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特開2022-170620基板作成方法、基板の中間体及び基板作成装置
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  • 特開-基板作成方法、基板の中間体及び基板作成装置 図1
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  • 特開-基板作成方法、基板の中間体及び基板作成装置 図3
  • 特開-基板作成方法、基板の中間体及び基板作成装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170620
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】基板作成方法、基板の中間体及び基板作成装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20221102BHJP
【FI】
H05K3/46 X
H05K3/46 N
H05K3/46 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076897
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】503421450
【氏名又は名称】相部 範之
(74)【代理人】
【識別番号】100127384
【弁理士】
【氏名又は名称】坊野 康博
(72)【発明者】
【氏名】相部 範之
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA35
5E316AA42
5E316CC32
5E316CC34
5E316DD32
5E316DD50
5E316FF07
5E316GG14
5E316GG15
5E316GG22
5E316GG28
5E316HH32
(57)【要約】
【課題】微細な配線を有する多層の基板を設計の自由度を高めつつ、短時間で作成すること。
【解決手段】基板作成方法は、中間体製造工程と、基板加工工程とを含む。中間体製造工程では、エッチングを用いて、基板に実装される回路の一部及び切削加工の対象となる面電極領域が形成された基板の中間体が製造される。基板加工工程では、中間体の面電極領域に基板加工機100で切削加工を施すことにより、設計された回路が形成される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチングを用いて、基板に実装される回路の一部及び切削加工の対象となる面電極領域が形成された基板の中間体を製造する中間体製造工程と、
前記中間体の前記面電極領域に基板加工機で切削加工を施すことにより、設計された回路を形成する基板加工工程と、
を含む基板作成方法。
【請求項2】
前記中間体製造工程では、前記基板の中間体における表面及び裏面に前記面電極領域が形成され、前記面電極領域に前記基板の中間体を貫通する複数のビアが形成されることを特徴とする請求項1に記載の基板作成方法。
【請求項3】
前記基板加工工程では、前記面電極領域において、設計された前記回路の配線の外縁を切削加工することにより、当該回路を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の基板作成方法。
【請求項4】
前記基板加工工程では、前記面電極領域の外縁が切削加工される領域となる場合、前記面電極領域の当該外縁から拡張して切削加工することを特徴とする請求項3に記載の基板作成方法。
【請求項5】
前記中間体製造工程では、複数の基材が階層的に配置され、前記複数の基材の少なくとも2つの面に回路層が形成された基板の中間体が製造されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の基板作成方法。
【請求項6】
前記複数の回路層の少なくともいずれか2つは、前記面電極領域に形成された前記複数の基材を貫通する複数のビアによって電気的に接続され、
前記基板加工工程では、前記面電極領域において当該複数のビアを絶縁させる切削加工を行い、前記面電極領域ではない前記回路層において当該複数のビアが電気的に接続された回路を形成することを特徴とする請求項5に記載の基板作成方法。
【請求項7】
前記複数のビアには、前記複数の回路層のうち、異なる前記回路層を電気的に接続する複数種類の前記ビアが含まれ、
前記基板加工工程では、前記複数種類のビアのうち、前記設計された回路の形成に適合するいずれかの前記ビアを用いて、当該回路が形成されることを特徴とする請求項5に記載の基板作成方法。
【請求項8】
エッチングを用いて、基板に実装される回路の一部及び切削加工の対象となる面電極領域が形成されていると共に、前記面電極領域に、基板加工機で切削加工が施されることにより、設計された回路基板が形成されることを特徴とする基板の中間体。
【請求項9】
エッチングを用いて、基板に実装される回路の一部及び切削加工の対象となる面電極領域が形成された基板の中間体に対し、前記面電極領域に切削加工を施すことにより、設計された回路を形成することを特徴とする基板作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板作成方法、基板の中間体及び基板作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の目的に応じた電子機器が製造されるようになっており、これに伴い、基板を多品種少量生産することに対するニーズが高まっている。
ここで、エッチング工程を含む基板の製造ラインで基板を製造する場合、同様の回路を有する基板を大量に製造すること等には適しているものの、製造する基板の回路を変更する場合には製造ラインのセットアップに時間を要する等、柔軟に基板の種類を変更して製造することは困難である。
これに対し、基板に切削加工を施して目的とする回路を実装した基板を作成する基板加工機においては、個別のニーズに応じて、多様な回路構成の基板を作成することが可能である。
なお、基板加工機に関する技術は、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-017199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板加工機を用いて基板を作成する場合、エッチング工程を含む製造ラインで製造される基板に比べて、微細な配線を実現することが困難である。また、基板の両面に回路を形成する場合、基板表裏の導通を確保する必要があるが、切削によって形成した貫通穴は導通していないことから、これを導通させる作業が必要となる。なお、仮に、一定量のハンダを供給する等して、貫通穴を導通させた場合、ハンダの厚みのために、貫通穴の位置に電子部品を配置することが困難となり、回路設計の制約が生じることとなる。さらに、基板加工機で作成される基板には、通常、レジストが塗布されていないことから、電子部品を近い位置に配置した場合等には、ハンダブリッジを生じる可能性が高くなる。
このように、従来の技術においては、微細な配線を有する多層の基板を設計の自由度を高めつつ、短時間で作成することは困難であった。
【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、微細な配線を有する多層の基板を設計の自由度を高めつつ、短時間で作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の基板作成方法は、
エッチングを用いて、基板に実装される回路の一部及び切削加工の対象となる面電極領域が形成された基板の中間体を製造する中間体製造工程と、
前記中間体の前記面電極領域に基板加工機で切削加工を施すことにより、設計された回路を形成する基板加工工程と、
を含む基板作成方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、微細な配線を有する多層の基板を設計の自由度を高めつつ、短時間で作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る基板作成方法で作成される基板1の構成を示す模式図(上面図)である。
図2】基板1の立体的構造を示す模式図(斜視図)である。
図3】基板1及びビア4の断面を示す模式図である。
図4】追加加工パターン部5の周辺を拡大して示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
[基板の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る基板作成方法で作成される基板1の構成を示す模式図(上面図)である。図2は、基板1の立体的構造を示す模式図(斜視図)である。図3は、基板1及びビア4の断面を示す模式図である。図4は、追加加工パターン部5の周辺を拡大して示す模式図である。なお、図1においては、基板1の一部が切削加工された状態を示しており、図2においては、基板1を切削加工する基板加工機100を併せて示している。
【0010】
本実施形態において、基板1は、複数の基材が階層的に配置された構成を有している。なお、図2及び図3においては、3つの基材B1~B3を積層させた4層の構成を有する基板1の例を示しているが、基材を積層させる数は、目的に応じて任意に選択することができる。また、本実施形態において、積層された基材B1~B3に対し、基板1の表面となる基材B1の一面及び基板1の裏面となる基材B3の一面に回路が形成された層が配置され、基材B1と基材B2との間、及び、基材B2と基材B3との間に、それぞれ1層ずつ回路が形成された層が配置されている。以下、これら回路が配置された層を基板1の表面から順に、回路層C1~C4と称する。回路層C1~C4には、エッチングを含む基板製造工程により、予め設計された回路パターンが形成されている。
【0011】
図1図4において、基板1は、追加加工用銅箔部2と、非加工銅箔部3と、ビア4と、追加加工パターン部5と、精密パターン部6と、別層接続部7と、切削加工部8と、拡張加工パターン部9と、ビア接続部10とを有している。
基板1は、エッチングにより、追加加工用銅箔部2、非加工銅箔部3、ビア4、精密パターン部6及びビア接続部10が予め形成された基板の中間体に対し、切削加工により、追加加工パターン部5、別層接続部7、切削加工部8及び拡張加工パターン部9が形成された基板である。
【0012】
追加加工用銅箔部2は、基板の中間体が製造される際に、エッチングを含む基板製造工程により特定の領域(後に基板加工機100で切削加工され、回路パターンが形成される領域)に形成された一様な電極である。本実施形態において、追加加工用銅箔部2は、銅箔によって形成されるが、電極として機能するものであれば、他の材料(アルミ等)を用いることも可能である(以下、他の配線部分についても同様である)。
【0013】
非加工銅箔部3は、基板の中間体が製造される際に、エッチングを含む基板製造工程により形成された導電部であり、後に切削加工がされない領域として形成される。即ち、非加工銅箔部3は、エッチングを含む基板製造工程によって形成された回路パターンがそのまま完成品の回路パターンとなる領域である。
ビア4は、エッチングを含む基板製造工程により、基板1の基材B1~B3それぞれに形成された貫通電極であり、貫通穴の内周面が銅箔で覆われている。なお、本実施形態において、ビア4は全ての基材B1~B3を貫通しており、ビア4と導通させる回路層C1~C4にビア接続部10が配置されることで導通が確保される。また、本実施形態においては、基板1の追加加工用銅箔部2に、予め複数のビア4が形成されている。例えば、複数のビア4は、所定間隔(5mm~10mm間隔等)で追加加工用銅箔部2の全面に形成することができる。
【0014】
ここで、図3を参照し、ビア4の構造について具体的に説明する。
図3に示すように、ビア4は、ビア接続部10によって回路層C1~C4と導通されている。
ビア接続部10は、ビア4と回路層C1~C4それぞれとの導通を確保する導電部であり、本実施形態においては、基板の中間体が製造される際に、ビア4と導通させる回路層C1~C4に対し、ビア接続部10が形成される。
ここで、基板1においては、ビア接続部10の配置方法によって、ビア4と回路層C1~C4との接続に関し、4タイプの接続形態が実現されている。
【0015】
タイプd1の接続形態では、回路層C1、回路層C2及び回路層C4にビア接続部10が配置されており、この場合、ビア4によって、回路層C1、回路層C2及び回路層C4における配線を接続することが可能となっている。
タイプd2の接続形態では、回路層C1、回路層C3及び回路層C4にビア接続部10が配置されており、この場合、ビア4によって、回路層C1、回路層C3及び回路層C4における配線を接続することが可能となっている。
【0016】
タイプd3の接続形態では、回路層C1及び回路層C4にビア接続部10が配置されており、この場合、ビア4によって、回路層C1及び回路層C4における配線を接続することが可能となっている。
タイプd4の接続形態では、回路層C1、回路層C2、回路層C3及び回路層C4にビア接続部10が配置されており、この場合、ビア4によって、回路層C1、回路層C2回路層C3及び回路層C4における配線を接続することが可能となっている。
本実施形態においては、エッチングにより形成される複数のビア4をタイプd1~d4のいずれかとしておき、切削加工を行う際に、必要なビア4のタイプを選択して、追加加工用銅箔部2の回路を形成することができる。なお、使用しないビア4は、回路の形成に影響しないよう、切削加工で回路から切り離される。ただし、ビア4を含む一部の領域が回路の形成に使用されない場合、ビア4を個別に切り離すことに代えて、その領域ごと回路から切り離すこととしてもよい。
【0017】
追加加工パターン部5は、追加加工用銅箔部2に対し、切削加工により絶縁部となる外縁(切削加工部8)を形成して、導電部(配線)とされた領域である。
図4に示すように、追加加工パターン部5は、基板の中間体における追加加工用銅箔部2に対して、完成品の基板に実装される回路の配線の外縁に沿って、銅箔を切削加工することで形成される。追加加工パターン部5の外縁が切削加工されることで、追加加工パターン部5の内部は、追加加工用銅箔部2の他の部分から切り離された導電部(配線)となる。
【0018】
精密パターン部6は、基板の中間体が製造される際に、エッチングにより形成された導電部であり、切削加工で形成可能な配線幅よりも小さい幅(例えば、0.1[mm]以下)の領域である。
別層接続部7は、回路層C1以外の回路層において複数のビア4を接続する導電部である。例えば、回路層C4において、接続対象となる複数のビア4にビア接続部10が配置されると共に、回路層C4の追加加工用銅箔部2において、これらのビア接続部10を接続する追加加工パターン部5が形成されることにより、別層接続部7が形成される。なお、これら回路層C4で接続されるビア4は、回路層C1においては追加加工パターン部5によって絶縁された状態となっている。
【0019】
切削加工部8は、基板の中間体における追加加工用銅箔部2が切削加工されることにより銅箔が除去され、絶縁部とされた領域である。本実施形態において、切削加工部8は、追加加工パターン部5の外縁を構成する絶縁部として形成される。
拡張加工パターン部9は、追加加工用銅箔部2の外縁(非加工銅箔部3との境界)に追加加工パターン部5が形成される場合に、追加加工用銅箔部2の外縁から拡張して切削加工された領域である。追加加工用銅箔部2を対象として回路を設計した場合、追加加工用銅箔部2の外縁では、追加加工パターン部5が十分に形成されず絶縁が確保されない可能性がある。そこで、拡張加工パターン部9を形成することにより、追加加工用銅箔部2の外縁においても、確実な絶縁を行うことができる。
【0020】
なお、基板加工機100は、基板の中間体において追加加工用銅箔部2に形成する回路パターンのデータを切削加工用データに変換する。切削加工用データは、切削加工ツールのツールパスを表すデータであり、具体的には、配線の外縁を表す追加加工パターン部5(及び必要な場合に拡張加工パターン部9)を形成するためのデータである。そして、基板加工機100は、基板の中間体に対して、切削加工用データに従って、追加加工用銅箔部2に追加加工パターン部5(及び必要な拡張加工パターン部9)を形成する。
【0021】
[基板作成方法]
次に、基板1を作成するための基板作成方法について説明する。
基板1が作成される場合、エッチング工程を実行可能な基板の製造ラインにおいて、基板の中間体(図2参照)が形成される(中間体製造工程)。
【0022】
次に、基板の中間体において追加加工用銅箔部2に形成する回路パターンのデータを、基板加工機100(あるいは他のコンピュータ等)において、切削加工用データ(切削加工ツールのツールパスを表すデータ)に変換する(データ変換工程)。なお、追加加工用銅箔部2に形成する回路パターンは、基板の中間体におけるビア4のタイプを加味して設計されている。
【0023】
次に、基板の中間体を基板加工機100に設置し、データ変換工程で変換された切削加工用データに従って、追加加工用銅箔部2に追加加工パターン部5(及び必要な拡張加工パターン部9)を形成する(基板加工工程)。
【0024】
これにより、基板1を作成する際に、中間体製造工程において、エッチングを含む製造工程で微細な配線を形成することができると共に、基板加工機100による切削加工のための追加加工用銅箔部2を形成することができる。そして、基板加工工程において、追加加工用銅箔部2に、追加加工パターン部5を形成することにより、目的に応じた種々の回路を実装した基板1を作成することができる。
したがって、微細な配線を有する多層の基板を設計の自由度を高めつつ、短時間で作成することが可能となる。
【0025】
また、基板1のビア4の位置にハンダを供給して導通を確保する必要がないため、ハンダの厚みによる回路設計の制約が生じることを抑制できる。また、レジストによって電子部品を近い位置に配置した場合に、ハンダブリッジを生じる可能性を低下させることができる。
また、複数種類のビア4から目的に適合するものを選択して配線に用いることで、基板1の表面及び裏面に形成される配線、及び、複数の回路層に形成される配線を組み合わせ、より複雑な回路を容易に形成することができる。
また、追加加工用銅箔部2の外縁(非加工銅箔部3との境界)に追加加工パターン部5が形成される場合に、拡張加工パターン部9が形成されるため、追加加工用銅箔部2の外縁においても、確実な絶縁を行うことができ、回路の短絡が生じること等を抑制できる。
【0026】
以上のように構成される基板作成方法は、中間体製造工程と、基板加工工程とを含む。
中間体製造工程では、エッチングを用いて、基板に実装される回路の一部及び切削加工の対象となる面電極領域が形成された基板の中間体が製造される。
基板加工工程では、中間体の面電極領域に基板加工機100で切削加工を施すことにより、設計された回路が形成される。
これにより、基板1を作成する際に、中間体製造工程において、エッチングを含む製造工程で微細な配線を形成することができると共に、基板加工機100による切削加工のための面電極領域(追加加工用銅箔部2)を形成することができる。そして、基板加工工程において、面電極領域(追加加工用銅箔部2)に基板加工機100で切削加工を施すことにより、目的に応じた種々の回路を実装した基板1を作成することができる。
したがって、微細な配線を有する多層の基板を設計の自由度を高めつつ、短時間で作成することが可能となる。
【0027】
中間体製造工程では、基板の中間体における表面及び裏面に面電極領域(追加加工用銅箔部2)が形成され、面電極領域(追加加工用銅箔部2)に基板の中間体を貫通する複数のビアが形成される。
これにより、基板1の表面及び裏面の回路を導通させることができるため、より複雑な回路を形成することが可能となる。
【0028】
基板加工工程では、面電極領域(追加加工用銅箔部2)において、設計された回路の配線の外縁を切削加工することにより、当該回路を形成する。
これにより、面電極領域において、切削加工により他の部分から絶縁することで配線パターンを形成することができるため、柔軟に回路を形成することが可能となる。
【0029】
基板加工工程では、面電極領域(追加加工用銅箔部2)の外縁が切削加工される領域となる場合、面電極領域の当該外縁から拡張して切削加工する。
これにより、面電極領域(追加加工用銅箔部2)の外縁(非加工銅箔部3との境界)に切削加工により配線が形成される場合に、確実な絶縁を行うことができ、回路の短絡が生じること等を抑制できる。
【0030】
中間体製造工程では、複数の基材が階層的に配置され、複数の基材の少なくとも2つの面に回路層が形成された基板の中間体が製造される。
これにより、複数の回路層を用いて、より複雑な回路を形成することができる。
【0031】
複数の回路層の少なくともいずれか2つは、面電極領域(追加加工用銅箔部2)に形成された複数の基材を貫通する複数のビアによって電気的に接続される。
基板加工工程では、面電極領域(追加加工用銅箔部2)において当該複数のビアを絶縁させる切削加工を行い、面電極領域(追加加工用銅箔部2)ではない回路層において当該複数のビアが電気的に接続された回路を形成する。
これにより、面電極領域(追加加工用銅箔部2)において導通させることができない部分等を他の回路層で迂回することにより、適切に導通させることが可能となる。
【0032】
複数のビアには、複数の回路層のうち、異なる回路層を電気的に接続する複数種類のビアが含まれる。
基板加工工程では、複数種類のビアのうち、設計された回路の形成に適合するいずれかのビアを用いて、当該回路が形成される。
これにより、複数種類のビアから必要なものを選択して使用することができるため、面電極領域(追加加工用銅箔部2)に回路を形成する際に、柔軟に回路パターンを構成することができる。
【0033】
なお、本発明は、本発明の効果を奏する範囲で変形、改良等を適宜行うことができ、上述の実施形態に限定されない。
例えば、上述の実施形態において、基板1の1つの面に1つの追加加工用銅箔部2を形成する場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。即ち、基板1の1つの面(例えば、表面あるいは裏面)に複数の追加加工用銅箔部2を形成すると共に、これら追加加工用銅箔部2の周囲に、エッチングを含む基板製造工程によって、微細な配線を形成することも可能である。
これにより、基板1の各面において、必要なサイズの追加加工用銅箔部2を形成することができると共に、他の領域には微細な配線を備えることができるため、作成可能な基板1の構成に多様性を持たせることができる。
【0034】
また、上述の実施形態において、エッチングを含む基板製造工程によって基板の中間体を製造する際に、追加加工用銅箔部2以外の領域に電子部品を設置するためのスルーホールを形成し、電子部品の端子をこのスルーホールに挿入してハンダ付けすることとしてもよい。
これにより、設置される電子部品が予め把握されている場合等に、その電子部品を設置するために適した構造を有する基板1を作成することが可能となる。
【0035】
また、上述の実施形態及び各変形例を適宜組み合わせて、本発明を実施することが可能である。
上述の実施形態における処理(例えば、データ変換工程の処理等)は、ハードウェア及びソフトウェアのいずれにより実行させることも可能である。
即ち、上述の処理を実行できる機能が基板加工機100等に備えられていればよく、この機能を実現するためにどのような機能構成及びハードウェア構成とするかは上述の例に限定されない。
上述の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにネットワークや記憶媒体からインストールされる。
【0036】
プログラムを記憶する記憶媒体は、装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディア、あるいは、装置本体に予め組み込まれた記憶媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクあるいはフラッシュメモリ等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray Disc(登録商標)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。フラッシュメモリは、例えば、USBメモリあるいはSDカードにより構成される。また、装置本体に予め組み込まれた記憶媒体は、例えば、プログラムが記憶されているROMやハードディスク等で構成される。
【符号の説明】
【0037】
1 基板、2 追加加工用銅箔部、3 非加工銅箔部、4 ビア、5 追加加工パターン部、6 精密パターン部、7 別層接続部、8 切削加工部、9 拡張加工パターン部、10 ビア接続部、B1~B3 基材、C1~C4 回路層、100 基板加工機
図1
図2
図3
図4