(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170360
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】物品受渡装置
(51)【国際特許分類】
G07F 17/12 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
G07F17/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076445
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】506226658
【氏名又は名称】株式会社アルファロッカーシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀二
【テーマコード(参考)】
3E048
【Fターム(参考)】
3E048CA02
3E048CA17
3E048CA21
3E048CA30
3E048DA10
(57)【要約】
【課題】品質低下が見込まれる物品にも対応できる物品受渡装置を提供する。
【解決手段】ロッカー装置1は、商品の提供可能時間を含む入庫用コードを読み込む背面側リーダ22bと、ロッカーボックス32の受取用コードを読み込む正面側リーダ22aと、商品をロッカーボックス32へ入庫した時点からの時間を計時するとともに、ロッカーボックス32の解錠操作を検出した際に、計時した時間が提供可能時間以内である場合にロッカーボックス32を解錠する制御部28と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも物品の受け渡し時には解錠が必要な収容庫を備える物品受渡装置であって、
前記物品の提供可能時間を取得する取得部と、
前記物品を前記収容庫へ預け入れた時点からの時間を計時する計時部と、
前記収容庫の解錠操作を検出し、解錠の制御を行う解錠制御部と、を備え、
前記解錠制御部は、前記解錠操作を検出した際に、前記計時部が計時した時間が前記提供可能時間以内である場合に前記収容庫を解錠する、
ことを特徴とする物品受渡装置。
【請求項2】
前記解錠操作を検出した際に、前記計時部が計時した時間が前記提供可能時間を超えている場合は、解錠不可である旨の通知をする第1通知部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の物品受渡装置。
【請求項3】
前記計時部が計時した時間が前記提供可能時間を超えた場合に、前記提供可能時間を超えた旨の通知を出力する第2通知部を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の物品受渡装置。
【請求項4】
前記提供可能時間は、前記物品の種類に応じた時間に設定されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の物品受渡装置。
【請求項5】
前記提供可能時間は、1つの前記収容庫に複数種の前記物品が収容される場合は、前記提供可能時間が最も短い前記物品に合わせて設定されていることを特徴とする請求項4に記載の物品受渡装置。
【請求項6】
前記収容庫は、一次元バーコード又は二次元バーコードを用いて解錠されることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の物品受渡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも物品の受け渡し時には解錠が必要な収容庫を備える物品受渡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ネットワークを介して、商品の注文を行い、ロッカーシステムから商品を受け取るシステムは既に知られている。
【0003】
特許文献1には、注文受付販売システムと、店舗と、商品受渡用ロッカーと、をネットワークで結び、顧客は注文端末装置により、商品受渡用ロッカー及び発注先店舗を選択する。そして、注文受付販売システムは、顧客が発注した商品の在庫及び引渡し可能日を店舗の在庫管理システムに問い合せ、注文端末装置に引渡可能日を表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生鮮食料品や弁当等の調理済み食品といった商品は提供までの経過時間によって鮮度等の品質低下が見込まれる為、店舗スタッフの巡回等で品質低下を検出し値引きや回収をしている。また、コンビニエンスストア等ではレジの支払い時に提供可能か検出をしている。
【0006】
このような生鮮食料品や調理済み食品等の受け渡しにロッカー等の収容庫を利用する場合、店舗スタッフが商品の入庫まで行ったとしても、その後定期的に品質低下の有無の確認をすることは負担が大きく困難なため、時間経過による品質低下した商品も受け取れてしまうという問題がある。
【0007】
特許文献1に記載の発明は、顧客が発注した商品の在庫の状況に応じて引渡し可能日を表示しているが、引渡し可能日の設定に引渡す商品自体の品質低下といった特性の変化は何ら考慮されていない。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、品質低下が見込まれる物品にも対応できる物品受渡装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた発明は、少なくとも物品の受け渡し時には解錠が必要な収容庫を備える物品受渡装置であって、前記物品の提供可能時間を取得する取得部と、前記物品を前記収容庫へ預け入れた時点からの時間を計時する計時部と、前記収容庫の解錠操作を検出し、解錠の制御を行う解錠制御部と、を備え、前記解錠制御部は、前記解錠操作を検出した際に、前記計時部が計時した時間が前記提供可能時間以内である場合に前記収容庫を解錠する、ことを特徴とする物品受渡装置である。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明は、解錠操作を検出した際に、物品の提供可能時間以内である場合に収容庫が解錠されるので、提供可能時間以内でないと物品を受け渡すことができなくなる。したがって、品質低下が見込まれる物品であっても品質が維持された状態で受け渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるロッカー装置を有するシステムの概略構成図である。
【
図2】
図1に示されたロッカー装置の外観図である。
【
図3】
図1に示されたロッカー装置の機能構成図である。
【
図4】
図1に示された管理サーバの機能構成図である。
【
図5】本実施形態にかかるロッカー装置等の動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる物品受渡装置を有するシステムの概略構成図である。
【0013】
図1に示したシステム100は、物品受渡装置としてのロッカー装置1と、管理サーバ50と、を備えている。また、ロッカー装置1と管理サーバ50とはインターネット等のネットワークNを介して互いに通信可能となっている。さらに、管理サーバ50はネットワークNを介してユーザ端末装置80と通信可能となっている。
【0014】
ロッカー装置1は、例えば店舗内等に設置される。また、1か所に設置されるロッカー装置1は1台に限らず複数台であってもよい。
【0015】
図2にロッカー装置1の外観図を示す。
図2(a)はロッカー装置1の正面図、
図2(b)はロッカー装置1の背面図、
図2(c)はロッカー装置1の側面図である。
図2に示したロッカー装置1は、例えば弁当や総菜等の調理済み食品を販売する店舗に設置されている。そして、背面側にキッチンがあり、例えば注文された食品(商品)を各ロッカーボックス32に収容(預入)し、注文者(利用者、顧客)は正面側からロッカーボックス32を解錠して注文した食品を受け取る。
【0016】
ロッカー装置1は、集中制御装置2と、ロッカー部3と、を備えている(
図3参照)。集中制御装置2は、
図2では、正面側の左列上から2段目に相当する位置(符号2aで示す)、背面側からは右列上から2段目に相当(符号2bで示す)する位置に設けられている。そして、ロッカー装置1の集中制御装置2以外の部分はロッカー部3となっている。
【0017】
ロッカー部3は、正面側が施錠可能な複数個の収容庫としてのロッカーボックス32を備えている。
図2では、3列×6段の17個(集中制御装置2が設けられている部分を除く)を備えている。ロッカーボックス32は、正面側には扉31が設けられており、この扉31は後述するロック部33により施錠及び解錠が可能となっている。
【0018】
一方で、ロッカーボックス32は、背面側には扉が設けられておらず棚のような構成となっている。このようにすることにより、キッチン側では、調理が完了した注文品の収容が簡単に行える。特に、調理を行う食品の場合、扉の開け閉めが無いことで、盛り付け等を崩さず迅速に収容することが容易となる。また、ロッカーボックス32に商品があるか否かの確認も容易である。
【0019】
また、ロッカーボックス32には、商品検出センサ35を備えている。商品検出センサ35は、ロッカーボックス32内に商品(物品)が収容されているか検出するセンサである。商品検出センサ35は、例えば、重量センサ、カメラや光センサ等周知の方法に用いられるセンサでよい。
【0020】
図3にロッカー装置1の機能構成図を示す。集中制御装置2は、操作表示部21と、コードリーダ22と、入庫可能ランプ23と、入庫中止ボタン24と、制御部28と、通信インターフェース29と、を備えている。
【0021】
操作表示部21は、例えば利用者に情報を表示する液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display(LCD))とタッチパネルから構成されている。また、操作表示部21は、後述するように注文した商品の受け取りをする際の操作画面等が表示される。
【0022】
コードリーダ22は、一次元バーコードやQRコード(登録商標)等の二次元バーコードといったコードを読み取る。なお、以下の説明では、コードリーダ22が読み取るコードはQRコード(登録商標)として説明するが一部を除き単にコードと略して記載する。
【0023】
また、本実施形態では、コードリーダ22は、
図2に示したように、正面側リーダ22aと、背面側リーダ22bと、を含む。正面側リーダ22aは、正面側の集中制御装置2aに設けられている。正面側リーダ22aは、商品の注文者(利用者)が商品の受け取り時に使用する。背面側リーダ22bは、背面側の集中制御装置2bに設けられている。背面側リーダ22bは、店舗スタッフ等が商品の収容時に使用する。
【0024】
また、背面側リーダ22bは、
図2(c)に示したように、斜め下方に傾けて配置されている。つまり、読み取り方向の軸線が斜め下に向くように配置されている。これは、正面側リーダ22aのようにロッカーボックス32の扉等と同様に集中制御装置2aの表面パネルと平行(鉛直)に設けられると、容器にコードが表示された弁当等を読み取らせる場合に、容器の傾きが大きくなり、盛り付けが崩れたり汁がこぼれたりするおそれがある。そこで、
図2(c)に示したように背面側リーダ22bを斜め下方に傾けて配置することで、容器を大きく傾けることなくコードを読み取らせることが可能となる。
【0025】
入庫可能ランプ23は、背面側の集中制御装置2bに設けられている。入庫可能ランプ23は、ロッカー装置1に商品を入庫(収容)可能であることを表示するランプである。入庫可能ランプ23は、商品検出センサ35の検出結果に基づいて例えば空いているロッカーボックス32があるか否か制御部28が判定して点灯(入庫可)又は消灯(入庫不可)させる。
【0026】
入庫中止ボタン24は、背面側の集中制御装置2bに設けられている。入庫中止ボタン24は、例えば入庫済みの商品について注文キャンセル等により入庫を中止するボタンである。入庫中止ボタン24が操作されると、制御部28は当該注文に対応する商品の入庫を中止扱いとする。
【0027】
制御部28は、操作表示部21、コードリーダ22、入庫可能ランプ23、入庫中止ボタン24、通信インターフェース29の各構成要素と通信可能に接続され、ロッカー装置1全体を制御する中央演算装置(CPU)等のプロセッサやメモリ等の記憶装置を含むユニットである。
【0028】
また、制御部28は、ロッカーボックス32の利用状況を管理するためのデータベース等を有している。制御部28は、このデータベース等の管理情報を必要に応じて更新する。即ち、制御部28は、複数のロッカーボックス個々の利用状況の管理を行う管理部として機能する。なお、利用状況とは予約やロッカーの空き状況であり、将来の利用予測や予約状況を考慮して管理してもよい。
【0029】
通信インターフェース29は、外部と通信するためのインターフェース(I/F)デバイスである。
【0030】
ロッカー部3は、施錠可能な複数個のロッカーボックス32を備えている。ロッカーボックス32は、上述したように正面側には扉31が開閉可能に設けられている。また、ロッカーボックス32は、
図3に示したようにロック部33と商品検出センサ35とを備えている。ロック部33は、扉を施錠及び解錠する機構であり、電気錠34を備えている。
【0031】
電気錠34は、扉の開閉を規制する機構であって、集中制御装置2(制御部28)からの指示に応じて、扉の施錠または解錠を行う。
【0032】
管理サーバ50は、サーバ装置等の汎用のコンピュータシステムにより構成されている。管理サーバ50は、ユーザ端末装置80から注文を受け付けた商品(物品)をロッカー装置1に預け入れる(入庫する)ための入庫用コードや利用者がロッカー装置1から物品を受け取るための受取用コードを生成する。
【0033】
入庫用コードや受取用コードは例えばQRコード(登録商標)として生成すればよい。生成された入庫用コードは店舗やオフィス等に設置されたプリンタ等から印刷されてもよいし、携帯端末装置等に転送されてもよい。受取用コードはユーザ端末装置80へ送信される。また、この受取用コードは、ロッカー装置1へも送信され利用者の受け取り時の認証に用いられる。なお、ロッカー装置1に送信するのではコードでなくてもよく、コードに含まれる情報(電子鍵や注文番号等)をコード化せずに送信してもよい。
【0034】
管理サーバ50の機能構成を
図4に示す。
図4に示したように、管理サーバ50は、通信部51と、処理部52と、記憶部53と、を備えている。
【0035】
通信部51は、例えばコンピュータの通信インターフェース等が機能する。通信部は、ロッカー装置1とネットワークNを介して通信を行う。
【0036】
処理部52は、例えばコンピュータのCPU等が機能する。処理部52は、ユーザ端末装置80から送信された注文に基づいて入庫用コード等を生成する。
【0037】
記憶部53は、例えばコンピュータのハードディスク等の記憶装置が機能する。記憶部53は、ロッカー装置1やユーザ端末装置80から送信された各種情報を記憶する。
【0038】
ユーザ端末装置80は、利用者(ユーザ)が所持する端末装置である。ユーザ端末装置80は、スマートフォン等の可搬型の端末装置であればよいが、勿論パーソナルコンピュータ等であってもよい。ユーザ端末装置80は、後述するように管理サーバ50に対して商品の注文を行う。
【0039】
次に、上述した構成のシステム100の動作について
図5を参照して説明する。
図5は、本実施形態にかかるシステム100におけるユーザ端末装置80、管理サーバ50及びロッカー装置1のそれぞれの動作を示したフローチャートである。
【0040】
まず、ユーザ端末装置80から商品の注文を行う(ステップS101)。商品の注文は、ECサイトや注文アプリ等により行えばよい。本実施形態では、例えば生鮮食料品や弁当等の調理済み食品等といった時間経過(数十分~数時間)により品質低下が見込まれ、提供時間に限りがある商品の注文として説明する。
【0041】
次に、管理サーバ50は、通信部51を介して処理部52がユーザ端末装置80からの注文を受け付け商品購入の決済を行う(ステップS201)。即ち、通信部51は、ロッカーボックス32への物品の預入依頼を受け付ける受付部として機能する。
【0042】
次に、処理部52は、決済が完了した注文について注文番号と提供可能時間を付与する(ステップS202、S203)。注文番号は、個々の注文を識別するための固有番号である。提供可能時間は、この時間が経過すると商品の提供(受取)を不可とする時間である。提供可能時間は、例えば、ハンバーガーは〇分、サラダは×分といったように、注文された商品ごとに定められており、概ね数十分~数時間に設定されている。即ち、提供可能時間は、物品の種類に応じた時間に設定されている。
【0043】
次に、処理部52は入庫用コード(入庫QR)を生成する。(ステップS204)。この入庫用コードには、注文番号、商品名、提供可能時間、ロッカーIDなどが含まれる。ロッカーIDは、ロッカー装置1を識別するIDである。この入庫用コードは、物品情報に相当する。
【0044】
次に、処理部52は生成された入庫用コードを発行する(ステップS205)。ステップS205では、ステップS204で生成された入庫用コードをシール等としてプリンタ等から出力させ容器等に貼り付ける。
【0045】
次に、店舗スタッフは、発行された入庫用コードを受け取り、ロッカー装置1に入庫する商品の準備をして(調理等を行い)、ロッカー装置1の設置場所に赴く(ステップS206)。
【0046】
次に、店舗スタッフは、ロッカー装置1の背面側リーダ22bにより入庫用コード(入庫QR)を読み込ませる(ステップS301)。即ち、背面側リーダ22bは、物品の提供可能時間を取得する取得部として機能する。入庫用コードが読み込まれると、制御部28は、ロッカーIDの照合を行い、照合が一致すると、注文番号、商品名、提供可能時間等をそれぞれ紐付けて内部に記憶する。
【0047】
次に、制御部28は商品入庫が完了したか判定する(ステップS302)。入庫完了は、商品を入庫したロッカーボックス32の商品検出センサ35が商品を検出した旨の出力の有無で判定すればよい。また、入庫した時点で、商品が入庫されたロッカーボックス32と注文番号、商品名、提供可能時間等が紐付けられる。
【0048】
入庫完了しない場合は(ステップS302;N)、入庫完了までステップS302を繰り返し、入庫完了した場合は(ステップS302;Y)、制御部28は預入通知を通信インターフェース29を介して管理サーバ50に送信する(ステップS303)。預入完了通知には、対応する商品の注文番号とロッカーID、ロッカーボックス32の番号などが含まれている。ロッカーボックス32の番号は、商品を検出した旨の出力をした商品検出センサ35により特定することが可能である。
【0049】
また、入庫完了した場合制御部28は、内蔵しているタイマ等により入庫完了を検出した時点からの時間の計時を開始する。即ち、制御部28は、物品を収容庫へ預け入れた時点からの時間を計時する計時部として機能する。
【0050】
以上により、商品入庫完了となる(ステップS304)。これで1つの入庫用コードについての作業が終了する。
【0051】
なお、本実施形態では、
図2に示したように背面側(入庫側)に扉が無い構成を便宜上ロッカー装置と呼んでいるが、宅配ボックス等、物品の受け渡しに利用できるもの(物品受渡装置)であればよい。また、
図2の構成に対して背面に扉を設けてもよいし、正面側のみに扉を有する一般的なロッカー装置であってもよい。入庫時に扉の開閉を伴う場合は、入庫用コードには入庫時に使用する解錠用の電子鍵も含めるか、別途暗証番号等として店舗側に通知する。
【0052】
管理サーバ50では、通信部51を介して処理部52がロッカー装置1から預入通知を受信すると、受取用コード(受取QR)を生成する(ステップS208)。この受取用コードには、解錠用の電子鍵の他、ロッカーID、ロッカーボックス32の番号及び提供可能時間などが含まれる。提供可能時間は、受信した預入通知に含まれる注文番号から特定すればよい。この受取用コードが解錠情報に相当する。また、受取用コードを入庫用コードと同じものとし、電子鍵は別途パスワード(暗証番号)等として生成してもよい。
【0053】
次に、処理部52は、ステップS207で生成した受取用コードを、通信部51を介して注文を受け付けた利用者(ユーザ端末装置80)に通知する(ステップS208)。
【0054】
ユーザ端末装置80では、管理サーバ50から受取用コードを受信する(ステップS102)。そして、物品を受け取る際に利用者はユーザ端末装置80に受信した受取用コードを表示させてロッカー装置1の設置場所に赴く(ステップS103)。この受取用コード受信時に提供可能時間を表示させて利用者に受け取れる期間を通知してもよい。
【0055】
次に、利用者がロッカー装置1の正面側リーダ22aにより受取用コード(受取QR)を読み込ませる(ステップS305)。この動作は解錠操作となる。なお、ステップS305で受取用コードを読み込ませるのはステップS101で注文した者(注文者)に限らず、注文者からの依頼を受けた配達業者等であってもよい。
【0056】
受取用コードが読み込まれると、制御部28は、事前に管理サーバ50から受信しているコードを用いて認証する。認証が成功すると、制御部28は、読み込まれた受取用コードに対応する提供可能時間が経過しているか判定する(ステップS306)。提供可能時間は、上述したように商品入庫完了時点から計時が開始されており、ステップS306の実行の時点で計時した時間と提供可能時間とを比較して判定する。
【0057】
提供可能時間が経過していない場合は(ステップS306;Y)、制御部28は、受取用コードに対応するロッカーボックス32(対象BOX)を解錠させる(ステップS307)。この対象BOXとは、ステップS303で預入通知を送信した際の入庫完了したロッカーボックス32を示す。即ち、制御部28は、収容庫の解錠操作を検出し、解錠の制御を行う解錠制御部として機能する。そして、制御部28は、解錠操作を検出した際に、計時部が計時した時間が提供可能時間以内である場合に収容庫を解錠する。
【0058】
そして、利用者が対象BOXから物品を取り出して(ステップS308)、受け取る(ステップS104)。また、ロッカー装置1は、制御部28が通信インターフェース29を介して取出通知を管理サーバ50に送信する(ステップS309)。この取出通知は、商品検出センサ35の検出結果に基づいて送信すればよい。
【0059】
管理サーバ50では、通信部51が取出通知を受信(受取)して(ステップS209)、処理部52が対応する注文番号にかかる商品の受取が完了したものとして処理する(ステップS210)。
【0060】
一方、提供可能時間が経過した場合は(ステップS306;N)、制御部28は、操作表示部21に受け取り不可表示をさせる(ステップS310)。これは、提供可能時間を経過したので注文した商品を受け取れない旨の表示をするものである。即ち、操作表示部21は、解錠操作を検出した際に、計時部が計時した時間が提供可能時間を超えている場合は、解錠不可である旨の通知をする第1通知部として機能する。
【0061】
そして、制御部28は、管理サーバ50に対して受取不可通知を通信インターフェース29に送信させる(ステップS211)。この受取不可通知には、注文番号などが含まれ、当該注文番号の商品が提供可能時間を経過した旨を通知するものである。この受取不可通知を受信した管理サーバ50は、処理部52が、店舗等に商品回収指示等を送信するとともに、当該注文番号に対応する受取用コードを無効化する。即ち、通信インターフェース29は、計時部が計時した時間が提供可能時間を超えた場合に、提供可能時間を超えた旨の通知をする第2通知部として機能する。
【0062】
本実施形態によれば、ロッカー装置1は、商品の提供可能時間を含む入庫用コードを読み込む背面側リーダ22bと、ロッカーボックス32の受取用コードを読み込む正面側リーダ22aと、商品をロッカーボックス32へ入庫した時点からの時間を計時するとともに、ロッカーボックス32の解錠操作を検出した際に、計時した時間が提供可能時間以内である場合にロッカーボックス32を解錠する制御部28と、を備えている。
【0063】
ロッカー装置1が上記のように構成されていることにより、受取用コードを読み込んだ際に、商品の提供可能時間以内である場合にロッカーボックス32が解錠されるので、提供可能時間以内でないと商品を受け渡すことができなくなる。したがって、生鮮食料品や調理済みの食品のような品質低下が見込まれる商品であっても品質が維持された状態で受け渡すことができる。
【0064】
また、受取用コードを読み込んだ際に、制御部28で計時した時間が提供可能時間を超えている場合は、解錠不可である旨の通知をする操作表示部21を備えているので、利用者に商品の提供可能時間を超えており、受け取れないことを通知することが可能となる。
【0065】
また、制御部28で計時した時間が提供可能時間を超えた場合に、管理サーバ50へ、提供可能時間を超えた旨の通知をするので、管理サーバ50を介して商品を提供した店舗等に回収の指示をすることができる。
【0066】
また、提供可能時間は、商品に応じた時間に設定されているので、例えば、例えば食料品で傷みが早いものは短くし、比較的長持ちするものは長くすることができる。一律に提供可能時間を設定すると一般的に傷みが早いものに合わせることとなり、提供可能時間に余裕があるにもかかわらず回収され食品ロスに繋がる場合がある。そのため、提供可能時間を商品に応じた時間に設定することで、商品に合った時間に設定して適切な保管管理をすることができ、食品ロスの機会を減らすことも可能となる。
【0067】
また、受取用コードは二次元バーコードで構成されているので、シール等の紙媒体に印刷したり端末装置等に表示させたりするなど様々な方法で容易に利用できる。
【0068】
なお、ロッカー装置1では、制御部28が計時する際に、受取用コードの読み込みがされる前に提供可能時間を超えた場合は、受取用コードの読み込みを待たずに受取不可通知を管理サーバ50に送信してもよい。この場合、管理サーバ50から店舗等に回収の指示及び受取用コードを無効化することに加えて、ユーザ端末装置80に対しても受取不可の通知を送信するとよい。この受取不可の通知も、計時部が計時した時間が提供可能時間を超えた場合に、提供可能時間を超えた旨の通知を出力するものに相当する。このようにすることにより、ユーザは、ロッカー装置1まで赴かなくても受け取れなくなったことを知ることができる。
【0069】
また、ロッカーボックス32に複数種の物品(食品)が収容される場合は、物品提供時間が最も短い物品に合わせて当該ロッカーボックス32の物品提供時間を設定するとよい。例えば、ハンバーガーとポテトを収容する場合は、ハンバーガーとポテトのうち物品提供時間が短い方の時間に設定される。このようにすることにより、複数種の物品を1つのロッカーボックス32に収容することが可能となる。
【0070】
また、上述した実施形態では生鮮食料品や調理済みの食品で説明したが、生花等時間経過により品質低下が見込まれるため提供する時間に限りがある物品であれば適用可能である。
【0071】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の物品受渡装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
1 ロッカー装置(物品受渡装置)
21 操作表示部(第1通知部)
22a 正面側リーダ(物品情報取得部)
22b 背面側リーダ
28 制御部(計時部、解錠制御部)
29 通信インターフェース(第2通知部)
32 ロッカーボックス(収容庫)