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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170448
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】検出装置及び検出システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20221102BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/044 126
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076582
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 史掘
(57)【要約】
【課題】検出信号のクリップを抑制しつつ良好な指紋検出を実現できる検出装置及び検出システムを提供する。
【解決手段】検出装置は、絶縁層を挟んで互いに対向配置され、第1方向に延出する複数の第1電極、及び、第1方向と交差する第2方向に延出する複数の第2電極と、供給された第1符号又は第2符号の信号に応じて、第1電極に第1駆動信号又は第1駆動信号よりも低電位の第2駆動信号を供給する第1電極選択回路と、駆動信号に応じて第1電極と第2電極の間に生じた静電容量を検出する検出回路と、を備える。第1電極選択回路は、複数の前記第1電極のうち、1つの検出単位に含まれる全ての第1電極に第1符号が割り付けられている第1期間と、検出単位に含まれる一の第1電極部に第1符号が割り付けられている第2期間と、を有する。第2期間において、第1符号が割り付けられた第1電極に前記第1駆動信号を供給し、第1期間において、全ての第1電極に第2駆動信号を供給する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層を挟んで互いに対向配置され、第1方向に延出する複数の第1電極、及び、前記第1方向と交差する第2方向に延出する複数の第2電極と、
供給された第1符号又は第2符号の信号に応じて、前記第1電極に第1駆動信号又は前記第1駆動信号よりも低電位の第2駆動信号を供給する第1電極選択回路と、
前記駆動信号に応じて前記第1電極と前記第2電極の間に生じた静電容量を検出する検出回路と、
を備え、
前記第1電極選択回路は、
複数の前記第1電極のうち、1つの検出単位に含まれる全ての第1電極に前記第1符号が割り付けられている第1期間と、前記検出単位に含まれる一部の第1電極に前記第1符号が割り付けられている第2期間と、を有し、
前記第2期間において、前記第1符号が割り付けられた第1電極に前記第1駆動信号を供給し、
前記第1期間において、全ての第1電極に前記第2駆動信号を供給する、
検出装置。
【請求項2】
前記第1電極選択回路及び前記検出回路を制御する検出制御部を備え、
前記検出制御部は、
前記第1電極の数を次数とする正方行列で定義される所定の符号に基づく所定のコード信号を、前記第1期間及び前記第2期間ごとに前記第1電極選択回路に供給し、
前記検出回路は、
前記検出制御部から供給される制御信号に基づき、前記第1期間及び前記第2期間ごとに、前記第1電極と前記第2電極の間に生じた静電容量を検出する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記検出制御部は、
前記第1期間において、1つの検出単位に含まれる全ての第1電極に前記第1符号を割り付け、
前記第2期間において、1つの検出単位に含まれる一部の第1電極に前記第1符号を割り付ける、
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記検出制御部は、
前記第2期間において、1つの検出単位に含まれる全ての第1電極のうちの半数に前記第1符号を割り付ける、
請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第1電極選択回路は、
前記第1期間において、前記第1符号が割り付けられた全ての第1電極に前記第2駆動信号を供給し、
前記第2期間において、前記第2符号が割り付けられた第1電極に前記第2駆動信号を供給する、
請求項3又は4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第1電極選択回路は、
前記コード信号が入力される否定論理積回路と、
前記否定論理積回路の出力値、及び、前記コード信号に含まれる、前記第1電極に対応した1つの符号が入力される複数の論理積回路と、
を備え、
複数の前記論理積回路の出力値に基づき、前記第1駆動信号又は前記第2駆動信号を出力する、
請求項2から5の何れか一項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記第1期間と前記第2期間とが交互に設けられる、
請求項1から6の何れか一項に記載の検出装置。
【請求項8】
絶縁層を挟んで互いに対向配置され、第1方向に延出する複数の第1電極、及び、前記第1方向と交差する第2方向に延出する複数の第2電極と、
供給された第1符号又は第2符号の信号に応じて、前記第1電極に第1駆動信号又は前記第1駆動信号よりも低電位の第2駆動信号を供給する第1電極選択回路と、
前記駆動信号に応じて前記第1電極と前記第2電極の間に生じた静電容量を検出する検出回路と、
を備える検出装置と、
前記検出装置の出力に基づき、指紋パターン生成する指紋パターン生成装置と、
を備え、
前記第1電極選択回路は、
複数の前記第1電極のうち、1つの検出単位に含まれる全ての第1電極に前記第1符号が割り付けられている第1期間と、前記検出単位に含まれる一部の第1電極に前記第1符号が割り付けられている第2期間と、を有し、
前記第2期間において、前記第1符号が割り付けられた第1電極に前記第1駆動信号を供給し、
前記第1期間において、全ての第1電極に前記第2駆動信号を供給する、
検出システム。
【請求項9】
前記第1電極選択回路及び前記検出回路を制御する検出制御部を備え、
前記検出制御部は、
前記第1電極の数を次数とする正方行列で定義される所定の符号に基づく所定のコード信号を、前記第1期間及び前記第2期間ごとに前記第1電極選択回路に供給し、
前記検出回路は、
前記検出制御部から供給される制御信号に基づき、前記第1期間及び前記第2期間ごとに、前記第1電極と前記第2電極の間に生じた静電容量を検出する、
請求項8に記載の検出システム。
【請求項10】
前記検出制御部は、
前記第1期間において、1つの検出単位に含まれる全ての第1電極に前記第1符号を割り付け、
前記第2期間において、1つの検出単位に含まれる一部の第1電極に前記第1符号を割り付ける、
請求項9に記載の検出システム。
【請求項11】
前記検出制御部は、
前記第2期間において、1つの検出単位に含まれる全ての第1電極のうちの半数に前記第1符号を割り付ける、
請求項10に記載の検出システム。
【請求項12】
前記第1電極選択回路は、
前記第1期間において、前記第1符号が割り付けられた全ての第1電極に前記第2駆動信号を供給し、
前記第2期間において、前記第2符号が割り付けられた第1電極に前記第2駆動信号を供給する、
請求項10又は11に記載の検出システム。
【請求項13】
前記第1電極選択回路は、
前記コード信号が入力される否定論理積回路と、
前記否定論理積回路の出力値、及び、前記コード信号に含まれる、前記第1電極に対応した1つの符号が入力される複数の論理積回路と、
を備え、
複数の前記論理積回路の出力値に基づき、前記第1駆動信号又は前記第2駆動信号を出力する、
請求項9から12の何れか一項に記載の検出システム。
【請求項14】
前記第1期間と前記第2期間とが交互に設けられる、
請求項8から13の何れか一項に記載の検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置及び検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、個人認証等に用いられる指紋検出を静電容量方式で実現することが要求されている。指紋検出では、手や指の接触を検出する場合に比べ、面積の小さい電極が用いられる。小さい電極から信号を得る場合、良好な検出感度が得られる符号分割選択駆動が用いられる。符号分割選択駆動は、複数の駆動電極を同時に選択して、選択された複数の駆動電極のそれぞれに対して、所定の符号に基づいて位相が決められた駆動信号を供給する駆動方式である(特許文献1参照)。特許文献1に記載の指紋センサでは、符号発生部が複数の列配線のそれぞれに対応した符号を発生し、列配線駆動部は符号に基づいて複数の列配線を第1の配線群と第2の配線群とに分けて、それぞれを駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-152223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献では、同時に選択する駆動電極の数により、駆動電極と検出電極との間に形成される容量素子の容量値が変化する。具体的には、同時に選択する駆動電極の数が多くなると、駆動電極と検出電極との間に形成される容量素子の容量値が大きくなる。このため、同時に選択する駆動電極の数が多い状態では、検出電極から出力される検出信号がクリップする可能性がある。あるいは、同時に選択する駆動電極の数が相対的に多い状態に合わせてゲイン設計を行うと、同時に選択する駆動電極の数が相対的に少ない状態では、検出電極から出力される検出信号が小さくなり、検出精度が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、検出信号のクリップを抑制しつつ良好な指紋検出を実現できる検出装置及び検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る検出装置は、絶縁層を挟んで互いに対向配置され、第1方向に延出する複数の第1電極、及び、前記第1方向と交差する第2方向に延出する複数の第2電極と、供給された第1符号又は第2符号の信号に応じて、前記第1電極に第1駆動信号又は前記第1駆動信号よりも低電位の第2駆動信号を供給する第1電極選択回路と、前記駆動信号に応じて前記第1電極と前記第2電極の間に生じた静電容量を検出する検出回路と、を備え、前記第1電極選択回路は、複数の前記第1電極のうち、1つの検出単位に含まれる全ての第1電極に前記第1符号が割り付けられている第1期間と、前記検出単位に含まれる一部の第1電極に前記第1符号が割り付けられている第2期間と、を有し、前記第2期間において、前記第1符号が割り付けられた第1電極に前記第1駆動信号を供給し、前記第1期間において、全ての第1電極に前記第2駆動信号を供給する。
【0007】
本発明の一態様に係る検出システムは、絶縁層を挟んで互いに対向配置され、第1方向に延出する複数の第1電極、及び、前記第1方向と交差する第2方向に延出する複数の第2電極と、供給された第1符号又は第2符号の信号に応じて、前記第1電極に第1駆動信号又は前記第1駆動信号よりも低電位の第2駆動信号を供給する第1電極選択回路と、前記駆動信号に応じて前記第1電極と前記第2電極の間に生じた静電容量を検出する検出回路と、を備える検出装置と、前記検出装置の出力に基づき、指紋パターン生成する指紋パターン生成装置と、を備え、前記第1電極選択回路は、複数の前記第1電極のうち、1つの検出単位に含まれる全ての第1電極に前記第1符号が割り付けられている第1期間と、前記検出単位に含まれる一部の第1電極に前記第1符号が割り付けられている第2期間と、を有し、前記第2期間において、前記第1符号が割り付けられた第1電極に前記第1駆動信号を供給し、前記第1期間において、全ての第1電極に前記第2駆動信号を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、センサ部の構成並びにセンサ部による指紋パターンの検出方法を示す概略図である。
図3図3は、コード信号に応じて第1電極に割り付けられる符号例を示す図である。
図4図4は、相互静電容量方式の検出制御を説明するための説明図である。
図5図5は、実施形態に係る指紋パターン生成処理の具体例を示す概念図である。
図6図6は、第1期間における第1電極の状態を示す図である。
図7図7は、第2期間における第1電極の状態を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る第1電極に出力される駆動信号のタイミングチャートである。
図9図9は、第1電極選択回路の論理回路ブロックの一例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る検出システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
図1は、実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、実施形態に係る検出装置1は、センサ部10と、検出制御部11と、第1電極選択回路15と、検出部40とを備える。
【0011】
図2は、センサ部の構成並びにセンサ部による指紋パターンの検出方法を示す概略図である。センサ部10は、X方向に延在し、Y方向に並ぶ複数の第1電極Txと、Y方向に延在し、X方向に並ぶ複数の第2電極Rxとを備える。第1電極Txと第2電極Rxとは、非接触状態でZ方向に対向する。第1電極Txは、第1電極選択回路15と接続されている。第2電極Rxは、検出部40と接続されている。
【0012】
図2では、8本の第1電極Tx(Tx1,Tx2,・・・,Tx8)と、8本の第2電極Rx(Rx1,Rx2,・・・,Rx8)とを備える例を示したが、これに限らず、第1電極Tx及び第2電極Rxの数は、それぞれ2以上の整数であれば良く、例えば、64本、128本等の8の倍数であっても良い。また、例えば、複数(図2に示す例では8本)の第1電極Tx(Tx1,Tx2,・・・,Tx8)と複数(図2に示す例では8本)の第2電極Rx(Rx1,Rx2,・・・,Rx8)とを1つの検出単位とする領域を複数有する構成であっても良い。
【0013】
センサ部10は、符号分割選択駆動(以下、CDM(Code Division Multiplexing)駆動と表す)により、第1電極選択回路15から供給される駆動信号Vtxに従って検出を行う。
【0014】
検出制御部11は、第1電極選択回路15及び検出部40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御部11は、符号生成部11aと、クロック信号出力部11bとを含む。符号生成部11aは、例えば下記式(1)の正方行列で定義される所定の符号に基づく所定のコード信号CDMを第1電極選択回路15に供給する。本実施形態において、正方行列の次数は、第1電極Txの数である8になる。所定の符号は、「1」又は「-1」、若しくは「1」又は「0」を要素とし、任意の異なった2つの行が直交行列となる正方行列、例えば、アダマール行列に基づく符号である。クロック信号出力部11bは、クロック信号CLK及びコード切替信号HDを第1電極選択回路15に供給する。
【0015】
【数1】
【0016】
第1電極選択回路15は、各第1電極Txに対し、1フレーム期間を8分割したコード切替信号HDに基づき、コード信号CDMに応じた符号を割り付ける。図3は、コード信号に応じて第1電極に割り付けられる符号例を示す図である。
【0017】
コード信号CDM1,CDM2,・・・CDM8は、コード切替信号HDで定義される各期間t1,t2,・・・,t8ごとに出力される。なお、センサ部10が画像表示機能を有している場合、これら各期間t1,t2,・・・,t8の間に画像表示期間を設ける構成も採用可能である。
【0018】
コード信号CDM1が出力される期間t1では、図2に示す全ての第1電極Tx(Tx1,Tx2,・・・,Tx8)に符号「1」が割り付けられる。以下、符号「1」を「第1符号」とも称する。また、図2に示す全ての第1電極Tx(Tx1,Tx2,・・・,Tx8)に第1符号が割り付けられる期間t1を、「第1期間」とも称する。
【0019】
コード信号CDM2が出力される期間t2では、第1電極Tx1,Tx3,Tx5,Tx7に第1符号が割り付けられ、第1電極Tx2,Tx4,Tx6,Tx8に符号「0」が割り付けられる。以下、符号「0」を「第2符号」とも称する。
【0020】
コード信号CDM3が出力される期間t3では、第1電極Tx1,Tx2,Tx5,Tx6に第1符号が割り付けられ、第1電極Tx3,Tx4,Tx7,Tx8に第2符号が割り付けられる。
【0021】
コード信号CDM4が出力される期間t4では、第1電極Tx1,Tx4,Tx5,Tx8に第1符号が割り付けられ、第1電極Tx2,Tx3,Tx6,Tx7に第2符号が割り付けられる。
【0022】
コード信号CDM5が出力される期間t5では、第1電極Tx1,Tx2,Tx3,Tx4に第1符号が割り付けられ、第1電極Tx5,Tx6,Tx7,Tx8に第2符号が割り付けられる。
【0023】
コード信号CDM6が出力される期間t6では、第1電極Tx1,Tx3,Tx6,Tx8に第1符号が割り付けられ、第1電極Tx2,Tx4,Tx5,Tx7に第2符号が割り付けられる。
【0024】
コード信号CDM7が出力される期間t7では、第1電極Tx1,Tx2,Tx7,Tx8に第1符号が割り付けられ、第1電極Tx3,Tx4,Tx5,Tx6に第2符号が割り付けられる。
【0025】
コード信号CDM8が出力される期間t8では、第1電極Tx1,Tx4,Tx6,Tx7に第1符号が割り付けられ、第1電極Tx2,Tx3,Tx5,Tx8に第2符号が割り付けられる。
【0026】
以下、コード信号CDM2,CDM3,・・・,CDM8が出力される期間t2,t3,・・・,t8を、「第2期間」とも称する。
【0027】
本開示において、第1電極選択回路15は、第2期間において第1符号が割り付けられた第1電極Txに対し、クロック信号CLKに同期した駆動パルスを出力する。以下、クロック信号CLKに同期した駆動パルスを「第1駆動信号」とも称する。また、第1電極選択回路15は、第2期間において第2符号が割り付けられた第1電極Txに対し、第1駆動信号よりも低電位の駆動信号を出力する。以下、第1駆動信号よりも低電位の駆動信号を「第2駆動信号」とも称する。
【0028】
検出部40は、検出制御部11から供給される制御信号と、センサ部10から供給される検出信号Vdetに基づいて、指紋パターンを検出する回路である。検出部40は、検出回路48と、信号処理部44と、指紋パターン生成部45と、記憶部46と、検出タイミング制御部47と、を備える。検出回路48は、検出信号増幅部42と、A/D変換部43と、を備える。
【0029】
検出タイミング制御部47は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、検出信号増幅部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、指紋パターン生成部45と、が同期して動作するように制御する。
【0030】
センサ部10は、検出信号Vdetを検出回路48に供給する。
【0031】
検出信号増幅部42は、センサ部10から供給された検出信号Vdetを増幅した信号を出力する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0032】
信号処理部44は、デジタル信号に変換された信号に対し、所定の復号処理を行う。
【0033】
記憶部46は、復号処理後のデータを一時的に保存する。記憶部46は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0034】
指紋パターン生成部45は、記憶部46に一時記憶された復号処理後のデータに基づいて、指紋パターンを生成し、得られた指紋パターンをセンサ出力Voとして出力する。
【0035】
検出装置1は、静電容量型の検出制御がなされる。ここで、図4を参照して、実施形態の検出装置1の相互静電容量方式による検出制御について説明する。図4は、相互静電容量方式の検出制御を説明するための説明図である。なお、図4は、検出回路48を併せて示している。検出回路48は、第2電極Rxごとに電圧検出器DETが設けられている。電圧検出器DETは、検出信号増幅部42に設けられる。すなわち、検出信号増幅部42は、複数の第2電極Rxにそれぞれ対応した複数の電圧検出器DETを含む。
【0036】
図4に示すように、絶縁層13を挟んで互いに対向配置された一対の電極、第1電極Tx及び第2電極Rxにより容量Ctxが形成される。容量Ctxは、第1電極Txと第2電極Rxとの対向面同士の間に形成される電界に加え、第1電極Txの端部から第2電極Rxの上面に向かって延びるフリンジ電界が生じる。なお、当該絶縁層13は、単層の絶縁膜によって構成することが可能であることはもちろん、複数も絶縁膜を積層する構成や、これら絶縁膜に加えて誘電体や空気層、第2電極Rxを支持する樹脂やガラス等の基板を積層する構成も採用可能である。
【0037】
第1電極Txに供給される第1駆動信号は、例えば、所定の周波数(例えば数kHz~数百kHz程度)の交流矩形波Sgである。電圧検出器DETには、容量Ctxに応じた電流が流れる。電圧検出器DETは、交流矩形波Sgに応じた電流の変動を電圧の変動に変換する。
【0038】
電圧検出器DETから出力される電圧信号の振幅は、指Finが近づくにつれて小さくなる。この電圧差分の絶対値|ΔV|は、接触又は近接する被検出体の影響に応じて変化することになる。検出部40は、絶対値|ΔV|に基づいて指Finの凹凸等を判断する。このようにして、検出装置1は、相互静電容量方式による指紋パターンの検出制御が可能となる。
【0039】
図5は、実施形態に係る指紋パターン生成処理の具体例を示す概念図である。
【0040】
図5において、左辺左側の正方行列は、コード切替信号HDで定義される各期間t1,t2,・・・,t8ごとに取得されるデータを示している。例えば、D11は、期間t1において第2電極Rx1によって取得されたデータを示している。また、例えば、D88は、期間t8において第2電極Rx8によって取得されたデータを示している。すなわち、データD11,D12,・・・,D18は、期間t1においてそれぞれ各第2電極Rx1,Rx2,・・・,Rx8によって取得されたデータ行を示し、データD11,D21,・・・,D81は、それぞれ各期間t1,t2,・・・,t8において第2電極Rx1によって取得されたデータ列を示している。また、図5において、左辺右側の正方行列は、上述したアダマール行列に基づく符号である。
【0041】
図6は、第1期間における第1電極の状態を示す図である。図7は、第2期間における第1電極の状態を示す図である。図6及び図7に示す例では、第1符号が割り付けられた第1電極Txを実線で示し、第2符号が割り付けられた第1電極Txを破線で示している。図7では、第2期間の一例として、期間t2における第1電極Txの状態を示している。
【0042】
図6に示す第1期間では、図7に示す第2期間に対し、図4に示す容量Ctxが大きくなる。このため、第1期間において各第2電極Rx(Rx1,Rx2,・・・,Rx8)から検出回路48に入力される各検出信号Vdetがクリップする可能性がある。あるいは、第1期間において各第2電極Rx(Rx1,Rx2,・・・,Rx8)から検出回路48に入力される各検出信号Vdetがクリップしないようにゲインを下げると、第1期間(期間t1)を除く第2期間(期間t2,t3,・・・,t8)において各第2電極Rx(Rx1,Rx2,・・・,Rx8)から検出回路48に入力される各検出信号Vdetが小さくなり、検出精度が低下する可能性がある。
【0043】
図8は、実施形態に係る第1電極に出力される駆動信号のタイミングチャートである。
【0044】
本開示において、第1電極選択回路15は、図8に示すように、期間t1、すなわち第1期間において、図2に示す全ての第1電極Tx(Tx1,Tx2,・・・,Tx8)を低電位とし、期間t1(第1期間)を除く期間t2,t3,・・・,t8、すなわち第2期間において、コード信号CDMに応じて選択された第1駆動電極Txに、クロック信号CLKに同期した駆動パルスを出力する。これにより、期間t1(第1期間)において各第2電極Rx(Rx1,Rx2,・・・,Rx8)から検出回路48に入力される各検出信号Vdetの値を略0とすることができる。なお、上述したように、センサ部10が画像表示機能を有している場合、これら各期間の間に画像表示期間を設ける構成も採用可能である。
【0045】
図9は、第1電極選択回路の論理回路ブロックの一例を示す図である。図9に示すように、第1電極選択回路15は、1つの否定論理積回路151と、複数の論理積回路152-1,152-2,152-3,152-4,152-5,152-6,152-7,152-8とを含む。図9において、例えばCode1は、第1電極Tx1に対応するコード信号CDMの符号を示している。
【0046】
論理積回路152-1,152-2,152-3,152-4,152-5,152-6,152-7,152-8は、第1電極Txごとに設けられている。否定論理積回路151は、コード信号CDMを受け取って、コード信号CDMに含まれる各符号Code1,Code2,Code3,Code4,Code5,Code6,Code7,Code8の否定論理積を演算する。
【0047】
論理積回路152-1は、コード信号CDMに含まれる符号Code1と否定論理積回路151の出力値との論理積を演算する。これにより、期間t1(第1期間)に入力されるコード信号CDM1に含まれる符号Code1が反転した符号Code1’が出力される。
【0048】
論理積回路152-2は、コード信号CDMに含まれる符号Code2と否定論理積回路151の出力値との論理積を演算する。これにより、期間t1(第1期間)に入力されるコード信号CDM1に含まれる符号Code2が反転した符号Code2’が出力される。
【0049】
論理積回路152-3は、コード信号CDMに含まれる符号Code3と否定論理積回路151の出力値との論理積を演算する。これにより、期間t1(第1期間)に入力されるコード信号CDM1に含まれる符号Code3が反転した符号Code3’が出力される。
【0050】
論理積回路152-4は、コード信号CDMに含まれる符号Code4と否定論理積回路151の出力値との論理積を演算する。これにより、期間t1(第1期間)に入力されるコード信号CDM1に含まれる符号Code4が反転した符号Code4’が出力される。
【0051】
論理積回路152-5は、コード信号CDMに含まれる符号Code5と否定論理積回路151の出力値との論理積を演算する。これにより、期間t1(第1期間)に入力されるコード信号CDM1に含まれる符号Code5が反転した符号Code5’が出力される。
【0052】
論理積回路152-6は、コード信号CDMに含まれる符号Code6と否定論理積回路151の出力値との論理積を演算する。これにより、期間t1(第1期間)に入力されるコード信号CDM1に含まれる符号Code6が反転した符号Code6’が出力される。
【0053】
論理積回路152-7は、コード信号CDMに含まれる符号Code7と否定論理積回路151の出力値との論理積を演算する。これにより、期間t1(第1期間)に入力されるコード信号CDM1に含まれる符号Code7が反転した符号Code7’が出力される。
【0054】
論理積回路152-8は、コード信号CDMに含まれる符号Code8と否定論理積回路151の出力値との論理積を演算する。これにより、期間t1(第1期間)に入力されるコード信号CDM1に含まれる符号Code8が反転した符号Code8’が出力される。
【0055】
期間t1(第1期間)を除く各期間t2,t3,t4,t5,t6,t7,t8(第2期間)に入力される各コード信号CDM2,CDM3,・・・,CDM8の各符号Code1,Code2,・・・,Code8は反転されず、各符号Code1’,Code2’,・・・,Code8’が出力される。第1電極選択回路15は、図9に示す論理回路ブロックの出力に基づき、各第1電極Tx1,Tx2,・・・,Tx8に供給する各駆動信号Vtx1,Vtx2,・・・Vtx8を生成する。
【0056】
すなわち、第1電極選択回路15は、期間t1(第1期間)を除く各期間t2,t3,t4,t5,t6,t7,t8(第2期間)において第1符号が割り付けられた第1電極に第1駆動信号を出力する。また、第1電極選択回路15は、各期間t2,t3,t4,t5,t6,t7,t8(第2期間)において第2符号が割り付けられた第1電極Txに第2駆動信号を出力する。さらに、本開示において、第1電極選択回路15は、第1期間において全ての第1電極Txに第2駆動信号を出力する。
【0057】
以上のような動作により、実施形態に係る検出装置1は、期間t1(第1期間)において、図2に示す全ての第1電極Tx(Tx1,Tx2,・・・,Tx8)を低電位とすることができ、各第2電極Rx(Rx1,Rx2,・・・,Rx8)から検出回路48に入力される各検出信号Vdetの値を略0とすることができる。これにより、期間t1(第1期間)を除く各期間t2,t3,t4,t5,t6,t7,t8(第2期間)に取得したデータを用いて、良好な指紋検出を実現できる。
【0058】
図10は、実施形態に係る検出システムの構成例を示すブロック図である。なお、図1に示す検出装置1と同一の構成部には同一の符号を付して、ここでの詳細な説明は省略する。
【0059】
図10に示すように、実施形態に係る検出システム100は、検出装置1aと、指紋パターン生成装置2とを備える。検出装置1aは、センサ部10と、検出制御部11と、第1電極選択回路15と、検出部40aとを備える。
【0060】
図10に示す検出システム100において、検出装置1aの検出タイミング制御部47aは、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、検出信号増幅部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、データ出力部49と、が同期して動作するように制御する。データ出力部49は、記憶部46に一時記憶された復号処理後のデータをセンサ出力Voとして指紋パターン生成装置2に出力する。指紋パターン生成装置2は、検出部40aから出力されたセンサ出力Voに基づき、図5に示した指紋パターン生成処理により指紋パターンを生成する。
【0061】
図10に示す実施形態に係る検出システム100においても、図1に示す検出装置1と同様に、期間t1(第1期間)において、図2に示す全ての第1電極Tx(Tx1,Tx2,・・・,Tx8)を低電位とすることで、各第2電極Rx(Rx1,Rx2,・・・,Rx8)から検出回路48に入力される各検出信号Vdetの値を略0とすることができる。これにより、期間t1(第1期間)を除く各期間t2,t3,t4,t5,t6,t7,t8(第2期間)に取得したデータを用いて、良好な指紋検出を実現できる。
【0062】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
1,1a 検出装置
2 指紋パターン生成装置
10 センサ部
11 検出制御部
11a 符号生成部
11b クロック信号出力部
15 第1電極選択回路
40,40a 検出部
42 検出信号増幅部
43 A/D変換部
44 信号処理部
45 指紋パターン生成部
46 記憶部
47 検出タイミング制御部
48 検出回路
49 データ出力部
100 検出システム
151 否定論理積回路
152-1,152-2,152-3,152-4,152-5,152-6,152-7,152-8 論理積回路
CDM,CDM1,CDM2,CDM3,CDM4,CDM5,CDM6,CDM7,CDM8 コード信号
DET 電圧検出器
Rx,Rx1,Rx2,Rx3,Rx4,Rx5,Rx6,Rx7,Rx8 第2電極
Tx,Tx1,Tx2,Tx3,Tx4,Tx5,Tx6,Tx7,Tx8 第1電極
t1,t2,t3,t4,t5,t6,t7,t8 期間
Vdet 検出信号
Vtx,Vtx1,Vtx2,Vtx3,Vtx4,Vtx5,Vtx6,Vtx7,Vtx8 駆動信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10