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特開2022-170512ニューラルネットワーク生成装置、ニューラルネットワーク演算装置、エッジデバイス、ニューラルネットワーク制御方法およびソフトウェア生成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170512
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】ニューラルネットワーク生成装置、ニューラルネットワーク演算装置、エッジデバイス、ニューラルネットワーク制御方法およびソフトウェア生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06N 3/02 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
G06N3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076688
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】517048278
【氏名又は名称】LeapMind株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】徳永 拓之
(57)【要約】
【課題】IoT機器などの組み込み機器に組み込み可能であり、高性能に動作させることができるニューラルネットワークを生成して制御する。
【解決手段】ニューラルネットワーク生成装置は、ニューラルネットワークを演算するニューラルネットワーク実行モデルを生成するニューラルネットワーク生成装置であって、前記ニューラルネットワーク実行モデルは、入力データを第一量子化手段により量子化した第一量子化データと、前記入力データを前記第一量子化手段と異なる第二量子化手段により量子化した第二量子化データに変換する。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューラルネットワークを演算するニューラルネットワーク実行モデルを生成するニューラルネットワーク生成装置であって、
前記ニューラルネットワーク実行モデルは、入力データを第一量子化手段により量子化した第一量子化データと、前記入力データを前記第一量子化手段と異なる第二量子化手段により量子化した第二量子化データに変換する、
ニューラルネットワーク生成装置。
【請求項2】
前記第一量子化データのビット数と前記第二量子化データのビット数とは等しく、
前記ニューラルネットワーク実行モデルは、前記第一量子化データと前記第二量子化データとが連結されたデータに対して畳み込み演算を実施する、
請求項1に記載のニューラルネットワーク生成装置。
【請求項3】
前記第一量子化手段は、第一閾値群により前記入力データを前記第一量子化データに変換し、
前記第二量子化手段は、前記第一閾値群と少なくとも一部が異なる第二閾値群により前記入力データを前記第二量子化データに変換する、
請求項1または請求項2に記載のニューラルネットワーク生成装置。
【請求項4】
前記第一閾値群および前記第二閾値群の閾値は、前記入力データの取りうる範囲に設定された有効範囲に含まれる値である、
請求項3に記載のニューラルネットワーク生成装置。
【請求項5】
前記第一閾値群および前記第二閾値群の閾値は、前記有効範囲を略均等に分割する値である、
請求項4に記載のニューラルネットワーク生成装置。
【請求項6】
前記第一閾値群の閾値と、前記第二閾値群の閾値とは、前記有効範囲において交互に配列する値である、
請求項4または請求項5に記載のニューラルネットワーク生成装置。
【請求項7】
前記第一閾値群の閾値は、略同一のステップ幅で配列する値である、
請求項3から請求項6のいずれか一項に記載のニューラルネットワーク生成装置。
【請求項8】
前記第一閾値群および前記第二閾値群の閾値は、前記入力データの分布情報に基づいて設定された値である、
請求項3または請求項4に記載のニューラルネットワーク生成装置。
【請求項9】
入力データを第一量子化手段により量子化した第一量子化データと、前記入力データを前記第一量子化手段と異なる第二量子化手段により量子化した第二量子化データに変換する入力変換部と、
前記第一量子化データと前記第二量子化データとが連結されたデータを入力とする畳み込み演算回路と、
を備える、
ニューラルネットワーク演算装置。
【請求項10】
前記第一量子化手段は、第一閾値群により前記入力データを前記第一量子化データに変換し、
前記第二量子化手段は、前記第一閾値群と少なくとも一部が異なる第二閾値群により前記入力データを前記第二量子化データに変換する
請求項9に記載のニューラルネットワーク演算装置。
【請求項11】
前記第一閾値群および前記第二閾値群の閾値は、前記入力データの取りうる範囲に設定された有効範囲に含まれる値であり、
前記第一閾値群および前記第二閾値群の閾値は、前記有効範囲を略均等に分割する値である、
請求項10に記載のニューラルネットワーク演算装置。
【請求項12】
請求項9から請求項11のいずれか1項に記載のニューラルネットワーク演算装置と、
前記ニューラルネットワーク演算装置を動作させる電源と、
を備える
エッジデバイス。
【請求項13】
ニューラルネットワークを演算するニューラルネットワークハードウェアを制御する方法であって、
入力データを第一量子化手段により量子化した第一量子化データと、前記入力データを前記第一量子化手段と異なる第二量子化手段により量子化した第二量子化データに変換する変換ステップと、
前記第一量子化データと前記第二量子化データに対して畳み込み演算を実施する演算ステップと、
を備える、
ニューラルネットワーク制御方法。
【請求項14】
前記変換ステップは、前記ニューラルネットワークハードウェア以外の装置によって事前処置される、
請求項13に記載のニューラルネットワーク制御方法。
【請求項15】
ニューラルネットワークを演算するニューラルネットワークハードウェアを制御するソフトウェアを生成するプログラムであって、
入力データを第一量子化手段により量子化した第一量子化データと、前記入力データを前記第一量子化手段と異なる第二量子化手段により量子化した第二量子化データに変換する変換ステップと、
前記第一量子化データと前記第二量子化データに対して畳み込み演算を実施させる演算ステップと
を備える前記ソフトウェアを生成する、
ソフトウェア生成プログラム。
【請求項16】
ニューラルネットワークを演算するニューラルネットワークハードウェアを制御するソフトウェアを生成するプログラムであって、
入力データを第一量子化手段により量子化した第一量子化データと、前記入力データを前記第一量子化手段と異なる第二量子化手段により量子化した第二量子化データを用いて、畳み込み演算を実施させる演算ステップを備える前記ソフトウェアを生成する、
ソフトウェア生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニューラルネットワーク生成装置、ニューラルネットワーク演算装置、エッジデバイス、ニューラルネットワーク制御方法およびソフトウェア生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)が画像認識等のモデルとして用いられている。畳み込みニューラルネットワークは、畳み込み層やプーリング層を有する多層構造であり、畳み込み演算等の多数の演算を必要とする。畳み込みニューラルネットワークによる演算を高速化する演算手法が様々考案されている(特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-077829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、IoT機器などの組み込み機器においても畳み込みニューラルネットワークを利用した画像認識等が使用されている。組み込み機器において畳み込みニューラルネットワークを効率的に動作させるため、組み込み機器のハードウェア構成に合わせたニューラルネットワークに係る演算を行う回路やモデルを生成することが望まれている。また、これらの回路やモデルを高効率かつ高速に動作させる制御方法が望まれている。また、これらの回路やモデルを高効率かつ高速に動作させるソフトウェアを生成するソフトウェア生成プログラムが望まれている。
【0005】
上記事情を踏まえ、本発明は、IoT機器などの組み込み機器に組み込み可能であり、高効率かつ高速に動作させることができるニューラルネットワークに係る演算を行う回路やモデルを生成するニューラルネットワーク生成装置、高効率かつ高速に動作させることができるニューラルネットワークに係る演算を行うニューラルネットワーク演算装置、ニューラルネットワーク演算装置を含むエッジデバイス、ニューラルネットワークに係る演算を行う回路やモデルを高効率かつ高速に動作させるニューラルネットワーク制御方法およびニューラルネットワークに係る演算を行う回路やモデルを高効率かつ高速に動作させるソフトウェアを生成するソフトウェア生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係るニューラルネットワーク生成装置は、ニューラルネットワークを演算するニューラルネットワーク実行モデルを生成するニューラルネットワーク生成装置であって、前記ニューラルネットワーク実行モデルは、入力データを第一量子化手段により量子化した第一量子化データと、前記入力データを前記第一量子化手段と異なる第二量子化手段により量子化した第二量子化データに変換する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のニューラルネットワーク生成装置、ニューラルネットワーク演算装置、エッジデバイス、ニューラルネットワーク制御方法およびソフトウェア生成プログラムは、IoT機器などの組み込み機器に組み込み可能であり、高性能に動作させることができるニューラルネットワークを生成して制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一実施形態に係るニューラルネットワーク生成装置を示す図である。
図2】同ニューラルネットワーク生成装置の演算部の入出力を示す図である。
図3】畳み込みニューラルネットワークの一例を示す図である。
図4】同畳み込みニューラルネットワークの畳み込み層が行う畳み込み演算を説明する図である。
図5】ニューラルネットワーク実行モデルの一例を示す図である。
図6】同ニューラルネットワーク実行モデルの動作例を示すタイミングチャートである。
図7】同ニューラルネットワーク生成装置の制御フローチャートである。
図8】生成される畳み込み演算回路の内部ブロック図である。
図9】同畳み込み演算回路の乗算器の内部ブロック図である。
図10】同乗算器の積和演算ユニットの内部ブロック図である。
図11】同畳み込み演算回路のアキュムレータ回路の内部ブロック図である。
図12】同アキュムレータ回路のアキュムレータユニットの内部ブロック図である。
図13】同畳み込み演算回路の制御回路のステート遷移図である。
図14】同畳み込み演算回路の入力変換部のブロック図である。
図15】第一閾値群および第二閾値群の例を示す図である。
図16】同入力変換部から出力されるデータを示す図である。
図17】同第一閾値群および同第二閾値群の他の例を示す図である。
図18】同第一閾値群および同第二閾値群の他の例を示す図である。
図19】同第一閾値群および同第二閾値群の他の例を示す図である。
図20】同入力変換部の変形例のブロック図である。
図21】同変形例における第一閾値群、第二閾値群および第三閾値群の例を示す図である。
図22】同畳み込み演算のデータ分割やデータ展開を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について、図1から図22を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るニューラルネットワーク生成装置300を示す図である。
【0010】
[ニューラルネットワーク生成装置300]
ニューラルネットワーク生成装置300は、IoT機器などの組み込み機器に組み込み可能な学習済みのニューラルネットワーク実行モデル100を生成する装置である。ニューラルネットワーク実行モデル100は、畳み込みニューラルネットワーク200(以下、「CNN200」という)を組み込み機器において演算させるために生成されたソフトウェアやハードウェアモデルである。
【0011】
ニューラルネットワーク生成装置300は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサとメモリ等のハードウェアを備えたプログラム実行可能な装置(コンピュータ)である。ニューラルネットワーク生成装置300の機能は、ニューラルネットワーク生成装置300においてニューラルネットワーク生成プログラムおよびソフトウェア生成プログラムを実行することにより実現される。ニューラルネットワーク生成装置300は、記憶部310と、演算部320と、データ入力部330と、データ出力部340と、表示部350と、操作入力部360と、を備える。
【0012】
記憶部310は、ハードウェア情報HWと、ネットワーク情報NWと、学習データセットDSと、ニューラルネットワーク実行モデル100(以下、「NN実行モデル100」という)と、学習済みパラメータPMと、を記憶する。ハードウェア情報HW、学習データセットDSおよびネットワーク情報NWは、ニューラルネットワーク生成装置300に入力される入力データである。NN実行モデル100および学習済みパラメータPMは、ニューラルネットワーク生成装置300が出力する出力データである。なお、「学習済みのNN実行モデル100」は、NN実行モデル100および学習済みパラメータPMを含む。
【0013】
ハードウェア情報HWは、NN実行モデル100を動作させる組み込み機器(以降、「動作対象ハードウェア」という)の情報である。ハードウェア情報HWは、例えば、動作対象ハードウェアのデバイス種別、デバイス制約、メモリ構成、バス構成、動作周波数、消費電力、製造プロセス種別などである。デバイス種別は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの種別である。デバイス制約は、動作対象デバイスに含まれる演算器数の上限や回路規模の上限などである。メモリ構成は、メモリ種別やメモリ個数やメモリ容量や入出力データ幅である。バス構成は、バス種類、バス幅、バス通信規格、同一バス上の接続デバイスなどである。また、NN実行モデル100に複数のバリエーションが存在する場合、ハードウェア情報HWには使用するNN実行モデル100のバリエーションに関する情報が含まれる。
【0014】
ネットワーク情報NWは、CNN200の基本情報である。ネットワーク情報NWは、例えば、CNN200のネットワーク構成、入力データ情報、出力データ情報、量子化情報などである。入力データ情報は、画像や音声などの入力データ種別と、入力データサイズなどである。
【0015】
学習データセットDSは、学習に用いる学習データD1と、推論テストに用いるテストデータD2と、を有する。
【0016】
図2は、演算部320の入出力を示す図である。
演算部320は、実行モデル生成部321と、学習部322と、推論部323と、ハードウェア生成部324と、ソフトウェア生成部325と、を有する。演算部320に入力されるNN実行モデル100は、ニューラルネットワーク生成装置300以外の装置で生成されたものであってもよい。
【0017】
実行モデル生成部321は、ハードウェア情報HWおよびネットワーク情報NWに基づいてNN実行モデル100を生成する。NN実行モデル100は、CNN200を動作対象ハードウェアにおいて演算させるために生成されたソフトウェアやハードウェアモデルである。ソフトウェアは、ハードウェアモデルを制御するソフトウェアを含む。ハードウェアモデルは、ビヘイビアレベルであってもよく、RTL(Register Transfer Level)であってもよく、ゲートや回路モジュール間の接続を表すネットリストであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
【0018】
学習部322は、NN実行モデル100および学習データD1を用いて、学習済みパラメータPMを生成する。推論部323は、NN実行モデル100およびテストデータD2を用いて推論テストを実施する。
【0019】
ハードウェア生成部324は、ハードウェア情報HWおよびNN実行モデル100に基づいてニューラルネットワークハードウェアモデル400を生成する。ニューラルネットワークハードウェアモデル400は、動作対象ハードウェアに実装可能なハードウェアモデルである。ニューラルネットワークハードウェアモデル400は、ハードウェア情報HWに基づいて、動作対象ハードウェアに最適化されている。ニューラルネットワークハードウェアモデル400は、RTL(Register Transfer Level)であってもよく、ゲートや回路モジュール間の接続を表すネットリストであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。ニューラルネットワークハードウェアモデル400は、NN実行モデル100をハードウェアに実装するために必要なパラメータリストやコンフィグレーションファイルであってもよい。パラメータリストやコンフィグレーションファイルは別途生成されたNN実行モデル100と組み合わせて使用される。
【0020】
以降の説明において、ニューラルネットワークハードウェアモデル400を動作対象ハードウェアに実装したものを、「ニューラルネットワークハードウェア600」という。
【0021】
ソフトウェア生成部325は、ネットワーク情報NWおよびNN実行モデル100に基づいて、ニューラルネットワークハードウェア600を動作させるソフトウェア500を生成する。ソフトウェア500は、学習済みパラメータPMを必要に応じてニューラルネットワークハードウェア600へ転送するソフトウェアを含む。
【0022】
データ入力部330には、学習済みのNN実行モデル100を生成するために必要なハードウェア情報HWやネットワーク情報NW等が入力される。ハードウェア情報HWやネットワーク情報NW等は、例えば所定のデータフォーマットで記載されたデータとして入力される。入力されたハードウェア情報HWやネットワーク情報NW等は、記憶部310に記憶される。ハードウェア情報HWやネットワーク情報NW等は、操作入力部360から使用者により入力または変更されてもよい。
【0023】
データ出力部340には、生成された学習済みのNN実行モデル100が出力される。例えば、生成されたNN実行モデル100と、学習済みパラメータPMとがデータ出力部340に出力される。
【0024】
表示部350は、LCDディスプレイ等の公知のモニタを有する。表示部350は、演算部320が生成したGUI(Graphical User Interface)画像やコマンド等を受け付けるためのコンソール画面などを表示できる。また、演算部320が使用者からの情報入力を必要とする場合、表示部350は操作入力部360から情報を入力することを使用者に促すメッセージや情報入力に必要なGUI画像を表示できる。
【0025】
操作入力部360は、使用者が演算部320等に対しての指示を入力する装置である。操作入力部360は、タッチパネル、キーボード、マウス等の公知の入力デバイスである。操作入力部360の入力は、演算部320に送信される。
【0026】
演算部320の機能の全部または一部は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)のような1つ以上のプロセッサがプログラムメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。ただし、演算部320の機能の全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)等のハードウェア(例えば回路部;circuity)により実現されてもよい。また、演算部320の機能の全部または一部は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。
【0027】
演算部320の機能の全部または一部は、クラウドサーバ等の外部機器に設けられたCPUやGPUやハードウェア等の外部アクセラレータを用いて実現されてもよい。演算部320は、例えばクラウドサーバ上の演算性能が高いGPUや専用ハードウェアを併用することで、演算部320の演算速度を向上させることができる。
【0028】
記憶部310は、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、またRAM(Random Access Memory)等により実現される。記憶部310の全部または一部はクラウドサーバ等の外部機器に設けられ、通信回線により演算部320等と接続させてもよい。
【0029】
[畳み込みニューラルネットワーク(CNN)200]
次に、CNN200について説明する。図3は、CNN200の一例を示す図である。CNN200のネットワーク情報NWは、以下で説明するCNN200の構成に関する情報である。CNN200は、低ビットの重みwや量子化された入力データaを用いており、組み込み機器に組み込みやすい。
【0030】
CNN200は、入力層205と、畳み込み演算を行う畳み込み層210と、量子化演算を行う量子化演算層220と、出力層230と、を含む多層構造のネットワークである。CNN200の少なくとも一部において、畳み込み層210と量子化演算層220とが交互に連結されている。CNN200は、画像認識や動画認識に広く使われるモデルである。CNN200は、全結合層などの他の機能を有する層(レイヤ)をさらに有してもよい。
【0031】
入力層205は、CNN200に入力される入力データが、例えば32ビットの浮動小数点型など、畳み込み層210への入力データaと形式が異なる場合、型変換や量子化やデータ分割やデータ整形等のデータ変換を行う。以降の説明において、CNN200に入力される入力データであって、畳み込み層210への入力データaと形式が異なる入力データを「入力データb」という。入力層205は、入力データbを入力データaに変換する。
【0032】
図4は、畳み込み層210が行う畳み込み演算を説明する図である。
畳み込み層210は、入力データaに対して重みwを用いた畳み込み演算を行う。畳み込み層210は、入力データaと重みwとを入力とする積和演算を行う。
【0033】
畳み込み層210への入力データa(アクティベーションデータ、特徴マップともいう)は、画像データ等の多次元データである。本実施形態において、入力データaは、要素(x,y,c)からなる3次元テンソルである。CNN200の畳み込み層210は、低ビットの入力データaに対して畳み込み演算を行う。本実施形態において、入力データaの要素は、2ビットの符号なし整数(0,1,2,3)である。入力データaの要素は、例えば、4ビットや8ビット符号なし整数でもよい。
【0034】
畳み込み層210の重みw(フィルタ、カーネルともいう)は、学習可能なパラメータである要素を有する多次元データである。本実施形態において、重みwは、要素(i,j,c,d)からなる4次元テンソルである。重みwは、要素(i,j,c)からなる3次元テンソル(以降、「重みwo」という)をd個有している。学習済みのCNN200における重みwは、学習済みのデータである。CNN200の畳み込み層210は、低ビットの重みwを用いて畳み込み演算を行う。本実施形態において、重みwの要素は、1ビットの符号付整数(0,1)であり、値「0」は+1を表し、値「1」は-1を表す。
【0035】
畳み込み層210は、式1に示す畳み込み演算を行い、出力データfを出力する。式1において、sはストライドを示す。図4において点線で示された領域は、入力データaに対して重みwoが適用される領域ao(以降、「適用領域ao」という)の一つを示している。適用領域aoの要素は、(x+i,y+j,c)で表される。
【0036】
【数1】
【0037】
量子化演算層220は、畳み込み層210が出力する畳み込み演算の出力に対して量子化などを実施する。量子化演算層220は、プーリング層221と、Batch Normalization層222と、活性化関数層223と、量子化層224と、を有する。
【0038】
プーリング層221は、畳み込み層210が出力する畳み込み演算の出力データfに対して平均プーリング(式2)やMAXプーリング(式3)などの演算を実施して、畳み込み層210の出力データfを圧縮する。式2および式3において、uは入力テンソルを示し、vは出力テンソルを示し、Tはプーリング領域の大きさを示す。式3において、maxはTに含まれるiとjの組み合わせに対するuの最大値を出力する関数である。
【0039】
【数2】
【0040】
【数3】
【0041】
Batch Normalization層222は、量子化演算層220やプーリング層221の出力データに対して、例えば式4に示すような演算によりデータ分布の正規化を行う。式4において、uは入力テンソルを示し、vは出力テンソルを示し、αはスケールを示し、βはバイアスを示す。学習済みのCNN200において、αおよびβは学習済みの定数ベクトルである。
【0042】
【数4】
【0043】
活性化関数層223は、量子化演算層220やプーリング層221やBatch Normalization層222の出力に対してReLU(式5)などの活性化関数の演算を行う。式5において、uは入力テンソルであり、vは出力テンソルである。式5において、maxは引数のうち最も大きい数値を出力する関数である。
【0044】
【数5】
【0045】
量子化層224は、量子化パラメータに基づいて、プーリング層221や活性化関数層223の出力に対して例えば式6に示すような量子化を行う。式6に示す量子化は、入力テンソルuを2ビットにビット削減している。式6において、q(c)は量子化パラメータのベクトルである。学習済みのCNN200において、q(c)は学習済みの定数ベクトルである。式6における不等号「≦」は「<」であってもよい。
【0046】
【数6】
【0047】
出力層230は、恒等関数やソフトマックス関数等によりCNN200の結果を出力する層である。出力層230の前段のレイヤは、畳み込み層210であってもよいし、量子化演算層220であってもよい。
【0048】
CNN200は、量子化された量子化層224の出力データが、畳み込み層210に入力されるため、量子化を行わない他の畳み込みニューラルネットワークと比較して、畳み込み層210の畳み込み演算の負荷が小さい。
【0049】
[ニューラルネットワーク実行モデル100(NN実行モデル)100]
次に、NN実行モデル100について説明する。図5は、NN実行モデル100の一例を示す図である。NN実行モデル100は、CNN200を動作対象ハードウェアにおいて演算させるために生成されたソフトウェアやハードウェアモデルである。ソフトウェアは、ハードウェアモデルを制御するソフトウェアを含む。ハードウェアモデルは、ビヘイビアレベルであってもよく、RTL(Register Transfer Level)であってもよく、ゲートや回路モジュール間の接続を表すネットリストであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
【0050】
NN実行モデル100は、第一メモリ1と、第二メモリ2と、DMAコントローラ3(以下、「DMAC3」ともいう)と、畳み込み演算回路4と、量子化演算回路5と、コントローラ6と、を備える。NN実行モデル100は、第一メモリ1および第二メモリ2を介して、畳み込み演算回路4と量子化演算回路5とがループ状に形成されていることを特徴とする。
【0051】
第一メモリ1は、例えばSRAM(Static RAM)などで構成された揮発性のメモリ等の書き換え可能なメモリである。第一メモリ1には、DMAC3やコントローラ6を介してデータの書き込みおよび読み出しが行われる。第一メモリ1は、畳み込み演算回路4の入力ポートと接続されており、畳み込み演算回路4は第一メモリ1からデータを読み出すことができる。また、第一メモリ1は、量子化演算回路5の出力ポートと接続されており、量子化演算回路5は第一メモリ1にデータを書き込むことができる。外部プロセッサEPは、第一メモリ1に対するデータの書き込みや読み出しにより、NN実行モデル100に対するデータの入出力を行うことができる。
【0052】
第二メモリ2は、例えばSRAM(Static RAM)などで構成された揮発性のメモリ等の書き換え可能なメモリである。第二メモリ2には、DMAC3やコントローラ6を介してデータの書き込みおよび読み出しが行われる。第二メモリ2は、量子化演算回路5の入力ポートと接続されており、量子化演算回路5は第二メモリ2からデータを読み出すことができる。また、第二メモリ2は、畳み込み演算回路4の出力ポートと接続されており、畳み込み演算回路4は第二メモリ2にデータを書き込むことができる。外部プロセッサEPは、第二メモリ2に対するデータの書き込みや読み出しにより、NN実行モデル100に対するデータの入出力を行うことができる。
【0053】
DMAC3は、外部バスEBに接続されており、DRAMなどの外部メモリEMと第一メモリ1との間のデータ転送を行う。また、DMAC3は、DRAMなどの外部メモリEMと第二メモリ2との間のデータ転送を行う。また、DMAC3は、DRAMなどの外部メモリEMと畳み込み演算回路4との間のデータ転送を行う。また、DMAC3は、DRAMなどの外部メモリEMと量子化演算回路5との間のデータ転送を行う。
【0054】
畳み込み演算回路4は、学習済みのCNN200の畳み込み層210における畳み込み演算を行う回路である。畳み込み演算回路4は、第一メモリ1に格納された入力データaを読み出し、入力データaに対して畳み込み演算を実施する。畳み込み演算回路4は、畳み込み演算の出力データf(以降、「畳み込み演算出力データ」ともいう)を第二メモリ2に書き込む。
【0055】
量子化演算回路5は、学習済みのCNN200の量子化演算層220における量子化演算の少なくとも一部を行う回路である。量子化演算回路5は、第二メモリ2に格納された畳み込み演算の出力データfを読み出し、畳み込み演算の出力データfに対して量子化演算(プーリング、Batch Normalization、活性化関数、および量子化のうち少なくとも量子化を含む演算)を行う。量子化演算回路5は、量子化演算の出力データ(以降、「量子化演算出力データ」ともいう)оutを第一メモリ1に書き込む。
【0056】
コントローラ6は、外部バスEBに接続されており、外部プロセッサEPのスレーブとして動作する。コントローラ6は、パラメータレジスタや状態レジスタを含むレジスタ61を有している。パラメータレジスタは、NN実行モデル100の動作を制御するレジスタである。状態レジスタはセマフォSを含むNN実行モデル100の状態を示すレジスタである。外部プロセッサEPは、コントローラ6を経由して、レジスタ61にアクセスできる。
【0057】
コントローラ6は、内部バスIBを介して、第一メモリ1と、第二メモリ2と、DMAC3と、畳み込み演算回路4と、量子化演算回路5と、接続されている。外部プロセッサEPは、コントローラ6を経由して、各ブロックに対してアクセスできる。例えば、外部プロセッサEPは、コントローラ6を経由して、DMAC3や畳み込み演算回路4や量子化演算回路5に対する命令を指示することができる。また、DMAC3や畳み込み演算回路4や量子化演算回路5は、内部バスIBを介して、コントローラ6が有する状態レジスタ(セマフォSを含む)を更新できる。状態レジスタ(セマフォSを含む)は、DMAC3や畳み込み演算回路4や量子化演算回路5と接続された専用配線を介して更新されるように構成されていてもよい。
【0058】
NN実行モデル100は、第一メモリ1や第二メモリ2等を有するため、DRAMなどの外部メモリEMからのDMAC3によるデータ転送において、重複するデータのデータ転送の回数を低減できる。これにより、メモリアクセスにより発生する消費電力を大幅に低減することができる。
【0059】
図6は、NN実行モデル100の動作例を示すタイミングチャートである。NN実行モデル100は、複数のレイヤの多層構造であるCNN200の演算を、ループ状に形成された回路により演算する。NN実行モデル100は、ループ状の回路構成により、ハードウェア資源を効率的に利用できる。以下、図6に示すニューラルネットワークハードウェア600の動作例を説明する。
【0060】
DMAC3は、レイヤ1(図3参照)の入力データaを第一メモリ1に格納する。DMAC3は、畳み込み演算回路4が行う畳み込み演算の順序にあわせて、レイヤ1の入力データaを分割して第一メモリ1に転送してもよい。
【0061】
畳み込み演算回路4は、第一メモリ1に格納されたレイヤ1(図3参照)の入力データaを読み出す。畳み込み演算回路4は、レイヤ1の入力データaに対してレイヤ1の畳み込み演算を行う。レイヤ1の畳み込み演算の出力データfは、第二メモリ2に格納される。
【0062】
量子化演算回路5は、第二メモリ2に格納されたレイヤ1の出力データfを読み出す。量子化演算回路5は、レイヤ1の出力データfに対してレイヤ2の量子化演算を行う。レイヤ2の量子化演算の出力データоutは、第一メモリ1に格納される。
【0063】
畳み込み演算回路4は、第一メモリ1に格納されたレイヤ2の量子化演算の出力データを読み出す。畳み込み演算回路4は、レイヤ2の量子化演算の出力データоutを入力データaとしてレイヤ3の畳み込み演算を行う。レイヤ3の畳み込み演算の出力データfは、第二メモリ2に格納される。
【0064】
畳み込み演算回路4は、第一メモリ1に格納されたレイヤ2M-2(Mは自然数)の量子化演算の出力データоutを読み出す。畳み込み演算回路4は、レイヤ2M-2の量子化演算の出力データоutを入力データaとしてレイヤ2M-1の畳み込み演算を行う。レイヤ2M-1の畳み込み演算の出力データfは、第二メモリ2に格納される。
【0065】
量子化演算回路5は、第二メモリ2に格納されたレイヤ2M-1の出力データfを読み出す。量子化演算回路5は、2M-1レイヤの出力データfに対してレイヤ2Mの量子化演算を行う。レイヤ2Mの量子化演算の出力データоutは、第一メモリ1に格納される。
【0066】
畳み込み演算回路4は、第一メモリ1に格納されたレイヤ2Mの量子化演算の出力データоutを読み出す。畳み込み演算回路4は、レイヤ2Mの量子化演算の出力データоutを入力データaとしてレイヤ2M+1の畳み込み演算を行う。レイヤ2M+1の畳み込み演算の出力データfは、第二メモリ2に格納される。
【0067】
畳み込み演算回路4と量子化演算回路5とが交互に演算を行い、図3に示すCNN200の演算を進めていく。NN実行モデル100は、畳み込み演算回路4が時分割によりレイヤ2M-1とレイヤ2M+1の畳み込み演算を実施する。また、NN実行モデル100は、量子化演算回路5が時分割によりレイヤ2M-2とレイヤ2Mの量子化演算を実施する。そのため、NN実行モデル100は、レイヤごとに別々の畳み込み演算回路4と量子化演算回路5を実装する場合と比較して、回路規模が著しく小さい。
【0068】
[ニューラルネットワーク生成装置300の動作]
次に、ニューラルネットワーク生成装置300の動作(ニューラルネットワーク制御方法)を、図7に示すニューラルネットワーク生成装置300の制御フローチャートに沿って説明する。ニューラルネットワーク生成装置300は初期化処理(ステップS10)を実施した後、ステップS11を実行する。
【0069】
<ハードウェア情報取得工程(S11)>
ステップS11において、ニューラルネットワーク生成装置300は、動作対象ハードウェアのハードウェア情報HWを取得する(ハードウェア情報取得工程)。ニューラルネットワーク生成装置300は、例えば、データ入力部330に入力されたハードウェア情報HWを取得する。ニューラルネットワーク生成装置300は、表示部350にハードウェア情報HWの入力に必要なGUI画像を表示させ、使用者にハードウェア情報HWを操作入力部360から入力させることでハードウェア情報HWを取得してもよい。
【0070】
ハードウェア情報HWは、具体的には、第一メモリ1および第二メモリ2として割り当てるメモリのメモリ種別やメモリ容量や入出力データ幅を有する。
【0071】
取得されたハードウェア情報HWは、記憶部310に記憶される。次に、ニューラルネットワーク生成装置300は、ステップS12を実行する。
【0072】
<ネットワーク情報取得工程(S12)>
ステップS12において、ニューラルネットワーク生成装置300は、CNN200のネットワーク情報NWを取得する(ネットワーク情報取得工程)。ニューラルネットワーク生成装置300は、例えば、データ入力部330に入力されたネットワーク情報NWを取得する。ニューラルネットワーク生成装置300は、表示部350にネットワーク情報NWの入力に必要なGUI画像を表示させ、使用者にネットワーク情報NWを操作入力部360から入力させることでネットワーク情報NWを取得してもよい。
【0073】
ネットワーク情報NWは、具体的には、入力層205や出力層230を含むネットワーク構成と、重みwや入力データaのビット幅を含む畳み込み層210の構成と、量子化情報を含む量子化演算層220の構成と、を有する。
【0074】
取得されたネットワーク情報NWは、記憶部310に記憶される。次に、ニューラルネットワーク生成装置300は、ステップS13を実行する。
【0075】
<ニューラルネットワーク実行モデル生成工程(S13)>
ステップS13において、ニューラルネットワーク生成装置300の実行モデル生成部321は、ハードウェア情報HWとネットワーク情報NWとに基づいてNN実行モデル100を生成する(ニューラルネットワーク実行モデル生成工程)。
【0076】
ニューラルネットワーク実行モデル生成工程(NN実行モデル生成工程)は、例えば、畳み込み演算回路生成工程(S13-1)と、量子化演算回路生成工程(S13-2)と、DMAC生成工程(S13-3)と、を有する。
【0077】
<畳み込み演算回路生成工程(S13-1)>
実行モデル生成部321は、ハードウェア情報HWとネットワーク情報NWとに基づいてNN実行モデル100の畳み込み演算回路4を生成する(畳み込み演算回路生成工程)。実行モデル生成部321は、ネットワーク情報NWとして入力された重みwや入力データaのビット幅などの情報から、畳み込み演算回路4のハードウェアモデルを生成する。ハードウェアモデルは、ビヘイビアレベルであってもよく、RTL(Register Transfer Level)であってもよく、ゲートや回路モジュール間の接続を表すネットリストであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。以下、生成される畳み込み演算回路4のハードウェアモデルの一例を説明する。
【0078】
図8は、生成される畳み込み演算回路4の内部ブロック図である。
畳み込み演算回路4は、重みメモリ41と、乗算器42と、アキュムレータ回路43と、ステートコントローラ44と、入力変換部49と、を有する。畳み込み演算回路4は、乗算器42およびアキュムレータ回路43に対する専用のステートコントローラ44を有しており、命令コマンドが入力されると、外部のコントローラを必要とせずに畳み込み演算を実施できる。
【0079】
重みメモリ41は、畳み込み演算に用いる重みwが格納されるメモリであり、例えばSRAM(Static RAM)などで構成された揮発性のメモリ等の書き換え可能なメモリである。DMAC3は、DMA転送により、畳み込み演算に必要な重みwを重みメモリ41に書き込む。
【0080】
図9は、乗算器42の内部ブロック図である。
乗算器42は、入力データaの各要素と重みwの各要素とを乗算する。入力データaの各要素は、入力データaが分割されたデータであり、Bc個の要素を持つベクトルデータである(例えば、後述する「入力ベクトルA」)。また、重みwの各要素は、重みwが分割されたデータであり、Bc×Bd個の要素を持つマトリクスデータである(例えば、後述する「重みマトリクスW」)。乗算器42は、Bc×Bd個の積和演算ユニット47を有し、入力ベクトルAと重みマトリクスWとの乗算を並列して実施できる。
【0081】
乗算器42は、乗算に必要な入力ベクトルAと重みマトリクスWを、第一メモリ1および重みメモリ41から読み出して乗算を実施する。乗算器42は、Bd個の積和演算結果O(di)を出力する。
【0082】
図10は、積和演算ユニット47の内部ブロック図である。
積和演算ユニット47は、入力ベクトルAの要素A(ci)と、重みマトリクスWの要素W(ci,di)との乗算を実施する。また、積和演算ユニット47は、乗算結果と他の積和演算ユニット47の乗算結果S(ci,di)と加算する。積和演算ユニット47は、加算結果S(ci+1,di)を出力する。ciは0から(Bc-1)までのインデックスである。diは0から(Bd-1)までのインデックスである。要素A(ci)は、2ビットの符号なし整数(0,1,2,3)である。要素W(ci,di)は、1ビットの符号付整数(0,1)であり、値「0」は+1を表し、値「1」は-1を表す。
【0083】
積和演算ユニット47は、反転器(インバータ)47aと、セレクタ47bと、加算器47cと、を有する。積和演算ユニット47は、乗算器を用いず、反転器47aおよびセレクタ47bのみを用いて乗算を行う。セレクタ47bは、要素W(ci,di)が「0」の場合、要素A(ci)の入力を選択する。セレクタ47bは、要素W(ci,di)が「1」の場合、要素A(ci)を反転器により反転させた補数を選択する。要素W(ci,di)は、加算器47cのCarry-inにも入力される。加算器47cは、要素W(ci,di)が「0」のとき、S(ci,di)に要素A(ci)を加算した値を出力する。加算器47cは、要素W(ci,di)が「1」のとき、S(ci,di)から要素A(ci)を減算した値を出力する。
【0084】
図11は、アキュムレータ回路43の内部ブロック図である。
アキュムレータ回路43は、乗算器42の積和演算結果O(di)を第二メモリ2にアキュムレートする。アキュムレータ回路43は、Bd個のアキュムレータユニット48を有し、Bd個の積和演算結果O(di)を並列して第二メモリ2にアキュムレートできる。
【0085】
図12は、アキュムレータユニット48の内部ブロック図である。
アキュムレータユニット48は、加算器48aと、マスク部48bとを有している。加算器48aは、積和演算結果Oの要素O(di)と、第二メモリ2に格納された式1に示す畳み込み演算の途中経過である部分和と、を加算する。加算結果は、要素あたり16ビットである。加算結果は、要素あたり16ビットに限定されず、例えば要素あたり15ビットや17ビットであってもよい。
【0086】
加算器48aは、加算結果を第二メモリ2の同一アドレスに書き込む。マスク部48bは、初期化信号clearがアサートされた場合に、第二メモリ2からの出力をマスクし、要素O(di)に対する加算対象をゼロにする。初期化信号clearは、第二メモリ2に途中経過の部分和が格納されていない場合にアサートされる。
【0087】
乗算器42およびアキュムレータ回路43による畳み込み演算が完了すると、第二メモリに、Bd個の要素を持つ出力データf(x,y,do)が格納される。
【0088】
ステートコントローラ44は、乗算器42およびアキュムレータ回路43のステートを制御する。また、ステートコントローラ44は、内部バスIBを介してコントローラ6と接続されている。ステートコントローラ44は、命令キュー45と制御回路46とを有する。
【0089】
命令キュー45は、畳み込み演算回路4用の命令コマンドC4が格納されるキューであり、例えばFIFOメモリで構成される。命令キュー45には、内部バスIB経由で命令コマンドC4が書き込まれる。
【0090】
制御回路46は、命令コマンドC4をデコードし、命令コマンドC4に基づいて乗算器42およびアキュムレータ回路43を制御するステートマシンである。制御回路46は、論理回路により実装されていてもよいし、ソフトウェアによって制御されるCPUによって実装されていてもよい。
【0091】
図13は、制御回路46のステート遷移図である。
制御回路46は、命令キュー45に命令コマンドC4が入力されると(Not empty)、アイドルステートS1からデコードステートS2に遷移する。
【0092】
制御回路46は、デコードステートS2において、命令キュー45から出力される命令コマンドC3をデコードする。また、制御回路46は、コントローラ6のレジスタ61に格納されたセマフォSを読み出し、命令コマンドC4において指示された乗算器42やアキュムレータ回路43の動作を実行可能であるかを判定する。実行不能である場合(Not ready)、制御回路46は実行可能となるまで待つ(Wait)。実行可能である場合(ready)、制御回路46はデコードステートS2から実行ステートS3に遷移する。
【0093】
制御回路46は、実行ステートS3において、乗算器42やアキュムレータ回路43を制御して、乗算器42やアキュムレータ回路43に命令コマンドC4において指示された動作を実施させる。制御回路34は、乗算器42やアキュムレータ回路43の動作が終わると、命令キュー45から実行を終えた命令コマンドC4を取り除くとともに、コントローラ6のレジスタ61に格納されたセマフォSを更新する。制御回路46は、命令キュー45に命令がある場合(Not empty)、実行ステートS3からデコードステートS2に遷移する。制御回路46は、命令キュー45に命令がない場合(empty)、実行ステートS3からアイドルステートS1に遷移する。
【0094】
実行モデル生成部321は、ネットワーク情報NWとして入力された重みwや入力データaのビット幅などの情報から、畳み込み演算回路4における演算器の仕様やサイズ(BcやBd)を決定する。ハードウェア情報HWとして生成するNN実行モデル100(ニューラルネットワークハードウェアモデル400、ニューラルネットワークハードウェア600)のハードウェア規模が含まれる場合、実行モデル生成部321は、指定された規模にあわせて畳み込み演算回路4における演算器の仕様やサイズ(BcやBd)を調整する。
【0095】
[入力変換部49]
図14は、入力変換部49のブロック図である。
入力変換部49は、入力データaの要素より多ビット(例えば8ビット以上)の要素を含む入力データbを入力データaに変換する。入力変換部49は、CNN200の畳み込み層210の前に連結された入力層205の少なくとも一部に相当する。入力変換部49は、第一変換部491と、第二変換部492と、閾値メモリ495と、を有する。
【0096】
なお、入力変換部49は、必ずしもハードウェアとして実装されるものでなくてもよい。後述するソフトウェア生成工程(S17)において事前処理として入力データbの変換処理を行ってもよい。
【0097】
ここで、入力変換部49の説明においては、説明を簡略化するために入力データbがc軸方向の要素数が1である画像データ(すなわちxy平面における2次元画像)であるとする。また、画像データは、x軸方向およびy軸方向の各要素が8ビット(0-255)である行列データ構造を備えるとする。入力データbは、入力変換部49により、畳み込み演算回路に入力可能な入力データaに変換される。
【0098】
第一変換部491は、第一閾値群(第一閾値グループ)TG1を用いて入力データbを第一量子化データa1に変換する。第一閾値群TG1は1個以上の閾値であり、閾値は入力データbの取りうる範囲(0-255)における所定の値である。第一変換部491は、式6と同様の方法で入力データbと第一閾値群TG1とを比較し、比較結果をエンコードすることにより、入力データbを第一量子化データa1に変換する(第一量子化手段)。
【0099】
本実施形態において、第一閾値群TG1は3個の閾値である。第一変換部491は、要素が8ビットである入力データbを、要素が2ビットである第一量子化データa1に量子化する。
【0100】
第二変換部492は、第二閾値群(第二閾値グループ)TG2を用いて入力データbを第二量子化データa2に変換する。第二閾値群TG2は1個以上の閾値であり、閾値は入力データbの取りうる範囲(0-255)における所定の値である。第二変換部492は、式6と同様の方法で入力データbと第二閾値群TG2とを比較し、比較結果をエンコードすることにより、入力データbを第二量子化データa2に変換する(第二量子化手段)。
【0101】
本実施形態において、第二閾値群TG2は3個の閾値である。第二変換部492は、要素が8ビットである入力データbを、要素が2ビットである第二量子化データa2に量子化する。
【0102】
すなわち、入力変換部49は、異なる二種類の閾値群(第一閾値群TG1と第二閾値群TG2)に基づいて、入力データbを二種類の量子化データ(第一量子化データa1と第二量子化データa2)に変換する。
【0103】
閾値メモリ495は、第一変換部491での演算に用いる第一閾値群TG1と、第二変換部492での演算に用いる第二閾値群TG2と、を記憶するメモリであり、例えばSRAM(Static RAM)などで構成された揮発性のメモリ等の書き換え可能なメモリである。例えば、DMAC3は、DMA転送により、第一閾値群TG1と第二閾値群TG2を閾値メモリ495に書き込む。
【0104】
第二閾値群TG2は、第一閾値群TG1と異なる閾値群である。第二閾値群TG2は、第一閾値群TG1と比較して、少なくとも一部の閾値が異なっている。本実施形態においては、第二閾値群TG2は、第一閾値群TG1と比較して、全ての閾値が異なっている。
【0105】
図15は、第一閾値群TG1および第二閾値群TG2の例を示す図である。
第一閾値群TG1は、閾値36.4、閾値109.3、および閾値182.1である。第二閾値群TG2は、閾値72.8、閾値145.7、および閾値218.6である。第二閾値群TG2の閾値の平均値は、第一閾値群TG1の閾値の平均値より大きい。なお、これらの閾値は、四捨五入等で丸められた整数であってもよい。
【0106】
第一閾値群TG1および第二閾値群TG2に含まれる閾値は、入力データbの取りうる範囲(0-255)を、7個の領域に略等分に分割する。第一閾値群TG1および第二閾値群TG2に含まれる閾値は、同一のステップ幅(約36.4(≒255/7))で配列している。第一閾値群TG1に含まれる閾値と、第二閾値群TG2に含まれる閾値は、入力データbの取りうる範囲(0-255)において、交互に配列している。なお、第一閾値群TG1に含まれる閾値と第二閾値群TG2に含まれる閾値は、少なくとも一部の閾値のみが交互に配列されていてもよい。
【0107】
図16は、入力変換部49から出力されるデータ(入力データa)を示す図である。
入力変換部49は、第一量子化データa1と第二量子化データa2とをc軸方向に並べて連結して、入力データaとして出力する。乗算器42は、入力変換部49から出力される入力データaに対して畳み込み演算を実施する。
【0108】
入力データbのc軸方向の要素数が2以上である場合、入力変換部49は、例えばc軸方向の要素ごとに上記と同様の変換を行う。この場合、入力データaのc軸方向の要素数は、入力データbのc軸方向の要素数の2倍になる。一例として、入力データbのc軸方向の要素として色成分であるRGBの3要素を含む場合、入力データaのc軸方向の要素数は2倍の6となる。なお、入力変換部49は、例えばRGBの3要素のうちの1要素(例えばG)に対応する入力データaのc軸方向の要素数のみを選択的に増やすように変換してもよい。
【0109】
畳み込み演算回路4は、量子化された入力データaを畳み込み演算の入力とするため、乗算器42等の構成を小規模化できる。一方、入力データbが入力データaに量子化されることにより、入力データaの精度(画像データの場合、階調数)が低下する。しかしながら、畳み込み演算回路4は、異なる二種類の閾値群(第一閾値群TG1と第二閾値群TG2)に基づいて、入力データbを二種類の量子化データ(第一量子化データa1と第二量子化データa2)に変換して、二種類の量子化データをc軸方向に連結する。そのため、畳み込み演算回路4は、小規模化された乗算器42等の構成を維持しつつ、量子化に伴う入力データaの精度低下の影響を低減できる。
【0110】
畳み込み演算回路4に入力される入力データaにおけるc軸方向の要素数が小さい場合、畳み込み演算回路4において並列化(マルチチャンネル化)されたハードウェアリソース(例えば畳み込み演算回路4の乗算器42)を有効に活用できない場合がある。畳み込み演算回路4は、上記の方法により二種類の量子化データをc軸方向に並べて連結することにより、c軸方向の要素数を増やし、並列化(マルチチャンネル化)されたハードウェアリソースを有効に活用して高速化を図れる。
【0111】
図15に示す第一閾値群TG1に含まれる閾値は、入力データbの取りうる範囲(0-255)において略同一のステップ幅で配列している。図15に示す第二閾値群TG2に含まれる閾値は、入力データbの取りうる範囲(0-255)において略同一のステップ幅で配列している。その結果、入力データbの特徴に関わらず、上述した入力データaの精度低下の影響が低減される。また、量子化に伴う入力データaの精度の低下の影響は、第一閾値群TG1に含まれる閾値と第二閾値群TG2に含まれる閾値とを互い違いに補間的に設定することより低減される。
【0112】
図15に示す第一閾値群TG1に含まれる閾値と、第二閾値群TG2に含まれる閾値は、入力データbの取りうる範囲(0-255)において、交互に配列している。そのため、第一閾値群TG1と第二閾値群TG2はいずれも、入力データbの取りうる範囲(0-255)を比較的均等に分割する。その結果、二種類の量子化データ(第一量子化データa1と第二量子化データa2)は、入力データb本来の特徴を継承しやすく、畳み込み演算において特徴量を抽出しやすい。
【0113】
なお、本実施形態は、入力変換部49における量子化手段として式6で示すような閾値を用いる手法を例示したが、量子化手段はこれに限定されない。量子化手段は、例えば複数のルックアップテーブルを用いて行ってもよい。
【0114】
図17は、第一閾値群TG1および第二閾値群TG2の他の例を示す図である。
図17に示す第一閾値群TG1は、閾値36.4、閾値72.8、および閾値109.3である。図17に示す第二閾値群TG2は、閾値145.7、閾値182.1、および閾値218.6である。なお、これらの閾値は、四捨五入等で丸められた整数であってもよい。
【0115】
図17に示す例においても、第一閾値群TG1および第二閾値群TG2に含まれる閾値は、入力データbの取りうる範囲(0-255)を、7個の領域に略等分に分割する。そのため、図15に示す閾値群による量子化と同様に、入力データaの精度低下の影響が低減される。
【0116】
図17に示す第一閾値群TG1の3個の閾値は、最大値255よりも最小値0に近い。そのため、第一閾値群TG1に基づいて変換された第一量子化データa1は、入力データbの取りうる範囲(0-255)において最小値0に近い領域のデータの特徴を継承しやすい。
【0117】
図17に示す第二閾値群TG2の3個の閾値は、最小値0よりも最大値255に近い。そのため、第二閾値群TG2に基づいて変換された第二量子化データa2は、入力データbの取りうる範囲(0-255)において最大値255に近い領域のデータの特徴を継承しやすい。
【0118】
図18は、第一閾値群TG1および第二閾値群TG2の他の例を示す図である。
図18に示す第一閾値群TG1は、閾値36.4、閾値72.8、および閾値145.7である。図18に示す第二閾値群TG2は閾値109.3、閾値182.1、および閾値218.6である。なお、これらの閾値は、四捨五入等で丸められた整数であってもよい。
【0119】
図18に示す例においても、第一閾値群TG1および第二閾値群TG2に含まれる閾値は、入力データbの取りうる範囲(0-255)を、7個の領域に略等分に分割する。そのため、図15に示す閾値群による量子化と同様に、入力データaの精度低下の影響が低減される。また、量子化に伴う入力データaの精度の低下の影響は、第一閾値群TG1に含まれる閾値と第二閾値群TG2に含まれる閾値とを互い違いに補間的に設定することより低減されている。言い換えれば、第一閾値群TG1に含まれる各閾値の平均値と第二閾値群TG2に含まれる各閾値の平均値とが異なるように設定することで、それぞれの閾値を互い違いに補間的に設定することを可能としている。
【0120】
なお、第一閾値群TG1および第二閾値群TG2に含まれる閾値は、入力データbの取りうる範囲(0-255)を略等分に分割しなくてもよい。入力変換部49は、例えば、入力データbのヒストグラム等から得たデータの分布情報に基づいて、第一閾値群TG1および第二閾値群TG2に含まれる閾値を設定してもよい。例えば、データ変換後の量子化データ(第一量子化データa1と第二量子化データa2)に偏りがなくなる様に閾値群を設定すれば、入力データaの精度低下の影響が低減されやすい。
【0121】
図19は、第一閾値群TG1および第二閾値群TG2の他の例を示す図である。
第一閾値群TG1および第二閾値群TG2に含まれる閾値は、入力データbの取りうる範囲(0-255)の全域に分布していなくてもよい。入力変換部49は、図19に示すように、入力データbの取りうる範囲(0-255)において最小値および最大値を設定して、閾値を分布させる有効範囲VRを設定してもよい。入力変換部49は、例えば、入力データbのヒストグラム等から得たデータの分布情報に基づいて、データが多く分布する領域を、閾値を分布させる有効範囲VRとして設定してもよい。データ変化(画像データの場合、階調変化)が多い範囲を有効範囲VRと設定することで、データ変換後の量子化データ(第一量子化データa1と第二量子化データa2)が入力データbの特徴を継承しやすい。
【0122】
入力変換部49は、入力データbがカメラから取得した画像データである場合、パターンノイズなどのノイズが含まれる領域を有効範囲VRから除いてもよい。入力データbに含まれるノイズの影響が排除され、かつ、入力データaの精度低下の影響が低減される。また、画像データにおける黒レベルを0よりも大きい値に設定する場合、入力変換部49は黒レベル以下の領域を有効範囲VRから除いてもよい。さらに、画像データに対してデジタルゲインを乗算する演算などの追加演算を行う場合、入力変換部49は追加演算により階調が失われる領域を有効範囲VRから予め除いてもよい。一例として、追加演算で2倍のデジタルゲインを乗算する場合、入力変換部49は入力データbの有効な範囲を前半領域(0-127)として後半領域(128-255)を有効範囲VRから除いてもよい。なお、有効範囲VRは、分割された領域であってもよい。
【0123】
なお、有効範囲VRは、入力データbの取りうる範囲(0-255)と同じであってもよい。
【0124】
なお、第一閾値群TG1および第二閾値群TG2に含まれる閾値は、2のべき乗であってもよい。入力変換部49において、閾値と入力データbとの比較やデータ変換に必要な回路の規模が低減される。
【0125】
[入力変換部49の変形例]
図20は、入力変換部49の変形例である入力変換部49Bのブロック図である。
入力変換部49Bは、入力データaの要素より多ビット(例えば8ビット以上)の要素を含む入力データbを入力データaに変換する。入力変換部49Bは、CNN200の畳み込み層210の前に連結された入力層205の少なくとも一部に相当する。入力変換部49Bは、第一変換部491と、第二変換部492と、第三変換部493と、閾値メモリ495と、を有する。
【0126】
第三変換部493は、第三閾値群(第三閾値グループ)TG3を用いて入力データbを第三量子化データa3に変換する。第三閾値群TG3は1個以上の閾値であり、閾値は入力データbの取りうる範囲(0-255)における所定の値である。第三変換部493は、式6と同様の方法で入力データbと第三閾値群TG3とを比較し、比較結果をエンコードすることにより、入力データbを第三量子化データa3に変換する(第三量子化手段)。
【0127】
本実施形態において、第三閾値群TG3は3個の閾値である。第三変換部493は、要素が8ビットである入力データbを、要素が2ビットである第三量子化データa3に量子化する。
【0128】
すなわち、入力変換部4Bは、異なる三種類の閾値群(第一閾値群TG1と第二閾値群TG2と第三閾値群TG3)に基づいて、入力データbを三種類の量子化データ(第一量子化データa1と第二量子化データa2と第三量子化データa3)に変換する。
【0129】
閾値メモリ495は、第一変換部491での演算に用いる第一閾値群TG1と、第二変換部492での演算に用いる第二閾値群TG2と、に加えて第三閾値群TG3を記憶する。
【0130】
第三閾値群TG3は、第一閾値群TG1と異なる閾値群であり、第二閾値群TG2と異なる閾値群である。本実施形態においては、第三閾値群TG3は、第一閾値群TG1および第二閾値群TG2と比較して、全ての閾値が異なっている。
【0131】
図21は、第一閾値群TG1、第二閾値群TG2および第三閾値群TG3の例を示す図である。第一閾値群TG1は、閾値25.5、閾値102.0、および閾値178.5である。第二閾値群TG2は、閾値51.0、閾値127.5、および閾値204.5である。第三閾値群TG3は、閾値76.5、閾値153.0、および閾値229.5である。なお、これらの閾値は、四捨五入等で丸められた整数であってもよい。
【0132】
第一閾値群TG1、第二閾値群TG2および第三閾値群TG3に含まれる閾値は、入力データbの取りうる範囲(0-255)を、10個の領域に略等分に分割する。第一閾値群TG1および第二閾値群TG2に含まれる閾値は、同一のステップ幅(25.5.(=255/10))で配列している。
【0133】
入力変換部49Bは、第一量子化データa1と第二量子化データa2と第三量子化データa3とをc軸方向に並べて連結して、入力データaとして出力する。乗算器42は、入力変換部49から出力される入力データaに対して畳み込み演算を実施する。
【0134】
図21に示す第一閾値群TG1に含まれる閾値は、入力データbの取りうる範囲(0-255)において略同一のステップ幅で配列している。図21に示す第二閾値群TG2に含まれる閾値は、入力データbの取りうる範囲(0-255)において略同一のステップ幅で配列している。図21に示す第三閾値群TG3に含まれる閾値は、入力データbの取りうる範囲(0-255)において略同一のステップ幅で配列している。その結果、入力データbの特徴に関わらず、上述した入力データaの精度低下の影響が低減される。
【0135】
入力変換部49Bを含む畳み込み演算回路4は、小規模化された乗算器42等の構成を維持しつつ、量子化に伴う入力データaの精度低下の影響を低減できる。
【0136】
なお、入力変換部49Bは、異なる四種類以上の閾値群に基づいて、入力データbを四種類以上の量子化データに変換してもよい。異なるN種類の閾値群に基づいて量子化データに変換する場合、N種類の閾値群に含まれる閾値のステップ幅stepは、例えば、式7により算出できる。ここで、min_valは入力データbの取りうる範囲の下限で、max_valは入力データbの取りうる範囲の上限であり、kは、入力データaのビット数である。なお、min_valおよびmax_valは、有効範囲VRの下限および上限と合わせてもよい。
【0137】
【数7】
【0138】
<量子化演算回路生成工程(S13-2)>
実行モデル生成部321は、ハードウェア情報HWとネットワーク情報NWとに基づいてNN実行モデル100の量子化演算回路5を生成する(量子化演算回路生成工程)。実行モデル生成部321は、ネットワーク情報NWとして入力された量子化情報から、量子化演算回路5のハードウェアモデルを生成する。ハードウェアモデルは、ビヘイビアレベルであってもよく、RTL(Register Transfer Level)であってもよく、ゲートや回路モジュール間の接続を表すネットリストであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
【0139】
<DMAC生成工程(S13-3)>
実行モデル生成部321は、ハードウェア情報HWとネットワーク情報NWとに基づいてNN実行モデル100のDMAC3を生成する(DMAC生成工程)。実行モデル生成部321は、ネットワーク情報NWとして入力された情報から、DMAC3のハードウェアモデルを生成する。ハードウェアモデルは、ビヘイビアレベルであってもよく、RTL(Register Transfer Level)であってもよく、ゲートや回路モジュール間の接続を表すネットリストであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
【0140】
<学習工程(S14)>
ステップS14において、ニューラルネットワーク生成装置300の学習部322および推論部323は、学習データセットDSを用いて、生成されたNN実行モデル100の学習パラメータを学習する(学習工程)。学習工程(S14)は、例えば、学習済みパラメータ生成工程(S14-1)と、推論テスト工程(S14-2)と、を有する。
【0141】
<学習工程:学習済みパラメータ生成工程(S14-1)>
学習部322は、NN実行モデル100および学習データD1を用いて、学習済みパラメータPMを生成する。学習済みパラメータPMは、学習済みの重みw、量子化パラメータqおよび入力変換部49の閾値群(第一閾値群TG1および第二閾値群TG2)である。
【0142】
例えば、NN実行モデル100が画像認識を実施するCNN200の実行モデルである場合、学習データD1は入力画像と教師データTとの組み合わせである。入力画像は、CNN200に入力される入力データaである。教師データTは、画像に撮像された被写体の種類や、画像における検出対象物の有無や、画像における検出対象物の座標値などである。
【0143】
学習部322は、公知の技術である誤差逆伝播法などによる教師あり学習によって、学習済みパラメータPMを生成する。学習部322は、入力画像に対するNN実行モデル100の出力と、入力画像に対応する教師データTと、の差分Eを損失関数(誤差関数)により求め、差分Eが小さくなるように学習対象である重みwおよび量子化パラメータqを更新する。
【0144】
例えば重みwを更新する場合、重みwに関する損失関数の勾配が用いられる。勾配は、例えば損失関数を微分することにより算出される。誤差逆伝播法を用いる場合、勾配は逆伝番(backward)により算出される。
【0145】
学習部322は、勾配を算出して重みwを更新する際において、畳み込み演算に関連する演算を高精度化する。具体的には、NN実行モデル100が使用する低ビットの重みw(例えば1ビット)より高精度な32ビットの浮動小数点型の重みwが学習に使用される。また、NN実行モデル100の畳み込み演算回路4において実施する畳み込み演算が高精度化される。
【0146】
学習部322は、勾配を算出して重みwを更新する際において、活性化関数に関連する演算を高精度化する。具体的には、NN実行モデル100の量子化演算回路5において実施するReLU関数などの活性化関数より高精度なシグモンド関数が学習に使用される。
【0147】
一方、学習部322は、順伝搬(fоrward)により入力画像に対する出力データを算出する際においては、畳み込み演算および活性化関数に関連する演算を高精度化せず、NN実行モデル100に基づいた演算を実施する。重みwを更新する際に用いられた高精度な重みwは、ルックアップテーブル等により低ビット化される。
【0148】
学習部322は、勾配を算出して重みwを更新する際において、畳み込み演算および活性化関数に関連する演算を高精度化することにより、演算における中間データの精度低下を防止して、高い推論精度を実現できる学習済みパラメータPMを生成できる。
【0149】
一方、学習部322は、入力画像に対する出力データを算出する際において、順伝搬(fоrward)の演算を高精度化せず、NN実行モデル100に基づいた演算を実施する。そのため、学習部322が算出した出力データと、生成された学習済みパラメータPMを用いたNN実行モデル100の出力データと、が一致する。
【0150】
学習部322は、重みwおよび量子化パラメータqに加えて、入力変換部49の閾値群の学習を行う。学習部322は、誤差逆伝播法などによる教師あり学習によって、入力データに対するNN実行モデル100の出力と、入力データに対応する教師データTと、の差分Eを損失関数(誤差関数)により求め、差分Eが小さくなるように閾値群に含まれる少なくとも一つ以上の閾値を更新する。学習前の入力変換部49の閾値群の初期値は、図15などで示したように、第一閾値群TG1に含まれる閾値と第二閾値群TG2に含まれる閾値とが互い違いに補間的に設定されている。閾値群の各閾値は学習を繰り返すことによって更新される。なお、閾値群の各閾値は、学習の際には小数点を含む形式とし、学習終了時に四捨五入等で丸められた整数としてもよい。
【0151】
なお、損失関数の勾配は出力層から入力層に向けて徐々に消失していく。本実施形態において、入力変換部49は最も入力層に近い。よって、入力変換部49の閾値群における学習時の勾配の変化量は、他の学習対象のパラメータと比較して小さい。そのため、入力変換部49の閾値群の初期値を適切に設定している場合、学習部322は、入力変換部49の閾値群を学習対象としなくてもよい。
【0152】
なお、本実施形態において、学習部322が入力変換部49の閾値群の学習を行う例を示したが、学習部322は入力変換部49の閾値群に加えて、入力データbの有効範囲VRを学習の対象としてもよい。
【0153】
なお、学習部322は、学習時において使用された入力データbから、推論時における入力データbの取りうる範囲を推測して、有効範囲VRを学習してもよい。学習時において使用された入力データbは、推論時における入力データbと同条件であることが好ましい。そのため、学習部322は、学習時において使用された入力データbから、推論時における入力データbの取りうる範囲をある程度予測できる。
【0154】
<学習工程:推論テスト工程(S14-2)>
推論部323は、学習部322が生成した学習済みパラメータPM、NN実行モデル100およびテストデータD2を用いて推論テストを実施する。例えば、NN実行モデル100が画像認識を実施するCNN200の実行モデルである場合、テストデータD2は、学習データD1同様に入力画像と教師データTとの組み合わせである。
【0155】
推論部323は、推論テストの進捗および結果を表示部350に表示する。推論テストの結果は、例えばテストデータD2に対する正解率である。
【0156】
<確認工程(S15)>
ステップS15において、ニューラルネットワーク生成装置300の推論部323は、操作入力部360から結果に関する確認を入力することを使用者に促すメッセージや情報入力に必要なGUI画像を表示部350に表示させる。使用者は、推論テストの結果を許容するかを、操作入力部360から入力する。使用者が推論テストの結果を許容することを示す入力が操作入力部360から入力された場合、ニューラルネットワーク生成装置300は、次にステップS16を実施する。使用者が推論テストの結果を許容しないことを示す入力が操作入力部360から入力された場合、ニューラルネットワーク生成装置300は、再度ステップS12を実施する。なお、ニューラルネットワーク生成装置300はステップS11まで戻って、ハードウェア情報HWを使用者に再入力させてもよい。
【0157】
<出力工程(S16)>
ステップS16において、ニューラルネットワーク生成装置300のハードウェア生成部324は、ハードウェア情報HWおよびNN実行モデル100に基づいてニューラルネットワークハードウェアモデル400を生成する。
【0158】
<ソフトウェア生成工程(S17)>
ステップS17において、ニューラルネットワーク生成装置300のソフトウェア生成部325は、ネットワーク情報NWおよびNN実行モデル100などに基づいて、ニューラルネットワークハードウェア600(ニューラルネットワークハードウェアモデル400を動作対象ハードウェアに実装したもの)を動作させるソフトウェア500を生成する。ソフトウェア500は、学習済みパラメータPMを必要に応じてニューラルネットワークハードウェア600へ転送するソフトウェアを含む。
【0159】
ソフトウェア生成工程(S17)は、例えば、入力データ変換工程(S17-1)と、入力データ分割工程(S17-2)と、ネットワーク分割工程(S17-3)と、アロケーション工程(S17-4)と、を有する。
【0160】
<入力データ変換工程(S17-1)>
畳み込み演算回路4において入力変換部49がハードウェアとして実装されない場合、ソフトウェア生成部325は、事前処理として、事前に入力データbを変換して変換済みの入力データaを生成する。入力データ変換工程における入力データaの変換方法は、入力変換部49での変換方法と同じである。
【0161】
<入力データ分割工程(S17-2):データ分割>
ソフトウェア生成部325は、第一メモリ1および第二メモリ2として割り当てるメモリのメモリ容量や演算器の仕様やサイズ(BcやBd)などに基づいて、畳み込み層210の畳み込み演算の入力データaを部分テンソルに分割する。部分テンソルへの分割方法や分割数は特に限定されない。部分テンソルは、例えば、入力データa(x+i,y+j,c)をa(x+i,y+j,co)に分割することにより形成される。
【0162】
図22は、畳み込み演算のデータ分割やデータ展開を説明する図である。
畳み込み演算のデータ分割において、式1における変数cは、式8に示すように、サイズBcのブロックで分割される。また、式1における変数dは、式9に示すように、サイズBdのブロックで分割される。式8において、coはオフセットであり、ciは0から(Bc-1)までのインデックスである。式9において、doはオフセットであり、diは0から(Bd-1)までのインデックスである。なお、サイズBcとサイズBdは同じであってもよい。
【0163】
【数8】
【0164】
【数9】
【0165】
式1における入力データa(x+i,y+j,c)は、c軸方向においてサイズBcにより分割され、分割された入力データa(x+i,y+j,co)で表される。以降の説明において、分割された入力データaを「分割入力データa」ともいう。
【0166】
式1における重みw(i,j,c,d)は、c軸方向においてサイズBcおよびd軸方向においてサイズBdにより分割され、分割された重みw(i,j,co,do)で表される。以降の説明において、分割された重みwを「分割重みw」ともいう。
【0167】
サイズBdにより分割された出力データf(x,y,do)は、式10により求まる。分割された出力データf(x,y,do)を組み合わせることで、最終的な出力データf(x,y,d)を算出できる。
【0168】
【数10】
【0169】
<入力データ分割工程(S17-3):データ展開>
ソフトウェア生成部325は、NN実行モデル100の畳み込み演算回路4に、分割された入力データaおよび重みwを展開する。
【0170】
分割入力データa(x+i,y+j,co)は、Bc個の要素を持つベクトルデータに展開される。分割入力データaの要素は、ciでインデックスされる(0≦ci<Bc)。以降の説明において、i,jごとにベクトルデータに展開された分割入力データaを「入力ベクトルA」ともいう。入力ベクトルAは、分割入力データa(x+i,y+j,co×Bc)から分割入力データa(x+i,y+j,co×Bc+(Bc-1))までを要素とする。
【0171】
分割重みw(i,j,co,do)は、Bc×Bd個の要素を持つマトリクスデータに展開される。マトリクスデータに展開された分割重みwの要素は、ciとdiでインデックスされる(0≦di<Bd)。以降の説明において、i,jごとにマトリクスデータに展開された分割重みwを「重みマトリクスW」ともいう。重みマトリクスWは、分割重みw(i,j,co×Bc,do×Bd)から分割重みw(i,j,co×Bc+(Bc-1),do×Bd+(Bd-1))までを要素とする。
【0172】
入力ベクトルAと重みマトリクスWとを乗算することで、ベクトルデータが算出される。i,j,coごとに算出されたベクトルデータを3次元テンソルに整形することで、出力データf(x,y,do)を得ることができる。このようなデータの展開を行うことで、畳み込み層210の畳み込み演算を、ベクトルデータとマトリクスデータとの乗算により実施できる。
【0173】
<アロケーション工程(S17-4)>
ソフトウェア生成部325は、分割された演算をニューラルネットワークハードウェア600に割り当てて実施させるソフトウェア500を生成する(アロケーション工程)。生成されるソフトウェア500は、命令コマンドC4を含む。入力データ変換工程(S17-1)において入力データbの変換が行われた場合、ソフトウェア500は、変換済みの入力データaを含む。
【0174】
以上説明したように、本実施形態に係るニューラルネットワーク生成装置300、ニューラルネットワーク制御方法およびソフトウェア生成プログラムによれば、IoT機器などの組み込み機器に組み込み可能であり、高性能に動作させることができるニューラルネットワークを生成および制御できる。
【0175】
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0176】
(変形例1-1)
上記実施形態において、第一メモリ1と第二メモリ2は別のメモリであったが、第一メモリ1と第二メモリ2の態様はこれに限定されない。第一メモリ1と第二メモリ2は、例えば、同一メモリにおける第一メモリ領域と第二メモリ領域であってもよい。
【0177】
(変形例1-2)
例えば、上記実施形態に記載のNN実行モデル100やニューラルネットワークハードウェア600に入力されるデータは単一の形式に限定されず、静止画像、動画像、音声、文字、数値およびこれらの組み合わせで構成することが可能である。なお、NN実行モデル100やニューラルネットワークハードウェア600に入力されるデータは、ニューラルネットワークハードウェア600が設けられるエッジデバイスに搭載され得る、光センサ、温度計、Global Positioning System(GPS)計測器、角速度計測器、風速計などの物理量測定器における測定結果に限られない。周辺機器から有線または無線通信経由で受信する基地局情報、車両・船舶等の情報、天候情報、混雑状況に関する情報などの周辺情報や金融情報や個人情報等の異なる情報を組み合わせてもよい。
【0178】
(変形例1-3)
ニューラルネットワークハードウェア600が設けられるエッジデバイスは、バッテリ等で駆動する携帯電話などの通信機器、パーソナルコンピュータなどのスマートデバイス、デジタルカメラ、ゲーム機器、ロボット製品などのモバイル機器を想定するが、これに限られるものではない。Power on Ethernet(PoE)などでの供給可能なピーク電力制限、製品発熱の低減または長時間駆動の要請が高い製品に利用することでも他の先行例にない効果を得ることができる。例えば、車両や船舶などに搭載される車載カメラや、公共施設や路上などに設けられる監視カメラ等に適用することで長時間の撮影を実現できるだけでなく、軽量化や高耐久化にも寄与する。また、テレビやディスプレイ等の表示デバイス、医療カメラや手術ロボット等の医療機器、製造現場や建築現場で使用される作業ロボットなどにも適用することで同様の効果を奏することができる。
【0179】
上述した実施形態におけるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0180】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明は、ニューラルネットワークの生成に適用することができる。
【符号の説明】
【0182】
300 ニューラルネットワーク生成装置
200 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)
100 ニューラルネットワーク実行モデル(NN実行モデル)
400 ニューラルネットワークハードウェアモデル
500 ソフトウェア
600 ニューラルネットワークハードウェア(ニューラルネットワーク演算装置)
1 第一メモリ
2 第二メモリ
3 DMAコントローラ(DMAC)
4 畳み込み演算回路
42 乗算器
43 アキュムレータ回路
49 入力変換部
491 第一変換部
492 第二変換部
493 第三変換部
495 閾値メモリ
5 量子化演算回路
6 コントローラ
PM 学習済みパラメータ
DS 学習データセット
HW ハードウェア情報
NW ネットワーク情報
TG1 第一閾値群
TG2 第二閾値群
TG3 第三閾値群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22