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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170414
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】電気式の施錠装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 47/04 20060101AFI20221102BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
E05B47/04 A
E05B65/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076518
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000152169
【氏名又は名称】株式会社栃木屋
(74)【代理人】
【識別番号】110002882
【氏名又は名称】白浜国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小松 悟
(57)【要約】
【課題】複数の定格電圧を有するプル型と自己保持型の電磁ソレノイドを選択的に使用することのできる、仕様のバリエーションに優れた電気式の施錠装置の提供。
【解決手段】電気式の施錠装置10は、第1側壁部21dと横断中心線Q及び縦断中心線Pに囲まれた第1配置スペースS1に、電磁ソレノイド40,100と、電磁ソレノイド40,100が自己保持型の場合にその電源を制御するための第2マイクロスイッチ70とが配置され、第2側壁部21eと横断中心線Q及び縦断中心線Pに囲まれた第2配置スペースS2に、第1マイクロスイッチ70が配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向及び横方向を有し、ケースと、電磁ソレノイドと、施解錠を検知するための第1マイクロスイッチとを備える電気式の施錠装置において、
前記電磁ソレノイドは、複数の定格電圧を有するプル型又は自己保持型のいずれかであって、
前記ケースは、前記縦方向の寸法を2等分する横断中心線と、前記横方向の寸法を2等分する縦断中心線と、前記縦方向へ延びる第1及び第2側壁部と、前記横方向へ延びる第1及び第2端壁部とを有し、
前記第1側壁部と前記横断中心線及び前記縦断中心線に囲まれた第1配置スペースに、前記電磁ソレノイドと、前記電磁ソレノイドが自己保持型の場合にその電源を制御するための第2マイクロスイッチとが配置され、
前記第2側壁部と前記横断中心線及び前記縦断中心線に囲まれた第2配置スペースに、前記第1マイクロスイッチが配置されることを特徴とする前記電気式の施錠装置。
【請求項2】
前記ケースは、基底壁部と、前記基底壁部から突出して縦方向へ延びる第1分離壁部と、前記基底部から突出して前記第2側壁部から横方向の内側へ延びる第2分離壁部とをさらに有し、
前記第1配置スペースは、前記第1分離壁と前記第1側壁部との間に位置していて、前記第2配置スペースは、前記第1分離壁部と前記第2分離壁部との間に位置する請求項1に記載の電気式の施錠装置。
【請求項3】
前記第1及び第2配置スペースよりも前記第2端壁部側において前記横方向へ延びる、導線が延在する第3配置スペースが位置する請求項1又は2に記載の電気式の施錠装置。
【請求項4】
前記電磁ソレノイドのプランジャの先端部はラチェットレバーの一部が介在された二股状であって、前記先端部にはリベットが着脱可能に取り付けられている請求項1-3のいずれかに記載の電気式の施錠装置。
【請求項5】
前記ケースに取り外し可能に取り付けられるカバーをさらに有し、前記カバーには前記電磁ソレノイドに印字された表示要素を外部に露出するための窓部が設けられている請求項1-4のいずれかに記載の電気式の施錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁ソレノイドのプランジャの進退によって扉の開閉を制御する電気式の施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁ソレノイドを用いた電気式の施錠装置は公知である。例えば、特許文献1には、電磁ソレノイドのプランジャの進退に応じて旋回するラチェットレバーと、ラチェットレバーに係合するラッチと、マイクロスイッチとを備えた電気式の施錠装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-15090号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の電気式の施錠装置によれば、プル型の電磁ソレノイドを用いてロッカーの施錠を電気的に制御及び検知することができる。
【0005】
しかしながら、プル型の電磁ソレノイドの使用を前提とした内部設計となっていることから、施錠装置本体内の内部空間に自由度がなく、自己保持型の電磁ソレノイドを選択的に使用してその電源制御用のマイクロスイッチを追加的に配置することができない。
【0006】
また、従来の電気式の施錠装置において、複数の定格電圧を有する複数種類の電磁ソレノイドを選択的に使用し、それに応じて単数又は複数のマイクロスイッチを配置する等してバリエーションに富んだ仕様を実現するものはなく、注文者が求める仕様毎に異なる施錠装置を製造する必要があった。
【0007】
本発明が課題とするところは、複数の定格電圧を有するプル型と自己保持型の電磁ソレノイドを選択的に使用することのできる、仕様のバリエーションに優れた電気式の施錠装置の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明が対象とするのは、縦方向及び横方向を有し、ケースと、電磁ソレノイドと、施解錠を検知するための第1マイクロスイッチとを備える電気式の施錠装置である。
【0009】
この発明の特徴は、前記電磁ソレノイドは、複数の定格電圧を有するプル型又は自己保持型のいずれかであって、前記ケースは、前記縦方向の寸法を2等分する横断中心線と、前記横方向の寸法を2等分する縦断中心線と、前記縦方向へ延びる第1及び第2側壁部と、前記横方向へ延びる第1及び第2端壁部とを有し、前記第1側壁部と前記横断中心線及び前記縦断中心線に囲まれた第1配置スペースに、前記電磁ソレノイドと、前記電磁ソレノイドが自己保持型の場合にその電源を制御するための第2マイクロスイッチとが配置され、前記第2側壁部と前記横断中心線及び前記縦断中心線に囲まれた第2配置スペースに、前記第1マイクロスイッチが配置されることにある。
【0010】
本発明に係る電気式の施錠装置は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。該実施の形態は、分離して又は互いに組み合わせて採択することができる。
(1)前記ケースは、基底壁部と、前記基底壁部から突出して縦方向へ延びる第1分離壁部と、前記基底部から突出して前記第2側壁部から横方向の内側へ延びる第2分離壁部とをさらに有し、前記第1配置スペースは、前記第1分離壁と前記第1側壁部との間に位置していて、前記第2配置スペースは、前記第1分離壁部と前記第2分離壁部との間に位置する。
(2)前記第1及び第2配置スペースよりも前記第2端壁部側において前記横方向へ延びる、導線が延在する第3配置スペースが位置する。
(3)前記電磁ソレノイドのプランジャの先端部はラチェットレバーの一部が介在された二股状であって、前記先端部にはリベットが着脱可能に取り付けられている。
(4)前記ケースに取り外し可能に取り付けられるカバーをさらに有し、前記カバーには前記電磁ソレノイドに印字された表示要素を外部に露出するための窓部が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る施錠装置によれば、複数の定格電圧を有するプル型又は自己保持型の電磁ソレノイドを選択的に使用することができ、また、それに合わせて単一又は複数のマイクロスイッチを配置できるものであることから、複数種類のバリエーションを有し、利便性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面は、本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】本発明に係る電気式の施錠装置の解錠時の使用状態を示す斜視図。
図2】本発明に係る電気式の施錠装置の施錠時の使用状態を示す斜視図。
図3】カバーを外した状態における、施錠時の施錠装置の平面図。
図4】カバーを外した状態における、解錠時の施錠装置の平面図。
図5】ケースの平面図。
図6】他の実施例の一例において、カバーを外した状態における、解錠時の施錠装置の平面図。
図7】他の実施例の一例において、カバーを外した状態における、施錠時の施錠装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照し、この発明に係る施錠装置の詳細を説明すると、以下のとおりである。また、以下の実施形態は、本発明の欠くことのできない要件を含む他に、選択的に採用することのできる要件及び適宜に組み合わせることのできる要件を含んでいる。
【0014】
図1及び2を参照すると、電気式の施錠装置10は、例えば、宅配ボックスやロッカー等の施錠用に使用されるものであって、図示例においては、ロッカー1に使用されている。施錠装置10は、ロッカー本体2に取り付けられる装置本体20と、扉3に取り付けられるストライカ30とを備える。
【0015】
ストライカ30は、ストライカ本体31と、ラッチ(ラッチレバー)の係合溝に係合する係合部32とを有する。
【0016】
図3及び4を参照すると、双頭矢印のX,Y,Zは、施錠装置10において、互いに交差(直交)する横方向Xと、縦方向Yと、厚さ方向Zとを示している。図1及び図2の施錠装置の取付状態では、縦方向Yが上下方向に一致している。
【0017】
図3~5を参照すると、装置本体20は、横方向Xの寸法を2等分する縦断中心線P-Pと、縦方向Yの寸法を2等分する横断中心線Q-Qと、ケース21とカバー22とを有し、ケース21とカバー22との内部に画成された内部空間とを有する。カバー22は、複数のビスを介して取り外し可能に取り付けられている。
【0018】
ケース21は、基底壁21aと、互いに横方向Xへ延び、縦方向Yにおいて離間対向する第1及び第2端壁21b,21cと、第1及び第2端壁21b,21c間において縦方向Yへ延びる第1及び第2側壁21d,21eとを有する。ケース21の第2側部21eには、横方向に延びる切欠21fが位置し、切欠21fは同形同大のカバー22の切欠とともに、装置本体20の溝11を形成する。
【0019】
装置本体20は、コイルを有するソレノイド本体41から進退可能に縦方向Yへ延出するプランジャ42を備えた電磁ソレノイド40と、プランジャ42の進退に応じて旋回するラチェットレバー50と、ラチェットレバー50の旋回に応じて旋回し、かつ、ストライカ30の先端に係合されるラッチレバー60と、施錠を検知するマイクロスイッチ70と、オプションとして、非常時に施錠を強制的に解除するための強制解除レバー80とを有する。
【0020】
電磁ソレノイド40は、防水性(防滴性)を有するものであって、ソレノイド本体41の内部に配置されたコイルを形成する導線41aは、電源43に接続されている。電源43によって電圧を印加することでプランジャ42がコイルに引き寄せられて退行する。電磁ソレノイド40の導線41aは第1マイクロスイッチ70の導線70aとともに、ケース21の角部に位置する挿通口に配置されたグロメット15の貫通孔を介して外部に延出している。
【0021】
電磁ソレノイド40は、複数の定格電圧を有し、本実施例では、5V,12V,24Vの3つの電圧値を適宜選択することができる。
【0022】
プランジャ42の先端部は二股状であって、先端部の基端側では横方向へ延びるラチェットレバー50の一部が挿通されている。先端部42は厚さ方向Zに互いに対向し、かつ、連通された一対の透孔を有し、一対の透孔にはリベット(ピン)45が貫通されている。このように、先端部42aにラチェットレバー50の一部が挿通された状態でピン留めされることで、プランジャ42とラチェットレバー50とが取り外し可能に連結されている。
【0023】
再び、図3,4を参照すると、ラチェットレバー50は、ラッチレバー60に係止される係止部51と、係止部51と連接する中間部52と、中間部52からさらに横方向Xへ延びる延出部53とを有する。中間部52の透孔にはケース21の基底壁21aから突出する回転軸54が貫通されている。また、延出部53の先端は、ケース21の挿通孔に挿通されてケース21の外部に延出している。
【0024】
回転軸54には、ラチェットレバー50を時計回り方向へ旋回する付勢部材(トーションバネ)を配置してある。ラチェットレバー50が時計回り方向へ旋回すると、延出部53がケース21の透孔の開口縁部に当接し、ラチェットレバー50の時計回り方向への旋回が規制される。
【0025】
ラッチレバー60は、回転軸64が貫通された基部61と、基部61から径外方向へ延びる一対の係止部62,63と、回転軸64の軸心回り方向において、一対の係止部62,63の間に位置する係合凹部65と、回転軸64の軸心回り方向において、係止部62,63の反対側に位置して、径外方向へ突出するラッチ突出部66を有している。
【0026】
一対の係止部62,63において、一方の係止部62の径外方向への長さ寸法が、他方の係止部63の径外方向への長さ寸法よりも長く、係合凹部64にはストライカ30の係合部32が進入可能であり、係合凹部64に係合部32が進入した状態では、ラッチレバー60とストライカ30とが係合した状態となり、装置本体20に対してストライカ30の移動が規制されるとともにロッカー本体2に対して扉3の移動が規制されることとなる。
【0027】
回転軸64には、ラッチレバー60を時計回り方向へ旋回する付勢部材(トーションバネ)を配置してある。ラッチレバー60が時計回り方向へ旋回すると、係止部62の先端がケース21の第2側壁部21eに当接し、ラッチレバー60の時計回り方向への旋回が規制される。
【0028】
ラッチ突出部66は、ラッチレバー60とストライカ30との係合状態では、マイクロスイッチ70のスイッチを押圧する一方、ラッチレバー60とストライカ30との非係合状態では、スイッチから離間してそれを押圧することがない。
【0029】
マイクロスイッチ70は、スイッチ本体とスイッチとを有し、スイッチ本体が導線73aを介して制御部73と電気的に接続されている。ラッチレバー60とストライカ30とが係合状態にあるときのみ、検出信号を制御部に送信する。
【0030】
本願の電気式の施錠装置10の動作を簡単に説明すると、図1に示すとおり、まず、装置本体20の溝11にストライカ30の係合部32が進入すると、係合部32がラッチレバー60の係止部63に当接し、ラッチレバー60が反時計回りに旋回するとともに、係合部32がラッチレバー60の係合凹部65に進入する。それと同時に、ラチェットレバー50の係合部51とラッチレバー60の係止部62とが係合して施錠状態となり、ストライカ30の移動が規制されて開扉が規制される。かかる状態において、ラッチレバー60のラッチ突出部66がマイクロスイッチ70のスイッチを押圧していて、ラッチレバー60が施錠位置に旋回した状態である旨の信号が制御部に送信される。
【0031】
その後、外部スイッチに接続された制御部73の指令に基づき、電源43から電圧が電磁ソレノイドに印加されると、ソレノイド本体41に対してプランジャ42が退行し、プランジャ42の退行によってラチェットレバー50が反時計回りに旋回する。そのようにラチェットレバー50が旋回すると、ラッチレバー60の一方の係止部62とラチェットレバー50の係止部51との係合が解除され、付勢手段の付勢力によって、ラッチレバー60が時計回り方向へ旋回する。
【0032】
ラッチレバー60の旋回によって、ラッチレバー60の係止部63とストライカ30の係合部32との係合が解除され、係合部32は、ラッチレバー50の係合凹部65および装置本体20の溝11から退行し、施錠装置10は、扉3が開かれるのを許容する解錠状態となる。
【0033】
解錠状態において、外部スイッチ70に接続された制御部73の指令に基づき、電磁ソレノイド40に対する電源43からの電圧の印加が解除されると、電磁ソレノイド40の付勢手段の付勢力によって、ソレノイド本体41に対してプランジャ42が進出する。
【0034】
強制解除レバー80は、ケース21の角部に位置する回転軸を中心に旋回可能であって、回転軸から径外方向へそれぞれ延びる第1端部81および第2端部82を有する。第1端部81は、装置本体20の開口から外部に突出している。
【0035】
施錠状態において、強制解除レバー80の第2端部82はラチェットレバー50の延出部53と当接していて、使用者が第1端部81を摘持して強制解除レバー80を時計回り方向へ旋回させることで、ラチェットレバー50を押し下げて、ラチェットレバー50の係合部51とラッチレバー60の係止部62との係合を強制的に解除して解錠することができる。
【0036】
図5を参照すると、ケース21は、基底壁21aから隆起するラチェットレバー50の係止部51とラッチレバー60の係止部62,63との旋回をガイドするための第1隆起部23と、基底壁21aから隆起するラチェットレバー50の延出部53の旋回をガイドするための第2隆起部24とをさらに有する。第1隆起部23は、ラッチレバー60のラッチ突出部63の旋回をガイドするための凸曲状の隆起部分23aを有する。このように、各種部品における旋回動作する部分のすべてに対してガイドとなる部分が設けられていることで、施錠措置10が強い外部衝撃を受けた場合であっても、旋回動作をスムーズに行うことができる。
【0037】
ケース21は、第1及び第2隆起部23,24よりも基底壁21aからさらに外方に突出する第1及び第2分離壁部25,26を有する。ケース21は、第1分離壁部25と第1側壁21dとの間に画成された第1配置スペースS1、第1分離壁部26と第2壁部21eとの間に画成された第2配置スペースS2及び第1分離壁部25の屈曲部分25aと第2端壁21cとの間であって横方向へ延びる各導線が配置される第3スペースS3を有する。
【0038】
ケース21の第1及び第2分離部25,26は、部品を配置するときに導線が絡まないようにする作用を有するとともに、電磁ソレノイド40と第1及び第2マイクロスイッチ70,90の位置決めとしての効果を有する。
【0039】
第1配置スペースS1には、後記の第2マイクロスイッチ90を安定して配置するための第1スイッチ固定部27と、電磁ソレノイド40を安定して配置するための固定部28とが位置している。第2配置スペースS2には、第1マイクロスイッチ70を安定して配置するための第2スイッチ固定部29が位置する。
【0040】
図6及び図7を参照すると、本実施例では、プル型ではなく自己保持型の電磁ソレノイド(自己保持ソレノイド)100を使用していて、第1配置スペースS1の第1スイッチ固定部27には、第2マイクロスイッチ90が固定されている。自己保持型の電磁ソレノイド100は、ソレノイド本体141とソレノイド本体100から進退出可能なプランジャ142とを有する。
【0041】
電磁ソレノイド100は、ソレノイド本体141に一対の永久磁石を組み込んでいることで、非通電時においてもプランジャ142の吸引状態を保持することができる。それにより、解除状態において、ラチェットレバー50の延出部53が第2マイクロスイッチ90のスイッチを押圧することで電磁ソレノイド100の電源を切断し、電力消費を抑制することができる。
【0042】
電磁ソレノイド40は、複数の定格電圧を有し、本実施例では、5V,12V,24Vの3通りの電圧値を適宜選択することができる。
【0043】
本発明に係る電気式の施錠装置10によれば、第1実施例で使用したプル型の電磁ソレノイド40と第2実施例で使用した自己保持型の電磁ソレノイド100との2つのタイプのソレノイドを組み換え自由に使用することができるので、一方のみ使用できる場合に比べて、仕様のバリエーションに優れる。
【0044】
具体的には、電磁ソレノイド40,100のうちの一方を選択でき、また、それらの定格電圧値が3通り(5V/12V/24V)であって、オプションとして第2マイクロスイッチ90を配置することができるので、合計12種類の仕様を有するバリエーションに富んだ電気式の施錠装置といえる。このように、複数の仕様から適宜選択して使用できることから、それらの仕様毎に異なるケースや施錠装置を製造する場合に比べて利便性に優れ、製造コストを抑えることできる。
【0045】
本発明に係る施錠装置10のケース21では、第1側壁部21dと横断中心線Q-Q及び縦断中心線P-Pに囲まれた第1配置スペースS1に、電磁ソレノイド40,100と、電磁ソレノイドが自己保持型の場合にその電源を制御するための第2マイクロスイッチ90とが配置され、第2側壁部21eと横断中心線Q-Q及び縦断中心線P-Pに囲まれた第2配置スペースS2に、第1マイクロスイッチ70が配置される。それにより、部品50,70,100の交換・組替えを行うときに、第1端壁部21b側(上方)に位置する部品50,60,80等が作業者の手に当たって邪魔になることはなく、スムーズに作業を行うことができる。
【0046】
また、基底壁部21aから突出する第1及び第2分離壁部25,26が位置決めとなるので、暗がりの作業場所等であっても、電磁ソレノイドと第1及び第2マイクロスイッチ70,90の配置場所を容易に把握することができる。
【0047】
また、第1及び第2マイクロスイッチ70,90が電磁ソレノイド40,100を介して横方向Xに並んで位置していることから、第1及び第2マイクロスイッチ70が隣接して並んでいる場合に比べて、それらの区別が明瞭になるので、交換時で誤認することはない。
【0048】
ケース21は、第1及び第2配置ペースS1,S2の第2端壁21c側においてそれに沿って横方向Xへ延びる各部品の導線が延在する第3配置スペースS3が位置することによって、導線40a,70a,90aが他の部品を避けて曲げられたり、互いに絡み合うことなく、ケース21の角部に位置する挿通口に配置されたグロメット15を介して内部に挿入させることができる。
【0049】
再び、図2を参照すると、カバー22には電磁ソレノイド40に印字された表示要素49を外部に露出するための窓部(開口)22aが設けられている。このように、カバー22の窓部22aから電磁ソレノイド40の表示要素49が外部に露出されることから、部品交換時等において、プル型の電磁ソレノイド40又は自己保持型の電磁ソレノイド100のどちらが使用されているのか、作業者は容易に確認することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 電気式の施錠装置
21 ケース
21a基底壁部
21b第1端壁部
21c第2端壁部
21d 第1側壁部
21e 第2側壁部
22 ケース
22a 窓部
25 第1分離壁部
26 第2分離壁部
40 電磁ソレノイド(プル型)
42 プランジャ
49 表示要素
70 第1マイクロスイッチ
100 電磁ソレノイド(自己保持型)
142 プランジャ
P-P 縦断中心線
Q-Q 横断中心線
S1 第1配置スペース
S2 第2配置スペース
S3 第3配置スペース
X 横方向
Y 縦方向
Z 厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7