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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170513
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20221102BHJP
   B05B 11/00 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
B65D47/34 100
B05B11/00 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076689
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】早川 茂
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CC03
3E084DB08
3E084DB12
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HB08
3E084HD01
3E084KB01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】ピストン及びシリンダそれぞれの中心軸線が傾くのを抑えることができるトリガー式液体噴出器を提供する。
【解決手段】本発明に係る態様のトリガー式液体噴出器1において、噴出器本体10は、上下方向に延びる縦供給筒部20と、縦供給筒部20の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に設けられたトリガー部45を有するトリガー機構24と、を備えている。トリガー機構24は、前方に向けて開口するシリンダ51と、シリンダ51に対して前後方向に移動するピストン52と、を備えている。ピストン52には、ピストン52とともに前後方向に移動可能に構成されるとともに、前後方向に交差する交差方向でシリンダ51に当接することで、シリンダ51に対するピストン52の交差方向への移動を規制する規制部材60が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延びる縦供給筒部と、
前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に設けられたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、
前記トリガー機構は、
前記縦供給筒部内に連通するとともに、前方に向けて開口するシリンダと、
前記シリンダの内周面上を摺動可能な摺動部を有し、前記トリガー部の前後方向への移動に伴い前記シリンダに対して前後方向に移動するピストンと、を備え、
前記ピストンには、前記ピストンとともに前後方向に移動可能に構成されるとともに、前後方向に交差する交差方向で前記シリンダに当接することで、前記シリンダに対する前記ピストンの前記交差方向への移動を規制する規制部材が設けられているトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記規制部材は、前記ピストンのうち前記摺動部よりも前方に位置する部分に設けられている請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記規制部材は、前記トリガー部が最前端位置にあるとき、前記シリンダ内に位置している請求項1又は請求項2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
前記規制部材は、前記ピストンよりも硬質な材料により形成されている請求項1から請求項3の何れか1項に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項5】
前記規制部材は、前記交差方向において前記シリンダの内周面と向かい合う対向面を備え、
前記対向面には、前記交差方向において前記シリンダの内周面に向けて突出する突起部が設けられている請求項1から請求項4の何れか1項に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー式液体噴出器は、上下方向に延びる縦供給筒部と、縦供給筒部内に連通するシリンダと、トリガー部の前後動に伴いシリンダの内周面上を前後方向に摺動するピストンと、噴出孔を有するノズル部材と、を備えている(例えば、下記特許文献1参照)。
この構成によれば、トリガー部を後方に引くと、シリンダ内に収容されていた液体が縦供給筒部内を噴出孔に向けて流れる。これにより、液体が噴出孔を通じて噴出される。一方、トリガー部から手を離し、トリガー部が前方に復帰すると、容器体内の液体が縦供給筒部内に吸い上げられる。縦供給筒部内に吸い上げられた液体は、シリンダ内に流入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-177630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のトリガー式液体噴出器では、トリガー部を後方に引く際に、例えばトリガー部への使用者の指のかかり具合等により、トリガー部に対して前後方向に対して交差した向き(例えば、左右方向等)の外力が加えられることがあった。また、使用者が製品を購入して持ち帰る際に、トリガー部が例えば他の製品と干渉等することで、トリガー部に対して左右方向の外力が加えられることがあった。これらの場合、トリガー部を介してピストンが左右方向に押し込まれることで、ピストンの中心軸線がシリンダの中心軸線に対して傾き、ピストンとシリンダとの間のシール性の維持が困難になるおそれがあった。
【0005】
本発明は、ピストン及びシリンダそれぞれの中心軸線が傾くのを抑えることができるトリガー式液体噴出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係るトリガー式液体噴出器は、液体を収容する容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延びる縦供給筒部と、前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に設けられたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、前記トリガー機構は、前記縦供給筒部内に連通するとともに、前方に向けて開口するシリンダと、前記シリンダの内周面上を摺動可能な摺動部を有し、前記トリガー部の前後方向への移動に伴い前記シリンダに対して前後方向に移動するピストンと、を備え、前記ピストンには、前記ピストンとともに前後方向に移動可能に構成されるとともに、前後方向に交差する交差方向で前記シリンダに当接することで、前記シリンダに対する前記ピストンの前記交差方向への移動を規制する規制部材が設けられている。
【0007】
本態様によれば、例えばトリガー部の牽引操作の際等、ピストンが交差方向に倒れ込もうとした場合に、規制部材がシリンダに交差方向で当接することで、ピストンがシリンダに対して交差方向に変位するのを規制できる。そのため、トリガー部に作用する交差方向の外力によって、シリンダの中心軸線に対してピストンの中心軸線が傾くのを抑制できる。その結果、シリンダとピストンとの間のシール性を維持することができる。
この場合、例えば摺動部における前後方向の寸法を大きくすることで、シリンダとピストンとの間のシール性を確保する場合に比べ、ポンプ部(シリンダ及びピストン)の大型化を抑制した上で、ピストンのストロークを確保できる。
また、例えばシリンダ側にトリガー部の交差方向の移動を規制するための構成を設ける場合と異なり、ピストンに対して規制部材を直接設けることで、ピストンの変位をより効果的に抑制できる。
【0008】
上記態様のトリガー式液体噴出器において、前記規制部材は、前記ピストンのうち前記摺動部よりも前方に位置する部分に設けられていることが好ましい。
本態様によれば、トリガー部を介したピストンの交差方向の変位が、摺動部まで伝わる前に規制部材によって規制できる。これにより、シリンダとピストンとの間のシール性を維持し易い。
【0009】
上記態様のトリガー式液体噴出器において、前記規制部材は、前記トリガー部が最前端位置にあるとき、前記シリンダ内に位置していることが好ましい。
本態様によれば、トリガー部が最前端位置から最後端位置に至るストロークの全範囲において、規制部材がシリンダ内を移動する。これにより、トリガー部のストロークの全範囲において、シリンダに対するピストンの交差方向への変位を規制できる。
また、トリガー部が例えば他の製品と干渉する場合等、牽引操作以外のときにトリガー部が交差方向のみに移動した場合等であっても、規制部材がシリンダに交差方向で当接することで、ピストンがシリンダに対して交差方向に変位するのを規制できる。これにより、トリガー部の位置に関わらず、シリンダの中心軸線に対してピストンの中心軸線が傾くのを抑制でき、シリンダとピストンとの間のシール性を維持することができる。
【0010】
上記態様のトリガー式液体噴出器において、前記規制部材は、前記ピストンよりも硬質な材料により形成されていることが好ましい。
本態様によれば、規制部材の剛性を高くすることができるので、トリガー部を介して規制部材がシリンダの内周面に押し付けられた際の規制部材の変形を抑制できる。その結果、シリンダに対するピストンの交差方向への変位をより効果的に抑制できる。
【0011】
上記態様のトリガー式液体噴出器において、前記規制部材は、前記交差方向において前記シリンダの内周面と向かい合う対向面を備え、前記対向面には、前記交差方向において前記シリンダの内周面に向けて突出する突起部が設けられていることが好ましい。
本態様によれば、規制部材の対向面がシリンダ筒の内周面に直接接触する場合に比べ、規制部材とシリンダの内周面との接触面積を減少させることができる。これにより、規制部材がシリンダの内周面上を摺動する際の摺動抵抗を軽減できる。その結果、規制部材の追加に伴う操作性の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様によれば、ピストン及びシリンダそれぞれの中心軸線が傾くのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係るトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
図2】第1実施形態に係る規制部材を前後方向から見た背面図である。
図3図1に対応する縦断面図であって、トリガー式液体噴出器の動作説明図である。
図4】第2実施形態に係るトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
図5】第2実施形態に係る規制部材を前後方向から見た背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0015】
(第1実施形態)
図1に示されるように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、容器体A内に収容される液体を噴出可能とするものである。トリガー式液体噴出器1は、噴出器本体10と、ノズル部材11と、カバー13と、を備えている。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0016】
噴出器本体10は、縦供給筒部20と、装着キャップ21と、パイプ22と、ポンプ部23を有するトリガー機構24と、射出筒部25と、中継部材26と、上板部材27と、を備えている。
【0017】
以下、縦供給筒部20の軸線O1に沿う方向(軸方向)を上下方向とし、上下方向に沿って容器体Aの底部(不図示)側を下側、その反対側を上側とする。上下方向から見て、軸線O1に交差する方向を径方向とする。径方向のうち、縦供給筒部20とノズル部材11とが並ぶ方向を前後方向とする。前後方向のうち、縦供給筒部20に対してノズル部材11側を前側、その逆側を後側とする。また、径方向のうち、上下方向から見て、前後方向に直交する方向を左右方向とする。
【0018】
縦供給筒部20は、容器体Aの口部A1内を通じて容器体A内の液体を吸上げる。縦供給筒部20は、上方に位置するものほど径が縮小する多段筒状に形成されている。具体的に、縦供給筒部20は、上方に位置する小径部20aと、段差部20bを介して小径部20aの下方に連なる大径部20cと、を備えている。なお、図示の例において、縦供給筒部20は、外筒と、外筒の内側に配設された内筒と、を備える二重筒構造になっている。
【0019】
大径部20cには、径方向の外側に張り出すフランジ部20dが設けられている。
小径部20a内における上下方向の中間部分には、ボール弁28が設けられている。ボール弁28は、小径部20a内に突出する下弁座部20eに上方から接離する。ボール弁28は、小径部20a内において、縦供給筒部20を通じた容器体A内とポンプ部23との連通及び遮断を切り替える。具体的に、ボール弁28は、下弁座部20eから上方に離れた状態において容器体A内からポンプ部23への縦供給筒部20を通じた液体の流通を許容する。ボール弁28は、下弁座部20eに着座した状態において、ポンプ部23から容器体A内への縦供給筒部20を通じた液体の流通を規制する。なお、ボール弁28は、金属や合成樹脂等によって形成されている。
【0020】
小径部20a内の上端部(ボール弁28よりも上方に位置する部分)には、切替弁29が設けられている。切替弁29は、ゴム等の弾性変形可能な材料によって一体に形成されている。切替弁29は、下方付勢状態で上方移動可能に小径部20a内に嵌め込まれている。切替弁29は、小径部20a内に突出する上弁座部20fに上方から接離する。切替弁29は、小径部20a内において、縦供給筒部20を通じたポンプ部23と射出筒部25内との連通及び遮断を切り替える。具体的に、切替弁29は、上弁座部20fから上方に離れた状態においてポンプ部23から射出筒部25への縦供給筒部20を通じた液体の流通を許容する。切替弁29は、上弁座部20fに着座した状態において、射出筒部25からポンプ部23への縦供給筒部20を通じた液体の流通を規制する。
【0021】
装着キャップ21は、上下方向に延びる筒状に形成されている。装着キャップ21は、容器体Aのうち口部A1の上端開口縁との間にフランジ部20dを挟み込んだ状態で、口部A1に着脱可能に締め付けられる。なお、装着キャップ21と口部A1との固定方法は、ねじ以外の方法(例えば、嵌合等)であってもよい。図示の例において、縦供給筒部20の軸線O1は、容器体Aの容器軸に対して後方に位置している。
【0022】
パイプ22は、大径部20cの内側を通じて縦供給筒部20内に挿入され、小径部20a内に下方から嵌め込まれている。パイプ22は、トリガー式液体噴出器1が容器体Aに装着された状態において、容器体A内を下方に延びている。
【0023】
射出筒部25は、縦供給筒部20内の液体を、ノズル部材11に向けて導く。射出筒部25は、縦供給筒部20の上端部において、上弁座部20fよりも上方に位置する部分から前方に向けて延びている。
中継部材26は、射出筒部25とノズル部材11との間を接続する。中継部材26は、射出筒部25に前方から組み付けられている。
【0024】
上板部材27は、射出筒部25及び中継部材26を上方及び側方から取り囲むように、射出筒部25に装着されている。上板部材27は、前方から見た正面視で下向きのU字状に形成されている。上板部材27は、連結部40と、弾性部材41と、軸受部42と、を備えている。
連結部40は、射出筒部25及び中継部材26の上方に前後方向に沿って設けられている。連結部40は、射出筒部25及び中継部材26間を連結している。
【0025】
弾性部材41は、連結部40の前端部において、左右方向の両端縁から下方に延びている。弾性部材41は、前方に向けて突の湾曲形状で、連結部40との境界部分(上端部)を起点にして前後方向に弾性変形可能に構成されている。
軸受部42は、連結部40の後端部において、左右方向の両端縁から下方に延びている。軸受部42は、前後方向に突の湾曲形状で、後方に向けて開口している。
【0026】
トリガー機構24は、ポンプ部23と、トリガー部45と、を備えている。
ポンプ部23は、トリガー部45の牽引操作(後方に引く操作)に応じて容器体A内の液体の貯留及び圧送を行う。ポンプ部23は、シリンダ51と、ピストン52と、を備えている。
シリンダ51は、縦供給筒部20のうち小径部20aの前方に設けられている。シリンダ51は、前方に向けて開口する有底筒状に形成されている。具体的に、シリンダ51は、シリンダ筒51aと、後壁部51bと、ピストンガイド51cと、連通筒51dと、を備えている。
【0027】
シリンダ筒51aは、前後方向に沿うシリンダ軸線O2を中心とする筒状に形成されている。シリンダ筒51aは、縦供給筒部20から前方に向けて延びる取付筒55に前方から嵌め込まれている。なお、取付筒55は、シリンダ軸線O2と同軸に配置され、前後方向に延びている。以下の説明において、前後方向から見てシリンダ軸線O2に交差する方向をポンプ径方向という場合がある。
【0028】
後壁部51bは、シリンダ筒51aの後端開口部を閉塞している。
ピストンガイド51cは、後壁部51bのうちシリンダ軸線O2上に位置する部分から前方に突出している。ピストンガイド51cは、シリンダ軸線O2と同軸に配置された有頂筒状に形成されている。
連通筒51dは、後壁部51bの外周部分(ピストンガイド51cよりも上方に位置する部分)から後方に向けて突出している。連通筒51dの後端部は、小径部20aのうち、ボール弁28よりも上方に位置する部分に差し込まれている。連通筒51dの後端開口部は、縦供給筒部20内で開放されている。すなわち、シリンダ51内と縦供給筒部20内とは、連通筒51dを通じて連通している。
【0029】
ピストン52は、前後方向に移動可能にシリンダ51内に設けられている。ピストン52は、ピストン本体部52aと、ピストンフランジ52bと、摺動筒部(摺動部)52cと、を備えている。
ピストン本体部52aは、前後方向に沿うピストン軸線O3を中心とする有頂筒状に形成されている。本実施形態において、シリンダ軸線O2とピストン軸線O3とは同軸に配置されている。ピストン本体部52a内には、ピストンガイド51cが後方から挿入されている。ピストン本体部52aは、ピストンガイド51cに案内された状態で、前後方向に移動可能に構成されている。
【0030】
ピストンフランジ52bは、ピストン本体部52aの後端部からポンプ径方向の外側に張り出している。
摺動筒部52cは、ピストンフランジ52bの外周縁に連なっている。摺動筒部52cは、ピストン軸線O3と同軸に配置された筒状に形成されている。摺動筒部52cは、ピストン本体部52aをポンプ径方向の外側から取り囲んでいる。摺動筒部52cは、前後方向の両端縁において、シリンダ筒51aの内周面に密接している。摺動筒部52cは、シリンダ51に対するピストン52の前後動に伴い、シリンダ筒51aの内周面上を摺動する。なお、摺動筒部52cは、シリンダ筒51aの内周面形状に倣った板状等であってもよい。
【0031】
トリガー部45は、上板部材27から下方に向けて延びている。具体的に、トリガー部45は、トリガー本体部45aと、縦リブ45bと、横リブ45cと、を備えている。
トリガー本体部45aは、前後方向に沿う断面視において、後方に向けて開口するC字状に形成されている。トリガー本体部45aは、縦供給筒部20の前方において、下方に向かうに従い前方に湾曲しながら延びている。本実施形態において、トリガー本体部45aの下端は、装着キャップ21よりも下方であって、ノズル部材11よりも前方に位置している。
【0032】
トリガー本体部45aの上端部には、上方に向けて一対の支持片45dが突出している。支持片45dは、中継部材26に対して左右方向の両側において軸受部42に支持されている。これにより、トリガー部45は、左右方向に沿う軸線回りに回転可能に構成されている。
トリガー本体部45aのうち、上下方向の中間部分には、ばね保持部45eが設けられている。ばね保持部45eは、トリガー本体部45aから左右方向の両側に突出している。ばね保持部45eは、軸受部42よりも下方に位置する部分で弾性部材41に接続されている。これにより、トリガー部45は、軸受部42に回動可能に支持された状態で、弾性部材41によって前方付勢状態で後方移動可能に構成されている。
【0033】
トリガー本体部45aのうち、ばね保持部45eよりも上方に位置する部分には、ピストン本体部52aの前端部が接続されている。したがって、ピストン52は、トリガー部45の後方への移動に伴い、シリンダ51に対して後方に移動する。
【0034】
縦リブ45bは、トリガー本体部45aの前壁部から後方に向けて突出している。縦リブ45bは、トリガー本体部45aに倣って上下方向に延びている。
横リブ45cは、トリガー本体部45aの前壁部から後方に向けて突出している。横リブ45cは、縦リブ45bを左右方向に横断した状態で、トリガー本体部45aにおける左右方向の両側壁間を架け渡している。図示の例において、横リブ45cは、上下方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0035】
ノズル部材11は、中継部材26に対して前方から装着されている。ノズル部材11は、後方に開口する有底筒状に形成されている。ノズル部材11の頂壁部(前壁部)には、前後方向に延びる噴出孔11aが形成されている。噴出孔11aは、ノズル部材11内及び中継部材26内を通じて射出筒部25内に連通している。
【0036】
カバー13は、噴出器本体10のうち、装着キャップ21よりも上方に位置する部分を上方、後方及び側方から取り囲んでいる。カバー13は、噴出器本体10が前方に向けて挿入されることで、噴出器本体10に装着される。
【0037】
ここで、ピストン52には、ピストン52とは別体の規制部材60が設けられている。規制部材60は、ピストン52に装着されて、ピストン52とともに前後方向に移動可能に構成されている。規制部材60は、ピストン52を構成する材料よりも硬質な材料(例えば、ポリプロピレン等)により一体形成されている。
【0038】
図1図2に示すように、規制部材60は、基筒60aと、連結環60bと、ガイド筒60cと、リブ60dと、を備えている。
基筒60aは、ピストン軸線O3(シリンダ軸線O2)と同軸に配置された筒状に形成されている。基筒60aの内側には、ピストン本体部52aが嵌め込まれている。基筒60aの前端縁は、ピストンフランジ52bに前方から近接又は当接している。
【0039】
連結環60bは、基筒60aの前端開口縁からポンプ径方向の外側に張り出している。連結環60bの外径は、シリンダ筒51aの内径以下に設定されている。
ガイド筒60cは、連結環60bの外周縁から後方に向けて延びている。ガイド筒60cは、ピストン軸線O3(シリンダ軸線O2)と同軸に配置された筒状に形成されている。ガイド筒60cは、基筒60aの周囲を取り囲んでいる。ガイド筒60cにおける前後方向の寸法は、基筒60aにおける前後方向の寸法よりも短くなっている。ガイド筒60cの前端部は、トリガー部45が最前端位置にあるとき、シリンダ筒51a内に進入し、シリンダ筒51aの内周面にポンプ径方向で向かい合っている。図示の例において、ガイド筒60cの外径は、ピストンフランジ52bの外径よりも大きく、摺動筒部52cの最大外径部よりも小さくなっている。
【0040】
ガイド筒60cの外周面は、シリンダ筒51aの内周面にポンプ径方向で向かい合う対向面を構成する。ガイド筒60cの外周面(対向面)には、突起部60fが形成されている。突起部60fは、ガイド筒60cからポンプ径方向の外側に向けて突出するとともに、ピストン軸線O3回りの全周に亘って延びている。突起部60fは、前後方向に間隔をあけて複数形成されている。なお、突起部60fは、ピストン軸線O3回りに間欠的に設けられていてもよく、前後方向に沿って延びていてもよい。
【0041】
ポンプ径方向において、突起部60fの先端部は、ピストンフランジ52bよりも外側であって、摺動筒部52cの最大外径部と同等若しくは内側に位置している。規制部材60は、ピストン52が後方に移動する際に、突起部60fを介してシリンダ筒51aの内周面に摺動可能に構成されている。すなわち、規制部材60は、突起部60fを介してシリンダ筒51aの内周面に接触することで、シリンダ51に対するピストン52のポンプ径方向の移動を規制する。
【0042】
リブ60dは、ピストン軸線O3に対して放射状に延びる板状に形成されている。リブ60dは、基筒60a及びガイド筒60cの間を架け渡している。本実施形態において、リブ60dの前端縁は、連結環60bに接続されている。
【0043】
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1を使用する場合について説明する。
なお、トリガー部45の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填され、縦供給筒部20内に液体を吸い上げることができる状態になっているものとする。
【0044】
まず、図1図3に示すように、トリガー部45を後方に引くと、弾性部材41の付勢力に抗してピストン52が規制部材60とともに、シリンダ51に対して後方に移動する。すると、摺動筒部52cがシリンダ筒51aの内周面上を摺動することで、シリンダ51内が加圧される。これにより、シリンダ51内の液体が、連通筒51d内を通じて縦供給筒部20(小径部20a)内に供給される。すると、小径部20aに供給された液体の圧力により、ボール弁28が下弁座部20eに向けて押し付けられることで、容器体A内と縦供給筒部20内との連通が遮断される。その結果、小径部20a内の液体は、縦供給筒部20を上方に向けて流通する。
【0045】
小径部20a内に液体が流入することで、小径部20a内のうちボール弁28と切替弁29とで囲まれた空間が加圧される。すると、切替弁29が上方に押し上げられることで、切替弁29が上弁座部20fから離間する。これにより、小径部20a内と射出筒部25内とが連通することで、小径部20a内の液体が射出筒部25に向けて流通する。射出筒部25内を流通する液体は、中継部材26を通じてノズル部材11に到達し、噴出孔11aを通じて噴出される。
【0046】
トリガー部45の牽引操作を解除すると、弾性部材41の復元力によってトリガー部45が前方に移動する。これに伴い、ピストン52が規制部材60とともに、シリンダ51に対して前方に復元移動する。これにより、ピストン52内が減圧される。これにより、ボール弁28が下弁座部20eから浮き上がり、容器体A内とシリンダ51と小径部20a内を通じて連通する。一方、切替弁29は、上弁座部20fに着座した状態を維持することで、小径部20a内を通じたシリンダ51内と射出筒部25内との連通が遮断される。その結果、容器体A内の液体が縦供給筒部20内に吸い上げられる。縦供給筒部20内に流入した液体は、連通筒51dを通じてシリンダ51内に導入されることで、次の噴出操作に備えることができる。
【0047】
ところで、上述したように規制部材60は、ピストン52と一体になって前後方向に移動可能に構成されている。そのため、シリンダ51内をピストン52が前後方向に移動する過程において、規制部材60もシリンダ51内を前後方向に移動する。この際、規制部材60は、突起部60fを介してシリンダ筒51aの内周面に近接又は当接した状態でシリンダ51内を移動する。
【0048】
ここで、例えばトリガー部45の牽引操作の際、トリガー部45に作用する荷重のうち、前後方向に交差する向き(例えば、左右方向)の成分が大きい場合には、ピストン52が後斜め方向に押し込まれることで、ピストン52がポンプ径方向に倒れ込もうとする。この際、規制部材60が突起部60fを介してシリンダ筒51aの内周面に当接することで、ピストン52がシリンダ51に対してポンプ径方向に変位するのを規制できる。
【0049】
このように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1において、ピストン52には、ピストン52とともに前後方向に移動可能な規制部材60が設けられた構成とした。
この構成によれば、規制部材60がシリンダ筒51aの内周面に当接することで、シリンダ51に対するピストン52の前後方向に交差する交差方向(ポンプ径方向)への移動が規制される。そのため、トリガー部45に作用するポンプ径方向の外力によって、シリンダ軸線O2に対してピストン軸線O3が傾くのを抑制できる。その結果、シリンダ51とピストン52との間のシール性を維持することができる。
この場合、例えば摺動筒部52cにおける前後方向の寸法を大きくすることで、シリンダ51とピストン52との間のシール性を確保する場合に比べ、ポンプ部23の大型化を抑制した上で、ピストン52のストロークを確保できる。
また、例えばシリンダ51側にトリガー部45のポンプ径方向の移動を規制するための構成を設ける場合と異なり、ピストン52に対して規制部材60を直接設けることで、ピストン52の変位をより効果的に抑制できる。
【0050】
本実施形態では、ピストン本体部52aのうち、摺動筒部52cに対してトリガー部45側(前方)に位置する部分に規制部材60が設けられている構成とした。
この構成によれば、トリガー部45を介したピストン52のポンプ径方向の変位が、摺動筒部52cまで伝わる前に規制部材60によって規制できる。これにより、シリンダ51とピストン52との間のシール性を維持し易い。
【0051】
本実施形態では、規制部材60は、トリガー部45が最前端位置にあるとき、シリンダ51内に位置している構成とした。
この構成によれば、トリガー部45が最前端位置から最後端位置に至るストロークの全範囲において、規制部材60がシリンダ51内を移動する。これにより、トリガー部45のストロークの全範囲において、シリンダ51に対するピストン52のポンプ径方向への変位を規制できる。
また、トリガー部45が例えば他の製品と干渉する場合等、牽引操作以外のときにトリガー部45がポンプ径方向のみに移動した場合等であっても、規制部材60がシリンダ51にポンプ径方向で当接することで、ピストン52がシリンダ51に対してポンプ径方向に変位するのを規制できる。これにより、トリガー部45の位置に関わらず、シリンダ軸線O2に対してピストン軸線O3が傾くのを抑制でき、シリンダ51とピストン52との間のシール性を維持することができる。
【0052】
本実施形態において、規制部材60は、ピストン52よりも硬質な材料により形成されている構成とした。
この構成によれば、規制部材60の剛性を高くすることができるので、トリガー部45を介して規制部材60がシリンダ筒51aの内周面に押し付けられた際の規制部材60の変形を抑制できる。その結果、シリンダ51に対するピストン52のポンプ径方向への変位をより効果的に抑制できる。
【0053】
本実施形態において、ガイド筒60cには、シリンダ筒51aの内周面に向けて突出する突起部60fが形成された構成とした。
この構成によれば、ガイド筒60cの外周面(対向面)がシリンダ筒51aの内周面に直接接触する場合に比べ、規制部材60とシリンダ筒51aの内周面との接触面積を減少させることができる。これにより、規制部材60がシリンダ筒51aの内周面上を摺動する際の摺動抵抗を軽減できる。その結果、規制部材60の追加に伴う操作性の低下を抑制できる。
【0054】
本実施形態では、規制部材60が、ピストン軸線O3と同軸に配置されたガイド筒60cを備えている構成とした。
この構成によれば、シリンダ筒51aの内周面の全周に亘ってガイド筒60cがポンプ径方向に向き合うことで、ピストン52を安定して支持することができる。
【0055】
(第2実施形態)
本実施形態では、規制部材60が連結環60bやガイド筒60c等を備えない点で、上述した第1実施形態と相違している。
図4図5に示すトリガー式液体噴出器1において、規制部材60は、基筒60aと、張出部101と、を備えている。
【0056】
張出部101は、ピストン軸線O3に対して放射状に延びる板状に形成されている。張出部101の前端部は、トリガー部45が最前端位置にあるとき、シリンダ筒51a内に進入し、シリンダ筒51aの内周面にポンプ径方向で向かい合っている。各張出部101の外周面(対向面)には、複数の突起部60fが前後方向に間隔をあけて設けられている。規制部材60は、突起部60fを介してシリンダ筒51aの内周面に近接又は当接した状態で、ピストン52とともにシリンダ51内を移動する。
【0057】
本実施形態では、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することに加え、以下の作用効果を奏する。
すなわち、本実施形態によれば、張出部101が突起部60fを介してシリンダ筒51aの内周面に接触することで、規制部材60のうちシリンダ筒51aの内周面との対向面を筒状に形成する場合に比べ、シリンダ筒51aの内周面との接触面積を減少させることができる。これにより、規制部材60がシリンダ筒51aの内周面上を摺動する際の摺動抵抗を軽減し、規制部材60の追加に伴う操作性の低下を抑制できる。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、トリガー部45を前方に付勢する部材として、上板部材27が弾性部材41を備える構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、シリンダ51とピストン52との間にコイルばね等を設け、ピストン52を介してトリガー部45を前方に付勢してもよい。
上述した実施形態では、規制部材60がピストン52と別体で形成された構成について説明したが、この構成に限られない。規制部材60は、ピストン52と一体に形成されていてもよい。
上述した実施形態では、規制部材60がピストン52よりも硬質な材料により形成された構成について説明したが、この構成に限られない。規制部材60は、ピストン52と同様の材料や、ピストン52よりも軟質な材料により形成されていてもよい。
【0059】
規制部材60は、少なくともピストン52とともに前後方向に移動する際にシリンダ51の内周面に近接又は当接することで、シリンダ51に対するピストン52のポンプ径方向への移動を規制できればよく、例えば以下のように種々の構成を採用できる。
上述した実施形態では、トリガー部45が最前端位置にあるとき、規制部材60の一部がシリンダ51内に位置している構成について説明したが、この構成に限られない。規制部材60は、トリガー部45が最前端位置と最後端位置との間を移動する際に、何れかの区間でシリンダ51内を移動可能であればよい。この場合、トリガー部45が最前端位置にあるとき、規制部材60の全体がシリンダ51の外部に位置していても、シリンダ51の内部に位置していてもよい。
上述した実施形態では、規制部材60がシリンダ51に対してポンプ径方向の内側から接触することで、シリンダ51に対するピストン52の変位を規制する構成について説明したが、この構成に限られない。規制部材60は、シリンダ51に対してポンプ径方向の外側から接触してもよい。
上述した実施形態では、規制部材60が突起部60fを介してシリンダ筒51aの内周面に接触する構成について説明したが、この構成に限られない。規制部材60は、例えばガイド筒60cや張出部101が直接シリンダ筒51aの内周面に接触する構成であってもよい。
【0060】
上述した実施形態では、規制部材60が摺動筒部52cよりも前方に位置する部分に設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。規制部材60は、摺動筒部52cよりも後方に位置する部分に設けられていてもよい。
上述した実施形態では、シリンダ軸線O2とピストン軸線O3とが一致する構成について説明したが、この構成に限られない。シリンダ軸線O2とピストン軸線O3は、互いに平行に配置されていてもよい。
上述した実施形態では、トリガー部45が回動可能な構成について説明したが、この格子柄に限られない。トリガー部45は、前後方向に移動可能な構成であれば、スライド可能に構成されていてもよい。
【0061】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1:トリガー式液体噴出器
10:噴出器本体
11:ノズル部材
11a:噴出孔
20:縦供給筒部
24:トリガー機構
45:トリガー部
51:シリンダ
52:ピストン
52c:摺動筒部(摺動部)
60:規制部材
60f:突起部
A:容器体
図1
図2
図3
図4
図5