(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170614
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/11556 20170101AFI20221102BHJP
H01L 27/11548 20170101ALI20221102BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
H01L27/11556
H01L27/11548
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076886
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福岡 諒
(72)【発明者】
【氏名】荒井 史隆
(72)【発明者】
【氏名】松尾 浩司
(72)【発明者】
【氏名】小迫 寛明
(72)【発明者】
【氏名】細谷 啓司
(72)【発明者】
【氏名】掛川 卓由
(72)【発明者】
【氏名】内藤 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】森 伸二
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP24
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP67
5F083EP68
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA09
5F083JA02
5F083JA03
5F083JA19
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083PR21
5F083ZA28
5F101BA02
5F101BB02
5F101BB04
5F101BD02
5F101BD22
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
(57)【要約】
【課題】好適に動作する半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、第1半導体層と、複数の第1導電層と、複数の電荷蓄積部と、第1導電型の第2半導体層と、第1配線と、第2導電型の第3半導体層と、第2導電層と、を備える。第1半導体層は、第1方向に延伸する。複数の第1導電層は、第1方向に並び、第1方向と交差する第2方向に延伸する。複数の電荷蓄積部は、第1半導体層と複数の第1導電層との間に設けられる。第1導電型の第2半導体層は、第1半導体層の第1方向の一端に接続される。第1配線は、第2半導体層を介して第1半導体層に接続される。第2導電型の第3半導体層は、第1半導体層の、第1方向及び第2方向と交差する第3方向の一方側の側面に接続される。第2導電層は、第2方向に延伸し、第3半導体層を介して第1半導体層に接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延伸する第1半導体層と、
前記第1方向に並び、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する複数の第1導電層と、
前記第1半導体層と前記複数の第1導電層との間に設けられた複数の電荷蓄積部と、
前記第1半導体層の前記第1方向の一端に接続された第1導電型の第2半導体層と、
前記第2半導体層を介して前記第1半導体層に接続された第1配線と、
前記第1半導体層の、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向の一方側の側面に接続された第2導電型の第3半導体層と、
前記第2方向に延伸し、前記第3半導体層を介して前記第1半導体層に接続された第2導電層と
を備える半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1半導体層の前記第3方向の他方側の側面に接続された第2導電型の第4半導体層と、
前記第2方向に延伸し、前記第4半導体層を介して前記第1半導体層に接続された第3導電層と
を備え、
前記第3導電層の前記第1方向における位置は、前記第2導電層の前記第1方向における位置と異なる
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1方向に交互に並ぶ複数の第1領域及び複数の第2領域を備え、
前記複数の第1領域は、それぞれ、前記複数の第1導電層の少なくとも一部を含み、
前記複数の第2領域のうち、前記第1方向から数えて奇数番目の第2領域は、それぞれ、前記第2導電層及び前記第3導電層の一方を含み、
前記複数の第2領域のうち、前記第1方向から数えて偶数番目の第2領域は、それぞれ、前記第2導電層及び前記第3導電層の他方を含む
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記複数の第1領域及び前記複数の第2領域よりも前記第2半導体層に近い第3領域を備え、
前記第3領域は、
前記第2方向に延伸し、前記第1半導体層の前記第3方向の一方側の側面と対向する第4導電層と、
前記第2方向に延伸し、前記第1半導体層の前記第3方向の一方側の側面と対向し、前記第4導電層よりも前記複数の第1領域に近い第5導電層と、
前記第2方向に延伸し、前記第1半導体層の前記第3方向の他方側の側面と対向する第6導電層と、
前記第2方向に延伸し、前記第1半導体層の前記第3方向の他方側の側面と対向し、前記第6導電層よりも前記複数の第1領域に近い第7導電層と
を備え、
読出動作において、前記第4導電層に供給される電圧、及び、前記第7導電層に供給される電圧は、前記第5導電層に供給される電圧、及び、前記第6導電層に供給される電圧よりも大きい
請求項3記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板の表面と交差する第1方向において前記基板から離間し、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する第1半導体層と、
前記第1方向に延伸し、前記第2方向に並び、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において、前記第1半導体層の一方側の側面と対向する複数の第1導電層と、
前記第1半導体層と前記複数の第1導電層との間に設けられた複数の第1電荷蓄積部と、
前記第1方向に延伸し、前記第2方向に並び、前記第3方向において前記第1半導体層の他方側の側面と対向する複数の第2導電層と、
前記第1半導体層と前記複数の第2導電層との間に設けられた複数の第2電荷蓄積部と
を備え、
前記第1半導体層は、
前記第2方向に延伸し、前記複数の第1導電層と対向する第1部分と、
前記第2方向に延伸し、前記複数の第2導電層と対向する第2部分と、
前記第1部分及び前記第2部分に接続された第3部分と
を備える半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1方向に延伸し、前記第1半導体層の第3部分の前記第3方向の一方側の側面と対向する第4導電層と、
前記第1方向に延伸し、前記第1半導体層の第3部分の前記第3方向の一方側の側面と対向し、前記第4導電層よりも前記複数の第1導電層に近い第5導電層と、
前記第1方向に延伸し、前記第1半導体層の第3部分の前記第3方向の他方側の側面と対向する第6導電層と、
前記第1方向に延伸し、前記第1半導体層の第3部分の前記第3方向の他方側の側面と対向し、前記第6導電層よりも前記複数の第1導電層に近い第7導電層と
を備え、
読出動作において、前記第4導電層に供給される電圧、及び、前記第7導電層に供給される電圧は、前記第5導電層に供給される電圧、及び、前記第6導電層に供給される電圧よりも大きい
請求項5記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
第1方向に並ぶ第1領域及び第2領域を備え、
前記第1領域は、
前記第1方向に延伸する第1半導体層の一部と、
前記第1方向に並び、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する複数の第1導電層と、
前記第1半導体層と前記複数の第1導電層との間に設けられた複数の電荷蓄積部と
を備え、
前記第2領域は、
前記第1半導体層の一部と、
前記第2方向に延伸し、前記第1半導体層の、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向の一方側の側面と対向する第4導電層と、
前記第2方向に延伸し、前記第1半導体層の前記第3方向の一方側の側面と対向し、前記第4導電層よりも前記第1領域に近い第5導電層と、
前記第2方向に延伸し、前記第1半導体層の前記第3方向の他方側の側面と対向する第6導電層と、
前記第2方向に延伸し、前記第1半導体層の前記第3方向の他方側の側面と対向し、前記第6導電層よりも前記第1領域に近い第7導電層と
を備え、
読出動作において、前記第4導電層に供給される電圧、及び、前記第7導電層に供給される電圧は、前記第5導電層に供給される電圧、及び、前記第6導電層に供給される電圧よりも大きい
半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第4導電層と前記第1半導体層との間に設けられた第1絶縁層と、
前記第7導電層と前記第1半導体層との間に設けられた第2絶縁層と
を備える請求項4、6又は7記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第5導電層と前記第1半導体層との間に設けられた第3絶縁層を備える
請求項4及び6~8のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第5導電層と前記第1半導体層との間に設けられた第2導電型の第5半導体層を備え、
前記第5導電層は、前記第5半導体層を介して前記第1半導体層に接続されている
請求項4及び6~8のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第6導電層と前記第1半導体層との間に設けられた第4絶縁層を備える
請求項4及び6~10のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記第6導電層と前記第1半導体層との間に設けられた第2導電型の第6半導体層を備え、
前記第6導電層は、前記第6半導体層を介して前記第1半導体層に接続されている
請求項4及び6~10のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記第5導電層は、前記第6導電層に電気的に接続されている
請求項4及び6~12のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
半導体基板を備え、
前記第1半導体層は単結晶を含み、
前記第1半導体層に含まれる結晶の配向面は、前記半導体基板に含まれる結晶の配向面と揃っている
請求項1~13のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面と交差する方向に複数のメモリセルが積層された半導体記憶装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10,607,995号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適に動作する半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1半導体層と、複数の第1導電層と、複数の電荷蓄積部と、第1導電型の第2半導体層と、第1配線と、第2導電型の第3半導体層と、第2導電層と、を備える。第1半導体層は、第1方向に延伸する。複数の第1導電層は、第1方向に並び、第1方向と交差する第2方向に延伸する。複数の電荷蓄積部は、第1半導体層と複数の第1導電層との間に設けられる。第1導電型の第2半導体層は、第1半導体層の第1方向の一端に接続される。第1配線は、第2半導体層を介して第1半導体層に接続される。第2導電型の第3半導体層は、第1半導体層の、第1方向及び第2方向と交差する第3方向の一方側の側面に接続される。第2導電層は、第2方向に延伸し、第3半導体層を介して第1半導体層に接続される。
【0006】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、基板と、第1半導体層と、複数の第1導電層と、複数の第1電荷蓄積部と、複数の第2導電層と、複数の第2電荷蓄積部と、を備える。第1半導体層は、基板の表面と交差する第1方向において基板から離間し、第1方向と交差する第2方向に延伸する。複数の第1導電層は、第1方向に延伸し、第2方向に並び、第1方向及び第2方向と交差する第3方向において第1半導体層の一方側の側面と対向する。複数の第1電荷蓄積部は、第1半導体層と複数の第1導電層との間に設けられる。複数の第2導電層は、第1方向に延伸し、第2方向に並び、第3方向において第1半導体層の他方側の側面と対向する。複数の第2電荷蓄積部は、第1半導体層と複数の第2導電層との間に設けられる。第1半導体層は、第1部分と、第2部分と、第3部分と、を備える。第1部分は、第2方向に延伸し、複数の第1導電層と対向する。第2部分は、第2方向に延伸し、複数の第2導電層と対向する。第3部分は、第1部分及び第2部分に接続される。
【0007】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1方向に並ぶ第1領域及び第2領域を備える。第1領域は、第1半導体層の一部と、複数の第1導電層と、複数の電荷蓄積部と、を備える。第1半導体層の一部は、第1方向に延伸する。複数の第1導電層は、第1方向に並び第1方向と交差する第2方向に延伸する。複数の電荷蓄積部は、第1半導体層と複数の第1導電層との間に設けられる。第2領域は、第1半導体層の一部と、第4導電層と、第5導電層と、第6導電層と、第7導電層と、を備える。第4導電層は、第2方向に延伸し、第1半導体層の、第1方向及び第2方向と交差する第3方向の一方側の側面と対向する。第5導電層は、第2方向に延伸し、第1半導体層の第3方向の一方側の側面と対向し、第4導電層よりも第1領域に近い。第6導電層は、第2方向に延伸し、第1半導体層の第3方向の他方側の側面と対向する。第7導電層は、第2方向に延伸し、第1半導体層の第3方向の他方側の側面と対向し、第6導電層よりも第1領域に近い。読出動作において、第4導電層に供給される電圧、及び、第7導電層に供給される電圧は、第5導電層に供給される電圧、及び、第6導電層に供給される電圧よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図2】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図3】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図4】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図5】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な斜視図である。
【
図6】同半導体記憶装置の読出動作について説明するための模式的な平面図である。
【
図7】同半導体記憶装置の読出動作について説明するための模式的な平面図である。
【
図8】比較例に係る半導体記憶装置の構成について説明するための模式的な平面図である。
【
図9】比較例に係る半導体記憶装置の読出動作について説明するための模式的な平面図である。
【
図10】第2実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図11】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図12】第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図13】同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
【
図14】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図15】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図16】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図17】同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
【
図18】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図19】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図20】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図21】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図22】同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
【
図23】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図24】同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
【
図25】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図26】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図27】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図28】同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
【
図29】同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
【
図30】同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
【
図31】同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
【
図32】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図33】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図34】同製造方法について説明するための模式的な平面図である。
【
図35】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図36】第2実施形態に係る半導体記憶装置の他の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図37】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図38】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図39】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図40】第3実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図41】第4実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図42】第4実施形態に係る半導体記憶装置の他の構成例を示す模式的な平面図である。
【
図43】第5実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図44】第6実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図45】第7実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図46】同半導体記憶装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図47】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図48】第8実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図49】第9実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図50】第10実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図51】その他の実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0010】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを意味する事もあるし、メモリチップ、メモリカード、SSD(Solid State Drive)等の、コントローラダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0011】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0012】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第2の構成が第1の構成を介して第3の構成に接続されていることを意味する場合がある。
【0013】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がトランジスタ等を含んでおり、このトランジスタ等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このトランジスタ等がON状態となることを意味する事がある。
【0014】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0015】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0016】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0017】
[第1実施形態]
[構成]
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。本実施形態に係る半導体記憶装置は、複数のメモリブロック領域R
BLKを備える。メモリブロック領域R
BLKは、X方向及びY方向においてマトリクス状に並ぶ。
【0018】
図2は、本実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
図3及び
図4は、本実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
図5は、
図2~
図4に示す部分を含む模式的な斜視図である。
【0019】
図2に示す様に、メモリブロック領域R
BLKには、Y方向に交互に並ぶ複数のメモリセル領域R
MC及び複数のラダー領域R
LDが設けられている。また、メモリブロック領域R
BLKのY方向の一端部には、選択トランジスタ領域R
SGD及びビット線領域R
BLが設けられている。また、メモリブロック領域R
BLKのY方向の他端部には、選択トランジスタ領域R
SGS及びソース線領域R
SLが設けられている。
【0020】
尚、第1実施形態においては、選択トランジスタ領域RSGDと、これに最も近いメモリセル領域RMCと、の間に、ラダー領域RLDが設けられている。同様に、選択トランジスタ領域RSGSと、これに最も近いメモリセル領域RMCと、の間に、ラダー領域RLDが設けられている。
【0021】
図5には、半導体基板Subの一部を示している。半導体基板Subは、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むシリコン(Si)等の半導体基板である。図示の様に、本実施形態に係る半導体記憶装置は、Z方向に並ぶ複数のメモリ層MLを備える。また、Z方向において隣り合う2つのメモリ層MLの間には、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層101が設けられている。
【0022】
メモリ層MLは、X方向に並ぶ複数の半導体層110を備える。これら複数の半導体層110は、それぞれ、
図2を参照して説明した複数のメモリセル領域R
MC、複数のラダー領域R
LD、及び、選択トランジスタ領域R
SGD,R
SGSにわたってY方向に延伸する。半導体層110は、例えば、直列に接続された複数のメモリトランジスタ(メモリセル)、及び、これらに接続された選択トランジスタのチャネル領域として機能する。尚、以下の説明において、直列に接続された複数のメモリトランジスタと、これらに接続された選択トランジスタと、を含む構成を、メモリストリングと呼ぶ場合がある。半導体層110は、例えば、多結晶シリコン(Si)等を含んでいても良いし、単結晶シリコン(Si)等を含んでいても良い。また、これらの場合、半導体層110は、リン(P)等のN型の不純物を含んでいても良いし、ホウ素(B)等のP型の不純物を含んでいても良いし、不純物を含んでいなくても良い。また、半導体層110が単結晶シリコン(Si)を含む場合、このシリコン結晶の配向面は、半導体基板Subを構成するシリコン結晶の配向面と一致していても良い。
【0023】
尚、以下の説明において、X方向において隣り合う2つの半導体層110の間の領域を、「チャネル間領域RIC」と呼ぶ場合がある。また、X方向の一方側(例えば、X方向負側)から数えて奇数番目のチャネル間領域RICを、「チャネル間領域RICO」と呼ぶ場合がある。また、X方向の一方側から数えて偶数番目のチャネル間領域RICを、「チャネル間領域RICE」と呼ぶ場合がある。
【0024】
メモリセル領域R
MC及び選択トランジスタ領域R
SGD,R
SGS(
図2)中のチャネル間領域R
ICには、例えば
図2に示す様に、Y方向に並ぶ複数の導電層120が設けられている。また、メモリセル領域R
MCにおいて、メモリ層MLは、複数の導電層120のX方向の側面と半導体層110との間に設けられた複数のゲート絶縁層130を備える。
【0025】
導電層120のうち、メモリセル領域RMCに設けられたものは、例えば、複数のメモリトランジスタのゲート電極、及び、これらに接続されたワード線として機能する。導電層120のうち、選択トランジスタ領域RSGD,RSGSに設けられたものは、それぞれ、選択トランジスタのゲート電極、及び、これに接続された選択ゲート線として機能する。
【0026】
導電層120は、例えば
図2に示す様に、窒化チタン(TiN)等のバリア導電層121と、タングステン(W)等の導電層122と、を含んでいても良い。導電層120は、例えば
図3及び
図5に示す様に、複数のメモリ層MLを貫通してZ方向に延伸する。尚、Y方向において隣り合う2つの導電層120の間には、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層123(
図2)が設けられている。
【0027】
尚、本実施形態においては、選択トランジスタ領域RSGD中のチャネル間領域RICに、それぞれ、Y方向に並ぶ2つの導電層120が設けられている。
【0028】
ここで、選択トランジスタ領域RSGD中のチャネル間領域RICOに設けられた2つの導電層120のうち、メモリセル領域RMCから遠い方の導電層120は、選択トランジスタをOFF状態とするために使用される。図示の例において、これらの導電層120は、ノードN0に共通に接続されている。一方、メモリセル領域RMCに近い方の導電層120は、選択トランジスタをON状態又はOFF状態とするために使用される。図示の例において、これらの導電層120は、ノードN1,N3に接続されている。ノードN0,N1,N3はお互いに電気的に独立であり、独立した電圧を転送可能である。
【0029】
また、選択トランジスタ領域RSGD中のチャネル間領域RICEに設けられた2つの導電層120のうち、メモリセル領域RMCから遠い方の導電層120は、選択トランジスタをON状態又はOFF状態とするために使用される。図示の例において、これらの導電層120は、ノードN2,N4に接続されている。一方、メモリセル領域RMCに近い方の導電層120は、選択トランジスタをOFF状態とするために使用される。図示の例において、これらの導電層120は、ノードN0に共通に接続されている。ノードN0,N2,N4はお互いに電気的に独立であり、独立した電圧を転送可能である。
【0030】
尚、上記チャネル間領域RICOとRICEでの導電層120の配置は、交互であれば良く、ノードN0-N4との接続はRICOとRICEが逆であっても良い。例えば、選択トランジスタ領域RSGD中のチャネル間領域RICOに設けられた2つの導電層120のうち、メモリセル領域RMCから遠い方の導電層120がノードN1,N3に接続され、近い方の導電層120がノードN0に接続されていても良い。この場合には、選択トランジスタ領域RSGD中のチャネル間領域RICEに設けられた2つの導電層120のうち、メモリセル領域RMCから遠い方の導電層120がノードN0に接続され、近い方の導電層120がノードN2,N4に接続されていても良い。
【0031】
ゲート絶縁層130は、例えば、半導体層110のX方向の側面に設けられたトンネル絶縁層131と、そのX方向の側面に設けられた電荷蓄積層132と、そのX方向の側面に設けられたブロック絶縁層133と、を備える。
【0032】
トンネル絶縁層131は、例えば、酸化シリコン(SiO2)等を含んでいても良い。
【0033】
電荷蓄積層132は、例えば、多結晶シリコン(Si)等を含んでいても良い。この場合、電荷蓄積層132は、リン(P)等のN型の不純物を含んでいても良いし、ホウ素(B)等のP型の不純物を含んでいても良いし、不純物を含んでいなくても良い。
【0034】
ブロック絶縁層133は、例えば、酸化シリコン(SiO2)等を含んでいても良い。また、ブロック絶縁層133は、酸化アルミニウム(AlO)、酸化ハフニウム(HfO)又はその他の、絶縁性の金属酸化膜を含んでいても良い。
【0035】
ラダー領域R
LD(
図2)中のチャネル間領域R
ICには、導電層140又は導電層150が設けられている。
【0036】
例えば、図示の例では、チャネル間領域RICOにおいて、Y方向の一方側から数えて奇数番目のラダー領域RLDに、導電層150が設けられている。また、偶数番目のラダー領域RLDに、導電層140が設けられている。
【0037】
また、チャネル間領域RICEにおいて、Y方向の一方側から数えて奇数番目のラダー領域RLDに、導電層140が設けられている。また、偶数番目のラダー領域RLDに、導電層150が設けられている。
【0038】
導電層140は、例えば、トランジスタのゲート電極、及び、これに接続された配線として機能する。導電層140は、例えば
図2及び
図4に示す様に、リン(P)等のN型の不純物を含む多結晶シリコン(Si)等の半導体層141と、窒化チタン(TiN)等の導電層142と、を含んでいても良い。導電層140は、複数のメモリ層MLを貫通してZ方向に延伸する。また、導電層140の外周面には、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層143が設けられている。また、導電層140の中心部分には、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層144が設けられていても良い。
【0039】
導電層150は、例えば
図2及び
図4に示す様に、ホウ素(B)等のP型の不純物を含む多結晶シリコン(Si)等の半導体層151と、窒化チタン(TiN)等の導電層152と、タングステン(W)等の導電層153と、を含んでいても良い。導電層150は、複数のメモリ層MLを貫通してZ方向に延伸する。また、導電層150の外周面は、Z方向に並ぶ複数の半導体層110に接続されている。
【0040】
ビット線領域R
BL(
図2)において、メモリ層MLは、X方向に並ぶ複数の半導体層160と、これら複数の半導体層160に接続された導電層170と、を備える。
【0041】
半導体層160は、例えば、リン(P)等のN型の不純物を含む多結晶シリコン(Si)等の半導体層を含んでいても良い。半導体層160は、それぞれ、半導体層110のY方向の端部に接続されている。また、X方向において隣り合う2つの半導体層160の間には、絶縁層161が設けられている。絶縁層161は、例えば、酸化シリコン(SiO2)等を含んでいても良い。絶縁層161は、複数のメモリ層MLを貫通してZ方向に延伸する。
【0042】
導電層170は、例えば、ビット線として機能する。導電層170は、例えば、窒化チタン(TiN)等の導電層を含んでいても良い。導電層170は、X方向に延伸し、複数の半導体層160を介して、複数の半導体層110に接続されている。
【0043】
ソース線領域R
SL(
図2)において、メモリ層MLは、X方向に並ぶ複数の半導体層160と、これら複数の半導体層に接続された導電層171と、を備える。
【0044】
導電層171は、例えば、ソース線として機能する。導電層171は、例えば、窒化チタン(TiN)等の導電層を含んでいても良い。導電層171は、X方向に延伸し、複数の半導体層160を介して、複数の半導体層110に接続されている。
【0045】
[読出動作]
次に、
図6及び
図7を参照して、第1実施形態に係る半導体記憶装置の読出動作について説明する。
図6及び
図7は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の読出動作について説明するための模式的な平面図である。尚、
図6及び
図7には、X方向に並ぶ3つの半導体層110を、それぞれ、半導体層110a,110b,110cとして示している。また、
図6及び
図7には、半導体層110bのX方向における一方側に設けられた複数のメモリセルのうちの一つが選択メモリセルMC
Sである例を示している。
【0046】
読出動作においては、選択メモリセルMC
Sのゲート電極として機能する導電層120に、読出電圧V
CGRを供給する。読出電圧V
CGRは、メモリセルに記録されたデータに応じて、メモリセルがON状態又はOFF状態となる程度の大きさを備える。例えば、選択メモリセルMC
Sのしきい値電圧が読出電圧よりも小さい場合、
図6に示す様に、選択メモリセルMC
Sのチャネル領域に、電子のチャネルNchが形成される。一方、選択メモリセルMC
Sのしきい値電圧が読出電圧よりも大きい場合、
図7に示す様に、選択メモリセルMC
Sのチャネル領域に、電子のチャネルNchが形成されない。
【0047】
また、読出動作においては、選択メモリセルMCSと共通のメモリセル領域RMCに設けられた複数の導電層120のうち、半導体層110bに対してX方向の一方側(選択メモリセルMCSと同じ側)に設けられたものに、読出パス電圧VREADを供給する。読出パス電圧VREADは、メモリセルに記録されたデータに拘わらず、メモリセルがON状態となる程度の大きさを備える。これにより、選択メモリセルMCSの近傍に、電子のチャネルNchが形成される。
【0048】
また、読出動作においては、選択メモリセルMCSと共通のメモリセル領域RMCに設けられた複数の導電層120のうち、半導体層110bに対してX方向の他方側(選択メモリセルMCSと反対側)に設けられたものに、裏面セル遮断電圧VBCを供給する。裏面セル遮断電圧VBCは、メモリセルに記録されたデータに拘わらず、メモリセルがOFF状態となる程度の大きさを備える。これにより、これら複数の導電層120の近傍に、正孔のチャネルPchが形成される。この正孔のチャネルPchには、導電層150を介して、接地電圧VSSが供給される。
【0049】
また、読出動作においては、それ以外のメモリセル領域RMCに設けられた複数の導電層120、及び、導電層140に、読出パス電圧VREADを供給する。また、ノードN1~N4のうち、半導体層110bに対応する2つのノード(図示の例では、ノードN2,N3)に電圧VSGを供給し、それ以外のノード(図示の例では、ノードN0,N1,N4)に遮断電圧VBBを供給する。電圧VSGは、選択トランジスタがON状態となる程度の大きさを備える。遮断電圧VBBは、選択トランジスタがOFF状態となる程度の大きさを備える。これにより、ビット線として機能する導電層170と、ソース線として機能する導電層171とが、選択メモリセルMCSと導通する。
【0050】
また、読出動作においては、導電層170,171の間に電圧を供給する。また、導電層170に電流が流れた場合には選択メモリセルMCSがON状態であると判定する。一方、導電層170に電流が流れなかった場合には選択メモリセルMCSがOFF状態であると判定する。
【0051】
[比較例]
次に、
図8を参照して、比較例に係る半導体記憶装置の構成について説明する。
図8は、比較例に係る半導体記憶装置の構成について説明するための模式的な平面図である。
【0052】
比較例に係る半導体記憶装置は、導電層150のかわりに、導電層150´を備える。導電層150´は、例えば、上述した導電層152,153を備える。また、導電層150の外周面には、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層154が設けられている。導電層150´は、この絶縁層154を介して、半導体層110から絶縁されている。
【0053】
また、比較例においても、選択トランジスタ領域RSGD中のチャネル間領域RICに、それぞれ、Y方向に並ぶ2つの導電層120が設けられている。これら2つの導電層120は、それぞれ、ノードN1~N4のいずれかに共通に接続されている。
【0054】
次に、
図9を参照して、比較例に係る半導体記憶装置の読出動作について説明する。
図9は、比較例に係る半導体記憶装置の読出動作について説明するための模式的な平面図である。尚、
図9には、X方向に並ぶ3つの半導体層110を、それぞれ、半導体層110a,110b,110cとして示している。また、
図9には、半導体層110bのX方向における一方側に設けられた複数のメモリセルのうちの一つが選択メモリセルMC
Sである例を示している。
【0055】
比較例に係る半導体記憶装置の読出動作においても、選択メモリセルMCSと共通のメモリセル領域RMCに設けられた複数の導電層120のうち、半導体層110bに対してX方向の他方側(選択メモリセルMCSと反対側)に設けられたものに、裏面セル遮断電圧VBCを供給する。これにより、これら複数の導電層120の近傍に、正孔のチャネルPchが形成される。
【0056】
また、比較例に係る半導体記憶装置の読出動作においては、例えば、ノードN1~N4のうち、半導体層110bに対してX方向の一方側(選択メモリセルMCSと同じ側)に設けられた導電層120に接続されたもの(図示の例では、ノードN2)に電圧VSGを供給し、それ以外のノード(図示の例では、ノードN1,N3,N4)に遮断電圧VBBを供給する。
【0057】
[選択メモリセルMC
Sのしきい値電圧]
図9の例では、半導体層110bに対してX方向の一方側に、選択メモリセルMC
Sが設けられている。ここで、半導体層110bに対してX方向の他方側に設けられた非選択メモリセルがON状態になってしまうと、選択メモリセルMC
Sに記録されたデータに拘わらず導電層170に電流が流れてしまい、選択メモリセルMC
Sに記録されたデータを好適に判定出来ない場合がある。そこで、比較例に係る半導体記憶装置においては、この様な非選択メモリセルを確実にOFF状態とするために、この様な非選択メモリセルのゲート電極に裏面セル遮断電圧V
BCを供給している。この様な場合、この様な非選択メモリセルのチャネル領域に、正孔のチャネルPchが形成される場合がある。
【0058】
ここで、比較例に係る半導体記憶装置においては、上記正孔のチャネルPchの近傍に、導電層150´が設けられている。上述の通り、導電層150´は絶縁層154を介して半導体層110から絶縁されている。従って、この正孔のチャネルPchは、電気的にフローティング状態となる。この様な場合、この正孔のチャネルPchの電圧は、この近傍の導電層120との容量結合の影響等により、大きく変動してしまう場合がある。この影響により、選択メモリセルMCSのしきい値電圧も変動してしまう場合がある。これにより、選択メモリセルMCSに記録されたデータを、好適に読み出せない場合がある。
【0059】
そこで、第1実施形態に係る半導体記憶装置においては、ラダー領域RLDに、ホウ素(B)等のP型の不純物を含む半導体層151を介して半導体層110に接続された導電層150を設けている。この様な構成によれば、上記正孔のチャネルPchの電位を固定し、選択メモリセルMCSのしきい値電圧の変動を抑制して、読出動作を好適に実行することが可能である。
【0060】
[正孔の供給]
消去動作に際しては、半導体層110に、正孔を供給する必要がある。ここで、比較例に係る半導体記憶装置においては、半導体層110が、N型の不純物を含む半導体層160を介して導電層170,171に接続されている。この様な構成においては、消去動作においてGIDL(Gate Induced Drain Leakage)を発生させ、これによって半導体層110に正孔を供給することが考えられる。しかしながら、この様な方法を採用した場合、消去動作に時間がかかってしまう場合がある。
【0061】
ここで、第1実施形態に係る半導体記憶装置においては、ラダー領域RLDに、ホウ素(B)等のP型の不純物を含む半導体層151を介して半導体層110に接続された導電層150が設けられている。この様な構成によれば、消去動作に際してGIDLを発生させなくても、導電層150から半導体層110に正孔を供給することが可能である。従って、消去動作を高速に実行可能である。
【0062】
[選択トランジスタの特性]
比較例に係る半導体記憶装置においては、選択トランジスタ領域R
SGDにおいて、Y方向に並ぶ2つの導電層120が、共通のノードに接続されている。この様な構成においては、例えば
図9に示す様に、ノードN2に電圧V
SGを供給した場合に、半導体層110bだけでなく、半導体層110aにも電子のチャネルNchが形成されてしまう場合がある。また、導電層170と導電層171とが、半導体層110aに形成されたチャネルを介して導通してしまう場合がある。この様な場合、選択メモリセルMC
Sに記録されたデータに拘わらず導電層170に電流が流れてしまい、選択メモリセルMC
Sに記録されたデータを好適に判定出来ない場合がある。
【0063】
そこで、第1実施形態に係る半導体記憶装置においては、選択トランジスタ領域RSGDにおいて、半導体層110bに対してX方向の一方側に設けられた2つの導電層120の一方に電圧VSGを供給し、他方に遮断電圧VBBを供給している。また、半導体層110bに対してX方向の他方側に設けられた2つの導電層120の一方に遮断電圧VBBを供給し、他方に電圧VSGを供給している。また、半導体層110a,110cに対応する残りの導電層120に、遮断電圧VBBを供給している。この様な方法によれば、半導体層110a,110cに形成された電子のチャネルNchを、導電層170から好適に切り離すことが可能である。これにより、読出動作を好適に実行することが可能である。
【0064】
[第2実施形態]
[構成]
図10は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
図11は、同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0065】
第1実施形態に係る半導体記憶装置においては、ラダー領域R
LDに導電層150を設け、これによって読出動作における選択メモリセルMC
Sのしきい値電圧の変動を抑制していた。しかしながら、この様な構成はあくまでも例示に過ぎない。上記選択メモリセルMC
Sのしきい値電圧の変動を抑制する方法は、適宜調整可能である。例えば、第2実施形態に係る半導体記憶装置においては、
図10及び
図11に示す様に、メモリセルのチャネル領域等として機能する半導体層210をX方向に分断し、これによって上記選択メモリセルMC
Sのしきい値電圧の変動を抑制する。
【0066】
第2実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0067】
ただし、上述の通り、第2実施形態に係る半導体記憶装置は、
図3~
図5を参照して説明したメモリ層MLのかわりに、メモリ層ML2を備える。メモリ層ML2は、基本的にはメモリ層MLと同様に構成されている。
【0068】
ただし、メモリ層ML2は、半導体層110のかわりに、半導体層210を備える。半導体層210は、基本的には半導体層110と同様に構成されている。ただし、半導体層210は、
図10に示す様に、Y方向に交互に並ぶ複数のメモリセル領域R
MC及び複数のラダー領域R
LDにわたってY方向に延伸する部分210a,210bと、選択トランジスタ領域R
SGDに設けられた部分210cと、を備える。部分210a,210bは、X方向に並ぶ。部分210a,210bの間には、Y方向に延伸する酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層211が設けられている。
【0069】
また、第2実施形態に係る半導体記憶装置は、上述した導電層150のかわりに、導電層150´を備える。また、導電層150´の外周面には、絶縁層154が設けられている。
【0070】
【0071】
同製造方法においては、例えば
図12に示す様に、複数の絶縁層101と、複数の犠牲層210Aと、を交互に形成する。この工程は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)等によって行う。
【0072】
次に、例えば
図13及び
図14に示す様に、開口123Aを形成する。開口123Aは、
図13に示す様にY方向に延伸し、X方向に並ぶ。また、開口123Aは、
図14に示す様にZ方向に延伸し、Z方向に並ぶ複数の絶縁層101及び複数の犠牲層210Aを貫通する。この工程は、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)等によって行う。
【0073】
次に、例えば
図15に示す様に、開口123Aの内部に、犠牲層123Bを形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0074】
次に、例えば
図16に示す様に、メモリセル領域R
MC及び選択トランジスタ領域R
SGDに設けられた複数の開口123Aのうち、X方向の一方側から数えて偶数番目の開口123Aの内部に設けられた犠牲層123Bを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0075】
次に、例えば
図17及び
図18に示す様に、犠牲層210Aの一部を除去して、絶縁層101の上面及び下面の一部を露出させる。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0076】
次に、例えば
図19に示す様に、半導体層210の部分210aを形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。尚、図示は省略するものの、この工程では、半導体層210の部分210cの一部も形成される(
図22参照。)。
【0077】
次に、例えば
図20に示す様に、開口123Aの内部に、絶縁層123を形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0078】
次に、例えば
図21に示す様に、メモリセル領域R
MCに設けられた複数の開口123Aのうち、X方向の一方側から数えて奇数番目の開口123Aの内部に設けられた犠牲層123Bを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0079】
次に、例えば
図22及び
図23に示す様に、メモリセル領域R
MCに設けられた犠牲層210Aを除去して、絶縁層101の上面及び下面の一部、並びに、半導体層210の部分210aのX方向の側面を露出させる。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0080】
次に、例えば
図24及び
図25に示す様に、絶縁層211を形成する。この工程は、例えば、半導体層210の部分210aのX方向の側面に対する酸化処理等の方法によって行う。
【0081】
次に、例えば
図26に示す様に、半導体層210の部分210bを形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0082】
次に、例えば
図27に示す様に、開口123Aの内部に、絶縁層123を形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0083】
次に、例えば
図28に示す様に、選択トランジスタ領域R
SGDに設けられた複数の開口123Aのうち、X方向の一方側から数えて奇数番目の開口123Aの内部に設けられた犠牲層123Bを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0084】
次に、例えば
図29に示す様に、選択トランジスタ領域R
SGDに設けられた犠牲層210Aを除去して、絶縁層101の上面及び下面の一部を露出させる。また、半導体層210の部分210a,210bのY方向の側面、及び、半導体層210の部分210cの一部のX方向及びY方向の側面を露出させる。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。
【0085】
次に、例えば
図30に示す様に、半導体層210を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0086】
また、開口123Aの内部に、絶縁層123を形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0087】
次に、例えば
図31及び
図32に示す様に、導電層120に対応する位置に、開口120Aを形成する。また、導電層150´に対応する位置に、開口150Aを形成する。また、絶縁層161に対応する位置に、開口160Aを形成する。これらの開口120A,150A,160Aは、
図32に示す様にZ方向に延伸し、Z方向に並ぶ複数の絶縁層101及び複数の半導体層210のX方向の側面を露出させる。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0088】
次に、例えば
図33に示す様に、開口120Aの内部に、犠牲層120Bを形成する。また、図示は省略するものの、開口150A,160Aの内部に、犠牲層150B,160Bを形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0089】
次に、例えば
図34に示す様に、導電層140に対応する位置に、開口140Aを形成する。開口140Aは、Z方向に延伸し、Z方向に並ぶ複数の絶縁層101及び複数の半導体層210のX方向の側面を露出させる。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0090】
次に、開口140Aの内部に、犠牲層140Bを形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0091】
次に、例えば
図32に示す様に、犠牲層120Bを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0092】
次に、例えば
図35に示す様に、トンネル絶縁層131及び電荷蓄積層132が形成される。この工程では、例えば、開口120Aを介したウェットエッチング等の方法によって、半導体層210の一部が除去され、絶縁層101の上面の一部及び下面の一部が露出する。また、酸化処理又はCVD等の方法によって、トンネル絶縁層131が形成される。また、また、CVD等の方法によって、電荷蓄積層132が形成される。また、ウェットエッチング等の方法によって電荷蓄積層132の一部が除去され、電荷蓄積層132がZ方向において分断される。
【0093】
次に、例えば
図11に示す様に、開口120Aの内部に、ブロック絶縁層133、バリア導電層121及び導電層122が形成される。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0094】
その後、導電層140,150´等を形成することにより、
図10及び
図11を参照して説明した様な構造が製造される。
【0095】
[製造方法]
図36~
図39は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の、他の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図36~
図39は、
図11に対応する部分に対応している。
【0096】
この製造方法においては、例えば、
図12~
図14を参照して説明した工程を実行する。
【0097】
次に、例えば
図36に示す様に、犠牲層210Aの一部を除去して、絶縁層101の上面及び下面の一部を露出させる。この工程は、例えば、ウェットエッチング等の方法によって行う。尚、この工程で残存した犠牲層210Aの一部を、絶縁層211としても良い。
【0098】
次に、例えば
図37に示す様に、半導体層210Bを形成する。この工程は、例えば、開口120Aの底面に半導体基板Subの上面を露出させた状態でエピタキシャル成長等を実行することによって行う。これにより、開口120Aの内部が半導体層210Bによって埋め込まれる。
【0099】
次に、例えば
図38に示す様に、半導体層210Bの一部を除去して、複数の半導体層210を形成する。この工程では、例えば、半導体層210Bのうち、絶縁層101の上面又は下面に形成された部分を残して、その他の部分は除去する。この工程は、例えば、RIE等の方法によって行う。
【0100】
次に、例えば
図39に示す様に、開口123Aの内部に、絶縁層123を形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0101】
その後、
図31及び
図32を参照して説明した工程以降の工程を実行することにより、
図10及び
図11を参照して説明した様な構造が製造される。
【0102】
[第3実施形態]
図40は、第3実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【0103】
図2を参照して説明した様に、第1実施形態においては、選択トランジスタ領域R
SGDと、これに最も近いメモリセル領域R
MCと、の間に、ラダー領域R
LDが設けられていた。この様な構成によれば、選択トランジスタ領域R
SGDに最も近いメモリセル領域R
MCに選択メモリセルMC
Sが含まれる場合に、選択メモリセルMC
Sの近傍に形成される正孔のチャネルPchに、好適に固定電圧を供給することが可能である。しかしながら、この様な構成では、選択トランジスタ領域R
SGDと、これに最も近いメモリセル領域R
MCと、の間に、ラダー領域R
LDを設ける必要があり、回路面積の増大につながる恐れがある。
【0104】
そこで、第3実施形態においては、
図40に示す様に、選択トランジスタ領域R
SGD中のチャネル間領域R
ICに、Y方向に並ぶ2つの導電層120のかわりに、Y方向に並ぶ導電層120及び導電層150を設けている。
【0105】
選択トランジスタ領域RSGD中のチャネル間領域RICOにおいては、導電層150が、導電層120よりもメモリセル領域RMCに近い位置に設けられている。図示の例において、これらの導電層150は、ノードN0に共通に接続されている。
【0106】
また、選択トランジスタ領域RSGD中のチャネル間領域RICEにおいては、導電層150が、導電層120よりもメモリセル領域RMCから遠い位置に設けられている。図示の例において、これらの導電層150は、ノードN0に共通に接続されている。
【0107】
また、第3実施形態においては、選択トランジスタ領域RSGDと、これに最も近いメモリセル領域RMCと、の間のラダー領域RLDが省略されている。
【0108】
この様な構成によれば、選択トランジスタ領域RSGDに最も近いメモリセル領域RMCに選択メモリセルMCSが含まれる場合に、選択メモリセルMCSの近傍に形成される正孔のチャネルPchと、選択トランジスタ領域RSGDに設けられた導電層150と、を導通させることが可能である。これにより、正孔のチャネルPchに、好適に固定電圧を供給することが可能である。
【0109】
また、この様な構成によれば、選択トランジスタ領域RSGDと、これに最も近いメモリセル領域RMCと、の間のラダー領域RLDを省略することにより、回路面積の増大を抑制可能である。
【0110】
[第4実施形態]
図41は、第4実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【0111】
第4実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0112】
ただし、第4実施形態においては、
図41に示す様に、選択トランジスタ領域R
SGD中のチャネル間領域R
ICOに、Y方向に並ぶ2つの導電層120のかわりに、Y方向に並ぶ導電層120及び導電層150が設けられている。この導電層150は、導電層120よりもメモリセル領域R
MCに近い位置に設けられている。図示の例において、これらの導電層150は、ノードN0に共通に接続されている。
【0113】
また、第4実施形態においては、選択トランジスタ領域RSGDと、これに最も近いメモリセル領域RMCと、の間のラダー領域RLDが省略されている。
【0114】
この様な構成によれば、第3実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
【0115】
尚、
図41の例では、選択トランジスタ領域R
SGD中のチャネル間領域R
ICOに設けられた導電層150と、選択トランジスタ領域R
SGD中のチャネル間領域R
ICEに設けられた導電層120のうち、メモリセル領域R
MCから遠い方の導電層120とが、共通のノードN0に接続されている。しかしながら、この様な構成は例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。
【0116】
例えば、
図42の例では、選択トランジスタ領域R
SGD中のチャネル間領域R
ICOに設けられた複数の導電層150が、ノードN5に共通に接続されている。また、選択トランジスタ領域R
SGD中のチャネル間領域R
ICEに設けられた導電層120のうち、メモリセル領域R
MCから遠い方の導電層120が、ノードN6に共通に接続されている。ノードN1~ノードN6はお互いに電気的に独立であり、独立した電圧を転送可能である。
【0117】
[第5実施形態]
図43は、第5実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【0118】
第5実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0119】
ただし、第5実施形態においては、
図43に示す様に、選択トランジスタ領域R
SGD中のチャネル間領域R
ICEに、Y方向に並ぶ2つの導電層120のかわりに、Y方向に並ぶ導電層120及び導電層150が設けられている。この導電層150は、導電層120よりもメモリセル領域R
MCから遠い位置に設けられている。
【0120】
また、第5実施形態においては、選択トランジスタ領域RSGD中のチャネル間領域RICOに設けられた導電層120のうち、メモリセル領域RMCに近い方の導電層120が、ノードN5に共通に接続されている。また、選択トランジスタ領域RSGD中のチャネル間領域RICEに設けられた複数の導電層150が、ノードN6に共通に接続されている。
【0121】
また、第5実施形態においては、選択トランジスタ領域RSGDと、これに最も近いメモリセル領域RMCと、の間のラダー領域RLDが省略されている。
【0122】
この様な構成によれば、第3実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
【0123】
[第6実施形態]
図44は、第6実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【0124】
第6実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0125】
ただし、第1実施形態に係る半導体記憶装置においては、チャネル間領域RICOに設けられた複数の導電層120のY方向における位置と、チャネル間領域RICEに設けられた複数の導電層120のY方向における位置とが、略一致していた。
【0126】
一方、第6実施形態に係る半導体記憶装置においては、チャネル間領域RICOに設けられた複数の導電層120のY方向における位置と、チャネル間領域RICEに設けられた複数の導電層120のY方向における位置とが、略一致していない。
【0127】
例えば、メモリセル領域RMCにおいてY方向に並ぶ複数の導電層120の配列周期をP1とする。この場合、チャネル間領域RICOに設けられた複数の導電層120のY方向における位置と、チャネル間領域RICEに設けられた複数の導電層120のY方向における位置とが、P1/2だけ異なっている。
【0128】
この様な導電層120の配置は、上述したいずれの実施形態においても適用可能である。
【0129】
[第7実施形態]
[構成]
図45は、第7実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【0130】
上述の通り、第1実施形態に係る半導体記憶装置においては、ラダー領域R
LDに導電層150を設け、これによって消去動作の高速化を実現していた。しかしながら、この様な構成はあくまでも例示に過ぎない。消去動作を高速化する方法は、適宜調整可能である。例えば、第7実施形態に係る半導体記憶装置においては、
図45に示す様に、半導体層110に正孔を供給可能な導電層603を、ラダー領域R
LDではなくソース線領域R
SLに設けている。
【0131】
第7実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0132】
ただし、第7実施形態に係る半導体記憶装置は、上述した導電層150のかわりに、導電層150´を備える。また、導電層150´の外周面には、絶縁層154が設けられている。
【0133】
また、第7実施形態に係る半導体記憶装置のソース線領域RSL中のチャネル間領域RICには、導電層601又は導電層603が設けられている。
【0134】
ソース線領域RSL中のチャネル間領域RICOには、導電層601が設けられている。導電層601は、例えば、窒化チタン(TiN)等の導電層と、タングステン(W)等の導電層と、を含んでいても良い。導電層601は、複数のメモリ層MLを貫通してZ方向に延伸する。
【0135】
また、ソース線領域RSLにおいて、メモリ層MLは、導電層601と半導体層110との間に設けられた半導体層602を備える。半導体層602は、例えば、リン(P)等のN型の不純物を含む多結晶シリコン(Si)等を含む。導電層601は、この半導体層602を介して、半導体層110に接続されている。
【0136】
ソース線領域RSL中のチャネル間領域RICEには、導電層603が設けられている。導電層603は、例えば、窒化チタン(TiN)等の導電層と、タングステン(W)等の導電層と、を含んでいても良い。導電層603は、複数のメモリ層MLを貫通してZ方向に延伸する。
【0137】
また、ソース線領域RSLにおいて、メモリ層MLは、導電層603と半導体層110との間に設けられた半導体層604を備える。半導体層604は、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含む多結晶シリコン(Si)等を含む。導電層603は、この半導体層604を介して、半導体層110に接続されている。
【0138】
[製造方法]
第7実施形態に係る半導体記憶装置は、種々の方法によって製造可能である。
【0139】
例えば、第7実施形態では、選択トランジスタ領域RSGS中のチャネル間領域RICOに設けられた導電層120を、Nチャネル型の電界効果トランジスタのゲート電極として機能させても良い。また、選択トランジスタ領域RSGS中のチャネル間領域RICEに設けられた導電層120を、Pチャネル型の電界効果トランジスタのゲート電極として機能させても良い。この場合、半導体層110のうち、これらのチャネル領域として機能する部分は、別工程において製膜しても良い。また、同一の工程で製膜を行い、別工程において不純物を注入しても良い。
【0140】
例えば、ソース線領域RSL中の半導体層602と、選択トランジスタ領域RSGS中の上記Pチャネル型の電界効果トランジスタのチャネル領域とには、リン(P)等のN型の不純物を含む多結晶シリコンを設けることが考えられる。この様な場合には、この様な領域における半導体層110の成膜又は不純物の注入を、同一の工程において実行することが可能である。メモリセル領域RMCにおいて半導体層110にリン(P)等のN型の不純物を含ませる場合には、この工程も併せて実行することも可能である。
【0141】
また、例えば、ソース線領域RSL中の半導体層604と、選択トランジスタ領域RSGS中の上記Nチャネル型の電界効果トランジスタのチャネル領域とには、ホウ素(B)等のP型の不純物を含む多結晶シリコンを設けることが考えられる。この様な場合には、この様な領域における半導体層110の成膜又は不純物の注入を、同一の工程において実行することが可能である。メモリセル領域RMCにおいて半導体層110にホウ素(B)等のP型の不純物を含ませる場合には、この工程も併せて実行することも可能である。
【0142】
例えば、
図46には、メモリセル領域R
MCの導電層120に対応する位置に設けられた開口120Aを例示している。また、
図47には、ソース線領域R
SLの導電層601,603に対応する位置に設けられた開口601A,603Aを例示している。
図46及び
図47の例では、開口120A,603Aの内周面が露出している。一方、開口601Aの内部には、犠牲層601Bが埋め込まれている。この様な状態で、半導体層110の、開口120A,603Aに露出した部分に、ホウ素(B)等のP型の不純物を注入しても良い。
【0143】
[第8実施形態]
図48は、第8実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【0144】
第8実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第7実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0145】
ただし、第8実施形態に係る半導体記憶装置のソース線領域RSL中のチャネル間領域RICには、それぞれ、導電層601及び導電層603の双方が設けられている。また、導電層601と半導体層110との間には、半導体層602が設けられている。同様に、導電層603と半導体層110との間には、半導体層604が設けられている。
【0146】
[第9実施形態]
図49は、第9実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【0147】
第9実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第7実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0148】
ただし、第9実施形態に係る半導体記憶装置のソース線領域RSL中のチャネル間領域RICには、それぞれ、導電層603が設けられている。また、導電層603と半導体層110との間には、半導体層604が設けられている。
【0149】
[第10実施形態]
図50は、第10実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【0150】
第10実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第7実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0151】
ただし、第10実施形態に係る半導体記憶装置のソース線領域RSL中のチャネル間領域RICには、それぞれ、導電層601が設けられている。また、導電層601と半導体層110との間には、半導体層602が設けられている。
【0152】
また、第10実施形態に係る半導体記憶装置のビット線領域RBLには、半導体層160のかわりに、半導体層360が設けられている。半導体層360は、基本的には、半導体層160と同様に構成されている。ただし、半導体層360は、リン(P)等のN型の不純物を含む多結晶シリコン(Si)等ではなく、ホウ素(B)等のP型の不純物を含む多結晶シリコン(Si)等を含んでいる。
【0153】
[その他の実施形態]
以上において説明した半導体記憶装置では、読出動作に際して、メモリトランジスタのチャネル領域に電子のチャネルが形成されていた。しかしながら、この様な構成はあくまでも例示に過ぎない。例えば、読出動作に際しては、メモリトランジスタのチャネル領域に、正孔のチャネルを形成しても良い。この様な場合、上記導電層150に対応する構成は、ホウ素(B)等のP型の不純物を含む多結晶シリコン(Si)等ではなく、リン(P)等のN型の不純物を含む多結晶シリコン(Si)を介して、半導体層110に対応する構成に接続されていても良い。
【0154】
また、以上において説明した半導体記憶装置では、選択トランジスタが、メモリトランジスタと同様の構成を備えていた。即ち、半導体層110の、選択トランジスタ領域RSGD,RSGSに設けられた部分が選択トランジスタのチャネル領域として機能していた。また、導電層120のうち、選択トランジスタ領域RSGD,RSGSに設けられたものが、選択トランジスタのゲート電極として機能していた。また、選択トランジスタ領域RSGD,RSGSにおいても、導電層120と半導体層110との間に、ゲート絶縁層130が設けられていた。しかしながら、選択トランジスタは、メモリトランジスタと異なる構成を備えていても良い。
【0155】
例えば、
図51に例示する半導体記憶装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。ただし、
図51の例では、選択トランジスタ領域R
SGD,R
SGSに、ゲート絶縁層130が設けられておらず、そのかわりに、導電層120と半導体層110との間に設けられた絶縁層180を備える。絶縁層180は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等を含んでいても良い。尚、以上において説明したいずれの半導体記憶装置についても、選択トランジスタ領域R
SGD,R
SGSの少なくとも一方からゲート絶縁層130を省略し、そのかわりに、絶縁層180を設けても良い。
【0156】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0157】
110…半導体層、120…導電層、130…ゲート絶縁層、140…導電層、150…導電層、160…半導体層、170…導電層、RMC…メモリセル領域、RLD…ラダー領域、RSGD,RSGS…選択トランジスタ領域、RBL…ビット線領域、RSL…ソース線領域。