(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170329
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20221102BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
B41J2/14 609
B41J2/14 603
B41J2/14 605
B41J2/16 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076394
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】山本 次郎
(72)【発明者】
【氏名】森田 祥嗣
(72)【発明者】
【氏名】関口 恭裕
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AG29
2C057AG33
2C057AP25
(57)【要約】
【課題】共通液室の容積を大きくしつつ、傾き調整の難易度の上昇を抑制可能とし、且つ、液体吐出ヘッドを備える装置の大型化を抑制可能とする。
【解決手段】搬送方向に沿ってそれぞれ延びており、且つ、走査方向に配列された複数のマニホールド30は、走査方向の両端以外に位置する中間マニホールド31と、走査方向の一方側の端に位置し、中間マニホールド31に比べて走査方向に沿う長さが長い拡張マニホールド32aと、を含む。中間マニホールド31に連通する複数の個別流路20のノズル21は、当該中間マニホールド31に対して、走査方向の両側に位置する。拡張マニホールド32aに連通する複数の個別流路20のノズル21は、拡張マニホールド32aに対して、走査方向の他方側に位置し、走査方向の一方側に位置しない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿ってそれぞれ延びており、且つ、前記第1方向と直交する第2方向に配列された複数の共通液室と、
前記複数の共通液室のそれぞれに連通する複数の個別流路であって、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向において前記複数の共通液室のうち対応する共通液室と重ならない位置にノズルをそれぞれ有する複数の個別流路と、を備えており、
前記複数の共通液室は、前記第2方向の両端以外に位置する中間共通液室と、前記第2方向の一方側の端に位置し、前記中間共通液室に比べて前記第2方向に沿う長さが長い拡張共通液室と、を含み、
前記中間共通液室に連通する前記複数の個別流路の前記ノズルは、当該中間共通液室に対して、前記第2方向の両側に位置し、
前記拡張共通液室に連通する前記複数の個別流路の前記ノズルは、当該拡張共通液室に対して、前記第2方向の他方側に位置し、前記第2方向の一方側に位置しないことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記拡張共通液室の前記第2方向に沿う長さは、前記中間共通液室の前記第2方向に沿う長さの1.3倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
異なる前記共通液室における前記第1方向の一方側の端部同士を繋ぐ連通路をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記連通路は、前記拡張共通液室と前記中間共通液室とを繋ぐことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記拡張共通液室における前記第1方向の前記一方側の端を画定する側壁面は、前記連通路を画定する連通路面に接続し、前記連通路面との接続部が最も前記第1方向の前記一方側に位置するように傾斜していることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
同一種類の液体に対応する前記複数の共通液室からそれぞれ構成される複数の共通液室群が、前記第2方向に配列されており、
前記拡張共通液室は、前記複数の共通液室群のうちの少なくとも1つに含まれていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記複数の共通液室群は、前記拡張共通液室が属する第1共通液室群と、前記第1共通液室群に対して前記第2方向の一方側に位置する第2共通液室群と、を含み、
前記拡張共通液室と、前記第2共通液室群に含まれる前記複数の共通液室のうち前記第2方向において前記拡張共通液室に隣接する共通液室との、前記第2方向の間隔は、前記拡張共通液室と、前記第1共通液室群に含まれる前記複数の共通液室のうち前記第2方向において前記拡張共通液室に隣接する共通液室との、前記第2方向の間隔の1.2倍以下であることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記複数の共通液室群は、前記拡張共通液室が属する第1共通液室群と、前記第1共通液室群に対して前記第2方向の一方側に位置する第2共通液室群と、を含み、
前記拡張共通液室と、前記第1共通液室群に含まれる前記複数の共通液室のうち前記第2方向において前記拡張共通液室に隣接する共通液室との間に、当該隣接する共通液室に連通し且つ前記第1方向に並ぶ複数の前記ノズルで構成されたノズル列と、前記拡張共通液室に連通し且つ前記第1方向に並ぶ複数の前記ノズルで構成されたノズル列とが配置され、
前記拡張共通液室と、前記第2共通液室群に含まれる前記複数の共通液室のうち前記第2方向において前記拡張共通液室に隣接する共通液室との間に、当該隣接する共通液室に連通し且つ前記第1方向に並ぶ複数の前記ノズルで構成されたノズル列と、前記第1方向に並ぶ複数のダミー個別流路とが配置されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記第3方向に積層され、接着剤で互いに接合された複数のプレートにより構成されており、
前記複数のプレート間の余剰接着剤を補足する逃し溝をさらに備えており、
前記拡張共通液室は、前記第2方向に関して前記逃し溝の近傍まで延びていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドの一例として、特許文献1には、ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドが記載されている。特許文献1のインクジェットヘッドは、紙送り方向にそれぞれ延びているとともに、紙送り方向と直交する走査方向に配列された複数のマニホールド流路(共通液室)と、各マニホールド流路に連通し、インクを吐出するノズルをそれぞれ有する複数の個別液体流路(個別流路)と、を備えている。各マニホールド流路に連通する個別液体流路のノズルは、各マニホールド流路に対して走査方向の両側に位置し、紙送り方向に沿ったノズル列を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
共通液室の容積は、液体吐出ヘッドにおける液体の最大吐出流量に寄与する。したがって、吐出流量を多くするには、共通液室の容積を大きくすることが望ましい。そこで、共通液室の容積を大きくするために、共通液室の幅(共通液室の配列方向に沿う長さ)を大きくすることが考えられる。
【0005】
しかしながら、共通液室の幅を大きくすると、ノズル列の間隔が大きくなる。ノズル列の間隔が大きいと、ヘッドの傾き調整において、ヘッドの回転量に対するノズル列の移動距離が大きくなるため、調整の難易度が高くなるという問題が生じる。また、ノズル列の間隔が大きいと、吸引パージを行う際にノズルを覆うためのキャップなどのメンテナンス部材が大型化する。ひいては、液体吐出ヘッドを備える装置の大型化につながる。
【0006】
本発明の目的は、共通液室の容積を大きくしつつ、傾き調整の難易度の上昇を抑制可能であり、且つ、液体吐出ヘッドを備える装置の大型化を抑制可能な液体吐出ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液体吐出ヘッドは、第1方向に沿ってそれぞれ延びており、且つ、前記第1方向と直交する第2方向に配列された複数の共通液室と、前記複数の共通液室のそれぞれに連通する複数の個別流路であって、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向において前記複数の共通液室のうち対応する共通液室と重ならない位置にノズルをそれぞれ有する複数の個別流路と、を備えている。前記複数の共通液室は、前記第2方向の両端以外に位置する中間共通液室と、前記第2方向の一方側の端に位置し、前記中間共通液室に比べて前記第2方向に沿う長さが長い拡張共通液室と、を含み、前記中間共通液室に連通する前記複数の個別流路の前記ノズルは、当該中間共通液室に対して、前記第2方向の両側に位置し、前記拡張共通液室に連通する前記複数の個別流路の前記ノズルは、当該拡張共通液室に対して、前記第2方向の他方側に位置し、前記第2方向の一方側に位置しない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体吐出ヘッドによると、第2方向の一方側の端に位置する拡張共通液室に対し、第2方向の他方側にノズルが配置され、第2方向の一方側にはノズルが配置されていない。すなわち、拡張共通液室に対し、第2方向の両側にはノズル列が存在せず、第2方向の他方側にのみにノズル列が存在する。したがって、拡張共通液室の第2方向に沿う長さが長くとも、拡張共通液室に連通するノズル列の間隔が大きくなるという事態が生じない。よって、共通液室の容積を大きくしつつ、傾き調整の難易度の上昇を抑制することができる。また、メンテナンス部材の大型化を抑制でき、液体吐出ヘッドを備える装置の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるインクジェットヘッドを備えたプリンタの平面図である。
【
図2】
図1に示すインクジェットヘッドの平面図である。
【
図3】
図3に示すインクジェットヘッドにおいてで一点鎖線で囲まれた領域Aの拡大図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿ったインクジェットヘッドの断面図である。
【
図5】
図2のV-V線に沿ったインクジェットヘッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な一実施形態について、
図1を参照しつつ説明する。
【0011】
(プリンタの全体構成)
図1に示すように、本実施形態にかかるプリンタ100は、インクジェットヘッド1(本発明の「液体吐出ヘッド」)、キャリッジ2、ガイドレール3a、3b、プラテン4、搬送ローラ5a、5b、キャップ6及びインクタンク7を備えている。
【0012】
キャリッジ2は、水平方向に沿う走査方向(
図1中左右方向)に延びた2本のガイドレール3a、3bに支持され、ガイドレール3a、3bに沿って走査方向に移動する。インクジェットヘッド1は、キャリッジ2に搭載され、キャリッジ2とともに走査方向に移動する。以下の説明においては、走査方向のうち
図1の左方を「一方」とし、
図1の右方を「他方」とする。
【0013】
インクジェットヘッド1には、インクタンク7から図示しない管を介してブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色のインクが供給される。インクジェットヘッド1は、その下面であるノズル面11y(
図4参照)に形成された複数のノズル21からインクを吐出する。
【0014】
複数のノズル21は、平面視で走査方向と直交する搬送方向(
図1中下方から上方に向かう方向;本発明の「第1方向」に相当する)に沿ったノズル列21aを形成している。インクジェットヘッド1は、走査方向(本発明の「第2方向」に相当)に並んだ24列のノズル列21aを有する。なお、インクジェットヘッド1については後ほど詳細に説明する。
【0015】
プラテン4は、インクジェットヘッド1の下面であるノズル面11y(
図4及び
図5参照)と対向して配置され、走査方向に記録用紙Pの全長にわたって延びている。プラテン4は、記録用紙Pを下方から支持する。搬送ローラ5a、5bは、搬送方向においてキャリッジ2よりも上流側及び下流側にそれぞれ配置され、記録用紙Pを搬送方向に搬送する。
【0016】
プリンタ100では、搬送ローラ5a、5bによって、記録用紙Pを搬送方向に所定距離ずつ搬送させる搬送処理と、キャリッジ2を走査方向に移動させつつ、インクジェットヘッド1の複数のノズル21からインクを吐出させる走査処理とを交互に行うことで、記録用紙Pに印刷を行う。すなわち、プリンタ100は、シリアル式である。なお、以下の説明においては、走査方向と搬送方向との両方に直交する方向(本発明の「第3方向」に相当する)を上下方向とする。
【0017】
キャップ6は、走査方向に関してプラテン4の他方側に配置されており、図示しない昇降機構により昇降可能に構成されている。キャップ6には、図示しない吸引ポンプが接続されている。キャリッジ2に搭載されたインクジェットヘッド1は、キャップ6と対向するメンテナンス位置まで移動可能である。インクジェットヘッド1がメンテナンス位置にある状態で、キャップ6がノズル面11yと接触する位置までキャップ6を上昇させることで、キャップ6によりノズル面11yに形成された複数のノズル21を覆うことができる。キャップ6により複数のノズル21を覆った状態でキャップ6に接続された吸引ポンプを駆動させると、複数のノズル21からインクジェットヘッド1内のインクを排出させる、いわゆる吸引パージを行うことができる。吸引パージによって排出されたインクは図示しない廃液タンクに貯留される。
【0018】
(インクジェットヘッド1)
次に、
図2~
図5を参照しつつ、インクジェットヘッド1の詳細な構成について説明する。
図2に示すように、インクジェットヘッド1は、上面視で搬送方向に長尺な矩形形状を有している。インクジェットヘッド1は、流路ユニット11及び圧電アクチュエータ12などを備えている。
【0019】
流路ユニット11は、
図4及び
図5に示すように、上下方向に積層された9枚のプレート11a~11iで構成されている。9枚のプレート11a~11iは、接着剤により互いに接合されている。流路ユニット11内には、インクを吐出するノズル21をそれぞれ有する複数の個別流路20(
図4参照)及び複数のマニホールド30(本発明の「共通液室」に相当する)が形成されている。
図2においては、流路ユニット11内のノズル21及びマニホールド30を破線で示している。各プレート11a~11iには、これら個別流路20及びマニホールド30を構成する貫通孔及び凹部が形成されている。
【0020】
図2に示すように、流路ユニット11には、いずれも搬送方向に沿って延びる複数のマニホールド30が、走査方向に配列されている。マニホールド30は、搬送方向の下流側の端部に設けられた供給口30aを介してインクタンク7に連通している。供給口30aは、流路ユニット11の上面11xに開口している。
【0021】
複数のマニホールド30は、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのいずれかのインクに対応する。以下の説明においては、ブラックのインクに対応する複数のマニホールド30を「マニホールド群30b」と称し、イエローのインクに対応する複数のマニホールド30を「マニホールド群30y」と称し、シアンのインクに対応する複数のマニホールド30を「マニホールド群30c」と称し、マゼンタのインクに対応する複数のマニホールド30を「マニホールド群30m」と称する。マニホールド群30b、30y、30c、30mは、本発明の「共通液室群」に相当する。
【0022】
マニホールド群30bは、4つのマニホールド30で構成されている。マニホールド群30y、30c、30mは、いずれも3つのマニホールド30で構成されている。マニホールド群30b、30y、30c、30mは、走査方向の他方側から一方側に向けてこの順で配列されている。
【0023】
ここで、マニホールド群30bを構成する4つのマニホールド30のうち、走査方向の両端以外に位置する2つのマニホールド30を、中間マニホールド31(本発明の「中間共通液室」に相当する)とする。
図3に示すように、マニホールド群30bを構成する4つのマニホールド30のうち、走査方向の両端に位置するマニホールド30の走査方向に沿う長さL1は、中間マニホールド31の走査方向に沿う長さL2に比べて長い。そこで、マニホールド群30bを構成する4つのマニホールド30のうち、走査方向の両端に位置するマニホールド30を、拡張マニホールド32a、32b(本発明の「拡張共通液室」に相当する)とする。なお、マニホールド群30bを構成する4つのマニホールド30の中で、拡張マニホールド32aは走査方向の一方側の端に位置し、拡張マニホールド32bは走査方向の他方側の端に位置する。
【0024】
本実施形態においては、拡張マニホールド32a、32bの走査方向に沿う長さL1は、2mmである。また、中間マニホールド31の走査方向に沿う長さL2は、1.5mmである。長さL1は、長さL2の1.3倍以上であることが好ましい。なお、拡張マニホールド32a、32bの搬送方向に沿う長さ及び深さは、中間マニホールド31とほぼ同じである。したがって、拡張マニホールド32a、32bの容積は、中間マニホールド31の容積よりも大きい。
【0025】
マニホールド群30b、30y、30c、30mを構成する各マニホールド30の走査方向に沿う長さ、搬送方向に沿う長さ及び深さは、マニホールド群30bの中間マニホールド31とほぼ同じである。すなわち、マニホールド群30b、30y、30c、30mを構成する9個のマニホールド30の容積は、ほぼ同じである。
【0026】
ここで、
図3に示すように、拡張マニホールド32aと、マニホールド群30yに含まれる3つのマニホールド30のうち走査方向において拡張マニホールド32aと隣接するマニホールド30との、走査方向の間隔を間隔L3とする。また、拡張マニホールド32aと、走査方向において拡張マニホールド32aと隣接する中間マニホールド31との、走査方向の間隔を間隔L4とする。このとき、間隔L3は、間隔L4の1.2倍以下である。
【0027】
マニホールド群30bにおいては、走査方向の一方側の端に位置する拡張マニホールド32aと、走査方向において拡張マニホールド32aと隣接する中間マニホールド31とは、連通路35によって搬送方向の上流側の端部同士が繋がっている。また、走査方向の他方側の端に位置する拡張マニホールド32bと、走査方向において拡張マニホールド32bと隣接する中間マニホールド31とは、連通路35によって搬送方向の上流側の端部同士が繋がっている。
【0028】
マニホールド群30y、30c、30mにおいては、それを構成する3つのマニホールド30が、搬送方向の上流側の端部において連通路36によって互いに繋がっている。連通路36は、連通路35に比べて幅(上面視でインクの流動方向と直交する方向の長さ)が短い。
【0029】
連通路35、36によって繋がれたマニホールド30同士の内部のインクの圧力差により、連通路35、36にインクが流れる。ここで、拡張マニホールド32a、32bと中間マニホールド31とは容積が異なるので、拡張マニホールド32a、32bと中間マニホールド31とで生じる圧力波の周波数が異なる。すなわち、拡張マニホールド32a、32bと中間マニホールド31との間の圧力差は比較的大きい。したがって、各拡張マニホールド32a、32bと中間マニホールド31とを繋ぐ連通路35では、インクが流れやすい。
【0030】
一方、マニホールド群30y、30c、30mに属するマニホールド30は容積がほぼ等しいので、連通路36で繋がれたマニホールド30同士の圧力差は比較的小さい。本実施形態においては、連通路36の幅を連通路35の幅よりも短くすることで、連通路36で繋がれたマニホールド30同士の圧力差が小さくても連通路36にインクが流れやすくなるようにしている。
【0031】
図4及び
図5に示すように、マニホールド30は、プレート11d、11e、11fに形成された貫通孔で構成されている。なお、連通路35、36についても、プレート11d、11e、11fに形成された貫通孔で構成されている。マニホールド30の下方には、ダンパ室40が設けられている。ダンパ室40は、プレート11gに形成された下方が開放された凹部で構成されている。プレート11gにおける凹部の底部は、マニホールド30のダンパ膜41として機能する。
【0032】
図5に示すように、プレート11a~11hの下面には、プレート間の余剰接着剤を補足する逃し溝39がそれぞれ形成されている。なお、逃し溝39は、プレート11b~11iの上面に形成されていてもよい。逃し溝39で余剰接着剤を補足することで、余剰接着剤がマニホールド30や個別流路20に入り込むのを防ぐことができる。マニホールド群30bにおいて走査方向の他方側の端に位置する拡張マニホールド32bよりも走査方向の他方側には、搬送方向に延びる逃し溝39が形成されている。拡張マニホールド32bは、走査方向に関して逃し溝39の近傍まで延びている。具体的には、拡張マニホールド32bと逃し溝39との間の走査方向に関する距離は、約0.15mmである。
【0033】
複数の個別流路20は、複数のマニホールド30のそれぞれに連通している。各個別流路20は、
図4に示すように、ノズル21、圧力室22、接続流路23及び流入流路24を含む。
図2に示すようにノズル21は、上下方向において複数のマニホールド30のうち対応するマニホールド30と重ならない位置に位置している。
【0034】
図3に示すように、マニホールド群30bに含まれる中間マニホールド31に連通する複数の個別流路20のノズル21は、当該中間マニホールド31に対して走査方向の両側に位置する。マニホールド群30bに含まれる2つの拡張マニホールド32a、32bのうち走査方向の一方側に位置する拡張マニホールド32aに連通する複数の個別流路20のノズル21は、当該拡張マニホールド32aに対して走査方向の他方側に位置し、走査方向の一方側に位置しない。また、マニホールド群30bに含まれる2つの拡張マニホールド32a、32bのうち走査方向の他方側に位置する拡張マニホールド32bに連通する複数の個別流路20のノズル21は、当該拡張マニホールド32bに対して走査方向の一方側に位置し、走査方向の他方側に位置しない。
【0035】
走査方向に関して隣接する中間マニホールド31と拡張マニホールド32aとの間には、中間マニホールド31に連通し且つ搬送方向に並ぶ複数のノズル21で構成されたノズル列21aと、拡張マニホールド32aに連通し且つ搬送方向に並ぶ複数のノズル21で構成されたノズル列21aとの2列のノズル列21aが配置されている。同様に、走査方向に関して隣接する中間マニホールド31と拡張マニホールド32bとの間にも2列のノズル列が配置されている。また、走査方向に関して隣接する2つの中間マニホールド31の間には、一方の中間マニホールド31に連通し且つ搬送方向に並ぶ複数のノズル21で構成されたノズル列21aと、他方の中間マニホールド31に連通し且つ搬送方向に並ぶ複数のノズル21で構成されたノズル列21aとの2本のノズル列21aが配置されている。
【0036】
マニホールド群30y、30c、30mにおいては、マニホールド30に連通する複数の個別流路20のノズル21は、当該マニホールド30に対して走査方向の両側に位置する。マニホールド群30bを構成する4つのマニホールド30を除く9個のマニホールド30については、走査方向に隣接する2つのマニホールド30の間に、一方のマニホールド30に連通し且つ搬送方向に並ぶ複数のノズル21で構成されたノズル列21aと、他方のマニホールド30に連通し且つ搬送方向に並ぶ複数のノズル21で構成されたノズル列21aとの2列のノズル列21aが配置されている。
【0037】
マニホールド群30bに含まれる拡張マニホールド32aと、マニホールド群30yに含まれる3つのマニホールド30のうち走査方向に関して拡張マニホールド32aと隣接するマニホールド30との間には、走査方向において拡張マニホールド32aと隣接するマニホールド30に連通し且つ搬送方向に並ぶ複数のノズル21で構成されたノズル列21aと、拡張マニホールド32aには連通せず且つ搬送方向に並ぶ複数のダミー個別流路20dと、が配置されている。
【0038】
ダミー個別流路20dは、個別流路20と似た形状を有する流路である。本実施形態のダミー個別流路20dは、個別流路20の接続流路23と同じ形状の流路で構成されている。ダミー個別流路20dは、個別流路20の接続流路23だけでなくノズル21、圧力室22、流入流路24に相当する流路を含んでいてもよい。
【0039】
図2に示すように、走査方向に関して最も一方側に位置するマニホールド群30mを構成する3つのマニホールド30のうち、一方側の端に位置するマニホールド30の一方側には、当該マニホールド30に連通し且つ搬送方向に並ぶ複数のノズル21で構成されたノズル列21aと、搬送方向に並ぶ複数のダミー個別流路20dと、が配置されている。
【0040】
ノズル21は、
図4に示すように、プレート11iに形成された貫通孔で構成され、流路ユニット11の下面であるノズル面11yに開口している。
【0041】
圧力室22は、プレート11aに形成された貫通孔で構成され、流路ユニット11の上面11xに開口している。圧力室22は、走査方向に延びている。
図3に示すように、走査方向に関してマニホールド30の一方側に位置し且つ当該マニホールド30に連通するノズル21を含む個別流路20の圧力室22は、走査方向の他方側の端部が上面視で当該マニホールド30と重なっており、走査方向の一方側の端部が上面視で当該マニホールド30と重ならない位置に位置している。走査方向に関してマニホールド30の他方側に位置し且つ当該マニホールド30に連通するノズル21を含む個別流路20の圧力室22は、走査方向の一方側の端部が上面視で当該マニホールド30と重なっており、走査方向の他方側の端部が上面視で当該マニホールド30と重ならない位置に位置している。
【0042】
圧力室22は、走査方向に関して上面視でマニホールド30と重なっていない側の端部に接続流路23が接続されている。また、圧力室22は、走査方向に関して上面視でマニホールド30と重なっている側の端部に流入流路24が接続されている。
【0043】
接続流路23は、ノズル21と圧力室22とを互いに接続している。接続流路23は、
図4に示すように、プレート11b~プレート11hの7枚のプレートにそれぞれ形成された貫通孔で構成されている。
【0044】
流入流路24は、マニホールド30と圧力室22とを互いに接続している。流入流路24は、インクの流動方向と直交する面での断面積が圧力室22よりも小さく、絞りとして機能する。流入流路24は、プレート11bに形成された貫通孔と、プレート11cに形成された上方に開放された凹部及び該凹部における走査方向の一端部に位置する貫通孔とで構成されている。流入流路24は、プレート11bに形成された貫通孔により圧力室22と接続されている。また、流入流路24は、プレート11cに形成された貫通孔により、マニホールド30に接続されている。プレート11cに形成された貫通孔の下端の開口は、マニホールド30に対して個別流路20が接続される連通口33である。
【0045】
図3に示すように、搬送方向の最も上流側に位置する圧力室22以外の圧力室22に接続された流入流路24は、当該圧力室22における上面視で走査方向に関してマニホールド30と重なっている側の端部から、走査方向に関して当該圧力室22から遠ざかる方向に延びている。かかる流入流路24は、走査方向に対してやや傾斜した方向に延びており、走査方向の一方側の端部が走査方向の他方側の端部よりも搬送方向の下流側に位置している。
【0046】
搬送方向の最も上流側に位置する圧力室22に接続された流入流路24は、当該圧力室22における上面視で走査方向に関してマニホールド30と重なっている側の端部から、搬送方向の上流側に向かって延びている。かかる流入流路24は、マニホールド30と接続されている側の端部(すなわち、連通口33)が、圧力室22に接続されている側の端部よりも、搬送方向の上流側、且つ、走査方向に関してかかる流入流路24が繋がるノズル21側に位置している。
【0047】
図3に示すように、拡張マニホールド32a、32b以外のマニホールド30については、搬送方向の上流側の端部を画定する側壁面37の近傍に、当該マニホールド30に対応する2列のノズル列21aでそれぞれ最も搬送方向の上流側に位置するノズル21を含む2つの個別流路20の連通口33が位置している。この2つの連通口33を繋ぐ仮想直線L5は、走査方向に対して傾斜している。マニホールド30の側壁面37は、仮想直線L5と平行となっている。
【0048】
拡張マニホールド32a、32bの搬送方向の上流側の端部を画定する側壁面38は、当該拡張マニホールド32a、32bと走査方向において当該拡張マニホールド32aと隣接する中間マニホールド31とを繋ぐ連通路35を画定する連通路面35aに接続している。側壁面38における連通路面35aとの接続部の近傍に、拡張マニホールド32a、32bに対応するノズル列21aで最も搬送方向の上流側に位置するノズル21を含む個別流路20の連通口33が位置している。側壁面38は、連通路面35aとの接続部が最も搬送方向の上流側に位置するように走査方向に対して傾斜している。
【0049】
インクタンク7内のインクは、水頭差により供給口30aからマニホールド30に送り込まれる。マニホールド30に送り込まれたインクは、マニホールド30内を搬送方向の下流側から上流側に向かって移動しつつ、連通口33を介して各個別流路20に供給される。個別流路20に供給されたインクは、流入流路24を通って圧力室22に流入し、圧力室22内を略水平に移動して、接続流路23に流入する。接続流路23に流入したインクは、下方に移動してノズル21から吐出される。
【0050】
(圧電アクチュエータ12)
圧電アクチュエータ12は、
図4に示すように、下から順に、振動板12a、共通電極12b、圧電層12c及び複数の個別電極12dを含む。
【0051】
振動板12aは、流路ユニット11の上面11xに配置されている。振動板12aの上面における複数の圧力室22と対向する領域には、下方から順に積層された共通電極12b、圧電層12c及び個別電極12dが配置されている。振動板12a、共通電極12b及び圧電層12cは、複数の圧力室22に跨って配置されている。個別電極12dは、圧力室22毎に設けられており、上面視で各圧力室22と重複している。
【0052】
共通電極12b及び複数の個別電極12dは、図示しない配線部材を介して図示しないドライバICに接続されている。ドライバICは、共通電極12bの電位をグランド電位に維持する一方、個別電極12dの電位を変化させる。これにより、振動板12a及び圧電層12cにおいて個別電極12dと圧力室22とで挟まれた部分(アクチュエータ12x)が、圧力室22に向けて凸となるように変形する。この変形によって、圧力室22の容積が小さくなって圧力室22内のインクの圧力が上昇し、圧力室22に連通するノズル21からインクが吐出される。すなわち、圧電アクチュエータ12は、圧力室22のそれぞれに対応する複数のアクチュエータ12xを有する。
【0053】
(実施形態の特徴)
以上のように、上述の実施形態にかかるインクジェットヘッド1は、搬送方向に沿ってそれぞれ延びており、且つ、走査方向に配列された複数のマニホールド30と、複数のマニホールド30のそれぞれに連通する複数の個別流路20であって、上下方向において複数のマニホールド30のうち対応するマニホールド30と重ならない位置にノズル21をそれぞれ有する複数の個別流路20と、を備えている。複数のマニホールド30は、走査方向の両端以外に位置する中間マニホールド31と、走査方向の両端に位置し、中間マニホールド31に比べて走査方向に沿う長さが長い拡張マニホールド32a、32bと、を含む。中間マニホールド31に連通する複数の個別流路20のノズル21は、当該中間マニホールド31に対して、走査方向の両側に位置する。走査方向の一方側の端に位置する拡張マニホールド32aに連通する複数の個別流路20のノズル21は、拡張マニホールド32aに対して走査方向の他方側に位置し、走査方向の一方側に位置しない。走査方向の他方側の端に位置する拡張マニホールド32bに連通する複数の個別流路20のノズル21は、拡張マニホールド32bに対して走査方向の一方側に位置し、走査方向の他方側に位置しない。
【0054】
上述の構成によると、走査方向の一方側の端に位置する拡張マニホールド32aは、走査方向の他方側にノズル21が配置され、走査方向の一方側にはノズル21が配置されていない。また、走査方向の他方側の端に位置する拡張マニホールド32bは、走査方向の一方側にノズル21が配置され、走査方向の他方側にはノズル21が配置されていない。すなわち、拡張マニホールド32a、32bに対し、走査方向の両側にはノズル列21aが存在せず、走査方向の片側にのみにノズル列21aが存在する。したがって、拡張マニホールド32a、32bの走査方向に沿う長さが長くとも、拡張マニホールド32a、32bに連通するノズル列21aの間隔が大きくなるという事態が生じない。よって、マニホールド30の容積を大きくしつつ、インクジェットヘッド1の傾き調整の難易度の上昇を抑制することができる。また、キャップ6などのメンテナンス部材の大型化を抑制でき、インクジェットヘッド1を備えるプリンタ100の大型化を抑制することができる。
【0055】
また、上述の実施形態のインクジェットヘッド1では、拡張マニホールド32a、32bの走査方向に沿う長さL1は、中間マニホールド31の走査方向に沿う長さL2の1.3倍以上である。したがって、拡張マニホールド32a、32bの容積を十分に大きくすることができる。
【0056】
さらに、上述の実施形態のインクジェットヘッド1は、異なるマニホールド30における搬送方向の上流側の端部同士を繋ぐ連通路35、36を備えている。したがって、各マニホールド30で生じる圧力波が連通路35、36を介して干渉し合い、互いに打ち消し合う。これにより、圧力波によるインクの吐出への影響を抑制することができる。
【0057】
加えて、上述の実施形態のインクジェットヘッド1では、連通路35は、各拡張マニホールド32a、32bと中間マニホールド31とを繋ぐ。連通路35によって接続されたマニホールド30間のインクの流れがスムーズでない場合には、よどみが生じて増粘インクが溜まる。本実施形態の構成によると、拡張マニホールド32a、32bと中間マニホールド31と容積が異なるので、両者間でのインクの圧力差が比較的大きく、連通路35を介したインクの流れがスムーズである。
【0058】
さらに、上述の実施形態のインクジェットヘッド1では、拡張マニホールド32a、32bにおける搬送方向の上流側の端部を画定する側壁面38は、連通路35を画定する連通路面35aに接続し、連通路面35aとの接続部が最も搬送方向の上流側に位置するように傾斜している。したがって、拡張マニホールド32a、32bの端部が連通路35となめらかに繋がるので、インクの流れがスムーズである。拡張マニホールド32a、32bは走査方向に沿う長さL1が比較的長いので、側壁面38の傾斜をなめらかにできる。
【0059】
また、上述の実施形態のインクジェットヘッド1では、拡張マニホールド32aと、マニホールド群30yに含まれる3つのマニホールド30のうち走査方向において拡張マニホールド32aと隣接するマニホールド30との、走査方向の間隔L3は、拡張マニホールド32aと、走査方向において拡張マニホールド32aと隣接する中間マニホールド31との、走査方向の間隔L4の1.2倍以下である。したがって、マニホールド群30yと干渉することなく、マニホールド群30bの拡張マニホールド32aの容積を大きくとることができる。
【0060】
加えて、上述の実施形態のインクジェットヘッド1では、拡張マニホールド32aと中間マニホールド31との間に、中間マニホールド31に連通し且つ搬送方向に並ぶ複数のノズル21で構成されたノズル列21aと、拡張マニホールド32aに連通し且つ搬送方向に並ぶ複数のノズル21で構成されたノズル列21aとが配置される。また、拡張マニホールド32aと、マニホールド群30yに含まれる3つのマニホールド30のうち走査方向において拡張マニホールド32aに隣接するマニホールド30との間に、当該隣接するマニホールド30に連通し且つ搬送方向に並ぶ複数のノズル21で構成されたノズル列21aと、搬送方向に並ぶ複数のダミー個別流路20dと、が配置されている。個別流路20と似た形状のダミー個別流路20dを設けたことで、個別流路20の形状やプレート間の接着剤の流れのばらつきを少なくし、個別流路20の特性を一定にすることができる。
【0061】
また、上述の実施形態のインクジェットヘッド1は、プレート間の余剰接着剤を補足する逃し溝39を備えており、拡張マニホールド32bは、走査方向に関して逃し溝39の近傍まで延びている。したがって、逃し溝39と干渉することなく、拡張マニホールド32bの容積を大きくとることができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0063】
上述の実施形態においては、マニホールド群30bを構成する4つのマニホールド30のうち走査方向の両端にそれぞれ位置する2つのマニホールド30が、中間マニホールド31に比べて走査方向に沿う長さが長い拡張マニホールド32a、32bである場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、マニホールド群30bを構成する4つのマニホールド30のうち走査方向の両端にそれぞれ位置する2つのマニホールド30のうちの一方のみが、中間マニホールド31に比べて走査方向に沿う長さが長い拡張マニホールドであってもよい。
【0064】
さらに、上述の実施形態においては、拡張マニホールド32a、32bが、マニホールド群30bのみに含まれている場合について説明したが、これには限定されない。マニホールド群30b、30y、30c、30mの少なくとも1つに、少なくとも1つの拡張マニホールドが含まれていればよい。
【0065】
また、上述の実施形態においては、拡張マニホールド32a、32bの走査方向に沿う長さL1は、中間マニホールド31の走査方向に沿う長さL2の1.3倍以上である場合について説明したが、これには限定されない。長さL1は、長さL2よりも長ければよい。
【0066】
また、上述の実施形態においては、拡張マニホールド32aと、マニホールド群30yに含まれる3つのマニホールド30のうち走査方向において拡張マニホールド32aに隣接するマニホールド30との間に、ダミー個別流路20dが配置されている場合について説明したが、ダミー個別流路20dは設けられていなくてもよい。
【0067】
加えて、上述の実施形態においては、異なるマニホールド30における搬送方向の上流側の端部同士を繋ぐ連通路35、36を備えている場合について説明したが、連通路35、36はなくてもよい。また、上述の実施形態においては、マニホールド群30bにおける中間マニホールド31の搬送方向の上流側の端部同士は繋がっていないが、中間マニホールド31同士も連通路で繋がっていてもよい。
【0068】
また、上述の実施形態においては、拡張マニホールド32a、32bにおける搬送方向の上流側の端部を画定する側壁面38は、連通路面35aとの接続部が最も搬送方向の上流側に位置するように傾斜している場合について説明したが、これには限定されない。すなわち例えば、側壁面38は、連通路面35aとの接続部が最も搬送方向の下流側に位置するように傾斜していてもよいし、走査方向に平行であってもよい。
【0069】
加えて、上述の実施形態においては、拡張マニホールド32bよりも走査方向の他方側に逃し溝39が設けられており、拡張マニホールド32bが、走査方向に関して逃し溝39の近傍まで延びている場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、拡張マニホールド32bよりも走査方向の他方側に逃し溝39が設けられていなくてもよい。
【0070】
また、上述の実施形態においては、拡張マニホールド32aと、マニホールド群30yに含まれる3つのマニホールド30のうち走査方向において拡張マニホールド32aと隣接するマニホールド30との、走査方向の間隔L3は、拡張マニホールド32aと、走査方向において拡張マニホールド32aと隣接する中間マニホールド31との、走査方向の間隔L4の1.2倍以下である場合について説明したが、これには限定されない。間隔L3は、間隔L4の1.2倍よりも大きくてもよい。
【0071】
アクチュエータ12xは、圧電素子を用いたピエゾ方式のものに限定されず、その他の方式(例えば、発熱素子を用いたサーマル方式、静電力を用いた静電方式等)のものであってもよい。
【0072】
プリンタ100の記録形式は、シリアル式に限定されず、記録用紙Pの幅方向に長尺であり、且つ、位置が固定されたヘッドのノズルからインクを吐出するライン式であってもよい。
【0073】
ノズル21から吐出される液体は、インクに限定されず、任意の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)であってよい。また、吐出対象は、記録用紙Pに限定されず、例えば布、基板等であってもよい。
【0074】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。また、本発明は、画像の記録以外の用途で使用される液体吐出装置(例えば、基板に導電性の液体を吐出して導電パターンを形成する液体吐出装置)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1、101 インクジェットヘッド
11a~11i プレート
20 個別流路
20d ダミー個別流路
21 ノズル
21a ノズル列
30 マニホールド(共通液室)
30b マニホールド群(共通液室群;第1共通液室群)
20y マニホールド群(共通液室群;第2共通液室群)
30y、30c、30m マニホールド群(共通液室群)
31 中間マニホールド(中間共通液室)
32a、32b 拡張マニホールド(拡張共通液室)
35、36 連通路
38 側壁面
39 溝