(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170410
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/12 20060101AFI20221102BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H01Q1/12 Z
H01Q1/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076514
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】中川 充
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA04
5J047AB13
5J047BG08
5J047BG10
5J047EB01
(57)【要約】
【課題】背の高さが異なる複数種類のアンテナエレメントを備え、電波が遮蔽されにくいアンテナ装置を提供する。
【解決手段】背の高さが異なる複数種類のアンテナエレメント121、122、123を備えたアンテナ装置100であって、アンテナエレメント121、122、123は、アンテナ装置100において一番上にある基板である上基板120に固定されており、少なくとも1つのアンテナエレメントは立体アンテナエレメントであり、立体アンテナエレメントは、上基板120の下面よりも下方に少なくとも一部が位置しており、上基板の上面に配置されている構成部材は立体アンテナエレメント以下の背の高さである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背の高さが異なる複数種類のアンテナエレメントを備えたアンテナ装置であって、
複数種類の前記アンテナエレメントは、前記アンテナ装置において一番上にある基板である上基板(120、220)に固定されており、
少なくとも1つの前記アンテナエレメントは立体アンテナエレメント(122、123)であり、
前記立体アンテナエレメントは、前記上基板の下面よりも下方に少なくとも一部が位置しており、
前記上基板の上面に配置されている構成部材は前記立体アンテナエレメント以下の背の高さである、または、前記上基板の上面には何も配置されていない、アンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナ装置であって、
複数種類の前記アンテナエレメントとして、前記立体アンテナエレメントとは別に、平板アンテナエレメント(121)を備え、
前記平板アンテナエレメントは、前記上基板の上面に配置されている、アンテナ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアンテナ装置であって、
前記上基板の上面に配置されている前記構成部材は、厚さが前記平板アンテナエレメント以下である、アンテナ装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のアンテナ装置であって、
前記立体アンテナエレメントは前記平板アンテナエレメントよりも下方に配置されている、アンテナ装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のアンテナ装置であって、
前記上基板は、前記立体アンテナエレメント(123)が嵌り、前記上基板を貫通する貫通部(222)を備え、
前記立体アンテナエレメントの上端は、前記上基板の上面またはそれよりも高い位置である、アンテナ装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のアンテナ装置であって、
前記立体アンテナエレメントは前記上基板の下面に配置されている、アンテナ装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のアンテナ装置であって、
前記上基板の下方に配置された下基板(130)を備え、
前記下基板に通信回路(132)の少なくとも一部が配置されている、アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アンテナ装置に関し、特に、車両に取り付けることができるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のルーフパネルの前端に凹部を設け、その凹部にアンテナユニットを収容する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にはアンテナユニットの内部構造は開示されていない。車両のルーフは金属であることがほとんどである。ルーフパネルに設けた凹部にアンテナユニットを収容する場合、アンテナユニットのすぐ近く、かつ、アンテナエレメントよりも高い位置に金属であるルーフパネルが位置することになる。したがって、アンテナエレメントが送受信する電波がルーフパネルにより遮蔽されてしまう恐れがある。
【0005】
ルーフパネルに設けた凹部に限らず、アンテナ装置の直近側方においてアンテナ装置と同一高さ、あるいは、アンテナ装置よりも上方にある板が金属であると、金属製のその板により、アンテナエレメントが送受信する電波が遮蔽されてしまう恐れがある。
【0006】
アンテナエレメントが送受信する電波が、アンテナ装置の直近側方にある金属製の板により遮蔽されないようにするためには、できるだけ、アンテナエレメントをアンテナ装置内において上方に配置することが好ましい。
【0007】
背の高さが異なる複数種類のアンテナエレメントを備える場合、それら複数種類のアンテナエレメントが配置された基板をできるだけ上方に位置させることが考えられる。基板の高さ方向の位置は、相対的に背が高いアンテナエレメントにより制約される。そのため、相対的に背が低いアンテナエレメントは、単独で用いられる場合よりも、アンテナ装置内において下方に位置する恐れがある。したがって、相対的に背が低いアンテナエレメントが送受信する電波は、単独で用いられる場合よりも遮蔽される懸念がある。
【0008】
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、背の高さが異なる複数種類のアンテナエレメントを備え、電波が遮蔽されにくいアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的態様との対応関係を示すものであって、開示した技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
上記目的を達成するための1つの開示は、
背の高さが異なる複数種類のアンテナエレメントを備えたアンテナ装置であって、
複数種類のアンテナエレメントは、アンテナ装置において一番上にある基板である上基板(120、220)に固定されており、
少なくとも1つのアンテナエレメントは立体アンテナエレメント(122、123)であり、
立体アンテナエレメントは、上基板の下面よりも下方に少なくとも一部が位置しており、
上基板の上面に配置されている構成部材は立体アンテナエレメント以下の背の高さである、または、上基板の上面には何も配置されていない、アンテナ装置である。
【0011】
立体アンテナエレメントは、一部が、上基板の下面よりも下方に位置する。加えて、上基板の上面に配置されている構成部材は立体アンテナエレメント以下の背の高さであるか、上基板の上面には何も配置されていない。したがって、立体アンテナエレメントが上基板の上面に配置されている場合よりも、上基板をアンテナ装置内において上方に配置できる。
【0012】
上基板をアンテナ装置の上方に配置することで、上基板に配置された立体アンテナエレメントも、装置上方に配置されることになる。上基板には、立体アンテナエレメントとは別のアンテナエレメントも配置されている。上基板が装置上方に配置されることで、この別のアンテナエレメントも装置上方に配置されることになる。
【0013】
したがって、背の高さが異なる複数種類のアンテナエレメントを、いずれも、装置上方に配置できるので、これら複数種類のアンテナエレメントが送受信する電波が遮蔽されにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】アンテナ装置100の搭載位置を説明する図。
【
図4】第2実施形態のアンテナ装置200の概略断面図。
【
図6】変形例1におけるアンテナ装置100の搭載位置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
〔アンテナ装置100の搭載位置〕
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、アンテナ装置100の搭載位置を説明する図である。
図1に示すように、アンテナ装置100は、車両2の屋根板3の上に配置される。
【0016】
屋根板3は、アンテナ装置100が搭載される部分が凹部4になっている。屋根板3は金属製であり、プレス加工などの曲げ加工により凹部4を形成することができる。凹部4の深さはアンテナ装置100の上下方向長さよりも少し大きい。したがって、アンテナ装置100は、凹部4に収容された状態では、凹部4の周囲における屋根板3の上面3aよりも下方に位置する。なお、上下方向は、アンテナ装置100が車両2に搭載された状態では、鉛直方向と同じである。アンテナ装置100が車両2に搭載されていない状態では、上下方向は、アンテナ装置100の厚さ方向である。
【0017】
アンテナ装置100の車両前後方向の設置位置、および、車両左右方向の設置位置は、本実施形態では、屋根板3の中央部である。車室5の上部には天井内張り6が配置されている。天井内張り6は、車室5の天井を構成する部材であり、ライナーと呼ばれることもある。天井内張り6は、ポリプロピレンなどの樹脂製である。天井内張り6により、車室5からは屋根板3が凹んでいることは分からない。
【0018】
アンテナ装置100の上方には、凹部4以外の屋根板3と同じ高さになるカバー7が配置されている。カバー7は電波を遮蔽しないように、樹脂製である。
【0019】
〔アンテナ装置100の構成〕
図2に、アンテナ装置100の概略断面図を示す。
図2は、車両2の前後方向に平行な鉛直平面であって、アンテナ装置100の中心を通る平面でアンテナ装置100を切断した断面図である。
【0020】
カバー7の周囲には、シールゴム8が配置されている。カバー7とシールゴム8により、アンテナ装置100を収容する収容空間を密閉空間としている。アンテナ装置100は、この収容空間において、カバー7および凹部4の底から離れて配置されている。アンテナ装置100は、たとえば、1つの端が凹部4に固定され、他方の端がアンテナ装置100に固定される1つあるいは複数の支持部材により、カバー7および凹部4の底から離れた位置に固定される。ただし、これとは異なり、アンテナ装置100が、カバー7に固定されていてもよい。また、アンテナ装置100が、凹部4の底に接していてもよい。
【0021】
アンテナ装置100は、樹脂製のケース110を備える。ケース110は、矩形板状の上板部111と、上板部111の4つの縁から下方に突き出す側板部112とを備えることにより、下方が開口する直方体形状である。上板部111は、略水平あるいは屋根板3の上面3aに略平行である。上板部111とカバー7が一体になっていてもよい。ケース110は、上下方向長さが水平方向長さよりも短い浅型である。ケース110の開口は、アルミ板113により塞がれている。
【0022】
ケース110とアルミ板113により形成されるアンテナ装置内空間には、上基板120、下基板130などが配置されている。上基板120、下基板130は、ガラスエポキシ基板などである。上基板120は、アンテナ装置100において一番上にある基板である。
【0023】
上基板120は、パターンアンテナエレメント(以下、パターンアンテナ)121、垂直偏波アンテナエレメント(以下、垂直偏波アンテナ)122、GNSSアンテナエレメント(以下、GNSSアンテナ)123が取り付けられる基板である。以下、アンテナエレメントを単にアンテナと記載する。上基板120は、アンテナ基板ということもできる。アンテナ装置100は、3種類のアンテナ121、122、123を備えており、これら3種類のアンテナ121、122、123は、全部、上基板120に固定されていることになる。
【0024】
パターンアンテナ121は、上基板120の上面に固定されている。パターンアンテナ121は、上基板120の上面に沿って延びるアンテナであり、水平偏波を送受信する。パターンアンテナ121は、銅箔パターンにより形成される。パターンアンテナ121は平板アンテナエレメントの一例である。平板アンテナは、背の高さがほとんど問題にならないアンテナを意味する。たとえば、上基板120よりも薄いアンテナを平板アンテナとすることができる。
【0025】
垂直偏波アンテナ122、GNSSアンテナ123は、上基板120の下面に固定されている。垂直偏波アンテナ122は、垂直偏波を送受信するアンテナであるため、上基板120から垂直方向に延びる。GNSSアンテナ123は、GNSS(global navigation satellite system)が備える測位衛星が送信する電波を受信するアンテナである。測位衛星が送信する電波は円偏波である。そのため、GNSSアンテナ123も、上基板120から垂直方向に延びる。
【0026】
パターンアンテナ121と、垂直偏波アンテナ122およびGNSSアンテナ123とは、背の高さが異なる。箔状の厚さしかないパターンアンテナ121と異なり、垂直偏波アンテナ122とGNSSアンテナ123は、上基板120から垂直方向に延びている立体アンテナエレメントである。なお、
図2では、垂直偏波アンテナ122の背の高さがGNSSアンテナ123の背の高さよりも高くなっている。ただし、採用する具体的なアンテナの形状あるいは対応周波数などにより、垂直偏波アンテナ122とGNSSアンテナ123が同一高さになったり、GNSSアンテナ123の方が垂直偏波アンテナ122よりも背が高くなったりすることもある。
【0027】
上基板120のGNSSアンテナ123が固定されている部分には、GNSSアンテナ123を固定できる部分を残しつつ、水平方向において、GNSSアンテナ123の中央部分に、上基板120を貫通する開口127が形成されている。上方にある測位衛星からの電波をGNSSアンテナ123が受信しやすくするためである。
【0028】
パターンアンテナ121、垂直偏波アンテナ122、GNSSアンテナ123が送受信する電波の周波数は、適宜、設定できる。たとえば、パターンアンテナ121、垂直偏波アンテナ122が送受信する電波の周波数は5.9GHz帯である。
【0029】
上基板120の下面には、上側基板間コネクタ125も実装されている。上基板120の下面には、電子回路126を配置することができる。上側基板間コネクタ125は、下側基板間コネクタ131と連結される。これら上側基板間コネクタ125と下側基板間コネクタ131により、上基板120と下基板130とは電気的、機械的に連結される。なお、上基板120と下基板130との機械的連結は、上側基板間コネクタ125と下側基板間コネクタ131に加えて、他の連結部材が用いられてもよい。上基板120は、上側基板間コネクタ125と下側基板間コネクタ131、および、他の連結部材により、下基板130に対する相対高さが決まる。
【0030】
下基板130の上面には、下側基板間コネクタ131が実装されている。下基板130の上面には、通信回路である通信IC132も実装されている。通信IC132が実装されている下基板130は通信回路基板と言うこともできる。他にも、下基板130の上面には、回路素子133、電源素子134、コネクタ135も実装されている。
【0031】
通信IC132は、パターンアンテナ121、垂直偏波アンテナ122、GNSSアンテナ123を介して、外部との間で信号の送受信をする回路を備えている。通信IC132は、周辺回路とともに外部との間で信号を送受信する処理を行う。通信IC132が備えている回路は、たとえば、変調回路、復調回路、増幅回路などである。
【0032】
コネクタ135は、アンテナ装置100の外部装置である車両2に搭載されている他の装置と、アンテナ装置100とを電気的に接続する接続部である。車両2に搭載されている他の装置は、たとえば、車両制御ECUである。車両制御ECUは、アンテナ装置100と電気信号を交換し車両2を制御する。
【0033】
前述したアルミ板113は、アルミ板113の他の部分よりも下基板130側に突き出す凸部113aを備えている。凸部113aは、一部が下基板130の下面に接触している。凸部113aにおいて下基板130に接触している部分は、下基板130の上面に通信IC132、電源素子134が配置されている部分である。通信IC132および電源素子134が持つ熱は、下基板130からアルミ板113の凸部113aに伝達される。凸部113aに伝達された熱は、凸部113aの下方に放熱される。加えてその熱は、アルミ板113全体に広がり、アルミ板113全体から主に凹部4の空気へと放熱される。
【0034】
〔アンテナ装置100の構成による効果〕
上基板120に対して突き出す立体アンテナである垂直偏波アンテナ122とGNSSアンテナ123は、上基板120の下面に固定されている。したがって、これら垂直偏波アンテナ122、GNSSアンテナ123は、全部が上基板120の下面よりも下に位置している。上基板120の上面には、パターンアンテナ121が配置されている。
【0035】
この構成により、垂直偏波アンテナ122およびGNSSアンテナ123の少なくとも一方が上基板120の上面に配置されている場合よりも、上基板120をケース110内において上方すなわちアンテナ装置100内において上方に配置できる。
【0036】
上基板120がアンテナ装置100内において上方に配置されることで、垂直偏波アンテナ122およびGNSSアンテナ123も、ケース110内の上方に配置されることになる。上基板120には、パターンアンテナ121も配置されている。上基板120がアンテナ装置100内において上方に配置されることで、パターンアンテナ121も装置上方に配置されることになる。
【0037】
以上より、アンテナ装置100の構成によれば、全部のアンテナ121、122、123を装置上方に配置できる。したがって、全部のアンテナ121、122、123が送受信する電波が、凹部4の側壁部や凹部4の周囲の屋根板3に遮蔽されにくくなる。
図3に示す比較例との対比により、さらに具体的に説明する。
【0038】
図3に示すアンテナ装置Aは、比較例である。アンテナ装置Aは、パターンアンテナ121だけでなく、垂直偏波アンテナ122、GNSSアンテナ123も上基板120の上面に配置されている。なお、アンテナ装置Aは一部の構成を省略して示している。ケース110の位置は
図2と同じである。
【0039】
垂直偏波アンテナ122の高さは、アンテナ装置100とそれほど違わない。しかし、上基板120の高さは、最も背が高い部材である垂直偏波アンテナ122により制約される。アンテナ装置Aにおいて上基板120の高さ方向位置は、アンテナ装置100が備える上基板120より下方になる。アンテナ装置Aにおいて、GNSSアンテナ123の高さ方向位置、および、パターンアンテナ121の高さ方向位置は、アンテナ装置100のパターンアンテナ121およびGNSSアンテナ123よりも下方になる。換言すれば、アンテナ装置100は、パターンアンテナ121およびGNSSアンテナ123の高さ方向位置を、アンテナ装置Aよりも高くできる。
【0040】
パターンアンテナ121は、水平に近い角度で水平偏波を送受信する必要がある。したがって、パターンアンテナ121の高さ方向位置を高くできることで、パターンアンテナ121が送受信する電波が、凹部4の側壁や凹部4の付近の屋根板3により遮蔽されにくくなる。
【0041】
GNSSアンテナ123は、仰角5度程度にある測位衛星からの電波を受信する必要がある。したがって、GNSSアンテナ123についても、高さ方向位置を高くできることで、GNSSアンテナ123が受信する電波が凹部4の側壁や凹部4の付近の屋根板3により遮蔽されにくくなる。
【0042】
アンテナ装置100は、パターンアンテナ121を備えている。パターンアンテナ121は、上基板120の上面に配置されている。パターンアンテナ121は箔状であるため、上基板120の上面に配置しても、上基板120の高さ方向位置を下方にしてしまうことはない。加えて、パターンアンテナ121を上基板120の上面に配置することで、パターンアンテナ121が送受信する電波が、垂直偏波アンテナ122、GNSSアンテナ123により遮蔽されにくくなる。
【0043】
アンテナ装置100は、下基板130を備えており、下基板130に通信IC132が配置される。これにより、アンテナ装置100は、水平方向の大きさが小さくなる。
【0044】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
【0045】
図4に第2実施形態のアンテナ装置200の構成を示す。アンテナ装置200は、車両2において第1実施形態のアンテナ装置100と同じ位置に配置される。
図4は、
図2と同じ断面でアンテナ装置200を切断した概略断面図である。
【0046】
アンテナ装置200は、立方体形状のケース210を備える。ケース210は樹脂製である。ケース210の内部には、上基板220が収容されている。第1実施形態のアンテナ装置100と異なり、アンテナ装置200が備える基板は、上基板220のみである。基板が上基板220のみであるので、上基板220は、アンテナ装置200において一番上にある基板になる。
【0047】
上基板220には、第1実施形態と同じ垂直偏波アンテナ122、GNSSアンテナ123が固定されている。しかし、アンテナ装置200は、パターンアンテナ121は備えていない。
【0048】
垂直偏波アンテナ122は、保持部材221に保持されている。この保持部材221が上基板220に固定されることで、垂直偏波アンテナ122は、上基板220に間接的に固定されている。保持部材221は、垂直偏波アンテナ122の上面、下面と側面の一部を保持する。保持部材221に保持されている垂直偏波アンテナ122は、上基板220の側方に位置する。保持部材221の上端は、上基板220の上面よりもわずかに上方にある。保持部材221の上端の位置は、GNSSアンテナ123の上端と同じ位置である。
【0049】
上基板220には、上基板220を貫通する貫通穴222が形成されている。貫通穴222は貫通部に相当する。GNSSアンテナ123は、貫通穴222に嵌め入れられている。GNSSアンテナ123の上端は、上基板220の上面からわずかに突き出す程度である。たとえば、GNSSアンテナ123の上端は、第1実施形態のパターンアンテナ121の厚さ分だけ、上基板220の上面から突き出す。GNSSアンテナ123の上端が上基板220の上面から突き出している理由は、測位衛星の仰角が最も低くなったときにも、GNSSアンテナ123が上端部により測位衛星からの電波を受信しやすくするためである。
【0050】
上基板220の下面には、
図4に示すように、GNSSグランド板223、コネクタ135も実装されている。GNSSグランド板223は、GNSSアンテナ123の下方に位置しており、GNSSアンテナ123のグランドとして機能する。
【0051】
図5は、上基板220を下から見た図である。なお、
図5は、保持部材221など、一部の部材を省略した図である。
図5に示すように、上基板220の下面には、これまで説明した部材の他に、電源回路224とインターフェース回路225も実装されている。
【0052】
〔アンテナ装置200の構成による効果〕
垂直偏波アンテナ122とGNSSアンテナ123は、背の高さが異なる。これら垂直偏波アンテナ122とGNSSアンテナ123は、いずれも、上基板220の下面に固定されている。したがって、垂直偏波アンテナ122とGNSSアンテナ123は、上基板220の下面よりも下方に位置する。
【0053】
垂直偏波アンテナ122とGNSSアンテナ123がともに上基板220の上面に固定されている場合を考えると、相対的に背の低いGNSSアンテナ123は、第2実施形態のGNSSアンテナ123よりも下方に位置する。換言すれば、第2実施形態のアンテナ装置200によれば、垂直偏波アンテナ122とGNSSアンテナ123をともに上基板220の上面に固定するよりも、GNSSアンテナ123が受信する電波が遮蔽されにくくなる。
【0054】
上基板220には、貫通穴222が形成され、GNSSアンテナ123は、貫通穴222を貫通して上端が上基板220の上面よりもわずかに上方に位置する。これにより、GNSSアンテナ123は、低い仰角からの電波を受信しやすくなる。
【0055】
保持部材221の上端の高さ方向位置は、GNSSアンテナ123の上端と同じになっている。このようにすることで、ケース210の中において上基板220を最も高い位置に配置しつつ、垂直偏波アンテナ122も高い位置に配置できる。
【0056】
以上、実施形態を説明したが、開示した技術は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も開示した範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【0057】
<変形例1>
アンテナ装置100、200は、車両2において、屋根以外の位置に搭載されていてもよい。
図6では、アンテナ装置100は、ダッシュボードの上板のすぐ下に配置されている。この位置にアンテナ装置100が配置される場合にも、アンテナ装置100が送受信する電波を、金属製であるボンネットにより遮蔽されにくくするために、アンテナ装置100の中において、アンテナ121、122、123を上方に配置することが有効である。もちろん、アンテナ装置200を
図6に示すアンテナ装置100の位置に配置してもよい。また、アンテナ装置100、200は、リアガラス下など、金属が側方近傍に存在する他の位置に配置されてもよい。
【0058】
<変形例2>
アンテナ装置100、200は、いずれも、2つの立体アンテナすなわち垂直偏波アンテナ122とGNSSアンテナ123を備えていた。しかし、アンテナ装置は、背の高さが異なる複数種類のアンテナエレメントを備えており、そのうちの少なくとも1つが立体アンテナエレメントであればよい。したがって、たとえば、アンテナ装置200において、垂直偏波アンテナ122、GNSSアンテナ123のうちの一方に代えて、アンテナ121が備えられていてもよい。また、アンテナ装置200において、垂直偏波アンテナ122、GNSSアンテナ123に加えて、パターンアンテナ121が備えられてもよい。
【0059】
<変形例3>
第2実施形態では、貫通部として貫通穴222を示した。しかし、貫通部は切り欠きでもよい。上基板120、220に切り欠きが設けられ、この切り欠きに立体アンテナが収容されてもよい。
【0060】
<変形例4>
パターンアンテナ121に代えて、平板アンテナとして板金アンテナが用いられてもよい。垂直偏波アンテナ122、GNSSアンテナ123以外の立体アンテナが用いられてもよい。
【0061】
上基板120の上面にはパターンアンテナ121とは別の構成部材が配置されていてもよい。ただし、その構成部材は、厚さが、パターンアンテナ121の厚さ以下とする。このようにすると、構成部材が上基板120の上面に配置されることによって、上基板120の高さ方向位置が下方になってしまうことがない。また、構成部材を上基板120の上面に配置することで、上基板120の上面を活用できる。
【符号の説明】
【0062】
2:車両 3:屋根板 3a:上面 4:凹部 5:車室 6:天井内張り 7:カバー 8:シールゴム 100:アンテナ装置 110:ケース 111:上板部 112:側板部 113:アルミ板 113a:凸部 120:上基板 121:パターンアンテナ(平板アンテナエレメント) 122:垂直偏波アンテナ 123:GNSSアンテナ 125:上側基板間コネクタ 126:電子回路 127:開口 130:下基板 131:下側基板間コネクタ 133:回路素子 134:電源素子 135:コネクタ 200:アンテナ装置 210:ケース 220:上基板 221:保持部材 222:貫通穴 223:GNSSグランド板 224:電源回路 225:インターフェース回路 132:通信IC