(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170304
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】繊維処理助剤、及びポリエステル繊維用処理剤
(51)【国際特許分類】
D06M 13/262 20060101AFI20221102BHJP
D06M 13/17 20060101ALI20221102BHJP
D06M 15/53 20060101ALI20221102BHJP
D06M 13/224 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
D06M13/262
D06M13/17
D06M15/53
D06M13/224
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076354
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000221797
【氏名又は名称】東邦化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 由加里
(72)【発明者】
【氏名】浦田 圭輔
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AB04
4L033AC15
4L033BA14
4L033BA21
4L033BA29
4L033CA48
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポリエステル等繊維の高温高圧下での染色時、更には染料と難燃剤等の機能性薬剤とを併用する時に、染料凝集、及び染料と機能性薬剤との凝集を防ぎ、均一な被染色物を提供できる繊維処理助剤を提供する。
【解決手段】(A)特定の一般式(1)で表される化合物40~90質量部(一般式(1)で表される化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノサルフェートのアンモニウム塩及び金属塩)
(B)特定の一般式(2)で表される化合物5~25質量部(一般式(2)で表される化合物としては、例えば、ポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテルサルフェートのアンモニウム塩及び金属塩)、及び、
(C)ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル5~35質量部を含有する、繊維処理助剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表される化合物 40~90質量部
X
1-O-(A
1O)
n1(A
2O)
n2-X
2 (1)
(式中、A
1はエチレン基であり、A
2は炭素原子数3又は4のアルキレン基であり、n
1は3~30の数であり、n
2は5~60の数であり、A
1O及びA
2Oとの相互の配列は限定されず、ブロック単位を成していてもランダム結合でもよく、X
1は水素原子、炭素原子数8~22のアルキル基又はアルケニル基、-SO
3M、又は-PO
3Mであり、X
2は-SO
3M、又は-PO
3Mであり、Mは水素原子、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は一価の金属イオンである)、
(B)下記一般式(2)で表される化合物 5~25質量部
【化1】
(式中、mは1~3の数であり、n
3は5~60の数であり、A
3は炭素原子数2~4のアルキレン基であり、M’は水素原子、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は一価の金属イオンである)、
及び、
(C)ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル 5~35質量部
(ただし、(A)成分、(B)成分、(C)成分の合計は100質量部である)
を含有する、繊維処理助剤。
【請求項2】
前記(C)成分が、下記一般式(3):
[H-(OA4)n4-O-]rR1[-O-(A5O)n5-C(=O)-R2]s
(3)
(式中、R1は、炭素原子数2~30を有し、2~8価の多価アルコールから2以上のヒドロキシ基を除いた残基であり、A4は炭素原子数2~4のアルキレン基であり、n4は1~80の数であり、R2は炭素原子数1~30のアルキル基又は炭素原子数2~30のアルケニル基であり、A5は炭素原子数2~4のアルキレン基であり、n5は1~80の数であり、r及びsは、0≦r≦7、1≦s≦8、及び2≦r+s≦8の関係を満たす整数である)
で表される、請求項1記載の繊維処理助剤。
【請求項3】
(C)成分がポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステルである、請求項1または2記載の繊維処理助剤。
【請求項4】
前記式(1)及び(2)において、M及びM’が、各々独立に、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンである、請求項1~3のいずれか1項記載の繊維処理助剤。
【請求項5】
ポリエステル繊維用である、請求項1~4のいずれか1項記載の繊維処理助剤。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の繊維処理助剤を染色浴に添加する工程と、該染色浴で繊維を染色して染色物を得る工程とを含むことを特徴とする、繊維染色物の製造方法。
【請求項7】
前記繊維処理助剤の添加量が染色浴1Lに対して0.01~2gである、請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
前記繊維がポリエステルである、請求項6又は7記載の製造方法。
【請求項9】
下記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を染色浴に添加する工程、
(A)下記一般式(1)で表される化合物 (A)、(B)、及び(C)成分の合計100質量部に対して40~90質量部
X
1-O-(A
1O)
n1(A
2O)
n2-X
2 (1)
(式中、A
1はエチレン基であり、A
2は炭素原子数3又は4のアルキレン基であり、n
1は3~30の数であり、n
2は5~60の数であり、A
1O及びA
2Oとの相互の配列は限定されず、ブロック単位を成していてもランダム結合でもよく、X
1は水素原子、炭素原子数8~22のアルキル基又はアルケニル基、-SO
3M、又は-PO
3Mであり、X
2は-SO
3M、又は-PO
3Mであり、Mは水素原子、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は一価の金属イオンである)、
(B)下記一般式(2)で表される化合物 (A)、(B)、及び(C)成分の合計100質量部に対して5~25質量部
【化2】
(式中、mは1~3の数であり、n
3は5~60の数であり、A
3は炭素原子数2~4のアルキレン基であり、M’は水素原子、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は一価の金属イオンである)、
(C)ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル (A)、(B)、及び(C)成分の合計100質量部に対して5~35質量部
及び、前記染色浴で繊維を染色して染色物を得る工程を含む、繊維染色物の製造方法。
【請求項10】
前記(A)、(B)、及び(C)成分の合計量が前記染色浴1Lに対して0.01~2gである、請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
前記繊維がポリエステルである、請求項9又は10記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維処理助剤、及びポリエステル繊維用処理剤に関する。より詳細には、ポリエステル繊維を高温下で染色する際に、染料の分散状態を安定化させ、更には難燃剤を併用した際に染料及び難燃剤を凝集させることなく均一な被染色物を与える、ポリエステル繊維用処理剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
通常、ポリエステル系繊維の染色は、110~140℃の水溶液系で高温高圧の下、弱酸性のpH領域で分散染料を用いて行われることが一般的である。この際、分散染料自体にナフタレンスルホン酸系の分散剤が含まれていることが一般的である。しかし、高温高圧下では染料の分散性が低下し染色不良や染料の凝集により被染色物の汚染、染色機械の汚染を引き起こす。そのため、分散均染剤と呼ばれる界面活性剤組成物を用いることにより均一な被染色物を得る方法がとられている。
【0003】
更には、染色工程において被染色物に機能性を付与するため難燃剤や耐光剤などの機能性薬剤を併用して染色を行う事が一般的に行われており、この際、機能性薬剤中の疎水性構造体が染料との凝集を引き起こし被染色物の汚染、染色機械の汚染を発生させることが問題となっている。
【0004】
染色不良や染色機械の汚染が発生することで、被染色物の染め直しや、染色機械の頻繁な洗浄が要求されることでエネルギー効率の低下や排水の増加によるランニングコストの増加につながる。そのため、染色不良や、染色機械の汚染事態を無くすための対策が求められている。
【0005】
このような問題を解決するため、特許文献1及び特許文献2に記載の方法のような分散均染剤の開発や、特許文献3、特許文献4及び特許文献5のように均一な分散状態をもつ難燃剤の開発が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2015-522721号公報
【特許文献2】特開2014-047438号公報
【特許文献3】特開2019-6992号公報
【特許文献4】特許6039326号
【特許文献5】特開2014-189914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポリエステル等繊維の高温高圧下での染色時、更には染料と難燃剤等の機能性薬剤とを併用する時に、染料凝集、及び染料と機能性薬剤との凝集を防ぎ、均一な被染色物を提供できる繊維処理助剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル等繊維の高温高圧下での染色時、更には染料と難燃剤等の機能性薬剤との併用時に、特定のアニオン性界面活性剤及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルの組合せを含む繊維処理助剤を使用することにより、染料凝集を抑制し、及び染料と機能性薬剤との凝集を防ぎ、均一な被染色物を提供できることを見出した。より詳細には、本発明は、(A)下記一般式(1)で表されるアニオン性界面活性剤及び(B)下記一般式(2)で表されるアニオン性界面活性剤、及び、(C)ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルを含むことを特徴とする、ポリエステル繊維用処理剤が上記課題を解決できることを見出し、本発明を成すに至った。
【0009】
すなわち、本発明は
(A)下記一般式(1)で表される化合物 40~90質量部
X
1-O-(A
1O)
n1(A
2O)
n2-X
2 (1)
(式中、A
1はエチレン基であり、A
2は炭素原子数3又は4のアルキレン基であり、n
1は3~30の数であり、n
2は5~60の数であり、A
1O及びA
2Oとの相互の配列は限定されず、ブロック単位を成していてもランダム結合でもよく、X
1は水素原子、炭素原子数8~22のアルキル基又はアルケニル基、-SO
3M、又は-PO
3Mであり、X
2は-SO
3M、又は-PO
3Mであり、Mは水素原子、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は一価の金属イオンである)、
(B)下記一般式(2)で表される化合物 5~25質量部
【化1】
(式中、mは1~3の数であり、n
3は5~60の数であり、A
3は炭素原子数2~4のアルキレン基であり、M’は水素原子、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は一価の金属イオンである)、
及び、
(C)ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル 5~35質量部
(ただし、(A)成分、(B)成分、(C)成分の合計は100質量部である)
を含有する、繊維処理助剤を提供する。
更に本発明はポリエステル繊維用である前記繊維処理助剤を提供する。さらには、前記繊維処理助剤を染色浴に添加する工程と、該染色浴中で繊維を染色して染色物を得る工程とを含むことを特徴とする、繊維染色物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の繊維処理助剤は、ポリエステル等繊維の高温下での染色処理工程において、染料及び難燃剤の凝集物発生を抑制し、染色が均一である良好な被染色物を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各成分についてより詳細に説明する。
(A)成分は下記一般式(1)で表される化合物である。該(A)成分は、高温高圧下でのポリエステル繊維の染色において、染料凝集及び染料と難燃剤等の機能性薬剤との凝集を防ぐ効果を発揮する点で重要である。
X1-O-(A1O)n1(A2O)n2-X2 (1)
式中、A1はエチレン基である。A2は炭素原子数3又は4のアルキレン基であり、好ましくは炭素数3のプロピレン基である。n1は3~30の数であり、n2は5~60の数であり、A1O及びA2Oとの相互の配列は限定されず、ブロック単位を成していてもランダム結合でもよい。X1は水素原子、炭素原子数8~22のアルキル基又はアルケニル基、-SO3M、又は-PO3Mであり、X2は-SO3M、又は-PO3Mである。Mは一価のカチオンであり、水素原子、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、及び一価の金属イオンから選ばれる。
【0012】
(A)成分は、より詳細には、ポリオキシアルキレングリコールスルホン酸エステル又はポリオキシアルキレングリコールリン酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪族アルコールスルホン酸エステル及びポリオキシアルキレン脂肪族アルコールリン酸エステルである。
【0013】
A1Oはオキシエチレン基であり、A2Oは炭素原子数3又は4のオキシアルキレン基である。n1又はn2は、(A1O)及び(A2O)で示されるオキシアルキレンの平均付加モル数を表し、整数である必要はない。n1は3~30であり、好ましくは5~25である。n1が3未満であると、(A)成分の疎水性が高くなり、染料及び機能性薬剤の凝集が発生しやすくなり、分散性が悪化するおそれがある。n1が30より大きいと、(A)成分の親水性が高くなり、十分な分散性を発揮できない。n2は5~60であり、好ましくは10~50である。n2が5未満であると、(A)成分の構造中の疎水性基の割合が小さくなり、十分な界面活性及び分散性能を発揮しない。また、n2が60より大きいと、(A)成分の構造中の疎水性基の割合が高くなりすぎ、染料及び機能性薬剤の凝集が発生しやすくなり、分散性が悪化するおそれがある。(A1O)及び(A2O)の相互の配列(オキシアルキレン基の付加順)は限定されない。アルキレンオキサイドを付加する際の付加方法はブロック付加及びランダム付加のいずれであってもよい。
【0014】
X1は水素原子、炭素原子数8~22、好ましくは炭素原子数7~21のアルキル基又はアルケニル基、-SO3M、又は-PO3Mであり、X2は-SO3M、又は-PO3Mである。Mは水素原子、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は一価の金属イオンである。一価の金属イオンとは好ましくは、ナトリウムイオン又はカリウムイオンである。炭素原子数8~22、好ましくは炭素原子数7~21のアルキル基又はアルケニル基は、例えば、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、デセニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、トリデセニル基、テトラデシル基、テトラデセニル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、へプタデシル基、へプタデセニル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基、ノナデシル基、ノナデセニル基、イコシル基、及び、ヘンイコシル基等が挙げられる。中でも、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基が好ましい。
【0015】
-SO3Mにおいて、Mは水素原子、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は一価の金属イオンである。一価の金属イオンとは好ましくはナトリウムイオン又はカリウムイオンである。好ましくは、Mは、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンである。当該官能基は、一般的なスルホン化または硫酸化方法により、ポリオキシアルキレングリコールに導入することができる。例えばクロロスルホン酸、無水硫酸、スルファミン酸または硫酸等をポリオキシアルキレングリコールと反応させる方法により、導入することができる。より詳細には、クロロスルホン酸または無水硫酸の場合は反応温度0~70℃、スルファミン酸または硫酸の場合は反応温度50~150℃にて、反応させればよい。反応の状態は結合硫酸量の測定によって求められ、アニオン化度は通常80%以上であり、好ましくは85%以上である。
【0016】
-PO3Mにおいて、Mは水素原子、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、又は一価の金属イオンである。有機アンモニウムイオンとは、アンモニウムイオン(NH4
+)の四つの水素のうち、一つ以上をアルキル基やヒドロキシアルキル基などの有機基で置換したものであり、例えばモノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等が挙げられる。一価の金属イオンとは好ましくはナトリウムイオン又はカリウムイオンである。好ましくは、Mはアンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンである。当該官能基の導入は、一般的なリン酸化方法により、ポリオキシアルキレングリコールに導入することができる。例えば、リン酸、ポリリン酸、無水リン酸、オキシ塩化リン等のリン酸化剤とポリオキシアルキレングリコールとを反応させる方法により、導入することができる。より詳細には、無水リン酸との反応は、反応温度30~150℃で、窒素雰囲気中で行うことができる。反応は酸価の測定によって求められ、アニオン化度は通常90モル%以上であり、好ましくは95モル%以上である。
【0017】
前記一般式(1)で示される化合物としては、例えば、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノサルフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジサルフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノホスフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジホスフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルアルコールサルフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルアルコールホスフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルアルコールサルフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルアルコールホスフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリデカノールサルフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリデカノールホスフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオレイルアルコールサルフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオレイルアルコールホスフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
などが挙げられる。
【0018】
より好ましくは
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノサルフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジサルフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリデカノールサルフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルアルコールホスフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリデカノールホスフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩
などが挙げられる。
【0019】
(A)成分の調製は従来公知の方法に従えばよい。例えば、(A)ポリオキシアルキレングリコールスルホン酸エステルアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩、又はポリオキシアルキレングリコールリン酸エステルアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩は、エチレングリコールにアルキレンオキサイドを付加後、前述のスルホン化法又はリン酸化法により製造することが出来る。
更にポリオキシアルキレン脂肪族アルコールスルホン酸エステルアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩、又はポリオキシアルキレン脂肪族アルコールリン酸エステルアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩は、例えば通常の条件で脂肪族アルコールにアルキレンオキサイドを付加後、上記したスルホン化法又はリン酸化法により官能基を付加し、その後必要に応じて中和を行う事で製造することが出来る。
【0020】
本発明の繊維処理助剤に含まれる(A)成分の量は、繊維処理助剤全体の質量に対して40~90質量%、好ましくは50~90質量%であり、より好ましくは60~85質量%である。
【0021】
(B)成分は、下記一般式(2)で表される化合物である。
【化2】
式中、mは1~3の数であり、n
3は5~60の数であり、A
3は炭素原子数2~4のアルキレン基であり、M’は一価のカチオンであり、水素原子、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、及び一価の金属イオンから選ばれる。有機アンモニウムイオンとは、アンモニウムイオン(NH
4
+)の四つの水素のうち、一つ以上をアルキル基やヒドロキシアルキル基などの有機基で置換したものであり、例えばモノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等が挙げられる。一価の金属イオンとは、好ましくはナトリウムイオン又はカリウムイオンである。好ましくは、M’はアンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンである。
上記一般式(2)で表される化合物は、詳細には、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルサルフェートであり、染料及び難燃剤等の機能性薬剤の水溶液中の分散性を高める効果発揮する点で重要となる。尚、本発明において、C
6H
5-CH(CH
3)-で表される基をスチリル基という。また、該スチリル基がフェニルエーテルに結合した構造をスチレン化フェニルエーテルといい、スチリル基を有するフェノールをスチレン化フェノールという。
【0022】
上記式(2)において、mはスチリル基の平均付加モル数を表しており、整数である必要はない。mは1~3であり、より好ましくは2~3である。
【0023】
A3は、炭素原子数2~4の、好ましくは炭素数2又は3のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2のエチレン基である。n3はオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、5~60であり、より好ましくは8~50であり、更に好ましくは10~40の数である。
【0024】
上記(B)成分としては、好ましくはポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテルサルフェートのアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩が挙げられる。
【0025】
(B)成分の調製は従来公知の方法に従えばよい。例えば、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩及び金属(Na、K)塩は、例えば、通常の条件でフェノールにスチレンモノマーを反応させた後、エチレンオキサイドを付加させ、上記の方法にてスルホン化し、必要に応じて中和を行う事で製造することが出来る。
【0026】
本発明の繊維処理助剤に含まれる(B)成分の量は、繊維処理助剤全体の質量に対して5~25質量%、好ましくは5~20質量%であり、より好ましくは8~18質量%である。
【0027】
(C)成分は、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルであり、好ましくは下記一般式(3)で表される化合物である。該化合物は、染色時の染めムラを無くし均一な被染色物を得るために必要な成分である。
[H-(OA4)n4-O-]rR1[-O-(A5O)n5-C(=O)-R2]s (3)
上記式(3)中、R1は、炭素原子数2~30、好ましくは炭素数2~10、より好ましくは炭素数2~6を有し、2~8価、好ましくは2~6価、より好ましくは2~4価の、多価アルコールから2つ以上のヒドロキシ基を除いた残基である。
A4は炭素原子数2~4の二価のアルキレン基であり、好ましくは炭素原子数2のエチレンである。n4はオキシアルキレンの平均付加モル数を(r+s)で割った数であって、1~80の数であり、好ましくは1~40、より好ましくは2~30、更に好ましくは3~25の数である。
R2は炭素原子数1~30のアルキル基又は炭素原子数2~30のアルケニル基であり、好ましくはオクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、イソオクタデシル基、である。
A5は炭素原子数2~4の二価のアルキレン基であり、好ましくは炭素原子数2のエチレンである。n5はアルキレンオキサイドの平均付加モル数を(r+s)で割った数であって、1~80の数、好ましくは1~40、より好ましくは2~30、更に好ましくは3~25の数である。
r及びsは、0≦r≦7、1≦s≦8、及び2≦r+s≦8を満たす整数である。好ましくは、rは0~1の整数であり、sは2~6の整数である。
【0028】
上記(C)成分は、2~8価、好ましくは2~6価の多価アルコールと脂肪酸のエステルである。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、及びベヘン酸などが挙げられる。
上記(C)成分は、好ましくは、ポリオキシエチレン多価アルコールの脂肪酸エステルであり、より好ましくは、ポリオキシエチレングリコールジオレイルエステル、及びポリオキシエチレングリセロールトリオレイルエステル等である。
【0029】
上記(C)成分において、エチレンオキサイドの平均付加モル数は3~40、好ましくは6~30、更に好ましくは8~25モルがよい。エチレンオキサイドの付加モル数が3未満の場合、疎水性が高くなり染料の凝集を発生させ被染色物を汚染させる可能性がある。40モル以上の場合は、親水性が高くなり被染色物の均染性が不足するおそれがある。
【0030】
(C)ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステルの調製は従来公知の方法に従えばよい。例えば、多価アルコールにエチレンオキサイドを付加させたのち、脂肪酸を反応させる、又は多価アルコールと脂肪酸を反応させエステルを合成したのちにエチレンオキサイドを付加させることで製造することが出来る。
【0031】
本発明の繊維処理助剤に含まれる(C)成分の量は、繊維処理助剤全体の質量に対して5~35質量%、好ましくは8~30質量%であり、より好ましくは10~25質量%である。
【0032】
前記(A)成分と、(B)成分と、(C)成分の質量比[(A)/(B)/(C)]は、40~90/5~25/5~35である。好ましくは、質量比[(A)/(B)/(C)]が、50~80/5~20/10~30であるのがよい。ただし、(A)成分、(B)成分、(C)成分の合計は100である。これにより、本発明の繊維処理助剤は、高温高圧下での染色において染料の凝集及び染料と機能性薬剤との凝集を防ぎ、均一な分散状態を維持させることができる。(B)及び(C)成分に対する(A)成分の質量比が上記下限値未満であると、高温高圧下の染色条件下で十分な分散性能が得られない。また、(A)成分の質量比が上記上限より大きいと、染色に必要な均染性が不足し染色性能が低下する。
【0033】
本発明の繊維処理助剤の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法に従えばよい。例えば、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の混合は、容器に各成分を仕込んだ後、40~60℃の温度で均一に混合する。繊維処理助剤は、薬剤の外観安定性や染色液への添加時の溶解性の向上を目的に、水及び/又は溶剤を含有しても良い。
【0034】
本発明の繊維処理助剤は、ポリエステル等繊維の染色及び機能薬剤での処理工程において使用する。ポリエステル繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、再生ポリエステル繊維、及びこれらの2種以上からなるポリエステル繊維が挙げられる。更に、その他の繊維として、前記ポリエステル繊維と天然繊維(綿、麻、絹、ウール等)、半合成繊維(レーヨン、アセテート類等)、およびそのほかの合成繊維(ナイロン、アクリル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等)との混紡繊維等からなる繊維製品も挙げられる。本発明の繊維処理助剤は、好ましくはポリエステル繊維用の繊維処理助剤である。
【0035】
前記繊維製品の形態は特に制限されず、短繊維、長繊維、糸、織物、編物、及び不織布等であればよい。
【0036】
本発明の繊維処理助剤を用いた染色には、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲内で、臭素系難燃剤又はリン系難燃剤等の難燃剤、消臭剤、抗菌剤、柔軟剤、吸水剤、撥水撥油剤、平滑剤、浸透剤、帯電防止剤、キレート剤、酸化防止剤、消泡剤、キャリアー剤、フィックス剤、光安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、及び、黄変防止剤等の添加剤を使用することができる。これらの添加剤は、本発明の繊維処理助剤を用いたポリエステル繊維の染色工程と同時及び/又は、前処理工程及び/又は後処理工程にて用いることが出来る。また本発明は、上記(A)~(C)成分からなる繊維処理助剤及び任意で上述したその他の添加剤を含む繊維処理剤、好ましくはポリエステル繊維用処理剤を提供することができる。配合量は従来公知の繊維処理剤に従い適宜調整すればよい。
【0037】
繊維染色物の製造方法
本発明は、前記繊維処理助剤を染色浴に添加する工程と、該染色浴中で繊維を染色して染色物を得る工程とを含むことを特徴とする、繊維染色物の製造方法を提供する。ポリエステル等の繊維の染色方法は、従来公知の方法に従えばよい。例えば、pH4.5~6.0に調整された染色浴液にて被染色布、染料、前記機能性付与の為のその他の添加剤、及び本発明の繊維処理助剤を添加し、染色機を使用し、任意の染色温度にて、染色することができる。染色温度は80℃~150℃、好ましくは100℃~140℃であり、圧力は0.00MPa~0.80MPa、好ましくは0.05MPa~0.60MPaであればよい。
また、上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分のそれぞれを上述した質量比にて別々に染色浴に添加してもよい。すなわち、本発明は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分のそれぞれを染色浴に添加する工程と、該染色浴中で繊維を染色して染色物を得る工程とを含む、繊維染色物の製造方法も提供する。(A)成分と、(B)成分と、(C)成分の配合質量比[(A)/(B)/(C)]は、上記の通り、40~90/5~25/5~35であり、好ましくは、質量比[(A)/(B)/(C)]が50~80/5~20/10~30である。ただし、(A)成分、(B)成分、(C)成分の合計は100である。
【0038】
染色浴の組成は従来公知の染色方法に従えばよい。染色浴に対する繊維処理助剤の添加量は適宜調整すればよいが、染色浴1Lに対して0.01~2gであり、好ましくは0.05~1.5gであるのがよい。上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を別々に添加する場合には、上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計が染色浴1Lに対して0.01~2gであり、好ましくは0.05~1.5gであるのがよい。
【実施例0039】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0040】
成分(A)の調製
[合成例1]
成分(A1):
5Lオートクレーブにジエチレングリコール150g、水酸化カリウム3.5gを仕込み、釜内の窒素置換を十分に行った後、140℃まで昇温しエチレンオキサイド622gを徐々に付加した。エチレンオキサイドの反応が終了したのちに、温度を120℃まで冷却し続いてプロピレンオキサイド1640gを徐々に付加し十分に反応させたのち冷却し、ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(20モル)グリコールを得た。
続いて、1Lガラスフラスコ中に、得られたポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(20モル)グリコール480g、スルファミン酸29.1g、尿素18.0gを仕込み徐々に昇温し120℃で反応させポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(20モル)グリコールモノサルフェート・アンモニウム塩を得た。結合硫酸による合成物のアニオン純度は87.6%であった。
【0041】
[合成例2]
成分(A2):
5Lオートクレーブにジエチレングリコール150g、水酸化カリウム4.6gを仕込み、釜内の窒素置換を十分に行った後、140℃まで昇温しエチレンオキサイド622gを徐々に付加した。エチレンオキサイドの反応が終了したのちに、温度を120℃まで冷却し続いてプロピレンオキサイド2460gを徐々に付加し十分に反応させたのち冷却し、ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコールを得た。
続いて、1Lガラスフラスコ中に上記ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコール687g、スルファミン酸29.1g、尿素18.0gを仕込み徐々に昇温し120℃で反応させポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコールモノサルフェート・アンモニウム塩を得た。結合硫酸による合成物のアニオン純度は88.1%であった。
【0042】
[合成例3]
成分(A3):
上記合成例2で得たポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコール687g、スルファミン酸43.6g、尿素18.0gを仕込み徐々に昇温し120℃で反応させポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコールモノサルフェート・アンモニウム塩及びポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコールジサルフェート・アンモニウム塩の混合物を得た。結合硫酸による合成物のアニオン純度は131.2%であった。
【0043】
[合成例4]
成分(A4):
上記合成例2で得たポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコール687g、スルファミン酸58.1g、尿素24.0gを仕込み徐々に昇温し120℃で反応させポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコールモノサルフェート・アンモニウム塩及びポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコールジサルフェート・アンモニウム塩の混合物を得た。結合硫酸による合成物のアニオン純度は175.8%であった。
【0044】
[合成例5]
成分(A5):
5Lオートクレーブにジエチレングリコール150g、水酸化カリウム5.4gを仕込み、釜内の窒素置換を十分に行った後、140℃まで昇温しエチレンオキサイド1245gを徐々に付加した。エチレンオキサイドの反応が終了したのちに、温度を120℃まで冷却し続いてプロピレンオキサイド2460gを徐々に付加し十分に反応させたのち冷却し、ポリオキシエチレン(20モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコールを得た。
続いて、1Lガラスフラスコ中に、得られたポリオキシエチレン(20モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコール819g、スルファミン酸29.1g、尿素18.0gを仕込み徐々に昇温し120℃で反応させポリオキシエチレン(20モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコールモノサルフェート・アンモニウム塩を得た。結合硫酸による合成物のアニオン純度は87.9%であった。
【0045】
[合成例6]
成分(A6):
上記合成例5で得たポリオキシエチレン(20モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコール819g、スルファミン酸43.6g、尿素18.0gを仕込み徐々に昇温し120℃で反応させポリオキシエチレン(20モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコールモノサルフェート・アンモニウム塩及びポリオキシエチレン(20モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコールジサルフェート・アンモニウム塩の混合物を得た。結合硫酸による合成物のアニオン純度は129.8%であった。
【0046】
[合成例7]
成分(A7):
上記合成例5で得たポリオキシエチレン(20モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコール819g、スルファミン酸58.1g、尿素24.0gを仕込み徐々に昇温し120℃で反応させポリオキシエチレン(20モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコールモノサルフェート・アンモニウム塩及びポリオキシエチレン(20モル)ポリオキシプロピレン(30モル)グリコールジサルフェート・アンモニウム塩の混合物を得た。結合硫酸による合成物のアニオン純度は173.3%であった。
【0047】
[合成例8]
成分(A8):
5Lオートクレーブにトリデカノール600g、水酸化カリウム5.6gを仕込み、釜内の窒素置換を十分に行った後、150℃まで昇温しエチレンオキサイド1320gを徐々に付加した。エチレンオキサイドの反応が終了したのちに、温度を120℃まで冷却し続いてプロピレンオキサイド870gを徐々に付加し十分に反応させたのち冷却し、ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(5モル)トリデカノールエーテルを得た。
続いて、1Lガラスフラスコ中に得られたポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(5モル)トリデカノールエーテル558g、スルファミン酸58.2g、尿素36.0gを仕込み徐々に昇温し120℃で反応させポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(5モル)トリデカノールエーテルモノサルフェート・アンモニウム塩を得た。結合硫酸による合成物のアニオン純度は92.3%であった。
【0048】
成分(B)の合成
[合成例9]
成分(B1):
5Lオートクレーブにスチレン化フェノール(主成分:トリスチレン化フェノール)400g、水酸化カリウム2.5gを仕込み、釜内の窒素置換を十分に行った後、150℃まで昇温しエチレンオキサイド880gを徐々に付加し、ポリオキシエチレン(20モル)スチレン化フェニルエーテルを得た。続いて、1Lガラスフラスコ中に、得られたポリオキシエチレン(20モル)スチレン化フェニルエーテル500g、スルファミン酸37.9g、尿素23.4gを仕込み徐々に昇温し120℃で反応させポリオキシエチレン(20モル)スチレン化フェニルエーテルサルフェート・アンモニウム塩を得た。結合硫酸による合成物のアニオン純度は85%以上であった。スチリル基の平均付加モル数は2.8モルである。
【0049】
[合成例10]
成分(B2):
5Lオートクレーブにスチレン化フェノール(主成分:トリスチレン化フェノール)400g、水酸化カリウム3.0gを仕込み、釜内の窒素置換を十分に行った後、150℃まで昇温しエチレンオキサイド1100gを徐々に付加し、ポリオキシエチレン(25モル)スチレン化フェニルエーテルを得た。続いて、1Lガラスフラスコ中に、得られたポリオキシエチレン(25モル)スチレン化フェニルエーテル500g、スルファミン酸32.3g、尿素20.0gを仕込み徐々に昇温し120℃で反応させポリオキシエチレン(25モル)スチレン化フェニルエーテルサルフェート・アンモニウム塩を得た。結合硫酸による合成物のアニオン純度は85%以上であった。スチリル基の平均付加モル数は2.8モルである。
【0050】
[合成例11]
成分(B3):
5Lオートクレーブにスチレン化フェノール(主成分:トリスチレン化フェノール)400g、水酸化カリウム3.4gを仕込み、釜内の窒素置換を十分に行った後、150℃まで昇温しエチレンオキサイド1320gを徐々に付加し、ポリオキシエチレン(30モル)スチレン化フェニルエーテルを得た。続いて、1Lガラスフラスコ中に、得られたポリオキシエチレン(30モル)スチレン化フェニルエーテル500g、スルファミン酸28.2g、尿素17.4gを仕込み徐々に昇温し120℃で反応させポリオキシエチレン(30モル)スチレン化フェニルエーテルサルフェート・アンモニウム塩を得た。結合硫酸による合成物のアニオン純度は85%以上であった。スチリル基の平均付加モル数は2.8モルである。
【0051】
成分(C)の合成
[合成例12]
成分(C1):
5Lオートクレーブにグリセリン300g、水酸化カリウム6.3gを仕込み、釜内の窒素置換を十分に行った後、150℃まで昇温しエチレンオキサイド2870gを徐々に付加し、ポリオキシエチレン(20モル)グリセロールエーテルを得た。続いて、1Lガラスフラスコ中に得られたポリオキシエチレン(20モル)グリセロールエーテル500g、水酸化カリウム1.8g、オレイン酸428gを仕込み徐々に昇温し180℃で反応させポリオキシエチレン(20モル)グリセロールトリオレイルエステルを得た。終点は酸価で確認し、未反応のオレイン酸は0.3%未満であった。
【0052】
[合成例13]
成分(C2):
1Lガラスフラスコ中に分子量600のポリエチレングリコールを400g、水酸化カリウム1.5g、オレイン酸361gを仕込み、徐々に昇温し180℃で反応させポリオキシエチレングリコール(600)ジオレイルエステルを得た。終点は酸価で確認し、未反応のオレイン酸は0.3%未満であった。エチレンオキサイドの平均付加モル数は13モルである。
【0053】
上記合成例にて得た(A1)~(A8)、(B1)~(B3)、及び(C1)~(C2)を表1記載の質量比にて混合し繊維処理助剤を調製した。該処理剤について、下記の方法にて評価試験を行った。
尚、各評価試験において、試験液への希釈性や混合液の安定性を維持するため、表1記載の組成を有する繊維処理助剤を水で希釈して使用した。
【0054】
比較例用成分は以下の通りである。
(成分D1)
1Lガラスフラスコ中に分子量400のポリエチレングリコールを400g、スルファミン酸97.1g、尿素60.0gを仕込み徐々に昇温し120℃で反応させポリエチレングリコール(400)モノサルフェート・アンモニウム塩を得た。
(成分D2)
5Lオートクレーブ中にオレイルアルコール400g、水酸化カリウム3.5gを仕込み、釜内の窒素置換を十分に行った後、150℃まで昇温しエチレンオキサイド1313gを徐々に付加した。反応後、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテルを得た。
【0055】
その他、比較例に使用する一般的な活性剤成分として、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ドデシルベンゼンスルホン酸などを用いた。
【0056】
[性能評価試験方法]
(1)難燃剤併用での高温高圧染色試験
(試験液の調製)
溶媒としての水1Lに対して、臭素系難燃剤を10g/L、分散染料(赤、C.I.60)を1g/L、酢酸を0.3g/L、及び表1に記載の繊維処理助剤0.4gを添加し、混合して試験液を作製した。
(染色試験)
染色試験機のポットに、未加工のポリエステル織物の試験布と試験布の10倍重量の上記試験液とを入れ、0.30MPa、130℃で30分間染色処理を行った。染色後ポットから試験布を取り出し水洗後乾燥させ、試験布に染色ムラや凝集物による汚れがないかを確認した。又、染色後のポット内部を確認し凝集物の付着がないかを確認した。染色ムラや凝集物の発生が少ない方が分散能力に優れていることを示す。分散性能の評価は下記の基準で行った。
(評価)
◎・・・染色ムラや染色汚れがなく、ポット凝集物もない。
〇・・・染色ムラや染色汚れはないが、わずかなポット凝集物が確認された。
△・・・わずかな染色ムラや染色汚れ、及びポット凝集物が確認された。
×・・・多数の染色ムラや染色汚れ、及び多くのポット凝集物が確認された。
【0057】
(2)高温加熱時の凝集物確認
上記(1)で作製した試験液をガラス容器中で混合しながら加熱を行い、95℃~105℃の沸騰する温度条件下で10分間加熱した。加熱後、ロート及び試験布を使用し濾過を行い、濾布上に残留した、沸騰及び試験液の揮発時に生じた凝集物の多寡を確認した。生じた凝集物が少ない方が分散能力に優れていることを示す。凝集物の有無及び量を目視で確認し、下記の基準で評価を行った。
(評価)
◎・・・濾布上に汚れが全く見られない。
〇・・・濾布上に小さい凝集が1,2点見られる。
△・・・濾布上に小さい凝集が多く見られる。
×・・・濾布上に大きな凝集が多く見られる。
【0058】
(3)染料の高温分散性試験
(試験液の調整)
溶媒としての水1Lに対して、分散染料(赤、又は、青)を0.7g/L、酢酸を0.3g/L、表1に記載の繊維処理助剤0.4g/Lを添加し混合して、赤及び青それぞれについて試験液を作製した。上記分散染料として、赤にはC.I.60を使用し、青にはC.I.73を使用した。赤及び青それぞれの分散性を下記方法により確認した。
(染色試験)
カラーペット型染色試験機にポリエステルジャージ試験布をセットし、試験布の15倍重量の試験液を投入した。試験機温度を125℃まで昇温後、速やかに冷却し、水洗後乾燥させ、試験布上に発生したスポットの量と濃度を確認し下記の基準で評価した。
(評価)
◎・・・赤及び青のいずれも、スポットの発生がなく均一に染められている。
〇・・・赤及び青の少なくとも1で、薄いスポットが見られる。
△・・・赤及び青の少なくとも1で、濃いスポットが見られる。
×・・・赤及び青のいずれも、濃いスポットが試験布全体に見られる。
【0059】
(4)均染性試験
予め染色を行い試験布重量に対し1重量%の分散染料(赤、青、および黄色の夫々)で染色したポリエステル織物の試験布を用意した(元染め布)。染色試験機のポットに染色済みの試験布と同重量の白布(未処理試験布)を入れ、そこに試験布の重量の20倍量の試験液(水1Lに対し酢酸を0.3g/L、および表1に記載の繊維処理助剤0.4g/Lを添加し混合したもの)を加え、130℃で30分間染色処理を行った。処理後試験布を取り出し、水洗、乾燥させたのちに試験布の染色状態を確認した。白布に対し、予め染色した布から染料が移行している程、染色処理中の染料の移行能力が高く均染性の能力に優れていることを示す。赤、青、及び黄色それぞれの染料移行性を確認し、総合的に均染性の能力を評価した。
(評価)
◎・・・元染め布と試験布ともに染ムラなく均一に染まっている
〇・・・元染め布の色目がやや濃いがムラなく染まっている。
△・・・元染め布の色目がやや濃く、染めムラが見られる。
×・・・元染め布と試験布に大きな色目の差があり、染めムラが発生している。
【0060】
【0061】
【0062】
上記表1及び表2に示される通り、本発明の繊維処理助剤は、難燃剤添加処理を含む高温下での染色処理工程において、染料及び難燃剤との凝集物の発生を抑制させ、良好な染色性を同時に発現させることができる。
本発明の繊維処理助剤は、特にポリエステル繊維の高温下での染色処理工程において、染料及び難燃剤の凝集物発生を抑制し、染色が均一である良好な被染色物を与えることができる。