(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170497
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/24 20060101AFI20221102BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20221102BHJP
【FI】
H02K5/24 Z
H02K11/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076658
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】赤石 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】山本 和志
(72)【発明者】
【氏名】中川 愛海
(72)【発明者】
【氏名】藤本 祥平
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA04
5H605AA05
5H605BB05
5H605CC01
5H605CC03
5H605CC10
5H611BB01
5H611TT01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】駆動装置に生じる振動を低減する。
【解決手段】モータと、モータを収容するモータハウジング60と、モータと電気的に接続されるインバータを収容するインバータハウジング61と、ギヤ部を収容するギヤハウジング62と、を備える。モータハウジング60、インバータハウジング61、およびギヤハウジング62とは互いに繋がっている。インバータハウジング61は、底壁115と、底壁から上側に延びて底壁の四方を囲む複数の側壁と、を有する。複数の側壁には、互いに対向する第1側壁111および第2側壁112、並びに互いに対向する第3側壁113および第4側壁114が含まれる。インバータハウジング61には、底壁115から上側に延びるとともに第1側壁111と第2側壁112とを繋ぐ第1リブ121と、底壁115から上側に延びるとともに第3側壁113と第4側壁114とを繋ぐ第2リブ122と、が設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸線を中心として回転するロータを有するモータと、
前記モータを収容するモータハウジングと、
前記モータと電気的に接続されるインバータを収容するインバータハウジングと、
前記ロータに接続されるギヤ部を収容するギヤハウジングと、を備え、
前記インバータハウジングは、上側に開口し、前記モータ軸線に交差する方向で前記モータハウジングの横に配置され、
前記モータハウジング、前記インバータハウジング、および前記ギヤハウジングとは互いに繋がっており、
前記インバータハウジングは、底壁と、前記底壁から上側に延びて前記底壁の四方を囲む複数の側壁と、を有し、
複数の前記側壁には、互いに対向する第1側壁および第2側壁、並びに互いに対向する第3側壁および第4側壁が含まれ、
前記インバータハウジングには、
前記底壁から上側に延びるとともに前記第1側壁と前記第2側壁とを繋ぐ第1リブと、
前記底壁から上側に延びるとともに前記第3側壁と前記第4側壁とを繋ぐ第2リブと、が設けられる、
駆動装置。
【請求項2】
前記底壁の少なくとも一部は、前記ギヤハウジングの外側面であり、
前記第1リブおよび前記第2リブの少なくとも一方は、前記ギヤハウジングの外側面から上側に延びる、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第4側壁の少なくとも一部は、前記モータハウジングの外側面であり、
前記第2リブは、前記モータハウジングの外側面に接続される、
請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第4側壁の少なくとも一部は、前記モータハウジングの外側面であり、上下方向に沿って延びる第3リブが設けられる、
請求項1~3の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第3リブは、少なくとも1つの前記第2リブと接続される、
請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第1側壁、前記第2側壁、前記第3側壁、および前記第4側壁のうち少なくとも1つの前記側壁には、ボルト収容部と、前記ボルト収容部から前記側壁に沿って延びる第4リブと、が設けられる、
請求項1~5の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第4リブは、1つの前記ボルト収容部に対して一対設けられ、
一対の前記第4リブは、前記ボルト収容部から離れるに従って互いに離れる、
請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記インバータハウジングは、前記第1側壁と前記第3側壁とを繋ぐ平面部をさらに有し、
前記第1側壁および前記第3側壁には、それぞれ前記ボルト収容部と前記第4リブとが設けられ、
前記第1側壁の前記第4リブと、前記第3側壁の前記第4リブとは、平面部に沿って延びて互いに繋がる、
請求項6又は7に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記ギヤハウジングの外周面には、前記ギヤハウジングの内部に配置されるギヤの軸線に沿って延びる第5リブが設けられ、
前記第5リブは、前記ギヤハウジングの外側面と前記底壁とを繋ぐ、
請求項1~8の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記モータ軸線の軸方向において、前記第2リブの延び出る位置と前記第5リブの延び出る位置とが互いにずれている、
請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記モータ軸線の軸方向において、前記第2リブの延び出る位置と前記第5リブの延び出る位置とが互いに一致する、
請求項9に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記第1側壁と前記第2側壁との間の距離寸法は、前記底壁に向かうにつれて、小さくなる、
請求項1~11の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記第3側壁と前記第4側壁との間の距離寸法は、前記底壁に向かうにつれて、小さくなる、
請求項1~12の何れか一項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々のモータの振動対策が知られている。例えば、特許文献1には、振動を励起する加振力の低減で振動を低減する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、モータを収容するモータハウジングに、インバータを収容するインバータハウジングが繋がった構造を有する駆動装置においては、モータ駆動時に発生したモータ振動によってインバータハウジングの膜共振が励起されやすい。そのため、単にモータに対して振動対策を施すのみでは、上記のような駆動装置に生じる振動を十分に低減しにくい場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の駆動装置の一つの態様は、モータ軸線を中心として回転するロータを有するモータと、モータを収容するモータハウジングと、モータと電気的に接続されるインバータを収容するインバータハウジングと、ロータに接続されるギヤ部を収容するギヤハウジングと、を備える。インバータハウジングは、上側に開口し、モータ軸線に交差する方向でモータハウジングの横に配置される。モータハウジング、インバータハウジング、およびギヤハウジングとは互いに繋がっている。インバータハウジングは、底壁と、底壁から上側に延びて底壁の四方を囲む複数の側壁と、を有する。複数の側壁には、互いに対向する第1側壁および第2側壁、並びに互いに対向する第3側壁および第4側壁が含まれる。インバータハウジングには、底壁から上側に延びるとともに第1側壁と第2側壁とを繋ぐ第1リブと、底壁から上側に延びるとともに第3側壁と第4側壁とを繋ぐ第2リブと、が設けられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一つの態様によれば、駆動装置に生じる振動を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態の駆動装置の概念図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の駆動装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のハウジング本体の平面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のハウジング本体の斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態のハウジング本体の斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態のハウジング本体の断面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態のハウジング本体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、駆動装置1が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、重力方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向(すなわち上下方向)を示し、+Z方向が上側(重力方向の反対側)であり、-Z方向が下側(重力方向)である。また、X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置1が搭載される車両の前後方向を示し、+X方向が車両前方であり、-X方向が車両後方である。
【0009】
ただし、+X方向が車両後方であり、-X方向が車両前方となることもありうる。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の幅方向(左右方向)を示し、+Y方向が車両左方であり、-Y方向が車両右方である。但し、+X方向が車両後方となる場合には、+Y方向が車両右方であり、-Y方向が車両左方となることもありうる。すなわち、X軸の方向に関わらず、単に+Y方向が車両左右方向の一方側となり、-Y方向が車両左右方向の他方側となる。
【0010】
以下の説明において特に断りのない限り、モータ2のモータ軸線J2に平行な方向(Y軸方向)を単に「軸方向」と呼び、モータ軸線J2を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸線J2を中心とする周方向、すなわち、モータ軸線J2の軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。ただし、上記の「平行な方向」は、略平行な方向も含む。
【0011】
本実施形態の駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。
【0012】
図1に示すように、駆動装置1は、モータ2と、伝達機構(ギヤ部)3と、ハウジング6と、ハウジング6内に収容されるオイルOと、インバータユニット110と、オイルクーラー9と、を備える。
【0013】
モータ2は、水平方向に延びるモータ軸線J2を中心として回転するロータ20と、ロータ20の径方向外側に位置するステータ30と、を備える。ハウジング6は、モータ2を収容するモータハウジング60と、伝達機構3を収容するギヤハウジング62と、を有する。
【0014】
モータ2は、ステータ30の内側にロータ20が配置されるインナーロータ型モータである。ロータ20は、シャフト21と、ロータコア24と、ロータマグネット(図示略)と、を有する。
【0015】
シャフト21は、水平方向かつ車両の幅方向に延びるモータ軸線J2を中心とする。シャフト21は、内部に中空部22を有する中空シャフトである。シャフト21は、モータハウジング60からギヤハウジング62内へ突出する。ギヤハウジング62に突出するシャフト21の端部は、伝達機構3に連結される。具体的には、シャフト21は、第1ギヤ41に連結される。
【0016】
ステータ30は、ロータ20を径方向外側から囲む。ステータ30は、ステータコア32と、コイル31と、ステータコア32とコイル31との間に介在するインシュレータ(図示略)とを有する。ステータ30は、モータハウジング60に保持される。コイル31はインバータユニット110に接続される。
【0017】
伝達機構3は、ギヤハウジング62に収容される。伝達機構3は、モータ軸線J2の軸方向一方側においてシャフト21に接続される。すなわち、伝達機構3は、ロータ20に接続される。伝達機構3は、減速装置4と差動装置5とを有する。モータ2から出力されるトルクは、減速装置4を介して差動装置5に伝達される。
【0018】
減速装置4は、モータ2のシャフト21に接続される。減速装置4は、第1ギヤ41と、第2ギヤ42と、第3ギヤ43と、中間シャフト45とを有する。第1ギヤ41は、モータ2のシャフト21に連結される。中間シャフト45は、モータ軸線J2と平行な中間軸線J4に沿って延びている。第2ギヤ42および第3ギヤ43は、中間シャフト45の両端に固定される。第2ギヤ42および第3ギヤ43は、中間シャフト45を介して接続される。第2ギヤ42は、第1ギヤ41に噛み合う。第3ギヤ43は、差動装置5のリングギヤ51と噛み合う。
【0019】
モータ2から出力されるトルクは、モータ2のシャフト21、第1ギヤ41、第2ギヤ42、中間シャフト45および第3ギヤ43を介して差動装置5のリングギヤ51に伝達される。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。減速装置4は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
【0020】
差動装置5は、モータ2から出力されるトルクを車両の車軸に伝達する。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の出力シャフト55に同トルクを伝達する。出力シャフト55は、モータ軸線J2と平行な出力軸線J5に沿って延びる。差動装置5は、減速装置4の第3ギヤに噛み合うリングギヤ51のほか、いずれも図示しない差動ギヤハウジング、ピニオンギヤ、ピニオンシャフト、サイドギヤ等を有する。
【0021】
ギヤハウジング62内の下部領域には、オイルOが溜るオイル溜りPが設けられる。本実施形態では、モータハウジング60の底部は、ギヤハウジング62の底部より上側に位置する。この構成により、モータ2を冷却した後のオイルOを、モータハウジング60の下部領域からギヤハウジング62のオイル溜りPに容易に回収できる。
【0022】
オイル溜りPには、差動装置5の一部が浸かる。オイル溜りPに溜るオイルOは、差動装置5の動作によってかき上げられる。かき上げられたオイルOの一部は、シャフト21内に供給される。オイルOの他の一部は、ギヤハウジング62内に拡散され、減速装置4および差動装置5の各ギヤに供給される。減速装置4および差動装置5の潤滑に使用されたオイルOは、滴下してギヤハウジング62の下側に位置するオイル溜りPに回収される。
【0023】
インバータユニット110は、モータ2と電気的に接続されるインバータ110aと、インバータ110aを収容するインバータハウジング61と、インバータハウジング61に固定されるインバータカバー部材6Cと、を有する。すなわち、駆動装置1は、インバータ110aと、インバータハウジング61と、を備える。インバータ110aは、モータ2に供給される電流を制御する。インバータ110aは、インバータカバー部材6Cのインバータハウジング61側の面に固定される。また、インバータカバー部材6Cは、インバータハウジング61に固定される。すなわち、インバータ110aは、インバータカバー部材6Cを介してインバータハウジング61に固定される。
【0024】
インバータユニット110は、モータハウジング60の横に位置し、モータハウジング60の外周面に繋がっている。本実施形態においてインバータユニット110は、モータハウジング60の車両後方側(-X側)に位置する。インバータユニット110には、車両のラジエータから延びる冷却水配管95が接続される。冷却水配管95は、インバータユニット110からオイルクーラー9に延びる。
【0025】
オイルクーラー9は、モータハウジング60の側面に位置する。オイルクーラー9には、インバータユニット110から延びる冷却水配管95が接続される。オイルクーラー9には、電動オイルポンプ10から吐出されるオイルOが供給される。オイルクーラー9の内部を通過するオイルOは、冷却水配管95を通過する冷却水との熱交換により冷却される。オイルクーラー9で冷却されたオイルOはモータ2に供給される。
【0026】
電動オイルポンプ10は、ポンプモータ10aにより駆動されるオイルポンプである。
電動オイルポンプ10は、オイル溜りPからオイルOを吸い上げ、オイルクーラー9に供給する。ポンプモータ10aは、電動オイルポンプ10のポンプ機構を回転させる。駆動装置1において、ポンプモータ10aの回転軸線J6は、モータ軸線J2と平行である。ポンプモータ10aを有する電動オイルポンプ10は、回転軸線J6が延びる方向に長尺となり易い。ポンプモータ10aの回転軸線J6をモータ軸線J2と平行とすることで、電動オイルポンプ10が駆動装置1の径方向に突出しにくくなる。これにより、駆動装置1の径方向の寸法を小型化することができる。
【0027】
オイルOは、ハウジング6に設けられた油路90内を循環する。油路90は、オイル溜りPからオイルOをモータ2に供給するオイルOの経路である。油路90は、オイルOを循環させモータ2を冷却する。
【0028】
オイルOは、減速装置4および差動装置5の潤滑用として使用される。また、オイルOは、モータ2の冷却用として使用される。オイルOは、ギヤハウジング62下部のオイル溜りPに溜る。オイルOは、潤滑油および冷却油の機能を奏するため、粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
【0029】
油路90は、モータ2の下側のオイル溜りPからモータ2を経て、再びモータ2の下側のオイル溜りPに導くオイルOの経路である。油路90は、モータ2の内部を通る第1の油路91と、モータ2の外部を通る第2の油路92と、を有する。オイルOは、第1の油路91および第2の油路92において、モータ2を内部および外部から冷却する。
【0030】
第1の油路91において、オイルOは、オイル溜りPから差動装置5によりかき上げられてロータ20の内部に導かれる。オイルOは、ロータ20からコイル31に向かって噴射され、ステータ30を冷却する。ステータ30を冷却したオイルOは、モータハウジング60の下部領域を経由してギヤハウジング62のオイル溜まりPに移動する。
【0031】
第2の油路92において、オイルOは、電動オイルポンプ10によってオイル溜りPから汲み上げられる。オイルOは、オイルクーラー9を経由してモータ2の上部に汲み上げられ、モータ2の上側からモータ2に供給される。モータ2を冷却したオイルOは、モータハウジング60の下部領域を経由してギヤハウジング62のオイル溜まりPに移動する。
【0032】
(ハウジング)
ハウジング6は、ハウジング本体6Dとモータカバー部材6Aとギヤカバー部材6Bとインバータカバー部材6Cとを有する。モータカバー部材6A、ギヤカバー部材6B、およびインバータカバー部材6Cは、ハウジング本体6Dに締結され固定される。
【0033】
ハウジング本体6Dは、モータ2を収容するモータハウジング60と、インバータ110aを収容するインバータハウジング61と、伝達機構3を収容するギヤハウジング62と、を有する。すなわち、駆動装置1は、モータハウジング60、インバータハウジング61、およびギヤハウジング62を備える。
【0034】
モータハウジング60は、軸方向一方側(-Y側)に開口する。モータカバー部材6Aは、モータハウジング60の開口を覆う。ギヤハウジング62は、軸方向他方側(+Y側)に開口する。ギヤカバー部材6Bは、ギヤハウジング62の開口を覆う。インバータハウジング61は、上側に開口する。インバータカバー部材6Cはインバータハウジング61の開口を覆う。
【0035】
図4に示すように、モータハウジング60は、モータ軸線J2に沿って延びる筒状である。モータハウジング60は、モータ2を径方向外側から囲む筒状の周壁部60aと、周壁部60aの軸方向一方側(-Y側)の端部に設けられるフランジ部60bと、を少なくとも有する。周壁部60aの内側には、モータ2のステータ30が固定される。フランジ部60bには、モータカバー部材6Aがボルト締結される。
【0036】
本実施形態におけるモータハウジング60の周壁部60aの外周面には、インバータハウジング61とギヤハウジング62とが繋がっている。すなわち、モータハウジング60、インバータハウジング61、およびギヤハウジング62は、単一のダイカスト部品からなり、単一の部材であるハウジング本体6Dの一部である。
【0037】
本実施形態によれば、モータハウジング60、インバータハウジング61、およびギヤハウジング62が、互いに繋がっているため、ハウジング本体6Dの重量が十分に大きくなり、ハウジング本体6Dの剛性が高められる。これにより、ハウジング本体6Dは、モータ2、インバータ110a、および伝達機構3の駆動時の振動を抑制できる。
【0038】
ギヤハウジング62は、モータハウジング60の軸方向他方側(+Y側)に配置される。ギヤハウジング62は、伝達機構3の各シャフトを回転可能に支持する。ギヤハウジング62は、伝達機構3の軸方向一方側(-Y側)に配置される外壁部62bを有する。
【0039】
外壁部62bは、インバータハウジング61の下側に位置する。外壁部62bは、出力軸線J5の軸方向に直交する平面(XZ平面)に沿って延びる。外壁部62bには、差動装置保持部62aが設けられる。差動装置保持部62aの内部には、差動装置5(
図1参照)が主要される。差動装置保持部62aは、出力軸線J5を中心として軸方向一方側(-Y側)に膨出する。差動装置保持部62aには、出力軸線J5に沿って貫通する貫通孔62cが設けられる。貫通孔62cには、出力シャフト55が通過する。
【0040】
差動装置保持部62aの外周面には、第5リブ125が設けられる。第5リブ125は、差動装置保持部62aの外周面において出力軸線J5の周方向に沿って延びる。すなわち、ギヤハウジング62の外周面には、ギヤハウジングの内部に配置されるギヤ(リングギヤ51)の軸線(出力軸線J5)に沿って延びる第5リブ125が設けられる。第5リブ125は、差動装置保持部62aの剛性を高めて、差動装置5の各ギヤに駆動時に発生する振動を抑制する。
【0041】
(インバータハウジング)
インバータハウジング61は、上側(+Z側)に開口し、モータ軸線J2に交差する方向でモータハウジング60の横に配置される。本実施形態においてインバータハウジング61は、モータハウジング60の車両後方側(-X側)に配置される。
【0042】
図3に示すように、インバータハウジング61は、底壁115と、底壁115から上側に延びて底壁115の四方を囲む複数の側壁111、112、113、114と、平面部118と、フランジ部110fと、を有する。インバータハウジング61は、上側に開口する箱形状をなす。
【0043】
底壁115は、上下方向と直交する方向に広がっている。4つの側壁111、112、113、114には、互いに対向する第1側壁111および第2側壁112、並びに互いに対向する第3側壁113および第4側壁114が含まれる。第1側壁111および第2側壁112は、モータ軸線J2と直交する平面に沿って配置され上下方向に広がる。第3側壁113および第4側壁114は、モータ軸線J2に沿って配置され上下方向に広がる。
【0044】
第4側壁114は、モータハウジング60の直上に配置される。第3側壁113は、第4側壁114よりもモータハウジング60から離れた側に位置する。第4側壁114は、モータハウジング60の周壁部60aの外周面から上方(+Z側)に延びている。第3側壁113および第4側壁114の軸方向一方側(-Y側)の端部には、第2側壁112が接続される。第3側壁113および第4側壁114の軸方向他方側(+Y側)の端部側には、第1側壁111が接続される。
【0045】
第1側壁111、第2側壁112、第3側壁113、および第4側壁114には、それぞれ複数のボルト収容部116が設けられる。ボルト収容部116は、それぞれの側壁111、112、113、114の他の部位と比較して肉厚に成形される。ボルト収容部116には、上側に開口するネジ孔116aが設けられる。ネジ孔116aには、インバータカバー部材6Cをネジ止めするためのボルトが挿入される。
【0046】
図7に示すように、第1側壁111と第2側壁112との間の距離寸法は、底壁115に向かうにつれて、小さくなる。また、
図6に示すように、第3側壁113と第4側壁114との間の距離寸法は、底壁115に向かうにつれて、小さくなる。本実施形態のインバータ110aは、インバータカバー部材6Cの下面に固定される。このため、インバータ110aは、インバータハウジング61の内部において、インバータハウジング61の上側を向く開口側(すなわち、上側)に配置される。したがって、インバータハウジング61の内部の下部領域には、インバータ110aが配置されない。本実施形態によれば、インバータハウジング61の内部空間において、下側の領域の体積を小さくなり、インバータハウジング61の内部のデッドスペースを小さくすることができる。これにより、駆動装置1の小型化を図ることができる。
【0047】
図7に示すように。平面部118は、上下方向と直交する平面に沿って延びる。平面部118は、底壁115より上側に位置する。
図4に示すように、平面部118は、第1側壁111と第3側壁113とを繋ぐ。平面部118は、第1側壁111と第3側壁113とが交差して繋がる角部の内側に配置される。平面部118は、第1側壁111および第3側壁113の上下方向中程に配置される。平面部118は、第1側壁111および第3側壁113に対して段差状に設けられる。平面部118は、上側を向く上面118aを有する。上面118aは、平坦面である。
【0048】
フランジ部110fは、4つの側壁111、112、113、114のうち底壁115側とは反対側の端部、すなわち各側壁111、112、113、114の上端側に位置する。フランジ部110fには、インバータカバー部材6Cがボルト締結される。インバータハウジング61の上側の開口は、インバータカバー部材6Cによって覆われる。
【0049】
本実施形態のインバータハウジング61には、一対の第1リブ121と一対の第2リブ122とが設けられる。第1リブ121および第2リブ122は、上下方向から見て直線状に延びる。第1リブ121および第2リブ122は、それぞれ底壁115から上側に延びる。第1リブ121と第2リブ122の上端高さは互いに一致する。一対の第1リブ121は、モータ軸線J2に沿って互いに平行に延びる。また、第2リブ122は、モータ軸線J2と直交する方向に沿って互いに平行に延びる。
【0050】
図3に示すように、第1リブ121は、第1側壁111と第2側壁112とを繋ぐ。一方で、第2リブ122は、第3側壁113と第4側壁114とを繋ぐ。上下方向から見て第1リブ121と第2リブ122とは、互いに直角に交差する。ここでは、第1リブ121と第2リブ122とが互いに交差し接続される部分を交差部120aと呼ぶ。本実施形態のインバータハウジング61には、一対の第1リブ121および一対の第2リブ122が設けられるため、インバータハウジング61には、4つの交差部120aが設けられる。
【0051】
本実施形態のインバータハウジング61は、第1リブ121および第2リブ122によって補強される。第1リブ121は、第1側壁111と第2側壁112と底壁115とを繋ぐことでこれらの相対的な変形を抑制できる。同様に、第2リブ122は、第3側壁113と第4側壁114と底壁115とを繋ぐことでこれらの相対的な変形を抑制できる。また、第1リブ121と第2リブ122とは、交差部120aにおいて互いに接続され、互いの相対的な変位を抑制する。このため、第1リブ121および第2リブ122は、インバータハウジング61の全体の剛性が高める。
【0052】
本実施形態によれば、第1リブ121および第2リブ122は、底壁115に生じる振動を一方向だけでなく、多方向において抑制することができる。これにより、モータ2の振動に起因する底壁115の膜振動(膜共振)を好適に抑制できる。さらに、第1リブ121および第2リブ122は、インバータハウジング61の側壁111、112、113、114に生じる振動も抑制することができる。すなわち本実施形態によれば、駆動装置1に生じる振動を低減でき、駆動装置1から騒音が生じることを抑制できる。
【0053】
また、本実施形態において、インバータハウジング61には、平行に延びる複数の第1リブ121が設けられる。同様に、インバータハウジング61には、平行に延びる複数の第2リブ122が設けられる。本実施形態によれば、底壁115の剛性を均一的に向上させやすく、底壁115において強度分布の偏りが生じることを抑制しやすい。これにより、より安定して底壁115に生じる振動を抑制でき、駆動装置1に生じる振動をより低減できる。
【0054】
本実施形態において、第1リブ121および第2リブ122の上下方向の寸法は、インバータハウジング61とインバータカバー部材6Cとで囲まれるインバータ110aの収容領域の上下方向の寸法に対して、約1/3である。本実施形態において、第1リブ121の上端位置と第2リブ122の上端位置とは互いに一致する。第1リブ121の高さおよび第2リブ122の高さは、支配的となる振動モードによって個別に調整してもよい。
【0055】
本実施形態において、複数の第1リブ121および複数の第2リブ122の間には、隙間Gが設けられる。隙間Gには、インバータ110aの一部が収容されていてもよい。一例として、インバータ110aのコンデンサ等、高さ寸法の大きい部品を、隙間Gに配置してもよい。また、隙間Gには、インバータ110aの駆動音の周波数帯を吸収する吸音部材が配置されていてもよい。
【0056】
底壁115の一部は、出力軸線J5を中心として湾曲する差動装置保持部62aの一部である。すなわち、底壁115の少なくとも一部は、ギヤハウジング62の外側面である。また、一部の第1リブ121および第2リブ122は、底壁115の差動装置保持部62aによって構成される部分にも設けられる。すなわち、第1リブ121および第2リブ122は、ギヤハウジング62の外側面から上側に延びる。
【0057】
本実施形態によれば、ギヤハウジング62の一部が第1リブ121および第2リブ122によって補強される。第1リブ121および第2リブ122は、伝達機構3に起因するギヤハウジング62の振動がインバータハウジング61に伝わることを効果的に抑制する。
【0058】
なお、本実施形態では、第1リブ121および第2リブ122が、ともにギヤハウジング62の外周面に接続される場合について説明した。しかしながら、第1リブ121および第2リブ122の何れか一方がギヤハウジング62の外周面に接続されていれば、ギヤハウジング62の振動抑制の一定の効果を得ることができる。また、本実施形態では、第1リブ121の数と第2リブ122の数が等しい。しかしながら、第1リブ121の数が、第2リブ122の数と異なっていてもよい。
【0059】
図7に示すように、インバータハウジング61の底壁115には、差動装置保持部62aの外周面に設けられる第5リブ125が接続される。したがって、第5リブ125は、ギヤハウジング62の外側面とインバータハウジング61の底壁115とを繋ぐ。第5リブ125は、ギヤハウジング62を補強するとともに、インバータハウジング61の底壁115を補強する。第5リブ125は、伝達機構3に起因するギヤハウジング62の振動がインバータハウジング61に伝わることを効果的に抑制する。
【0060】
第5リブ125は底壁115から下側に延びる。一方で、第2リブ122は底壁115から上側に延びる。したがって、第2リブ122と第5リブ125とは、上下から底壁115を補強する。本実施形態において、モータ軸線J2の軸方向(すなわち、Y軸方向)において、第2リブ122が延び出る位置と第5リブ125が延び出る位置とが互いにずれている。
【0061】
本実施形態のハウジング本体6Dは、ダイカスト部品である。このため、ハウジング本体6Dは、肉厚部分において内部に鋳巣が生じやすい。本実施形態によれば、第2リブ122と第5リブ125との軸方向位置を互いにずらすことで、ハウジング本体6Dに肉厚部分が設けられることを抑制することができる。これにより、底壁115の内部に鋳巣が生じることを抑制でき、ハウジング本体6Dの寸法安定性を高めることができる。
【0062】
なお、
図7に二点鎖線で示すように、モータ軸線J2の軸方向(すなわち、Y軸方向)において、第2リブ122Aが延び出る位置と第5リブ125が延び出る位置とが互いに一致していてもよい。この場合には、第2リブ122と第5リブ125とが互いに補強しあい、底壁115の剛性を高める効果を高めることができる。
【0063】
図4に示すように、第4側壁114は、モータ軸線J2を中心として円弧状に湾曲する湾曲壁119を有する。本実施形態において湾曲壁119は、筒状をなすモータハウジング60の周壁部60aの一部である。湾曲壁119のうちインバータハウジング61の内側に位置する壁面119aは、周壁部60aの外周面の一部である。すなわち、第4側壁114の少なくとも一部は、モータハウジング60の外側面である。壁面119aは、インバータハウジング61の内側に向けて凸となる曲面である。壁面119aは、上側(+Z側)および車両後方側(-X側)を向く。
【0064】
本実施形態において、第2リブ122は、第4側壁114の一部である湾曲壁119に接続される。すなわち、第2リブ122は、モータハウジング60の外側面に接続される。本実施形態によれば、モータハウジング60の一部が第2リブ122によって補強される。第2リブ122は、モータ2に起因するモータハウジング60の振動がインバータハウジング61に伝わることを抑制する。
【0065】
湾曲壁119の内側の壁面119aには、モータ軸線J2の周方向に沿って延びる複数(本実施形態では2つ)の第3リブ123が設けられる。複数の第3リブ123は、軸方向に間隔をおいて配置される。第3リブ123は、湾曲壁119の壁面119a、すなわちモータハウジング60の周壁部60aの外周面に沿って湾曲している。
【0066】
本実施形態によれば、第4側壁114の湾曲壁119を構成する部分には、上下方向に沿って延びる第3リブ123が設けられる。湾曲壁119は、インバータハウジング61の一部でもあり、モータハウジング60の一部である。したがって、湾曲壁119に設けられる第3リブ123は、インバータハウジング61を補強するとともに、モータハウジング60を補強する。第3リブ123は、モータ2に起因するモータハウジング60の振動がインバータハウジング61に伝わることを抑制する。
【0067】
図3に示すように、本実施形態の2つの第3リブ123は、モータハウジング60の周壁部60aの軸方向の全長において、軸方向他方側(+Y側)に偏って配置される。本実施形態において、モータハウジング60は、軸方向一方側(-Y側)に開口する。モータ2は、モータハウジング60に対して軸方向一方側から挿入される。モータハウジング60の内部には、軸方向他方側に位置し軸方向一方側を向く座面60eを有する台座部60dが設けられる。モータ2のステータ30は、座面60eにステータコア32の端面32aを突き合わせて固定される。このため、ステータ30の駆動時の振動は、台座部60dからモータハウジング60に伝わる。本実施形態において、第3リブ123の軸方向位置は、台座部60dの軸方向位置に重なる。これにより、第3リブ123は、台座部60dの剛性を高め、ステータ30の振動がモータハウジング60に伝わることを抑制する。
【0068】
また、本実施形態の2つの第3リブ123の軸方向位置は、差動装置保持部62aの軸方向位置に重なる。これにより、第3リブ123は、差動装置保持部62aの振動が、モータハウジング60に伝わることを抑制する。
【0069】
本実施形態の2つの第3リブ123の一方は、下端部123aにおいて2つの第2リブ122のうち一方と接続される。これにより、第2リブ122と第3リブ123との剛性を互いに高めることができ、第2リブ122および第3リブ123によるインバータハウジング61の補強効果を高めることができる。なお、このような効果は、第3リブ123が、少なくとも1つの第2リブ122と接続されれば得ることができる効果である。
【0070】
本実施形態において、第1側壁111、第2側壁112、および第3側壁113には、それぞれのボルト収容部116からそれぞれの側壁に沿って延びる第4リブ124が設けられる。これにより、ボルト収容部116の周囲における側壁112、113の剛性を抑制することができる。また、本実施形態では、第4リブ124は、延伸方向に向かうにつれて、Z軸方向における寸法が短くなっている。
【0071】
本実施形態のインバータ110aは、インバータカバー部材6Cに固定され、インバータカバー部材6Cは、インバータハウジング61のボルト収容部116にボルト固定される。したがって、インバータ110aの駆動時に発生する振動は、インバータカバー部材6Cを介してインバータハウジング61のボルト収容部116に伝わる。反対に、モータ2および伝達機構3の駆動時に発生する振動は、ボルト収容部116を介してインバータカバー部材6Cおよびインバータ110aに伝わる。本実施形態によれば、第4リブ124が設けられることで、インバータ110aから発生する振動が、インバータハウジング61に伝達されることを抑制できる。また、モータ2および伝達機構3に起因するインバータハウジング61の振動が、インバータ110aに伝達されることを抑制する。
【0072】
なお、本実施形態の第4リブ124は、4つの側壁111、112、113、114のうち、第1側壁111、第2側壁112、および第3側壁113のボルト収容部116から延び出る。しかしながら、第1側壁111、第2側壁112、第3側壁113、および第4側壁114のうち少なくとも1つの側壁において、ボルト収容部116から側壁に沿って延びる第4リブ124が設けられていれば一定の効果を期待できる。
【0073】
第1側壁111の第4リブ124は、第1側壁111の複数のボルト収容部116のうち2つのボルト収容部116から延び出る。第1側壁111の1つのボルト収容部116から延び出る第4リブ124cは、平面部118の上面118aに沿って延びる。また、第1側壁111の他の1つのボルト収容部116から延び出る第4リブ124dは、湾曲壁119の壁面119aに沿って軸方向に延びる。
【0074】
湾曲壁119の壁面119aに沿って延びる第4リブ124dは、先端部124fにおいて、第3リブ123に繋がる。これにより、第3リブ123と第4リブ124とが互いに補強しあって、湾曲壁119を効果的に補強できる。なお、湾曲壁119の壁面119aの第3リブ123と第4リブ124とは、互いに離間していても湾曲壁119の補強のための一定の効果を果たすことができる。
【0075】
第2側壁112の第4リブ124は、第2側壁112の複数のボルト収容部116のうち2つのボルト収容部116から延び出る。第2側壁112の第4リブ124は、第2側壁112の1つのボルト収容部116に対して一対設けられる。第2側壁112の1つのボルト収容部116から延びる一対の第4リブ124は、ボルト収容部116から離れるに従って互いに離れるV字状に設けられる。
【0076】
第2側壁112の一部の第4リブ124eは、先端部124bにおいて、第2リブ122に繋がる。これにより、第2リブ122と第4リブ124とが互いに補強しあって、第2側壁112を効果的に補強できる。
【0077】
第3側壁113の第4リブ124は、第3側壁113の複数のボルト収容部116のうち2つのボルト収容部116から延び出る。第3側壁113の第4リブ124は、第3側壁113の1つのボルト収容部116に対して一対設けられる。第3側壁113の1つのボルト収容部116から延びる一対の第4リブ124は、ボルト収容部116から離れるに従って互いに離れるV字状に設けられる。
【0078】
本実施形態によれば、第2側壁112および第3側壁113には、1つのボルト収容部116からV字状に延びる一対の第4リブ124が設けられる。このため、一対の第4リブ124同士が、互いに剛性を高めあう。さらに、1つのボルト収容部116の周囲の側壁112、113において、第4リブ124が広範囲に設けられる。これにより、ボルト収容部116の周囲における側壁112、113の剛性が広範囲において効果的に高められる。なお、第4リブ124は、必ずしも2本でなくてもよく、3本以上であってもよい。また、一対の第4リブ124は、互いに平行な方向に延びてもよく、ボルト収容部116から離れるに従って互いに近づいてもよい。
【0079】
第3側壁113の1つの第4リブ124cは、平面部118の上面118aに沿って延びて第1側壁111の1つの第4リブ124に繋がる。すなわち、第1側壁111の第4リブ124と第3側壁113の第4リブ124cとは、平面部118に沿って延びて互いに繋がる。互いに繋がる第1側壁111および第3側壁113の第4リブ124は、1つのリブとみなすこともできる。
【0080】
本実施形態において、平面部118は、インバータハウジング61において、一方向に平面的に延び出る片持ちに近い構造になっている。このため、平面部118は、モータ2および伝達機構3の振動に対し共振する虞があった。本実施形態によれば、第4リブ124が、平面部118を横切って延びるため、平面部118の剛性を効果的に高めることができ、平面部118の共振を抑制することができる。
【0081】
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0082】
1…駆動装置、2…モータ、3…伝達機構(ギヤ部)、6…ハウジング、6D…ハウジング本体、20…ロータ、51…リングギヤ(ギヤ)、60…モータハウジング、61…インバータハウジング、62…ギヤハウジング、110a…インバータ、111…第1側壁、112…第2側壁、113…第3側壁、114…第4側壁、115…底壁、116…ボルト収容部、118…平面部、121…第1リブ、122,122A…第2リブ、123…第3リブ、124…第4リブ、125…第5リブ、J2…モータ軸線、J5…出力軸線(軸線)