(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170358
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】切削インサート及び切削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 27/14 20060101AFI20221102BHJP
B23B 27/16 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
B23B27/14 C
B23B27/16 A
B23B27/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076442
(22)【出願日】2021-04-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000221144
【氏名又は名称】株式会社タンガロイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 佑磨
(72)【発明者】
【氏名】大塚 潤
(72)【発明者】
【氏名】望月 桂
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046EE01
3C046EE17
(57)【要約】
【課題】一つの切削部が破損しても、工具本体が切削インサートを十分に保持することがきるような切削インサートを提供する。
【解決手段】切削インサート10は、互いに対向する2つの側面20、21と、2つの側面20、21の中央を貫通する固定用穴22と、2つの側面20、21の外周縁の間に配置され、当該2つの側面20、21の外周縁に接続された外周面23と、を有する。外周面23は、4つの切削部50~53と、第1の切削部50と第2の切削部51との間に配置された第1の外周面部60と、第1の外周面部60に対向し、第3の切削部52と第4の切削部53との間に配置された第2の外周面部61と、を有する。第1の外周面部60と第2の外周面部61は、側面20、21を固定用穴22の軸方向Zから見た側面視で、中央が固定用穴22に近づくような凹み形状を有し、切削インサート10の外接円A2の直径D1と同じ直径を有する仮想円弧A1が、各外周面部60、61の二カ所で当接するように構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削インサートであって、
互いに対向する2つの側面と、
前記2つの側面の中央を貫通する固定用穴と、
前記2つの側面の外周縁の間に配置され、当該2つの側面の外周縁に接続された外周面と、を有し、
前記外周面は、
4つの切削部と、
前記4つの切削部のうちの隣り合う第1の切削部と第2の切削部との間に配置された第1の外周面部と、
前記第1の外周面部に対向し、前記4つの切削部のうちの隣り合う第3の切削部と第4の切削部との間に配置された第2の外周面部と、を有し、
前記第1の外周面部と前記第2の外周面部は、前記側面を前記固定用穴の軸方向から見た側面視で、中央が前記固定用穴に近づくような凹み形状を有し、切削インサートの外接円直径と同じ直径を有する仮想円弧が、前記各外周面部の二カ所で当接するように構成されている、切削インサート。
【請求項2】
前記第1の外周面部と前記第2の外周面部は、前記側面を前記固定用穴の軸方向から見た側面視で、略V字形状を有している、請求項1に記載の切削インサート。
【請求項3】
前記第1の外周面部と前記第2の外周面部は、130deg以上179deg以下の開き角を有する、請求項1又は2に記載の切削インサート。
【請求項4】
切削インサートの外接円直径と同じ直径を有する2つの仮想円弧を前記第1の外周面部と前記第2の外周面部にそれぞれ接するように配置したときに、前記2つの仮想円弧の中心間の距離は、切削インサートの外接円直径の150%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の切削インサート。
【請求項5】
前記固定用穴の穴径は、切削インサートの外接円直径の30%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の切削インサート。
【請求項6】
前記第1の切削部の切れ刃と前記第4の切削部の切れ刃を結ぶ方向の切削インサートの長さは、切削インサートの外接円直径の70%以下であり、
前記第1の切削部の切れ刃と前記第2の切削部の切れ刃を結ぶ方向の切削インサートの長さは、切削インサートの外接円直径の95%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の切削インサート。
【請求項7】
前記切削部の逃げ角が、10deg以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の切削インサート。
【請求項8】
前記側面は、前記4つの切削部の側面を含む第1の部分と、当該第1の部分の前記固定用穴側に位置し前記第1の部分に対し相対的に高くなるように突出した第2の部分を有し、
前記第2の部分は、第2の逃げ面を形成する外周面を有し、前記第2の逃げ面の逃げ角が、5deg以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の切削インサート。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の切削インサートと、
前記切削インサートが固定される工具本体と、を有する、切削工具。
【請求項10】
前記工具本体は、第1の外周面部と第2の外周面部のうちの一方の二か所に当接する第1の保持部と、第1の外周面部と第2の外周面部のうちの他方の一カ所に当接する第2の保持部と、を有する、請求項9に記載の切削工具。
【請求項11】
前記第1の保持部は、前記第2の保持部側に凸の円弧状面を有する、請求項10に記載の切削工具。
【請求項12】
前記第2の保持部は、前記第1の保持部側に凸の円弧状面を有する、請求項10又は11に記載の切削工具。
【請求項13】
前記工具本体は、ねじ用穴を有し、
前記切削インサートは、前記固定用穴と前記ねじ用穴に挿入されたねじにより前記工具本体に固定され、
切削工具の先端を工具本体の軸方向から見た平面視で、切削インサートの固定用穴の中心に対し工具本体のねじ用穴の中心をずらして、ねじにより前記切削インサートを前記工具本体に固定可能であり、切削インサートの使用される一つの切削部の切れ刃と固定用穴の中心を水平線上に配置した状態で、前記切削インサートの固定用穴の中心に対し工具本体のねじ用穴の中心がずれる方向は、鉛直下方向に対し0deg、又は工具本体の中心側に45deg以下の範囲で傾いた方向である、請求項9~12のいずれか一項に記載の切削工具。
【請求項14】
切削工具の先端を工具本体の軸方向から見た平面視で、4つの切削部のうちの対角に位置する2つの切削部の切れ刃同士を結ぶ仮想直線が水平になるように、前記切削インサートを前記工具本体に固定可能に構成されている、請求項9~13のいずれか一項に記載の切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削インサート及び切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
被削材を旋削し、被削材の内周面に溝入れ加工する切削工具では、一般的に、その先端部分において工具本体が切削インサートを保持している。この種の切削工具として、特許文献1には、4つの切削部を有し、その4つの切削部を形成する外周面に波形の凹凸が形成されている切削インサートが開示されている。このような切削インサートは、4つの切削部を使用できる点で有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の切削工具では、工具本体が切削インサートの切削部に当接して切削インサートを保持している。このため、例えば切削部の一つが破損すると、工具本体が切削インサートを十分に保持できなくなることがあり、この結果、仮に未使用の切削部があるとしても、その切削インサートを使用できなくなることがある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、一つの切削部が破損しても、工具本体が切削インサートを十分に保持することがきるような切削インサート及び切削工具を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る切削インサートは、互いに対向する2つの側面と、前記2つの側面の中央を貫通する固定用穴と、前記2つの側面の外周縁の間に配置され、当該2つの側面の外周縁に接続された外周面と、を有し、前記外周面は、4つの切削部と、前記4つの切削部のうちの互いに隣り合う第1の切削部と第2の切削部との間に配置された第1の外周面部と、前記第1の外周面部に対向し、前記4つの切削部のうちの互いに隣り合う第3の切削部と第4の切削部との間に配置された第2の外周面部と、を有し、前記第1の外周面部と前記第2の外周面部は、前記側面を前記固定用穴の軸方向から見た側面視で、中央が前記固定用穴に近づくような凹み形状を有し、切削インサートの外接円直径と同じ直径を有する仮想円弧が、前記各外周面部の二カ所で当接するように構成されている。
【0007】
上記態様によれば、工具本体が切削インサートの切削部以外の部分の当接部に当接し保持することが可能となり、この結果、一つの切削部が破損しても、工具本体が切削インサートを十分に保持することがきる。
【0008】
上記態様において、前記第1の外周面部と前記第2の外周面部は、前記側面を前記固定用穴の軸方向から見た側面視で、略V字形状を有するようにしてもよい。
【0009】
上記態様において、前記第1の外周面部と前記第2の外周面部は、130deg以上179deg以下の開き角を有するようにしてもよい。
【0010】
上記態様において、切削インサートの外接円直径と同じ直径を有する2つの仮想円弧を前記第1の外周面部と前記第2の外周面部にそれぞれ接するように配置したときに、前記2つの仮想円弧の中心間の距離は、切削インサートの外接円直径の150%以下であってもよい。
【0011】
上記態様において、前記固定用穴の穴径は、切削インサートの外接円直径の30%以下であってもよい。
【0012】
上記態様において、前記第1の切削部の切れ刃と前記第4の切削部の切れ刃を結ぶ方向の切削インサートの長さは、切削インサートの外接円直径の70%以下であり、前記第1の切削部の切れ刃と前記第2の切削部の切れ刃を結ぶ方向の切削インサートの長さは、切削インサートの外接円直径の95%以下であってもよい。
【0013】
上記態様において、前記切削部の逃げ角が、10deg以上であってもよい。
【0014】
上記態様において、前記側面は、前記4つの切削部の側面を含む第1の部分と、当該第1の部分の前記固定用穴側に位置し前記第1の部分に対し相対的に高くなるように突出した第2の部分を有し、前記第2の部分は、第2の逃げ面を形成する外周面を有し、前記第2の逃げ面の逃げ角が、5deg以上であってもよい。
【0015】
本発明の一態様に係る切削工具は、上記切削インサートと、切削インサートが固定される工具本体と、を有する。
【0016】
上記態様において、前記工具本体は、第1の外周面部と第2の外周面部のうちの一方の二か所に当接する第1の保持部と、第1の外周面部と第2の外周面部のうちの他方の一カ所に当接する第2の保持部と、を有するようにしてもよい。
【0017】
上記態様において、前記第1の保持部は、前記第2の保持部側に凸の円弧状面を有するようにしてもよい。
【0018】
上記態様において、前記第2の保持部は、前記第1の保持部側に凸の円弧状面を有するようにしてもよい。
【0019】
上記態様において、前記工具本体は、ねじ用穴を有し、前記切削インサートは、前記固定用穴と前記ねじ用穴に挿入されたねじにより前記工具本体に固定され、切削工具の先端を工具本体の軸方向から見た平面視で、切削インサートの固定用穴の中心に対し工具本体のねじ用穴の中心をずらして、ねじにより前記切削インサートを前記工具本体に固定可能であり、切削インサートの使用される一つの切削部の切れ刃と固定用穴の中心を水平線上に配置した状態で、前記切削インサートの固定用穴の中心に対し工具本体のねじ用穴の中心がずれる方向は、鉛直下方向に対し0deg、又は工具本体の中心側に45deg以下の範囲で傾いた方向であってもよい。
【0020】
上記態様において、切削工具の先端を工具本体の軸方向から見た平面視で、4つの切削部のうちの対角に位置する2つの切削部の切れ刃同士を結ぶ仮想直線が水平になるように、前記切削インサートを前記工具本体に固定可能に構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施の形態に係る切削工具の一例を示す斜視図である。
【
図4】切削インサートの固定用穴の軸方向から見た側面図である。
【
図5】切削インサートの第1の外周面部又は第2の外周面部の正面図である。
【
図6】切削インサートの第3の外周面部又は第4の外周面部の正面図である。
【
図7】距離L3、L4を説明するための切削インサートの固定用穴の軸方向から見た側面図である。
【
図8】角度α2、α3を説明するための切削インサートの固定用穴の軸方向から見た側面図である。
【
図11】切削インサートを工具本体に取り付けた切削工具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態に係る切削工具1の一例を示す斜視図であり、
図2は、切削工具1の先端部分の拡大図である。切削工具1は、例えば刃先交換式の旋削用の工具である。切削工具1は、切削インサート10と、切削インサート10が固定される工具本体(保持具)11を備えている。切削インサート10は、ねじ12によって工具本体11に固定される。
【0024】
<切削インサート>
図3は、切削インサート10の斜視図であり、
図4は、切削インサート10の固定用穴の軸方向から見た側面図である。
図5は、切削インサート10の第1の外周面部又は第2の外周面部の正面図であり、
図6は、切削インサート10の第3の外周面部又は第4の外周面部の正面図である。
【0025】
図3に示すように切削インサート10は、略長方形で厚みのある立体形状を有する。切削インサート10は、互いに対向する2つの側面20、21と、2つの側面20、21の中央を貫通する固定用穴22と、2つの側面20、21の外周縁の間に配置され、当該2つの側面20、21の外周縁に接続された外周面23を有している。
【0026】
側面20は、略長方形状を有し、その中央に円形の固定用穴22が開口している。側面20の4つの角部には、後述の切削部50~53が位置している。
【0027】
側面20は、4つの角部に近い第1の部分30と、第1の部分30の固定用穴22側であって当該固定用穴22の周囲に位置し、第1の部分30に対し相対的に高くなるように突出した第2の部分31を有している。第2の部分31は、略菱形形状を有し、その外縁に4面の外周面40を有している。各外周面40は、第2の部分31に対し略垂直(固定用穴22の軸方向Z)に立設する垂直面になっている。また、各外周面40は、固定用穴22の軸方向Zに垂直な方向であって後述の切削部50~53側に向いている。第2の部分31の表面は、例えば固定用穴22の軸方向Zに垂直な平坦であり、切削インサート10が工具本体11に取り付けられる際に後述の工具本体11の固定底面100に当接する。
【0028】
側面20の裏側の側面21は、側面20と同じ構成を有する。すなわち、側面21は、側面20と同様に、第1の部分30と、4つの外周面40を有する第2の部分31を有している。
【0029】
外周面23は、4つの切削部50、51、52、53と、4つの外周面部60、61、62、63を有している。
図4に示すように外周面23は、切削インサート10の長手方向Xの中心(固定用穴22の中心C1)を通る短手方向Yに沿った中心線K1と、切削インサート10の短手方向Yの中心(固定用穴22の中心C1)を通る長手方向Xに沿った中心線K2のそれぞれに線対称となる形状を有している。
【0030】
図3及び
図4に示すように外周面23は、第1の切削部50、第2の切削部51、第3の切削部52及び第4の切削部53を、固定用穴22の中心軸C1周り(
図3及び
図4の右周り)にこの順番で備えている。第1の切削部50と第2の切削部51、及び第3の切削部52と第4の切削部53は、長手方向Xに隣り合い、第2の切削部51と第3の切削部52、及び第1の切削部50と第4の切削部53は、短手方向Yに隣り合っている。
【0031】
第1の切削部50は、すくい面70-1と、すくい面70-1との間で交差稜線を形成する逃げ面71-1と、すくい面70-1と逃げ面71-1との間の交差稜線に形成された切れ刃72-1を有している。なお、すくい面70-1との間及び逃げ面71-1との間で交差稜線を形成する第1の切削部50の側面は、側面20、21の第1の部分30になっている。
【0032】
第2の切削部51は、第1の切削部50と同様に、すくい面70-2、逃げ面71-2及び切れ刃72-2を有している。第1の切削部50の切れ刃72-1と第2の切削部51の切れ刃72-2は、互いに対向している。すなわち、第1の切削部50のすくい面70-1と第2の切削部51のすくい面70-2が、同一方向(略短手方向Y)に向いた面に位置し、第1の切削部50の逃げ面71-1と第2の切削部51の逃げ面71-2が、相反する方向(略長手方向X)に向いた面に位置している。
【0033】
第3の切削部52は、第1の切削部50と同様に、すくい面70-3、逃げ面71-3及び切れ刃72-3を有している。第4の切削部53は、第1の切削部50と同様に、すくい面70-4、逃げ面71-4及び切れ刃72-4を有している。第3の切削部52の切れ刃72-3と第4の切削部53の切れ刃72-4は、互いに対向している。すなわち、第3の切削部52のすくい面70-3と第4の切削部53のすくい面70-4が、同一方向(略短手方向Y)に向いた面に位置し、第3の切削部52の逃げ面71-3と第4の切削部53の逃げ面71-4が、相反する方向(略長手方向X)に向いた面に位置している。
【0034】
図3乃至
図5に示すように第1の外周面部60は、長手方向Xに隣り合う第1の切削部50と第2の切削部51との間に配置され、第2の外周面部61は、第1の外周面部60に対向し、長手方向Xに隣り合う第3の切削部52と第4の切削部53との間に配置されている。
図3、
図4及び
図6に示すように第3の外周面部62は、短手方向Yに隣り合う第2の切削部51と第3の切削部52との間に配置され、第4の外周面部63は、第3の外周面部62に対向し、短手方向Yに隣り合う第1の切削部50と第4の切削部53との間に配置されている。
【0035】
図3乃至
図5に示すように第1の外周面部60は、第1の切削部50のすくい面70-1と第2の切削部51のすくい面70-2との間に形成されている。第1の外周面部60は、
図3及び
図4に示すように長手方向Xの中央が固定用穴22に近づくように凹む形状を有している。例えば第1の外周面部60は、
図4に示すように側面20を固定用穴22の軸方向Zから見た側面視で、略V字形状を有している。第1の外周面部60は、当該第1の外周面部60に当接する仮想円弧A1が二か所の当接部Bを有するように構成されている。
【0036】
図3乃至
図5に示すように第2の外周面部61は、第3の切削部52のすくい面70-3と第4の切削部53のすくい面70-4との間に形成されている。第2の外周面部61は、第1の外周面部60と同様に、
図3及び
図4に示すように長手方向Xの中央が固定用穴22に近づくように凹む形状を有し、略V字形状を有している。第2の外周面部61は、
図4に示すように当該第2の外周面部61に当接する仮想円弧A1が二か所の当接部Bを有するように構成されている。仮想円弧A1は、切削インサート10の外接円(各切削部50~53の切れ刃を通る円)A2の直径D1と同じ直径を有するものである。仮想円弧A1は、第1の外周面部60及び第2の外周面部61の凹み面に当接している。当接部Bは、第1の外周面部60及び第2の外周面部61の外側両端部よりも中央側にある。
【0037】
第1の外周面部60及び第2の外周面部61は、130deg以上179deg以下の開き角α1を有している。開き角α1は、140deg以上150deg以下が好ましい。
【0038】
仮想円弧A1を、切削インサート10の外接円(各切削部50~53の切れ刃を通る円)A2の直径D1と同じ直径を有するものとし、2つの仮想円弧A1を第1の外周面部60と第2の外周面部61にそれぞれ接するように配置したときに、2つの仮想円弧A1の中心O1、O2間の距離L1は、切削インサート10の外接円A2の直径D1の150%以下である。なお、距離L1は、外接円A2の直径D1の150%以下140%以上が好ましく、147%以下143%以上がさらに好ましい。
【0039】
図3、
図4及び
図6に示すように第3の外周面部62は、第2の切削部51の逃げ面71-2と第3の切削部52の逃げ面71-3との間に形成されている。第3の外周面部62は、例えば短手方向Yの中央の平坦面75と、当該平坦面75の両端部から逃げ面71-2、71-3に接続される傾斜面76を有している。第4の外周面部63は、第1の切削部50の逃げ面71-1と第4の切削部53の逃げ面71-4との間に形成されている。第4の外周面部63は、例えば短手方向Yの中央の平坦面75と、当該平坦面75の両端部から逃げ面71-1、71-4に接続される傾斜面76を有している。
【0040】
図7に示すように第1の切削部50の切れ刃71-1と第4の切削部53の切れ刃74-4を結ぶ方向(短手方向Y)の切削インサート10の長さL3は、第1の切削部50の切れ刃71-1と第2の切削部51の切れ刃71-2を結ぶ方向(長手方向X)の切削インサート10の長さL4の70%以上75%以下である。なお、長さL3は、第1の切削部50の切れ刃71-1と第4の切削部53の切れ刃74の切れ刃間の距離でもある。
【0041】
また、切削インサート10の長手方向Xの長さL4は、切削インサート10の外接円A2の直径D1の95%以下、好ましくは95%以下85%以上である。切削インサート10の短手方向Yの長さL3は、切削インサート10の外接円A2の直径D1の70%以下、好ましくは70%以下65%以上である。
【0042】
固定用穴22の穴径D2は、切削インサート10の外接円A2の直径D1の30%以下である。なお、穴径D2は、外接円A2の直径D1の28%以下20%以上が好ましい。
【0043】
さらに
図8に示すように切削部50~53の逃げ面71-1、71-2、71-3、71-4の逃げ角α2は、10deg以上であり、好ましくは、10deg以上15deg以下である。
【0044】
側面20、21の第2の部分31の外周面40は、各切削部50~53の切れ刃が被削材に進入すると被削材に当接する可能性があるため、第2の逃げ面を形成する。外周面40の第2の逃げ面の逃げ角α3は、5deg以上である。第2の逃げ面の逃げ角α3は、好ましくは、5deg以上10deg以下である。
【0045】
<工具本体>
工具本体11は、
図1に示したように一方向に長い略円柱形状を有し、その先端部分には、切削インサート10が固定される固定部80が形成されている。
【0046】
図9は、切削インサート10を外した状態の工具本体11の固定部80を示す斜視図であり、
図10は、切削インサート10を外した状態の工具本体11の固定部80をその軸方向Z1から見た正面図である。また、
図10の工具本体11は、使用時に切削機に固定されたときの姿勢であり、本明細書における上下、左右は、この
図10に示す工具本体11の姿勢に基づいている。
【0047】
図9及び
図10に示すように工具本体11の固定部80は、例えば切削インサート10の側面20又は側面21が当接する固定底面100と、切削インサート10の外周面23を保持する第1の保持部101及び第2の保持部102を有している。
【0048】
固定底面100は、例えば工具本体11の軸方向Z1(中心軸C2方向)に対し垂直の平坦面である。固定底面100には、ねじ12を螺合するための軸方向Z1に延びるねじ用穴110が形成されている。
図10に示すように工具本体11をその軸方向Z1から見た正面視で、ねじ用穴110は、その中心C3が工具本体11の中心C2と同程度(例えばわずかに下)の上下方向Mの位置であって、中心C2から水平方向Nの右側にずれた位置に設けられている。
【0049】
図9及び
図10に示すように第1の保持部101と第2の保持部102は、固定底面100から先端側に突出している。
図10に示すように第1の保持部101は、固定底面100の下側に配置されている。第1の保持部101は、上側の固定底面100側に、固定底面100に対し略垂直に立設する円弧状面111を有している。円弧状面111は、固定底面100側の斜め右上側に凸に湾曲している。円弧状面111は、切削インサート10の第1の外周面部60或いは第2の外周面部61よりも長い湾曲面を有している。
【0050】
第2の保持部102は、固定底面100の上側に配置されている。第2の保持部102は、下側の固定底面100側に、固定底面100に対し略垂直に立設する円弧状面112を有している。円弧状面112は、固定底面100側の斜め左下側に凸に湾曲している。円弧状面112は、第1の保持部101の円弧状面111よりも短く、切削インサート10の第1の外周面部60或いは第2の外周面部61の半分程度の長さの湾曲面を有している。
【0051】
<切削工具>
図11は、工具本体11に切削インサート10を取り付けた状態の切削工具1の正面図である。
【0052】
図2及び
図11に示すように切削インサート10は、固定用穴22とねじ用穴110に挿入されたねじ12により工具本体11に固定されている。この例は、4つの切削部50~53のうちの第2の切削部51が、切削加工時に使用されるものである。
【0053】
例えば切削インサート10の側面21は、工具本体11の固定底面100に当接し、側面20は、正面に露出している。
図11に示すように切削インサート10の第2の外周面部61は、第1の保持部101の円弧状面111と二か所で当接する。このときの第2の外周面部61の当接部分は、第2の外周面部61の長手方向Xの中央よりも第3の切削部52側の部分P1と、長手方向Xの中央よりも第4の切削部53側の部分P2である。第2の外周面部61の長手方向Xの中央付近と、第3の切削部52のすくい面70-3と、第4の切削部53のすくい面70-4は、円弧状面111に当接していない。
【0054】
切削インサート10の第1の外周面部60は、第2の保持部102の円弧状面112と一カ所で当接する。このときの第1の外周面部60の当接部分は、第1の外周面部60の長手方向Xの中央よりも第1の切削部50側の部分P3である。第1の切削部50のすくい面70-1と、第1の外周面部60における長手方向Xの中央付近及びそれより第2の切削部51側の部分と、第2の切削部51のすくい面70-2は、円弧状面112に当接していない。
【0055】
図11に示すような切削工具1の先端を工具本体11の軸方向Z1から見た正面視で、切削インサート10の固定用穴22の中心C1に対し工具本体11のねじ用穴110の中心C3がわずかにずれている。つまり、ねじ12は、固定用穴22よりもわずかに小さい径を有し、固定用穴22内でその中心C1からずれた位置でねじ用穴110に挿入される。切削インサート10の第2の切削部51の切れ刃72-2と固定用穴22の中心C1を水平線H1上に配置した状態で、切削インサート10の固定用穴22の中心C1に対し工具本体11のねじ用穴110の中心C3がずれる方向は、鉛直下方向H2に対し0deg、又は工具本体11の中心C2側に45deg以下の角度α4で傾いた方向である。角度α4は、好ましくは40deg以上44deg以下である。
【0056】
また
図11に示すような切削工具1の先端を工具本体11の軸方向Z1から見た正面視で、切削インサート10は、工具本体11に対し、対角に位置する第2の切削部51と第4の切削部53の切れ刃72-2、72-4同士を結ぶ仮想直線H1が水平(セットレーキが0deg)となるように固定されている。
【0057】
そして、切削工具1は、例えば被削材の内周面に溝入れを行う際に使用される。このとき、
図12に示すように切削工具1を正面側から見て、被削材200が中心軸である回転軸周りに右回転し、切削工具1の第2の切削部51が被削材200の内周面201に対し水平方向Nの右側に前進し、切れ刃72-2によって被削材200の内周面201が溝入れされる。
【0058】
なお、切削加工時に切削インサート10の第2の切削部51以外の切削部を使用する際には、
図11の切削インサート10を固定用穴22の中心C1周りに180°回転させて工具本体11に取り付けることで、第4の切削部53を使用することができる。このとき、第1の外周面部60が第1の保持部101に二カ所で保持され、第2の外周面部61が第2の保持部102に一カ所で保持される。また、
図11の切削インサート10を裏返しにし、側面21側を表面にして、第1の外周面部60が第1の保持部101に保持され、第2の外周面部61が第2の保持部102に保持されることで、第3の切削部52を使用することができる。さらに、その切削インサート10を180°回転させることで、第1の切削部50を使用することができる。
【0059】
本実施の形態によれば、切削インサート10の外周面23が、4つの切削部50~53と、第1の外周面部60及び第2の外周面部61を有し、第1の外周面部60と第2の外周面部61は、中央が固定用穴22に近づくような凹み形状を有し、切削インサート10の外接円A2の直径D1と同じ直径を有する仮想円弧A1が、各外周面部60、61の二カ所で当接するように構成されている。これにより、工具本体11が切削インサート10の切削部50~53以外の部分の当接部Bに当接し保持することが可能となり、この結果、一つの切削部が破損しても、工具本体11が切削インサート10を十分に保持することがきる。また、第1の外周面部60及び第2の外周面部61は、切削インサート10の外接円A2の直径D1と同じ直径を有する仮想円弧A1が、各外周面部60、61の二カ所で当接するように構成されているため、切削インサート10の短手方向Yの厚みや、工具本体11の第1の保持部101及び第2の保持部102の厚みを確保しやすくなり、切削インサート10や工具本体11の変形や破損を抑制することができる。
【0060】
第1の外周面部60と第2の外周面部61は、側面20、21を固定用穴22の軸方向Zから見た側面視で略V字形状を有している。これにより、工具本体11が切削インサート10の切削部50~53以外の部分の当接部Bに好適に当接し十分に保持することができる。
【0061】
第1の外周面部60と第2の外周面部61は、130deg以上179deg以下の開き角α1を有する。これにより、切削インサート10の短手方向Yの厚みや、工具本体11の第1の保持部101及び第2の保持部102の厚みを確保しやすくなり、切削インサート10や工具本体11の変形や破損を抑制することができる。
【0062】
切削インサート10の外接円A2の直径D1と同じ直径を有する2つの仮想円弧A1を第1の外周面部60と第2の外周面部61にそれぞれ接するように配置したときに、2つの仮想円弧A1の中心O1、O2間の距離L1は、切削インサート10の外接円A2の直径D1の150%以下である。これにより、第1の外周面部60と第2の外周面部61の開き角α1が大きくなるため、切削インサート10の短手方向Yの厚みや、工具本体11の第1の保持部101及び第2の保持部102の厚みを確保しやすくなり、切削インサート10や工具本体11の変形や破損を抑制することができる。
【0063】
固定用穴22の穴径D2は、切削インサート10の外接円A2の直径D1の30%以下であるので、切削インサート10の固定用穴22周囲の肉厚を確保して切削インサート10の強度を確保することができる。
【0064】
第1の切削部50の切れ刃71-1と第4の切削部53の切れ刃74-4を結ぶ方向(短手方向Y)の切削インサート10の長さL3は、切削インサート10の外接円A2の直径D1の70%以下である。また、第1の切削部50の切れ刃71-1と第2の切削部51の切れ刃71-2を結ぶ方向(長手方向X)の切削インサート10の長さL4は、切削インサートの外接円直径の95%以下である。これにより、切削インサート10の切れ刃間の長さが適切になり、工具本体11に対する当接面を十分に確保することができる。
【0065】
切削部50~53の逃げ角α2が、10deg以上であるので、被削材の小径加工に対応することができる。
【0066】
側面20、21の第2の部分31は、第2の逃げ面を形成する外周面40を有し、第2の逃げ面の逃げ角α3が、5deg以上である。この場合、外周面40の第2の逃げ面の逃げ角が十分に大きくなるため、切削部50~53がより深い溝入れ加工を行った際に外周面40が被削材に接触することが抑制される。この結果、切削部50~53による、より深い溝入れ加工が可能になる。
【0067】
切削工具1において、工具本体11は、第1の外周面部60と第2の外周面部61のうちの一方の二か所に当接する第1の保持部101と、第1の外周面部60と第2の外周面部61のうちの他方の一カ所に当接する第2の保持部102を有している。これにより、工具本体11は、切削インサート10を切削部50~53以外の3点で好適に保持しつつ、一つの切削部が破損しても、切削インサート10を十分に保持することができる。
【0068】
第1の保持部101は、第2の保持部102側に凸の円弧状面111を有し、第2の保持部102は、第1の保持部101側に凸の円弧状面112を有する。これにより、工具本体11は、切削インサート10を切削部50~53以外の3点で好適に保持することができる。
【0069】
図11に示したように切削インサート10の固定用穴22の中心C1に対し工具本体11のねじ用穴110の中心C3をずらして、ねじ12により切削インサート10を工具本体11に固定可能である。そして、切削インサート10の使用される一つの切削部52の切れ刃72-2と固定用穴22の中心C1を水平線H1上に配置した状態で、切削インサート10の固定用穴22の中心C1に対し工具本体11のねじ用穴110の中心C3がずれる方向は、鉛直下方向H2に対し0deg、又は工具本体11の中心C2側に45deg以下の角度α4で傾いた方向である。この場合、ねじ12により切削インサート10を第1の保持部101側に押し付けながら固定することができる。これにより、被削材による回転方向の負荷をねじ12や第1の保持部101で十分に受けることができ、その結果、第2の保持部102にかかる負荷を低減することができる。これにより、第2の保持部102の肉厚を薄くすることができ、この結果、工具本体11に対する、使用する切削部52の突出量(溝入れ量)を大きくすることができる。
【0070】
切削工具1は、切削工具1の先端を工具本体11の軸方向Z1から見た平面視で、対角に位置する2つの切削部51、53の切れ刃72-2、72-4同士を結ぶ仮想直線H1が水平になるように、切削インサート10を工具本体11に固定可能に構成されている。これにより、4つの切削部50~53を有する切削インサート10において、使用する第2の切削部51の切れ刃を工具本体11から最大限突出させることができ、溝入れ量を十分に確保することができる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0072】
例えば切削インサート10や工具本体11の構造や形状は上記実施の形態のものに限られない。例えば切削インサート10の第1の外周面部60及び第2の外周面部61の形状はV字形状に限られず、例えばU字形状等であってもよい。本発明は、旋削用の切削工具のみならず転削用の切削工具に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、一つの切削部が破損しても、工具本体が切削インサートを十分に保持することがきるような切削インサート及び切削工具を提供する際に有用である。
【符号の説明】
【0074】
1 切削工具
10 切削インサート
11 工具本体
20、21 側面
22 固定用穴
23 外周面
50 第1の切削部
51 第2の切削部
52 第3の切削部
53 第4の切削部
60 第1の外周面部
61 第2の外周面部
X 長手方向
Y 短手方向
Z 軸方向
A1 仮想円弧
B 当接部
【手続補正書】
【提出日】2021-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削インサートであって、
互いに対向する2つの側面と、
前記2つの側面の中央を貫通する固定用穴と、
前記2つの側面の外周縁の間に配置され、当該2つの側面の外周縁に接続された外周面と、を有し、
前記外周面は、
4つの切削部と、
前記4つの切削部のうちの隣り合う第1の切削部と第2の切削部との間に配置された第1の外周面部と、
前記第1の外周面部に対向し、前記4つの切削部のうちの隣り合う第3の切削部と第4の切削部との間に配置された第2の外周面部と、を有し、
前記第1の外周面部と前記第2の外周面部は、前記側面を前記固定用穴の軸方向から見た側面視で、中央が前記固定用穴に近づくような凹み形状を有し、切削インサートの外接円直径と同じ直径を有する仮想円弧が、前記各外周面部の凹み形状内の二カ所で当接するように構成され、
切削インサートの外接円直径と同じ直径を有する2つの仮想円弧を前記第1の外周面部と前記第2の外周面部にそれぞれ接するように配置したときに、前記2つの仮想円弧の中心間の距離は、切削インサートの外接円直径の150%以下である、切削インサート。
【請求項2】
前記第1の外周面部と前記第2の外周面部は、前記側面を前記固定用穴の軸方向から見た側面視で、略V字形状を有している、請求項1に記載の切削インサート。
【請求項3】
前記第1の外周面部と前記第2の外周面部は、130deg以上179deg以下の開き角を有する、請求項1又は2に記載の切削インサート。
【請求項4】
前記固定用穴の穴径は、切削インサートの外接円直径の30%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の切削インサート。
【請求項5】
前記第1の切削部の切れ刃と前記第4の切削部の切れ刃を結ぶ方向の切削インサートの長さは、切削インサートの外接円直径の70%以下であり、
前記第1の切削部の切れ刃と前記第2の切削部の切れ刃を結ぶ方向の切削インサートの長さは、切削インサートの外接円直径の95%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の切削インサート。
【請求項6】
前記切削部に形成された逃げ面の逃げ角が、10deg以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の切削インサート。
【請求項7】
前記側面は、前記4つの切削部の側面を含む第1の部分と、当該第1の部分の前記固定用穴側に位置し前記第1の部分に対し相対的に高くなるように突出した第2の部分を有し、
前記第2の部分は、第2の逃げ面を形成する外周面を有し、前記第2の逃げ面の逃げ角が、5deg以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の切削インサート。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の切削インサートと、
前記切削インサートが固定される工具本体と、を有する、切削工具。
【請求項9】
前記工具本体は、第1の外周面部と第2の外周面部のうちの一方の二か所に当接する第1の保持部と、第1の外周面部と第2の外周面部のうちの他方の一カ所に当接する第2の保持部と、を有する、請求項8に記載の切削工具。
【請求項10】
前記第1の保持部は、前記第2の保持部側に凸の円弧状面を有する、請求項9に記載の切削工具。
【請求項11】
前記第2の保持部は、前記第1の保持部側に凸の円弧状面を有する、請求項9又は10に記載の切削工具。
【請求項12】
前記工具本体は、ねじ用穴を有し、
前記切削インサートは、前記固定用穴と前記ねじ用穴に挿入されたねじにより前記工具本体に固定され、
切削工具の先端を工具本体の軸方向から見た平面視で、前記固定用穴は、前記ねじ用穴よりも大きく、切削インサートの固定用穴の中心に対し工具本体のねじ用穴の中心をずらして、ねじにより前記切削インサートを前記工具本体に固定可能であり、切削インサートの使用される一つの切削部の切れ刃と固定用穴の中心を水平線上に配置した状態で、前記切削インサートの固定用穴の中心に対し工具本体のねじ用穴の中心がずれる方向は、鉛直下方向に対し0deg、又は工具本体の中心側に45deg以下の範囲で傾いた方向である、請求項8~11のいずれか一項に記載の切削工具。
【請求項13】
切削工具の先端を工具本体の軸方向から見た平面視で、4つの切削部のうちの対角に位置する2つの切削部の切れ刃同士を結ぶ仮想直線が水平になるように、前記切削インサートを前記工具本体に固定可能に構成されている、請求項8~12のいずれか一項に記載の切削工具。