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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170309
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20221102BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20221102BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALN20221102BHJP
【FI】
G06F3/041 412
G02F1/1333
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076361
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】平山 隆一
(72)【発明者】
【氏名】下牧 伸一
【テーマコード(参考)】
2H189
2H192
【Fターム(参考)】
2H189JA05
2H189JA07
2H189JA08
2H189LA28
2H189LA30
2H192AA24
2H192CB81
2H192DA01
(57)【要約】
【課題】 タッチセンサの配線が容易であり、かつセンサ感度を向上させることが可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 液晶表示装置は、対向配置された第1及び第2基板10、11と、第1及び第2基板10、11間に挟まれた液晶層20と、第1基板10上に設けられた複数のセンサ電極13と、複数のセンサ電極13上に設けられた第1絶縁層22と、複数のセンサ電極13に対応するようにして第1絶縁層22上に設けられ、第1方向に延びる複数の配線TLと、複数のセンサ電極13と複数の配線TLとをそれぞれ接続する複数のコンタクト14と、複数の配線TL上に設けられた第2絶縁層27と、複数の画素に対応するようにして第2絶縁層27上に設けられた複数の画素電極18と、第2基板11上に設けられたカラーフィルタ29と、カラーフィルタ29上に設けられた共通電極15とを含む。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された第1及び第2基板と、
前記第1及び第2基板間に挟まれた液晶層と、
前記第1基板上に設けられた複数のセンサ電極と、
前記複数のセンサ電極上に設けられた第1絶縁層と、
前記複数のセンサ電極に対応するようにして前記第1絶縁層上に設けられ、第1方向に延びる複数の配線と、
前記複数のセンサ電極と前記複数の配線とをそれぞれ接続する複数のコンタクトと、
前記複数の配線上に設けられた第2絶縁層と、
複数の画素に対応するようにして前記第2絶縁層上に設けられた複数の画素電極と、
前記第2基板上に設けられたカラーフィルタと、
前記カラーフィルタ上に設けられた共通電極と、
を具備する液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1基板に設けられ、前記複数の配線に接続され、前記複数のセンサ電極の容量変化を検知する検出回路をさらに具備する
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第2基板は、バックライト側に配置される
請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第2基板に向けて照明光を照射するバックライトをさらに具備する
請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記複数の画素電極と前記複数のセンサ電極とは、補助容量を構成する
請求項1乃至4の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記液晶層は、垂直配向型である
請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザのタッチ位置を検出するためのタッチセンサが表示パネル内に組み込まれたインセル型の液晶表示装置が知られている。この液晶表示装置では、液晶表示パネルの画素に共通電圧を供給するための共通電極を複数に分割して、これらの共通電極をタッチセンサ電極としても利用する。画像表示期間において共通電圧が複数の共通電極に供給され、タッチ検出期間においてタッチ検出用のタッチ駆動信号が複数の共通電極に供給される。
【0003】
IPS(In-Plane Switching)モード及びFFS(Fringe Field Switching)モードなどの液晶表示装置では、TFTアレイが配置されたアレイ基板に共通電極が設けられる。そして、アレイ基板上において、共通電極兼用のタッチセンサ電極と集積回路とが配線される。
【0004】
一方、VA(Vertical Alignment)モードの液晶表示装置では、カラーフィルタが配置されたカラーフィルタ基板に共通電極が設けられる。よって、共通電極兼用のタッチセンサ電極と集積回路とを配線する場合、液晶層を跨いで2個の基板間を配線する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5670991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、タッチセンサの配線が容易であり、かつセンサ感度を向上させることが可能な液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様によると、対向配置された第1及び第2基板と、前記第1及び第2基板間に挟まれた液晶層と、前記第1基板上に設けられた複数のセンサ電極と、前記複数のセンサ電極上に設けられた第1絶縁層と、前記複数のセンサ電極に対応するようにして前記第1絶縁層上に設けられ、第1方向に延びる複数の配線と、前記複数のセンサ電極と前記複数の配線とをそれぞれ接続する複数のコンタクトと、前記複数の配線上に設けられた第2絶縁層と、複数の画素に対応するようにして前記第2絶縁層上に設けられた複数の画素電極と、前記第2基板上に設けられたカラーフィルタと、前記カラーフィルタ上に設けられた共通電極とを具備する液晶表示装置が提供される。
【0008】
本発明の第2態様によると、前記第1基板に設けられ、前記複数の配線に接続され、前記複数のセンサ電極の容量変化を検知する検出回路をさらに具備する、第1態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0009】
本発明の第3態様によると、前記第2基板は、バックライト側に配置される、第1又は第2態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0010】
本発明の第4態様によると、前記第2基板に向けて照明光を照射するバックライトをさらに具備する、第3態様に係る液晶表示装置が提供される。
【0011】
本発明の第5態様によると、前記複数の画素電極と前記複数のセンサ電極とは、補助容量を構成する、第1乃至第4態様の何れかに係る液晶表示装置が提供される。
【0012】
本発明の第6態様によると、前記液晶層は、垂直配向型である、第1乃至第5態様の何れかに係る液晶表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、タッチセンサの配線が容易であり、かつセンサ感度を向上させることが可能な液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置のブロック図である。
図2図2は、液晶表示パネルに含まれる画素アレイの回路図である。
図3図3は、液晶表示パネルのレイアウト図である。
図4図4は、複数の画素及び複数のセンサ電極のレイアウト図である。
図5図5は、液晶表示パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
[1] 液晶表示装置1の構成
本発明の実施形態に係る液晶表示装置1は、2個のガラス基板の間にタッチセンサを内蔵したインセル型である。また、タッチセンサ方式として、タッチ操作に応じた静電容量の変化を検出する投影型静電容量方式を用いている。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置1のブロック図である。液晶表示装置1は、液晶表示パネル2、照明装置3、走査線駆動回路4、信号線駆動回路5、共通電極駆動回路6、タッチ検出回路7、電圧生成回路8、及び制御回路9を備える。
【0018】
液晶表示パネル2は、複数の画素PXがマトリクス状に配列された画素アレイを備える。液晶表示パネル2には、それぞれがロウ方向に延びる複数の走査線GL1~GLmと、それぞれがカラム方向に延びる複数の信号線SL1~SLnとが配設される。“m”及び“n”はそれぞれ、2以上の整数である。走査線GLと信号線SLとの交差領域には、画素PXが配置される。
【0019】
照明装置(バックライトともいう)3は、液晶表示パネル2の背面に光を照射する面光源である。バックライト3としては、例えば、直下型又はサイドライト型(エッジライト型)のLEDバックライトが用いられる。
【0020】
走査線駆動回路(走査線ドライバともいう)4は、複数の走査線GLに電気的に接続される。走査線駆動回路4は、制御回路9から送られる制御信号に基づいて、画素PXに含まれるスイッチング素子をオン/オフするための走査信号を液晶表示パネル2に送る。
【0021】
信号線駆動回路(信号線ドライバともいう)5は、複数の信号線SLに電気的に接続される。信号線駆動回路5は、制御回路9から制御信号、及び表示データを受ける。信号線駆動回路5は、制御信号に基づいて、表示データに対応する信号(駆動電圧)を液晶表示パネル2に送る。
【0022】
共通電極駆動回路(共通電極ドライバともいう)6は、共通電圧Vcomを生成し、この共通電圧Vcomを液晶表示パネル2内の共通電極に供給する。
【0023】
タッチ検出回路7は、液晶表示パネル2に内蔵された複数のセンサ電極(タッチセンサ電極)を駆動する。液晶表示パネル2に内蔵されたセンサ電極の構成については後述する。タッチ検出回路7は、複数のセンサ電極の静電容量の変化を検出するとともに、表示画面のうちユーザがタッチした位置を検出する。
【0024】
電圧生成回路8は、液晶表示装置1の動作に必要な各種電圧を生成して対応する回路に供給する。
【0025】
制御回路9は、液晶表示装置1の動作を統括的に制御する。制御回路9は、外部から画像データDT及び制御信号CNTを受ける。制御回路9は、画像データDTに基づいて、各種制御信号を生成し、これら制御信号を、対応する回路に送る。
【0026】
図2は、液晶表示パネル2に含まれる画素アレイ2Aの回路図である。図2のX方向は、走査線が延びるロウ方向であり、Y方向は、信号線が延びるカラム方向である。
【0027】
画素PXは、スイッチング素子(アクティブ素子)17、液晶容量(液晶素子)Clc、及び蓄積容量Csを備える。スイッチング素子17としては、例えばTFT(Thin Film Transistor)が用いられ、またnチャネルTFTが用いられる。なお、トランジスタのソース及びドレインは、トランジスタに流れる電流の向きによって変化するが、以下の説明では、トランジスタの接続状態の一例を説明する。しかし、ソース及びドレインが名称通りに固定されるものでないことは勿論である。
【0028】
TFT17のソースは、信号線SLに接続され、そのゲートは、走査線GLに接続され、そのドレインは、液晶容量Clcの一方の電極に接続される。液晶素子としての液晶容量Clcは、画素電極と、共通電極と、これらに挟まれた液晶層とにより構成される。液晶容量Clcの他方の電極には、共通電極駆動回路6により共通電圧Vcomが印加される。
【0029】
蓄積容量Csの一方の電極は、液晶容量Clcの一方の電極に接続される。蓄積容量Csの他方の電極には、共通電極駆動回路6により共通電圧Vcomが印加される。蓄積容量Csは、画素電極に生じる電位変動を抑制するとともに、画素電極に印加された駆動電圧を次の信号に対応する駆動電圧が印加されるまでの間保持する機能を有する。蓄積容量Csは、画素電極と、蓄積容量線と、これらに挟まれた絶縁層とにより構成される。蓄積容量Csの他方の電極(蓄積容量線)には、共通電圧Vcomと異なる蓄積容量電圧を印加してもよい。
【0030】
[2] 液晶表示パネル2の構成
次に、液晶表示パネル2の構成について説明する。図3は、液晶表示パネル2のレイアウト図である。
【0031】
液晶表示パネル2は、スイッチング素子(TFT)及び画素電極などが形成されるTFT基板10と、TFT基板10に対向配置されかつカラーフィルタなどが形成されるカラーフィルタ基板(CF基板という)11とを備える。TFT基板10及びCF基板11の各々は、透明かつ絶縁性を有する基板(例えば、ガラス基板、又はプラスチック基板)から構成される。TFT基板10とCF基板11とは、シール材12を用いて接着される。シール材12によって囲まれた領域が表示領域である。
【0032】
TFT基板10には、マトリクス状に配置された複数のセンサ電極13が設けられる。複数のセンサ電極13は、表示領域を埋め尽くすように配置される。センサ電極13の平面形状は、例えば四角形である。
【0033】
TFT基板10には、それぞれがY方向に延びる複数のセンサ配線TLが設けられる。複数のセンサ配線TLはそれぞれ、複数のセンサ電極13に対応して設けられる。複数のセンサ配線TLはそれぞれ、複数のコンタクト14を介して複数のセンサ電極13に電気的に接続される。
【0034】
TFT基板10には、集積回路(IC:integrated circuit)16が設けられる。集積回路16は、図1に示した走査線駆動回路4、信号線駆動回路5、共通電極駆動回路6、タッチ検出回路7、電圧生成回路8、及び制御回路9を含む。集積回路16は、例えば、タッチセンサ用のドライバと画像表示用のドライバとを統合及び集積化したTDDI(Touch Display Driver Integration)で構成される。複数のセンサ配線TLは、集積回路16まで引き出され、集積回路16(具体的にはタッチ検出回路7)に電気的に接続される。
【0035】
CF基板11には、共通電極15が設けられる。共通電極15は、表示領域全面に平面状に設けられる。共通電極15は、画素PXを駆動するための電極として機能する。
【0036】
図4は、複数の画素PX及び複数のセンサ電極13のレイアウト図である。センサ電極13の面積は、画素PXの面積より大きく、1個のセンサ電極13は、複数の画素PXに重なるように配置される。図4では、簡略化して、4個のセンサ電極13-1~13-4を示している。
【0037】
1個のセンサ電極13は、複数の画素PXに重なるように配置される。図4の例では、1個のセンサ電極13は、18(6×3)個の画素PXと重なる面積を有する。
【0038】
センサ電極13-1~13-4はそれぞれ、コンタクト14-1~14-4を介して、センサ配線TL1~TL4に電気的に接続される。
【0039】
画素PXは、スイッチング素子17及び画素電極18を含む。画素アレイには、走査線GL1~GL6と、信号線SL1~SL12とが配設される。
【0040】
(液晶表示パネル2の断面構造)
図5は、液晶表示パネル2の断面図である。図5には、1個の画素PXに対応する部分を抽出して示している。図5は、1個の画素PXをY方向に沿って切断した断面図である。
【0041】
液晶表示パネル2は、TFT基板10、CF基板11、及び液晶層20を備える。本実施形態では、TFT基板10及びCF基板11のうちCF基板11がバックライト3に近い側に配置され、バックライト3からの照明光は、CF基板11側から液晶表示パネル2に入射する。
【0042】
液晶層20は、TFT基板10及びCF基板11間に挟持及び充填される。具体的には、液晶層20は、TFT基板10、CF基板11、及びシール材12によって包囲された表示領域内に封入される。シール材12は、例えば、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、又は紫外線・熱併用型硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFT基板10又はCF基板11に塗布された後、紫外線照射、又は加熱等により硬化させられる。
【0043】
液晶層20を構成する液晶材料は、印加された電界に応じて液晶分子の配向が操作されて光学特性が変化する。本実施形態の液晶表示パネル2は、例えば、垂直配向(VA:Vertical Alignment)型液晶を用いたVAモードである。液晶層20としては、負の誘電率異方性を有するネガ型(N型)のネマティック液晶が用いられる。液晶層20は、初期状態(電界を印加していない状態)において、垂直配向となる。液晶分子は、無電圧(無電界)時には基板の主面に対してほぼ垂直に配向する。電圧印加(電界印加)時には、液晶分子のダイレクタが水平方向(基板の主面に平行な方向)に向かって傾く。
【0044】
まず、TFT基板10側の構成について説明する。TFT基板10の液晶層20側には、センサ電極13が設けられる。複数のセンサ電極13のレイアウトは、図3及び図4に示した通りである。
【0045】
センサ電極13上及びTFT基板10上には、絶縁層21が設けられる。
【0046】
絶縁層21上には、X方向に延びるゲート電極GLが設けられる。ゲート電極GLは、走査線として機能する。X方向に並んだ1行分の複数の画素は、1本の走査線に共通接続される。TFT基板10及びゲート電極GL上には、ゲート絶縁膜(絶縁層ともいう)22が設けられる。
【0047】
ゲート絶縁膜22上には、画素ごとに、半導体層23が設けられる。半導体層23としては、例えばアモルファスシリコンが用いられる。TFT17の種類については特に制限されない。本実施形態では、エッチングストッパー型TFTを例に挙げて説明する。図5は、エッチングストッパー型TFTを示している。エッチングストッパー型TFTでは、半導体層23上に保護膜24(例えばシリコン酸化膜)を形成し、この保護膜24をエッチングストッパーとしてソース電極及びドレイン電極が加工される。
【0048】
半導体層23及びゲート絶縁膜22上には、Y方向において互いに離間したソース電極25及びドレイン電極26が設けられる。なお、ソース電極25と半導体層23との間には、これらの電気的接続を良好にするために、高濃度のn型不純物が導入されたn型半導体層を設けてもよい。同様に、ドレイン電極26と半導体層23との間には、n型半導体層を設けてもよい。
【0049】
ゲート絶縁膜22上には、Y方向に延びるセンサ配線TLが設けられる。センサ配線TLは、X方向に隣接する2個の画素の境界部分に配置される。センサ配線TLは、コンタクト14を介してセンサ電極13に電気的に接続される。
【0050】
図示は省略するが、ゲート絶縁膜22上には、Y方向に延びる信号線SLが設けられる。信号線SLは、X方向に隣接する2個の画素の境界部分に配置される。Y方向に並んだ1列分の複数の画素は、1本の信号線SLに共通接続される。ソース電極25は、信号線SLに電気的に接続される。
【0051】
ソース電極25、ドレイン電極26、センサ配線TL、及びゲート絶縁膜22上には、絶縁層27が設けられる。
【0052】
絶縁層27上には、画素電極18が設けられる。画素電極18の面積は、画素PXの面積より若干小さく設定される。画素電極18は、コンタクト28を介してドレイン電極26に電気的に接続される。
【0053】
画素電極18上及び絶縁層27上には、液晶層20の配向を制御する配向膜(図示せず)が設けられる。配向膜は、液晶層20の初期状態において、液晶分子を垂直配向させる。
【0054】
次に、CF基板11側の構成について説明する。CF基板11の液晶層20側には、カラーフィルタ29が設けられる。カラーフィルタ29は、赤フィルタ29R、緑フィルタ29G、及び青フィルタ29Bを備える。一般的なカラーフィルタは光の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)で構成される。隣接したR、G、Bの三色のセットが表示の単位(画素)となっており、1つの画素中のR、G、Bのいずれか単色の部分はサブピクセル(サブ画素)と呼ばれる最小駆動単位である。TFT17及び画素電極18は、サブピクセルごとに設けられる。本明細書の説明では、画素とサブ画素との区別が特に必要な場合を除き、サブ画素を画素と呼ぶものとする。カラーフィルタの配列としては、ストライプ配列、モザイク配列、及びデルタ配列を含む任意の配列を適用可能である。赤フィルタ29R、緑フィルタ29G、及び青フィルタ29Bは、隣接するもの同士で接している。本明細書では、赤フィルタ29R、緑フィルタ29G、及び青フィルタ29Bを特に区別する必要がない場合は、単にカラーフィルタ29と表記する。
【0055】
CF基板11の液晶層20側には、遮光層(ブラックマトリクス、ブラックマスクともいう)30が設けられる。ブラックマトリクス30は、画素の境界に配置される。ブラックマトリクス30は、平面視において、TFT17、信号線SL、及びセンサ配線TLを覆うように配置される。ブラックマトリクス30は、例えば、画素を囲むようにして網目状に形成される。ブラックマトリクス30は、画素の境界で発生する不要な光を遮蔽し、コントラストを向上させる機能を有する。
【0056】
カラーフィルタ29上には、共通電極15が設けられる。共通電極15は、液晶表示パネル2の表示領域全体に平面状に形成される。
【0057】
共通電極15上には、画素ごとに突起31が設けられる。突起31の平面形状は、例えば円である。突起31は、電圧印加時における液晶層20の配向(すなわち、液晶分子の倒れる方向)を制御する機能を有する。
【0058】
共通電極15及び突起31上には、液晶層20の配向を制御する配向膜(図示せず)が設けられる。配向膜は、液晶層20の初期状態において、液晶分子を垂直配向させる。
【0059】
TFT基板10の液晶層20と反対側には、偏光板32が設けられる。CF基板11の液晶層20と反対側には、偏光板33が設けられる。偏光板32、33は、例えば円偏光板で構成される。円偏光板は、位相差板、及び直線偏光子が積層されて構成される。位相差板は、1/4波長板(λ/4板)で構成される。λは、波長を意味する。位相差板の遅相軸は、直線偏光子の透過軸に対して略45度に設定される。液晶表示パネル2は、例えばノーマリーブラックモードである。この場合、偏光板32の透過軸は、偏光板33の透過軸と略直交するように設定される。
【0060】
(材料の例示)
ゲート電極GL、ソース電極25、ドレイン電極26、信号線SL、センサ配線TL、コンタクト14としては、例えば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、及びタングステン(W)のいずれか、又はこれらの1種類以上を含む合金等が用いられる。
【0061】
画素電極18、コンタクト28、共通電極15、及びセンサ電極13は、透明な導電材料で構成され、例えばITO(インジウム錫酸化物)が用いられる。
【0062】
絶縁層21、ゲート絶縁膜22、及び絶縁層27としては、透明な絶縁材料が用いられ、例えばシリコン窒化物(SiN)が用いられる。
【0063】
[3] 動作
上記のように構成された液晶表示装置1の動作について説明する。
【0064】
バックライト3は、液晶表示パネル2に向けて照明光を出射する。バックライト3の照明光は、液晶表示パネル2のCF基板11側から液晶表示パネル2に入射し、液晶層20を透過する。
【0065】
共通電極15には、共通電極駆動回路6により共通電圧Vcomが印加される。共通電圧Vcomは、例えば0Vである。オフ状態とは、液晶層20に電界が印加されない状態であり、画素電極18には、共通電極15と同じ共通電圧Vcomが印加される。オン状態とは、液晶層20に電界が印加された状態であり、画素電極18には、正電圧が印加される。正電圧は、液晶層の閾値電圧以上の電圧である。なお、実際には、画素電極18及び共通電極15間の電界の極性を所定周期で反転させる反転駆動(交流駆動)が行われる。反転駆動を行うことで、液晶が劣化するのを抑制することができる。反転駆動の周期は任意に設定可能である。
【0066】
オフ状態において、液晶分子は、初期状態に設定され、すなわち、液晶分子の長軸は、垂直方向を向いている。液晶表示パネル2に入射した光は、偏光板32を透過した後、円偏光となり、液晶層20に入射する。液晶層20に入射した光は、液晶層20において複屈折作用をほとんど受けず、円偏光の状態を保持したまま液晶層20を透過する。液晶層20を透過した光は、偏光板33に入射する。偏光板33に入射した光は、偏光板33を透過することができず、すなわち、液晶表示パネル2は、黒表示となる(すなわち、ノーマリーブラックモード)。
【0067】
オン状態において、液晶分子は、水平配向しており、すなわち、液晶分子の長軸は、おおよそ水平方向を向いている。液晶表示パネル2に入射した光は、偏光板32を透過した後、円偏光となり、液晶層20に入射する。液晶層20に入射した光は、液晶層20の複屈折作用により偏光状態が変化する。よって、液晶層20を透過した光は、その一部が偏光板33を透過し、すなわち、液晶表示パネル2は、白表示又はカラー表示となる。
【0068】
次に、タッチセンサの動作について説明する。タッチセンサは、例えば自己容量方式である。
【0069】
タッチ検出回路7は、複数のセンサ配線TLにセンサ駆動電圧を印加する。これにより、複数のセンサ電極13にセンサ駆動電圧が印加され、複数のセンサ電極13によりタッチセンシングが行われる。複数のセンサ電極13でのセンシング結果に応じたセンサ信号は、複数のセンサ配線TLを介してタッチ検出回路7に送られる。
【0070】
ユーザの指やタッチペンなどの検知対象物が液晶表示パネル2の表示画面に触れると、センサ電極13と検知対象物との間に静電容量が発生し、この静電容量に基づいてセンサ電極13の寄生容量が増加する。この場合、センサ電極13にセンサ駆動電圧を供給するときの電流が増加する。タッチ検出回路7は、この電流の変動量に基づいて、タッチ位置を検出する。複数のセンサ電極13は、表示領域にマトリクス状に配置されている。よって、タッチ検出回路7は、表示画面のうちユーザによってタッチされた位置を検出することができる。
【0071】
静電容量方式のタッチセンサにおけるセンサ感度は、ユーザの指やタッチペンなどの検知対象物とセンサ(センサ電極)との距離に応じて決まる。本実施形態では、センサ電極13がTFT基板10に設けられ、さらにTFT基板10を表示画面側に配置している。これにより、センサ感度を向上させることができる。
【0072】
本実施形態では、複数のセンサ電極13は、蓄積容量電極としての機能も有する。すなわち、センサ電極13と、画素電極18と、これらに挟まれた絶縁層とは、蓄積容量Csを構成する。よって、本実施形態では、蓄積容量を形成するための蓄積容量線は、新たに設ける必要がない。
【0073】
[4] 実施形態の効果
本実施形態によれば、複数のセンサ電極13、複数のセンサ配線TL、及び集積回路16(タッチ検出回路7を含む)が全てTFT基板10に設けられる。よって、複数のセンサ電極13と集積回路16との配線が容易となる。
【0074】
また、タッチセンサの配線を液晶層を跨いで配線する必要がない。よって、センサ配線TLを短くできる。これにより、センサ感度を向上させることができる。
【0075】
また、CF基板11は、バックライト3側に配置され、TFT基板10は、表示画面側、すなわち、ユーザがタッチする面に近い側に配置される。そして、センサ電極13は、ユーザがタッチする側のTFT基板10に設けられる。よって、検出対象のより近くにセンサ電極13を配置することができる。これにより、タッチセンサの感度を向上させることができる。
【0076】
共通電極を複数に分割してセンサ電極として用いる技術がある。この場合は、画像表示装置と、タッチセンサ動作とを例えば時分割で行う必要がある。これに対し、本実施形態では、センサ電極13と共通電極15とは個別に配置される。これにより、センサ電極13の面積及び形状を自由に設計することができる。また、タッチセンサ動作を簡単に制御することができる。
【0077】
上記実施形態では、タッチセンサとして自己容量方式を用いる場合について説明したが、相互容量方式を用いて複数のセンサ電極13を駆動してもよい。
【0078】
上記各実施形態では、液晶モードとしてVAモードを例に挙げて説明している。液晶モードは、TN(Twisted Nematic)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、又はSTN(Super Twisted Nematic)モードなどでもよい。
【0079】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0080】
1…液晶表示装置、2…液晶表示パネル、2A…画素アレイ、3…照明装置、4…走査線駆動回路、5…信号線駆動回路、6…共通電極駆動回路、7…タッチ検出回路、8…電圧生成回路、9…制御回路、10…TFT基板、11…CF基板、12…シール材、13…センサ電極、14…コンタクト、15…共通電極、16…集積回路、17…スイッチング素子、18…画素電極、20…液晶層、21…絶縁層、22…ゲート絶縁膜、23…半導体層、24…保護膜、25…ソース電極、26…ドレイン電極、27…絶縁層、28…コンタクト、29…カラーフィルタ、30…遮光層、31…突起、32,33…偏光板。
図1
図2
図3
図4
図5