。
本第1実施形態では、選択透過部材7が、例えば、前記「(A)紫外線、可視光<赤外線」の特性を有する場合は、赤外線(例えば、近赤外線)を照射して、表示部11に表示された情報を読み取ることができる。
【0057】
なお、他の特性を有する選択透過部材7の場合にも、それぞれ、他の光よりも透過率の大きな光を用いて情報を読み取ることができる。
この読取装置13としては、例えば、バーコードを読み取ることができるバーコードリーダや、2次元コード(例えば、2次元バーコード)を読み取ることができる2次元バーコードリーダの構成が挙げられる。また、表示部11を撮影するカメラと、そのカメラ画像を解析して情報を取得することができる画像認識装置の構成が挙げられる。
【0058】
なお、読取装置13としては、公知のCCD方式、レーザ方式、イメージスキャナ方式が挙げられる。また、情報の読み取りに用いる光としては、紫外線、可視光、赤外線を使用することができる。つまり、可視光や非可視光を使用することができる。なお、それらの光の光源としては、LED等を採用できる。
【0059】
[1-6.情報読取方法]
次に、電子制御装置1の表示部11に表示された情報の読取方法(即ち、情報読取方法)について説明する。
【0060】
この情報読取方法では、上述したように、読取装置13を用いて、表示部11に表示された情報を読み取る。
具体的には、筐体3の外部に配置した読取装置13から、選択透過部材7を介して、表示部11に対して、選択透過部材7を透過するとともに表示部11に表示された情報を読み取るための光を照射する。
【0061】
この情報を読み取るための光は、選択透過部材7における光の透過率が他の光に比べて大きな光である。例えば、選択透過部材7が、前記「(A)紫外線、可視光<赤外線」の特性を有する場合は、赤外線(例えば、近赤外線)である。
【0062】
そして、前記照射した光(例えば、近赤外光)が表示部11にて反射した反射光を、読取装置13にて受光し、該受光した光を用いて、表示部11に表示された情報を読み取る。
【0063】
[1-7.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)本第1実施形態では、筐体3は遮光部材9と選択透過部材7とを備えている。また、筐体3の内部には表示部11を備えており、この表示部11は、筐体3から空間を開けて、電子部品5に配置されている。さらに、表示部11は、読取装置13から照射されて選択透過部材7を透過した光によって、情報の読み取りが可能なように構成されている。
【0064】
従って、本第1実施形態では、表示部11に対して、情報の読み取りを容易に(例えば、従来に比べて精度良く)行うことができる。
つまり、表示部11は、筐体3の内部に配置されているので、表面に汚れや傷などがつきにくい。そのため、表示部11に表示された情報を、選択透過部材7を透過した光を用いて、従来に比べて精度良く、従って、より確実に読み取ることができる。
【0065】
しかも、選択透過部材7は、光の種類に応じて光の透過率が異なる選択透過性を有する部材であるので、透過率の大きな光を情報の読み取りを行う光として採用することにより、精度良く情報を読み取ることができる。また、読み取りを行う光以外は、透過率が小さいので、その光による表示部11の劣化等の不具合を抑制できる。
【0066】
特に、表示部11がラベル11Lの場合には、従来では、経年劣化で剥がれたり、印刷が変色することがあるが、本第1実施形態では、筐体3内の電子部品5にラベル11Lを貼り付けることにより、そのような不具合を効果的に抑制できる。
【0067】
なお、ラベル11Lを貼ることでデザイン性が損なわれる場合には、刻印、印刷、レーザマーク等で表示部11を形成することで、ラベル11Lによるデメリットを回避できる。
【0068】
(1b)本第1実施形態では、表示部11は、筐体3の外部から選択透過部材7を透過した光によって、反射する時の反射率が少なくとも2種以上に分かれるように構成されている。
従って、表示部11において情報を示す画像が明瞭であるので、その画像に基づいて精度良く情報を読み取ることができる。
【0069】
(1c)本第1実施形態では、選択透過部材7は、情報の読み取りに用いる光の透過率が、当該情報の読み取りに用いる光以外の他の光の透過率より大きい特性を有する。
従って、情報の読み取りを精度良くできるとともに、それ以外の光による劣化等の不具合を抑制できる。
【0070】
(1d)本第1実施形態では、電子制御装置1は、車両用の電子装置である。
車両の搭載される電子制御装置1は、過酷な条件にて使用されるが、本第1実施形態の電子制御装置1は、過酷な条件で使用されても、表示部11の劣化等の不具合を効果的に抑制できる。
【0071】
(1e)本第1実施形態では、表示部11は、筐体3内の電子部品5に設けられている。
近年の電子部品5の小型化により、必要な情報を記載する場所が筐体3の外側に確保することが難しくなっているが、本第1実施形態では、情報を記載する場所を容易に確保できる。
【0072】
(1f)本第1実施形態では、自動車の製造工場、整備工場、ディーラ等において、筐体3の外部から、読取装置13を用いて、筐体3の表示部11に表示された情報を容易に読み取ることができる。従って、作業性が向上するという利点がある。
【0073】
[2.第2実施形態]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、以下では主として第1実施形態との相違点について説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0074】
図4に示すように、本第2実施形態は、第1実施形態とは、表示部11の配置状態が異なる。
具体的には、本第2実施形態では、電子部品5の選択透過部材7側(即ち、前方側:同図左側)の表面5aが、X軸方向から見た場合、Z軸に対してα°後方側に傾斜している。なお、α°としては、例えば、30°以下の範囲を採用できる。
【0075】
本第2実施形態では、図4Aに示すように、読取装置13を表示部11と同様な高さにて水平方向(即ち、Y軸方向)に配置し、この読取装置13から表示部11に対してY軸方向に沿って光を照射することにより、表示部11に表示された情報を読み取ることができる。
【0076】
また、図4Bに示すように、読取装置13を表示部11に対して斜め上方(即ち、α°上方)に配置し、この読取装置13から表示部11に向けてα°下方に光を照射することにより、表示部11に表示された情報を読み取ることができる。
【0077】
本第2実施形態は、第1実施形態と同様な効果を奏する。
[3.第3実施形態]
第3実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、以下では主として第1実施形態との相違点について説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0078】
本第3実施形態は、電子装置として、ライダ装置を例に挙げて、図5図7に基づいて説明する。
[3-1.全体構成]
まず、ライダ装置21の全体構成について説明する。
【0079】
図5に示すライダ装置21は、レーザ光を出射し、出射したレーザ光の物体からの反射光を受光することによって、周囲の物体(即ち、被険物)との距離を測定する測距装置である。
ライダ装置21は、車両に搭載して使用され、車両の前方等に存在する様々な物体の検出に用いられる。ライダは、LiDARとも表記される。LiDARは、Light Detection and Rangingの略語である。
【0080】
本第3実施形態では、ライダ装置21は、非可視光のレーザ光(例えば、近赤外光)を偏向して走査を行うように構成される。ライダ装置21は、レーザ光を走査することにより、距離だけでなく、位置も測定できる。以下、「レーザ光」と表記した場合、ライダ装置21で走査されるレーザ光を意味する。
【0081】
ライダ装置21は、ライダ装置21の外側の全体を覆う部分(即ち、外殻部分)を構成する筐体3を備えており、筐体3は、前側の前筐体部23と、後側の後筐体部25と、前筐体部23と後筐体部25との間の中央筐体部27と、から構成されている。また、前筐体部23は、遮光部材29と光学窓を構成する選択透過部材31とから構成されている。
【0082】
図6に示すように、筐体3の内部には、電子部品5と、電子部品5を支える内部フレーム33と、遮光板35、37等とが収納されている。
以下、図7の左右方向をX軸方向、上下方向をZ軸方向、X軸及びZ軸に垂直な方向をY軸方向とする。また、図5のZ軸方向の手前側を前側、奥側を後側とし、Y軸の上側を上側、下側を下側とし、前側から見た場合に、X軸方向の左側を左側、右側を右側とする。
【0083】
[3-2.筐体の構成]
次に、筐体3の構成について説明する。
図5に示すように、筐体3は、略直方体形状であり、前筐体部23と中央筐体部27と後筐体部25とが、複数のネジ39により一体に組み付けられている。
【0084】
前筐体部23は、例えば樹脂からなり、四角枠状の遮光部材29と略長方形の選択透過部材31とが、接着剤等によって一体に構成されたものである。なお、選択透過部材31は、遮光部材29の前側の略長方形の開口部41を覆うように配置されている。
【0085】
遮光部材29としては、前記第1実施形態と同様な構成を採用できる。具体的には、 選択透過部材7に比べて、紫外光、可視光、赤外光の全ての光について、透過率が小さい樹脂等を採用できる。この遮光部材29は、これら全ての光の透過率が、例えば10%以下である。
【0086】
遮光部材9の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等の樹脂に、光の透過率を低減させるために、例えば黒色の色素を変化したものを採用できる。
【0087】
選択透過部材31としては、前記第1実施形態と同様な構成を採用できる。具体的には、前記「(A)紫外線、可視光<赤外線」の特性を有する樹脂を採用できる。具体的には、ポリカーボネート(PBC)に、可視光の透過率が、例えば、可視光の透過を阻害する染料を配合した材料を採用できる。この選択透過部材31は、赤外線(例えば近赤外線)の透過率が、例えば75%以上である。
【0088】
また、ライダ装置21は、周囲の物体との距離等の測定のために、赤外光(例えば、近赤外光)であるレーザ光を用いるので、このレーザ光の透過率も、例えば75%以上である。
【0089】
中央筐体部27及び後筐体部25は、例えば、アルミ等の金属から構成されている。この中央筐体部27及び後筐体部25は、遮光部材29と同様に、紫外光、可視光、赤外光の全ての光について、選択透過部材31よりも透過率が小さい。具体的には、透過率が、例えば10%以下である。
【0090】
なお、中央筐体部27及び後筐体部25の内側には、制御基板43等(例えば、図7参照)が配置されている。
[3-3.内部構造]
次に、ライダ装置21の内部構成について説明する。
【0091】
なお、ライダ装置21の内部構成としては、公知の構成を採用できるので、簡単に説明する。
図6に示すように、筐体3の内部には、アッセンブリである電子部品5として、公知の光検出モジュール45が収容される。なお、前記内部フレーム33は、光検出モジュール45を筐体3に固定して支持する部材であり、遮光板35、37は、筐体3内で迷光等が光検出モジュール45に入光しないようにするカバーである。
【0092】
光検出モジュール45は、発光レンズ46、47と、折返ミラー49(例えば、図7参照)と、走査ミラー51と、受光レンズ53と、図示しない他の折返ミラー及び受光素子等と、を備える。
【0093】
本第3実施形態では、表示部11は、例えばラベル11Lが貼り付けられたものであり、図6にてメッシュで示すように、3箇所のうち少なくとも1箇所に設けられている。
例えば、第1の表示部11aは、ライダ装置21の内部において、内部フレーム33のうちの左側にて、第1の表示部11aが前側を向くように配置されている。つまり、第1の表示部11aは、ライダ装置21の前方より情報を読み取ることができるように、X-Y平面上に配置されている。
【0094】
また、第2の表示部11bは、ライダ装置21の内部において、走査ミラー51の後方の遮光板35の表面にて、第2の表示部11bが前側を向くように配置されている。つまり、第2の表示部11bは、ライダ装置21の前方より情報を読み取ることができるように、X-Y平面上に配置されている。
【0095】
さらに、第3の表示部11cは、ライダ装置21の内部において、側方の遮光板37の右側の表面(即ち、外側を向いた表面)にて、第3の表示部11cが右側を向くように配置されている。つまり、第3の表示部11cは、ライダ装置21の右側(詳しくは、前側と右側の間の角度)より情報を読み取ることができるように、Y-Z平面を若干前側(詳しくは、上方から見て時計方向に若干回動した側)に向けた平面上に配置されている。
【0096】
[3-4.使用方法]
次に、ライダ装置21の使用方法について説明する。
<距離等の測定方法>
図7に示すように、発光レンズ46から出力されたレーザ光は、走査ミラー51に入射される。また、他の発光レンズ47から出力されたレーザ光は、折返ミラー49で進行方向が略90°曲げられて走査ミラー51に入射される。走査ミラー51に入射されたレーザ光は、光学窓である選択透過部材31を介して、走査ミラー51の回転角度に応じた方向に向けて出射される。走査ミラー51を介してレーザ光が照射される範囲(例えば、ドットで示す扇形の範囲)が走査範囲である。例えば、Z軸に沿った前方向を0度としてX軸方向に沿って広がる±60°の範囲を走査範囲とできる。なお、ドットで示す範囲が、レーザ光の範囲である。
【0097】
走査ミラー51の回転位置に応じた所定方向、すなわち、走査ミラー51からのレーザ光の出射方向に位置する被検物からの反射光は、光学窓を透過し、走査ミラー51で反射し、受光レンズ53及び図示しない折返ミラーを介して受光素子で受光される。
【0098】
そして、発光レンズ46、47から発光した光や受光素子で受光した光に基づいて、被検物の距離等を求めることができる。
<情報の読み取り方法>
表示部11に表示された情報の読み取り方法は、基本的に、第1実施形態と同様である。
【0099】
この情報読取方法では、上述したように、読取装置13を用いて、表示部11に表示された情報を読み取る。
具体的には、筐体3の外部に配置した読取装置13から、選択透過部材31を介して、表示部11に対して、選択透過部材31を透過するとともに表示部11に表示された情報を読み取るための光を照射する。
【0100】
この情報を読み取るための光は、選択透過部材31における光の透過率が他の光に比べて大きな光である。例えば、選択透過部材31が、前記「(A)紫外線、可視光<赤外線」の特性を有する場合は、赤外線(例えば、近赤外線)である。
【0101】
そして、前記照射した光(例えば、近赤外光)が表示部11にて反射した反射光を、読取装置13にて受光し、該受光した光を用いて、表示部11に表示された情報を読み取る。
【0102】
本第3実施形態は、第1、第2実施形態と同様な効果を奏する。
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0103】
(4a)電子制御装置でなくともよく、センサ等、電子部品を収容した各種の電子装置が挙げられる。また、電子装置は、車載でなくてもよく、工場や会社や家庭等で使用される各種の電子装置が挙げられる。
【0104】
(4b)筐体については、遮光部材と選択透過部材の組み合わせに特に制限はなく、遮光部材や選択透過部材は複数あってもよい。また、遮光部材や選択透過部材としては、上述した材料以外に、公知等の各種の材料を用いて構成できる。
【0105】
(4c)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0106】
1…電子制御装置、3…筐体、5…電子部品、7、31…選択透過部材、9、29…遮光部材、11…表示部、21…ライダ装置、33…内部フレーム、35、37…遮光板、45…光検出モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7