(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170333
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】保冷容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/18 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
B65D81/18 D
B65D81/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076400
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000114879
【氏名又は名称】ヤマトホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】原 俊彦
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067BA05B
3E067BA12C
3E067BB15C
3E067BB17B
3E067BC06B
3E067BC06C
3E067CA18
3E067EA32
3E067EB17
3E067EB27
3E067FA03
3E067FC01
3E067GA03
3E067GA11
3E067GB02
3E067GD01
(57)【要約】
【課題】貨物の品質が劣化することを抑制することができる保冷容器を提供する。
【解決手段】実施形態の保冷容器は、貨物を収納可能な箱体を備え、前記箱体は、上下方向に互いに離間して配置され且つ冷気を取り入れ可能に開く複数の開口を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物を収納可能な箱体を備え、
前記箱体は、上下方向に互いに離間して配置され且つ冷気を取り入れ可能に開く複数の開口を有する
保冷容器。
【請求項2】
前記箱体は、上下方向に長手を有する直方体形状を有する
請求項1に記載の保冷容器。
【請求項3】
前記複数の開口は、前記箱体の一面に設けられている
請求項2に記載の保冷容器。
【請求項4】
前記複数の開口は、
前記箱体の上部に位置する上部開口と、
前記箱体の下部に位置する下部開口と、を含み、
前記箱体の上部に設けられ且つ前記上部開口を開閉可能な上部窓と、
前記箱体の下部に設けられ且つ前記下部開口を開閉可能な下部窓と、を更に備える
請求項1から3の何れか一項に記載の保冷容器。
【請求項5】
前記下部窓は、前記下部開口の開口面積を変更可能に前記下部窓の設置位置を調整可能とされている
請求項4に記載の保冷容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵又は冷凍された貨物等の保冷物品を庫内に収納して配送するのに好適な保冷容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵又は冷凍された貨物等の保冷物品を容器内に収納し、冷蔵車又は冷凍車等の保冷車(冷蔵庫又は冷凍庫等の保冷庫を備えた貨物自動車)に搭載して目的地まで輸送することが行われている。
例えば、特許文献1には、冷蔵品を収納する本体容器を備えた保冷容器が開示されている。本体容器は、断熱材を含む積層体を縫製して形成されている。本体容器の側面部の上部には冷気取込口が設けられている。本体容器の空き空間に冷蔵品を収納し、蓋を被せて梱包する。梱包した保冷容器の配送には冷蔵庫を備えた貨物自動車を用い、保冷容器を冷蔵庫内に入れて配送に供する。この際、本体容器には冷気取込口が設けられているため、冷蔵庫内の冷気が冷気取込口から本体容器内に取り入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、冷気取込口は本体容器の側面部の上部にのみ設けられるため、収納する貨物や本体容器の容積によっては、容器内の冷気の取り入れ及び冷気の循環が十分になされない等の理由により、容器内を貨物の保存に適した温度に保つことができない可能性がある。そのため、貨物の品質が劣化することを抑制する上で改善の余地があった。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明は、貨物の品質が劣化することを抑制することができる保冷容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の態様は以下の構成を有する。
(1)本発明の一態様に係る保冷容器は、貨物を収納可能な箱体を備え、前記箱体は、上下方向に互いに離間して配置され且つ冷気を取り入れ可能に開く複数の開口を有する。
【0007】
(2)上記(1)に記載の保冷容器では、前記箱体は、上下方向に長手を有する直方体形状を有していてもよい。
【0008】
(3)上記(2)に記載の保冷容器では、前記複数の開口は、前記箱体の一面に設けられていてもよい。
【0009】
(4)上記(1)から(3)の何れか一項に記載の保冷容器では、前記複数の開口は、前記箱体の上部に位置する上部開口と、前記箱体の下部に位置する下部開口と、を含み、前記箱体の上部に設けられ且つ前記上部開口を開閉可能な上部窓と、前記箱体の下部に設けられ且つ前記下部開口を開閉可能な下部窓と、を更に備えていてもよい。
【0010】
(5)上記(4)に記載の保冷容器では、前記下部窓は、前記下部開口の開口面積を変更可能に前記下部窓の設置位置を調整可能とされていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記(1)に記載の保冷容器によれば、箱体は、上下方向に互いに離間して配置され且つ冷気を取り入れ可能に開く複数の開口を有することで、以下の効果を奏する。
上下方向に互いに離間して配置された複数の開口から箱体内に冷気を取り入れることができるため、冷気取入口が箱体の上下方向において1つのみ設けられる場合と比較して、箱体内に冷気を取り入れやすい。加えて、複数の開口から取り入れられた冷気は箱体内で下方に流れ、箱体内を循環するため、箱体内の隅々まで冷気を取り入れやすい。そのため、箱体内を貨物の保存に適した温度に保つことができる。したがって、貨物の品質が劣化することを抑制することができる。
【0012】
本発明の上記(2)に記載の保冷容器によれば、箱体が上下方向に長手を有する直方体形状を有することで、以下の効果を奏する。
箱体が水平方向に長手を有する直方体形状を有する場合と比較して、上下方向に互いに離間して配置された複数の開口を適した位置に設置しやすい。例えば、箱体が貨物自動車の保冷庫のサイズに対応して上下方向に長手を有する場合は、保冷容器を保冷庫内に入れやすいため好適である。
【0013】
本発明の上記(3)に記載の保冷容器によれば、複数の開口が箱体の一面に設けられていることで、以下の効果を奏する。
複数の開口が箱体の互いに異なる面に設けられている場合と比較して、複数の開口を通じた冷気の取り入れを一面で行うことができる。例えば、複数の開口の開閉作業を行う際、作業者は箱体の一面に臨むことにより同じ場所で作業することができるため好適である。
【0014】
本発明の上記(4)に記載の保冷容器によれば、複数の開口は、箱体の上部に位置する上部開口と、箱体の下部に位置する下部開口と、を含み、箱体の上部に設けられ且つ上部開口を開閉可能な上部窓と、箱体の下部に設けられ且つ下部開口を開閉可能な下部窓と、を更に備えることで、以下の効果を奏する。
上部窓及び下部窓を開閉することにより、上部開口及び下部開口を通じた冷気の取り入れと遮断とを行うことができる。例えば、保冷容器を貨物自動車の保冷庫に搭載した際は、上部窓及び下部窓を開けることにより、上部開口及び下部開口を通じて保冷庫内の冷気を箱体内に取り入れることができる。例えば、貨物の荷下ろし、仕分け等のために保冷容器を保冷庫から降ろす際は、上部窓及び下部窓を閉めることにより、冷気を遮断することができる。例えば、貨物が入った保冷容器を、冷蔵設備及び冷凍設備を有する保管庫に一時的に保管する際は、上部窓及び下部窓を開けることにより、上部開口及び下部開口を通じて保管庫内の冷気を箱体内に取り入れることができる。
【0015】
本発明の上記(5)に記載の保冷容器によれば、下部窓は、下部開口の開口面積を変更可能に下部窓の設置位置を調整可能とされていることで、下部窓の設置位置を調整することにより下部開口を通じた冷気の取り入れ量を調整することができるため、箱体内の温度を調整することができる。したがって、下部開口の開口面積が変更不能の場合と比較して、箱体内を貨物の保存に適した温度に保ちやすい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図6】実施形態の上部開口及び下部開口を開いた状態を示す斜視図。
【
図7】実施形態の保冷容器を折り畳んだ状態を示す斜視図。
【
図8】実施形態の保冷容器を貨物自動車の保冷庫に搭載した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態においては、保冷容器の一例として冷蔵又は冷凍された貨物等の保冷物品を容器内に収納し、冷蔵車又は冷凍車等の保冷車(冷蔵庫又は冷凍庫等の保冷庫を備えた貨物自動車)に搭載して目的地まで輸送するための輸送用保冷容器を挙げて説明する。
【0018】
[保冷容器]
図1に示すように、保冷容器1は、貨物を収納可能な箱体2を備える。
図1は、保冷容器1の組み立て状態において、上部窓70及び下部窓71を閉じた状態の正面外観を示している。
【0019】
[箱体]
箱体2は、前側面部3、後側面部4(
図5参照)、左側面部5、右側面部6、天面部7、底面部8及び外袋9を備える。前側面部3は、左扉10及び右扉11を備える。箱体2において前側面部3以外の部分は、外袋9により外側から覆われている。外袋9は、正面側を開放する矩形箱状に形成されている。例えば、外袋9は、UVシート等の紫外線を遮断する機能を持つ素材により形成されている。
【0020】
箱体2の各面部3~8は、断熱材を外装材と内装材との間に配置した積層体を縫製して形成されている。例えば、断熱材は、ポリイソシアヌレートフォーム等のウレタンフォームにより形成されている。なお、断熱材は、真空断熱材により形成されていてもよい。例えば、外装材は、UVシート等の紫外線を遮断する機能を持つ素材により形成されている。例えば、内装材は、ポリエチレンシート等の緩衝材により形成されている。
【0021】
箱体2は、上下方向に長手を有する直方体形状を有する。例えば、箱体2は、貨物自動車の保冷庫80(
図8参照)のサイズに対応して上下方向に長手を有する。箱体2の高さ(上下方向の長さ)は、保冷庫80内の高さ寸法よりも小さい。箱体2の左右幅(左右方向の長さ)は、保冷庫80内の左右寸法よりも小さい。
【0022】
図1の正面視で、左扉10は、上下方向に長手を有する矩形状に形成されている。左扉10の左右幅は、前側面部3の左右幅の半分よりも短い。左扉10の上部前面には、温度計20が設けられている。温度計20は、左扉10の上部前面に配置されている。左扉10において温度計20の上方近傍には、矩形状のシート材21(例えばUVシート)が設けられている。左扉10において温度計20の下方近傍には、連番やQRコード(登録商標)等を表示するラベル22が取り付け可能とされている。左扉10の上下方向中央近傍には、面ファスナー23が設けられている。
【0023】
右扉11は、上下方向に長手を有する矩形状に形成されている。右扉11の左右幅は、前側面部3の左右幅の半分よりも長い。右扉11の左右幅は、左扉10の左右幅よりも長い。右扉11の上部前面には、左右方向に長手を有する矩形状のシート材25(例えばUVシート)が設けられている。右扉11には、上下方向に延びるステッチ26が設けられている。右扉11は、ステッチ26に沿って折り重ねることが可能に構成されている。
【0024】
右扉11は、左右方向中央に位置する中央扉部12と、ステッチ26を介して中央扉部12の右側に位置する側部扉部13と、を備える。中央扉部12の左右幅は、側部扉部13の左右幅よりも長い。中央扉部12の左右幅は、左扉10の左右幅よりも長い。
【0025】
中央扉部12の上部前面には、上下方向に長手を有する矩形状のシート材27(例えばポリエチレンシート)が設けられている。中央扉部12においてシート材27の下方近傍には、取り扱い説明書等の書類28が設置可能とされている。中央扉部12の前面左側部には、取っ手29が設けられている。中央扉部12の上下方向中央近傍及び左扉10の上下方向中央近傍には、バックル30が固定された固定ベルト31が取り付けられている。
側部扉部13の上下方向中央近傍には、面ファスナー32が設けられている。
【0026】
図2の左側面視で、外袋9は、上下方向に長手を有する矩形状に形成されている。外袋9の左側面外周には、縁取りテープ35が設けられている。外袋9の左側面上部には、先端に面ファスナーを有する固定ベルト36が取り付けられている。固定ベルト36は、前後方向に間隔をあけて2つ設けられている。外袋9の左側面前部には、上下方向に延びるステッチ37が設けられている。ステッチ37は、2つの固定ベルト36の間において前側の固定ベルト36寄りに配置されている。
【0027】
図3の右側面視で、外袋9は、上下方向に長手を有する矩形状に形成されている。外袋9の右側面外周には、縁取りテープ40が設けられている。外袋9の右側面上部には、先端に面ファスナーを有する固定ベルト41が取り付けられている。固定ベルト41は、前後方向に間隔をあけて2つ設けられている。外袋9の右側面の上下方向中央近傍には、先端に面ファスナーを有する固定ベルト42が取り付けられている。固定ベルト42は、前後方向に間隔をあけて2つ設けられている。
【0028】
図4の上面視で、外袋9は、矩形状に形成されている。外袋9の上面(具体的には、外袋9において天面部7を上方から覆う面)には、ステッチ45が設けられている。外袋9の上面は、ステッチ45により、前側の台形領域46と、左右の三角形領域47,48と、後側の六角形領域49と、に区画されている。
なお、図示は省略するが、外袋9の下面(具体的には、外袋9において底面部8を下方から覆う面)は、外袋9の上面と同様のステッチが設けられている。
【0029】
図5は、保冷容器1において前側面部3(左扉10及び右扉11)を外した状態を前方から見た内部構造を示す。
図5に示すように、保冷容器1の内部には、蓄冷剤及びドライアイス等の冷媒(不図示)を設置するための冷媒用棚50が設けられている。冷媒用棚50は、右側面部6の内側面に対して複数(上側2本、下側1本の計3本)の固定ベルト51で取り付けられている。
【0030】
左側面部5の内側面上部及び右側面部6の内側面上部には、複数(それぞれ2本)の固定ベルト52が設けられている。2本の固定ベルト52は、固定ベルト51よりも前後方向の外側に配置されている。例えば、冷媒を設置する際は、冷媒用棚50を水平にし、冷媒用棚50の左右方向両端部を各固定ベルト52に取り付ける。これにより、冷媒用棚50の上面に冷媒を設置することが可能となる。
【0031】
後側面部4の内側面上部後面には、上下方向に長手を有する矩形状のシート材55(例えばUVシート)が設けられている。天面部7の前面には、天面部7の左右方向にわたって面ファスナー56が設けられている。底面部8の前面には、底面部8の左右方向にわたって面ファスナー57が設けられている。
【0032】
[折り畳み手順]
箱体2は、折り畳み可能に構成されている。例えば、箱体2の折り畳み手順は、下記(A1)~(A6)の手順により行う。
(A1)左扉10及び右扉11を開く。その後、冷媒用棚50を右側面部6の固定ベルト51で固定する(
図5参照)。
(A2)右側面部6を内側に畳み込む。なお、右側面部6の固定ベルト52(
図5参照)は外袋9側に戻す。
(A3)左側面部5を内側に畳み込む。なお、左側面部5の固定ベルト52(
図5参照)は外袋9側に戻す。
(A4)天面部7を下に畳み込む。
(A5)底面部8を上に畳み込む。その後、天面部7及び底面部8を面ファスナーで固定する。
(A6)左扉10及び右扉11を閉める。その後、外袋9をステッチ(例えば
図2に示すステッチ37、
図4に示すステッチ45等)に沿って畳み込む。その後、固定ベルトを正面に引っ張り、左扉10及び右扉11を固定する。
これにより、保冷容器1は折り畳み状態となる(
図7参照)。
【0033】
[組み立て手順]
例えば、箱体2の組み立て手順は、下記(B1)~(B6)の手順により行う。
(B1)左扉10及び右扉11を開く。その後、面ファスナーを外し、左扉10及び右扉11を外袋9から外す。
(B2)後側面部4を基準に天面部7及び底面部8を外袋9に面ファスナーで固定し組み付ける。
(B3)左側面部5を持ち上げて外袋9に面ファスナーで固定し組み付ける。なお、左側面部5の固定ベルト52(
図5参照)は内側に通す。
(B4)右側面部6を持ち上げて外袋9に面ファスナーで固定し組み付ける。なお、右側面部6の固定ベルト52(
図5参照)は内側に通す。
(B5)左扉10及び右扉11を外袋9に面ファスナーで固定し組み付ける。なお、左扉10を先に組み付ける。
(B6)箱体2を起こして冷媒用棚50を水平にし、冷媒用棚50の左右方向両端部を各固定ベルト52(
図5参照)に取り付ける。その後、左扉10及び右扉11を閉める。
これにより、保冷容器1は組み立て状態(上下方向に起立した状態)となる(
図1参照)。
【0034】
[上部開口及び下部開口]
図6は、保冷容器1の組み立て状態において、上部窓70及び下部窓71を開けた状態の外観斜視を示している。
図6に示すように、箱体2は、上下方向に互いに離間して配置された複数(2つ)の開口60,61を有する。2つの開口60,61は、箱体2の上部に位置する上部開口60と、箱体2の下部に位置する下部開口61と、である。上部開口60及び下部開口61は、冷気を取り入れ可能に開口する。上部開口60及び下部開口61は、箱体2の前面15(一面)に設けられている。上部開口60及び下部開口61は、右扉11の中央扉部12に設けられている。
【0035】
上部開口60は、中央扉部12の上端部に形成されている。上部開口60は、左右方向に長手を有する矩形状に形成されている。上部開口60は、左扉10の左右方向内端と側部扉部13の左右方向内端(言い換えるとステッチ26)との間にわたって形成されている。上部開口60は、天面部7、左扉10、シート材21及び側部扉部13により囲まれた空間である。上部開口60は、箱体2の内部空間に連通している。
【0036】
下部開口61は、中央扉部12の下端近傍に形成されている。下部開口61は、左右方向に長手を有する矩形状に形成されている。下部開口61は、中央扉部12の左端寄りの部分と側部扉部13の左右方向内端(言い換えるとステッチ26)との間にわたって形成されている。下部開口61の左右幅は、上部開口60の左右幅よりも短い。中央扉部12において下部開口61の下方近傍には、面ファスナー62が設けられている。
【0037】
[上部窓及び下部窓]
保冷容器1は、箱体2の上部に設けられ且つ上部開口60を開閉可能な上部窓70と、箱体2の下部に設けられ且つ下部開口61を開閉可能な下部窓71と、を備える。上部窓70及び下部窓71は、右扉11の中央扉部12に設けられている。
【0038】
上部窓70は、中央扉部12においてシート材21よりも上側の部分に設けられている。上部窓70は、左右方向に長手を有する矩形状に形成されている。上部窓70は、左扉10の左右方向内端と側部扉部13の左右方向内端(言い換えるとステッチ26)との間にわたって設けられている。上部窓70は、上部開口60と略同じ矩形状に形成されている。上部窓70は、上部窓70の下端縁を基準として、
図6の矢印V1方向に開閉可能とされている。
【0039】
中央扉部12において上部窓70の設置部の上端縁及び左側縁に沿う部分の後面(裏面)には、面ファスナー72が設けられている。上部窓70の前面には、取っ手73(
図1参照)が設けられている。例えば、取っ手73を前方へ引っ張り上部窓70を前方へ展開することにより、上部開口60は開放状態となる。
【0040】
下部窓71は、中央扉部12において書類28の設置領域よりも下側の部分に設けられている。下部窓71は、左右方向に長手を有する矩形状に形成されている。下部窓71は、中央扉部12の左端寄りの部分と側部扉部13の左右方向内端(言い換えるとステッチ26)との間にわたって設けられている。下部窓71は、下部開口61と略同じ矩形状に形成されている。下部窓71は、
図6の矢印V2方向に開閉可能とされている。
【0041】
中央扉部12において下部開口61の上方領域(
図1の前面視で下部窓71の設置部と重なる部分)の前面には、面ファスナー75が設けられている。下部窓71の後面(裏面)には、面ファスナー(不図示)が設けられている。下部窓71の前面には、取っ手76が設けられている。例えば、取っ手76を上方へ引っ張り下部窓71を上方へ展開することにより、下部開口61は開放状態となる。
【0042】
下部窓71は、下部開口61の開口面積を変更可能に下部窓71の設置位置を調整可能とされている。例えば、中央扉部12の前面に設けられた面ファスナー75に対する下部窓71後面の面ファスナーの取り付け位置を上下方向で変更することにより、下部窓71の上下位置を調整することができる。
【0043】
[貨物自動車の保冷庫]
図8は、貨物自動車の保冷庫80の左側扉81及び右側扉82を開放した状態を示す。
図8に示すように、保冷容器1は、組み立て状態において保冷庫80内に搭載可能とされている。箱体2は、保冷庫80のサイズに対応して上下方向に長手を有する。上部窓70及び下部窓71は、保冷庫80の左側扉81及び右側扉82を開放した状態において、外部(保冷庫80の出入り口83)に露出する。例えば、保冷庫80の左側扉81及び右側扉82を開放した状態で上部窓70及び下部窓71を閉めることにより、冷気を遮断することができる。
【0044】
[作用効果]
以上説明したように、上記実施形態の保冷容器1は、貨物を収納可能な箱体2を備え、箱体2は、上下方向に互いに離間して配置され且つ冷気を取り入れ可能に開く複数の開口60,61を有する。
この構成によれば、上下方向に互いに離間して配置された複数の開口60,61から箱体2内に冷気を取り入れることができるため、冷気取入口が箱体2の上下方向において1つのみ設けられる場合と比較して、箱体2内に冷気を取り入れやすい。加えて、複数の開口60,61から取り入れられた冷気は箱体2内で下方に流れ、箱体2内を循環するため、箱体2内の隅々まで冷気を取り入れやすい。そのため、箱体2内を貨物の保存に適した温度に保つことができる。したがって、貨物の品質が劣化することを抑制することができる。
【0045】
上記実施形態では、箱体2が上下方向に長手を有する直方体形状を有することで、以下の効果を奏する。
箱体2が水平方向に長手を有する直方体形状を有する場合と比較して、上下方向に互いに離間して配置された複数の開口60,61を適した位置に設置しやすい。例えば、箱体2が貨物自動車の保冷庫80のサイズに対応して上下方向に長手を有する場合は、保冷容器1を保冷庫80内に入れやすいため好適である。
【0046】
上記実施形態では、複数の開口60,61が箱体2の前面15に設けられていることで、以下の効果を奏する。
複数の開口60,61が箱体2の互いに異なる面に設けられている場合と比較して、複数の開口60,61を通じた冷気の取り入れを一面で行うことができる。例えば、複数の開口60,61の開閉作業を行う際、作業者は箱体2の前面15に臨むことにより同じ場所で作業することができるため好適である。
加えて、上記実施形態では、温度計20が箱体2の前面15に設けられていることで、温度計20を確認しながら複数の開口60,61の開閉作業を同じ場所で行うことができるため好適である。
【0047】
上記実施形態では、複数の開口60,61は、箱体2の上部に位置する上部開口60と、箱体2の下部に位置する下部開口61と、を含み、保冷容器1は、箱体2の上部に設けられ且つ上部開口60を開閉可能な上部窓70と、箱体2の下部に設けられ且つ下部開口61を開閉可能な下部窓71と、を備えることで、以下の効果を奏する。
上部窓70及び下部窓71を開閉することにより、上部開口60及び下部開口61を通じた冷気の取り入れと遮断とを行うことができる。例えば、保冷容器1を貨物自動車の保冷庫80に搭載した際は、上部窓70及び下部窓71を開けることにより、上部開口60及び下部開口61を通じて保冷庫80内の冷気を箱体2内に取り入れることができる。例えば、貨物の荷下ろし、仕分け等のために保冷容器1を保冷庫80から降ろす際は、上部窓70及び下部窓71を閉めることにより、冷気を遮断することができる。例えば、貨物が入った保冷容器1を、冷蔵設備及び冷凍設備を有する保管庫に一時的に保管する際は、上部窓70及び下部窓71を開けることにより、上部開口60及び下部開口61を通じて保管庫内の冷気を箱体2内に取り入れることができる。
加えて、上記実施形態では、上部開口60が中央扉部12の上端部に形成されていることで、上部開口60から取り入れられた冷気は箱体2内で上端側から下方に流れ、箱体2内を循環するため、箱体2内の隅々まで冷気を取り入れることができるため好適である。
【0048】
上記実施形態では、下部窓71は、下部開口61の開口面積を変更可能に下部窓71の設置位置を調整可能とされていることで、以下の効果を奏する。
下部窓71の設置位置を調整することにより下部開口61を通じた冷気の取り入れ量を調整することができるため、箱体2内の温度を調整することができる。したがって、下部開口61の開口面積が変更不能の場合と比較して、箱体2内を貨物の保存に適した温度に保ちやすい。
加えて、上記実施形態では、温度計20が箱体2の前面15に設けられていることで、温度計20を確認しながら下部窓71の設置位置を同じ場所で調整することができるため好適である。
【0049】
[変形例]
上記実施形態では、箱体が上下方向に長手を有する直方体形状を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、箱体は、水平方向に長手を有する直方体形状を有していてもよい。例えば、箱体は、立方体形状、円柱形状、球体形状等の他の形状を有していてもよい。例えば、箱体の形状は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0050】
上記実施形態では、複数の開口が箱体の一面に設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、複数の開口は、箱体の互いに異なる面に設けられていてもよい。例えば、複数の開口のうち上部開口は箱体の一面に設けられ、下部開口は箱体の他面に設けられていてもよい。例えば、複数の開口の設置位置は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0051】
上記実施形態では、複数の開口は、箱体の上部に位置する上部開口と、箱体の下部に位置する下部開口と、である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、複数の開口は、箱体の上下方向中央部に位置する中央部開口を有していてもよい。例えば、箱体は、上部開口と中央部開口とを有し、下部開口を有していなくてもよい。例えば、箱体は、中央部開口と下部開口とを有し、上部開口を有していなくてもよい。例えば、複数の開口は、3つ以上の開口を含んでいてもよい。例えば、上部開口は、上下方向に互いに離間して複数設けられていてもよい。例えば、上部開口は、左右方向に互いに離間して複数設けられていてもよい。例えば、下部開口は、上下方向に互いに離間して複数設けられていてもよい。例えば、下部開口は、左右方向に互いに離間して複数設けられていてもよい。例えば、開口は、上下方向に互いに離間して複数設けられるとともに、上下方向と交差する方向に互いに離間して複数設けられていてもよい。例えば、複数の開口は、上下方向に互いに離間して配置され且つ冷気を取り入れ可能に開いていればよい。例えば、複数の開口の配置態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0052】
保冷容器は、箱体の上部に設けられ且つ上部開口を開閉可能な上部窓と、箱体の下部に設けられ且つ下部開口を開閉可能な下部窓と、を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、保冷容器は、上部窓及び下部窓を備えていなくてもよい。例えば、上部窓及び下部窓は、箱体とは別部材で設けられていてもよい。例えば、上部窓及び下部窓の設置態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0053】
上記実施形態では、下部窓は、下部開口の開口面積を変更可能に下部窓の設置位置を調整可能とされている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、下部開口の開口面積は、変更不能とされていてもよい。例えば、下部開口の開口態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0054】
上記実施形態では、箱体が折り畳み可能に構成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、箱体は、折り畳み不能に構成されていてもよい。例えば、箱体は、組み立て状態の形状から変更不能とされていてもよい。例えば、箱体の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0055】
上記実施形態では、保冷容器の一例として冷蔵又は冷凍された貨物等の保冷物品を容器内に収納し、冷蔵車又は冷凍車等の保冷車(冷蔵庫又は冷凍庫等の保冷庫を備えた貨物自動車)に搭載して目的地まで輸送するための輸送用保冷容器を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、保冷容器は、保冷物品を収納可能かつ保冷可能であれば、保冷容器内の温度は任意に設定可能である。例えば、保冷容器内の温度は、冷蔵の温度帯(例えば0℃以上8℃以下)及び冷凍の温度帯(例えば-15℃以下)に限らず、他の温度帯(例えば8℃以上)に設定可能であってもよい。例えば、保冷容器は、自動車に限らず、自転車及び電車等の他の車両、ドローン及び飛行機等の航空機、並びに船舶等の他の移動体に搭載されてもよい。例えば、保冷容器は、輸送用以外の保冷容器であってもよい。例えば、保冷容器は、冷蔵設備及び冷凍設備を有する保管庫に保管されてもよい。例えば、保冷容器は、上記の移動体に限らず、定位置に固定される固定体に搭載されてもよい。例えば、保冷容器は、倉庫等の固定体の保冷庫(冷蔵庫又は冷凍庫)等に搭載して、貨物等の保存に適した温度を保ちながら一時的に保管されていてもよい。例えば、保冷容器の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0056】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…保冷容器、2…箱体、15…箱体の前面(箱体の一面)、60…上部開口(開口)、61…下部開口(開口)、70…上部窓、71…下部窓